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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035830
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】金属検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/10 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
G01V3/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142095
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】22193667
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511241516
【氏名又は名称】メトラー-トレド・セーフライン・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】デーブ・リヨン
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属検出装置は、トランスミッタユニットによってもたらされる、電子補償システムでは取り扱いが困難である無作為攪乱を低減するか、回避することができなければならない。さらに、不平衡の原因になり得る熱損失を低減することができなければならない。
【解決手段】本発明によれば、複数の個別に選択可能な励起回路が提供され、個々の励起回路は、選択されると、トランスミッタコイル(21)、結合変圧器(143)の出力巻線のタップ付き巻線、電気機械式継電器として設計された第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって、また、第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって互いに接続された同調コンデンサ(144A、144B、144C)のうちの1つを備え、これらは、複数の励起回路のうちの1つが必ず選択可能であるよう、チャネルセレクター(140)による制御が可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属検出装置であって、
トランスミッタコイル(21)、第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルを含む平衡コイルシステムと、
選択された動作周波数を有する入力信号によってエネルギーが供給される入力巻線、および複数のタッピング(143A、143B、143C、143T)を含む出力巻線を含む結合変圧器(143)であって、前記複数のタッピング(143A、143B、143C、143T)の中から選択可能な個々の対のタッピングが、選択された対のタッピング同士の間を延在する前記出力巻線の巻きからなる関連する部分巻線を画定している、結合変圧器(143)と、
第1の複数の個別に選択可能な励起回路であって、前記複数の励起回路の各々が、複数の前記部分巻線のうちの関連する1つから前記トランスミッタコイル(21)にエネルギーを供給するように構成され、かつ、関連する第1の制御信号に応答して関連する励起回路を開閉するように接続された関連する第1のスイッチングデバイスを含み、複数の前記第1のスイッチングデバイスの各々が半導体スイッチングデバイスである、第1の複数の個別に選択可能な励起回路と、
第2の複数の個別に選択可能な同調コンデンサであって、前記複数の同調コンデンサの各々が、関連する第2の制御信号に応答して、前記トランスミッタコイル(21)および関連する同調コンデンサを含む共振回路を開閉するように接続されたそれに関連する第2のスイッチングデバイスを有する、第2の複数の個別に選択可能な同調コンデンサと
を備え、
複数の前記第2のスイッチングデバイスの各々が電気機械式継電器スイッチングデバイスであることを特徴とする金属検出装置。
【請求項2】
部分巻線の数が励起回路の数より多く、前記励起回路と前記複数の部分巻線のうちの選択された部分巻線との間の接続を個別に確立するために、多方向タップセレクターが前記タッピング(143A、143B、143C、143T)と前記励起回路の間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の金属検出装置。
【請求項3】
前記電気機械式継電器スイッチングデバイスが、コンタクトが並列に接続された二重極として構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属検出装置。
【請求項4】
励起回路(14A;14B;14C)毎に、選択されると、前記結合変圧器(143)の二次コイルの関連する部分巻線が前記関連する第1の半導体スイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって前記トランスミッタコイル(21)に直列または並列に接続されることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の金属検出装置。
【請求項5】
励起回路(14A;14B;14C)毎に、選択されると、前記関連する同調コンデンサ(144A;144B;144C)が前記関連する第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって前記トランスミッタコイル(21)に直列または並列に接続されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の金属検出装置。
【請求項6】
励起回路(14A;14B;14C)毎に、選択されると、前記結合変圧器(143)の二次コイルの関連する部分巻線が前記関連する第1のスイッチングデバイス(141A;141B;141C)によって、また、前記関連する同調コンデンサ(144A;144B;144C)が前記関連する第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)によって、それぞれ前記トランスミッタコイル(21)に並列に接続されること
を特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の金属検出装置。
【請求項7】
前記複数の個別に選択可能な励起回路(14A;14B;14C)が並列に配置されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の金属検出装置。
【請求項8】
前記第1の制御信号および第2の制御信号が、前記第1のスイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)のうちの1つ毎に、光起電性ドライバなどの少なくとも1つの隔離されたドライバ(145A、146A)を備えるチャネルセレクター(140)によって生成され、前記少なくとも1つの隔離されたドライバ(145A、146A)を使用して、制御線が前記第1のスイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)の制御入力からガルバニック隔離されることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載の金属検出装置。
【請求項9】
前記第1のスイッチングデバイス(141A;141B;141C)が双方向性MOS-FETユニットであることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載の金属検出装置。
【請求項10】
個々の双方向性MOS-FETユニットが、ソース端子(S)、ドレイン端子(D)およびゲート端子(G)を個々に有する第1のMOS-FET(T1)および第2のMOS-FET(T2)を備え、前記ソース端子(S)が、一方では互いに接続され、また、他方では2つのダイオード(D1、D2)の全く同じ第1の端子と接続され、前記2つのダイオードは、それぞれ、それらの第2の端子を使用して前記第1のMOS-FET(T1)の前記ドレイン端子(D)または前記第2のMOS-FET(T2)の前記ドレイン端子(D)にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項9に記載の金属検出装置。
【請求項11】
それぞれ発光ダイオードに接続されている関連する選択可能励起回路(14A;14B;14C)の前記第1のスイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)にそれぞれ割り当てられた隔離されたドライバの入力線が直列に接続されること、および前記隔離されたドライバの出力線が、前記関連する選択可能励起回路(14A;14B;14C)の前記第1のスイッチングデバイス(141A;141B;141C)および前記第2のスイッチングデバイス(142A;142B;142C)の入力端子(G、S)にそれぞれ接続されることを特徴とする請求項9または10に記載の金属検出装置。
【請求項12】
前記隔離されたドライバの前記発光ダイオードが、制御抵抗と直列に接続され、したがって定電圧供給デバイスの出力に接続される制御ループを形成することを特徴とする請求項11に記載の金属検出装置。
【請求項13】
前記定電圧供給デバイスが低ドロップアウト調整器であることを特徴とする請求項12に記載の金属検出装置。
【請求項14】
コンピュータシステムの中で実現された制御プログラムによって前記装置、詳細には前記入力信号を提供する周波数発生器および前記チャネルセレクター(140)を制御することができ、前記制御プログラムを使用して動作周波数および関連する励起回路(14A、14B、14C)を選択することができることを特徴とする請求項8に記載の金属検出装置。
【請求項15】
前記制御プログラムが、運ばれた商品を測定するプロセス内で、動作周波数および前記関連する励起回路(14A、14B、14C)が少なくとも2つの設定すなわち動作周波
数の間で交互に変更される、すなわち調整されるように設計されることを特徴とする請求項13に記載の金属検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、複数の動作周波数を使用する金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]例えばUS8587301B2に記載されている産業金属検出装置は、製品の金属汚染を検出するために使用されている。適切に設置され、かつ、操作されると、産業金属検出装置は、金属汚染の低減および食品安全の改善を促進することになる。ほとんどの近代の金属検出器は、「平衡コイルシステム」を備えた探索ヘッドを利用している。この設計の検出器は、新鮮な製品および冷凍製品などの極めて多様な製品の第1鉄、非第1鉄およびステンレス鋼を含むあらゆる金属汚染物質タイプを検出することができる。
【0003】
[0003]「平衡コイル」原理に従って動作する金属検出装置は、3つのコイル、すなわちトランスミッタコイル、および非金属フレームの上に巻かれている、典型的にはそれぞれ互いに平行である2つの全く同じレシーバコイルを備えている。これらのレシーバコイルは、典型的にはそれらの間の中央に位置しているトランスミッタコイルを取り囲んでいるが、全く同じであり、全く同じ電圧がそれらの各々に誘導される。システムが平衡状態にある場合はゼロである出力信号を受け取るために、第1のレシーバコイルは、逆巻き巻線を有する第2のレシーバコイルと直列に接続されている。したがってシステムが平衡状態にあり、観察されている製品に汚染物質が存在していない場合、レシーバコイルに誘導される、振幅が全く同じで、極性が逆である電圧が互いを相殺する。
【0004】
[0004]しかしながら金属の粒子がコイル構造を通過して磁界に露出されると、直ちに渦電流が金属粒子の中を流れるように強制される。渦電流は、最初に一方のレシーバコイルに近い一次電磁界を攪乱し、次にもう一方のレシーバコイルに近い一次電磁界を攪乱する二次磁界を生成する。金属の粒子がレシーバコイルを通って運ばれている間、個々のレシーバコイルに誘導される電圧が変化する(ナノ-ボルトだけ)。平衡のこの変化により、レシーバユニットに存在している検出コイルの出力部分の信号が処理され、増幅され、恐らくはフィルタリングされ、次にそれを使用して、コンベアシステム上の金属検出装置を横断している、観察されている製品の金属汚染物質の存在が検出され得ることになる。
【0005】
[0005]レシーバユニットでは、入力信号は、通常、同相成分および直交成分に分割される。これらの成分から構成されるベクトルは、コイルシステムを通って運ばれる製品および汚染物質に対して固有である一定の大きさおよび一定の位相角を有している。金属汚染物質を識別するためには、「製品効果」を取り除くか、または小さくしなければならない。製品の位相が分かれば、対応する信号ベクトルを小さくして、金属汚染物質から発信される信号を検出するための感度をより高くすることができる。
【0006】
[0006]望ましくない信号を信号スペクトルから除去するために適用されている方法は、金属汚染物質、製品および他の攪乱が磁界に対して異なる影響を有し、したがって検出される信号の位相が異なることを利用している。大きい導電率を有する材料は、より大きい負の無効信号成分およびより小さい抵抗性信号成分を有する信号をもたらす。大きい透磁率を有する材料は、より小さい抵抗性信号成分およびより大きい正の無効信号成分を有する信号をもたらす。フェライトによってもたらされる信号は主として無効性であり、一方、ステンレス鋼によってもたらされる信号は主として抵抗性である。導電性である製品は、典型的には、強い抵抗性成分を有する信号をもたらす。抵抗性信号成分と無効信号成分の間の信号ベクトルの位相角は、通常、製品または汚染物質が金属検出装置を通って運ばれる際に一定を維持する。
【0007】
[0007]異なる発信源の信号成分の位相同士の間を位相検出器によって区別することにより、製品および汚染物質に関する情報を得ることができる。位相検出器、例えば周波数混合器またはアナログ掛算器回路は、レシーバコイルの出力信号などの信号入力と、トランスミッタユニットによってレシーバユニットに提供される基準信号との間の位相差を表す電圧信号を生成する。したがって製品信号成分の位相と一致するように基準信号の位相を選択することにより、位相差および対応する製品信号が位相検出器の出力部分に得られ、それはゼロである。汚染物質から発信される信号の位相が製品信号の位相と異なっている場合、製品信号を抑制することができ、その一方で汚染物質の信号をさらに処理することができる。しかしながら汚染物質の信号の位相が製品信号の位相に近い場合、汚染物質の信号が製品信号と共に抑制されるため、汚染物質の検出は失敗する。製品信号の位相角を汚染物質の位相角から分離するために、適切な動作周波数が決定され、かつ、適用されている。
【0008】
[0008]US8841903B2は、信号プロセッサに接続されたレシーバユニットに接続されている第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルに誘導結合されているトランスミッタコイルにトランスミッタ信号を提供するトランスミッタユニットを備えた金属検出装置を開示している。トランスミッタユニットは、動作周波数を増幅器段の入力に提供する周波数発生器を備えており、増幅器段の出力は結合変圧器を介してトランスミッタコイルに接続されている。増幅器段の出力は第1のスイッチバンクを介して第1のタッピングに接続され、また、トランスミッタコイルは、第2のスイッチバンクを介して、変圧器の同じ変圧器巻線の第2のタッピングに接続されている。この構造によれば、トランスミッタユニットの他の部分に無関係に、トランスミッタコイルおよび選択可能コンデンサからなる共振回路を選択された動作周波数に同調され得る。増幅器段は、最小ひずみを有する信号を増幅するが、パワートランジスタは静止状態においても電流を絶えず消費するため、効率が低いA級回路を備えている。
【0009】
[0009]US10184908B2は、増幅器段の出力に接続されている第1の巻線および第2の巻線を有する一次コイル、ならびにトランスミッタコイルに接続されている二次コイルを備えた結合変圧器を有する金属検出装置を開示している。第1の巻線および第2の巻線は、第1の端部を使用して供給電圧に接続され、それぞれ、上記第1の端部から数えて同じ回数で少なくとも1つのタッピングを有している。増幅器段は、第1の巻線の少なくとも1つのタッピングに接続された少なくとも第1のパワートランジスタを有する第1の増幅ウイング、および第2の巻線の少なくとも1つのタッピングに接続された少なくとも第2のパワートランジスタを有する第2の増幅ウイングを備えている。第1の増幅ウイングは入力信号の最初の半分の波を増幅し、第2の増幅ウイングは入力信号の次の半分の波を増幅している。結合変圧器の二次コイルは複数のタッピングを備えている。トランスミッタコイルの第1の端部はこれらのタッピングのうちの1つに接続され、また、トランスミッタコイルの第2端部は、スイッチを介してこれらのタッピングのうちの別のタッピングに選択的に接続されている。この構造によれば、トランスミッタコイルは、より広い範囲で増幅器段に適合され得る。同調コンデンサと接続されたトランスミッタコイルは、同調され得る共振回路を形成している。トランスミッタコイルの第1の端部は、スイッチを介して、複数の同調コンデンサのうちの1つの一方の側に選択的に接続することができ、また、トランスミッタコイルの第2の端部は、二次巻線の複数の回を介して、同調コンデンサの他の側に直接接続されている。
【0010】
[0010]US4,138,654Aは、無線レシーバのプリセレクター回路の中の同調コンデンサを選択的に結合し、それにより同調を低速機械式サーボドライブシステムに置き換えるための継電器スイッチの使用を開示している。
【0011】
[0011]このような金属検出装置の問題は、システムを第1の同調状態から第2の同調状態に変化させるのにかなりの時間を要し、したがって運ばれた製品の汚染物質を検出している間、動作周波数を前後に変化させ、かつ、最適同調を維持することがほとんど不可能であることである。
【0012】
[0012]US20150234075A1は、コイルシステムにおける不平衡を補償し、また、振動および雑音の影響を抑制するための方法を開示している。金属検出装置は、フェライトによってもたらされる、雑音から発信される信号に似ている信号を抑制するように較正される。次に、フェライトから発信された信号を除去することにより、振動および雑音によってもたらされる信号が同じく自動的に抑制される。この方法によれば、コイルシステム内にフェライトが存在している状態で金属検出装置の出力信号が測定され、また、フェライトの抵抗性信号成分が除去されるよう、デジタル的に調整される。記載されている、不平衡を補償し、また、振動および雑音を抑制するための方法は大いに有効であるが、トランスミッタユニット自体によってもたらされる無作為攪乱は、依然として問題の原因になり得る。
【0013】
[0013]EP4033272A1は金属検出装置に関しており、金属検出装置は、トランスミッタコイル、第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルを含む平衡コイルシステムと、選択された動作周波数を有する入力信号によってエネルギーが供給される入力巻線、および複数のタッピングを含む出力巻線を含む結合変圧器であって、複数のタッピングの中から選択可能な個々の対のタッピングが、選択された対のタッピング同士の間を延在する出力巻線の巻きからなる関連する部分巻線を画定している、結合変圧器と、第1の複数の個別に選択可能な励起回路であって、複数の励起回路の各々が、複数の部分巻線のうちの関連する1つからトランスミッタコイルにエネルギーを供給するように構成され、かつ、関連する第1の制御信号に応答して関連する励起回路を開閉するように接続された関連する第1のスイッチングデバイスを含み、複数の第1のスイッチングデバイスの各々が半導体スイッチングデバイスである、第1の複数の個別に選択可能な励起回路と、第2の複数の個別に選択可能な同調コンデンサであって、複数の同調コンデンサの各々が、関連する第2の制御信号に応答して、トランスミッタコイルおよび関連する同調コンデンサを含む共振回路を開閉するように接続されたそれに関連する第2のスイッチングデバイスを有する、第2の複数の個別に選択可能な同調コンデンサとを備えている。
【0014】
[0014]複数の動作周波数に同調させることができるこの従来技術金属検出装置では、同調のために使用される第1のスイッチングデバイスおよび第2のスイッチングデバイスは、いずれも半導体スイッチングデバイスとして設計されている。本発明者は、本発明者の調査の文脈内で、この従来技術装置の同調可能性は、特定の動作周波数に対して、および/または観察される製品がコンベアシステム上で横切る金属検出装置の開口の特定の周囲に対して最適ではないことを認識した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
[0015]したがって本発明は、上で参照したタイプの金属検出装置の同調可能性を最適化する目的に基づいている。さらに、金属検出装置は、トランスミッタユニットによってもたらされる、電子補償システムでは取り扱いが困難である無作為攪乱を低減するか、または回避することができる方法で再設計することができなければならない。さらに、不平衡の原因になり得る熱損失を低減することができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[0016]この問題は、本発明によれば、複数の第2のスイッチングデバイスの各々が電気機械式継電器スイッチングデバイスである点で解決される。
【0017】
[0017]電気機械式継電器スイッチングデバイス、とりわけ、同調コンデンサを切り換えるサブミニアチュア大電流電気機械式継電器スイッチの使用は、上で説明した問題を克服する。これらの問題は、第2のスイッチングデバイスとして従来技術装置に使用されている半導体スイッチングデバイスのチャネル容量およびドレイン-ソース間オン抵抗によるものとされている。一方、半導体スイッチングデバイスである第1のスイッチングデバイスには、それらのドレイン-ソース電圧がより低いため、対応する問題は存在しない。
【0018】
[0018]電気機械式継電器スイッチングデバイスは、コンタクトが並列に接続された二重極として構成されることが好ましい。それにより振動感応性が低減される。
【0019】
[0019]別の好ましい実施形態では、部分巻線の数は励起回路の数より多く、また、励起回路と上記複数の部分巻線のうちの選択された部分巻線との間の個別の接続を確立するために、多方向タップセレクターがタッピングと励起回路の間に配置されている。タップセレクターにより、部分巻線の総数から、タッピングの総数に応じて利用することができる数の部分巻線を選択することができ、選択される部分巻線の数は利用可能な励起回路の数に対応する。そのようにすることにより、無矛盾の高検出器感度がすべての周波数モードで達成され得る。
【0020】
[0020]本発明によれば、2つ、3つまたはそれ以上であることが好ましい複数の個別に選択可能な励起回路が提供され、個々の励起回路は、選択されると、トランスミッタコイル、結合変圧器の出力巻線の複数の部分巻線のうちの1つ、第1の半導体スイッチングデバイスによって、また、第2のスイッチングデバイスによって互いに接続された複数の同調コンデンサのうちの1つを備え、これらは、複数の励起回路のうちの1つが必ず選択可能であるよう、チャネルセレクターによる制御が可能である。
【0021】
[0021]個別に選択可能な励起回路は、それらが互いに相互作用しないよう、並列に配置されている。したがって選択された励起回路は、他の選択可能励起回路の回路機構によって干渉されない。したがって選択された励起回路の正確な同調が残りの回路機構によって損なわれることはない。
【0022】
[0022]好ましい実施形態では、励起回路毎に、選択されると、結合変圧器の出力巻線の関連する部分巻線が関連する第1の半導体スイッチングデバイスによってトランスミッタコイルに直列または並列に接続される。トランスミッタコイルは、その複数のコイル端子のうちの1つを使用して、切換え可能に、または堅固に複数のタッピングのうちの1つと接続され、とりわけ変圧器出力巻線の端子タッピングと接続される。一般に、一対の選択された変圧器タッピング同士の間の変圧器出力巻線の巻きは「部分巻線」として定義されている。励起回路毎に、選択されると、関連する同調コンデンサが関連する第2のスイッチングデバイスによってトランスミッタコイルに直列または並列に接続されることが好ましい。部分巻線および同調コンデンサを直列または並列に接続することにより、異なる特性を有する励起回路が作り出され得る。
【0023】
[0023]励起回路毎に、選択されると、結合変圧器の出力巻線の関連する部分巻線および関連する同調コンデンサがそれぞれ関連する第1のスイッチングデバイスおよび第2のスイッチングデバイスによってトランスミッタコイルに並列に接続されることが最も好ましい。
【0024】
[0024]本発明による金属検出装置は動作周波数を切り換えることができるだけでなく、短い時間間隔で前後に切り換えられると、選択された動作周波数毎に最適同調を維持することができる。したがって本発明による金属検出装置は、事実上、測定プロセスが妨害さ
れることなく、短い時間間隔内で切り換え、かつ、同調することができる操作プログラムを備えることができる。したがって操作プログラムは、汚染物質を検出するための対象の測定が進行している間に動作周波数の変更が実施されるように設計され得る。動作周波数を変更することにより、様々な種類の汚染物質および製品から信号を検出することができる。最適同調を維持することにより、最も高い信号対雑音比で信号を測定することができる。
【0025】
[0025]少なくとも1つのMOS-FETを備えていることが好ましい半導体スイッチングデバイスは、概ね20nsの間隔の間で切り換えることができ、また、典型的には0.010オーム未満の小さいチャネル抵抗を有している。したがって電力継電器に遭遇した際の回路機構に対する望ましくない衝撃によるコンタクトの温暖化および対応する損失が回避される。さらに、適切な半導体スイッチングデバイスは、最大150Vまでの電圧を阻止し、また、最大10Aまで、またはそれ以上の電流をサポートすることができる。
【0026】
[0026]しかしながら電力継電器は高電圧発振に対してより頑丈であると考えられ、したがってこのような電力継電器はトランスミッタ回路の中に統合される。したがって本発明によるトランスミッタは、それに応じて設計されている。好ましい実施形態では、チャネルセレクターは、第1の半導体スイッチングデバイスのうちの1つ毎に、光起電性ドライバなどの少なくとも1つの隔離されたドライバを備え、ドライバの入力線および出力線は互いにガルバニック分離される。したがって制御回路機構は電力段から隔離される。
【0027】
[0027]第1の半導体スイッチングデバイスは双方向性MOS-FETユニットであることが好ましい。個々の双方向性MOS-FETユニットは、ソース端子、ドレイン端子およびゲート端子を個々に有する第1のMOS-FETおよび第2のMOS-FETを備えることが好ましい。2つの整合したMOS-FETは、一方では互いに接続され、また、他方では2つのダイオードの全く同じ第1の端子と接続されたソース端子を備えていることが好ましく、2つのダイオードは、それぞれ、それらの第2の端子を使用して第1のMOS-FETのドレイン端子または第2のMOS-FETのドレイン端子にそれぞれ接続される。
【0028】
[0028]直列に接続され、また、互いに逆方向に向いている2つのMOS-FETは、オン-オン、オン-オフ、オフ-オンおよびオフ-オフの4つの可能状態を有する。励起回路を起動するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイスの2つのMOS-FETの両方がスイッチオンされ、また、励起回路の起動を解除するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイスの2つのMOS-FETの両方がスイッチオフされる。スイッチオンされると、電流は回路を通って両方の方向に流れることができる。一方の方向では、電流は第1のMOS-FETおよび関連する第1のダイオードを通って流れ、また、もう一方の方向では、第2のMOS-FETおよび関連する第2のダイオードを通って流れる。スイッチオフされると、両方のFETがオフであると、2つのダイオードがいずれの方向に対しても電流の流れを阻止するため、電流はいずれの方向にも流れることができない。
【0029】
[0029]隔離されたドライバの出力線は、関連する選択可能励起回路の第1の半導体スイッチングデバイスの入力端子にそれぞれ接続される。制御電圧は相互接続されたゲート端子および典型的にはMOS-FETのソース端子に印加される。
【0030】
[0030]とりわけ好ましい実施形態では、隔離されたドライバの発光ダイオードは、制御抵抗と個々に、またはまとめて直列に接続される。したがって制御抵抗と直列に接続された1つまたは複数の発光ダイオードは、定電圧供給デバイス、好ましくは低ドロップアウト調整器の出力に接続される制御ループを形成する。この回路機構はさらなる利点を有し
、MOS-FETの温度を安定させることができる。隔離されたドライバの発光ダイオードおよび制御抵抗の両端間の電圧は固定される。温度が高くなると、それに比例して発光ダイオードの両端間の電圧が降下し、また、制御抵抗の両端間の電圧および制御抵抗を通る電流が増加する。発光ダイオードは、電流が大きくなるほど、隔離されたドライバに設けられている光感応ダイオードに向かってより多くの光を放出する。したがってMOS-FETに印加される制御電圧が高くなると、温度によって大きくなったMOS-FETのチャネル抵抗が再び小さくなる。したがって温度が変化している間、MOS-FETのチャネル抵抗が一定に維持される。
[0032]以下、図面を参照して本発明の詳細な態様および例が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による金属検出装置の好ましい実施形態の本質的な部分を示す図である。
図2図1の金属検出装置に使用されている多方向タップセレクターの動作原理を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0033]本発明による金属検出装置の好ましい実施形態は一般に、金属検出装置は、トランスミッタユニットと、トランスミッタコイルおよび第1のレシーバコイルおよび第2のレシーバコイルを有する平衡コイルシステムと、レシーバユニットと、制御ユニットであって、計算デバイスの中で実現された操作プログラム、デジタル信号プロセッサおよび入力デバイスならびに出力デバイスなどの信号処理デバイスを備えた制御ユニットとを備え、制御ユニットを使用して、金属検出装置および実現された測定および較正プロセスが、監視され、かつ、制御され、コンベア上で製品を平衡コイルシステムを通して移送することができる。
【0033】
[0034]トランスミッタユニットは、選択可能動作周波数を有する入力信号r0°を増幅器段の入力に提供する制御可能周波数発生器を備えており、増幅器段の出力は図1に示されている励起ユニット14に接続されている。励起ユニット14は、複数の同調コンデンサ144A、144B、144Cおよび結合変圧器143を備えており、結合変圧器143は、少なくとも1つの入力巻線、および巻線の両方の端部にタッピング143Tを有する少なくとも1つの出力巻線、およびそれらの端部の間に複数の中間タッピング143A、143B、143Cを有している。増幅器段の出力線は、結合変圧器143の一次巻線の適切なタッピングに対称的に接続されている。増幅器段の構成は、A級モードまたはB級モードなどの任意の適切なモードで動作するように設計され得る。この構成では、増幅器はB級モードで動作し、半分の波を複数のタッピングのうちの1つに印加し、他の半分の波を複数のタッピングのうちの他のタッピングに印加している。
【0034】
[0035]タッピング143Tはトランスミッタコイル21の第1の端子211に接続され、また、トランスミッタコイル21の第2の端子212は、タッピング143A、143B、143Cのうちの1つに接続することができる。タッピング143A、143B、143C、143Tの任意の選択された対同士の間を延在している結合変圧器143の出力巻線の巻きは「部分巻線」として定義される。
【0035】
[0036]金属検出装置が動作している間、励起信号は平衡コイルシステムのトランスミッタコイル21に印加される。さらに、トランスミッタユニットは、同相基準信号r0°および直交基準信号r90°をレシーバユニットに提供する。励起信号は、全く同じレシーバコイル(図1には示されていない)に信号を誘導し、この信号は、システムが平衡している限り、すなわち製品、詳細には金属で汚染された製品がコイルシステムを横切っていない限り、極性が逆で、かつ、同じ大きさの信号である。製品、詳細には導電性対象で汚
染された製品がコイルシステムを横切っている場合、全く同じレシーバコイルに誘導される信号の大きさが変化することになり、また、逆に分極した信号は、もはや互いに補償しないことになる。したがってレシーバコイルに誘導された信号は、振幅および周波数が導電性対象の特性、寸法および移動速度に依存するベースバンド信号で変調される。
【0036】
[0037]レシーバコイルの出力信号は、例えば、レシーバコイルの鏡映である中央タップ一次巻線、および互いに反対側のテールが増幅器に接続されている、2つの全く同じ中央タップ二次巻線を有する平衡変圧器を備えた整合ユニットに印加される。増幅器の出力は復調ユニットに接続されており、復調ユニットは、その出力部分に復調レシーバ信号の同相成分および直交成分、すなわち運ばれた製品から発信されるベースバンド信号の同相成分および直交成分を提供している。復調ユニットの出力部分に提供されるベースバンド信号の同相成分および直交成分は、アナログ-デジタル変換器でアナログ形態からデジタル形態に変換される。アナログ-デジタル変換器の出力信号は、制御ユニットに提供されている、知られているデジタル信号プロセッサなどの信号処理ユニットに転送される。信号処理ユニットは、製品から発信される信号成分を抑制し、汚染物質から発信される信号成分を処理する。レシーバユニットは、フィルターユニットおよび利得調整ユニットをさらに備えることができる。
【0037】
[0038]測定プロセスは、制御ユニットに提供されている操作プログラムによって制御される。こうして、計画された測定プロセスに従って動作周波数が選択され、選択された動作周波数に従って励起ユニット14が構成される。
【0038】
[0039]励起ユニット14は、複数の励起回路14A;14B;14Cのうちの1つを必ず選択することができるよう、チャネルセレクター140によって制御することができる第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cおよび第2のスイッチングデバイス142A、142B、142Cを備えている。制御ユニットからコマンドを受け取るチャネルセレクター140は、励起回路14A;14B;14Cのうちの1つのみの第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cおよび第2のスイッチングデバイス142A、142B、142Cが起動されるように設計されている。例えば最も上の励起回路14Aは、第1の半導体スイッチングデバイス141Aおよび第2のスイッチングデバイス142Aを作動させることによって起動され、一方、残りの第1の半導体スイッチングデバイス141B、141Cおよび第2のスイッチングデバイス142B、142Cはスイッチオフされる。第2の励起回路14Bの第1の半導体スイッチングデバイス141Bおよび第2のスイッチングデバイス142Bが起動されると、第1の半導体スイッチングデバイス141A、141Cおよび第2のスイッチングデバイス142A、142Cはスイッチオフされる。第3の励起回路14Cの第1の半導体スイッチングデバイス141Cおよび第2のスイッチングデバイス142Cが起動されると、第1の半導体スイッチングデバイス141A、141Bおよび第2のスイッチングデバイス142A、142Bがスイッチオフされる。したがって示されている実施形態における金属検出装置は3つの励起回路14A;14B;14Cを備えており、これらの3つの励起回路は、それぞれ一対の第1のスイッチングデバイスおよび第2のスイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cを備えている。他の実施形態では、金属検出装置は、3つの励起回路14A、14B、14Cの代わりに、2つ、4つまたはそれ以上の励起回路14A、14B、14C、…を備えることができる。
【0039】
[0040]複数の励起回路14A、14B、14Cの個々の励起回路は、選択されると、トランスミッタコイル21、同調コンデンサ144A、144B、144Cのうちの1つ、および結合変圧器143の出力巻線の複数の部分巻線のうちの1つを備える。この実施形態では、関連する同調コンデンサ144A;144Bまたは144C、および結合変圧器143の出力巻線の部分巻線は、関連する対の第1のスイッチングデバイスおよび第2の
スイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cが起動されると、トランスミッタコイル21に並列に接続される。
【0040】
[0041]トランスミッタコイル21の第1のコイル端子211は、結合変圧器143の出力巻線のタッピング143Tおよび同調コンデンサ144A、144B、144Cの第1の端子に固定して接続されている。トランスミッタコイル21の第2のコイル端子212は、第1のスイッチングデバイスおよび第2のスイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cの個々の対の共通の第1の端子に固定して接続されている。トランスミッタコイル21の第2の端子212は、第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cによって変圧器タッピング143A、143B、143Cのうちの1つに接続することができる。したがって選択されたタッピング143A、143B、143Cと端子タッピング143Tの間の結合変圧器143の出力巻線の部分巻線は、トランスミッタコイル21に並列に接続することができる。トランスミッタコイル21の第2の端子212は、第2のスイッチングデバイス142A、142B、142Cによって同調コンデンサ144A、144B、144Cの第2の端子に接続することができる。したがって同調コンデンサ144A、144B、144Cは、トランスミッタコイル21に並列に接続することができる。しかしながらチャネルセレクター140は、第1のスイッチングデバイスおよび第2のスイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cのうちの一対のみが一度に起動されるように設計されていることが好ましい。平衡コイルシステムを制御ユニットによって選択された動作周波数に同調させるために、制御ユニットからチャネルセレクター140に印加される制御信号を使用して、励起回路14A、14B、14Cのうちの1つを選択することができる。
【0041】
[0042]したがって制御ユニットの制御信号を使用して選択された動作周波数の個々の変化を使用して、関連する励起回路14A、14Bまたは14Cが自動的に選択されることが同じく好ましい。したがって動作周波数の変化だけでなく、第1のスイッチングデバイスおよび第2のスイッチングデバイス141A、142A;141B、142B;141C、142Cの切換え速度に応じて、最短可能時間内で平衡コイルシステムの同調が同じく実施され得る。したがって測定プロセスの間、平衡コイルシステムの動作周波数および同調を短い時間間隔で前後に変化させることが可能である。
【0042】
[0043]励起回路14A、14B、14Cは個別に選択され、また、選択が解除され、したがって選択された励起回路14A、14Bまたは14Cが選択解除された励起回路14A、14Bまたは14Cの要素によって損なわれることはない。励起回路14A、14B、14Cは、事実上、並列に配置され、また、トランスミッタコイル21および結合変圧器143のその出力巻線の一部のみを共通に有する。この設計によれば、起動が解除された励起回路14A、14B;14A、14C;14B、14Cの要素による起動された励起回路14Aまたは14Bあるいは14Cの干渉を高い信頼性で抑制することが可能である。
【0043】
[0044]第1のスイッチングデバイス141A、141B、141CはMOS-FET回路であることが好ましく、これらは、チャネルセレクター140と共に、以下でさらに詳細に説明される。
【0044】
[0045]チャネルセレクター140は、図1の下側に概略的に示されている。励起ユニット14を備えたチャネルセレクター140は、選択可能励起回路14A、14B、14Cのうちの1つ毎に全く同じチャネルセレクターモジュールを備えている。第1の半導体スイッチングデバイス141Aは、双方向性MOS-FETユニットの形態で提供されることが好ましい。個々の双方向性MOS-FETユニット141A、141B、141Cは
、第1のMOS-FET T1および第2のMOS-FET T2を備えており、それぞれソース端子S、ドレイン端子Dおよびゲート端子Gを有している。MOS-FET T1およびT2のソース端子Sは、一方では互いに接続され、また、他方では第1のダイオードおよび第2のダイオード(図1には示されていない)の全く同じ第1の端子、すなわちアノードと接続されており、これらのダイオードは、それぞれそれらの第2の端子、すなわちカソードを使用して第1のMOS-FET T1または第2のMOS-FET T2のドレイン端子Dにそれぞれ接続されている。直列に接続され、また、互いに逆方向に向いている2つのMOS-FET T1およびT2は、オン-オン、オン-オフ、オフ-オンおよびオフ-オフの4つの可能状態を有しているが、必ず対でスイッチオンおよびスイッチオフされる。第1の励起回路14Aを起動するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141CのMOS-FET T1およびT2の両方がスイッチオンされ、また、第1の励起回路14Aの起動を解除するために、関連する第1の半導体スイッチングデバイス141A、141B、141Cの関連する2つのMOS-FET T1およびT2の両方がスイッチオフされる。スイッチオンされると、電流はMOS-FET回路を通って両方の方向に流れることができる。一方の方向では、電流は、例えば第1のMOS-FET T1を通って、また、関連する第1のダイオードを通って流れ、もう一方の方向では、第2のMOS-FET T2および関連する第2のダイオードを通って流れる。スイッチオフされると、両方のMOS-FET T1およびT2がオフであると、陰極が互いに逆方向に向いている2つのダイオードがいずれの方向に対しても電流の流れを阻止するため、電流はいずれの方向にも流れることができない。2つのMOS-FET T1およびT2、ならびに2つのダイオードは、典型的には10Aの範囲、またはそれより大きい必要な電流が両方の方向に流れることができるよう、互いに整合される。
【0045】
[0046]チャネルセレクターモジュール毎に、例えばモジュール140Aは、第1の半導体スイッチングデバイス141Aに対して、隔離されたドライバを備えており、これらのドライバを使用して、チャネルセレクター140の制御線が半導体スイッチングデバイス141Aの制御入力からガルバニック隔離される。隔離されたドライバは、発光ダイオードおよび光感応ダイオードを備え、また、好ましくは、ターンオフ時間を短くすることによって総合切換え速度を速くするために使用される内部または外部ターンオフ回路をそれぞれ備えた光学隔離MOS-FETドライバであることが好ましい。その内部回路機構を駆動するために必要な電流は、隔離障壁の低電圧一次側、すなわち隔離されたドライバの入力線のLED電流から引き出されることが好ましい。隔離されたドライバの隔離障壁の二次側に設けられている出力線は、関連する半導体スイッチングデバイス141Aの入力端子G、Sに接続されている。さらに、関連する第2のスイッチングデバイス142A、142B、142Cのオン状態とオフ状態の間を切り換えるための個別の制御信号がこれらのデバイスの各々の制御入力端子Cに印加されている。
【0046】
[0047]第1の入力端子Gは、2つのMOS-FET T1およびT2のゲート端子に接続されている。第2の入力端子Sは、2つのMOS-FET T1およびT2のソース端子に接続されている。したがって個々の半導体スイッチングデバイス141AのMOS-FET T1およびT2は、いずれも同時にスイッチオンおよびスイッチオフされる。
【0047】
[0048]隔離されたドライバの発光ダイオードは、制御抵抗とさらに直列に接続されており、したがって定電圧供給デバイスの出力に接続される制御ループを形成している。この回路機構によれば、半導体スイッチングデバイス141A、141B、141CのMOS-FET T1およびT2の温度を安定させることができる。隔離されたドライバの発光ダイオードおよび制御抵抗の両端間の電圧は、定電圧供給デバイスによって固定されている。温度が高くなると、それに応じて発光ダイオードの両端間の電圧が降下し、また、制御抵抗の両端間の電圧および制御抵抗を通る電流が増加する。発光ダイオードは、電流が
大きくなるほど、隔離されたドライバに設けられている光感応ダイオードに向かってより多くの光を放出する。したがって半導体スイッチングデバイス141A、141B、141CのMOS-FET T1およびT2に印加される制御電圧がそれに応じて高くなると、温度によって大きくなったMOS-FET T1およびT2のチャネル抵抗が再び小さくなる。したがって温度が変化している間、MOS-FET T1およびT2のチャネル抵抗が一定に維持される。したがって温度が変化しても、流入する電流および起動されている励起回路14A、14B、14Cは影響されない。スイッチオンされる際のMOS-FET T1およびT2のチャネル抵抗が極端に小さいため、金属検出装置のこの回路機構の温度損失および悪影響が小さく、したがって修正要求事項を低減する。
【0048】
[0049]定電圧供給デバイスは、供給電圧VCCのための入力、および信号処理デバイスからの制御信号が印加される制御入力ENを有しており、制御信号は、例えば供給電圧VCCの電位と接地電位の間で変化する。接地電位が印加されると、電流は、制御ループを通って、制御入力ENに印加された接地または接地電位へ流れることができる。定電圧供給デバイスによって制御ループに印加される電圧は一定に維持される。
【0049】
[0050]定電圧供給デバイスは、供給電圧VCCが制御ループに供給される出力電圧に極めて近い場合であっても、この出力電圧を調整することができる低ドロップアウト調整器であることが好ましい。
【0050】
[0051]結合変圧器143の出力巻線のタッピングの数に応じて、利用可能な部分巻線の数を励起回路の数、例えば図1の3つの励起回路14A、14Bおよび14Cよりも多くすることができる。この事例では、図1に記号で示されているように、利用可能な励起回路14A、14B、14Cと利用可能な部分巻線の対応する選択との間の接続を選択的に確立するために、タッピング143A、143B、143C…の間に多方向タップセレクター150が配置され得る。それにより多方向タップセレクターを使用して、部分巻線の可変選択から励起回路144A、144B、144Cに供給され得る。これは、結合変圧器143の出力巻線のタッピングの対応するサブセットに選択的に結合するための3つのタップセレクターリンクA、B、Cを有する三方向タップセレクターを示す図2に概略的に示されている。図1および図2に示されている指示「TH」、「TM」および「TL」は、選択された励起回路14A、14B、14Cがそれぞれ高周波数、中間周波数および低周波数に同調されることを示している。
【符号の説明】
【0051】
14 励起ユニット
14A、14B、14C 選択可能励起回路
140 チャネルセレクター
140A 励起回路14Aのためのチャネルセレクターモジュール
141A、141B、141C 第1の半導体スイッチングデバイス
142A、142B、142C 第2のスイッチングデバイス
143 結合変圧器
143A、143B、143C 出力巻線の変圧器タッピング
143T 出力巻線の端子タッピング
144A、144B、144C 同調コンデンサ
21 トランスミッタコイル
211、212 トランスミッタコイルの端子
T1、T2 半導体スイッチングデバイスのMOS-FET
150 多方向タップセレクター
D ドレイン端子
S ソース端子
G ゲート端子
C 制御入力端子
図1
図2
【外国語明細書】