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特開2024-35832シュウ酸沈殿法により有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法
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  • 特開-シュウ酸沈殿法により有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法 図1
  • 特開-シュウ酸沈殿法により有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035832
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】シュウ酸沈殿法により有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/46 20060101AFI20240307BHJP
   C22B 60/02 20060101ALI20240307BHJP
   C22B 3/26 20060101ALI20240307BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20240307BHJP
   C01G 43/00 20060101ALI20240307BHJP
   C01F 15/00 20060101ALI20240307BHJP
   C01G 56/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G21C19/46 624
C22B60/02
C22B3/26
C22B3/44 101Z
C01G43/00 E
C01F15/00
C01G56/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142237
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】2208845
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】515011944
【氏名又は名称】ウニヴェルシテ・ドゥ・モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】523335368
【氏名又は名称】エコール・ナショナル・シュペリウール・ドゥ・シミ・ドゥ・モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ミュリエル・ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・ブルジョワ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリー・デュラン
【テーマコード(参考)】
4G048
4G076
4K001
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AA08
4G048AB02
4G048AB08
4G048AD03
4G048AE02
4G048AE07
4G048AE08
4G076AA15
4G076AB07
4G076AB11
4G076AB28
4G076BA13
4G076BB08
4G076BC02
4G076BE11
4G076CA02
4G076DA30
4K001AA32
4K001AA33
4K001BA19
4K001BA24
4K001DB22
4K001DB26
4K001DB34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法を提供すること。
【解決手段】硝酸U(VI)濃度が硝酸An(IV)濃度よりも高く、かつ硝酸U(VI)及び硝酸An(IV)濃度の合計が、≧55g/Lとなるような濃度で、U(VI)及びAn(IV)が硝酸U(VI)及び硝酸An(IV)として存在し、有機希釈剤中にトリ-n-ブチルホスフェートを含む、有機溶液からU(VI)及びAn(IV)をストリッピングする方法である。また、使用済核燃料の硝酸への溶解から生じる水性溶液を処理する方法であって、ストリッピング法が実施される、方法とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸ウラン(VI)濃度が硝酸アクチニド(IV)濃度よりも高く、かつ硝酸ウラン(VI)濃度及び硝酸アクチニド(IV)濃度の合計が、55g/L以上となるような濃度で、ウラン(VI)及びアクチニド(IV)が硝酸ウラン(VI)及び硝酸アクチニド(IV)として存在し、有機希釈剤中にトリ-n-ブチルホスフェートを含む、有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法であって、
- 有機溶液と、2mol/Lから6mol/Lの硝酸及び18g/L以上の濃度のシュウ酸を含む水性溶液との間の少なくとも1回の接触であり、有機溶液/水性溶液の体積比が1以上であり、水性溶液中のシュウ酸の濃度及び有機溶液/水性溶液の体積比が、ウラン(VI)及びアクチニド(IV)の完全な沈殿の化学量論的条件に関してシュウ酸が不足するように選択され、それによって、0.5から5の間のU(VI)/アクチニド(IV)の質量比で、シュウ酸塩形態のアクチニド(IV)及びシュウ酸塩形態のウラン(VI)の画分を含む沈殿物が得られる、接触と、次いで
- 有機溶液及び水性溶液からの沈殿物の分離と
を含む方法。
【請求項2】
有機溶液が、25%から35%(v/v)のトリ-n-ブチルホスフェートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機溶液が、30%(v/v)のトリ-n-ブチルホスフェートを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水性溶液中のシュウ酸の濃度が、20g/L以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水性溶液中のシュウ酸の濃度が、22g/L以上である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
有機溶液/水性溶液の体積比が、1.5以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
硝酸を含む水性溶液で沈殿物を1回又は複数回洗浄する工程を更に含み、各洗浄に続いて水性溶液からの沈殿物の分離が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
有機希釈剤を含む有機溶液で沈殿物を1回又は複数回洗浄する工程を更に含み、各洗浄に続いて洗浄有機溶液からの沈殿物の分離が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アクチニド(IV)が、プルトニウム(IV)又はトリウム(IV)である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アクチニド(IV)が、プルトニウム(IV)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
使用済核燃料の硝酸への溶解から生じる水性溶液を処理する方法であって、水性溶液が、少なくともウラン(VI)及びアクチニド(IV)を含み、この方法が少なくとも、
a)水性溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)を共抽出する工程であり、水性溶液と、有機希釈剤中にトリ-n-ブチルホスフェートを含む有機溶液との間の少なくとも1回の接触と、次いで有機溶液からの水性溶液の分離とを含む、工程と、
b)工程a)で生じた有機溶液からアクチニド(IV)及びウラン(VI)の画分をストリッピングする工程であり、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法の実施を含む、工程と、
c)工程b)で生じた有機溶液から、工程b)でストリッピングされなかったウラン(VI)をストリッピングする工程であり、工程b)で生じた有機溶液と、0.005mol/Lから0.05mol/Lの硝酸を含む水性溶液との間の少なくとも1回の接触と、次いで水性溶液からの有機溶液の分離とを含む、工程と
を含む方法。
【請求項12】
工程a)及びb)の間に、工程a)で生じた有機溶液を洗浄する工程であり、工程a)で生じた有機溶液と、0.5mol/Lから6mol/Lの硝酸を含む水性溶液との間の少なくとも1回の接触と、次いで水性溶液からの有機溶液の分離とを含む、工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
洗浄水性溶液が、4mol/Lから6mol/Lの硝酸を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程a)で再利用するための、工程c)で生じた有機溶液の再生を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
工程b)で生じた沈殿物の、ウラン(VI)及びアクチニド(IV)の混合酸化物への変換を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
アクチニド(IV)が、プルトニウム(IV)である、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済核燃料の処理の分野に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、シュウ酸沈殿法によって、制御されたU(VI)/アクチニド(IV)比で、ウラン(VI)及びアクチニド(IV)を含む有機溶液から、ウラン(VI)の画分と合わせてアクチニド(IV)のすべて又はほぼすべてをストリッピングする方法に関する。
【0003】
また、本発明は、使用済核燃料を硝酸に溶解することから生じる水性溶液を処理する方法であって、ストリッピング法が実施される、方法に関する。
【背景技術】
【0004】
現時点では、フランスの原子力発電施設(electronuclear installation)での原子炉の運転は、同位体235が豊富な天然酸化ウランで構成される燃料、及び場合によってはMOX燃料(「Mixed OXide燃料」から)と呼ばれるウラン及びプルトニウムの混合酸化物で構成される燃料の使用に基づいている。
【0005】
MOX燃料により、使用済核燃料の処理から発生するプルトニウムをリサイクルすることが可能となる。
【0006】
使用済核燃料は、現在、PUREX法によって処理されており、この方法は概略的に、
- 燃料に含まれる元素(ウラン、プルトニウム、マイナーアクチニド、核分裂生成物、腐食生成物)を溶液に浸出させるように、燃料を硝酸に溶解する工程と、
- 液液抽出により、再処理可能な元素、すなわちウラン(VI)及びプルトニウム(IV)を、この場合には最終廃棄物を構成することが意図されている他の元素から分離する工程と、
- ウラン(VI)及びプルトニウム(IV)を、一方がウランのみを含み、もう一方がプルトニウムのみを含む2つの水性流に分配する工程と、
- ウラン(VI)及びプルトニウム(IV)を分配した後、やはり液液抽出によってそれらを別々に精製する工程と、
- 精製されたプルトニウム(IV)をシュウ酸沈殿法によって酸化プルトニウム粉末、PuOに変換し、続いてこのようにして得られた沈殿物を焼成する工程と
からなる。
【0007】
MOX燃料の製造には、MIMAX法が使用され、この方法は概略的に、
- それぞれ酸化ウラン、UO、及びPuOの2種の粉末の微粉化された均質な混合物を得るように、これらの粉末をともに粉砕する工程と、
- 混合物のプルトニウム含有量を燃料に必要な含有量に調整するように、このようにして得られた混合物をふるいにかけ、次いでUO粉末で希釈する工程と、
- 混合物をペレットの形態にプレスし、ペレットを高温で焼結する工程と、
- ペレットの寸法を規格に合わせて調整するように、それらを修正する工程と
から構成される。
【0008】
PUREX法及びMIMAS法のすべての操作は、2008年に発行されたフランス原子力庁(CEA)の原子力局(Nuclear Energy Directorate)の研究論文「Treatment and recycling of spent nuclear fuel - Actinide partitioning - Application to waste management」(Editions Le Moniteur、ISBN 978-2-281-11377-8)、以下参考文献[1]に詳細に記載されている。
【0009】
COEX(商標)法と呼ばれるPUREX法の重要な発展は、国際特許出願PCT WO-A-2007/135178(以下、参考文献[2])に提示されている。
【0010】
これは、PUREX法で得られるのと同等のウラン及びプルトニウムの回収及び精製を確実にすると同時に、COEX(商標)法はPUREX法と同様の溶解及び分離工程の後、ウラン(VI)の分配及びプルトニウム(IV)の分配を実施して、ウラン及びプルトニウムの混合物を含む第1の水性流、並びにウランのみを含む第2の水性流を得ることが可能とするためである。第1の水性流のウラン及びプルトニウムが液液抽出によって精製されると、この流は、ウラン及びプルトニウムのシュウ酸共沈、並びに得られた沈殿物の焼成によって、MOX燃料の製造に直接使用することができる混合酸化物(U,Pu)Oの粉末を調製することがその役割である、いわゆる「共変換」作業場(workshop)を供給する。
【0011】
PUREX法でもCOEX(商標)法でも、シュウ酸(共)沈は水性溶液中で実施され、COEX(商標)法の場合、ウラン(VI)及びプルトニウム(IV)がそれぞれIV酸化状態及びIII酸化状態に事前に還元される。
【0012】
使用済核燃料を処理-リサイクルする新しい工場の開発を視野に入れ、燃料の硝酸への溶解と、MOX燃料の製造に直接使用できる混合酸化物(U,Pu)Oの粉末の取得との間に実施しなければならない操作の回数を、最適に削減する方法を有することが望まれるであろう。
【0013】
有機溶液を、沈殿剤を含む水性溶液と接触させることによって、金属元素を沈殿させながら有機溶液からこれらの元素をストリッピングすることが公知である。この種類のストリッピングは、「沈殿によるストリッピング」又は「沈殿ストリッピング(precipitating stripping)」(若しくは「沈殿ストリッピング(precipitation-stripping)」)と呼ばれる。
【0014】
特に、プルトニウム(IV)を単独で、又はウラン(VI)若しくはアメリシウム(III)と混合して、シュウ酸沈殿法により有機溶液からストリッピングすることが公知である。
【0015】
このように、英国特許GB B-834,531(以下参考文献[3])に1つの方法が記載されており、この方法は、灯油中に20%(v/v)トリ-n-ブチルホスフェート(又はTBP、PUREX法及びCOEX(商標)法で使用される抽出剤である)を含み、プルトニウム(IV)を2g/Lの程度まで事前に添加した有機相を、有機/水性相(又はO/A)体積比4で、硝酸1.5mol/Lから3mol/L及びシュウ酸0.25mol/Lを含む水性相と接触させることから構成される。30分間撹拌した後、シュウ酸プルトニウムを含む水性相を取り除き、ろ過を行い、このシュウ酸塩を回収する。並行して、有機相をO/A比4で水を用いて洗浄し、前記相に溶解しやすい、又は懸濁しているシュウ酸プルトニウムをこの相から除去し、ろ過後、先に回収したシュウ酸プルトニウムと組み合わせる。この参考文献の著者によると、プルトニウム(IV)は、99.4%で沈殿する。
【0016】
より最近では、欧州特許出願EP-A-0251399(以下参考文献[4])において、n-ドデカン中にTBPを15%、20%又は30%(v/v)含む有機相からシュウ酸沈殿法によってプルトニウム(IV)を回収する方法が記載されており、プルトニウムは単独で、又はウラン(VI)若しくはアメリシウム(III)と合わせて存在する。この方法では、まず有機相を希釈してプルトニウム濃度を10g/L未満にし、有機相がウランも含む場合はプルトニウム及びウランの総濃度を45g/L未満にし、次いで有機相を、硝酸1mol/L及びシュウ酸0.5mol/Lを含む水性溶液に接触させる。この参考文献の著者によると、シュウ酸塩形態のプルトニウム(IV)の沈殿は、定量的又はほぼ定量的であろうということである。ウランが有機相中に存在する場合、大量の又は少量のシュウ酸ウランも沈殿物中に見出される。
【0017】
偶然、本発明者らの研究の文脈において、本発明者らは、プルトニウムの効果的な沈殿を得ることを望むならば、有機相を事前に希釈してプルトニウム及びウランの総含有量を45g/L未満にする必要性を強調する参考文献[4]の教示に反して、アクチニド(IV)及びウラン(VI)の総含有量が45g/Lを超える有機相にアクチニド(IV)及びウランが存在する場合、水性溶液中の硝酸及びシュウ酸の濃度が適切に選択されている限り、この有機相の希釈を事前に進めることなく、ウランの選択された画分とともに、プルトニウム又はトリウム等のアクチニド(IV)を非常に満足に沈殿させることが、完全に可能であることを発見した。
【0018】
本発明者らはまた、水性溶液中の硝酸及びシュウ酸の濃度が好適に選択されない場合、ウラン、シュウ酸塩及びTBPからなる不純物が沈殿物中に形成され、これにより、MOX燃料を製造することを目的とした混合酸化物(U,Pu)Oを調製するためのこの沈殿物の使用が阻止されることを発見した。このことは、参考文献[4]にはまったく言及されていない。
【0019】
本発明者らは更に、硝酸及びシュウ酸の濃度を好適に選択することにより、完全に制御されたU(VI)/Pu(IV)質量比で、ウラン(VI)の画分と合わせて、アクチニド(IV)のすべて又はほとんどすべての沈殿を得ることが可能であることを発見したが、このことはやはり、参考文献[4]にはまったく言及されていない。
【0020】
そして、これらの実験的知見に本発明は基づいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際特許出願PCT WO-A-2007/135178
【特許文献2】英国特許GB B-834,531
【特許文献3】欧州特許出願EP-A-0251399
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】「Treatment and recycling of spent nuclear fuel - Actinide partitioning - Application to waste management」、2008、Editions Le Moniteur、ISBN 978-2-281-11377-8
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明の目的は、有機溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)をストリッピングする方法であって、この有機溶液中に、硝酸ウラン(VI)の濃度が硝酸アクチニド(IV)の濃度よりも高く、硝酸ウラン(VI)及び硝酸アクチニド(IV)の濃度の合計が、55g/L以上となるような濃度で、ウラン(VI)及びアクチニド(IV)が硝酸塩の形態で存在し、この有機溶液は有機希釈剤中にTBPを含み、前記方法が、
- 有機溶液と、2mol/Lから6mol/Lの硝酸及び18g/L以上の濃度のシュウ酸を含む水性溶液との間の少なくとも1回の接触であり、O/A比が1以上であり、水性溶液中のシュウ酸の濃度及びO/A比が、ウラン(VI)及びアクチニド(IV)の完全な沈殿の化学量論的条件に関してシュウ酸が不足するように選択され、それによって、0.5から5の間のU(VI)/アクチニド(IV)の質量比で、シュウ酸塩形態のアクチニド(IV)及びシュウ酸塩形態のウラン(VI)の画分を含む沈殿物が得られる接触と、次いで
- 有機溶液及び水性溶液からの沈殿物の分離と
を含む方法である。
【0024】
上記及び下記において、「水性溶液」及び「水性相」という用語は、「有機溶液」及び「有機相」という用語と同様に、同等かつ交換可能である。
【0025】
更に、「有機希釈剤」は、TBPを溶解するためにその使用が提案されている、任意の非極性炭化水素又は非極性脂肪族炭化水素及び/若しくは芳香族炭化水素の混合物を意味する。このような希釈剤の例として、特に、n-ドデカン、水素化テトラプロピレン(又はTPH)、灯油並びに照会名Isane(商標)IP-185及びIsane(商標)IP-175でTotalEnergies社によって販売されているもの等のイソパラフィン系希釈剤に言及することができる。
【0026】
本発明によれば、有機溶液中の硝酸ウラン(VI)及び硝酸アクチニド(IV)の濃度の合計は、好ましくは70g/L以上である。
【0027】
更に、この有機溶液は、好ましくは25%から35%(v/v)、より優先的には30%(v/v)のトリ-n-ブチルホスフェートを含む。
【0028】
水性溶液は、その一部については、好ましくは20g/L以上、更により良くは、22g/L以上のシュウ酸濃度を有する。
【0029】
また、O/A比に関しては、好ましくは1.5以上である。
【0030】
本発明によれば、シュウ酸塩形態のアクチニド(IV)及びシュウ酸塩形態のウラン(VI)の画分を含む沈殿物は、1から3の間、好ましくは1に等しいU(VI)/アクチニド(IV)質量比を有することが好ましい。
【0031】
これを行うために、水性溶液は、優先的には、アクチニド(IV)のモル濃度よりも5倍から10倍高いシュウ酸モル濃度を有するが、これは、所与のU(VI)/アクチニド(IV)質量比を有する沈殿物を得ようとする当業者が、他の操作パラメータ(特に硝酸濃度)に応じて、この質量比を達成するために使用しなければならないシュウ酸モル濃度を完全に調整することができるであろうという理解に基づく。
【0032】
本発明によれば、有機溶液及び水性溶液からの沈殿物の分離は、ろ過によって単一工程で実施することができる。非限定的な例として、ろ過は、ドラムフィルターを使用して連続的に、又はフィルタープレスを使用して非連続的に行うことができる。回収されたろ液は、残留水性相及び有機相の混合物からなり、これらは、液液抽出による分離のための方法で使用される従来の技術に従って、独立して分離及び処理できる。
【0033】
有利には、この方法は、沈殿物が有機溶液及び水性溶液から分離されると、硝酸を含む水性溶液又は希釈剤を含む有機溶液のいずれかで実施されるこの沈殿物を1回又は複数回洗浄することを更に含み、各洗浄に続いて、洗浄水性溶液又は有機溶液からのこの沈殿物の分離が行われる。好ましくは、1回の洗浄が、硝酸の水性溶液を用いて実施される。
【0034】
アクチニド(IV)は、プルトニウム(IV)でもトリウム(IV)でもよく、プルトニウム(IV)が好ましい。
【0035】
ここで説明してきたストリッピング法は、75質量%~95質量%のウラン(VI)及び5質量%~25質量%のアクチニド(IV)、特にプルトニウム(IV)で構成される混合物を含む有機溶液を処理することを特に関心領域とする。
【0036】
有利には、この方法は、使用済核燃料の硝酸への溶解から生じる水性溶液の処理を簡略化するために使用することができる。
【0037】
したがって、本発明の他の目的は、使用済核燃料の硝酸への溶解から生じる水性溶液を処理する方法であって、水性溶液が、少なくともウラン(VI)及びアクチニド(IV)を含み、この方法は少なくとも、
a)水性溶液からウラン(VI)及びアクチニド(IV)を共抽出する工程であり、水性溶液と、有機希釈剤中にトリ-n-ブチルホスフェートを含む有機溶液との間の少なくとも1回の接触と、次いで有機溶液からの水性溶液の分離とを含む工程と、
b)工程a)で生じた有機溶液のアクチニド(IV)及びウラン(VI)の画分をストリッピングする工程であり、前述のストリッピング法の実施を含む工程と、
c)有機溶液から工程b)でストリッピングされなかったウラン(VI)を有機溶液からストリッピングする工程であり、工程b)で生じた有機溶液と、0.005mol/Lから0.05mol/Lの硝酸を含む水性溶液との間の少なくとも1回の接触と、次いで水性溶液からの有機溶液の分離とを含む工程と
を含む方法である。
【0038】
この処理方法はまた、工程a)及びb)の間に、工程a)で生じた有機溶液を洗浄する工程を含み、この洗浄する工程は、工程a)で生じた有機溶液と、0.5mol/Lから6mol/L、好ましくは4mol/Lから6mol/Lの硝酸を含む水性溶液との間の少なくとも1回の接触と、次いで水性溶液からの有機溶液の分離とを含む。
【0039】
同様に、この処理方法は、工程a)で再利用することを視野に入れ、工程c)で生じた有機溶液の再生を含んでもよく、この再生は、好ましくは、工程c)で生じた有機溶液を塩基性水性溶液で少なくとも1回洗浄する工程と、続いて有機溶液を硝酸の水性溶液で少なくとも1回洗浄する工程とを含む。
【0040】
更に、工程b)で生じた沈殿物のウラン(VI)及びアクチニド(IV)の混合酸化物への変換も含んでもよく、この変換は、好ましくは、酸化雰囲気、典型的には空気の下で600℃から800℃の範囲の温度で沈殿物を焼成することを含む。
【0041】
上記の処理方法の文脈では、アクチニド(IV)は、プルトニウム(IV)でもトリウム(IV)でもよく、好ましくはプルトニウム(IV)であり得る。
【0042】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照する、以下の追加の説明から明らかになるであろう。
【0043】
ただし、この追加の説明は、本発明の目的を説明することのみを目的として提供され、その限定を構成すると解釈されてはならないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】シュウ酸0.20mol/L及び硝酸0mol/L~2mol/Lを含む水性溶液を用いて、n-ドデカン中の1mol/LのTBPを含む有機溶液から、ウラン(VI)をストリッピングすることによって得られた固体の粉末X線回折図である。参考までに、この図はまた、シュウ酸ウラニル三水和物、UO(C.3HOの粉末X線回折図を示す。
図2】シュウ酸0.24mol/L及び硝酸2mol/Lを含む水性溶液を用いて、n-ドデカン中の1mol/LのTBPを含む有機溶液から、ウラン(VI)及びトリウム(IV)をストリッピングすることによって得られた固体の、1で示す粉末X線回折図である。参考までに、この図はまた、シュウ酸ウラニル三水和物、UO(C.3HO、及びシュウ酸トリウム六水和物、Th(C.6HOの粉末X線回折図を示す。
図3】本発明による、使用済核燃料の硝酸への溶解から生じる水性溶液を処理する方法の一実施形態の概略図である。この図で、1、2、及び5と示す長方形は、使用済核燃料の処理に従来使用されているもの(ミキサーセトラー、パルスカラム、又は遠心抽出器)等の多段抽出器を表す。更に、有機相は単一の実線で表される。水性相は単一の破線で表され、固相は二重の実線で表される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
I-本発明のストリッピング法の実験的検証
以下で報告されるシュウ酸沈殿ストリッピング試験は、下記:
- 有機溶液として、n-ドデカン(純度99%超)中、1mol/Lの溶液濃度で、TBP(純度97%)で構成される溶媒中、硝酸ウラニル(試験1)又は硝酸ウラニル及び硝酸トリウムの混合物(試験2)のいずれかを含む溶液、並びに
- 水性溶液として、水中にシュウ酸及び硝酸を含む溶液
を使用して実施される。
【0046】
有機溶液を調製するために、硝酸ウラニル六水和物、UO(NO.6HOの結晶、及び、試験2の場合、硝酸トリウム五水和物、Th(NO4.5HOの結晶を、6Mの硝酸に溶解する。次いで、アクチニドの硝酸塩を、1MのTBP/n-ドデカン溶媒によって得られた水性溶液から抽出する。これを行うために、この水性溶液を5mLチューブ内で、室温(21℃±2℃)、O/A比1で予備平衡した溶媒と接触させ、チューブをサーモスタット制御のオービタルシェーカーに20℃、速度1000rpmで10分間置く。重力によって沈降させた後、水性相及び有機相を、有機相を取り去ることによって互いに分離する。
【0047】
シュウ酸及び硝酸を含む水性溶液を調製するために、純度99.5%のシュウ酸二水和物粉末、C.2HOを、HNOの水性溶液に溶解する。
【0048】
沈殿試験ごとに、有機溶液250μLを500rpmの磁気撹拌下で4mLのガラス製ピルオーガナイザー(pill organiser)中の水性溶液250μLに滴加し、次いで、ピルオーガナイザーをサーモスタット制御のオービタルシェーカーに21℃、速度1000rpmで1時間置く。
【0049】
その後、ピルオーガナイザーの内容物を吸い出し、チューブにデカントして、12,500rpmの遠心分離を5分間行い、懸濁液中の固相をそれぞれ有機相及び水性相である液相から分離する。
【0050】
この遠心分離の最後に得られた有機相及び水性相を、チューブ内に形成された固体のみが残るように取り出す。
【0051】
この固体を、チューブにエタノール250μLを添加して洗浄し、ピペットの先端を使用して粉砕し、数秒間渦流撹拌して、12,500rpmで5分間遠心分離し、エタノールを除去する。チューブを40℃に加熱したオーブンに一晩入れて、固体を乾燥させる。
【0052】
次いで、固体を、Bragg-Brentano幾何学配置に従って取り付けられ、銅源(40kV、40mA、λ=1.5418Å)及びLynxEye 1D高速検出器を備えたBruker D8 Advance回折計による粉末X線回折によって特徴付ける。
【0053】
水性相及び有機相に関しては、それらのウラン含有量及び、試験2の場合、それらのトリウム含有量は、誘導結合プラズマ原子発光分析法(又はICP-AES)によって求められる。
【0054】
これを行うために、水性相をピペットで取り、HNO/HCl 2%(90/10、v/v)混合物であるマトリックス溶液中で希釈する。典型的な希釈液は、次のカスケード希釈(cascade dilution)によって得られる1000倍である:溶液50μLをマトリックス溶液4.95mLに添加し、次いでこのようにして得られた溶液を、マトリックス溶液4.5mLに500μLのこの溶液を添加することによって再度希釈する。
【0055】
有機相は、その一部については、0.01mol/LのHNOを含む水性溶液にA/O比=10(すなわち、水性溶液500μlに対して有機相50μl)で接触させ、21℃でオービタルシェーカー(1000rpm)で撹拌することによってストリッピングにかける。重力によって2相を沈降させた後、水性相の画分を取り出し、HNO/HCl 2%(90/10、v/v)マトリックス溶液中で100から1000倍に希釈する。したがって、最初に有機相に存在していたアクチニドの総希釈液は、ICP-AESによる分析中に1000~10,000倍になる。
【0056】
ICP-AESによるウラン及びトリウムの定量に使用する波長(nm)は、以下の通りである。
U: 279.394 367.007 385.958 409.014;
Th: 274.716 283.231 283.730 401.913.
【0057】
I.1-試験1
このシュウ酸沈殿ストリッピング試験は、以下:
- 硝酸ウラニル0.326mol/L(すなわち、77g/L)及び硝酸6mol/Lを含む水性溶液から上記のように予め得られた、硝酸ウラニル0.268mol/L(すなわち64g/L)及び硝酸0.325mol/Lを含む有機溶液、並びに
- すべて0.20mol/L(すなわち18g/L)のシュウ酸を含む水性溶液であり、これらの溶液のうち1つが硝酸を含まず、他は0.001mol/L、0.01mol/L、0.1mol/L、1mol/L又は2mol/Lの硝酸を含む水性溶液
を使用して実施する。
【0058】
この試験の最後に得られた固体の粉末X線回折図を、参照となるシュウ酸ウラニル三水和物、UO(C.3HOの粉末X線回折図と合わせて図1に示す。
【0059】
この図が示すように、硝酸の濃度が1mol/L未満の場合、ウラン、シュウ酸塩、及びTBPの混合物で構成される不純物が主に観察され、これらは回折図の8.3°、8.8°、11.2°、12.4°、13.4°のピークを特徴とする。硝酸が1mol/Lの場合、シュウ酸ウラニルは、大多数が結晶性化合物であり、硝酸が2mol/Lの場合、検出されるのは結晶性化合物のみである。
【0060】
I.2-試験2
このシュウ酸沈殿ストリッピング試験は、以下:
- 硝酸ウラニル0.326mol/L(すなわち、77g/L)、硝酸トリウム0.18mol/L(すなわち42g/L)及び硝酸6mol/Lを含む水性溶液から上記のように予め得られた、硝酸ウラニル0.250mol/L(すなわち59.5g/L)、硝酸トリウム0.033mol/L(すなわち7.5g/L)及び硝酸0.352mol/Lを含む有機溶液、並びに
- シュウ酸0.24mol/L(すなわち、22g/L)及び硝酸2mol/Lを含む水性溶液
を使用して実施する。
【0061】
この試験の最後に得られた固体の粉末X線回折図を、Sと示し、参照となるシュウ酸ウラニル三水和物、UO(C.3HO、及びシュウ酸トリウム六水和物、Th(C.6HOの粉末X線回折図と合わせて図2に示す。
【0062】
この図に示すように、固体中に存在する唯一の結晶性化合物は、シュウ酸ウラニル及びシュウ酸トリウムである。
【0063】
更に、有機上清及び水性上清のICP-AESによる分析では、これらの上清中にトリウムを検出することはできず、これは、すべてのトリウムが固体中に存在することを意味する。
【0064】
この分析はまた、ウランの沈殿収率が33%であり、したがって固体中のU/Th質量比が2.5であることを示す。
【0065】
II-本発明の処理方法の実施形態の概要図
本発明による、使用済核燃料の硝酸への溶解から生じる水性溶液を処理する方法の一実施形態の概略図を示す、図3を参照する。
【0066】
この図によって示されるように、本方法は6つの工程を含む。
【0067】
図3に「U+Puの共抽出」と示すこれらの工程の第1の工程は、使用済核燃料の溶解から生じる硝酸水性溶液から、ウラン及びプルトニウムを合わせて抽出することを目的としており、1番目のウランが酸化度+VI、2番目のプルトニウムが酸化度+IVである。
【0068】
このような溶液は、典型的には、3mol/Lから6mol/LのHNO、ウラン、プルトニウム、マイナーアクチニド(アメリシウム及びキュリウム)、核分裂生成物(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Mo、Zr、Ru、Tc、Rh、Pd、Y、Cs等)、及び鉄等のいくつかの腐食生成物を含む。
【0069】
それ自体公知であるように、「U+Puの共抽出」の工程は、抽出器1において、有機希釈剤、例えばn-ドデカン中に、有利には30%(v/v)の濃度でTBPを含み、図3に「PO」と示す有機相に向流で溶解溶液を循環させることによって実施する。
【0070】
やはりそれ自体公知であるように、図3に「PFの洗浄」と示す本方法の第2の工程は、「U+Puの共抽出」工程から生じる有機相から、ウラン及びプルトニウムと合わせて溶解溶液から抽出することができた核分裂生成物の画分をストリッピングすることを目的としている。
【0071】
これを行うために、抽出器1を出る有機相を、ルテニウム及びテクネチウムのストリッピングを容易にするために、抽出器2内で、濃度が0.5mol/Lから6mol/Lの範囲のHNOであり得るが、好ましくは4mol/Lから6mol/LのHNOである硝酸水性溶液に向流で循環させる。
【0072】
図3に「沈殿」と示す本方法の第3の工程は、「PFの洗浄」工程から生じる有機相から、この相に存在するすべてのプルトニウムをウランの画分と合わせて、シュウ酸沈殿法によってストリッピングすることを目的としている。
【0073】
これを行うために、抽出器2を出る有機相を、3と示す沈殿ユニットに向け、そこで、少なくとも20g/Lの濃度で、少なくとも1、好ましくは少なくとも1.5のO/A比で、2mol/L~6mol/LのHNO及びシュウ酸を含む水性溶液と接触させるが、水性溶液中のシュウ酸の濃度及びO/A比は、ウラン及びプルトニウムの完全な沈殿の化学量論的条件に関して、シュウ酸が不足する(又は欠如する)ように選択する。
【0074】
したがって、例えば、U+Pu含有量が72g/Lで、U/Pu質量比が8.2程度である有機相の場合、この有機相を、有利には、O/A比1で、2mol/LのHNO及び0.24mol/L(すなわち、22g/L)のシュウ酸を含む水性溶液と接触させる。
【0075】
「沈殿」工程の終わりに、以下:
- 「PFの洗浄」工程から生じる有機相に存在していたすべてのプルトニウム及びウランの画分を含む固相。
- ウランを含むがプルトニウムを含まない水性相、並びに
- 水性相と同様に、ウランを含むがプルトニウムを含まない有機相
の3つの相が得られる。
【0076】
例として、上記の操作条件を使用すると、「PFの洗浄」工程から生じる有機相中に存在していたウランの約33質量%、15.60質量%及び51.40質量%をそれぞれ含む固相、水性相及び有機相を得ることにつながる。固相中のU/Pu質量比は、2.7である。
【0077】
「沈殿」工程から生じる固相及び水性相を、図3に4と示し、この図に「ろ過/洗浄」と示す本方法の第4の工程に割り当てられるユニットに向けるが、この工程は、これらの相をろ過によって互いに分離し、2mol/L以下の硝酸を含む硝酸水性溶液で、好ましくは一度に固相を洗浄することを目的としており、洗浄に続いてろ過を行う。
【0078】
並行して、「沈殿」工程から生じる有機相を、図3に「Uのストリッピング」と示す本方法の第5の工程が実施される抽出器3に向けるが、この工程は、この有機相から、有機相が含むウランを抽出することを目的としている。
【0079】
これを行うために、ユニット3を出る有機相を、抽出器5において、HNO濃度が0.005mol/Lから0.05mol/Lの範囲であり得る硝酸水性溶液に向流で循環させる。
【0080】
これらの5つの工程の最後に、以下:
- 抽出器1を出る水性相に対応し、核分裂生成物並びにアメリシウム及びキュリウムを含むラフィネートと、
- シュウ酸プルトニウム及びシュウ酸ウランで構成される固相であり、例えば酸化雰囲気下で600℃から800℃の範囲の温度で焼成することによって、それらを混合酸化物(U,Pu)Oに変換するための作業場に向けられる固相と、
- ユニット4及び抽出器5をそれぞれ出る水性相に対応する2つの水性相であり、両方とも硝酸ウラニルを含み、貯蔵ユニット、又は、例えば過酸化ウランUOの形態で沈殿によってこの硝酸ウラニルを酸化ウランUOに変換するための作業場に向けられ、続いて沈殿物の焼成及び水素の還元が行われる水性相と、
- 抽出器5を出る有機相に対応する有機相であり、ウランをもはや含まないが、前の工程の間に形成された特定の不純物及びTBPの分解生成物(加水分解及び放射線分解によって形成される)を含み得る有機相
が得られる。
【0081】
したがって、図3に「POの洗浄」と示す本方法の第6の工程は、有機相を塩基性水性溶液による1回又は複数回の洗浄、例えば、炭酸ナトリウム0.3mol/Lの水性溶液による最初の洗浄、続いて水酸化ナトリウム0.1mol/Lの水性溶液による2回目の洗浄、次いで、再酸性化を可能にする硝酸の水性溶液、例えば2mol/LのHNOを含む水性溶液による1回又は複数回の洗浄にかけることにより、この有機相を再生することを目的としており、各洗浄は、前記有機相を抽出器において、水性洗浄溶液に向流で循環させることによって実施する。
【0082】
図3に見られるように、このようにして再生された有機相を、次いで、本処理方法においてそれらを再利用するために抽出器1に送ることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 多段抽出器
2 多段抽出器
3 沈殿ユニット
4 ろ過/洗浄ユニット
5 多段抽出器
図1
図2
図3
【外国語明細書】