(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035835
(43)【公開日】2024-03-14
(54)【発明の名称】混成格子構造を有する光導波路方式の光位相配列アンテナ及びこれを含むライダー
(51)【国際特許分類】
G02F 1/295 20060101AFI20240307BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20240307BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20240307BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20240307BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240307BHJP
G02B 6/124 20060101ALI20240307BHJP
G02B 6/136 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G02F1/295
G01S7/481 A
H01Q3/26 Z
G02B6/125 301
G02B6/12 361
G02B6/124
G02B6/136
G02B6/12 371
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023142428
(22)【出願日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0111547
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】515004614
【氏名又は名称】グワンジュ インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【住所又は居所原語表記】123, Cheomdangwagi-ro, Buk-gu, Gwangju, 61005, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ナン イ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ビョン チャン
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
5J021
5J084
【Fターム(参考)】
2H147AA02
2H147AB11
2H147AB31
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2K102EB20
5J021AA05
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5J021DB03
5J021GA02
5J021HA00
5J084AA05
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5J084BA48
5J084BB34
5J084BB40
5J084DA01
5J084EA31
(57)【要約】
【課題】本発明は、混成格子構造を有する光導波路方式の光位相配列アンテナ及びこれを含むライダーを提供する。
【解決手段】本発明は、光位相配列アンテナであって、光源から光の入力を受ける結合部と、前記結合部から伝播される光を複数の光経路で分配する光分配部と、前記光分配部にて分配される光の位相を変調する位相変調部と、前記位相変調部にて変調された光を出力するものであって、当該光が伝播されるが、所定長さに延長されたアンテナ素子導波路と、前記アンテナ素子導波路を包み込むように形成されたクラッド層を含む光出力部を具備し、前記アンテナ素子導波路は上部面を基準として下方に引き込まれた第1引込み部分が形成され、前記クラッド層は前記第1引込み部分に隣接された位置に、上部面を基準として下方に引き込まれた第2引込み部分が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光位相配列アンテナであって、
光源から光の入力を受ける結合部と、
前記結合部から伝播される光を複数の光経路で分配する光分配部と、
前記光分配部で分配される光の位相を変調する位相変調部と、
前記位相変調部で変調された光を出力するものであって、当該光が伝播されるとともに、所定長さ延長されたアンテナ素子導波路、及び、前記アンテナ素子導波路を包み込むように形成されたクラッド層を含む光出力部と、を具備し、
前記アンテナ素子導波路には、その上面を基準にして下方へと引込まれた第1引込み部分が形成され、
前記クラッド層には、前記第1引込み部分に隣接された位置に、前記クラッド層の上面を基準にして下方へと引き込まれた第2引込み部分が形成される、
光位相配列アンテナ。
【請求項2】
前記クラッド層は、前記第2引込み部分が、前記アンテナ素子導波路の前記第1引込み部分を除いた残りの領域のうちで一部に対向されうるように前記第1引込み部分に対して前記アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って離隔された位置に該当第2引込み部分が形成された、
請求項1に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項3】
前記第1引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向を基準として一端から他端まで所定の幅を有するように形成され、
前記第2引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向を基準として一端から他端まで所定の幅を有するように形成されるが、他端部が前記第1引込み部分の他端部に対して当該アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って既設定されたオフセット距離程度離隔されるように形成された、
請求項1または請求項2に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項4】
前記オフセット距離は0.3μm以下である、
請求項3に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項5】
前記第2引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向を基準として前記第1引込み部分の幅に対応される幅を有するように形成された、
請求項3に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項6】
前記第2引込み部分は、底面が前記アンテナ素子導波路の上部面に隣接されるように所定の深さで前記クラッド層の上部面に下方に引き込まれるように形成された、
請求項3に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項7】
前記第1引込み部分は、多数個が前記アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って相互に離隔されるように形成された、
請求項1に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項8】
前記第2引込み部分は、多数個が前記アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って相互に離隔されるように該当クラッド層に形成された、
請求項1または請求項7に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項9】
複数の前記第1引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向幅に対応される長さだけ相互に離隔されるように形成された、
請求項7に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項10】
前記光出力部は、ベースレイヤーの上部に、下部レイヤー及び上部レイヤーが、上下方向に沿って積層された状態で構成され、
前記第1引込み部分は、前記下部レイヤーの上部を蝕刻(etching)処理して形成され、
前記第2引込み部分は、前記上部レイヤーの上部を蝕刻処理して形成される、
請求項1に記載の光位相配列アンテナ。
【請求項11】
請求項10に記載の光位相配列アンテナの光出力部についての加工方法であって、
(a)第1乃至第3レイヤーが積層された状態である、絶縁体上-シリコン(silicon-on-insulator、SOI)を準備する段階(S110)と、
(b)前記第3レイヤーの上部面に前記第1引込み部分を形成するために、前記第3レイヤーを蝕刻(etching)加工する段階(S120)と、
(c)前記(b)段階にて蝕刻加工された前記第3レイヤーの上部に、第4レイヤーを蒸着する段階(S130)と、
(d)前記第4レイヤーに前記第2引込み部分を形成するために、前記第4レイヤーの上部面を蝕刻加工する段階(S140)と、を含んで、
前記下部レイヤーは前記(b)段階の前記第3レイヤーであり、
前記上部レイヤーは前記(d)段階の前記第4レイヤーである、
方法。
【請求項12】
前記第3レイヤーは窒化珪素(Si3N4)でもって形成され、
前記第4レイヤーは二酸化珪素(SiO2)でもって形成された、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記(a)段階(S110)以後、及び(b)段階(S120)の以前には、
(a1)前記第1引込み部分を形成するために前記第3レイヤー上に、電子レジスト(electron resist、ER)をコーティング処理する段階(S111)と、
(a2)前記(a1)段階にてコーティング処理された前記電子レジストにおける既設定された部位に、電子ビーム(electron-beam、E-Beam)を照射する段階であって、前記電子レジストが、前記第1引込み部分と対応される形状に蝕刻加工される段階(S112)と、をさらに含み、
前記(b)段階では、前記(a2)段階による前記電子レジストの形状を利用して前記第3レイヤーを蝕刻加工する、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記(c)段階(S130)以後、及び(d)段階(S140)の以前には、
(c1)前記第2引込み部分を形成するために、前記第4レイヤー上に、電子レジスト(electron resist、ER)をコーティング処理する段階(S131)と、
(c2)前記(c1)段階にてコーティング処理された前記電子レジストにおける既設定された部位に、電子ビーム(electron-beam、E-Beam)を照射する段階であって、前記電子レジストが前記第2引込み部分と対応される形状に蝕刻加工される段階(S132)と、をさらに含み、
前記(d)段階では、前記(c2)段階による前記電子レジストの形状を利用して前記第4レイヤーを蝕刻加工する、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
光源と、
請求項第1項乃至請求項10のいずれか一つに記載の光位相配列アンテナと、
前記光位相配列アンテナから放射された後、物体によって反射された光を受信する光受信部と、
前記光受信部で受信された信号を処理する信号処理部と、を具備する、
ライダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混成格子構造を有する光導波路方式の光位相配列アンテナ、及びこれを含むライダー(Light Detection And Ranging, LiDAR)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自律走行車両用ライダーセンサーは、入射されたパルスレーザーが物体に反射されて帰って来る時間を測定して3次元空間情報を獲得する。レーザー放出方式によって大きくは‘フラッシュ方式'と‘スキャニング方式'とに分けられる。フラッシュ方式は、広い面積にレーザービームを同時に走査する方法で、受信部も反射されて来るイメージを認識することができるように、受光素子が2D-アレイ2D-array)形態である。これとは異なり、スキャニング方式のライダーは、レーザービームの垂直水平方向の回転を通じて、三次元空間をポイントマッピング(Point Mapping)する。そのために、フラッシュ方式に比べて、少ないレーザー光源出力と単純な受信部受光素子構造を有する。既存のスキャニング方式のライダーは、機械的モータ回転による360゜視野角を有する。
【0003】
しかし、基本の機械的ライダーは、回転のためのモータの重さが重くて、多くの電力を消耗するため、制限された電力と重量を要求する無人飛行体にて使用されることができないだけでなく、自律走行車両の高速道路走行にて必要な回転速度に機械式回転速度が相応することができない。
【0004】
光位相配列アンテナは、入射されたレーザーをいくつかの方向性結合器を通じて、それぞれのアンテナ素子で分散し、分散されたレーザーの位相を変調して、願う出力レーザー進行方向を獲得することができる。
【0005】
ライダーの最大測定距離をふやすために、アンテナはさらに高いレーザー出力が必要であるが、低いレーザー臨界パワー(Laser Threshold Power)と高い線形、非線形損失を有するシリコン導波路は、窒化シリコン導波路に比べて不利である。
【0006】
窒化シリコン導波路は、低い屈折率によって導波路モードの消滅波(Evanescent Wave)の大きさが大きくなるので、同じ電波定数(Propagation Constant)を有する隣接した導波路と易しく相互作用することができる。光位相配列アンテナが持っている、制限された水平視野角を広げるために、アンテナ素子同士の間の間隔が、波長の半分程度の距離に近接しなければならないが、アンテナ素子同士の間が近くなるほど隣接した素子の間の混線(Cross-talk)によって、願う(所望の)出力位相分布を得ることができない。
【0007】
自律走行車両内に装着を目的とするライダーの場合、車両内の温度変化(-40~85℃)に影響を受けないで、正常な作動をすることが、搭乗者と歩行者の安全に重要であるため、窒化シリコン導波路に使用されうる、局所加熱による位相変化は使い難い。
【0008】
ウェハー上の工程による平面形態の光学素子は、垂直屈折率対称によって導波管を通じて伝送される信号は、チップの上端と下端に類似の割合で放出されることに明らかな空間的指向性を持ち難いことから、またチップの下端に放出された信号は、下端の境界面から上へと反射されて、上端へと放出された信号との干渉現象を起こして、願わない(不所望の)ノイズを発生させる。
【0009】
光位相配列アンテナ関連従来技術としては、本出願人による韓国登録特許第10-1924890号の‘光位相配列アンテナ及びこれを含むライダー'が開示される。前記従来技術は、光出力部のアンテナ素子導波路の高さを変化させて形成し、アンテナ素子導波路の高さをさらに高くした回折格子を複数個離隔して具備する構造を開示する。前記構造を通じて、機械的駆動装置を利用しないで、入射されたレーザーを願う方向に出力が可能であり、外部環境変化による影響を最小化させる長所がある。
【0010】
但し、最近には指向性がより改善された光位相配列アンテナに対する必要性が増大されている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1924890号:光位相配列アンテナ及びこれを含むライダー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたものである。
【0013】
第一に、本発明は、光位相配列アンテナ基盤の自律走行及び無人飛行体用ライダー開発で既存方式の機械的回転を取り替えて既存より軽くてチープであり、量産化が容易なライダーの開発を目的とする光位相配列アンテナ構造を提案しようとする。
【0014】
二番目に、本発明は、従来に比べて指向性が改善され、摂動強度が減少された光位相配列アンテナ構造を提案しようとする。
【0015】
三番目に、本発明は、CMOS半導体工程技術で製作が可能であり、最大出力2W以上であり、水平視野角が120゜以上であり、垂直視野角が20゜以上の光位相配列アンテナの構造変更を通じて、雑音対比信号(Signal-to-Noise ratio;信号対雑音比)の増大をもたらす光位相配列アンテナ構造を提案しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような課題を解決するための本発明の一実施例は、光位相配列アンテナとして、光源から光の入力を受ける結合部と、前記結合部から伝播される光を複数の光経路で分配する光分配部と、前記光分配部で分配される光の位相を変調する位相変調部と、前記位相変調部にて変調された光を出力するものであって、該当光が伝播されるとともに、所定長さ延長されたアンテナ素子導波路と、前記アンテナ素子導波路を包み込むように形成されたクラッド層を含む光出力部を具備し、前記アンテナ素子導波路は、上部面を基準として下方へと引き込まれた第1引込み部分が形成され、前記クラッド層は前記第1引込み部分に隣接された位置に、上部面を基準として下方へと引き込まれた第2引込み部分が形成される。
【0017】
前記クラッド層は、前記第2引込み部分が前記アンテナ素子導波路の前記第1引込み部分を除いた残り領域のうちでの一部に対向されうるように、前記第1引込み部分に対して前記アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って離隔された位置に該当第2引込み部分が形成される。
【0018】
前記第1引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向を基準として一端から他端まで所定の幅を有するように形成されるのであり、前記第2引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向を基準で一端から他端まで所定の幅を有するように形成されるが、他端部が前記第1引込み部分の他端部に対して該当アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って既設定されたオフセット距離程度離隔されるように形成される。
【0019】
前記オフセット距離は0.3μmに接したものが望ましい。
【0020】
前記第2引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向を基準で前記第1引込み部分の幅に対応される幅を有するように形成されうる。
【0021】
前記第2引込み部分は、底面が前記アンテナ素子導波路の上部面に隣接されるように所定の深さで前記クラッド層の上部面に下方に引き込まれるように形成されることが望ましい。
【0022】
前記第1引込み部分は、多数個(少なくとも3個以上、または5個以上、10個以上もしくは20個以上)が前記アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って相互離隔されるように形成されることができる。
【0023】
前記第2引込み部分は、多数個が前記アンテナ素子導波路の長さ方向に沿って相互離隔されるように当該クラッド層に形成されることが望ましい。
【0024】
複数の前記第1引込み部分は、前記アンテナ素子導波路の長さ方向幅に対応される長さだけ相互に離隔されるように形成される。
【0025】
前記光出力部は、ベースレイヤーの上部に、下部レイヤー及び上部レイヤーが上下方向に沿って積層された状態で構成され、前記第1引込み部分は、前記下部レイヤーの上部を蝕刻(etching)処理して形成され、前記第2引込み部分は、前記上部レイヤーの上部を蝕刻処理して形成される。
【0026】
一方、本発明の光位相配列アンテナの光出力部加工方法は、(a)第1乃至第3レイヤーが積層された状態である、絶縁体上-シリコン(silicon-on-insulator、SOI)を準備する段階(S110)と、(b)前記第3レイヤーの上部面に前記第1引込み部分を形成するために、前記第3レイヤーを蝕刻(etching)加工する段階(S120)と、(c)前記(b)段階で蝕刻加工された前記第3レイヤーの上部に、第4レイヤーを蒸着する段階(S130)と、(d)前記第4レイヤーに前記第2引込み部分を形成するために、前記第4レイヤーの上部面を蝕刻加工する段階(S140)を含み、前記下部レイヤーは前記(b)段階の前記第3レイヤーであり、前記上部レイヤーは前記(d)段階の前記第4レイヤーである。
【0027】
前記第3レイヤーは窒化珪素(Si3N4)で形成され、前記第4レイヤーは二酸化珪素(SiO2)で形成される。
【0028】
前記(a)段階(S110)以後及び(b)段階(S120)の以前には、(a1)前記第1引込み部分を形成するために前記第3レイヤー上に、電子レジスト(electron resist、ER)をコーティング処理する段階(S111)と、(a2)前記(a1)段階でコーティング処理された前記電子レジストの既設定された部位に電子ビーム(electron-beam、E-Beam)を照射する段階として、前記電子レジストが前記第1引込み部分と対応される形状で蝕刻加工される段階(S112)をさらに含み、前記(b)段階では、前記(a2)段階による前記電子レジストの形状を利用して前記第3レイヤーを蝕刻加工する。
【0029】
前記(c)段階(S130)以後及び(d)段階(S140)以前には、(c1)前記第2引込み部分を形成するために前記第4レイヤー上に、電子レジスト(electron resist、ER)をコーティング処理する段階(S131)と、(c2)前記(c1)段階でコーティング処理された前記電子レジストの既設定された部位に電子ビーム(electron-beam、E-Beam)を照射する段階として、前記電子レジストが前記第2引込み部分と対応される形状で蝕刻加工される段階(S132)をさらに含み、前記(d)段階では、前記(c2)段階による前記電子レジストの形状を利用して前記第4レイヤーを蝕刻加工する。
【0030】
一方、本発明による光位相配列アンテナを具備したライダーは光源と、請求項1乃至請求項10のうちで何れか一項による光位相配列アンテナと、前記光位相配列アンテナで放射された後物体によって反射された光を受信する光受信部と、前記光受信部で受信された信号を処理する信号処理部を具備する。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、今後のスキャンが要求されない方式の車両用ライダーセンサーの核心素子で活用が期待され、これだけではなく3次元イメージを獲得するために使用される既存のCMOSセンサー役割を遂行することができることで期待する。
【0032】
また、本発明はアンテナ素子導波管の上端だけでなく、クラッド層の上部まで蝕刻加工して格子を形成することで、摂動強度を減少させ、指向性を極大化させる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による光位相配列アンテナの概略的な斜視図である。
【
図2】
図1の光位相配列アンテナに対する断面図である。
【
図3】
図1の光位相配列アンテナに対する概念図である。
【
図4】
図1の光位相配列アンテナの構造を概略的に示した模式図である。
【
図5】本発明による光位相配列アンテナの光分配部を構成する多重モード干渉器(Multi-mode interferometer、MMI)の概略的な模式図である。
【
図6】本発明の光位相配列アンテナと従来の光位相配列アンテナのZ軸方向のビーム指向性に対するグラフである。
【
図7】本発明の光位相配列アンテナと従来の光位相配列アンテナのZ軸方向の反射光に対するグラフである。
【
図8】本発明の光位相配列アンテナと従来の光位相配列アンテナの摂動強度に対するグラフである。
【
図9】オフセット距離が0である光位相配列アンテナに対する概念図である。
【
図10】本発明による光位相配列アンテナに対する概念図である。
【
図11】オフセット距離による本発明の光位相配列アンテナに対するビーム指向性に対するグラフである。
【
図12】オフセット距離による本発明の光位相配列アンテナの上方透過率及び下方透過率に対するグラフである。
【
図13】本発明の光位相配列アンテナの導波管に沿って入射した光エネルギーの分布を示した図面である。元のカラー図面では、図の下方側にて、黄色と水色の火炎状の模様が左右方向に交互に現われるが、大部分の領域が草色であり、黄色の火炎状模様の中央部に橙色の箇所がある。黄色は約0.5~1(×10
-4)の領域、水色は約-1~-0.3(×10
-4)の領域、草色は約0~0.3(×10
-4)の領域、橙色は1あまり(×10
-4)の領域である。白黒の図では、最も濃い領域が水色の低レベル領域であり、最も薄い領域が、黄色の高レベル領域中の、比較的低レベルの領域である。
【
図14】オフセット距離が0である光位相配列アンテナの導波管に沿って入射した光エネルギーの分布を示した図面である。元のカラー図面では、図の下端に、黄色囲みの赤と水色囲みの青の火炎状の模様が左右方向に交互に現われるが、大部分の領域が草色である。火炎状の赤領域の中心部は、黒色に近い領域も現れる。赤色の領域は約1.7~2.7(×10
-4)、黒みがかった領域は約3(×10
-4)、青色領域は、約-1.3~-2.7(×10
-4)である。黄色、水色、及び緑色については、
図13での説明のとおりである。白黒の図では、黄色囲みの赤の火炎状領域が、最も薄い線状の領域に囲まれた黒色の領域として表れている。また、水色囲みの青の火炎状の領域が、囲み模様のない黒色の領域として表れている。
【
図15】クラッド層に上端格子だけ存在した光位相配列アンテナの導波管に沿って入射した光エネルギーの分布を示した図面である。元のカラー図面では、図の下端に、黄色囲みの赤と水色囲みの青の火炎状の模様が左右方向に交互に現われるが、大部分の領域が草色である。但し、
図14に比べて、黄色囲み及び水色囲みの線幅が、格段に大きい。白黒の図では、黄色囲みの赤の火炎状領域が、最も薄い線状の領域に囲まれた黒色の領域として表れている。また、水色囲みの青の火炎状の領域が、囲み模様のない黒色の領域として表れている。
【
図16】アンテナ素子導波路に下端格子だけ存在した光位相配列アンテナの導波管に沿って入射した光エネルギーの分布を示した図面である。元のカラー図に対する説明、及び、白黒の図で現れる領域の説明は、
図14~15と同様である。
【
図17】本発明による光位相配列アンテナの光分配部を構成するカップラを概略的に示す模式図である。
【
図18】本発明による光位相配列アンテナの金属ヒーターが内蔵された状態を示す概略的な模式図である。
【
図19】本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法に対する流れ図である。
【
図20】本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図21】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図22】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図23】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図24】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図25】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図26】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図27】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図28】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図29】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図30】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図31】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図32】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図33】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【
図34】同じく、本発明による光位相配列アンテナの光出力部加工方法の各段階に対する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、図面を参考して本発明による混成格子構造を有する光導波路方式の光位相配列アンテナを説明する。本願で‘一方向'は、図面では‘X軸方向'として示され、本発明による光位相配列アンテナの長さ方向を意味する。また、‘高さ方向'は、図面を基準にして‘Z軸方向'で示される。但し、本願で定義された方向は、理解の便宜のために定義されたものであるところ、本発明の適用を前記の方向に限定するものではない。
【0035】
図1乃至
図2を参照して、本発明による混成格子構造を有する光導波路方式の光位相配列アンテナ100を説明し、全体構成に対しては
図3及び
図4を一緒に参照する。
【0036】
本発明による混成格子構造を有する光導波路方式の光位相配列アンテナ100は、結合部110、光分配部120、位相変調部130、及び光出力部200を含む。
【0037】
光位相配列アンテナ100と、光位相配列アンテナ100の光分配部120に、レーザービームを供給する光源50とを含むようにして、ライダーのレーザー送信モジュールが構成されうる。一方、本発明によるライダーは、レーザー送信モジュールから外部に放射された光が物体に反射した後に、反射した光を受信するレーザー受信モジュールをさらに含んで構成されうる。
【0038】
前記光源50は、該当光分配部120にレーザービームを供給するレーザー発生器が適用される。前記レーザー発生器は、発生されるレーザーの波長を変化させることができるものが望ましく、一例として、レーザー発生器は、チューナブルレーザーダイオード(tunable laser diode)でありうる。光位相配列アンテナ100に供給されるレーザービームの波長変化に応じて、光位相配列アンテナ100から外部に出力されるレーザービームを、一方向に回転させることができる。光源50で発生された光は、光位相配列アンテナ100の結合部110に入力される。
【0039】
一方、レーザー受信モジュールは、光位相配列アンテナ100から放射された後、物体によって反射した光を受信する光受信部、及び、光受信部で受信された信号を処理する信号処理部を具備する。ここで、光受信部及び信号処理部は、従来のライダーを構成するレーザー受信モジュールが適用されるので、詳細な説明は略する。
【0040】
図3及び
図4を参照すれば、光分配部120は、結合部110に入力された光を、複数の光経路、すなわち、複数のアンテナ素子導波路に分割して伝達する。光分配部120は複数のカップラで構成されうる。光分配部120を構成するカップラとして、多重モード干渉器(multimode interference coupler、MMI)、Y-接合部カップラ(Y-junction coupler)または方向性結合器(directional coupler)などが利用されうる。ここで、前記の多重モード干渉器は、MMIと呼ばれる多重モード干渉器として、
図5に示される。
【0041】
位相変調部130は、光分配部120でそれぞれのアンテナ素子導波路に分配された光の位相を変調する。すなわち、アンテナ素子導波路を通じて伝達される光の位相を変調するところ、位相変調部130にて光の位相が変調されることによって、光出力部200から出力されるレーザービームの方向を、X軸を中心に回転させることができる。本願の図面に具体的に図示されなかったが、位相変調部130は、電極を利用して電位を印加することで、電場を形成することができるのであり、これを通じて光の位相を変調する方式が採択されうる。但し、前記の方式の外にも、光の位相を変調する方式なら、そのどのような方式も適用されうることを明示する。位相変調部130にて必要な構造は、上から酸化シリコン、シリコンナイトライド、酸化シリコン、シリコンの順序で積層された形態であり、シリコンナイトライド導波路は、酸化シリコンに取り囲まれていて、格子は、シリコンナイト導波路と上端の酸化シリコン層とをエッチングして構成する。
【0042】
この際、上部のシリコンナイトライドは、約2程度の低い屈折率を有するので、適切なモード拘束(Mode confinement)を目的として、厚さを500nm以上にすることが望ましい。
【0043】
光出力部200は、位相変調部130にて変調された位相分布を維持して、レーザービームを上方へと出力する。
図3及び
図4を参照すれば、光出力部200は、レーザービームをX-Y平面からZ軸方向に出力するが、光分配部120に入力されるレーザービームの波長と、位相変調部130にて変調された位相によって、光出力部200で出力されるレーザービームの出力方向がステアリング(steering)される。
【0044】
これと関して
図4を参考すれば、光出力部200を通じて出力される光の正方向から垂直方向への放射角度(θ)は、下記の数式1によって、制御されうる。
【0045】
【0046】
前記数式1を通じて分かるように、モードの有効屈折率(neff)、背景屈折率(nbackground)、動作波長(λ)、及び、後述される第1引込み部分223または第2引込み部分231のピッチ(Λ)を入力すれば、前記放射角度(θ)を演算することができる。
【0047】
光出力部200では、アンテナ素子導波路220らの距離を狭めるために最適化された導波路幅を使わなければならないが、これは消滅波の大きさが小さくなるようにする広い幅であるが、広い幅によって近くなった素子間の距離を補償しなければならない。アンテナ素子の上方への指向的放出のために、ハイブリッド導波路におけるシリコンナイトライド層の厚さを周期的に変化させた回折格子を利用するのであるが、この際、シリコンナイトライド層の厚さ変化は、薄い部分と厚い部分とで経験する位相変化が、上部では補強干渉、下部では相殺干渉を満足するようにして、上方へと指向的に放出するようにして、ハイブリッド導波路を取り囲んだ上層と下層の酸化シリコン薄膜の厚さは、波長の半分の倍数に近接して補強干渉を満足するように構成される。
【0048】
また、垂直屈折率の対称を無くすために、周期的に変化させたシリコンナイトライドの厚さの最大値は、受信部や位相変調部130よりもさらに厚いのでありうる。
【0049】
アンテナ素子の回折格子の形態は、ハイブリッド導波路の幅変化が利用されうるのであり、幅が左右に交差されながら変化すれば、隣接した導波路間の間隔を一定に維持することができるのであり、幅が周辺導波路と交差しながら変化する場合には、各導波路別にモードの有効屈折率が異なるので、これによってモードカップリング(mode coupling)の強度が弱化されて、伝播される信号の混線の強度を減らすことができる。この外にも、短い距離で多くの量の出力を希望する場合、アンテナ素子導波路220を不連続的に配置する形態も有しうる。
【0050】
図1及び
図2を再び参照して、本発明による光位相配列アンテナ100の具体的な構造を説明する。光位相配列アンテナ100を構成するレイヤーに対しては、別に後述するようにする。
【0051】
本発明による光位相配列アンテナ100の光出力部200は、位相変調部130で変調された光を出力するものであり、当該光が伝播されるのであるが、一方向(X軸方向)に沿って所定長さ延長されたアンテナ素子導波路220と、前記アンテナ素子導波路220を包み込むように形成されたクラッド層230とを含む。
【0052】
前記アンテナ素子導波路220は、フラット導波路部221と、格子アンテナ部222とに区分されうる。ここで、フラット導波路部221及び格子アンテナ部222は、すべて一方向の延長線上に位置されるが、一方向を基準としてフラット導波路部221及び格子アンテナ部222が順次に配置される。
【0053】
前記フラット導波路部221は、所定の長さを有するように形成され、格子アンテナ部222は、複数の第1引込み部分223が一方向に沿って相互に離隔されるように形成される。また、フラット導波路部221及び格子アンテナ部222は、窒化珪素(Si3N4)で構成されるバー(bar)の形態で形成されうる。本発明のアンテナ素子導波路220は、いわゆるウェハー(wafer)と呼ばれる基材224(substrate)上に配置され、シリコン(SiO2)で形成されたクラッド層230によって取り囲まれることで埋立られる形態である。ここで、フラット導波路部221及び格子アンテナ部222における上端面及び下端面は、等しい高さで構成されうるが、当該高さは0.56μmが適用される。また、フラット導波路部221及び格子アンテナ部222は、Y軸方向に2μmの幅を有するように形成される。一方、フラット導波路部221及び格子アンテナ部222は、上端面からクラッド層230の上端面までの距離、及び下端面から基材224までの距離について、設計者の選択によって最適の数値で選択されうる。
【0054】
前述したように格子アンテナ部222には、複数の第1引込み部分223が形成されている。前記第1引込み部分223は、アンテナ素子導波路220の上面に対して下方に所定深さ引き込まれるように形成される。ここで、第1引込み部分223は、アンテナ素子導波路220の上面に対して0.07μmの深さで引き込まれることが望ましい。そして、第1引込み部分223は、Y軸方向を基準として、アンテナ素子導波路220の幅に対応される幅を有するように形成される。
【0055】
第1引込み部分223は、アンテナ素子導波路220の長さ方向、すなわち、一方向を基準として、一端から他端まで所定の幅を有するように形成され、多数個がアンテナ素子の導波路の長さ方向、すなわち、一方向に沿って相互離隔されるように形成される。すなわち、第1引込み部分223と、第1引込み部分223同士の間の第1突出部分225とが、アンテナ素子の導波路の長さ方向に沿って交替するように形成される。この時、第1突出部分225及び第1引込み部分223は所定の周期(a1)で繰り返されるように形成される。ここで、当該周期は0.85μmであり、第1引込み部分該当周期の半分である0.425μmの幅(b1)を有するように形成されることが望ましいが、これに限定するものではなく、製作しようとするアンテナのスペックに応じて多様な値が適用されうる。
【0056】
クラッド層230は、アンテナ素子導波路220を包み込むように形成され、基材224の上面に備えられる。ここで、クラッド層230は、アンテナ素子導波路220が、基材224から上方に離隔されるように支持することができる。ここで、クラッド層230は、下面からアンテナ素子導波路220の下面までの高さが、上部面からアンテナ素子導波路220の上面までの高さより大きいように形成される。すなわち、クラッド層230の下面から、アンテナ素子導波路220の下面までの高さ(h1)は、3.22μmであり、クラッド層230の上面からアンテナ素子導波路220の上面までの高さ(h2)は、1.34μmが適用できるが、これに限定するものではなく、ライダーの種類または大きさによって多様に設定されうる。また、クラッド層230は、Y軸方向を基準にして、アンテナ素子導波路220の幅よりも大きい幅を有するように形成されることが望ましい。
【0057】
一方、クラッド層230はアンテナ素子導波路220の第1引込み部分223に隣接された位置に、上部面を基準で下方に引き込まれた第2引込み部分231が形成されている。ここで、第2引込み部分231は、底面が、前記アンテナ素子導波路220の上面に隣接されるように、クラッド層230の上面に対して1.3μmの深さで下方に引き込まれるように形成されることが望ましい。
【0058】
そして、前記第2引込み部分231は、前記アンテナ素子導波路220の長さ方向を基準で一端から他端まで所定の幅を有するように形成され、多数個がアンテナ素子導波路220の長さ方向、すなわち、一方向に沿って相互に離隔されるように形成される。すなわち、第2引込み部分231と、第2引込み部分231同士の間の第2突出部分232とが、アンテナ素子の導波路の長さ方向に沿って交替するように形成される。ここで、第2突出部分232及び第2引込み部分231は、所定の周期(a2)で繰り返されるように形成される。ここで、当該周期は0.85μmであり、第2引込み部分231は当該周期の半分である0.425μmの幅(b2)を有するように形成されることが望ましいが、これに限定するものではなく、製作しようとするアンテナのスペックに応じて多様な値が適用されうる。
【0059】
また、クラッド層230は、第2引込み部分231が、アンテナ素子導波路220の第1引込み部分223を除いた残りの領域のうちで、一部に対向されうるように、第1引込み部分223に対して、アンテナ素子導波路220の長さ方向、すなわち、一方向に沿って離隔された位置に、第2引込み部分231が形成されうる。すなわち、第2引込み部分231は、他端部が第1引込み部分223の他端部に対して、アンテナ素子導波路220の長さ方向、すなわち、一方向に沿って既設定されたオフセット距離(L)だけ、後方に離隔されるように形成される。ここで、オフセット距離は、0.3μmに近いことが望ましい。また、第2引込み部分231は、Y軸方向を基準に、クラッド層230の幅に対応される幅を有するように形成されている。
【0060】
そして、前記第2引込み部分231は、多数個がアンテナ素子導波路220の長さ方向、すなわち、一方向に沿って相互に離隔されるように形成される。ここで、複数の第2引込み部分231は、第1引込み部分223の長さ方向幅に対応される、離隔距離だけ相互に離隔されるように形成されることが望ましい。
【0061】
一方、
図6及び
図7には、本発明の光位相配列アンテナ100と、従来の光位相配列アンテナ100のZ軸方向のビーム指向性と、反射光に対するグラフが掲示されている。図面で、ハイブリッドグレーティングアンテナ(‘Hybrid Grating Antenna')は、本発明の光位相配列アンテナ100であり、導波管グレーティングアンテナ('Wave Grating Antenna')は、従来の導波管に蝕刻されたパターンが備えられたアンテナであり、クラッドグレーティングアンテナ(‘Cladding Grating Antenna')は、従来のクラッド層230に、蝕刻されたパターンが備えられたアンテナである。図面を参照すれば、ビーム指向性において、本発明の光位相配列アンテナ100は、従来の導波管に蝕刻されたパターンが備えられたアンテナ(directionality=60%)、及び、クラッド層230に蝕刻されたパターンが備えられたアンテナ(directionality=70%)に比べて、高い効率(directionality=95%)を示す。また、本発明の光位相配列アンテナ100は、導波管に、蝕刻されたパターンが備えられたアンテナに比べて、反射光が少なくてFMCW LiDARにさらに好適であることを分かる。
【0062】
また、
図8には、本発明の光位相配列アンテナ100と、従来の光位相配列アンテナ100とについての摂動強度に対するグラフが示されている。図面で、ハイブリッドグレーティングアンテナ(‘Hybrid Waveguide-Cladding Grating')は、本発明の光位相配列アンテナ100であり、導波管グレーティングアンテナ('Wave Grating Antenna')は、従来の導波管に蝕刻されたパターンが設けられたアンテナであり、クラッドグレーティングアンテナ('Cladding Grating Antenna')は、従来のクラッド層230に蝕刻されたパターンが備えられたアンテナである。図面を参照すれば、本発明の光位相配列アンテナ100は従来の導波管に蝕刻されたパターンが備えられたアンテナに比べて、より低いので、高解像度のライダー応用に適している。
【0063】
前述したように本発明による光位相配列アンテナ100は、アンテナ素子導波路220と、クラッド層230に形成された格子構造の強い相互作用を通じて、アンテナの上方透過率を強化し、下方透過率を抑制することで、指向性を極大化することができる。
【0064】
一方、二つの格子構造の相互作用強度は第1引込み部分223と第2引込み部分231の間の離隔距離、すなわち、オフセット距離を通じて調節することができる。
【0065】
図9には、オフセット距離が0である光位相配列アンテナ100に対する概念図が掲示されていて、
図10には、本発明による光位相配列アンテナ100に対する概念図が掲示されている。図面を参照すれば、オフセット距離が0である光位相配列アンテナ100の場合、導波管格子の前部分、すなわち、第1引込み部分223の一端部(丸囲み1の部分)にて光が上方へと向かい、導波管格子の後部分、すなわち、第1引込み部分223の他端部(丸囲み2の部分)で光が下方へと向かう。これに反して、本発明の光位相配列アンテナ100の場合、二つの格子の相互作用の結果で、導波管格子の前部分、すなわち、第1引込み部分223の一端部(丸囲み1の部分)にて光が下方へと向かい、導波管格子の後部分、すなわち、第1引込み部分223の他端部(丸囲み2の部分)にて光が上方へと向かう。よって、本発明の光位相配列アンテナ100は、オフセット距離の大きさに応じて、入射光のエネルギーが指向性を比較的大きく有することで、摂動が最小化されるうる。
【0066】
一方、
図11にはオフセット距離による本発明の光位相配列アンテナ100に対するビーム指向性に対するグラフが示されていて、
図12にはオフセット距離による本発明の光位相配列アンテナ100の上方透過率及び下方透過率に対するグラフが示されている。
【0067】
図面を参照すれば、オフセット距離が増加するほど、光位相配列アンテナ100のビーム指向性、上方透過率及び下方透過率は増加するが、オフセット距離が0.3μmを超過すれば減少することを分かる。よって、第1引込み部分223と第2引込み部分231との間のオフセット距離は、0.3μm以下、すなわち、0.3μmに近いことが望ましい。
【0068】
一方、
図13には、本発明の光位相配列アンテナ100の導波管に沿って入射した、光エネルギーの分布を示したものであり、
図14は、オフセット距離が0である光位相配列アンテナ100の導波管に沿った、入射した光エネルギーの分布を示したものであり、
図15は、クラッド層230に第2引込み部分231、すなわち、上端格子だけ存在した光位相配列アンテナ100の導波管に沿って入射した光エネルギーの分布を示したものであり、
図16は、アンテナ素子導波路220に第1引込み部分223、すなわち、下端格子だけが存在した光位相配列アンテナ100の導波管に沿って入射した光エネルギーの分布を示したものである。図面を参照すれば、本発明の光位相配列アンテナ100は、他のアンテナに比べて相対的に摂動が弱くて、ビームの大きさが小さくて高解像度長距離用ライダーに好適であることが分かる。
【0069】
一方、本発明の光位相配列アンテナ100の光出力部200は、ベースレイヤーの上部に、下部レイヤー及び上部レイヤーが、上下方向に沿って積層された状態で構成され、第1引込み部分223は、前記下部レイヤーの上部を蝕刻(etching)処理して形成され、第2引込み部分231は、前記上部レイヤーの上部を蝕刻処理して形成される。
【0070】
図17は、本発明による光位相配列アンテナ100の光分配部120を構成するカップラ121を概略的に示す。前述したように、レーザーダイオードで光源50を構成した場合、レーザーダイオードで出力されたレーザービームのモード直径が、光位相配列アンテナ100の導波路のモード直径より大きいために、結合部110は、モード直径縮小のために、逆テーパー形態(レーザービームが入力される部分の幅が狭くて、位相変調部130の側へとに幅が大きくなる形態)を有するように設計される。
【0071】
図5は、本発明による光位相配列アンテナ100の光分配部120を構成する多重モード干渉器を概略的に示す。多重モード干渉器(MMI)は、アンテナ素子導波管に沿って進行する光を分割する際に使用される装置である。光繊維-チップカップラと類似に導波管と導波管との間のモードマッチングが重要であり、菱形の形態が使用されうる。ここで、モード(mode)は、導波管(光繊維)内にて、光がエネルギー損失なしに進行することができる状態を意味し、導波管の材質と形態及び光の特性によってモードの形態が変わる。導波管に入射する光のモードが導波管のモードとマッチングされない場合、その光は速く減衰されて消える。
【0072】
図18を参照すれば、本発明による光位相配列アンテナ100の金属ヒーター131が、内蔵位相変調部130を概略的に示す。アンテナ素子導波路220の有効屈折率を変化させて、各光波の位相を変化させるマイクロヒーターは、マイクロメーターサイズの幅を持っている金属電極に、電流を流すならば、電極が持っている抵抗によってジュール加熱(Joule heating)となって発熱するようになるが、このような熱-光学現象を利用して位相変調が可能になるように構成される。参考に、光位相配列アンテナ100の核心要素のうちの一つは、チップの垂直方向に、ビームを放出する機能をする回折格子基盤のウェーブガイドグレーティングアンテナ(Waveguide Grating Antenna)(WGA)であり、WGAの指向性制御のために、最適化された回折格子構造を開発して、発散角の制御のためにマイクロヒーターを含むように製作する。
【0073】
一方、
図19には、本発明による光位相配列アンテナ100における光出力部200の加工方法に対するフローチャート(流れ図)が掲示されている。
【0074】
図面を参照すれば、前記光位相配列アンテナの光出力部200の加工方法は、段階(S110)乃至段階(S140)を含む。
【0075】
段階(S110)は、
図20のように、第1乃至第3レイヤー11、12、13が積層された状態である、絶縁体上-シリコン(silicon-on-insulator、SOI)を準備する段階である。ここで、第1レイヤー11はSi、第2レイヤー12はSiO
2、第3レイヤーはSi
3N
4で形成されることが望ましい。
【0076】
一方、段階(S110)の以後及び段階(S120)の以前には、段階(S111)及び段階(S112)をさらに含む。
【0077】
段階(S111)は、
図21のように、前記第1引込み部分223を形成するために前記第3レイヤー13上に、電子レジスト(electrion resist、ER)21をコーティング処理する段階である。ここで、第3レイヤー13の上面をすべて覆うように、該当電子レジスト21をコーティングすることが望ましい。
【0078】
段階(S112)は、
図22のように、前記段階(S111)でコーティング処理された前記電子レジスト21についての既設定された部位に、電子ビーム(electron-beam、E-Beam)を照射する段階であって、前記電子レジスト21が、
図23のように、第1引込み部分223と対応される形状で、蝕刻加工される段階である。特に、段階(S120)では、段階(S112)による、前記電子レジスト21の形状を利用し、前記第3レイヤー13を蝕刻加工するように構成される。
【0079】
段階(S120)は、
図24のように、前記第3レイヤー13の上面に前記第1引込み部分223を形成するために、第3レイヤー13を蝕刻(etching)加工する段階である。段階(S112)で加工された電子レジスト21の蝕刻部分を通じて、外部に露出された第3レイヤー13の上側の一部分を蝕刻して、第1引込み部分223を形成して、第1引込み部分223の形成が完了すれば、当該電子レジスト21を第3レイヤー13から除去する。ここで、第3レイヤー13は前記下部レイヤーである。
【0080】
段階(S130)は、
図25のように、段階(S120)で蝕刻加工された第3レイヤー13の上部に、第4レイヤー14を蒸着する段階である。ここで、第4レイヤー14は、二酸化珪素(SiO
2)で形成されたものが望ましい。先ず、第3レイヤー13の上部に、高さが1.34μm以上となるように前記第4レイヤー14を蒸着した後、研磨(polishing)作業を通じて、高さが1.34μmになるように前記第4レイヤー14を加工する。当該研磨作業を通じて、上端面が平たい第4レイヤー14の構造を得ることができる。
【0081】
一方、段階(S130)の以後及び段階(S140)の以前には、段階(S131)及び段階(S132)をさらに含む。
【0082】
段階(S131)は
図26のように第2引込み部分231を形成するために前記第4レイヤー14上に、電子レジスト(electron resist、ER)22をコーティング処理する段階である。ここで、第4レイヤー14の上面をすべて覆うように該当電子レジスト22をコーティングすることが望ましい。
【0083】
段階(S132)は
図27のように前記段階(S131)でコーティング処理された前記電子レジスト22の既設定された部位に電子ビーム(electron-beam、E-Beam)を照射する段階であり、前記電子レジスト22が、
図28のように第2引込み部分231と対応される形状で蝕刻加工される段階である。特に、段階(S140)では、段階(S132)による、前記電子レジスト22の形状を利用して、前記第4レイヤー14を蝕刻加工するように構成される。
【0084】
段階(S140)は
図29のように前記第4レイヤー14に前記第2引込み部分231を形成するために前記第4レイヤー14の上部面を蝕刻加工する段階である。段階(S132)で加工された電子レジスト22の蝕刻部分を通じて外部で露出された第4レイヤー14の上側一部分を蝕刻して第2引込み部分231を形成し、第2引込み部分231の形成が完了すれば、該当電子レジスト22を第4レイヤー14から除去する。ここで、第4レイヤー14は前記上部レイヤーである。
【0085】
一方、段階(S140)が完了されれば、第4レイヤー14の上面に、所定の回路パターンを形成するパターン形成段階をさらに含む。
【0086】
前記パターン形成段階は、
図30のように、第2引込み部分231が形成された第4レイヤー14の上面にフォトレジスト23(Photo resist)をコーティングする。この際、フォトレジスト23の上面は、平らになるように平坦化作業を遂行することが望ましい。
【0087】
次に、
図31のように、回路パターンに対応される形状に光透過部分が形成されたマスク31を、前記フォトレジスト23の上側にセッティングした後、当該マスク31の上部に光を照射する。ここで、マスク31の光透過部分を通過した光だけがフォトレジスト23に到逹し、当該光によってフォトレジスト23は、
図32のように、光透過部分に対応される部分が蝕刻される。次に、
図33のように、フォトレジスト23上に、第5レイヤー15を形成する。この際、第5レイヤー15は、電流を流して熱を発生させることができる素材である、Au、Crなどでもって製造されうるが、電気比抵抗が高いTiで形成されることが望ましい。
【0088】
第5レイヤー15の蒸着が完了されれば、フォトレジスト23の上部に露出された第5レイヤー15を除去した後、フォトレジスト23を第4レイヤー14から除去する。この際、
図34のように、フォトレジスト23の蝕刻部分に充填された第5レイヤー15の一部は第4レイヤー14上に残留して回路パターンを形成する。
【0089】
提示された実施例らに対する説明は任意の本発明の技術分野で通常の知識を有した者が本発明を利用するか、または実施するように提供される。このような実施例らに対する多様な変形らは本発明の技術分野で通常の知識を有した者に明白であって、ここに定義された一般的な原理らは本発明の範囲を脱することがなしに他の実施例らに適用されることができる。それで、本発明はここに提示された実施例らに限定されるものではなく、ここに提示された原理ら及び新規した特徴らと一貫される最広義の範囲で解釈されなければならないであろう。
【符号の説明】
【0090】
100 光位相配列アンテナ
110 結合部
120 光分配部
130 位相変調部
200 光出力部
220 アンテナ素子導波路
221 フラット導波路部
222 格子アンテナ部
223 第1引込み部分
224 基材
230 クラッド層
231 第2引込み部分