(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003585
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】伸縮性デバイス
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240105BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20240105BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H05K1/02 A
H05K1/16 B
H01F17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102819
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡彦
【テーマコード(参考)】
4E351
5E070
5E338
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA16
4E351BB11
4E351BB15
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD19
4E351GG20
5E070AA01
5E070BA11
5E070CB02
5E070CB12
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB63
5E338BB75
5E338BB80
5E338EE22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】伸縮性および可撓性を備えた伸縮性デバイスを提供する。
【解決手段】伸縮性デバイス100は、フレキシブル基板20と、フレキシブル基板と部分的に一体に構成され、弾性を有する伸縮性部材10とを備える。フレキシブル基板は、第1形態として少なくとも第1方向に撓み形態を有し、第2形態として一方向への延在形態を有する第1領域を含み、第1領域が伸縮性部材により撓み形態と延在形態とに変更可能となっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板と部分的に一体に構成され、弾性を有する伸縮性部材とを備え、
前記フレキシブル基板は、第1形態として少なくとも第1方向に撓み形態を有し、第2形態として一方向への延在形態を有する第1領域を含み、
前記第1領域が前記伸縮性部材により前記撓み形態と前記延在形態とに変更可能となっている、伸縮性デバイス。
【請求項2】
前記伸縮性部材が前記第1領域の形態に応じて伸張または収縮する、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項3】
前記第1領域の前記延在形態の際に、前記伸縮性部材が伸張し、伸張した前記伸縮性部材に対して弾性力が作用する、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項4】
前記フレキシブル基板と前記伸縮性部材との部分的な接合部位または接着部位が存在する、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項5】
前記フレキシブル基板が相互に対向する2つの主面を有し、前記伸縮性部材が前記2つの主面の少なくとも一方の側に配置される、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項6】
前記フレキシブル基板は、前記第1領域に連続する第2領域を更に含み、前記第2領域は、前記第1領域の少なくとも一方の側に配置され、一方向に延在する、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項7】
前記フレキシブル基板の前記第1領域および第2領域の少なくとも一方の領域と前記伸縮性部材とが相互に接合または接着されている、請求項6に記載の伸縮性デバイス。
【請求項8】
前記第1領域の撓み形態の際に、前記第1領域の内側主面側に空隙が形成される、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項9】
平面視で、前記第1領域が2つ以上配置され、2つ以上の前記第1領域が前記第1方向を含む複数の方向にて延在可能となっている、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項10】
一方の前記第1領域の延在方向と他方の前記第1領域の延在方向とが直交する、請求項9に記載の伸縮性デバイス。
【請求項11】
平面視で、前記2つ以上の前記第1領域が共通の交差部分を有し、前記交差部分が開口部分である、請求項9に記載の伸縮性デバイス。
【請求項12】
平面視で、前記第1領域が前記第1方向に2つ以上配置され、2つ以上の前記第1領域のうちの一方と他方の前記第1方向における幅が相互に異なる、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項13】
前記フレキシブル基板の前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一方の主面上に、又は前記伸縮性部材上に、配線および電子部品の少なくとも一方が配置される、請求項6に記載の伸縮性デバイス。
【請求項14】
前記配線がコイル配線であり、前記コイル配線が前記第1領域および前記第2領域の両方の主面上に配置される、請求項13に記載の伸縮性デバイス。
【請求項15】
前記電子部品の高さが、撓み形態の際における前記第1領域の最高高さよりも低い、請求項13に記載の伸縮性デバイス。
【請求項16】
撓み形態の際における前記第1領域の最高高さが2mm以上である、請求項15に記載の伸縮性デバイス。
【請求項17】
前記第1領域の前記延在形態の際に、前記フレキシブル基板の前記第1領域と前記第2領域が相互に同一平面に位置付け可能である、請求項6に記載の伸縮性デバイス。
【請求項18】
前記第1領域が蛇腹構造である、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項19】
前記伸縮性部材が、フィルム形態およびクッション形態の少なくとも一方の形態を有する、請求項1に記載の伸縮性デバイス。
【請求項20】
断面視にて、撓み形態の際における前記第1領域と前記第2領域との間のなす角度θが90度以上135度以下である、請求項6に記載の伸縮性デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、伸縮性基材上に伸縮性配線が実装された伸縮性デバイスが知られている。この伸縮性デバイスは、生体に装着して使用することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、生体に装着され得る伸縮性デバイスとして、よりコンパクトなサイズを有するもののニーズが高まることが考えられる。かかるニーズに応えるため、従前の伸縮性に加えて可撓性も兼ね備えた伸縮性デバイスが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、伸縮性および可撓性を備えた伸縮性デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板と部分的に一体に構成され、弾性を有する伸縮性部材とを備え、
前記フレキシブル基板は、第1形態として少なくとも第1方向に撓み形態を有し、第2形態として一方向への延在形態を有する第1領域を含み、
前記第1領域が前記伸縮性部材により前記撓み形態と前記延在形態とに変更可能となっている、伸縮性デバイスが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係る伸縮性デバイスによれば、伸縮性および可撓性を備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る伸張状態における伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第5実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の第6実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図7B】
図7Bは、
図7Aの線分II-II’間における本発明の第6実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図7C】
図7Cは、
図7Aの線分I-I’間における本発明の第6実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第6実施形態に係る伸張状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図9A】
図9Aは、本発明の第7実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図9B】
図9Bは、
図9Aの線分I-I’間における本発明の第7実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図9C】
図9Cは、
図9Aの線分II-II’間における本発明の第7実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の第8実施形態に係る伸張状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
【
図10B】
図10Bは、
図10Aの伸張状態の伸縮性デバイスのフレキシブル基板の第1領域およびその周縁領域を模式的に示す拡大平面図である。
【
図10C】
図10Cは、初期状態の伸縮性デバイスのフレキシブル基板の第1領域およびその周縁領域を模式的に示す拡大断面図である。
【
図11】
図11は、初期状態の伸縮性デバイスのフレキシブル基板の第1領域の別の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。各々の実施形態では、その実施形態以前に説明した点と異なる点について主に説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態ごとには逐次言及しない。以下の実施形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさおよび大きさの比は、必ずしも厳密ではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。なお、以下の実施形態および図面における初期状態の伸縮性デバイスとは後述する第1形態のフレキシブル基板を備える場合を指し、伸張状態の伸縮性デバイスとは後述する第2形態のフレキシブル基板を備える場合を指す。
【0010】
[第1実施形態]
以下、
図1および
図2を参照しながら、第1実施形態に係る伸縮性デバイス100の構成について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る伸張状態における伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0012】
本発明の第1実施形態に係る伸縮性デバイス100は、伸縮性基材10、フレキシブル基板20、両基板間を接着する接着層30、電子部品40、50を備える。なお、本明細書中において用いる「上」なる用語は、ある要素と離れた上方、即ち他の物体を介してある要素の上側に位置する状態、間隔を空けてある要素の上側に位置する状態、およびある要素と接する直上に位置する状態を含む。
【0013】
以下、上記の伸縮性デバイス100の主たる構成要素について具体的に説明する。その後、第1実施形態の特徴部分について説明する。
【0014】
(伸縮性基材10)
伸縮性基材10は、接着層30を介してフレキシブル基板20と部分的に接着され、弾性を有する。なお、接着層30は必須の構成ではなく、伸縮性基材10はフレキシブル基板20と部分的に直接接合されていてもよい。
【0015】
伸縮性基材10は、シート状あるいはフィルム状の伸縮可能な基板であり、例えば、伸縮性を有する樹脂材料から構成される。伸縮性基材10の樹脂材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。
【0016】
伸縮性基材10の厚さは特に限定されないが、生体に貼り付けた際に生体表面の伸縮を阻害しない観点から、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、伸縮性基材10の厚さは、所定の強度確保の観点から20μm以上であることが好ましい。
【0017】
(フレキシブル基板20)
フレキシブル基板20は可撓性を有する基板である。フレキシブル基板20としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)および液晶ポリマーなどから成る群から選択される少なくとも1種の材質からなることができる。望ましくは、可撓性に加え屈曲性を有したポリイミドから成るものを用いることができる。
【0018】
フレキシブル基板20の厚さは特に限定されないが、撓み可能とする観点から100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、伸縮性基材10の厚さは、所定の強度確保の観点から20μm以上であることが好ましい。
【0019】
(接着層30)
接着層30は、伸縮性基材10とフレキシブル基板20との間を部分的に接着可能に構成される。特に限定されるものではないが、接着層30は、感圧性粘着剤等から構成され得る。感圧性粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、シリコーン系のものを用いることができる。感圧性接着剤を用いる場合、相対的に低温で相手方の部材と接着できるため、過剰な熱やUVエネルギーを用いることに伸縮性基材10およびフレキシブル基板20の変質、歪みを防止することができる。
【0020】
(電子部品40、50)
電子部品40、50は、フレキシブル基板20の主面上に配置され得る。本実施形態では、電子部品40と電子部品50とは図示しない配線等により電気的に接続されていてもよく、または電気的に接続されずに相互に独立した電子部品として機能してもよい。例えば、温度センサ、加速度センサ、体内に電磁波を照射するコイル、体内に超音波を照射する超音波発振器、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を測定するためのLED、受光センサ、回路を動作する電力源となる電池、データを無線通信するためのBLEモジュールなどが挙げられる。
【0021】
(第1実施形態の特徴部分)
上記の構成を前提として、第1実施形態は、フレキシブル基板20が初期の第1形態として少なくとも第1方向に撓み形態を有し、第2形態として一方向への延在形態を有する第1領域を含むことを特徴とする(
図1参照)。第1領域21は、撓み形態として湾曲形態または屈曲形態を有することができる。好ましくは、第1領域21は蛇腹構造を有し得る。かかる形態により、第1領域21の内側主面側に空隙が形成され得る。
【0022】
一例では、初期状態において、断面視で、フレキシブル基板20の第1領域21は相互に対向する2つの側面部25およびこれに連続する天面部26を有する。これに限定されることなく、同第1領域21は、実質的に天面部を有することなく、相互に対向する2つの側面部25の端部同士が連続する形態であることも可能である(
図11参照)。
【0023】
又、フレキシブル基板20はこの第1領域21に連続するおよび第2領域22を更に含むことができる。第2領域22は、第1領域21の少なくとも一方の側に配置され、かつ一方向に延在する形態を有する。別の観点からいえば、撓み形態の際に、この第2領域22はフレキシブル基板20の底面部をなす。
【0024】
一例では、第2領域22は、第1領域21の両側に配置され得る。この場合、伸縮性基材10は、一方の側の第2領域22から第1領域21を介して他方の側の第2領域22まで一方向に延在する形態を有することができる。
【0025】
かかる形態では、上記のとおり、第1領域21の内側主面側に空隙が形成されことからも、電子部品はフレキシブル基板20の主面に加えて、またはこれに代えて第1領域21に位置する伸縮性基材10の主面にも配置することができる。
【0026】
また、上記のとおり、伸縮性基材10は、弾性機能を有し、かつフレキシブル基板20と部分的に接着または接合されている。この事は、弾性を有する伸縮性基材10がフレキシブル基板20と部分的に一体に構成され得ることを意味する。
【0027】
かかる構成を採るが故、フレキシブル基板20、特にその第1領域21が伸縮性部材10により上記の撓み形態と一方向への延在形態とに変更可能又は変更自在となっている伸縮性基材。換言すれば、伸縮性基材10がフレキシブル基板20の第1領域21の形態に応じて伸張または収縮することができる。
【0028】
具体的には、上記のとおり、初期状態では、フレキシブル基板20の第1領域21は撓み形態、具体的には湾曲または屈曲形態を有し得る(
図1参照)。この場合、伸縮性基材10は、フレキシブル基板20の第1領域21の撓み形態に対応して収縮した状態となり得る。特に限定されるものではないが、断面視にて、撓み形態の際におけるフレキシブル基板20の第1領域21と第2領域22との間のなす角度θが90度以上135度以下であることができる。
【0029】
このフレキシブル基板20に対して引張力が作用する場合、第1領域21は上記の撓み形態から延在形態に変わり得る(
図2参照)。この場合、伸縮性基材10は、フレキシブル基板20の第1領域21の延在形態に対応して伸張状態となり得る。なお、第1領域21の延在形態の際に、フレキシブル基板20の第1領域21と第2領域22が相互に同一平面に位置付け可能である。
【0030】
伸縮性基材10は上記のとおり弾性の性質を有するため、伸張した伸縮性基材10に対して元の形態に戻ろうとする弾性力が作用する。かかる弾性力の作用により、フレキシブル基板20の第1領域21が上記の一方向への延在形態から元の撓み形態に収縮することができる。
【0031】
以上の事から、本実施形態によれば、伸縮性デバイス100は、全体として伸縮性と可撓性の両性質を備えることができる。それ故、よりコンパクトなサイズを有する伸縮性デバイス100を生体200に対して供することが可能となる。
【0032】
なお、伸縮性デバイスの低背化の観点から、電子部品40、50の高さは、撓み形態の際におけるフレキシブル基板20の第1領域21の最高高さよりも低いことが好ましい。一例として、撓み形態の際における上記第1領域21の最高高さが2mm以上であり得る。
【0033】
以下では、各実施形態の特徴的構成について主として説明する。各実施形態の説明前にて既に述べた実施形態の構成と同一または実質同一の構成については、内容の重複を避ける観点から、記載を省略または割愛する。
【0034】
[第2実施形態]
以下、
図3を参照しながら、第2実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第2実施形態は、第1実施形態(
図1および
図2参照)と比べて、伸縮性デバイスが配線を更に備える点で異なる。
【0035】
図3は、本発明の第2実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0036】
図3に示すように、第2実施形態に係る伸縮性デバイス100Aは、伸縮性基材10、フレキシブル基板20、両基板間を接着する接着層30、電子部品41、42、および配線60を備える。
【0037】
第2実施形態では、フレキシブル基板20の第1領域21およびこれに連続する第2領域22の主面上に、伸縮性の配線60が配置され得る。又、フレキシブル基板20の第1領域21の両側に第2領域22が位置付けられ、各第2領域22の主面上に電子部品41、42が配置され得る。
【0038】
かかる形態において、第1領域21の主面上に設けられた伸縮性の配線60を介して、一方の電子部品41と他方の電子部品42とが電気的に接続され得る。他の電気的経路を迂回することなく、フレキシブル基板20の第1領域21の構造を活用して、相互に離隔配置された電子部品同士の効率的な電気接続が可能となる。
【0039】
本明細書において、「フレキシブル基板20の第1領域21および第2領域22の主面上に配置された伸縮性の配線60」とは、フレキシブル基板20の主面と接した状態の伸縮性の配線と、フレキシブル基板20の主面に直接接することなく、他の部材(例えば樹脂層)を介して主面から離隔した状態の伸縮性の配線とを含む。
【0040】
伸縮性の配線60は導電性粒子および樹脂を含むことができる。伸縮性の配線60としては、例えば、導電性粒子としてのAg、Cu、Niなどの金属粉と、シリコーン樹脂などのエラストマー系樹脂とからなる混合物が挙げられる。導電性粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、0.01μm以上、10μm以下であることが好ましい。また、導電性粒子の形状は球形であることが好ましい。
【0041】
伸縮性の配線60の厚さは、特に限定されないが、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、伸縮性の配線60の厚さは0.01μm以上であることが好ましい。伸縮性の配線60の線幅は、特に限定されないが0.1μm以上であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。また、伸縮性の配線60の形状および本数は特に限定されない。
【0042】
なお、伸縮性デバイスの構成として、伸縮性基材と、伸縮性基材に設けられたミアンダ形状の配線パターンと、同配線パターンに実装された電子部品とを備えるものが考えられる。このミアンダ形状の配線パターンは、屈曲形態において伸縮性基材の伸縮方向に対して略平行な方向に位置づけられ得る。
【0043】
これに対して、本実施形態では、伸縮性基材10(伸縮性部材に相当)と伸縮性配線60との間にフレキシブル基板20が配置されると共に、フレキシブル基板20の第1領域21が撓み形態において伸縮性基材10の伸縮方向に対して交差する方向(略垂直方向)に位置づけられ得る。この点で、本実施形態の構成は上述の構成と異なり得る。
【0044】
[第3実施形態]
以下、
図4を参照しながら、第3実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第3実施形態は、第1実施形態(
図1および
図2参照)と比べて、伸縮性デバイスが伸縮性基材ではなく伸縮性クッション体10Bを備える点で異なる。
【0045】
図4は、本発明の第3実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0046】
図4に示すように、第1実施形態と異なり、弾性を有する伸縮性クッション体10Bがフレキシブル基板20と部分的に一体に構成され得る。かかる構成を採るが故、フレキシブル基板20の第1領域21は伸縮性クッション体10Bにより撓み形態と一方向への延在形態とに変更可能又は変更自在となっている。換言すれば、伸縮性クッション体10Bはフレキシブル基板20の第1領域21の形態に応じて伸張または収縮することができる。
【0047】
本明細書において、伸縮性基材10(
図1等参照)と伸縮性クッション体10Bとを総括して「伸縮性部材」と呼ぶ。
【0048】
伸縮性クッション体10Bはフレキシブル基板20の第1領域21の上記の撓み形態および延在形態のいずれにも対応して伸張および収縮可能であれば、その配置箇所は特に限定されない。例えば、伸縮性クッション体10Bは、撓み形態の第1領域21の相互に対向する2つの内側面23、24と接合または接着され得る。かかる2つの内側面23、24は、フレキシブル基板20の第2領域22の一方向延在方向に対して交差する方向に延在する側面であり得る。
【0049】
図4では、一例として、伸縮性クッション体10Bは内側面23、24の下端側同士を接続する態様を示しているが、伸縮性クッション体10Bの断面サイズは、第1領域21と一体化されるならば特に限定されるものではない。例えば、伸縮性クッション体10Bは、十分柔らかい場合、第1領域21と一体化されることを前提として、第1領域21の天面部側にも接触し得る。即ち、伸縮性クッション体10Bは、第1領域21の内側主面側に形成され得る空隙(内側空間とも称し得る)の断面サイズと略同一の断面サイズを有することができる。
【0050】
具体的には、上記のとおり、初期状態では、フレキシブル基板20の第1領域21は撓み形態を有し得る(
図4参照)。この場合、伸縮性クッション体10Bは第1領域21の撓み形態に対応して収縮した状態となり得る。
【0051】
このフレキシブル基板20に対して引張力が作用する場合、第1領域21は撓み形態から一方向への延在形態に変わり得る。この場合、伸縮性クッション体10Bは、フレキシブル基板20の第1領域21の延在形態に対応して伸張状態となり得る。伸縮性クッション体10Bは弾性の性質を有するため、伸張した伸縮性クッション体10Bに対して元の形態に戻ろうとする弾性力が作用する。かかる弾性力の作用により、フレキシブル基板20の第1領域21が一方向への延在形態から元の撓み形態に収縮することができる。
【0052】
以上の事から、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、伸縮性デバイス100Bは、全体として伸縮性と可撓性の両性質を備えることができる。それ故、よりコンパクトなサイズを有する伸縮性デバイス100Bを生体200に対して供することが可能となる。
【0053】
[第4実施形態]
以下、
図5を参照しながら、第4実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第4実施形態は、第1実施形態(
図1および
図2参照)と第3実施形態(
図4参照)の組合せである。
【0054】
図5は、本発明の第4実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0055】
図5に示すように、第4実施形態では、第1実施形態(
図1および
図2参照)と第3実施形態(
図4参照)との組合せが可能である。この場合、弾性を有する伸縮性基材10と伸縮性クッション体10Bの双方がフレキシブル基板20と部分的に一体に構成され得る。かかる構成を採るが故、フレキシブル基板20の第1領域21は伸縮性基材10および伸縮性クッション体10Bの双方により撓み形態と一方向への延在形態とに変更可能又は変更自在となっている。換言すれば、伸縮性基材10および伸縮性クッション体10Bの双方がフレキシブル基板20の第1領域21の形態に応じて伸張または収縮することができる。
【0056】
具体的には、上記のとおり、初期状態では、フレキシブル基板20の第1領域21は撓み形態を有し得る(
図5参照)。この場合、伸縮性基材10および伸縮性クッション体10Bの双方が第1領域21の撓み形態に対応して収縮した状態となり得る。
【0057】
このフレキシブル基板20に対して引張力が作用する場合、第1領域21は撓み形態から一方向への延在形態に変わり得る。この場合、伸縮性基材10および伸縮性クッション体10Bの双方が、フレキシブル基板20の第1領域21の延在形態に対応して伸張状態となり得る。そして、伸縮性基材10および伸縮性クッション体10Bの双方が弾性の性質を有するため、それにより、フレキシブル基板20の第1領域21が一方向への延在形態から元の撓み形態により好適に収縮することができる。
【0058】
以上の事から、第4実施形態は、伸縮性基材10および伸縮性クッション体10Bの双方の弾性力を活用できる点で、第1実施形態および第3実施形態のそれぞれと比べてより好適な形態である。
【0059】
なお、第4実施形態では、伸縮性基材10が伸縮性を有するため、クッション体10Bは伸縮性基材10と比べて相対的に小さい伸縮性を有していてよい。即ち、本実施形態では、クッション体10Bは伸縮性を必ずしも備えていなくてよい。この場合、伸縮性基材10が左右方向に伸縮可能である一方、クッション体10Bは、柔らかくかつ反発力のみを有していてよい。
【0060】
[第5実施形態]
以下、
図6を参照しながら、第5実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第5実施形態は、第2実施形態(
図3参照)と比べて、2つの伸縮性基材10、10Dが用いられる点で異なる。
【0061】
図6は、本発明の第5実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0062】
図6に示すように、第5実施形態は、2つの伸縮性基材(第1の伸縮性基材10DI、第2の伸縮性基材10DII)が用いられる点に特徴を有する。また、第5実施形態では、フレキシブル基板20Dは所定の間隔をおいて2つの第1領域21DX、21DYと3つの第2領域22DX~22DZを有する。各第2領域上には電子部品41~43がそれぞれ配置されている。隣り合う電子部品間については、電気的接続確保のために伸縮性の配線60DX、60DYがそれぞれ配置されている。
【0063】
また、第1の伸縮性基材10DIは各第2領域22DX~22DZと接着層30DIを介して接続されている。これに加え、第2の伸縮性基材10DIIは各第1領域21DX、21DYと接着層30DIIを介して接続されている。
【0064】
なお、これに限定されることなく、第2の伸縮性基材10DIIのみが各第1領域21DX、21DYと接着層30DIIを介して接続されてもよい。即ち、フレキシブル基板20Dが相互に対向する2つの主面を有する場合において、伸縮性基材がフレキシブル基板20Dの2つの主面の少なくとも一方の側に配置され得る。具体的には、1つ以上の伸縮性基材がフレキシブル基板20Dの2つの主面の少なくとも一方の側に配置され得る。
【0065】
かかる構成を採ることで、断面視で、フレキシブル基板20Dが2つの伸縮性基材10DI、10DIIに挟み込まれるように配置され得る。これにより、弾性を有する2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方がフレキシブル基板20と部分的に一体に構成され得る。かかる構成を採るが故、フレキシブル基板20の2つの第1領域21DX、21DYは2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方により撓み形態と一方向への延在形態とに変更可能又は変更自在となっている。換言すれば、2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方がフレキシブル基板20の2つの第1領域21DX、21DYの形態に応じて伸張または収縮することができる。
【0066】
具体的には、初期状態では、フレキシブル基板20Dの2つの第1領域21DX、21DYは撓み形態を有し得る(
図6参照)。この場合、2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方が2つの第1領域21DX、21DYの撓み形態に対応して収縮した状態となり得る。
【0067】
このフレキシブル基板20Dに対して引張力が作用する場合、2つの第1領域21DX、21DYは撓み形態から一方向への延在形態に変わり得る。この場合、2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方が、フレキシブル基板20Dの2つの第1領域21DX、21DYの延在形態に対応して伸張状態となり得る。そして、2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方が弾性の性質を有するため、それにより、フレキシブル基板20Dの2つの第1領域21DX、21DYが一方向への延在形態から元の撓み形態により好適に収縮することができる。
【0068】
以上の事から、第5実施形態は、2つの伸縮性基材10DI、10DIIの双方の弾性力を活用できる点で、第2実施形態と比べてより好適な形態である。
【0069】
[第6実施形態]
以下、
図7A~
図7Cおよび
図8を参照しながら、第6実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第6実施形態は、第1実施形態(
図1および
図2参照)と比べて、伸縮性デバイスが複数の方向に配置されたフレキシブル基板20を備える点で異なる。
【0070】
図7Aは、本発明の第6実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
図7Bは、
図7Aの線分II-II’間における本発明の第6実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
図7Cは、
図7Aの線分I-I’間における本発明の第6実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
図8は、本発明の第6実施形態に係る伸張状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0071】
第6実施形態では、
図7A~
図7Cおよび
図8に示すように、平面視で、第1領域が2つ以上配置され得る。この場合において、2つ以上の第1領域において、第1方向(例えばX方向)に延在可能なものと第2方向(例えばY方向)に延在可能なものが配置され得る。一例では、一方の第1領域21EXの延在方向と他方の第1領域21EYの延在方向とが直交する形態を採ることができる。
【0072】
なお、2つの方向に限定されることなく、相互に多方向(3つ以上の方向)に延在可能な3つ以上の第1領域が相互に交差するように配置されてよい。なお、フレキシブル基板20Eの第1領域の撓み、延在および伸縮を円滑に行う観点から、平面視で、2つ以上の第1領域は共通の交差部分を有し、当該交差部分は開口部分25Eであることが好ましい。
【0073】
また、平面視で、第1領域21EXが第1方向(例えばX方向)に2つ以上配置され得る。この場合、2つ以上の第1領域21EX1、21EX2(または21EY1、21EY2)うちの一方と他方の第1方向における幅が相互に異なり得る。具体的には、第1領域21EX1、21EY1は第1領域21EX2、21EY2よりも相対的に幅が大きい。換言すれば、第1領域21EX2、21EY2は第1領域21EX1、21EY1よりも相対的に幅が小さい。
【0074】
ここでいう「幅」とはX方向またはY方向に延在可能な第1領域の延在時におけるX方向(第1方向に対応)に沿った幅を指す。
【0075】
かかる形態によれば、生体の皮膚のうち関節部分の皮膚等の細かなまたは複雑な動きをする部分については、上記幅が相対的に小さい第1領域と対向配置させることが好ましい。これにより、関節部分の皮膚等の動きに追従して、幅が相対的に小さい第1領域と一体化した伸縮性部材10Eにおいてピッチの小さい伸縮を実現することができる。
【0076】
一方、生体の皮膚のうち相対的に前腕、上腕の皮膚等の細かなまたは複雑な動きをしない部分については、上記幅が相対的に大きい第1領域と対向配置させることが好ましい。これにより、前腕、上腕の皮膚等の動きに追従して、幅が相対的に大きい第1領域と一体化した伸縮性部材10Eにおいてピッチの大きい伸縮を実現することができる。
【0077】
即ち、フレキシブル基板20Eの第1領域の幅(蛇腹密度に相当)を調節することで、これに対応する伸縮性部材10Eの伸縮量の調整が可能となる。これにより、全体として、異なる伸縮量を有し、かつ可撓性を備えた伸縮性デバイス100Eを供することができる。
【0078】
[第7実施形態]
以下、
図9A~
図9Cを参照しながら、第7実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第7実施形態は、第1実施形態(
図1および
図2参照)と比べて、伸縮性デバイスがコイル形態である点で異なる。
【0079】
図9Aは、本発明の第7実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
図9Bは、
図9Aの線分I-I’間における本発明の第7実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
図9Cは、
図9Aの線分II-II’間における本発明の第7実施形態に係る初期状態の伸縮性デバイスを模式的に示す断面図である。
【0080】
図9A~
図9Cに示すように、第7実施形態では、フレキシブル基板20Fにおいて、複数の第1領域21Fが所定の間隔をおいて周回状に配置され、隣り合う2つの第1領域21F間に位置する第2領域22F上に、象限(四分円)の形態のフェライトシート70Fが配置され得る。かかるフェライトシート70Fの配置により、コイル形態の伸縮性デバイス100Fにおいて磁路の透磁率を高めることが可能となる。また、コイル形態の伸縮性デバイス100Fにおける入出力端子部分にも第1領域21F2が設けられている。
【0081】
このフレキシブル基板20Fに対して引張力が作用する場合、複数の第1領域21F、21F2は撓み形態から一方向への延在形態に変わり得る。この場合、伸縮性基材10Fは、フレキシブル基板20Fの各第1領域21F、21F2の延在形態に対応して伸張状態となり得る。
【0082】
伸縮性基材10Fは弾性の性質を有するため、伸張した伸縮性基材10Fに対して元の形態に戻ろうとする弾性力が作用する。かかる弾性力の作用により、フレキシブル基板20Fの各第1領域21F、21F2が一方向への延在形態から元の撓み形態に収縮することができる。
【0083】
以上の事から、第7実施形態においても、第1実施形態と同様に、伸縮性デバイス100Fは、全体として伸縮性と可撓性の両性質を備えることができる。それ故、よりコンパクトなサイズを有する伸縮性デバイス100Fを生体に対して供することが可能となる。
【0084】
[第8実施形態]
以下、
図10A~
図10Cを参照しながら、第8実施形態に係る伸縮性デバイスの構成について説明する。第8実施形態は、第2実施形態(
図3参照)と比べて、伸縮性デバイスが伸縮性のコイル配線を有する点で異なる。
【0085】
図10Aは、本発明の第8実施形態に係る伸張状態の伸縮性デバイスを模式的に示す平面図である。
図10Bは、
図10Aの伸張状態の伸縮性デバイスのフレキシブル基板の第1領域およびその周縁領域を模式的に示す拡大平面図である。
図10Cは、初期状態の伸縮性デバイスのフレキシブル基板の第1領域およびその周縁領域を模式的に示す拡大断面図である。
【0086】
図10A~
図10Cに示すように、第8実施形態では、伸縮性デバイス100Gは伸縮性のコイル配線60Gを備える。かかる伸縮性のコイル配線60Gは、伸縮性基材10Gに接続されたフレキシブル基板20G上に配置され得る。具体的には、コイル配線60Gは第1領域21Gおよび第2領域22Gの両方の主面上に配置され得る。
【0087】
平面視で、伸縮性のコイル配線60Gのうち、フレキシブル基板20Gの第1領域21Gと重なる部分において、配線の長手延在方向に対して垂直な方向に向かって外縁から内側に部分的に形成されるスリット65Gが供される。
【0088】
かかるスリット65Gは、配線の長手延在方向に対して垂直な方向において相互に向かって相互に2つ対向している。また、スリット65Gは、コイル配線60Gの長手延在方向に沿って外縁側に所定の間隔をおいて複数配置される。かかるスリット65Gの配置領域において、コイル配線60Gは伸縮しやすくなり得る。
【0089】
一例では、初期状態において、フレキシブル基板20Gの第1領域21Gを側面部21G1およびこれに連続する天面部21G2を有する。平面視で、伸縮性デバイス100Gが全体として伸縮性と可撓性の両性質を好適に供しやすくする観点から、これら側面部21G1および天面部21G2はそれぞれ、伸張時に上側に位置するコイル配線60Gの長手延在方向に沿って所定の間隔をおいて配置されたスリット部分65G間に位置するように構成され得る。
【0090】
以上の構成を採ることで、このフレキシブル基板20Gに対して引張力が作用する場合、複数の第1領域21Gは撓み形態から一方向への延在形態に変わり得る。この場合、伸縮性基材10Gは、フレキシブル基板20Gの各第1領域21Gの延在形態に対応して伸張状態となり得る(
図10Aおよび
図10B参照)。
【0091】
伸縮性基材10Gは弾性の性質を有するため、伸張した伸縮性基材10Gに対して元の形態に戻ろうとする弾性力が作用する。かかる弾性力の作用により、フレキシブル基板20Gの各第1領域21Gが一方向への延在形態から元の撓み形態に収縮することができる。
【0092】
以上の事から、第8実施形態においても、第2実施形態と同様に、伸縮性デバイス100Gは、コイル配線を備える場合においても、全体として伸縮性と可撓性の両性質を備えることができる。それ故、よりコンパクトなサイズを有する伸縮性デバイス100Gを生体に対して供することが可能となる。
【0093】
なお、各実施形態および変形例は例示であり、本発明は各実施形態および変形例に限定されるものではない。また、各図面は構成要素の例示であって、形状を限定するものではない。また、異なる実施形態および変形例で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態で述べた配線および電子部品の少なくとも一方は、フレキシブル基板の上記第1領域および上記第2領域の少なくとも一方の主面上に、又は伸縮性部材上に配置することができる。
【0095】
なお、本発明の一実施形態に係る伸縮性デバイスの態様は、以下のとおりである。
<1>
フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板と部分的に一体に構成され、弾性を有する伸縮性部材とを備え、
前記フレキシブル基板は、第1形態として少なくとも第1方向に撓み形態を有し、第2形態として一方向への延在形態を有する第1領域を含み、
前記第1領域が前記伸縮性部材により前記撓み形態と前記延在形態とに変更可能となっている、伸縮性デバイス。
<2>
前記伸縮性部材が前記第1領域の形態に応じて伸張または収縮する、<1>に記載の伸縮性デバイス。
<3>
前記第1領域の前記延在形態の際に、前記伸縮性部材が伸張し、伸張した前記伸縮性部材に対して弾性力が作用する、<1>又は<2>に記載の伸縮性デバイス。
<4>
前記フレキシブル基板と前記伸縮性部材との部分的な接合部位または接着部位が存在する、<1>~<3>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<5>
前記フレキシブル基板が相互に対向する2つの主面を有し、前記伸縮性部材が前記2つの主面の少なくとも一方の側に配置される、<1>~<4>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<6>
前記フレキシブル基板は、前記第1領域に連続する第2領域を更に含み、前記第2領域は、前記第1領域の少なくとも一方の側に配置され、一方向に延在する、<1>~<5>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<7>
前記フレキシブル基板の前記第1領域および第2領域の少なくとも一方の領域と前記伸縮性部材とが相互に接合または接着されている、<6>に記載の伸縮性デバイス。
<8>
前記第1領域の撓み形態の際に、前記第1領域の内側主面側に空隙が形成される、<1>~<7>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<9>
平面視で、前記第1領域が2つ以上配置され、2つ以上の前記第1領域が前記第1方向を含む複数の方向にて延在可能となっている、<1>~<7>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<10>
一方の前記第1領域の延在方向と他方の前記第1領域の延在方向とが直交する、<9>に記載の伸縮性デバイス。
<11>
平面視で、前記2つ以上の前記第1領域が共通の交差部分を有し、前記交差部分が開口部分である、<9>又は<10>に記載の伸縮性デバイス。
<12>
平面視で、前記第1領域が前記第1方向に2つ以上配置され、2つ以上の前記第1領域のうちの一方と他方の前記第1方向における幅が相互に異なる、<1>~<11>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<13>
前記フレキシブル基板の前記第1領域および前記第2領域の少なくとも一方の主面上に、又は前記伸縮性部材上に、配線および電子部品の少なくとも一方が配置される、<6>に従属する<7>~<12>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<14>
前記配線がコイル配線であり、前記コイル配線が前記第1領域および前記第2領域の両方の主面上に配置される、<13>に記載の伸縮性デバイス。
<15>
前記電子部品の高さが、撓み形態の際における前記第1領域の最高高さよりも低い、<13>又は<14>に記載の伸縮性デバイス。
<16>
撓み形態の際における前記第1領域の最高高さが2mm以上である、<15>に記載の伸縮性デバイス。
<17>
前記第1領域の前記延在形態の際に、前記フレキシブル基板の前記第1領域と前記第2領域が相互に同一平面に位置付け可能である、<6>に従属する<7>~<16>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<18>
前記第1領域が蛇腹構造である、<1>~<17>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<19>
前記伸縮性部材が、フィルム形態およびクッション形態の少なくとも一方の形態を有する、<1>~<18>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
<20>
断面視にて、撓み形態の際における前記第1領域と前記第2領域との間のなす角度θが90度以上135度以下である、<6>に従属する<7>~<19>のいずれかに記載の伸縮性デバイス。
【符号の説明】
【0096】
200 生体の皮膚等
100、100A~100H 伸縮性デバイス
10、10DI、10DII、10E、10F、10G 伸縮性部材
10B 伸縮性クッション体
20、20D、20E、20F、20G フレキシブル基板
21、21DX、21DY、21EX、21EX1、21EX2、21EY、21EY1、21EY2、21F、21F2、21G フレキシブル基板の第1領域
21G1 第1領域の側面部
21G2 第1領域の天面部
22、22DX、22DY、22DZ、22EX、22EY、22F フレキシブル基板の第2領域
23 フレキシブル基板の第1領域の一方の内側面
24 フレキシブル基板の第1領域の他方の内側面
25 フレキシブル基板の第1領域の側面部
25E 開口部分
26 フレキシブル基板の第1領域の天面部
30、30DI、30DII 接着層
40、41~43 電子部品
50 電子部品
60、60DX、60DY、60G 伸縮性の配線
65G 伸縮性の配線のスリット
70F フェライトシート