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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035857
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】圧電ユニット及び入出力装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20240308BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B06B1/04 S
B06B1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140445
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】長坂 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 良典
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107BB08
5D107CC01
5D107CD03
5D107DE02
(57)【要約】
【課題】素子の数を削減することが可能な圧電ユニット及び入出力装置を提供する。
【解決手段】圧電ユニットPUは、圧電素子21と、圧電素子21を振動させる出力を行う出力部31と、圧電素子21にて発生する電圧の入力を受ける入力部32と、出力部31による出力及び入力部32による入力が交互になるように切り替える制御部30とを備える。入出力装置は、圧電ユニットPUを収容する筐体と、筐体の外面に配置された接触部とを備え、接触部は、圧電素子21に起因する振動を出力し、外部からの接触に起因する入力を圧電素子21に伝達する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
前記圧電素子を振動させる出力を行う出力部と、
前記圧電素子にて発生する電圧の入力を受ける入力部と、
前記出力部による出力及び前記入力部による入力が交互になるように切り替える制御部と
を備えることを特徴とする圧電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電ユニットであって、
周期信号を発信する発振回路を備え、
前記発振回路が発振する周期信号に基づいて、前記出力部による出力及び前記入力部による入力を切り替える
ことを特徴とする圧電ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電ユニットであって、
前記出力部は、
第1周波数の第1信号を発振する第1発振回路と、
第1周波数と異なる第2周波数の第2信号を発振する第2発振回路と、
前記第1発振回路が発振した第1信号の波形及び前記第2発振回路が発振した第2信号の波形を合成する加算回路と
を備え、
前記圧電素子を振動させる出力は、前記加算回路により合成された波形に基づいて前記圧電素子を振動させる出力である
ことを特徴とする圧電ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電ユニットであって、
前記第1周波数及び第2周波数の差は、1~50Hzである
ことを特徴とする圧電ユニット。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の圧電ユニットであって、
前記第1周波数及び第2周波数は、50~500Hzである
ことを特徴とする圧電ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の圧電ユニットと、
前記圧電ユニットを収容する筐体と、
前記筐体の外面に配置された接触部と
を備え、
前記接触部は、前記圧電素子に起因する振動を出力し、外部からの接触に起因する入力を前記圧電素子に伝達する
ことを特徴とする入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を備える圧電ユニット及びそのような圧電ユニットを備える入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット型コンピュータ等の電子機器は、使用者の指の接触による入力を検出し、使用者の指に対して振動を伝える出力を行う入出力装置として機能する。このような入出力装置として、例えば、特許文献1では、指の接触を検出する静電容量式センサーと、圧電材料を用いて振動を与えるアクチュエータとを備える電子機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-339298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された電子機器は、静電容量式センサー及び圧電材料という複数の素子を用いるため、例えば、大型化し易い等の問題が生じる。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、素子の数を削減することが可能であり、これにより、例えば、小型化することが可能な圧電ユニットの提供を主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、本発明に係る圧電ユニットを備える入出力装置の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願開示の圧電ユニットは、圧電素子と、前記圧電素子を振動させる出力を行う出力部と、前記圧電素子にて発生する電圧の入力を受ける入力部と、前記出力部による出力及び前記入力部による入力が交互になるように切り替える制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記圧電ユニットにおいて、周期信号を発信する発振回路を備え、前記発振回路が発振する周期信号に基づいて、前記出力部による出力及び前記入力部による入力を切り替えることを特徴とする。
【0009】
また、前記圧電ユニットにおいて、前記出力部は、第1周波数の第1信号を発振する第1発振回路と、第1周波数と異なる第2周波数の第2信号を発振する第2発振回路と、前記第1発振回路が発振した第1信号の波形及び前記第2発振回路が発振した第2信号の波形を合成する加算回路とを備え、前記圧電素子を振動させる出力は、前記加算回路により合成された波形に基づいて前記圧電素子を振動させる出力であることを特徴とする。
【0010】
また、前記圧電ユニットにおいて、前記第1周波数及び第2周波数の差は、1~50Hzであることを特徴とする。
【0011】
また、前記圧電ユニットにおいて、前記第1周波数及び第2周波数は、50~500H
zであることを特徴とする。
【0012】
更に、本願開示の入出力装置は、前記圧電ユニットと、前記圧電ユニットを収容する筐体と、前記筐体の外面に配置された接触部とを備え、前記接触部は、前記圧電素子に起因する振動を出力し、外部からの接触に起因する入力を前記圧電素子に伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願開示の圧電ユニット等は、圧電素子に対する電圧の印加及び電圧の測定を交互に行うことにより、素子の数を削減することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願開示の入出力装置の外観の一例を示す概略外観図である。
図2】本願開示の入出力装置の外観の一例を示す概略外観図である。
図3】本願開示の入出力装置の内部の一例を示す概略斜視図である。
図4】本願開示の入出力装置が備える圧電デバイスの一例を示す概略外観図である。
図5】本願開示の圧電ユニットが備える制御デバイスの機能構成の一例を模式的に示す回路ブロック図である。
図6】人体の皮膚感覚に対する周波数の影響の一例を示すグラフである。
図7】本願開示の圧電ユニットが備える制御デバイスの出力部に係る信号波形の一例を示すタイムチャートである。
図8】本願開示の圧電ユニットが備える制御デバイスの機能構成の一例を模式的に示す回路ブロック図である。
図9】本願開示の圧電ユニットが備える制御デバイスの第1制御方法に係る信号波形の概形の一例を示すタイムチャートである。
図10】本願開示の圧電ユニットが備える制御デバイスの第2制御方法に係る信号波形の概形の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<適用例>
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。本願開示の入出力装置は、例えば、使用者の指の接触を検知し、かつ接触した指に振動を伝えるゲーム装置、ゲーム装置用コントローラ、スマートフォン、タブレット型コンピュータ等の装置に適用される。以下では、図面を参照しながらゲーム装置に適用した入出力装置IOを例示して説明する。
【0016】
<入出力装置IOの外観>
図1及び図2は、本願開示の入出力装置IOの外観の一例を示す概略外観図である。図1は、入出力装置IOの正面側を中心に示す概略斜視図であり、図2は、入出力装置IOの背面側を中心に示す概略斜視図である。入出力装置IOは、略長方形の板状をなす筐体1を備え、筐体1の正面中央には、長方形状の液晶パネル等の表示部10が配置されており、表示部10の左右に使用者が把持する把持部11が配置されている。把持部11には、使用者が、親指で操作する操作ボタン等の操作部12が配置されている。筐体1の背面(外面)には、使用者の親指以外の指が触れる位置に、接触部13が4箇所に配置されている。
【0017】
<入出力装置IOの内部構造>
図3は、本願開示の入出力装置IOの内部の一例を示す概略斜視図である。図3は、入出力装置IOの筐体1の正面に配置された表示部10を取り外し、内部の構造が視認できるように示している。なお、入出力装置IOの内部を視認し易いように、図3は、筐体1
及び筐体1内に配置された圧電デバイス2のみを示している。図3に例示するように、筐体1内には、4個の圧電デバイス2が配置されており、各圧電デバイス2の配置位置は、筐体1の背面の接触部13の位置に対応している。このような配置により、筐体1に配置された接触部13を介して、使用者の接触に起因する入力を圧電デバイス2が検知し、圧電デバイス2に起因する振動を出力として使用者に伝達する。
【0018】
<圧電デバイス2の構造>
図4は、本願開示の入出力装置IOが備える圧電デバイス2の一例を示す概略外観図である。圧電デバイス2は、基板20と、基板20上に配置された圧電素子21と、基板20上に形成されたプリント配線22とを備えている。
【0019】
基板20は、略長方形の薄膜状に形成された可撓性を有するフレキシブルプリント基板(FPC基板)である。基板20は、ベースフィルムに、ベースフィルム上の圧電素子21及びプリント配線22を保護する保護フィルムを積層して形成されている。
【0020】
基板20上に配置された圧電素子21は、略長方形の薄膜状に形成されている。圧電素子21は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電性を有するピエゾ素子を用いて形成されており、電圧の印加で変形し、押圧を受けて電圧を発生する。従って、サイン波等の周期的な電圧を印加することにより、圧電素子21は振動し、使用者の指等の人体の接触に基づく押圧により、圧電素子21は電圧を発生する。圧電素子21には、電圧の入出力部となる一対の素子電極部21aが形成されている。
【0021】
圧電素子21には、一対のプリント配線22が接続されている。プリント配線22の一端側は、圧電素子21の素子電極部21aに接続する配線電極部22aとなっており、他端側は、端子部22bとなっている。配線電極部22aと、圧電素子21とは、銀ペースト等の導電性の接着材を用いた導電ペースト23にて電気的に接続されている。端子部22bは、制御デバイス3(図5等参照)に電気的に接続されている。
【0022】
<圧電ユニットPUの第1の機能構成例>
入出力装置IOが備える筐体1内には、圧電デバイス2と共に、圧電デバイス2が備える圧電素子21を制御する制御デバイス3が収容されており、圧電デバイス2と制御デバイス3とにより、圧電素子21を制御する圧電ユニットPUを構成している。圧電ユニットPUは、制御方法に応じた様々な構成で設計することが可能である。以降では、機能構成の一例として第1の機能構成例について説明する。図5は、本願開示の圧電ユニットPUが備える制御デバイス3の機能構成の一例を模式的に示す回路ブロック図である。圧電ユニットPUが備える制御デバイス3は、制御部30、出力部31、入力部32、入出力切替部33等の各種構成を備えている。
【0023】
制御部30は、制御デバイス3全体を制御するプロセッサである。出力部31は、制御部30の制御に基づいて、圧電デバイス2が備える圧電素子21を振動させる出力信号の出力を行う回路である。入力部32は、圧電素子21にて発生する電圧に基づく入力信号の入力を受け付け、入力信号を制御部30へ渡す回路である。入出力切替部33は、制御部30の制御に基づいて、出力部31による出力及び入力部32による入力を切り替える回路である。
【0024】
各種回路について更に説明する。制御部30は、出力部31を制御して圧電素子21の振動を制御し、また圧電素子21から入力された電圧に基づく信号を入力部32から受け付ける。入力を受け付けた制御部30は、入力された信号に基づく各種制御及び信号処理を行う。また、制御部30は、入出力切替部33及び入力部32へ切替信号を出力する。切替信号は、圧電素子21を駆動すべく圧電デバイス2へ電圧を印加する出力モードと、
使用者の接触に起因して圧電素子21が出力する電圧の入力を受ける入力モードとを切り替える信号である。制御部30は、出力モードと入力モードとを予め設定されている所定の時間比率に基づくタイミングで切り替えるタイムシェアリング制御を行う。
【0025】
出力部31は、第1発振回路311、第2発振回路312、加算回路313、出力増幅回路314等の各種回路を備えている。
【0026】
第1発振回路311及び第2発振回路312は、制御部30の制御に基づいて信号を発振する回路である。第1発振回路311は、第1周波数の第1信号を発振し、加算回路313へ出力する。第2発振回路312は、第2周波数の第2信号を発信し、加算回路313へ出力する。第1信号は、例えば、200Hz等のサイン波の波形の周期信号として出力される。第2信号は、第1信号と1~50Hz異なる周波数、例えば、203Hz等のサイン波の波形の周期信号として出力される。
【0027】
加算回路313は、第1発振回路311から出力された第1信号及び第2発振回路312から出力された第2信号の入力を受けて、第1信号の波形及び第2信号の波形を合成する。加算回路313は、合成した波形の信号を出力増幅回路314へ出力する。出力増幅回路314は、加算回路313から入力された合成した波形の信号を増幅し、増幅した波形の信号を出力信号として入出力切替部33へ出力する。
【0028】
入出力切替部33は、制御部30から出力される切替信号に基づいて、圧電デバイス2及び制御デバイス3間の入出力を切り替えるスイッチ回路である。入出力切替部33が出力側に位置する出力モードの場合、加算回路313で合成され、出力増幅回路314で増幅された合成した波形の出力信号が出力され、出力信号に基づく電圧が、圧電デバイス2が備える圧電素子21に印加される。即ち、出力信号は、圧電デバイス2を駆動する駆動信号として出力される。入出力切替部33が入力側に位置する入力モードの場合、圧電素子21が発生させる電圧に基づく入力信号の入力を圧電デバイス2から受け付けて、入力部32へ出力する。
【0029】
入力部32は、入力増幅回路320、S/H回路321(サンプルホールド回路)、LPF回路322(ローパスフィルタ回路)等の各種回路を備えている。
【0030】
入力増幅回路320は、圧電デバイス2から入力された入力信号の波形を増幅し、S/H回路321へ出力する回路である。S/H回路321は、増幅された入力信号の波形を所定の周期でサンプリングし、保持する回路である。LPF回路322は、S/H回路321にてサンプリング及び保持された値を滑らかな波形として制御部30へ出力する回路である。なお、S/H回路321は、制御部30から出力される切替信号に基づいて、入力モードの期間のみサンプリング及び保持等の処理を行う。
【0031】
以上のように構成された圧電ユニットPUにより、制御デバイス3は、圧電デバイス2の出力モード及び入力モードが交互になるように切り替えるタイムシェアリング制御を行う。
【0032】
次に、圧電ユニットPUによる制御の例について説明する。出力部31が備える第1発振回路311が発振する第1信号及び第2発振回路312が発振する第2信号は、サイン波、矩形波、ノコギリ波等の周期性を有する波形の周期信号である。なお、第1の機能構成例としては、周期信号としてサイン波を用いる形態を例示して説明する。第1信号及び第2信号の周波数は、50~500Hzの間で制御されるが、200Hz近傍が好ましい。また、第1信号及び第2信号の周波数は異なっており、周波数の差は1~50Hzの間で制御されるが、2~3Hzの範囲での制御が好ましい。例えば、前述のように、第1信
号の周波数を200Hzとし、第2信号の周波数を203Hzとなるように、制御部30は、第1発振回路311及び第2発振回路312を制御する。
【0033】
図6は、人体の皮膚感覚に対する周波数の影響の一例を示すグラフである。図6では、横軸に周波数をとり、縦軸にパチニ小体が振動振幅を知覚する弁別閾値をとって、その関係を示している。パチニ小体とは、人体の皮膚に見られる機械受容体の一つである。図6のグラフに示すように、パチニ小体は、200Hz近傍の周波数の振動に対して最も敏感であり、1μm程度の振幅でも知覚することができる。従って、第1発振回路311が発振する第1信号及び第2発振回路312が発振する第2信号に係る周波数は、50~500Hzで制御することが好ましく、特に、200Hz近傍に制御することが好ましい。
【0034】
図7は、本願開示の圧電ユニットPUが備える制御デバイス3の出力部31に係る信号波形の一例を示すタイムチャートある。図7は、上段から、第1発振回路311が発振する第1信号の波形、第2発振回路312が発振する第2信号の波形、そして加算回路313にて合成された合成信号の波形を示すタイムチャートである。各グラフは、いずれも、横軸に時間をとり、縦軸に信号値となる電圧をとって、信号値の経時変化を示している。上段に示す第1信号は、周波数が200Hzの波形であり、中段に示す第2信号は、周波数が203Hzの波形である。下段に示す合成信号の波形は、周波数の差である3Hzのうなりが生じる周期信号となっている。人体の皮膚感覚は、周波数が一定の振動より、変化のある振動に対して、より敏感となる。本願発明者らは、実験により、うなりが1~50Hzの場合に、一定の周波数より敏感に振動を知覚することができ、特に、うなりが2~3Hzの場合に、最も敏感に振動を知覚することができるとの知見を得た。従って、第1発振回路311及び第2発振回路312にて異なる周波数の信号を発信することが好ましく、信号間の周波数の差は、1~50Hzが好ましく、特に、2~3Hzとすることが好ましい。
【0035】
圧電ユニットPUにおけるタイムシェアリング制御の例について説明する。第1の機能構成例において、制御部30は、入力モードの期間を、うなりにより出力信号の振幅が所定値より小さくなる期間に同期させるように、切替信号を出力する。即ち、本願開示の圧電ユニットPUは、振幅に応じて制御部30から入力切替部33へ切替信号を出力することにより、出力信号の振幅が所定値より小さくなる期間に入力モードとなり、所定値以上となる期間に出力モードとなる。このようにして、圧電ユニットPUは、周期信号に基づいて入力モードの期間での入力部32よる入力と出力モードの期間での出力部31による出力が交互になるように切り替えるタイムシェアリング制御を行う。従って、本願開示の圧電ユニットPUは、一の圧電素子21を入力用及び出力用の素子として用い、使用者の指の接触による入力を検出し、かつ使用者の指に対して振動を伝える出力を行うことが可能となる。なお、本願開示の圧電ユニットPUは、制御部30による切替の制御を、うなりが発生する出力信号と同期させるため、例えば、出力信号を出力部31から制御部30へ出力する等、適宜設計することが可能である。
【0036】
<圧電ユニットPUの第2の機能構成例>
圧電ユニットPUの第2の機能構成例は、第1の機能構成例において、一の発振回路310にて周期信号を発信する形態である。図8は、本願開示の圧電ユニットPUが備える制御デバイス3の機能構成の一例を模式的に示す回路ブロック図である。第2の機能構成例に係る圧電ユニットPUが備える制御デバイス3は、制御部30、出力部31、入力部32、入出力切替部33等の各種構成を備えている。出力部31は、発振回路310及び出力増幅回路314を備えている。制御部30、入力部32及び入力切替部33の構成は、第1の機能構成例と略同様であるので、第1の機能構成例の説明を参照するものとし、詳細な説明を省略する。
【0037】
出力部31が備える発振回路310は、サイン波、矩形波、ノコギリ波等の周期性を有する波形の周期信号を発信し、出力増幅回路314へ出力する。なお、第2の機能構成例としては、周期信号として矩形波を用いる形態を例示して説明する。出力増幅回路314は、発振回路310から入力された信号を増幅し、増幅した波形の信号を出力信号として入出力切替部33へ出力する。
【0038】
第2の機能構成例に係る圧電ユニットPUによるタイムシェアリング制御の例について説明する。第2の機能構成例に係る圧電ユニットPUにおけるタイムシェアリングの制御方法は、圧電素子21の応答性能に応じて様々な仕様で設計される。圧電素子21を振動させる応答性能が比較的高い場合、例えば、圧電素子21を振動させる際の応答時間が2ms以下の場合の第1制御方法について説明する。
【0039】
図9は、本願開示の圧電ユニットPUが備える制御デバイス3の第1制御方法に係る信号波形の概形の一例を示すタイムチャートである。図9は、上段から、出力部31から入出力切替部33を介して出力する駆動信号の波形、入力部32が処理する各種信号の波形、そして、制御部30から出力する切替信号の波形を示すグラフである。各グラフは、いずれも、横軸に時間をとり、縦軸に信号値をとって、信号値の経時変化を示している。なお、下段に示す切替信号は、出力モードの期間をローレベルで示し、入力モードの期間をハイレベルで示している。
【0040】
上段に示す駆動信号は、入出力切替部33が、出力部31から入力された出力信号のうちで、下段に示す切替信号がローレベルの出力モードの期間に入出力切替部33から出力される信号である。なお、出力信号と切替信号とは、周期が同一でハイレベル及びローレベルの期間が逆転するように制御されているため、出力信号は、ハイレベル(切替信号はローレベル)となった期間に、駆動信号として、入力切替部33から出力される。
【0041】
中段に示す入力部32が処理する各種信号の波形は、実線で示す入力信号の波形、一点鎖線で示すS/H回路321で処理された波形、及び点線で示すLPF回路322で処理された波形を重畳して示している。波形を実線で示す入力信号は、下段に示す切替信号がハイレベルの入力モードの期間に入出力切替部33から入力される信号であり、入力モードの期間に、接触部13を介して圧電素子21が検出した人の接触に基づく電圧を示している。一点鎖線で示すS/H回路321で処理された信号は、サンプリングした時期の信号値を次のサンプリングまでの期間保持した波形となっている。破線で示すLPF回路322で処理された信号は、S/H回路321で処理された信号の波形を滑らかにした形状の波形となっている。
【0042】
図9に例示するように、第1制御方法は、出力信号及び切替信号として用いられる矩形波の周期に基づいて、出力モード及び入力モードを同じ時間間隔で切り替える制御方法である。即ち、圧電ユニットPUは、発振回路310が発振する矩形波等の周期信号に基づいて、出力部31による出力及び入力部32による入力を切り替える。圧電素子21の応答期間が2ms以下の場合、圧電デバイス2は、例えば、切替周期を5msとし、2.5ms毎に出力モード及び入力モードを切り替える。このようにして、本願開示の圧電ユニットPUは、一の圧電素子21を入力用及び出力用の素子として用い、使用者の指の接触による入力を検出し、使用者の指に対して振動を伝える出力を行うことが可能となる。
【0043】
次に、圧電素子21を振動させる応答性能が比較的低い場合、例えば、圧電素子21を振動させる際の応答時間が2ms以上の場合の第2制御方法について説明する。
【0044】
図10は、本願開示の圧電ユニットPUが備える制御デバイス3の第2制御方法に係る信号波形の概形の一例を示すグラフである。図10は、上段から、出力部31から入出力
切替部33を介して出力する駆動信号の波形、入力部32が処理する信号の波形、そして、制御部30から出力する切替信号の波形を示すグラフである。各グラフは、いずれも、横軸に時間をとり、縦軸に信号値をとって、信号値の経時変化を示している。なお、下段に示す切替信号は、出力モードの期間をローレベルで示し、入力モードの期間をハイレベルで示している。
【0045】
上段に示す駆動信号は、入出力切替部33が、出力部31から入力された出力信号のうちで、下段に示す切替信号がローレベルの出力モードの期間に入出力切替部33から出力される信号である。なお、本来の出力信号は、例えば、図9上段に例示したように、ハイレベル及びローレベルが同時間で切り替わる矩形信号であるため、図10に例示したハイレベルの期間中も、複数回の切替が行われている。ただし、図10上段では、図示の便宜上、概形として一定の信号値に簡略化して示している。
【0046】
中段に示す入力部32が処理する信号の波形は、S/H回路321で処理された波形を代表して示している。
【0047】
図10に例示するように、第2制御方法は、出力モード及び入力モードを異なる時間間隔で切り替える制御方法である。第2制御方法は、出力モードの期間を長くとることにより、応答性能が低い圧電素子21を用いた場合でも十分に機能を発揮させることが可能となる。
【0048】
以上のように本願開示の圧電ユニットPU等は、一の圧電素子21を、出力用の素子及び入力用の素子として使い分け、タイムシェアリングで制御する。これにより、本願開示の圧電ユニットPU等は、出力用の素子及び入力用の素子をそれぞれ備える構成と比べて、素子に必要な配線、制御等の構成を簡素化することが可能となる。従って、本願開示の圧電ユニットPU等は、コストダウン、小型化、設計の容易化、故障率の低減等の様々な効果を奏する。
【0049】
また、本願開示の圧電ユニットPU等は、切替信号により、出力モードと入力モードとを切り替えるので、出力部31側の回路と入力部32側の回路とを切り離し、クロストークの発生を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0050】
更に、本願開示の圧電ユニットPU等は、駆動信号により圧電素子21を振動させる時間を、出力モードの期間だけに限定できる。従って、本願開示の圧電ユニットPU等は、圧電素子21の応力回数を削減し、長寿命化を見込むことが可能である等、優れた効果を奏する。
【0051】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術範囲は、請求の範囲によって説明するものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0052】
例えば、前記実施形態では、図5に例示する第1の機能構成例として、第1発振回路311及び第2発振回路312並びに加算回路313を用いて、振幅変調によるうなりを利用してタイムシェアリング制御を行う形態を例示した。本願開示の圧電ユニットPUによるうなりを利用したタイムシェアリング制御は、様々な形態で実施することが可能である。例えば、本願開示の圧電ユニットPUは、位相制御により、デューティー比を制御し、うなりを利用したタイムシェアリング制御行うことも可能である。位相制御にて、うなりを利用する場合、図8に例示する第2の機能構成例として示すように、一の発振回路31
0を用いて、圧電ユニットPUを実現することが可能である。
【0053】
また、例えば、本願開示の圧電ユニットPUは、第2の機能構成例において、出力信号がローレベルからハイレベルに切り替わる時間及びハイレベルからローレベルに切り替わる時間に、出力モードとして制御する等、周期信号に基づいて入力及び出力を切り替える様々な形態に展開することが可能である。
【0054】
更に、例えば、前記実施形態では、デジタル回路でタイムシェアリング制御を行う形態を示したが、本願開示の圧電ユニットPUはこれに限らず、例示した回路以外のデジタル回路、更には、アナログ回路で制御する等、様々な形態に展開することが可能である。例えば、アナログ回路としては、三角波等の周期性を有する信号を発振する発振回路310を用い、発振回路310が発振する信号の値を、比較器に入力された閾値信号と比較して、出力モードと入力モードとを切り替えるフリップフロップ回路を例示することができる。
【0055】
また、例えば、前記実施形態では、本願開示の入出力装置IOをゲーム装置に適用する形態について説明したが、本願開示の入出力装置IOは、これに限らず、使用者に対して、振動により状況又は情報を伝えるスマートフォン、タブレット型コンピュータ等の様々な装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
IO 入出力装置
PU 圧電ユニット
1 筐体
13 接触部
2 圧電デバイス
21 圧電素子
3 制御デバイス
30 制御部
31 出力部
310 発振回路
311 第1発振回路
312 第2発振回路
313 加算回路
314 出力増幅回路
32 入力部
320 入力増幅回路
321 S/H回路(サンプルホールド回路)
322 LPF回路(ローパスフィルタ回路)
33 入出力切替部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10