(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035863
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、蓄電池システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20240308BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240308BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J7/34 A
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140459
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石丸 淳一
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力系統における電力の需給バランスを効率よく調整できる情報処理装置、蓄電池システム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】制御システム100において、蓄電池及びパワーコンディショナを有する蓄電池システム110内に設けられ、EMSの機能を実現する情報処理装置は、需要家エリアに実際に供給されている電力の値である電力値と、外部のリソースアグリゲーターシステムから一定時間ごとに送信され、需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値と、を取得し、前記電力値と前記目標値との差分に基づいて、前記蓄電池の充放電を行うための充放電指令を前記パワーコンディショナに送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池及びパワーコンディショナを有する蓄電池システム内に設けられる情報処理装置であって、
需要家エリアに実際に供給されている電力の値である電力値と、外部のリソースアグリゲーターシステムから一定時間ごとに送信される、前記需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値と、を取得し、
前記電力値と前記目標値との差分に基づいて、前記蓄電池の充放電を行うための充放電指令を前記パワーコンディショナに送信する、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記充放電指令は、
前記電力値が前記目標値よりも大きいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の放電を行うための放電指令と、
前記電力値が前記目標値よりも小さいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の充電を行うための充電指令と、を含む
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置であって、
前記一定時間よりも短い時間間隔で、前記充放電指令を連続して発生する、
情報処理装置。
【請求項4】
蓄電池と、
パワーコンディショナと、
需要家エリアに実際に供給されている電力の値である電力値と、外部のリソースアグリゲーターシステムから一定時間ごとに送信される、前記需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値と、を取得し、前記電力値と前記目標値との差分に基づいて、前記蓄電池の充放電を行うための充放電指令を前記パワーコンディショナに送信する情報処理装置と、
を備える蓄電池システム。
【請求項5】
請求項4に記載の蓄電池システムであって、
前記充放電指令は、
前記電力値が前記目標値よりも大きいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の放電を行うための放電指令と、
前記電力値が前記目標値よりも小さいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の充電を行うための充電指令と、を含む
蓄電池システム。
【請求項6】
請求項5に記載の蓄電池システムであって、
前記情報処理装置は、
前記一定時間よりも短い時間間隔で、前記充放電指令を連続して発生する、
蓄電池システム。
【請求項7】
蓄電池及びパワーコンディショナを有する蓄電池システム内に設けられる情報処理装置が、
需要家エリアに実際に供給されている電力の値である電力値と、外部のリソースアグリゲーターシステムから一定時間ごとに送信される、前記需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値と、を取得し、
前記電力値と前記目標値との差分に基づいて、前記蓄電池の充放電を行うための充放電指令を前記パワーコンディショナに送信する、
情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法であって、
前記充放電指令は、
前記電力値が前記目標値よりも大きいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の放電を行うための放電指令と、
前記電力値が前記目標値よりも小さいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の充電を行うための充電指令と、を含む
情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
前記一定時間よりも短い時間間隔で、前記充放電指令を連続して発生する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家側における分散型のエネルギーリソースを用いて電力の需給バランスを調整するための情報処理装置、蓄電池システム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
需要家側における複数の分散型のエネルギーリソース(例えば、蓄電池システム)を、情報通信技術による遠隔及び統合制御の下で、1つの発電設備として機能させるバーチャルパワープラント(以下、「VPP」(VPP:Virtual Power Plant)と称する)が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
VPPでは、リソースアグリゲーターシステム(以下、「RAシステム」(RA:Resource Aggregator)と称する)が、電力系統における電力の需給バランスを調整するために、複数の分散型のエネルギーリソースによる電力の吸収及び放出を制御している。
【0004】
例えば、RAシステムは、需要家エリアにおける過去の電力需要を示す情報(例えば、日時、天候、気温、電力使用量等を対応付けた情報)に基づいて、需要家エリアにおける未来の電力需要を予測し、未来の電力需要の予測結果に基づいて、複数の分散型のエネルギーリソースによる電力の吸収及び放出を制御している。
【0005】
また、RAシステムは、需要家エリアにおける過去の電力需要を示す情報に基づいて、需要家エリアにおける未来の電力需要の目標値を算出し、需要家エリアに供給されている電力が目標値から乖離している場合は、複数の分散型のエネルギーリソースによる電力の吸収及び放出を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、複数の分散型のエネルギーリソースによる電力の吸収及び放出を行うための制御指示は、常にRAシステムから送信されてくるため、電力系統における電力の需給バランスを調整するまでに時間を要する場合や、需要家エリアのきめ細かな需給バランス制御が難しい場合があった。
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、電力系統における電力の需給バランスを効率よく調整することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のうちの1つは、蓄電池及びパワーコンディショナを有する蓄電池システム内に設けられる情報処理装置であって、需要家エリアに実際に供給されている電力の値である電力値と、外部のRAシステムから一定時間ごとに送信される、前記需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値と、を取得し、前記電力値と前記目標値との差分に基づいて、前記蓄電池の充放電を行うための充放電指令を前記パワーコンディショナに送信する。
【0010】
本発明の情報処理装置によれば、RAシステムから目標値を取得すると、蓄電池システム内で充放電指令を発生するため、電力系統における電力の需給バランスを効率よく調整することが可能となる。
【0011】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、情報処理装置であって、前記充放電指令は、前記電力値が前記目標値よりも大きいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の放電を行うための放電指令と、前記電力値が前記目標値よりも小さいときの前記電力値及び前記目標値の差に基づいて、前記蓄電池の充電を行うための充電指令と、を含む。
【0012】
本発明の情報処理装置によれば、RAシステムから目標値を取得すると、蓄電池システム内で放電指令又は充電指令を選択的に発生するため、電力系統における電力の需給バランスを効率よく調整することが可能となる。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明のうちの他の1つは、情報処理装置であって、前記一定時間よりも短い時間間隔で、前記充放電指令を連続して発生する。
【0014】
本発明の情報処理装置によれば、電力系統における電力の需給バランスを精細に調整することが可能となる。
【0015】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電力系統における電力の需給バランスを効率よく調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る蓄電池システムに含まれる蓄電池の充放電を制御する制御システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る蓄電池システムに含まれるEMSの機能を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る蓄電池システムに含まれるEMSの機能を実現する情報処理装置のハードウェアの一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る蓄電池システムに含まれるEMSが蓄電池の充放電指令を生成する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る蓄電池システムにおける蓄電池の充放電を制御することによる電力値及び目標値の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態において、同一の又は類似する構成については共通の符号を付してその説明を省略することがある。また、本実施形態において、符号の前に付している「S」の文字は処理ステップを意味する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る蓄電池システム110に含まれる蓄電池111の充放電を制御する制御システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【0020】
制御システム100は、蓄電池システム110及びRAシステム120を含む。
【0021】
蓄電池システム110及びRAシステム120は、通信ネットワーク140を介して互いに双方向通信が可能な状態で接続されている。尚、通信ネットワーク140は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、電力線通信網、各種公衆通信網等である。また、蓄電池システム110は、通信ネットワーク140の他に、一般送配電事業者等によって運用される電力系統150にも接続されている。
【0022】
蓄電池システム110は、蓄電池111、パワーコンディショナ(以下、「PCS」(PCS:Power Conditioning Subsystem)と称する。)112、エネルギー管理システム(以下、「EMS」(EMS:Energy Management System)と称する。)113を含み、蓄電池111の充放電のタイミングを制御することにより、電力系統150における電力の需給バランスを調整する。
【0023】
蓄電池111は、例えば、鉛電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、燃料電池、キャパシタ電池等である。尚、蓄電池111は、電気自動車やハイブリッドカーや電動フォークリフト等で使用済みの電池を再利用したものでもよい。このような再利用型の蓄電池111を活用することで、環境負荷の小さな蓄電池システム110を実現することができる。また、蓄電池111として、例えば、多結晶シリコン型発電素子、単結晶シリコン型発電素子、薄膜型発電素子等から構成される太陽光発電パネルを有する太陽光発電設備と接続され、太陽光発電設備による余剰電力等を充電する蓄電池を採用してもよい。
【0024】
PCS112は、蓄電池システム110の構成要素の中で電力系統150と接続される要素であり、蓄電池111の充電を行うとき、電力系統150の電力を交流から直流へ変換して蓄電池111に供給し、一方、蓄電池111の放電を行うとき、蓄電池111に既に充電されている電力を直流から交流へ変換して電力系統150に供給する。尚、PCS112の代わりにインバータを採用することもできる。
【0025】
EMS113は、蓄電池システム110の構成要素の中で通信ネットワーク140と接続される要素である。EMS113は、端子115を介して通信ネットワーク140と接続されている。EMS113は、需要家エリアに現在供給されている電力の値である電力値PVを取得するとともに、通信ネットワーク140を介してRAシステム120から需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値TVを取得し、需要家エリア内の電力需要を示す電力値PVが目標値TVを超えた場合に、蓄電池111から電力を放電することで、電力値PVが目標値TVを超えないようにする負荷追従制御を行う。具体的には、EMS113は、電力値PV及び目標値TVを比較することにより、電力値PV及び目標値TVの差分(大小関係を含む電力値PV及び目標値TVの差)を演算する。EMS113は、電力値PVが目標値TVよりも大きいときの電力値PV及び目標値TVの差に基づいて、蓄電池111の放電を行うための放電指令を生成する。PCS112は、放電指令に従って蓄電池111から電力系統150へ電力を放電する。これにより、電力系統150から需要家エリアに供給される電力の値が目標値を超えないようにピークカット制御を行うことが可能である。
【0026】
一方、EMS113は、RAシステム120から充電指示(後述のIN2)が与えられている場合に、蓄電池111の充電を行うための充電指令を生成する。そして、PCS112は、充電指令に従って電力系統150から蓄電池111へ電力を充電する。つまり、EMS113は、RAシステム120から充電指示(IN2)を受信しており、かつ、電力値PVが目標値TVよりも小さい場合に、上記の充電指令を生成する。そしてこの充電指令に従って、電力値PVが目標値TVに一致するように、PCS112が蓄電池111への充電を行う。このような態様により、電力系統150で余剰電力が発生した場合にこの余剰電力を蓄電池111へ充電することで、電力を無駄なく使用することが可能となると共に、電力系統150の安定性を向上させることも可能となる。
【0027】
RAシステム120は、需要家側における複数の分散型のエネルギーリソースを、通信ネットワーク140を介して遠隔及び統合制御し、1つのVPPとして機能させる。本実施形態では、分散型のエネルギーリソースは、
図1に示す蓄電池システム110であることとし、RAシステム120は、需要家エリアに存在する複数の蓄電池システム110を遠隔及び統合制御することとする。
【0028】
RAシステム120は、需要家エリアにおける電力系統150の電力の需給バランスを調整するとき、複数の蓄電池システム110におけるEMS113に対して、負荷追従制御を行う指示IN1と、複数の蓄電池システム110における蓄電池111に充電を行うとき、蓄電池111の容量を最大充電量として充電を行う指示IN2と、需要家エリアに供給されるべき電力の目標値TVと、を一定時間(例えば5分、30分)ごとに送信し、複数の蓄電池システム110における蓄電池111の充放電を制御する。尚、以下の説明において、RAシステム120から5分ごとに送信される指示IN1,IN2及び目標値TVを「5分値」、RAシステム120から30分ごとに送信される指示IN1,IN2及び目標値TVを「30分値」と称することがある。
【0029】
RAシステム120は、管理されている需要家エリアにおける過去の電力使用量の情報に基づいて、目標値TVを一定時間ごとに設定する。具体的には、RAシステム120は、平日の過去X日分(例えばX=10)の情報を取得し、取得したX日分の情報の中から平日の所定の時間帯における電力使用量の大きい順にY日分(例えばY=8)の情報を抽出し、抽出したY日分の情報における電力使用量を平均化して基準値RVを設定する。次に、RAシステム120は、需要家が基準値RVからどれだけ需要を下げたいのかを示す申告に基づいて、基準値RVよりも小さい目標値TVを設定する。RAシステム120は、一定時間ごとに目標値TVを更新する。
【0030】
図2は、本実施形態に係る蓄電池システム110に含まれるEMS113の機能を示すブロック図である。尚、EMS113の機能は、後述する情報処理装置200によって実現される。
【0031】
EMS113は、電力値PV及び目標値TVの差分に応じて蓄電池111を充放電するための充放電指令を生成する機能として、入力部1131と、記憶部1132と、演算部1133と、出力部1134と、計時部1135と、を有している。EMS113は、需要家エリアに分岐する電力系統150の受電点の電力値PVを取得し、電力値PVをRAシステム120に送信する。RAシステム120は、受信した電力値PVを蓄積管理する。
【0032】
入力部1131は、需要家エリアに現在供給されている電力の値を示す電力値PVを取得し、RAシステム120から、負荷追従制御を行う指示IN1と、複数の蓄電池システム110における蓄電池111に充電を行うとき、蓄電池111の容量を最大充電量として充電を行う指示IN2と、需要家エリアに供給されるべき電力の目標値TVと、を一定時間ごとに取得する。
【0033】
記憶部1132は、EMS113の動作を制御する制御プログラム1136と、取得した電力値PVと、RAシステム120から取得した目標値TVと、を記憶する。
【0034】
演算部1133は、負荷追従制御を行う指示IN1を契機として、電力値PV及び目標値TVの差分を演算する。演算部1133は、電力値PVが目標値TVよりも大きいときの電力値PV及び目標値TVの差に基づいて、蓄電池111の放電を行うための放電指令を生成し、一方、電力値PVが目標値TVよりも小さいときの電力値PV及び目標値TVの差に基づいて、蓄電池111の充電を行うための充電指令を生成する。
【0035】
出力部1134は、演算部1133が生成した充放電指令をPCS112に送信する。
【0036】
計時部1135は、入力部1131が指示IN1,IN2及び目標値TVを取得してから一定時間が経過したか否かを判定するために、入力部1131が指示IN1,IN2及び目標値TVを取得する度にリセットされて計時を開始する。
【0037】
図3は、本実施形態に係る蓄電池システム110に含まれるEMS113の機能を実現する情報処理装置200のハードウェアの一例を示すブロック図である。
【0038】
情報処理装置200は、プロセッサ210、主記憶装置220、補助記憶装置230、入力装置240、出力装置250、通信装置260を備える。情報処理装置200は、例えば、パーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータ、各種サーバ装置、汎用機等である。情報処理装置200は、その全部又は一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。EMS113は、通信可能に接続された複数の情報処理装置200を用いて実現されるものであってもよい。
【0039】
プロセッサ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成される。
【0040】
主記憶装置220は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0041】
補助記憶装置230は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカード、光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置230には、記録媒体の読取装置や通信装置260を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置230に記憶されているプログラムやデータは主記憶装置220に随時読み込まれる。
【0042】
入力装置240は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0043】
出力装置250は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置250は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。尚、情報処理装置200は、通信装置260を介して他の装置との間で情報の入力や出力を行う構成としてもよい。
【0044】
入力装置240及び出力装置250は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0045】
通信装置260は、通信ネットワーク140等の通信基盤を介した他の装置との間での通信(有線通信又は無線通信)を実現する装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等を用いて構成される。
【0046】
尚、情報処理装置200には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(Data Base Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0047】
EMS113が備える機能は、情報処理装置200のプロセッサ210が、主記憶装置220に記憶されている制御プログラムを読み出して実行するか、或いは、情報処理装置200を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)自体の機能によって実現される。本実施形態では、EMS113の入力部1131は、情報処理装置200の入力装置240及び通信装置260によって実現され、EMS113の記憶部1132は、情報処理装置200の主記憶装置220及び補助記憶装置230によって実現され、EMS113の演算部1133及び計時部1135は、情報処理装置200のプロセッサ210によって実現され、EMS113の出力部1134は、情報処理装置200の出力装置250及び通信装置260によって実現される。
【0048】
図4は、本実施形態に係る蓄電池システム110に含まれるEMS113が蓄電池111の充放電指令を生成する処理の一例を示すフローチャートである。尚、以下の説明において、RAシステム120が上記の指示IN1,IN2及び目標値TVを送信する一定時間の間隔は、例えば5分であることとする。
【0049】
先ず、EMS113は、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得したか否かを判定する(S301)。EMS113は、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得していないと判定すると(S301:NO)、ステップS301の判定処理を繰り返し実行する。
【0050】
次に、EMS113は、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得したと判定すると(S301:YES)、負荷追従制御を行う指示IN1を契機として、電力値PVの送信を要求し、その後、電力値PVを取得したか否かを判定する(S302)。EMS113は、電力値PVを取得していないと判定すると(S302:NO)、ステップS302の判定処理を繰り返し実行する。
【0051】
次に、EMS113は、電力値PVを取得したと判定すると(S302:YES)、電力値PV及び目標値TVの差分を演算する(S303)。
【0052】
EMS113は、電力値PVが目標値TVよりも大きいと判定すると(S304:YES)、電力値PVが目標値TVの差に応じて蓄電池111を放電するための放電指令を生成し、PCS112に送信する。PCS112は、放電指令を受信すると、電力値PVを目標値TVに一致させるように、蓄電池111から電力系統150へ電力を放電する(S305)。
【0053】
一方、EMS113は、電力値PVが目標値TVよりも小さいと判定すると(S304:NO)、電力値PVが目標値TVの差に応じて蓄電池111を充電するための充電指令を生成し、PCS112に送信する。PCS112は、充電指令を受信すると、電力値PVを目標値TVに一致させるように、電力系統150から蓄電池111へ電力を充電する(S306)。
【0054】
次に、EMS113は、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得した後、一定時間(5分)が経過したか否かを判定する(S307)。
【0055】
EMS113は、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得した後、一定時間が経過していないと判定すると(S307:NO)、ステップS302に戻り、RAシステム120から次の指示IN1,IN2及び目標値TVを取得するまで、蓄電池システム110内でステップS302~S307の一連の処理を繰り返し実行する。
【0056】
一方、EMS113は、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得した後、一定時間が経過したと判定すると(S307:YES)、ステップS301に戻り、RAシステム120から次の指示IN1,IN2及び目標値TVを取得した後、蓄電池システム110内でステップS302~S307の一連の処理を繰り返し実行する。
【0057】
図5は、本実施形態に係る蓄電池システム110における蓄電池111の充放電を制御することによる電力値PV及び目標値TVの関係を示す図である。尚、横軸は時間(分)を示し、縦軸は電力(kW)を示している。また、太実線は蓄電池111の充放電を制御する前の電力値PVを示し、太破線は蓄電池111の充放電を制御した後の電力値PV’を示し、細実線は目標値TVを示している。また、時刻t0はEMS113がRAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを取得した時刻であり、時刻t3は時刻t0から5分を経過した時刻(EMS113がRAシステム120から次の指示IN1,IN2及び目標値TVを取得する時刻)であり、時刻t1は時刻t0~t3の間の時刻であり、時刻t2は時刻t1~t3の間の時刻である。また、時刻t0~t1,t2~t3は、電力値PVが目標値TVよりも大きい期間であり、時刻t1~t2は、電力値PVが目標値TVよりも小さい期間である。
【0058】
時刻t0~t1、t2~t3では、電力値PVが目標値TVよりも大きいため、EMS113は、蓄電池111の放電を行うための放電指令を連続して生成する。PCS112は、放電指令を受信する度に、電力値PVを目標値TVに一致させるように、蓄電池111から電力系統150へ電力を放電する。
【0059】
時刻t1~t2では、電力値PVが目標値TVよりも小さいため、EMS113は、蓄電池111の充電を行うための充電指令を連続して生成する。PCS112は、充電指令を受信する度に、電力値PVを目標値TVに一致させるように、電力系統150から蓄電池111へ電力を充電する。
【0060】
EMS113は、時刻t0~t3の5分間において、RAシステム120から指示IN1,IN2及び目標値TVを一度取得すると、電力値PV及び目標値TVの差分に基づいて、蓄電池システム110内で蓄電池111の充放電を行うための充放電指令を繰り返し生成する。PCS112は、充放電指令を受信する度に、蓄電池111の充放電を制御する。そして、電力値PVを目標値TVに合わせた電力値PV’を得ることができる。
【0061】
本実施形態では、RAシステム120から「5分値」が送信される場合について説明したが、RAシステム120から「30分値」が送信される場合についても、需要家エリアの電力系統150における電力の需給バランスを効率よく調整することができる。
【0062】
以上説明したように、蓄電池111及びパワーコンディショナ112を有する蓄電池システム110内に設けられるEMS113(情報処理装置200)は、需要家エリアに実際に供給されている電力の値である電力値PVと、外部のRAシステム120から一定時間(例えば5分、30分等)ごとに送信される、需要家エリアに供給されるべき電力の値である目標値TVと、を取得し、電力値PV及び目標値TVの差分に基づいて、蓄電池111の充放電を行うための充放電指令をパワーコンディショナ112に送信する。
【0063】
EMS113によれば、RAシステム120から目標値TVを一度取得すると、RAシステム120から次の目標値TVを取得するまで、蓄電池システム110内で充放電指令を発生するため、電力系統150における電力の需給バランスを効率よく調整することが可能となる。
【0064】
また、EMS113によって生成される充放電指令は、電力値PVが目標値TVよりも大きいときの電力値PV及び目標値TVの差に基づいて、蓄電池111の放電を行うための放電指令と、電力値PVが目標値TVよりも小さいときの電力値PV及び目標値TVの差に基づいて、蓄電池111の充電を行うための充電指令と、を含む。
【0065】
EMS113によれば、RAシステム120から目標値TVを取得すると、蓄電池システム110内で放電指令又は充電指令を選択的に発生するため、電力系統150における電力の需給バランスを効率よく調整することが可能となる。
【0066】
また、EMS113は、一定時間よりも短い時間間隔で、充放電指令を連続して発生する。
【0067】
EMS113によれば、電力系統150における電力の需給バランスを精細に調整することが可能となる。
【0068】
尚、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0069】
100 制御システム
110 蓄電池システム
111 蓄電池
112 パワーコンディショナ
113 EMS
120 RAシステム
140 通信ネットワーク
150 電力系統
200 情報処理装置
210 プロセッサ
220 主記憶装置
230 補助記憶装置
240 入力装置
250 出力装置
260 通信装置
1131 入力部
1132 記憶部
1133 演算部
1134 出力部
1135 計時部
1136 制御プログラム