(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035870
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】通信システム、通信装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/079 20130101AFI20240308BHJP
H04B 10/077 20130101ALI20240308BHJP
【FI】
H04B10/079
H04B10/077
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140472
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 一輝
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA44
5K102LA24
5K102LA52
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102MH32
5K102RD28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の通信装置が直列接続された通信システムにおいて各通信装置に対する入力される伝送信号の障害の影響を抑制可能な通信システム、通信装置、方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】通信システムは、光通信ケーブルを介して直列接続された第1のトランスポンダ装置10Aと、少なくとも1つの第2のトランスポンダ装置とを含む。第2のトランスポンダ装置10Bは、上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する。第2のトランスポンダ装置10Bは、自装置の上流側に配置されたトランスポンダ装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合、算出した指標値が既定の範囲内であるか否か判定する。指標値が既定の範囲内でないと判定した場合、第2のトランスポンダ装置は、自装置が備えた伝送信号を受信する光モジュールに対し、リセット処理を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信装置が光通信ケーブルを介して直列接続された通信システムであって、
第1の通信装置と、
前記第1の通信装置の下流側に配置された少なくとも1つの第2の通信装置と
を含み、
前記第1の通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する第1の光モジュールと、
前記第1の通信装置への入力信号の障害を検出する障害検出部と、
前記障害検出部が前記入力信号の障害を検出した場合に、前記第1の光モジュールに対し、新たな入力信号を受信させるリセット処理を実行させる第1の光モジュール制御部と、
前記第1の光モジュールが前記リセット処理を実行することによって前記第1の通信装置が前記入力信号の障害から復旧した場合に、前記第1の通信装置が前記障害から復旧した旨の復旧情報を前記第2の通信装置に送信する送信部とを含み、
前記第2の通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する第2の光モジュールと、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出処理を実行する指標値算出部と、
前記復旧情報を受信した場合に、前記指標値算出部によって算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定処理を実行する指標値判定部と、
前記指標値判定部によって前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、前記第2の光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる第2の光モジュール制御部とを含む、
通信システム。
【請求項2】
前記指標値判定部は、
自装置が受信した伝送信号の品質を示す第1の指標値が、前記既定の範囲内であるか否か判定し、又は、
前記第1の指標値と、自装置の上流側に配置されたいずれか1つの通信装置が受信した伝送信号の品質を示す第2の指標値との差が、前記既定の範囲内であるか否か判定する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記既定の範囲は、前記指標値を判定する前記通信装置のそれぞれに接続された前記光通信ケーブルのそれぞれの環境条件に応じて個別に定められた範囲である、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記既定の範囲は、実際に設置環境に設置された前記光通信ケーブルを介して受信された伝送信号に障害が生じていないときの前記伝送信号の指標値の最大値及び最小値を上限及び下限とする範囲である、請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信システムが複数の前記第2の通信装置を含む場合において、
前記第2の通信装置は、前記復旧情報を受信したとき、前記復旧情報を、自装置の下流側に隣接して配置された他の第2の通信装置に送信する送信部をさらに含む、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記リセット処理は、前記光モジュールが既に受信した伝送信号を破棄する処理を含む、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項7】
他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置であって、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する光モジュールと、
前記上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出部と、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、前記指標値算出部によって算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定部と、
前記指標値判定部によって前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、前記光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる光モジュール制御部と
を含む通信装置。
【請求項8】
前記指標値判定部は、
自装置が受信した伝送信号の品質を示す第1の指標値が前記既定の範囲内であるか否か判定し、又は、
前記第1の指標値と、自装置の上流側に配置されたいずれか1つの通信装置が受信した伝送信号の品質を示す第2の指標値との差が前記既定の範囲内であるか否か判定する、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置が実行する方法であって、
上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出し、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定し、
算出された前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、自装置が備えた前記伝送信号を処理する光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる
方法。
【請求項10】
他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置に対し、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出するステップと、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定するステップと、
算出された前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、自装置が備えた前記伝送信号を処理する光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行するステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信装置が直列接続された通信システム、通信装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信装置が直列接続された通信システムにおいて障害が発生した場合に、その障害から復旧するための種々の技術が提案されている。
【0003】
このような技術の一例として、特許文献1が開示する光合分波装置は、現用回線及び予備回線からの光信号をそれぞれ監視して障害発生の有無を検出し、障害発生の有無の検出結果に基づき、現用回線及び予備回線のうち使用可能な有効ラインを判定する。次いで、光合分波装置は、有効ラインから得られる光信号から特定波長光信号を分波してクライアントへ供給する。そして、光合分波装置は、クライアントから出力された特定波長光信号を、障害が発生していないと判定されたラインに対して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する技術は、伝送信号である特定波長光信号を、障害が発生していないラインに対して出力するものであるため、複数の通信装置が直列接続された通信システムにおいて各通信装置に入力される伝送信号の障害の影響を抑制できない。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、複数の通信装置が直列接続された通信システムにおいて各通信装置に入力される伝送信号の障害の影響を抑制可能な通信システム、通信装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な一実施形態に係る複数の通信装置が光通信ケーブルを介して直列接続された通信システムは、
第1の通信装置と、
第1の通信装置の下流側に配置された少なくとも1つの第2の通信装置とを含み、
第1の通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する第1の光モジュールと、
第1の通信装置への入力信号の障害を検出する障害検出部と、
障害検出部が入力信号の障害を検出した場合に、第1の光モジュールに対し、新たな入力信号を受信させるリセット処理を実行させる第1の光モジュール制御部と、
第1の光モジュールがリセット処理を実行することによって第1の通信装置が入力信号の障害から復旧した場合に、第1の通信装置が障害から復旧した旨の復旧情報を第2の通信装置に送信する送信部とを含み、
第2の通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する第2の光モジュールと、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出処理を実行する指標値算出部と、
復旧情報を受信した場合に、指標値算出部によって算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定処理を実行する指標値判定部と、
指標値判定部によって指標値が既定の範囲内でないと判定された場合、第2の光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる第2の光モジュール制御部とを含む。
【0008】
例示的な一実施形態に係る他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する光モジュールと、
上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出部と、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、指標値算出部によって算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定部と、
指標値判定部によって指標値が既定の範囲内でないと判定された場合、光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる光モジュール制御部とを含む。
【0009】
例示的な一実施形態に係る他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置が実行する方法は、
上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出し、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定し、
算出された指標値が既定の範囲内でないと判定された場合、自装置が備えた伝送信号を処理する光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる。
【0010】
例示的な一実施形態に係るプログラムは、他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置に対し、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出するステップと、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定するステップと、
算出された指標値が既定の範囲内でないと判定された場合、自装置が備えた伝送信号を処理する光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、複数の通信装置が直列接続された通信システムにおいて各通信装置に入力される伝送信号の障害の影響を抑制可能な通信システム、通信装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示的な一実施形態に係る通信システムの一例を示す図である。
【
図2】例示的な一実施形態に係る第1のトランスポンダ装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】例示的な一実施形態に係る第1のトランスポンダ装置が有する機能を示すブロック図である。
【
図4】例示的な一実施形態に係る第2のトランスポンダ装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図5】例示的な一実施形態に係る演算装置が実行するプログラムの一例を示す図である。
【
図6】例示的な一実施形態に係る通信システムで実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】例示的な一実施形態に係る第2のトランスポンダ装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】例示的な一実施形態に係る第1のトランスポンダ装置及び第2のトランスポンダ装置が有する主要な構成要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。
図1は、例示的な一実施形態に係る通信システム1の一例を示す図である。通信システム1は、光通信ケーブル30を介して直列接続された複数の通信装置を含む。通信装置の具体例としては、トランスポンダ装置等が挙げられる。本実施形態では、通信装置としてトランスポンダ装置を採用する。
【0014】
図1に示す例では、通信システム1は、トランスポンダ装置10Aと、トランスポンダ装置10Bと、トランスポンダ装置20Aと、トランスポンダ装置20Bとを含む。トランスポンダ装置10A,10B,20A,20Bは、通信装置に相当する。トランスポンダ装置10A及びトランスポンダ装置10Bは対をなす。同様に、トランスポンダ装置20A及びトランスポンダ装置20Bは対をなす。なお、
図1に示す例では、通信システム1は、2対のトランスポンダ装置を含むが、通信システム1は、3対以上のトランスポンダ装置を含み得る。
【0015】
トランスポンダ装置10A,20Aは、自装置への入力信号の障害が発生したか否か検出する。トランスポンダ装置10A,20Aは、入力信号の障害を検出すると、自装置が備える光モジュールをリセットし、当該障害から復旧させる。次いで、トランスポンダ装置10A,20Aは、当該障害から復旧すると、トランスポンダ装置10A,20Aが当該障害から復旧した旨の復旧情報を、下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置に送信する。一方、トランスポンダ装置10A,20Aは、自装置の上流側に配置された他のトランスポンダ装置の復旧情報を受信した場合、下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置20A,20Bに当該復旧情報を送信する。
【0016】
トランスポンダ装置10B,20Bは、自装置の上流側に配置された他のトランスポンダ装置から復旧情報を受信した場合、トランスポンダ装置10B,20Bは、自装置の上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から受信した伝送信号の品質を判定する。そして、トランスポンダ装置10B,20Bは、当該伝送信号の品質が一定の品質を満たさない場合、上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から新たな伝送信号を受信する。
【0017】
図2は、例示的な一実施形態に係るトランスポンダ装置10Aのハードウェア構成を示す図である。トランスポンダ装置20Aは、トランスポンダ装置10Aと同一の構成を有する。
【0018】
トランスポンダ装置10Aは、クライアントブロックに含まれるO(Optical)/E(Electrical)コンバータ11A、フレーマーIC(Integrated Circuit)12A及び演算装置13Aと、ラインブロックに含まれる演算装置14A及び光モジュール15Aを備える。トランスポンダ装置10Aのクライアントブロックは、通信システム1のユーザが使用する通信装置との接続点であるクライアント側インタフェースのマッピングを行う機能ブロックである。トランスポンダ装置10Aのラインブロックは、伝送信号を変調し、下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Bに送信する機能ブロックである。
【0019】
O/Eコンバータ11Aは、光信号を電気信号に変換する。フレーマーIC12Aは、トランスポンダ装置10Aへの入力信号に関するマッピング処理、OH(Over Head)処理、及び前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)処理等を行う。
【0020】
演算装置13Aは、トランスポンダ装置10Aへの入力信号の障害を検出し、入力信号に障害が発生した場合、その旨を演算装置14Aに通知する。演算装置13Aの具体例としては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が挙げられる。その他、演算装置13Aとして、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の種々のプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路を採用してもよい。
【0021】
演算装置14Aは、演算装置13Aから入力信号の障害が発生した旨の通知を受信した場合、光モジュール15Aに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる。また、演算装置14Aは、光モジュール15Aによるリセット処理が終了した後、トランスポンダ装置10Aが入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を、光モジュール15Aを介して、トランスポンダ装置10Aの下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Bに送信する。演算装置14Aの具体例としては、FPGAが挙げられる。その他、演算装置14Aとして、CPUやMPU等の種々のプロセッサ、ASIC等の集積回路を採用してもよい。
【0022】
光モジュール15Aは、トランスポンダ装置10Aの上流側に配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する。具体的には、光モジュール15Aは、受信した伝送信号を変調して、トランスポンダ装置10Bに送信する。また、光モジュール15Aは、演算装置14Aの指示に基づいてリセット処理を実行して、新たな伝送信号を受信する。なお、光モジュール15Aは、OH処理等の他の処理も実行し得る。
【0023】
図3は、例示的な一実施形態に係るトランスポンダ装置10Aが有する機能を示すブロック図である。トランスポンダ装置10Aは、障害検出部101と、光モジュール制御部102と、送信部103とを有する。本実施形態では、障害検出部101は、演算装置13Aが実現し得る。光モジュール制御部102及び送信部103は、演算装置14Aが実現し得る。なお、他の実施形態では、1つの演算装置が、障害検出部101、光モジュール制御部102及び送信部103を実現してもよい。
【0024】
障害検出部101は、トランスポンダ装置10Aへの入力信号の障害を検出する手段である。具体的には、障害検出部101は、トランスポンダ装置10Aへの光入力のパワーレベルを監視し、光入力のパワーレベルの低下を、入力信号の障害として検出し得る。また、障害検出部101は、トランスポンダ装置10Aへの複数の入力信号のフレームが同期しているか判定する同期検出を行い、これらの入力信号のフレームが非同期である場合、その事象を、入力信号の障害として検出し得る。
【0025】
光モジュール制御部102は、光モジュール15Aを制御する手段である。光モジュール制御部102は、障害検出部101が入力信号の障害を検出した場合に、光モジュール15Aに対し、新たな入力信号を受信させるリセット処理を実行させる。リセット処理は、光モジュール15Aが既に受信した伝送信号を破棄する処理を含み得る。リセット処理により、障害に関連する伝送信号、例えば、非同期で受信した伝送信号や入力レベルの低下した伝送信号等が、光モジュール15Aにおいて破棄される。
【0026】
送信部103は、光モジュール15Aがリセット処理を実行することによってトランスポンダ装置10Aが入力信号の障害から復旧した場合に、トランスポンダ装置10Aが入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を、トランスポンダ装置10Aの下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Bに送信する手段である。
【0027】
図4は、例示的な一実施形態に係るトランスポンダ装置10Bのハードウェア構成を示す図である。トランスポンダ装置20Bは、トランスポンダ装置10Bと同一の構成を有する。
【0028】
トランスポンダ装置10Bは、クライアントブロックに含まれるE/Oコンバータ11B、フレーマーIC12B及び演算装置13Bと、ラインブロックに含まれる演算装置14B、光モジュール15B及び記憶装置16Bを備える。トランスポンダ装置10Bのクライアントブロックは、クライアント側インタフェースのデマッピングを行う機能ブロックである。
【0029】
光モジュール15Bは、トランスポンダ装置10Bの上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号を処理する装置である。具体的には、光モジュール15Bは、演算装置14Bの指示に基づいてリセット処理を実行して、トランスポンダ装置10Aから新たな伝送信号を受信する。また、光モジュール15Bは、トランスポンダ装置10Aの送信した伝送信号を受信し、当該伝送信号に関するOH処理及びFEC処理等の処理も実行する。
【0030】
記憶装置16Bは、演算装置14Bが処理するデータが保存される記憶装置である。記憶装置16Bには、例えば、トランスポンダ装置10Bがトランスポンダ装置10Bの上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号の品質を示す指標値を判定するための情報、指標値の判定に使用される情報等が保存される。
【0031】
演算装置14Bは、本開示に係るプログラム110を実行する装置である。演算装置14Bは、トランスポンダ装置10Aから入力信号の障害が発生した旨の通知を受信した場合、光モジュール15Bにリセット処理を実行させる。次いで、演算装置14Bは、光モジュール15Bによるリセット処理が終了すると、トランスポンダ装置10Aが入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を、クライアントブロックの各装置を介して、トランスポンダ装置10Bの下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置20Aに送信する。なお、演算装置14Bは、トランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号に関するOH処理等の処理も実行し得る。演算装置14Bの具体例としては、FPGAが挙げられる。その他、演算装置14Bとして、CPUやMPU等の種々のプロセッサ、ASIC等の集積回路を採用してもよい。演算装置は、コンピュータに相当する。
【0032】
図5は、例示的な一実施形態に係る演算装置14Bが実行するプログラム110の一例を示す図である。プログラム110には、受信判定部111、光モジュール制御部112、指標値算出部113、指標値判定部114、光出力判定部115、及び送信部116が含まれる。
【0033】
受信判定部111は、トランスポンダ装置10Bの上流側に配置された他のトランスポンダ装置が障害から復旧した旨を示す復旧情報を受信したか否か判定するプログラムである。
【0034】
光モジュール制御部112は、光モジュール15Bを制御するプログラムである。光モジュール制御部112は、所定の場合に、光モジュール15Bに対し、上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Aから新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる。リセット処理は、光モジュール15Bが既に受信した伝送信号を破棄する処理を含み得る。リセット処理により、障害に関連する伝送信号、例えば、非同期で受信した伝送信号や入力レベルの低下した伝送信号等が、光モジュール15Bにおいて破棄される。
【0035】
指標値算出部113は、トランスポンダ装置10Bの上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出するプログラムである。本実施形態では、指標値算出部113は、トランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号の符号誤り率(BER:bit error rate)からQ値(Quality factor)[dB]を、指標値として算出することができる。伝送信号の符号誤り率が低い場合、すなわち、伝送信号の品質が高い場合、Q値は大きくなる。一方、伝送信号の符号誤り率が高い場合、すなわち、伝送信号の品質が低い場合、Q値は小さくなる。
【0036】
指標値判定部114は、指標値算出部113の算出した指標値が既定の範囲内であるか否か判定するプログラムである。本実施形態では、指標値判定部114は、トランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号の品質を示すQ値が既定の範囲内であるか否か判定する。既定の範囲を規定する閾値は、品質が劣化していないときの伝送信号のQ値を基準にして設定することができる。例えば、品質が劣化していないときの伝送信号のQ値がX(dB)の場合、既定の範囲の上限を+X(dB)とし、既定の範囲の下限を-X(dB)とすることができる。ここで、Xは任意の数値である。Xは、光通信ケーブル30が設置される環境の条件である環境条件に応じて決定され得る。換言すると、既定の範囲は、伝送信号のQ値を判定するトランスポンダ装置に接続された各光通信ケーブル30の環境条件に応じて個別に定められる。通信システム1は、超長距離光通信を実現するために利用され、陸上や海底に設置され得る。
【0037】
光通信ケーブル30が海底に設置される場合、環境条件には、光通信ケーブル30が設置される海底の地形、水深、海流の速度、海流の揺らぎ、水圧、海水温度等の種々の条件が含まれる。光通信ケーブル30が陸上に設置される場合、環境条件には、光通信ケーブル30が設置される場所の地形、風速、降水量、気温等の種々の条件が含まれる。各環境条件に対応する指標値の既定の範囲は、指標値の判定を行うトランスポンダ装置に接続され、実際に海底や陸上に設置された光通信ケーブル30の指標値の変動の実績値に基づいて決定され得る。より詳細には、既定の範囲は、実際に海底や陸上等の設置環境に設置された光通信ケーブル30を介して受信された伝送信号に障害が生じていないときの当該伝送信号の指標値の最大値及び最小値を上限及び下限とする範囲とし得る。演算装置14Bは、外部装置から受信した新たな指標値の範囲を示す情報に基づき、指標値判定部114が使用する指標値の範囲を更新できる。この場合、更新に使用する情報は、運用中のトランスポンダ装置がログとして収集し得る。
【0038】
本実施形態では、伝送信号の品質を示すQ値を判定するために、上限を有する既定の範囲を設定する。既定の範囲は、伝送システムの規模や伝送レート、変調方式等に応じて理論的に定めることができるが、実際には、理論的に定められた上限を超えたQ値が検出されることもあり得る。本実施形態では、このような理論的な上限を超えたQ値を異常値として検出するために、Q値の判定に上限を用いる。これにより、理論的な上限を超えた異常値を検出することができる。
【0039】
光出力判定部115は、クライアントブロックの光出力の状態を判定するプログラムである。クライアントブロックの光出力の状態は、トランスポンダ装置10Bからトランスポンダ装置10Bの下流側のトランスポンダ装置へ光出力がされる状態(ON)と、トランスポンダ装置10Bからトランスポンダ装置10Bの下流側のトランスポンダ装置へ光出力がされない状態(OFF)がある。したがって、光出力判定部115は、トランスポンダ装置10Bからトランスポンダ装置10Bの下流側のトランスポンダ装置へ光出力がされるか否か判定する。
【0040】
送信部116は、トランスポンダ装置10Bが復旧情報を受信した場合、当該復旧情報を、トランスポンダ装置10Bの下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置20Aに送信するプログラムである。
【0041】
演算装置13Bは、演算装置14Bから復旧情報を受信した場合、フレーマーIC12Bに対し、当該復旧情報をトランスポンダ装置20Aへ送信させる。また、演算装置13Bは、トランスポンダ装置10Bへの入力信号に関するOH処理等の処理を実行する。演算装置13Bの具体例としては、FPGAが挙げられる。その他、演算装置13Bとして、CPUやMPU等の種々のプロセッサ、ASIC等の集積回路を採用してもよい。
【0042】
フレーマーIC12Bは、演算装置13Bの指示に基づき、演算装置13Bから受信した復旧情報を、E/Oコンバータ11Bを介してトランスポンダ装置20Aに送信する。また、フレーマーIC12Bは、入力信号に関するデマッピング処理及びOH処理を行う。
【0043】
E/Oコンバータ11Bは、入力された電気信号を光信号に変換する。E/Oコンバータ11Bは、フレーマーIC12Bから復旧情報を受信した場合、当該復旧情報をトランスポンダ装置20Aに送信する。
【0044】
図6は、例示的な一実施形態に係る通信システム1で実行される処理の一例を示すシーケンス図である。以下、トランスポンダ装置10Aにおいて入力信号の障害が発生した場合の例について説明する。
【0045】
ステップS1では、トランスポンダ装置10Aの障害検出部101が、トランスポンダ装置10Aへの入力信号の障害を検出する。ステップS2では、トランスポンダ装置10Aの光モジュール制御部102が、トランスポンダ装置10Aの備える光モジュール15Aにリセット処理を実行させる。ステップS3では、トランスポンダ装置10Aの送信部103が、トランスポンダ装置10Aが障害から復旧した旨を示す復旧情報をトランスポンダ装置10Bに送信する。
【0046】
トランスポンダ装置10Bは、トランスポンダ装置10Aから復旧情報を受信すると、ステップS4でトランスポンダ装置10Bの指標値算出部113が、トランスポンダ装置10Bがトランスポンダ装置10Aから受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する。例えば、指標値算出部113は、数式1に基づき、当該復旧情報を示す伝送信号の符号誤り率を用いて指標値を算出することができる。
【数1】
ここで、Qは指標値である。sqrt(2)は2の平方根を示す。erfcは相補誤差関数である。BERは伝送路の符号誤り率である。
【0047】
ステップS5では、トランスポンダ装置10Bの指標値判定部114が、トランスポンダ装置10Bの指標値算出部113によって算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する。算出された指標値が既定の範囲外である場合、ステップS6でトランスポンダ装置10Bの光モジュール制御部112が、トランスポンダ装置10Bの光モジュール15Bにリセット処理を実行させる。なお、算出された指標値が既定の範囲内である場合、光モジュール制御部112は、トランスポンダ装置10Bの光モジュール15Bをリセットさせない。本実施形態では、トランスポンダ装置10Bは、算出された指標値が既定の範囲外になるまで、ステップS4~S6の処理を繰り返し実行する。
【0048】
ステップS7では、トランスポンダ装置10Bの光出力判定部115が、トランスポンダ装置10Bのクライアントブロックの光出力の状態を判定する。クライアントブロックの光出力の状態がONの場合、トランスポンダ装置10Bは、ステップS8で復旧情報をトランスポンダ装置20Aに送信する。
【0049】
トランスポンダ装置20Aは、トランスポンダ装置10Bから復旧情報を受信すると、ステップS9で当該復旧情報をトランスポンダ装置20Bに転送する。
【0050】
トランスポンダ装置20Bは、トランスポンダ装置20Aから復旧情報を受信すると、ステップS10でトランスポンダ装置20Bの指標値算出部113が、トランスポンダ装置20Bがトランスポンダ装置20Aから受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する。
【0051】
ステップS11では、トランスポンダ装置20Bの指標値判定部114が、トランスポンダ装置20Bの指標値算出部113によって算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する。算出された指標値が既定の範囲外である場合、ステップS12でトランスポンダ装置20Bの光モジュール制御部112が、トランスポンダ装置20Bの光モジュール15Bにリセット処理を実行させる。なお、算出された指標値が既定の範囲内である場合、光モジュール制御部112は、トランスポンダ装置20Bの光モジュール15Bをリセットさせない。本実施形態では、トランスポンダ装置20Bは、指標値が既定の範囲外になるまで、ステップS10~S12の処理を繰り返し実行する。
【0052】
ステップS13では、トランスポンダ装置20Bの光出力判定部115が、トランスポンダ装置20Bのクライアントブロックの光出力の状態を判定する。クライアントブロックの光出力の状態がOFFの場合、
図6に示す処理が終了する。なお、クライアントブロックの光出力の状態がONの場合、トランスポンダ装置20Bは、復旧情報を、トランスポンダ装置20Bの下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置に送信する。
【0053】
図7は、例示的な一実施形態に係るトランスポンダ装置10B,20B等のトランスポンダ装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。以下、トランスポンダ装置10Bを例として説明する。
【0054】
ステップS101では、トランスポンダ装置10Bの受信判定部111が、復旧情報を受信したか否か判定する。復旧情報が受信されていないと判定された場合(NO)、ステップS101の処理が再び実行される。一方、復旧情報が受信されたと判定された場合(YES)、ステップS102で指標値算出部113が、トランスポンダ装置10Bが受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する。
【0055】
ステップS103では、指標値判定部114が、算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する。算出された指標値が既定の範囲外であると判定された場合(NO)、ステップS104で光モジュール制御部112が、光モジュール15Bをリセットし、ステップS102に処理が戻る。
【0056】
一方、算出された指標値が既定の範囲内であると判定された場合(YES)、ステップS105に処理が分岐する。ステップS105では、光出力判定部115が、トランスポンダ装置10Bのクライアントブロックの光出力の状態を判定する。クライアントブロックの光出力がOFFであると判定された場合、
図7の処理が終了する。一方、クライアントブロックの光出力がONであると判定された場合、ステップS106で送信部116が、復旧情報を、トランスポンダ装置10Bの下流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置20Aに送信し、
図7の処理が終了する。
【0057】
図8は、例示的な一実施形態に係るトランスポンダ装置10A及びトランスポンダ装置10Bが有する主要な構成要素を示す図である。トランスポンダ装置10Aは、光モジュール15Aと、障害検出部101と、光モジュール制御部102と、送信部103とを含む。トランスポンダ装置10Bは、光モジュール15Bと、光モジュール制御部112と、指標値算出部113と、指標値判定部114とを含む。
【0058】
光モジュール15Bは、自装置の上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から受信した伝送信号を処理する。指標値算出部113は、上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出処理を実行する。指標値判定部114は、自装置の上流側に配置されたトランスポンダ装置が、当該トランスポンダ装置への入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合、算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定処理を実行する。光モジュール制御部112は、算出された指標値が既定の範囲内でないと判定された場合、光モジュール15Bに対し、トランスポンダ装置10Bの上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行する。
【0059】
トランスポンダ装置10Bは、この構成を採用することにより、上流側に配置されたトランスポンダ装置が入力信号の障害から復旧した場合において、トランスポンダ装置10Bが既に受信した伝送信号の品質が一定の品質を満たさないとき、新たな伝送信号を受信して処理することができる。そのため、トランスポンダ装置10Bに入力される伝送信号の障害の影響を抑制することができる。
【0060】
また、既定の範囲は、トランスポンダ装置のそれぞれに接続された光通信ケーブルの環境条件に基づいて、個別に定められる。そのため、トランスポンダ装置は、個々の光通信ケーブルの設置条件及び環境条件に応じて、自装置が受信した伝送信号の品質を評価することができる。
【0061】
さらに、トランスポンダ装置10Bは、復旧情報を受信した場合、復旧情報を、自装置の下流側に隣接して配置された他のトランスポンダ装置に送信する送信部116をさらに含む。これにより、当該復旧情報を受信した他のトランスポンダ装置が、上述した指標値算出処理、指標値判定処理、及びリセット処理を実行することができる。そのため、トランスポンダ装置10Bだけでなく、トランスポンダ装置10Bの下流側に配置されたトランスポンダ装置に入力される伝送信号の障害の影響も抑制できる。したがって、複数のトランスポンダ装置が直列接続された通信システムにおいて、各トランスポンダ装置に入力される伝送信号の障害の影響を防ぐことができる。
【0062】
さらに、リセット処理は、光モジュール15A,15Bが既に受信した伝送信号を破棄する処理を含む。これにより、一定の品質を満たさない伝送信号、例えば、微弱な伝送信号やノイズに相当する伝送信号等が破棄されるため、トランスポンダ装置10B,20A,20Bに入力される伝送信号の障害の影響を抑制することができる。
【0063】
さらに、トランスポンダ装置10Bは、指標値が既定の範囲内になるまで、指標値算出処理、指標値判定処理、リセット処理を繰り返し実行する。これにより、トランスポンダ装置10Bは、一定の品質を満たす伝送信号を受信することができ、トランスポンダ装置10Bに入力される伝送信号の障害の影響を抑制できる。
【0064】
上述の例において、プログラム110は、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラム110は、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0065】
本開示は、上述した実施形態に限られたものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0066】
例えば、他の実施形態では、指標値として、自装置が受信した伝送信号の符号誤り率に基づいて算出された当該伝送信号の品質を示す第1の指標値と、自装置の上流側に配置されたいずれか1つのトランスポンダ装置が受信した伝送信号の符号誤り率に基づいて算出された当該伝送信号の品質を示す第2の指標値との差を採用してもよい。自装置の上流側に配置されたトランスポンダ装置には、自装置の上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置の他、当該隣接して配置されたトランスポンダ装置のさらに上流側に配置されたトランスポンダ装置が含まれる。例えば、自装置がトランスポンダ装置20Bの場合、トランスポンダ装置20Bの上流側に配置されたトランスポンダ装置には、トランスポンダ装置20Aの他、トランスポンダ装置10A及び10Bが含まれる。これらの上流側に配置されたトランスポンダ装置のいずれか1つは、第2の指標値を、当該トランスポンダ装置の下流側に配置された、第1の指標値を算出すべきトランスポンダ装置に送信する。そして、指標値を算出すべきトランスポンダ装置は、第2の指標値を受信すると、指標値算出部113が、第1の指標値と第2の指標値の差を算出し、指標値判定部114が、算出された指標値の差が、既定の範囲内であるか否か判定する。
【0067】
さらに、他の実施形態では、対を成すトランスポンダ装置のうち上流側に位置するトランスポンダ装置10A及び20Aが、上述したプログラム110を実行することができる。本実施形態では、トランスポンダ装置10A及び20Aは、復旧情報を転送するだけでなく、後述する処理を実行する。以下、トランスポンダ装置10Aを例に説明する。
【0068】
本実施形態では、トランスポンダ装置10Aの演算装置14Aが、トランスポンダ装置10Aの上流側に隣接して配置されたトランスポンダ装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する。また、演算装置14Aは、トランスポンダ装置10Aの上流側に配置されたトランスポンダ装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合、算出された指標値が既定の範囲内であるか否か判定する。算出された指標値が既定の範囲内でないと判定された場合、演算装置14Aは、光モジュール15Aにリセット処理を実行させる。これにより、光モジュール15Aは、新たな伝送信号を受信し、一定の品質を満たす新たな伝送信号をトランスポンダ装置10Bへ送信することができる。
【0069】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
複数の通信装置が光通信ケーブルを介して直列接続された通信システムであって、
第1の通信装置と、
前記第1の通信装置の下流側に配置された少なくとも1つの第2の通信装置と
を含み、
前記第1の通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する第1の光モジュールと、
前記第1の通信装置への入力信号の障害を検出する障害検出部と、
前記障害検出部が前記入力信号の障害を検出した場合に、前記第1の光モジュールに対し、新たな入力信号を受信させるリセット処理を実行させる第1の光モジュール制御部と、
前記第1の光モジュールが前記リセット処理を実行することによって前記第1の通信装置が前記入力信号の障害から復旧した場合に、前記第1の通信装置が前記障害から復旧した旨の復旧情報を前記第2の通信装置に送信する送信部とを含み、
前記第2の通信装置は、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する第2の光モジュールと、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出処理を実行する指標値算出部と、
前記復旧情報を受信した場合に、前記指標値算出部によって算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定処理を実行する指標値判定部と、
前記指標値判定部によって前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、前記第2の光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる第2の光モジュール制御部とを含む、
通信システム。
(付記2)
前記指標値判定部は、
自装置が受信した伝送信号の品質を示す第1の指標値が、前記既定の範囲内であるか否か判定し、又は、
前記第1の指標値と、自装置の上流側に配置されたいずれか1つの通信装置が受信した伝送信号の品質を示す第2の指標値と前記第1の指標値との差が、前記既定の範囲内であるか否か判定する、付記1に記載の通信システム。
(付記3)
前記既定の範囲は、前記指標値を判定する前記通信装置のそれぞれに接続された前記光通信ケーブルのそれぞれの環境条件に応じて個別に定められた範囲である、付記1又は2に記載の通信システム。
(付記4)
前記既定の範囲は、実際に設置環境に設置された前記光通信ケーブルを介して受信された伝送信号に障害が生じていないときの前記伝送信号の指標値の最大値及び最小値を上限及び下限とする範囲である、付記3に記載の通信システム。
(付記5)
前記通信システムが複数の前記第2の通信装置を含む場合において、
前記第2の通信装置は、前記復旧情報を受信したとき、前記復旧情報を、自装置の下流側に隣接して配置された他の第2の通信装置に送信する送信部をさらに含む、付記1又は2に記載の通信システム。
(付記6)
前記リセット処理は、前記光モジュールが既に受信した伝送信号を破棄する処理を含む、付記1又は2に記載の通信システム。
(付記7)
前記第2の通信装置は、前記指標値が前記既定の範囲内になるまで、前記指標値算出処理、前記指標値判定処理、及び前記リセット処理を繰り返し実行する、付記1又は2に記載の通信システム。
(付記8)
他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置であって、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号を処理する光モジュールと、
前記上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出する指標値算出部と、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、前記指標値算出部によって算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定する指標値判定部と、
前記指標値判定部によって前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、前記光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる光モジュール制御部と
を含む通信装置。
(付記9)
前記指標値判定部は、
自装置が受信した伝送信号の品質を示す第1の指標値が、前記既定の範囲内であるか否か判定し、又は、
前記第1の指標値と、自装置の上流側に配置されたいずれか1つの通信装置が受信した伝送信号の品質を示す第2の指標値との差が、前記既定の範囲内であるか否か判定する、付記8に記載の通信装置。
(付記10)
他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置が実行する方法であって、
上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出し、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定し、
算出された前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、自装置が備えた前記伝送信号を処理する光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行させる
方法。
(付記11)
他の通信装置と光通信ケーブルを介して直列接続された通信装置に対し、
自装置の上流側に隣接して配置された通信装置から受信した伝送信号の品質を示す指標値を算出するステップと、
自装置の上流側に配置された通信装置が入力信号の障害から復旧した旨の復旧情報を受信した場合に、算出された前記指標値が既定の範囲内であるか否か判定するステップと、
算出された前記指標値が前記既定の範囲内でないと判定された場合、自装置が備えた前記伝送信号を処理する光モジュールに対し、新たな伝送信号を受信させるリセット処理を実行するステップと
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0070】
1 通信システム
10A トランスポンダ装置
10B トランスポンダ装置
11A O/Eコンバータ
11B E/Oコンバータ
12A フレーマーIC
12B フレーマーIC
13A 演算装置
13B 演算装置
14A 演算装置
14B 演算装置
15A 光モジュール
15B 光モジュール
16B 記憶装置
20A トランスポンダ装置
20B トランスポンダ装置
30 光通信ケーブル
101 障害検出部
102 光モジュール制御部
103 送信部
110 プログラム
111 受信判定部
112 光モジュール制御部
113 指標値算出部
114 指標値判定部
115 光出力判定部
116 送信部