(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035876
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】あいさつシステム,それを利用した緊急通報システム,情報端末用カバー
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20240308BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H04M1/00 Q
G08B25/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140479
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】505122243
【氏名又は名称】茂木 修
(71)【出願人】
【識別番号】522351985
【氏名又は名称】根岸 春美
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】茂木 修
【テーマコード(参考)】
5C087
5K127
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA10
5C087AA21
5C087AA25
5C087AA37
5C087DD03
5C087DD05
5C087DD49
5C087EE14
5C087EE15
5C087EE18
5C087EE20
5C087FF02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5K127AA26
5K127BA03
5K127BB18
5K127BB33
5K127CB02
5K127CB22
5K127CB36
5K127DA15
5K127GA12
5K127GB11
5K127GB24
5K127GD03
5K127HA08
5K127HA10
5K127HA28
5K127JA04
5K127KA01
5K127KA02
(57)【要約】
【課題】 人のつながりを取り戻して、犯罪の低減に資するとともに、事件・事故が発生したときの初期対応の迅速化を図る。
【解決手段】 スマートフォン10A,10Bが、交信可能な相手を見つけると、あいさつメッセージをお互いに送信するとともに、その音声再生を行ってあいさつを交わす。例えば「おはよう」の音声をお互いに再生する。すなわち、あいさつ・通知アプリ100が登録されているスマートフォン10A,10Bを持った人がすれ違うと、例えば「おはよう」の音声が、お互いのスマートフォン10A,10Bから出力される。そして、あいさつを交わしたスマートフォン10A,10Bに対して、痴漢被害やSOSの通知が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離通信機能を備えた情報端末間であいさつを交わすあいさつシステムであって、
複数の情報端末にあいさつ手段が登録されており、
該あいさつ手段は、前記近距離通信機能によって、前記情報端末が他の情報端末を見つけたときに、前記情報端末同士でメッセージを交わすことを特徴とするあいさつシステム。
【請求項2】
前記情報端末が、前記交わしたメッセージを音声として再生することを特徴とする請求項1記載のあいさつシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のあいさつシステムを備えており、近距離通信機能を備えた情報端末間で緊急通報を行う緊急通報システムであって、
送信側の情報端末は、緊急通報の送信操作が行われたときに、前記あいさつシステムであいさつを交わした情報端末に対して緊急通報を行うとともに、受信側の情報端末は、前記近距離通信機能によって前記緊急通報を受信したときに、その旨の緊急通報出力を行う緊急通報手段を備えたことを特徴とする緊急通報システム。
【請求項4】
前記受信側の情報端末が、緊急通報の内容を音声出力することを特徴とする請求項3記載の緊急通報システム。
【請求項5】
前記情報端末が、NFCタグを利用して前記あいさつ手段及び前記緊急通報手段を起動もしくは改めて起動する起動手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の緊急通報システム。
【請求項6】
前記送信側の情報端末に被せられるカバーであって、
前記情報端末に表示される操作ボタンに対応する複数の開口を備えており、これらの開口が、操作ボタン毎に異なる形状であることを特徴とする情報端末用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あいさつ機能,緊急通報機能を有するスマートフォンなどの情報端末の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今は、個人主義が浸透して社会の希薄化が進んでおり、地域における人のつながりも低下して、お互いに挨拶する機会も少なくなってきている。その結果、社会における治安が悪化し、犯罪の増加が懸念されている。
【0003】
ところで、事件・事故が発生したときに、警察が現場に駆け付けるときに必要なレスポンスタイムの平均時間は、平均「7分25秒」となっており、救急車のレスポンスタイムは平均「8分10秒」となっている。一方、多くの犯罪はほとんどが3分以内で終了している現状があり、救急においても、駆けつけが遅れたために救命できない事案が発生している。
【0004】
このような先行技術として、例えば下記特許文献1記載の「地域住民による緊急通報ネットワークシステム」がある。これは、高齢者社会の進行及び核家族化などに伴なう地域住民間の相互扶助の精神が希薄化している社会環境にあって、地域住民の安心・安全な暮らしを守る方策を構築することを目的としており、緊急通報発信者からの電話情報を受信すると、コンビニエンスストア等の24時間監視可能施設に設置した送受信機を経由して民生委員などの駆けつけ者に緊急通報発信者の氏名等を音声で自動的に繰り返し送信する。緊急情報を受けた駆けつけ者は、直ちに緊急通報発信者宅を訪問しを状況を確認し、必要に応じて警察等に連絡する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような背景技術では、システムが非常に複雑で、駆けつけ者が事件・事故の現場に駆け付けるまでに相当の時間を要してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に着目したもので、人のつながりを取り戻して、犯罪の低減に資するとともに、事件・事故が発生したときの初期対応の迅速化を図ることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のあいさつシステムは、近距離通信機能を備えた情報端末間であいさつを交わすあいさつシステムであって、複数の情報端末にあいさつ手段が登録されており、該あいさつ手段は、前記近距離通信機能によって、前記情報端末が他の情報端末を見つけたときに、前記情報端末同士でメッセージを交わすことを特徴とする。主要な形態の一つによれば、前記情報端末が、前記交わした送受信したメッセージを音声として再生することを特徴とする。
【0009】
本発明の緊急通報システムは、前記あいさつシステムを備えており、近距離通信機能を備えた情報端末間で緊急通報を行う緊急通報システムであって、送信側の情報端末は、緊急通報の送信操作が行われたときに、前記あいさつシステムであいさつを交わした情報端末に対して緊急通報を行うとともに、受信側の情報端末は、前記近距離通信機能によって前記緊急通報を受信したときに、その旨の緊急通報出力を行う緊急通報手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
主要な形態の一つによれば、前記受信側の情報端末が、緊急通報の内容を音声出力することを特徴とする。他の形態によれば、前記情報端末が、NFCタグを利用して前記あいさつ手段及び前記緊急通報手段を起動もしくは改めて起動する起動手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の情報端末用カバー前記送信側の情報端末に被せられるカバーであって、前記情報端末に表示される操作ボタンに対応する複数の開口を備えており、これらの開口が、操作ボタン毎に異なる形状であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、情報端末同士があいさつを交わすとともに、あいさつを交わした情報端末に対して緊急通報を行うこととしたので、人のつながりを取り戻して犯罪の低減に資するとともに、事件・事故が発生したときの初期対応の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】前記実施例におけるNFCタグのストラップを利用したあいさつ・通知アプリの起動方法を示す図である。
【
図3】前記実施例におけるNFCタグのケースを利用したあいさつ・通知アプリの起動方法を示す図である。(A),(B),(E),(F)は縦断面を示し、(C)は背面から見た様子を示し、(D)は斜視図である。
【
図4】前記実施例におけるNFCタグの飾り紐を利用したあいさつ・通知アプリの起動方法を示す図である。(B)~(D)は縦断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。本発明では、スマートフォンなどの情報端末に、あいさつ・通知アプリがインストールされている。あいさつ・通知アプリは、同じアプリがインストールされている情報端末と交信し、
a,挨拶を交わして、近くにアプリ登録者いることを確認する。
b,近隣のアプリ登録者に対して、痴漢がいることを通知する。
c,近隣のアプリ登録者に対して、助けを求めている人がいることを通知する。
以下、前記a~cを、実施例1~3として説明する。
【実施例0015】
図1には、実施例1が示されている。この実施例は、スマートフォン同士が挨拶を交わすことで、近辺の人とのつながりを持ち、近くに駆けつけ者がいることを知るための手法を提供する。
【0016】
同図(A)において、スマートフォン10A,10Bが、例えば「Bluetooth(登録商標)」などの近距離無線通信を利用して、交信可能なスマートフォン10B,10Aを見つけると(ステップS10)、あいさつメッセージをお互いに送信するとともに、その音声再生を指示する(ステップS12)。これにより、スマートフォン10A,10Bは、あいさつを交わす(ステップS14)。例えば「おはよう」の音声をお互いに再生する。同時に、スマートフォン10A,10Bでは、図示のようなあいさつ,痴漢,SOSのボタンないしアイコン12,14,16が表示されるとともに、現時点における接続状況18や過去1時間以内の状況を示す画面(以下単に「状況画面」という)20が表示される。図示の例では、状況画面20において、「接続状況」及び「おはよう」が「1」となっている。なお、スマートフォン10A,10Bは、一定の時間間隔で交信を行い、アプリ登録者が近くにいるかどうかを把握し、接続状況18の数字を更新する。
【0017】
同図(B)には、あいさつの様子が示されており、あいさつ・通知アプリ100が登録されているスマートフォン10を持った人がすれ違うと、上述した手順であいさつメッセージが再生される。例えば、「おはよう」の音声が、お互いのスマートフォン10から出力される。
【0018】
このように、本実施例によれば、あいさつ・通知アプリ100がインストールされたスマートフォン10が交信可能な距離となると、「おはよう」といったあいさつが交わされ、
a,アプリ登録者との間でつながりが生まれる。
b,近くにアプリ登録者いることを確認できる。
【0019】
次に、
図2~
図4を参照して、上述したあいさつ・通知アプリ100の起動方法について説明する。あいさつ・通知アプリ100は、スマートフォン10のユーザが画面でボタンを押す(アイコンをタップする)ことで起動されるが、緊急時にスマートフォン10を起動させてから、アイコンを探して、そのアイコンをタップし、緊急発信を行うという方法では、緊急対応ができない。このような欠点を補うため、本実施例では、NFC(Near Field Communication)による迅速な緊急発信機能を提供する。
【0020】
図2(A)に示す例は、あいさつ・通知アプリ100を起動するための命令が記述されたNFCタグ200を、ストラップ202によってスマートフォン10に予め取り付けている。NFCタグ200には、操作しやすいように、指を挿入するスマホリング(指リング)204が取り付けられている。
【0021】
あいさつ・通知アプリ100を立ち上げるときは、同図(B)に示すように、スマホリング204に指を通して、NFCタグ200をスマートフォン10に近づけ、あるいは接触させる。すると、スマートフォン10のNFC読み取り機能によって読み取られ、あいさつ・通知アプリ100が起動されて、同図(C)に示すようにアプリ画面が表示されるようになる。あいさつ・通知アプリ100を改めて起動するときは、同図(D)に示すように、NFCタグ200を一度スマートフォン10から放し、再び同図(E)に示すように再びスマートフォン10に近づけると、同図(F)に示すようにあいさつ・通知アプリ100を改めて起動される。
【0022】
図3(A)~(C)に示す例は、ケース300内であって、スマートフォン10のNFC読み取り部を除く部分にシールド板210が設けられており、NFCタグ200は、通常は、同図(A)に示すように、シールド板210によってスマートフォン10と断絶した位置となっている。あいさつ・通知アプリ100を起動するときは、同図(B)に示すように、シールド板210よりも上方にNFCタグ200をスライドさせると、スマートフォン10によってNFCタグ200が読み取られ、あいさつ・通知アプリ100が起動される。同図(C)は、スマートフォン10の背面から見た様子を示す。なお、図示の例は、シールド板210に対してNFCタグ200をスライドさせているが、逆に、NFCタグ200を、スマートフォン10のNFC読取位置に固定し、シールド板210をスライドさせるようにしてもよい。シールド板210として、スキミング防止カード等を用いるようにしてもよい。
【0023】
図3(D)~(F)に示す例は、ケース220をストラップ222によって首や肩に掛けるようにした例である。同図(D)に示すように、ケース220の上部開口側には、折返しカバー224が設けられており、その裏側にNFCタグ200が設けられている。また、ケース220の側面には、前記NFCタグ200がスマートフォン10に近接するようにするための窓226が設けられている。ケース220に対しては、同図(E)に示すように、スマートフォン10の背面側が窓226側となるように収納する。そして、同図(F)に示すように、折返しカバー224を折り返して閉じると、折返しカバー224のNFCタグ200がケース220の窓226からスマートフォン10に対峙するようになり、あいさつ・通知アプリ100が起動される。
【0024】
図4(A)に示す例は、同様にケース230をストラップ232によって首や肩に掛けるようにした例であるが、同図(B)に示すように、ケース背面側にNFCタグ200が飾り紐によってスライド可能に設けられている。詳述すると、ケース230の背面側には、シールド板234が設けられており、NFCタグ200を読み取ることができる位置に窓236が設けられている。更に、シールド板234とケース230との間には、NFCタグ200がバネ240に吊るされており、NFCタグ200には、紐242を介して房244が設けられている。
【0025】
通常の状態では、NFCタグ200は、シールド板234の窓236に露出しており、ケース230にスマートフォン10を収納すると、同図(B)に示すようにNFCタグ200が対峙するようになり、あいさつ・通知アプリ100が起動する。次に、あいさつ・通知アプリ100を改めて起動するときは、同図(C)に示すように、房244を矢印方向に引く。すると、バネ240が伸びてNFCタグ200がシールド板234に隠れるようになり、房244を放すと、バネ240が縮んでNFCタグ200が上昇し、再び窓236の位置となってスマートフォン10と対峙するようになり、あいさつ・通知アプリ100が改めて起動される。なお、
図4の実施例において、同図(B)の状態から、スマートフォン10をケース230から取り出し、再度ケース230内に収納しても、同様に改めて起動される。
これらのように、NFCタグ200を利用して、あいさつ・通知アプリ100を起動することで、あいさつ・通知アプリ100を起動するためのアイコンを探す必要がなく、緊急時の対応が可能となる。例えば、スマートフォンに不慣れな高齢者や、目の不自由な障害者への活用が期待できる。
【0026】
なお、本実施例を有効活用するためには、アプリ登録者を増やす必要がある。例えば、
(1)あいさつ・通知アプリ100の使用料ないし登録料を無料ないし100円程度の低額とする。なお、後述する痴漢通知やSOS通知の機能については有料とする。
(2)挨拶をした際に、相互のスマートフォン10の画面に、相手方の「星座」及び「血液型」のみを表示する。これにより、特に異性との挨拶時に出会い系サイトのような雰囲気を醸し出すことで、若者たちに興味を持ってもらい、登録者数を増やす。
(3)英語・中国語などの多言語によるあいさつとすることで、特に「挨拶が恥ずかしい」と思う若年層の登録者を増やすようにする。
(4)あいさつの回数に応じてポイントを付与し、このポイントを買物などで使用できるようにする。
といった工夫をする。
ところで、開口502,504,506は形状が異なっており、図示の例では、開口502はハート形,開口504は菱形,開口506は円形となっている。他に、本実施例では、上述した状況画面20を見るための開口508,110番用の開口510,119番発信用の開口512が設けられている。