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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003589
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】作業機及び捕獲システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20240105BHJP
   A01M 29/16 20110101ALI20240105BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
A01M29/16
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102825
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】窪島 亮
(72)【発明者】
【氏名】作田 建
【テーマコード(参考)】
2B043
2B121
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB06
2B043BB14
2B043DA04
2B043DA17
2B043DC01
2B043EA12
2B043EA32
2B043EA37
2B043EA40
2B043EB08
2B043EB14
2B043EB16
2B043EB17
2B043EB18
2B043EC02
2B043EC14
2B043EC15
2B043ED03
2B043ED12
2B043EE01
2B121AA01
2B121BA39
2B121BB02
2B121BB11
2B121BB12
2B121DA58
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA26
2B121FA04
2B121FA14
(57)【要約】
【課題】作業機の周囲に存在する動物を捕獲でき、作業装置による作業が動物によって妨害されることを低減することを可能にする。
【解決手段】作業機1は、走行装置7を有する走行車体3と、走行車体3に設けられ、作業装置2を連結可能な連結装置8Aと、走行車体3及び作業装置2の少なくとも一方に設けられ、且つ、周囲に存在する動物を捕獲する捕獲装置56と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を有する走行車体と、
前記走行車体に設けられ、作業装置を連結可能な連結装置と、
前記走行車体及び前記作業装置の少なくとも一方に設けられ、且つ、周囲に存在する動物を捕獲する捕獲装置と、を備える作業機。
【請求項2】
前記動物を検知する検知装置と、
前記検知装置での動物検知に基づいて前記捕獲装置を動作させる制御装置と、を備える請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記動物を検知する検知装置と、
前記動物を威嚇する威嚇装置と、
前記威嚇装置と前記捕獲装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記検知装置での動物検知に基づいて、前記威嚇装置を動作させ、前記威嚇装置の動作後に前記検知装置での動物検知が継続されている場合、前記捕獲装置を動作させる請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
前記検知装置は、前記作業装置による作業中に、前記走行車体の周囲に存在する動物を検知する請求項2又は3に記載の作業機。
【請求項5】
前記制御装置は、ユーザによる照準指示があると、前記動物に照準を合わせるように前記捕獲装置を駆動させ、ユーザによる実行指示があると、当該捕獲装置による捕獲を実行させる、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
圃場の位置を示す圃場マップを記憶する記憶装置と、
前記走行車体の位置を測位する測位装置と、を備え、
前記制御装置は、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置する場合に、前記検知装置での動物検知に基づいて前記捕獲装置を動作させ、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置しない場合に、前記捕獲装置を動作させない、請求項2又は3に記載の作業機。
【請求項7】
表示装置を備え、
前記捕獲装置は、捕獲具を発射する装置であり、
前記制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置を、前記表示装置に表示させる、請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記検知装置は、撮像装置を含み、
前記制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させた場合に、発射後の前記捕獲具を前記撮像装置にて撮像させ、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置と、前記撮像装置にて撮像された発射後の前記捕獲具の撮像画像とを対応付けた対応データを前記記憶装置に記憶させ、
前記表示装置は、前記対応データに基づいて、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置と、発射後の前記捕獲具の撮像画像とを表示する、請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記検知装置は、前記走行車体の進行方向又は後退方向における障害物の有無を検知する障害物検知装置を含み、
前記制御装置は、前記障害物検知装置にて障害物が検知されると、前記走行装置を停止させる、請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記制御装置は、前記障害物の検知によって前記走行装置が停止された状態で、前記撮像装置にて前記障害物を撮像し、前記障害物の撮像画像を前記表示装置に表示させる、請求項9に記載の作業機。
【請求項11】
作業機と前記作業機を遠隔操作する携帯端末とを備える捕獲システムにおいて、
前記作業機は、
走行装置を有する走行車体と、
前記走行車体に設けられ、作業装置を連結可能な連結装置と、
圃場内において前記走行車体の自動運転の制御を行う自動運転制御部と、
前記走行車体の周囲に存在する動物を検知して撮像する撮像装置と、
前記撮像装置にて撮像された撮像画像を送信する第1通信装置と、
前記走行車体及び前記作業装置の少なくとも一方に設けられ、且つ、前記動物を捕獲する捕獲装置と、
前記捕獲装置を制御する第1制御装置と、を備え、
前記携帯端末は、
前記撮像画像を受信する第2通信装置と、
前記第2通信装置にて受信した前記撮像画像を表示する表示装置と、
ユーザからの捕獲指示を前記第2通信装置により送信させる第2制御装置と、を備え、
前記作業機の前記第1制御装置は、前記第1通信装置にて前記捕獲指示が受信されると、前記捕獲装置を動作させる、捕獲システム。
【請求項12】
前記撮像装置は、前記作業装置による作業中に、前記動物を検知して撮像する請求項11に記載の捕獲システム。
【請求項13】
前記第2制御装置は、ユーザによる照準指示があると、前記照準指示を前記第2通信装置により送信させ、
前記作業機の前記第1制御装置は、前記照準指示に基づいて、前記撮像装置にて撮像された動物に照準を合わせるように前記捕獲装置を駆動させ、前記捕獲指示が受信されると、前記捕獲装置による捕獲を実行させる、請求項12に記載の捕獲システム。
【請求項14】
前記作業機は、前記動物を威嚇する威嚇装置を備え、
前記携帯端末の前記第2制御装置は、ユーザからの威嚇指示を前記第2通信装置により送信させ、
前記第1制御装置は、前記威嚇指示に基づいて、前記威嚇装置を動作させ、前記威嚇装置の動作後に前記撮像装置での動物検知が継続されている場合、前記捕獲指示に基づいて、前記捕獲装置を動作させる請求項13に記載の捕獲システム。
【請求項15】
前記作業機は、前記走行車体の位置を測位する測位装置を備え、
前記携帯端末は、圃場の位置を示す圃場マップを記憶する記憶装置を備え、
前記第2制御装置は、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置する場合に、前記捕獲指示を前記第2通信装置により送信させ、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置しない場合に、前記捕獲指示を前記第2通信装置から送信させない、請求項14に記載の捕獲システム。
【請求項16】
前記捕獲装置は、捕獲具を発射する装置であり、
前記第1制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置を、前記第1通信装置により送信させ、
前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置が受信した、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置を表示する、請求項15に記載の捕獲システム。
【請求項17】
前記第1制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させた場合に、発射後の前記捕獲具を前記撮像装置にて撮像させ、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置と、前記撮像装置にて撮像された発射後の前記捕獲具の撮像画像とを対応付けた対応データを前記記憶装置に記憶させ、前記対応データを前記第1通信装置により送信させ、
前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置が受信した前記対応データに基づいて、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置と、発射後の前記捕獲具の撮像画像とを表示する、請求項16に記載の捕獲システム。
【請求項18】
前記第1制御装置は、前記捕獲具の撮像画像に基づいて動物の捕獲数を判定し、当該捕獲数を前記対応データに追加して前記記憶装置に記憶させ、
前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置が受信した前記対応データに基づいて、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置と、発射後の前記捕獲具の撮像画像と、動物の捕獲数とを表示する、請求項17に記載の捕獲システム。
【請求項19】
前記作業機は、前記走行車体の進行方向又は後退方向における障害物の有無を検知する障害物検知装置を備え、
前記第1制御装置は、前記障害物検知装置にて障害物が検知されると、前記走行装置を停止させる請求項17に記載の捕獲システム。
【請求項20】
前記第1制御装置は、前記障害物の検知によって前記走行装置が停止された状態で、前記撮像装置にて前記障害物を撮像させ、前記障害物の撮像画像を前記第1通信装置により送信させ、
前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置にて受信された前記障害物の撮像画像を表示する請求項19に記載の捕獲システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トラクタ等の作業機及び捕獲システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、動物を捕獲する専用の動物捕獲用ドローンが記載されている。この動物捕獲用ドローンは、手動操縦又は自動操縦される無人飛行体と、無人飛行体に設けられ、センサにて動物が検知されると当該動物に位置情報送信機を取り付ける取付手段と、動物に取り付けた位置情報送信機からの位置情報に基づいて、当該動物に向けて捕獲袋などを発射する発射装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-145653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の動物捕獲用ドローンは、動物に取り付けた位置情報送信機からの位置情報に基づいて動物を捕獲するので、位置情報送信機が取り付けられていない動物については捕獲できない。また、この動物捕獲用ドローンは、圃場で作業する作業機と連携して飛行することはできないので、作業機の周囲に存在する動物を捕獲することができない。このため、作業装置による作業が動物によって妨害されることについて対処できない。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、作業機の周囲に存在する動物を捕獲することができ、作業装置による作業が動物によって妨害されることを低減することができる作業機及び捕獲システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様に係る作業機は、走行装置を有する走行車体と、前記走行車体に設けられ、作業装置を連結可能な連結装置と、前記走行車体及び前記作業装置の少なくとも一方に設けられ、且つ、周囲に存在する動物を捕獲する捕獲装置と、を備える。
作業機は、前記動物を検知する検知装置と、前記検知装置での動物検知に基づいて前記捕獲装置を動作させる制御装置と、を備えてもよい。
【0007】
作業機は、前記動物を検知する検知装置と、前記動物を威嚇する威嚇装置と、前記威嚇装置と前記捕獲装置とを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記検知装置での動物検知に基づいて、前記威嚇装置を動作させ、前記威嚇装置の動作後に前記検知装置での動物検知が継続されている場合、前記捕獲装置を動作させてもよい。
前記検知装置は、前記作業装置による作業中に、前記走行車体の周囲に存在する動物を検知してもよい。
【0008】
前記制御装置は、ユーザによる照準指示があると、前記動物に照準を合わせるように前記捕獲装置を駆動させ、ユーザによる実行指示があると、当該捕獲装置による捕獲を実行させてもよい。
作業機は、圃場の位置を示す圃場マップを記憶する記憶装置と、前記走行車体の位置を測位する測位装置と、を備え、前記制御装置は、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置する場合に、前記検知装置での動物検知に基づいて前記捕獲装置を動作させ、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置しない場合に、前記捕獲装置を動作させないとしてもよい。
【0009】
作業機は、表示装置を備え、前記捕獲装置は、捕獲具を発射する装置であり、前記制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置を、前記表示装置に表示させてもよい。
前記検知装置は、撮像装置を含み、前記制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させた場合に、発射後の前記捕獲具を前記撮像装置にて撮像させ、前記捕獲装置から前
記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置と、前記撮像装置にて撮像された発射後の前記捕獲具の撮像画像とを対応付けた対応データを前記記憶装置に記憶させ、前記表示装置は、前記対応データに基づいて、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置と、発射後の前記捕獲具の撮像画像とを表示してもよい。
【0010】
前記検知装置は、前記走行車体の進行方向又は後退方向における障害物の有無を検知する障害物検知装置を含み、前記制御装置は、前記障害物検知装置にて障害物が検知されると、前記走行装置を停止させてもよい。
前記制御装置は、前記障害物の検知によって前記走行装置が停止された状態で、前記撮像装置にて前記障害物を撮像し、前記障害物の撮像画像を前記表示装置に表示させてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る捕獲システムは、作業機と前記作業機を遠隔操作する携帯端末とを備える捕獲システムにおいて、前記作業機は、走行装置を有する走行車体と、前記走行車体に設けられ、作業装置を連結可能な連結装置と、圃場内において前記走行車体の自動運転の制御を行う自動運転制御部と、前記走行車体の周囲に存在する動物を検知して撮像する撮像装置と、前記撮像装置にて撮像された撮像画像を送信する第1通信装置と、前記走行車体及び前記作業装置の少なくとも一方に設けられ、且つ、前記動物を捕獲する捕獲装置と、前記捕獲装置を制御する第1制御装置と、を備え、前記携帯端末は、前記撮像画像を受信する第2通信装置と、前記第2通信装置にて受信した前記撮像画像を表示する表示装置と、ユーザからの捕獲指示を前記第2通信装置により送信させる第2制御装置と、を備え、前記作業機の前記第1制御装置は、前記第1通信装置にて前記捕獲指示が受信されると、前記捕獲装置を動作させる。
【0012】
前記撮像装置は、前記作業装置による作業中に、前記動物を検知して撮像してもよい。
前記第2制御装置は、ユーザによる照準指示があると、前記照準指示を前記第2通信装置により送信させ、前記作業機の前記第1制御装置は、前記照準指示に基づいて、前記撮像装置にて撮像された動物に照準を合わせるように前記捕獲装置を駆動させ、前記捕獲指示が受信されると、前記捕獲装置による捕獲を実行させてもよい。
【0013】
前記作業機は、前記動物を威嚇する威嚇装置を備え、前記携帯端末の前記第2制御装置は、ユーザからの威嚇指示を前記第2通信装置により送信させ、前記第1制御装置は、前記威嚇指示に基づいて、前記威嚇装置を動作させ、前記威嚇装置の動作後に前記撮像装置での動物検知が継続されている場合、前記捕獲指示に基づいて、前記捕獲装置を動作させてもよい。
【0014】
前記作業機は、前記走行車体の位置を測位する測位装置を備え、前記携帯端末は、圃場の位置を示す圃場マップを記憶する記憶装置を備え、前記第2制御装置は、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置する場合に、前記捕獲指示を前記第2通信装置により送信させ、前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置が、前記圃場マップに示す圃場に位置しない場合に、前記捕獲指示を前記第2通信装置から送信させないとしてもよい。
【0015】
前記捕獲装置は、捕獲具を発射する装置であり、前記第1制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置を、前記第1通信装置により送信させ、前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置が受信した、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置を表示してもよい。
前記第1制御装置は、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させた場合に、発射後の前記捕獲具を前記撮像装置にて撮像させ、前記捕獲装置から前記捕獲具を発射させたときの前記測位装置にて計測された前記走行車体の位置と、前記撮像装置にて撮像された発射後の前記捕獲具の撮像画像とを対応付けた対応データを前記記憶装置に記憶させ、前記対応データを前記第1通信装置により送信させ、前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置が受信した前記対応データに基づいて、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置と、発射後の前記捕獲具の撮像画像とを表示してもよい。
【0016】
前記第1制御装置は、前記捕獲具の撮像画像に基づいて動物の捕獲数を判定し、当該捕獲数を前記対応データに追加して前記記憶装置に記憶させ、前記携帯端末の前記表示装置
は、前記第2通信装置が受信した前記対応データに基づいて、前記捕獲具を発射させたときの前記走行車体の位置と、発射後の前記捕獲具の撮像画像と、動物の捕獲数とを表示してもよい。
【0017】
前記作業機は、前記走行車体の進行方向又は後退方向における障害物の有無を検知する障害物検知装置を備え、前記第1制御装置は、前記障害物検知装置にて障害物が検知されると、前記走行装置を停止させてもよい。
前記第1制御装置は、前記障害物の検知によって前記走行装置が停止された状態で、前記撮像装置にて前記障害物を撮像させ、前記障害物の撮像画像を前記第1通信装置により送信させ、前記携帯端末の前記表示装置は、前記第2通信装置にて受信された前記障害物の撮像画像を表示してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業機の周囲に存在する動物を捕獲することができ、作業装置による作業が動物によって妨害されることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態における捕獲システムのブロック図である。
図2】昇降装置8を示す図である。
図3】マップ作成画面M1の一例を示す図である。
図4A】照準前における携帯端末80の表示画面及び捕獲装置56の状態の一例を示す図である。
図4B】照準後における携帯端末80の表示画面及び捕獲装置56の状態の一例を示す図である。
図5A】自動運転中の作業機1にて遠隔操作で動物を捕獲する場合の指示・情報等の流れの一例を示す図である。
図5B】捕獲システムの使用シーンの一例を示す図である。
図6】第1実施形態における作業機1における威嚇・捕獲処理を示すフローチャートである。
図7】第1実施形態における携帯端末80における威嚇・捕獲指示のためのフローチャートである。
図8A】第1実施形態における対応データの一例を示す図である。
図8B】第2実施形態における対応データの一例を示す図である。
図9A】自動運転の走行予定ルートL1及び捕獲具57の発射位置の一例を示す図である。
図9B】携帯端末80の表示装置82に表示された対応表示画面の一例を示す図である。
図10】第2実施形態における作業機1における威嚇・捕獲処理を示すフローチャートである。
図11】作業機(トラクタ)1の側面全体図である。
図12】第3実施形態における作業機1のブロック図である。
図13】第3実施形態における作業機1における威嚇・捕獲処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における捕獲システムを示す図である。第1実施形態における捕獲システムは、作業機1とサーバ70と携帯端末80とを備え、作業機1を遠隔操作する携帯端末80からの指示によって、自動運転中の作業機1の周囲に存在する動物の捕獲等ができる。
【0021】
図11は、作業機1の一例であるトラクタを示している。作業機1について、トラクタを例に挙げて説明するが、作業機1は、トラクタに限定されず、田植機、コンバインなどの作業車両であってもよい。
図11に示すように、作業機1は、走行装置7を有する走行車体3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。走行車体3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0022】
また、走行車体3の後部には、連結装置8Aが設けられている。連結装置8Aは、作業装置2と走行車体3とを連結し且つ3点リンク機構等で構成されて昇降を行う昇降装置8である。なお、連結装置8Aは、作業装置2と走行車体3とを連結し且つ昇降を行わないスイングドローバなどであってもよい。連結装置8Aには、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を連結装置8Aに連結することによって、走行車体3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、苗を植え付ける移植装置、灌水を行う灌水装置、農薬を散布する農薬散布装置、種を散布する播種散布装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。
【0023】
図2は、昇降装置8を示す図である。図2に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁36を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁36は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0024】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0025】
図1に示すように、作業機1は、操舵装置29を備えている。操舵装置29は、ハンドル(ステアリングホイール)30と、ハンドル30の回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)31と、ハンドル30の操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)32と、を有している。補助機構32は、油圧ポンプ33と、油圧ポンプ33から吐出した作動油が供給される制御弁34と、制御弁34により作動するステアリングシリンダ35とを含んでいる。制御弁34は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁34は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁34は、操舵軸31の操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ35は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)に接続されている。
【0026】
したがって、ハンドル30を操作すれば、当該ハンドル30に応じて制御弁34の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁34の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ35が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置29は一例であり、上述した構成に限定されない。
作業機1は、測位装置40を備えている。測位装置40は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、作業機1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。測位装置40は、受信装置41と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)
42とを有している。受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に走行車体3に取付けられている。この実施形態では、受信装置41は、走行車体3、即ち、キャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0027】
慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。走行車体3、例えば、運転席10の下方に設けられ、慣性計測装置42によって、走行車体3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
図1に示すように、作業機1は、表示装置50を備えている。表示装置50は、作業機1に関する様々な情報を表示する。また、表示装置50は、図3に示すように、作業機1が自動運転を行う作業エリアA1を含む作業マップMP1の作成を行う。
【0028】
以下、表示装置50について詳しく説明する。
図1に示すように、表示装置50は、表示部51と、エリア作成部52と、記憶装置53とを備えている。表示部51は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネル等で構成されていて、様々な情報を表示する。エリア作成部52は、CPU、電気電子回路、表示装置50に格納されたプログラム等から構成されている。図3に示すように、エリア作成部52は、作業機1で作業を行う作業エリアA1を含む作業マップMP1の作成を行う。記憶装置53は、不揮発性のメモリ等から構成されている。記憶装置53は、作業マップMP1等を記憶する。
【0029】
図3に示すように、表示装置50に対して所定の操作を行うと、エリア作成部52は、表示部51にマップ作成画面M1を表示させる。マップ作成画面M1は、フィールド部65と、操作部(ソフトウェアスイッチ)66とを含んでいる。フィールド部65には、位置情報(緯度、経度)が割り当てられている。フィールド部65に設けられた操作部66を操作することによって、フィールド部65に、圃場の輪郭を示す圃場エリアH1と、圃場エリアH1内に作業エリアA1を設定することが可能である。操作部66は、マップ作成画面M1に表示されるポインタ67を、当該フィールド部65に対して、上、下、左、右に移動させる矢印66aと、決定ボタン66b、キャンセルボタン66cを有している。
【0030】
マップ作成画面M1において、矢印66aによって、ポインタ67を動かし、フィールド部65内において、圃場エリアH1の境界点を示す複数の点P10、P11、P12、P13を選択すると、エリア作成部52は、点P10、P11、P12、P13を結ぶ複数の線を圃場エリアH1の境界線として設定し、当該複数の線で囲まれた部分を圃場エリアH1として作成する。また、エリア作成部52は、圃場エリアH1の任意の位置に、フィールド部65に割り当てられた位置情報(緯度、経度)を対応付ける。
【0031】
また、圃場エリアH1の作成と同様に、矢印66aによって、ポインタ67を動かし、フィールド部65内において、作業エリアA1の境界を示す複数の点P20、P21、P22、P23を選択すると、エリア作成部52は、点P20、P21、P22、P23を結ぶ複数の線を作業エリアA1の境界線として設定し、当該複数の線で囲まれた部分を作業エリアA1として作成する。また、エリア作成部52は、作業エリアA1の任意の位置に、フィールド部65に割り当てられた位置情報(緯度、経度)を対応付ける。
【0032】
圃場エリアH1と作業エリアA1とが設定されると、圃場エリアH1及び作業エリアA1を含む作業マップMP1は、記憶装置53に記憶される。
なお、上述した作業マップMP1の作成方法は、一例であり、限定されない。また、上述した実施形態では、圃場エリアH1と作業エリアA1との両方を設定していたが、作業エリアA1のみを設定して、当該作業エリアA1を作業マップMP1として記憶装置53に記憶してもよい。また、作業マップMP1は、記憶装置43が記憶してもよい。
【0033】
また、エリア作成部52は、図9Aに示すように、圃場エリアH1の作業エリアA1において走行予定ルートL1を設定することができる。図9Aは、自動運転の走行予定ルートL1及び捕獲具57の発射位置の一例を示す図である。自動運転制御部63は、作業エリアA1に設定された走行予定ルートL1に従って、作業機1(トラクタ)の自動運転を行うことができる。
【0034】
図1に示すように、作業機1は、制御装置60と、検知装置61とを備えている。制御装置60は、CPU、電子・電気回路等から構成されていて、作業機1における走行系の制御、作業系の制御等を行う装置である。
検知装置61は、作業機1の周囲の状況を検出する光学式センサ61Aを含む。光学式センサ61Aは、例えば、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを搭載したCCDカメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを搭載したCMOSカメラ、赤外線カメラ、レーザセンサ(ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging))等である。レーザセンサ(ライダー)は、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線等を照射し、跳ね返って戻ってくるまでの時間を測定することで、走行車体3の周辺の3Dマップを構築することができるセンサである。
【0035】
制御装置60には、運転切換スイッチ71が接続されている。運転切換スイッチ71は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONである場合に制御装置60を自動運転モードに設定することができ、OFFである場合に制御装置60を手動運転モードに設定することができる。
制御装置60は、自動運転制御部63を有している。自動運転制御部63は、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。
【0036】
自動運転制御部63は、作業機1(走行車体3)の自動運転を制御する。自動運転を行うには、まず、作業機1を、自動運転を行う圃場に移動させ、表示装置50で作成した作業マップMP1を呼び出す。自動運転制御部63は、作業マップMP1を読み込んだ後、自動運転モードになっている場合に、自動運転を開始する。自動運転制御部63は、自動運転の開始後、作業機1の周囲をセンシングし、センシングしたときのセンシングデータを参照しながら、作業機1の操舵、車速等を調整することで、自立して圃場内などを自動的に走行する。
【0037】
検知装置61は、動物を検知する。検知装置61は、撮像装置61A1を含む。撮像装置61A1は、動物を検知して撮像し、検知された動物の撮像画像を出力する。例えば、CCDカメラ、又はCMOSカメラなどの撮像装置61A1が動物を検知して撮像し、撮像画像を出力してもよい。また、撮像装置61A1は、赤外線カメラ又はレーザセンサにて動物を検知して撮像し、撮像画像を出力する装置としてもよい。また、赤外線カメラ又はレーザセンサにて動物を検知し、赤外線カメラ又はレーザセンサにて動物が検知された場合に、検知された動物をCCDカメラ、又はCMOSカメラにて撮像し、撮像画像を出力してもよい。撮像装置61A1は、作業装置2による作業中に、作業機1の周囲に位置する動物を検知して撮像する。
【0038】
作業機1は、第1通信装置69を備えている。第1通信装置69は、サーバ70又は携帯端末80に対して直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、第1通信装置69は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。第1通信装置69は、光学式センサ61A(撮像装置61A1)にて撮像された動物の撮像画像を送信する。
【0039】
さて、作業機1は、当該作業機1の周囲に存在する動物を威嚇する威嚇装置55を備えている。威嚇装置55は、例えば、動物に対する威嚇音(サイレン音、発砲音、爆発音、犬などの動物が吠える音など)を出力する音出力装置である。また、作業機1が備えるヘッドライト、作業灯、バックランプなどのランプを、威嚇音の出力と共に、又は威嚇音の出力に替えて、所定の威嚇用の発光態様で発光させてもよい。
【0040】
作業機1は、当該作業機1の周囲に存在する動物を捕獲する捕獲装置56を備えている。捕獲装置56は、捕獲具57を発射する装置である。捕獲具57としては、捕獲網、捕獲シート、捕獲袋、粘着網、粘着パッド、粘着弾、捕獲用麻酔弾などが挙げられる。ここでは、捕獲具57は捕獲網とする。図11に示すように、捕獲装置56は、走行車体3に設けられている。具体的には、捕獲装置56は、走行車体3の前側左側部に設けられている。捕獲装置56は、作業機1に取り付けられた基台部56aと、基台部56aに対して、少なくとも仰角方向に可動するように支持された発射筒部56bと、発射筒部56bの先端で且つ外表面上部に設けられた照準カメラ部56cとを備えている。発射筒部56bは、更に、方位角方向に所定範囲内で可動するように支持された構成としてもよい。捕獲具57(捕獲網)は、発射筒部56bから発射された後に空中で広がって、発射先の動物に覆いかぶさることで、動物を捕獲することができる。
【0041】
なお、捕獲装置56は、走行車体3の前側右側部、前側中央部、作業装置2の後側左側部、後側中央部及び後側右側部の何れかに設けてもよい。また、捕獲装置56は1つに限らず、複数でもよい。例えば、捕獲装置56が走行車体3及び作業装置2の両方に設けられてもよい。また、複数の捕獲装置56は、走行車体3の前側左側部、前側中央部及び前側右側部、作業装置2の後側左側部、後側中央部及び後側右側部の何れかのうちで2つ以上に設けてもよい。
【0042】
図1に示すように、制御装置60は、第1制御装置64を備えている。第1制御装置64は、CPU、電子・電気回路等から構成されていて、威嚇装置55と捕獲装置56とを制御する。
ここで、携帯端末80の構成について説明する。携帯端末80は、第2通信装置81、表示装置82、第2制御装置83、及び記憶装置84を備える。
【0043】
第2通信装置81は、サーバ70又は作業機1に対して直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、第2通信装置81は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。第2通信装置81は、作業機1からの撮像画像を受信する。
【0044】
表示装置82は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネル等で構成されていて、様々な情報を表示する。表示装置82は、第2通信装置81にて受信した撮像画像を表示する。
第2制御装置83は、CPU、電子・電気回路等から構成されている。第2制御装置83は、ユーザからの威嚇指示及び捕獲指示を第2通信装置81により送信させる。
【0045】
携帯端末80の第2制御装置83は、ユーザからの威嚇指示を、第2通信装置81により送信させる。威嚇指示は、サーバ70を介して作業機1に送信される。作業機1の第1制御装置64は、携帯端末80からの威嚇指示に基づいて、威嚇装置55を動作させ、威嚇装置55の動作後に撮像装置61A1での動物検知が継続されている場合、捕獲指示に基づいて、捕獲装置56を動作させる。
【0046】
作業機1の第1制御装置64は、第2通信装置81からの照準指示が第1通信装置69にて受信されると、捕獲装置56の照準を動物に合わせる。第1制御装置64は、第2通信装置81からの捕獲指示が第1通信装置69にて受信されると、捕獲装置56から捕獲具57を発射させる。
具体的には、第2制御装置83は、ユーザによる照準指示があると、照準指示を第2通信装置81により送信させる。照準指示は、サーバ70を介して作業機1に送信される。携帯端末80では、手動照準モードと自動照準モードとを、ユーザによって選択して設定することができる。
【0047】
図4Aは、照準前における携帯端末80の表示画面及び捕獲装置56の状態の一例を示す図である。図4Bは、照準後における携帯端末80の表示画面及び捕獲装置56の状態の一例を示す図である。例えば、図4Aに示すように、携帯端末80の表示装置82には、撮像装置61A1にて撮像された障害物(動物)の撮像画像を表示する表示画面82Aと、照準カメラ部56cにて撮像された照準画面82Bとが、表示されている。なお、図4Aでは、捕獲装置56の発射筒部56bが、撮像装置61A1にて撮像された障害物(動物)に向けられていないので、照準画面82Bには当該障害物(動物)が表示されていない。
【0048】
例えば、手動照準モードが設定されている場合には、携帯端末80の表示装置82に表示された照準画面82Bに対するユーザのスワイプ操作があると、当該スワイプ操作による方向指示が照準指示としてサーバ70を介して作業機1に送信される。即ち、図4Bに示すように、作業機1の第1制御装置64は、スワイプ操作による方向指示(照準指示)に従って、捕獲装置56の発射筒部56bの方向(仰角及び方位角)を変更させる。ユーザは、照準画面82Bの照準マークの中心に動物が位置するようにスワイプ操作する。照準マークの中心に動物が位置する状態は、図4Bに示すように、発射筒部56bの方向が当該動物に向けた状態である。このときに携帯端末80に対してユーザからの捕獲指示(発射指示)があると、第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させる。発射された捕獲具57によって動物が捕獲される。
【0049】
一方、自動照準モードが設定されている場合には、作業機1の第1制御装置64は、照準指示(表示装置82に表示された自動照準ボタンのタッチ操作)に基づいて、撮像装置61A1にて撮像された動物に照準を自動的に合わせるように捕獲装置56を駆動させる。具体的には、第2制御装置83は、照準指示があると、検知された動物が図11に示す照準カメラ部56cに含まれるように、発射筒部56bの仰角及び方位角を変更する駆動制御を行うことにより、捕獲装置56の照準を動物に合わせる。例えば、動物を検知している撮像装置61A1の撮影方向を示すデータ、動物を検知している赤外線カメラ又はレーザセンサの検知方向を示すデータに基づいて、照準カメラ部56cのカメラ方向を前記撮影方向又は前記検知方向に一致させるように、発射筒部56bの仰角及び方位角を駆動させることにより、捕獲装置56の照準を動物に合わせる。第2制御装置83は、捕獲指示を受信すると、捕獲装置56による捕獲を実行させる。即ち、携帯端末80に対してユーザからの捕獲指示があると、第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させる。発射された捕獲具57によって動物が捕獲される。
【0050】
また、携帯端末80の記憶装置84は、圃場の位置を示す圃場マップを記憶する。例えば、記憶装置84は、作業機1の記憶装置53が記憶する作業マップMP1(圃場エリアH1及び作業エリアA1を含む)を受信し、圃場マップとして記憶してもよい。第2制御装置83は、作業機1の測位装置40にて計測された走行車体3の位置が、圃場マップに示す圃場に位置する場合に、捕獲指示を第2通信装置81により送信させる。即ち、走行車体3の位置が圃場(圃場エリアH1)に位置する場合には、携帯端末80は、捕獲指示を、サーバ70を介して作業機1に送信する。一方、第2制御装置83は、測位装置40にて計測された走行車体3の位置が、圃場マップに示す圃場(圃場エリアH1)に位置しない場合に、捕獲指示を第2通信装置81から送信させない。即ち、走行車体3の位置が圃場(圃場エリアH1)に位置しない場合には、携帯端末80は捕獲指示を送信しない。
【0051】
第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置を、第1通信装置69により、サーバ70を介して携帯端末80に送信させる。携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81が受信した、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置を表示する。
また、第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた場合に、発射後の捕獲具57を撮像装置61A1にて撮像させる。第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体の位置と、撮像装置61A1にて撮像された発射後の捕獲具57の撮像画像とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させる。第1制御装置64は、対応データを第1通信装置69により送信させる。携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81が受信した対応データに基づいて、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置と、発射後の捕獲具57の撮像画像とを表示する。
【0052】
また、検知装置61は、走行車体3の進行方向又は後退方向における障害物(動物を含む)の有無を検知する障害物検知装置61A2を含む。例えば、撮像装置61A1は、障害物(動物を含む)を検知する。第1制御装置64は、障害物検知装置61A2にて障害
物が検知されると、走行装置7を停止させる。第1制御装置64は、障害物の検知によって走行装置7が停止された状態で、撮像装置61A1にて障害物を撮像させる。第1制御装置64は、障害物の撮像画像を第1通信装置69により、携帯端末80に送信させる。携帯端末80の第2通信装置81は、障害物の撮像画像を受信する。携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81にて受信された障害物の撮像画像を表示する。
【0053】
サーバ70は、作業機1と携帯端末80との間に介在し、作業機1と携帯端末80との間で、通知、情報、指示及び対応データなどの通信を行う。
図5Aは、自動運転中の作業機1にて遠隔操作で動物を捕獲する場合の指示・情報等の流れの一例を示す図である。図5Bは、捕獲システムの使用シーンの一例を示す図である。図5Bに示すように、自動運転で農作業中の作業機1は、携帯端末80に遠隔操作が可能である。
【0054】
図5A図5Bに示すように、自動運転中の作業機1が障害物(例えば動物)の検知により停止した場合に、第1通信装置69は、停止通知をサーバ70に送信する。また、作業機1が停止した状態で障害物を撮像装置61A1にて撮像したカメラ情報(撮像画像)を、第1通信装置69がサーバ70に送信する。サーバ70は、作業機1からの停止通知及びカメラ情報(撮像画像)を受信して携帯端末80に送信する。
【0055】
携帯端末80は、停止通知及びカメラ情報(撮像画像)を受信すると、作業機1が停止した旨と、受信した撮像画像とを表示装置82に表示する。携帯端末80のユーザは、表示装置82に表示された情報により、状況を確認する。例えば、障害物が動物である場合に、ユーザは、照準指示又は捕獲指示などを指示する。例えば、図5Bに示すように、携帯端末80のユーザは、表示装置82に表示された撮像画像を見て、動物であることを確認できる。そして、ユーザは、携帯端末80に対して、照準指示(例えば、画面をスワイプして照準を合わせる照準指示など)を入力することができる。携帯端末80は、照準指示をサーバ70に送信する。サーバ70は、携帯端末80からの照準指示を作業機1に送信する。作業機1は、携帯端末80からの照準指示に基づいて捕獲装置56の照準を動物に合わせる。
【0056】
携帯端末80のユーザは、表示装置82に表示された動物に照準が合ったことを確認でき、携帯端末80に対して、捕獲指示を入力することができる。携帯端末80は、捕獲指示をサーバ70に送信する。サーバ70は、携帯端末80からの捕獲指示を作業機1に送信する。携帯端末80からの捕獲指示に基づいて動物に向けて捕獲具57を発射する。作業機1の第1通信装置69は、捕獲具57が発射されたことを示す発射通知と、捕獲具57の発射がされたときの走行車体3の位置を示す対応データとを、サーバ70に送信する。サーバ70は、発射通知と対応データとを受信して携帯端末80に送信する。携帯端末80の表示装置82は、発射通知と対応データとを受信すると、作業機1にて捕獲具57の発射がされた旨と、捕獲具57の発射がされたときの走行車体3の位置とを表示する。なお、これに加えて、図5Bに示す捕獲具57の撮像画像を表示させてもよい。捕獲具57の撮像画像については第2実施形態にて詳細に説明する。
【0057】
ここで、第1実施形態における捕獲システムによる動物の捕獲処理について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、第1実施形態における作業機1における威嚇・捕獲処理を示すフローチャートである。図7は、第1実施形態における携帯端末80における威嚇・捕獲指示のためのフローチャートである。ここでは、図9Aに示す圃場エリアH1の走行予定ルートL1に沿って作業機1を自動運転させて、作業装置2にて耕耘作業が行われるとする。
【0058】
図6に示すように、作業機1(トラクタ)の自動運転中において、障害物検知装置61A2は、走行車体3の進行方向又は後退方向における障害物(動物を含む)の有無を検知する(S11)。第1制御装置64は、障害物検知装置61A2にて障害物が検知されていない場合(S11,No)、S11に戻り、障害物が検知されるまで待機する。一方、第1制御装置64は、障害物検知装置61A2にて障害物が検知されると(S11,Yes)、走行装置7を停止させ、停止通知を第1通信装置69によりサーバ70に送信させる(S12)。第1制御装置64は、作業機1が停止した状態で障害物を撮像装置61A
1にて撮像し、この撮像画像を第1通信装置69によりサーバ70に送信させる(S13)。
【0059】
一方、携帯端末80の第2制御装置83は、図7に示すように、第2通信装置81にて作業機1からの停止通知の有無を判定する(S31)。第2制御装置83は、第2通信装置81にて作業機1からの停止通知が受信されていない場合(S31,No)、S31に戻り、停止通知を受信するまで待機する。一方、第2制御装置83は、第2通信装置81にて作業機1からの停止通知が受信されると、停止通知ありと判定し(S31,Yes)、障害物の撮像画像を表示する(S32)。
【0060】
第2制御装置83は、威嚇指示の入力の有無を判定する(S33)。例えば、携帯端末80のユーザは、表示装置82に表示された障害物の撮像画像を見て、動物であることを確認した場合に、表示装置82に表示された威嚇指示ボタンをタッチ操作することができる。第2制御装置83は、威嚇指示ボタンのタッチ操作があると、威嚇指示の入力ありと判定し(S33,Yes)、威嚇指示をサーバ70に送信する(S34)。サーバ70は、携帯端末80からの威嚇指示を作業機1に送信する。一方、第2制御装置83は、威嚇指示のキャンセルボタンへのタッチ操作があると、威嚇指示の入力なしと判定し(S33,No)、S36に進む。
【0061】
図6に示すように、作業機1の第1制御装置64は、威嚇指示の有無を判定する(S14)。例えば、第1制御装置64は、第1通信装置69が威嚇指示を受信すると、威嚇指示ありと判定し(S14,Yes)、威嚇装置55を動作させる(S15)。威嚇装置55は、威嚇音を出力したり、威嚇音の出力と共に、又は威嚇音の出力に替えて、所定の威嚇用の発光態様で発光させたりする。これにより、作業機1の周囲に存在する動物が驚いて逃げることがある。ところが、威嚇に慣れた動物の場合には、逃げない場合もある。第1制御装置64は、威嚇装置55の動作後に、障害物を撮像装置61A1にて撮像し、この撮像画像を第1通信装置69によりサーバ70に送信させる(S16)。一方、第1制御装置64は、威嚇指示がない場合(S14,No)、S17に進む。
【0062】
図7に示すように、S34のあと、第2制御装置83は、作業機1から送信された障害物の撮像画像を表示する(S35)。携帯端末80のユーザは、表示装置82に表示された撮像画像を見て、威嚇装置55によって動物が追い払えたか否かを確認することができる。撮像画像に動物が含まれていない場合には、動物が追い払えたことを確認できる。また、撮像画像に動物が含まれている場合には、動物が追い払えていないことを確認できる。
【0063】
S35のあと、又は、威嚇指示の入力無しの場合(S33,No)、第2制御装置83は、照準指示の入力の有無を判定する(S36)。撮像画像に動物が含まれている場合には、ユーザは、携帯端末80に照準指示する。例えば、手動照準モードが設定されている場合には、表示装置82に表示された照準画面82Bに対して、ユーザはスワイプ操作を行うことにより、照準指示が表示装置82に入力される。一方、自動照準モードが設定されている場合には、ユーザは、表示装置82に表示された自動照準ボタンのタッチ操作を行うことにより、照準指示が表示装置82に入力される。第2制御装置83は、照準指示があると(S36,Yes)、照準指示をサーバ70に送信する(S37)。サーバ70は、携帯端末80からの照準指示を作業機1に送信する。一方、第2制御装置83は、照準指示しないボタンがタッチ操作された場合、又は、所定期間において照準指示がなかった場合に(S36,No)、S42に進む。
【0064】
図6に示すように、作業機1の第1制御装置64は、照準指示の有無を判定する(S17)。例えば、第1制御装置64は、第1通信装置69が照準指示を受信すると、照準指示ありと判定し(S17,Yes)、捕獲装置56の照準を合わせる(S18)。第1制御装置64は、携帯端末80からの照準指示に従って、捕獲装置56の照準が動物に合っていない状態(図4A参照)から、捕獲装置56の照準が動物に合っている状態(図4B参照)に、捕獲装置56の発射筒部56bの方向(仰角及び方位角)を変更する。
【0065】
図7に示すように、S37のあと、携帯端末80の第2制御装置83は、ユーザからの捕獲指示の入力の有無を判定する(S38)。携帯端末80のユーザは、図4Bに示すよ
うに、表示装置82に表示された照準画面82Bを見て、捕獲装置56の照準が動物に合っている状態(図4B図5B参照)において、捕獲指示を入力する。第2制御装置83は、ユーザからの捕獲指示があると(S38,Yes)、作業機1は圃場エリアH1に位置するか否かを判定する(S38A)。第2制御装置83は、作業機1から送信された当該作業機1の位置情報が、記憶装置84に記憶された圃場マップが示す圃場(圃場エリアH1)の範囲内に含まれるか否かを判定する。第2制御装置83は、作業機1が圃場エリアH1に位置すると判定した場合(S38A,Yes)、捕獲指示をサーバ70に送信する(S39)。サーバ70は、携帯端末80からの捕獲指示を作業機1に送信する。一方、第2制御装置83は、捕獲指示しないボタンがタッチ操作された場合、又は、所定期間において捕獲指示がなかった場合に(S39,No)、S42に進む。
【0066】
図6に示すように、作業機1の第1制御装置64は、捕獲指示の有無を判定する(S19)。例えば、第1制御装置64は、第1通信装置69が捕獲指示を受信すると、捕獲指示ありと判定し(S19,Yes)、捕獲装置56から捕獲具57を発射させる(S20)。第1制御装置64は、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置を、捕獲具57の発射位置として記憶装置43に記憶させる(S21)。図8Aは、第1実施形態における対応データの一例を示す図である。ここでは、作業機1は障害物(動物)の検知により、走行装置7の停止状態が継続している。つまり、図9Aに示す発射位置P1にて捕獲具57が発射されている。この発射位置P1では走行車体3が停止している。このように、記憶装置43は、走行車体3の停止位置を、発射位置P1として記憶する。第1制御装置64は、撮像装置61A1および照準カメラ部56cの少なくとも一方によって発射後の捕獲具57を撮像させる(S22)。この捕獲具57の撮像画像と、捕獲具57の発射位置とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させる(S23)。図8Aは、第1実施形態における対応データの一例を示す図である。図8Aに示すように、記憶装置43は、捕獲具57の撮像画像(ここでは、第1の撮像画像G1)と、捕獲具57の発射位置P1(ここでは、第1の発射位置P1)とを対応付けた対応データを記憶する。第1制御装置64は、記憶装置43に記憶させた対応データ(捕獲具57の撮像画像と捕獲具57の発射位置とを対応付けたデータ)を第1通信装置69にてサーバ70に送信させる(S24)。
【0067】
図7に示すように、S39のあと、携帯端末80の第2制御装置83は、対応データの受信の有無を判定する(S40)。第2通信装置81が作業機1からの対応データを受信した場合(S40,Yes)、第2制御装置83は、表示装置82に対応データを表示させる(S41)。表示装置82は、捕獲具57の撮像画像と、捕獲具57の発射位置とを表示する。具体的には、表示装置82は、図9Bに示す対応表示画面を表示してもよい。図9Bは、携帯端末80の表示装置82に表示された対応表示画面の一例を示す図である。図9Bに示す対応表示画面は、捕獲具57の発射位置を含む実績マップ画像82Cと、捕獲具57の撮像画像82Dと、を並列表示した表示画面である。実績マップ画像82Cには、圃場エリアH1の実績走行ルートLL1上において、捕獲具57の発射位置P1が表示されている。図9Bの実績マップ画像82Cには、1回目の発射位置P1のみならず、2回目の発射位置P2も表示されている。図9Bの捕獲具57の撮像画像82Dには、発射された捕獲具57によって捕獲された動物が表示されている。携帯端末80は、走行予定ルートL1に沿って自動運転される場合に、作業機1の測位装置40にて計測されて作業機1から送信された走行車体3の各位置を実績走行ルートLL1として、記憶装置84に記憶させている。このため、表示装置82は、記憶装置84に記憶された実績走行ルートLL1(作業機1が実際に走行したルート)を表示することができる。なお、携帯端末80は、実績走行ルートLL1に替えて、走行予定ルートL1を表示してもよい。
【0068】
なお、携帯端末80の第2制御装置83は、実績マップ画像の1回目の発射位置P1又は2回目の発射位置P2がタッチ操作されると、タッチ操作された発射位置P1、P2に対応する捕獲具57の撮像画像82D1、82D2を表示する構成であってもよい。携帯端末80のユーザは、図9Bに示す対応表示画面を見ることで、捕獲具57の発射位置P1、P2を確認することができ、各発射位置P1、P2に対応するそれぞれの捕獲具57
の撮像画像82D1、82D2を確認することができる。
【0069】
S24のあと、照準指示がなかった場合(S17,No)、又は、捕獲指示がなかった場合(S19,No)、S25に進む。第1制御装置64は、自動運転の終了の有無を判定する(S25)。第1制御装置64は、運転切換スイッチ71がONであれば、自動運転の終了でないと判定し(S25,No)、S11に戻る。例えば、携帯端末80のユーザが当該携帯端末80に自動運転の再開指示を入力し、携帯端末80からの自動運転の再開指示を作業機1の第1通信装置69が受信すると、自動運転制御部63は自動運転を再開する。なお、自動運転の再開後に、作業機1の進行方向に、発射された捕獲具57が所定距離内に存在することが検知装置61にて検知された場合には、発射された捕獲具57を迂回する旨を携帯端末80に通知する。携帯端末80のユーザが迂回する旨の表示を見て、携帯端末80に迂回許可の指示を入力すると、携帯端末80からの迂回許可の指示を作業機1の第1通信装置69が受信すると、自動運転制御部63は発射された捕獲具57を迂回するように自動運転を行う。なお、自動運転に替えて、携帯端末80による遠隔操作で作業機1を迂回移動させてもよい。
【0070】
S25において、運転切換スイッチ71がOFFになると、自動運転の終了であると判定し(S25,Yes)、本処理を終了する。
図7に示すように、S38Aにおいて、第2制御装置83は、作業機1が圃場エリアH1に位置しないと判定した場合(S38A,No)、圃場外である旨の表示を表示装置82に表示する(S38B)。即ち、表示装置82は、圃場外である旨を報知する。
【0071】
S38Bのあと、S41のあと、照準指示がなかった場合に(S36,No)、又は、捕獲指示がなかった場合に(S38,No)、携帯端末80の第2制御装置83は、ユーザからの終了指示の有無を判定する(S42)。ユーザからの終了指示が表示装置82に対してされると、第2制御装置83は、終了指示ありと判定し(S42,Yes)、本処理を終了する。ユーザからの終了指示が表示装置82に対してされなければ、第2制御装置83は、終了指示なしと判定し(S42,No)、S31に戻る。
【0072】
上述した第1実施形態の捕獲システムでは、作業機1と作業機1を遠隔操作する携帯端末80とを備える捕獲システムにおいて、作業機1は、走行装置7を有する走行車体3と、走行車体3に設けられ、作業装置2を連結可能な連結装置8Aと、圃場内において走行車体3の自動運転の制御を行う自動運転制御部63と、走行車体3の周囲に存在する動物を検知して撮像する撮像装置61A1と、撮像装置61A1にて撮像された撮像画像を送信する第1通信装置69と、走行車体3及び作業装置2の少なくとも一方に設けられ、且つ、動物を捕獲する捕獲装置56と、捕獲装置56を制御する第1制御装置64と、を備え、携帯端末80は、撮像画像を受信する第2通信装置81と、第2通信装置81にて受信した撮像画像を表示する表示装置82と、ユーザからの捕獲指示を第2通信装置81により送信させる第2制御装置83と、を備え、作業機1の第1制御装置64は、第1通信装置69にて捕獲指示が受信されると、捕獲装置56を動作させる。
【0073】
この構成によれば、作業機1を遠隔操作する携帯端末80の表示装置82において、作業機1(走行車体3)の周囲に存在する動物を確認することができ、携帯端末80を所持するユーザが、作業機1に対して捕獲指示を送信でき、走行車体3の周囲に存在する動物を遠隔操作で捕獲することができ、作業装置2による作業が動物によって妨害されることを低減することができる。また、威嚇行為(例えば威嚇のための音、光を出力するなど)では逃げない動物を捕獲することができ、捕獲されなかった動物に対しても作業機1が危険であるとの経験をさせることができ、作業機1による作業地域に動物が近づくことを低減することができる。
【0074】
また、撮像装置61A1は、作業装置2による作業中に、動物を検知して撮像する。この構成によれば、自動運転される作業機1の作業装置2による作業中に、作業機1の周囲に存在する動物を、当該作業機1から離れた場所に位置するユーザが所持する携帯端末80にて確認することができ、携帯端末80からの遠隔操作により、動物を捕獲することができる。このため、作業装置2による作業と、動物の捕獲とを同時に行うことができる。
【0075】
また、第2制御装置83は、ユーザによる照準指示があると、照準指示を第2通信装置
81により送信させ、作業機1の第1制御装置64は、照準指示に基づいて、撮像装置61A1にて撮像された動物に照準を合わせるように捕獲装置56を駆動させ、捕獲指示が受信されると、捕獲装置56による捕獲を実行させる。この構成によれば、携帯端末80から作業機1に照準指示を送信でき、遠隔操作で、捕獲装置56の照準を検知された動物に合わせることができるので、ユーザが捕獲装置56を動物に照準することを不要とすることができる。また、遠隔操作でユーザによる実行指示があると、捕獲装置56の照準を動物に合わせた状態で当該捕獲装置56による捕獲を実行させるので、捕獲装置56による動物の捕獲精度を向上させることができる。
【0076】
また、作業機1は、動物を威嚇する威嚇装置55を備え、携帯端末80の第2制御装置83は、ユーザからの威嚇指示を第2通信装置81により送信させ、第1制御装置64は、威嚇指示に基づいて、威嚇装置55を動作させ、威嚇装置55の動作後に撮像装置61A1での動物検知が継続されている場合、捕獲指示に基づいて、捕獲装置56を動作させる。この構成によれば、携帯端末80からの遠隔操作で威嚇装置55による威嚇を指示でき、威嚇装置55の威嚇によって動物を退散させることができる。また、威嚇装置55による威嚇によって動物が逃げない場合に、携帯端末80からの遠隔操作で捕獲を指示でき、捕獲装置56によって捕獲することができる。このため、威嚇と捕獲とによって、作業機1による作業地域に動物が近づくことを低減することができる。
【0077】
また、作業機1は、走行車体3の位置を測位する測位装置40を備え、携帯端末80は、圃場の位置を示す圃場マップを記憶する記憶装置84を備え、第2制御装置83は、測位装置40にて計測された走行車体3の位置が、圃場マップに示す圃場に位置する場合に、捕獲指示を第2通信装置81により送信させ、測位装置40にて計測された走行車体3の位置が、圃場マップに示す圃場に位置しない場合に、捕獲指示を第2通信装置81から送信させない。この構成によれば、作業機1が圃場に位置し、走行車体3の周囲に動物が存在する場合に、遠隔操作で捕獲装置56を動作させて、圃場内で作業機1の周囲に存在する動物を捕獲することができる。一方、作業機1が圃場に位置していない場合には、走行車体3の周囲に動物が存在していても、遠隔操作で捕獲装置56を動作させので、圃場外での捕獲装置56の使用を禁止することができる。
【0078】
また、捕獲装置56は、捕獲具57を発射する装置であり、第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置を、第1通信装置69により送信させ、携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81が受信した、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置を表示する。この構成によれば、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた位置が携帯端末80の表示装置82に表示されるので、携帯端末80のユーザは、捕獲具57の発射位置を表示装置82において確認することができる。
【0079】
また、第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた場合に、発射後の捕獲具57を撮像装置61A1にて撮像させる。第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体の位置と、撮像装置61A1にて撮像された発射後の捕獲具57の撮像画像とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させる。第1制御装置64は、対応データを第1通信装置69により送信させる。携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81が受信した対応データに基づいて、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置と、発射後の捕獲具57の撮像画像とを表示する。この構成によれば、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた位置と、発射後の捕獲具57を撮像した画像とが携帯端末80の表示装置82に表示されるので、携帯端末80のユーザは、発射後の捕獲具57の撮像画像82Dを見て、動物の捕獲の有無を確認することができると共に、捕獲具57の発射位置P1、P2も表示装置82において確認することができる。
【0080】
また、作業機1は、走行車体3の進行方向又は後退方向における障害物の有無を検知する障害物検知装置61A2を備え、第1制御装置64は、障害物検知装置61A2にて障害物が検知されると、走行装置7を停止させる。この構成によれば、走行車体3の進行方向又は後退方向において障害物が検知されると、走行装置7が停止するので、走行車体3
が障害物に衝突することを防止できる。
【0081】
また、第1制御装置64は、障害物の検知によって走行装置7が停止された状態で、撮像装置61A1にて障害物を撮像させ、障害物の撮像画像を第1通信装置69により送信させ、携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81にて受信された障害物の撮像画像を表示する。この構成によれば、障害物の検知によって走行装置7が停止された状態において、障害物が撮像されるので、障害物を適切に撮像できる。また、障害物の撮像画像が携帯端末80に送信されて当該携帯端末80の表示装置82に表示されるので、携帯端末80を所持するユーザは、表示装置82に表示された障害物の撮像画像が動物であるか否かを確認することができ、動物である場合には、携帯端末80を所持するユーザによる捕獲装置56の動作指示によって動物を捕獲することができる。
【0082】
[第2実施形態]
第2実施形態における捕獲システムでは、作業機1の第1制御装置64は、発射後の捕獲具57の撮像画像から判定した動物の捕獲数を対応データに含め、携帯端末80の表示装置82が対応データを表示させる点が、第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
第1制御装置64は、捕獲装置から捕獲具57を発射させた場合に、発射後の捕獲具57の撮像画像に基づいて、動物の捕獲数を判定する。第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置と、撮像装置61A1にて撮像された発射後の捕獲具57の撮像画像と、判定した捕獲数とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させる。図8Bは、第2実施形態における対応データの一例を示す図である。図8Bに示すように、第1制御装置64は、作業機1の位置(緯度、経度)と、撮像画像と、捕獲数と、圃場と、日時情報とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させる。例えば、記憶装置43には、第1の発射位置P1と、第1の撮像画像G1と、第1の捕獲数NC1と、第1制御装置64は、測位装置40で測位された作業機1の位置と圃場マップが示す圃場エリアH1との関係から第1の圃場エリアH1であることが特定できる。また、第1制御装置64は、図示しないリアルタイムクロックを備えており、捕獲具57を発射した時刻を示す第1の日時情報T1を特定できる。第1の圃場エリアH1は、また、記憶装置43には、第2の発射位置P2と、第2の撮像画像G2と、第2の捕獲数NC2と、第1の圃場エリアH1と、第2の日時情報T2とを対応付けた対応データが記憶されている。なお、図8Bでは、第1制御装置64は、作業機1の位置(緯度、経度)と、撮像画像と、捕獲数と、圃場と、日時情報とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させているが、圃場及び日時情報の少なくとも一方を含めないとしてもよい。
【0084】
図10は、第2実施形態における作業機1における威嚇・捕獲処理を示すフローチャートである。第2実施形態の図10に示すフローチャートのS22A、S23Aが、第1実施形態の図6に示すフローチャートのS22、S23とは異なっている。このため、図10に示すフローチャートのS22A、S23Aについて詳細に説明する。
S22のあと、第1制御装置64は、発射後の捕獲具57の撮像画像に基づいて、動物の捕獲数を判定する(S22A)。例えば、第1制御装置64は、発射後の捕獲具57の撮像画像を、既知の画像認識技術を用いることにより、捕獲具57の撮像画像に含まれる動物の捕獲数を判定する。具体的には、第1制御装置64は、撮像画像に含まれる動物の画像と、予め記憶している動物の元画像とについて、パターンマッチングによる画像解析処理を行うことにより、撮像画像に含まれる動物をそれぞれ特定し、特定した動物の数を、動物の捕獲数として判定する。
【0085】
第1制御装置64は、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置と、撮像装置61A1にて撮像された発射後の捕獲具57の撮像画像と、判定した捕獲数とを対応付けた対応データを記憶装置43に記憶させる(S23A)。ここでは、第1制御装置64は、記憶装置43には、第1の発射位置P1と、第1の撮像画像G1と、第1の捕獲数NC1とに加えて、第1の圃場エリアH1と、第1の日時情報T1とを対応付けた対応データを、記憶装置43に記憶されている。
【0086】
上述した第2実施形態の捕獲システムでは、第1制御装置64は、捕獲具57の撮像画像に基づいて動物の捕獲数を判定し、当該捕獲数を前記対応データに追加して記憶装置43に記憶させ、携帯端末80の表示装置82は、第2通信装置81が受信した前記対応データに基づいて、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置と、発射後の捕獲具57の撮像画像と、動物の捕獲数とを表示する。この構成によれば、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた位置と、発射後の捕獲具57を撮像した画像と、動物の捕獲数とが携帯端末80の表示装置82に表示されるので、携帯端末80のユーザは、動物の捕獲数を把握することができると共に、捕獲具57の発射位置も表示装置82において確認することができる。
【0087】
[第3実施形態]
上述の第1、第2実施形態では、自動運転される作業機1を携帯端末80によって遠隔操作可能な捕獲システムを例に挙げて説明しているが、これに限定されない。図12に示すように、運転者が実際に乗って運転される第3実施形態の作業機1としてもよい。つまり、図1に示したサーバ70及び携帯端末80を備えることなく、作業機1自体で動物の捕獲などを行う構成としてもよい。なお、第1、第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
第3実施形態の制御装置64Aは、第1、第2実施形態の第1制御装置64と異なっている。
図13は、第3実施形態における作業機1における威嚇・捕獲処理を示すフローチャートである。第3実施形態の図13に示すフローチャートのS12A~S14A、S16A、S17A、S19A~S19C、S24Aが、第2実施形態の図10に示すフローチャートとは異なっている。このため、図13に示すフローチャートのS12A~S14A、S16A、S17A、S19A~S19C、S24Aについて詳細に説明する。
【0089】
制御装置64Aは、障害物検知装置61A2にて障害物が検知されると(S11,Yes)、走行装置7を停止させる(S12A)。制御装置64Aは、作業機1が停止した状態で障害物を撮像装置61A1にて撮像し、この撮像画像を表示装置50に表示させる(S13A)。
制御装置64Aは、威嚇指示の入力の有無を判定する(S14A)。例えば、表示装置50に表示された威嚇指示がタッチ操作された場合、威嚇指示の入力ありと判定し(S14A,Yes)、威嚇装置55を動作させる(S15)。制御装置64Aは、威嚇装置55の動作後に、障害物を撮像装置61A1にて撮像し、この撮像画像を表示装置50に表示させる(S16A)。
【0090】
S16Aのあと、又は、威嚇指示の入力がない場合(S14A,No)、制御装置64Aは、照準指示の入力の有無を判定する(S17A)。制御装置64Aは、表示装置50に対して照準指示があれば(S17A,Yes)、捕獲装置56の照準を合わせる(S18)。一方、制御装置64Aは、表示装置50に対して照準指示がなければ(S17A,No)、S25に進む。
【0091】
S18のあと、制御装置64Aは、捕獲指示の入力の有無を判定する(S19A)。制御装置64Aは、表示装置50に対して捕獲指示があれば(S19A,Yes)、作業機1は圃場エリアH1に位置するか否かを判定する(S19B)。制御装置64Aは、作業機1の位置情報が、記憶装置53に記憶された圃場マップが示す圃場(圃場エリアH1)の範囲内に含まれるか否かを判定する。制御装置64Aは、作業機1が圃場エリアH1に位置すると判定した場合(S19B,Yes)、捕獲装置56から捕獲具57を発射させる(S20)。
【0092】
一方、S19Bにおいて、制御装置64Aは、作業機1が圃場エリアH1に位置しないと判定した場合(S19B,No)、圃場外である旨の表示を表示装置50に表示する(S19C)。S19Cのあと、又は、表示装置50に対して捕獲指示の入力がない場合(S19A,No)、S25に進む。
S21~S23Aについては第2実施形態と同様であるので、説明を省略する。S23Aのあと、制御装置64Aは、記憶装置43に記憶された対応データを表示装置50に表
示させる(S24A)。具体的には、制御装置64Aは、記憶装置43に記憶された対応データ、つまり、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置と、撮像装置61A1にて撮像された発射後の捕獲具57の撮像画像と、判定した捕獲数とを、表示装置50に表示させる。
【0093】
上述した第3実施形態の作業機1では、走行装置7を有する走行車体3と、走行車体3に設けられ、作業装置2を連結可能な連結装置8Aと、走行車体3及び作業装置2の少なくとも一方に設けられ、且つ、周囲に存在する動物を捕獲する捕獲装置56と、を備える。この構成によれば、作業機1の周囲に存在する動物を捕獲することができ、作業装置2による作業が動物によって妨害されることを低減することができる。また、威嚇行為(例えば威嚇のための音、光を出力するなど)では逃げない動物を捕獲することができ、捕獲されなかった動物に対しても作業機1が危険であるとの経験をさせることができ、作業機1による作業地域に動物が近づくことを低減することができる。
【0094】
また、動物を検知する検知装置61と、検知装置61での動物検知に基づいて捕獲装置56を動作させる制御装置64Aと、を備える。この構成によれば、検知装置61によって走行車体3の周囲に存在する動物が検知されると、制御装置64Aは、捕獲装置56を動作させる。捕獲装置56は、検知された動物を捕獲する。このため、走行車体3の周囲に存在する動物を的確に捕獲することができ、作業装置2による作業が動物によって妨害されることを低減することができる。
【0095】
また、動物を検知する検知装置61と、動物を威嚇する威嚇装置55と、威嚇装置55と捕獲装置56とを制御する制御装置64Aと、を備え、制御装置64Aは、検知装置61での動物検知に基づいて、威嚇装置55を動作させ、威嚇装置55の動作後に検知装置61での動物検知が継続されている場合、捕獲装置56を動作させる。この構成によれば、威嚇装置55による威嚇によって動物を退散させることができ、威嚇装置55による威嚇によって動物が逃げない場合に、捕獲装置56によって捕獲することができる。このため、威嚇と捕獲とによって、作業機1による作業地域に動物が近づくことを低減することができる。
【0096】
また、検知装置61は、作業装置2による作業中に、走行車体3の周囲に存在する動物を検知する。この構成によれば、作業装置2による作業中に、走行車体3の周囲に存在する動物を検知して、捕獲することができる。このため、作業装置2による作業と、動物の捕獲とを同時に行うことができる。
また、制御装置64Aは、ユーザによる照準指示があると、動物に照準を合わせるように捕獲装置56を駆動させ、ユーザによる実行指示があると、当該捕獲装置56による捕獲を実行させる。この構成によれば、ユーザによる照準指示があると、制御装置64Aが、捕獲装置56の照準を検知された動物に合わせるので、ユーザが捕獲装置56の照準を動物に合わせることを不要とすることができる。また、ユーザによる実行指示があると、捕獲装置56の照準を動物に合わせた状態で当該捕獲装置56による捕獲を実行させるので、捕獲装置56による動物の捕獲精度を向上させることができる。
【0097】
また、圃場の位置を示す圃場マップを記憶する記憶装置53と、走行車体3の位置を測位する測位装置40と、を備え、制御装置64Aは、測位装置40にて計測された走行車体3の位置が、圃場マップに示す圃場に位置する場合に、検知装置61での動物検知に基づいて捕獲装置56を動作させ、測位装置40にて計測された走行車体3の位置が、圃場マップに示す圃場に位置しない場合に、捕獲装置56を動作させない。この構成によれば、作業機1が圃場に位置し、走行車体3の周囲に動物が存在する場合に、捕獲装置56を動作させて、圃場内で作業機1の周囲に存在する動物を捕獲することができる。一方、作業機1が圃場に位置していない場合には、走行車体3の周囲に動物が存在していても、捕獲装置56を動作させないので、圃場外での捕獲装置56の使用を禁止することができる。
【0098】
また、作業機1は表示装置50を備え、捕獲装置56は、捕獲具57を発射する装置であり、制御装置64Aは、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置を、表示装置50に表示させる。この構成によれば、捕
獲装置56から捕獲具57を発射させた位置が表示装置50に表示されるので、作業機1を運転するユーザは、捕獲具57の発射位置を表示装置50にて確認することができる。
【0099】
また、検知装置61は、撮像装置61A1を含み、制御装置64Aは、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた場合に、発射後の捕獲具57を撮像装置61A1にて撮像させ、捕獲装置56から捕獲具57を発射させたときの測位装置40にて計測された走行車体3の位置と、撮像装置61A1にて撮像された発射後の捕獲具57の撮像画像とを対応付けた対応データを記憶装置53に記憶させ、表示装置50は、前記対応データに基づいて、捕獲具57を発射させたときの走行車体3の位置と、発射後の捕獲具57の撮像画像とを表示する。この構成によれば、捕獲装置56から捕獲具57を発射させた位置と、発射後の捕獲具57を撮像した画像とが表示装置50に表示されるので、作業機1を運転するユーザは、発射後の捕獲具57の撮像画像を見て、動物の捕獲の有無を確認することができると共に、捕獲具57の発射位置も表示装置50において確認することができる。
【0100】
また、検知装置61は、走行車体3の進行方向又は後退方向における障害物の有無を検知する障害物検知装置61A2を含み、制御装置64Aは、障害物検知装置61A2にて障害物が検知されると、走行装置7を停止させる。この構成によれば、走行車体3の進行方向又は後退方向において障害物が検知されると、走行装置7が停止するので、走行車体3が障害物に衝突することを防止できる。
【0101】
また、制御装置64Aは、障害物の検知によって走行装置7が停止された状態で、撮像装置61A1にて障害物を撮像し、障害物の撮像画像を表示装置50に表示させる。この構成によれば、障害物の検知によって走行装置7が停止された状態において、障害物が撮像されるので、障害物を適切に撮像できる。また、障害物の撮像画像が表示装置50に表示されるので、運転者は、表示装置50に表示された障害物の撮像画像が動物であるか否かを確認することができ、動物である場合には、運転者による捕獲装置56の動作指示によって動物を捕獲することができる。
【0102】
なお、上述の第1、第2実施形態において、携帯端末80の第2制御装置83は、記憶装置84に記憶された各発射位置P1、P2を作業機1に送信し、実際に人が搭乗した状態で作業機1を各発射位置P1、P2又は近傍位置に自動運転で向かわせてもよい。これによれば、捕獲具57及び捕獲した動物を回収することができる。
上述の各実施形態では、作業機1の進行方向又は後退方向において検知された動物を捕獲するとしているが、作業機1の進行方向及び後退方向における動物に限定されない。例えば、検知装置61にて作業機1の側方(左側及び右側)に動物を検知した場合、威嚇装置55による威嚇及び捕獲装置56による捕獲を行ってもよい。例えば、捕獲装置56は、発射筒部56bを方位角方向に可動させて、作業機1の側方(左側及び右側)で検知された動物に向けられる。
【0103】
なお、上述の第1、第2実施形態では、捕獲システムは、作業機1とサーバ70と携帯端末80とを備えているが、これに限定されない。例えば、作業機1と携帯端末80とを備える捕獲システムであってもよい。即ち、作業機1と携帯端末80とが直接接続可能である場合には、サーバ70を備えない捕獲システムとしてもよい。
なお、上述の第1、第2実施形態では、携帯端末80にてユーザが動物を確認しているが、これに限定されない。例えば、人工知能 (AI: Artificial Intelligence)を用いて動物の確認を行ってもよい。また、照準合わせ及び捕獲具の発射をユーザが指示するのではなく、人工知能を用いて自動で行うようにしてもよい。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1 :作業機(トラクタ)
2 :作業装置
3 :走行車体
7 :走行装置
8A :連結装置
40 :測位装置
50 :表示装置
53 :記憶装置
55 :威嚇装置
56 :捕獲装置
61 :検知装置
61A1:撮像装置
61A2:障害物検知装置
第1制御装置64
64A :制御装置
63 :自動運転制御部
69 :第1通信装置
80 :携帯端末
81 :第2通信装置
82 :表示装置
83 :第2制御装置
84 :記憶装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13