(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035893
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】繊維用集束剤組成物及び繊維用集束剤溶液
(51)【国際特許分類】
D06M 15/263 20060101AFI20240308BHJP
D06M 13/17 20060101ALI20240308BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
D06M15/263
D06M13/17
D06M15/53
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140505
(22)【出願日】2022-09-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕文
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA09
4L033AB01
4L033AC12
4L033BA14
4L033CA18
4L033CA48
(57)【要約】
【課題】集束性に優れかつ、繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れた繊維用集束剤を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるビニルエステル樹脂(A)と、非イオン界面活性剤(B)とを含有する繊維用集束剤組成物であって、ビニルエステル樹脂(A)が、少なくとも、一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)と、一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)とを含み、ビニルエステル樹脂(A)1分子当たりの、一般式(1)中のnは20以下であり、一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)の総重量W1と、一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)の総重量W2との比(W1/W2)が15/85~90/10である繊維用集束剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるビニルエステル樹脂(A)と、非イオン界面活性剤(B)とを含有する繊維用集束剤組成物であって、
ビニルエステル樹脂(A)が、少なくとも、下記一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)と、下記一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)とを含み、ビニルエステル樹脂(A)1分子あたりの下記一般式(1)中のnは20以下であり、
下記一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)の総重量W1と、下記一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)の総重量W2との比(W1/W2)が15/85~90/10である繊維用集束剤組成物。
【化1】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基または炭素原子数1~4のアルコキシ基であり、R
2はそれぞれ独立にメチレン基又はイソプロピリデン基のいずれかで表される構造部位であり、R
3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基であり、nは0以上の整数である。]
【請求項2】
ビニルエステル樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させてなる、数平均分子量が480~1372のビニルエステル樹脂(Ax)を、ビニルエステル樹脂(A)の総重量に基づき60重量%以上含む、請求項1に記載の繊維用集束剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の繊維用集束剤組成物が、水及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶剤に溶解または分散されてなる繊維用集束剤溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維用集束剤組成物及び繊維用集束剤溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリプロピレン樹脂等のマトリックス樹脂と各種繊維との複合材料は、スポーツ用具、レジャー用品及び航空機等の分野で広く利用されている。これらの複合材料においては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維等の繊維が用いられている。これらの繊維には、上記複合材料とする加工工程において、通常、集束剤が付与される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合材料の物性向上には、繊維の特性を有効に生かすという点から繊維とマトリックス樹脂との接着性が高いこと、及び、繊維束の取扱い性の観点から集束性が優れることが重要である。
しかしながら、従来の技術では、前記の特性を充分に向上できておらず、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、集束性に優れかつ、繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れた繊維用集束剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるビニルエステル樹脂(A)と、非イオン界面活性剤(B)とを含有する繊維用集束剤組成物であって、ビニルエステル樹脂(A)が、少なくとも、下記一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)と、下記一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)とを含み、ビニルエステル樹脂(A)1分子あたりの下記一般式(1)中のnは20以下であり、下記一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)の総重量W1と、下記一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)の総重量W2との比(W1/W2)が15/85~90/10である繊維用集束剤組成物;前記繊繊維用集束剤組成物が、水及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶剤に溶解または分散されてなる繊維用集束剤溶液である。
【0007】
【化1】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基または炭素原子数1~4のアルコキシ基であり、R
2はそれぞれ独立にメチレン基又はイソプロピリデン基のいずれかで表される構造部位であり、R
3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基であり、nは0以上の整数である。]
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集束性に優れかつ、繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れた繊維用集束剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<繊維用集束剤組成物>
本発明の繊維用集束剤組成物は、下記一般式(1)で表されるビニルエステル樹脂(A)と、非イオン界面活性剤(B)とを含有する。
【0010】
【0011】
一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基または炭素原子数1~4のアルコキシ基である。炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基及び直鎖または分岐のブチル基が挙げられる。炭素原子数1~4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、直鎖または分岐のプロポキシ基及び直鎖または分岐のブトキシ基が挙げられる。R1は水素原子であることが好ましい。
【0012】
一般式(1)中、R2はそれぞれ独立にメチレン基又はイソプロピリデン基のいずれかで表される構造部位である。R2としては、好ましくはイソプロピリデン基である。
【0013】
一般式(1)中、R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基である。炭素原子数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基及び直鎖または分岐のブチル基が挙げられる。R3は水素原子及びメチル基であることが好ましい。
【0014】
一般式(1)中のnは、一般式(1)中の括弧内の基の数であり、0以上の整数である。ビニルエステル樹脂(A)1分子当たりの、一般式(1)中のnは20以下である。
【0015】
本発明において、ビニルエステル樹脂(A)は、少なくとも、下記一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)と、下記一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)とを含む。また、本発明において、
前記ビニルエステル樹脂(A1)の総重量W1と、前記ビニルエステル樹脂(A2)の総重量W2との比(W1/W2)が15/85~90/10である。以下において「ビニルエステル樹脂(A)」を「(A)成分」ともいう。
【0016】
(A)成分が、前記ビニルエステル樹脂(A1)と、前記ビニルエステル樹脂(A2)とを、重量比(W1/W2)が15/85~90/10の範囲で含むことにより、集束性に優れかつ繊維とマトリックス樹脂との接着性を充分に向上させることができる。
(A)成分中の、前記ビニルエステル樹脂(A1)と、前記ビニルエステル樹脂(A2)との重量比(W1/W2)が15/85未満であると繊維とマトリックス樹脂との接着性が不充分となることがあり、前記重量比が90/10を超えると集束性が不十分となることがある。
【0017】
(A)成分中の、前記ビニルエステル樹脂(A1)と、前記ビニルエステル樹脂(A2)との重量比(W1/W2)は、繊維とマトリックス樹脂との接着性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは25/75以上であり、集束性の観点から、好ましくは89/11以下、より好ましくは87/13以下である。
【0018】
本発明において、ビニルエステル樹脂(A)としては、好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物と(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。
【0019】
【0020】
[式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基または炭素原子数1~4のアルコキシ基であり、R2はメチレン基又はイソプロピリデン基のいずれかで表される構造部位であり、nは0以上の整数である。]
【0021】
一般式(2)中のR1及びR2は、それぞれ一般式(1)中のR1と及びR2と同様である。
一般式(2)で表される化合物としては、好ましくはビスフェノール化合物(例えばビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等)のジグリシジルエーテルとエピハロヒドリン(例えばエピクロルヒドリン等)とが縮合してなるエポキシ樹脂であり、より好ましくはビスフェノールAとエピクロルヒドリンとが縮合してなるビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
【0022】
ビニルエステル樹脂(A)は、例えば、一般式(1)中のnが0または1のビニルエステル樹脂(A1)と、一般式(1)中のnが2以上のビニルエステル樹脂(A2)とを、その重量比(W1/W2)が15/85~90/10となるように配合し混合する方法などにより製造することができる。
【0023】
ビニルエステル樹脂(A1)は、一般式(2)中のnが0または1のエポキシ樹脂(a1)と下記一般式(3)で表される基を有する化合物とを反応させることにより製造しうる。一般式(3)で表される基を有する化合物は一種であってもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
【0025】
[式中、R3は、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基である。]
【0026】
一般式(3)中のR3は、一般式(1)中のR3と同様である。R3は水素原子及びメチル基が好ましい。一般式(3)で表される基を有する化合物としては、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0027】
ビニルエステル樹脂(A2)は、一般式(2)中のnが2以上のエポキシ樹脂(a2)と上記一般式(3)で表される基を有する化合物とを反応させることにより製造しうる。一般式(3)で表される基を有する化合物は一種であってもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビニルエステル樹脂(A1)の製造に用いる一般式(3)で表される化合物およびビニルエステル樹脂(A2)の製造に用いる一般式(3)で表される基を有する化合物は同一であっても相違していてもよい。
【0028】
ビニルエステル樹脂(A1)の材料となるエポキシ樹脂(a1)及びビニルエステル樹脂(A2)の材料となるエポキシ樹脂(a2)はこれらを含む樹脂(例えば、三菱ケミカル製エポキシ樹脂「jER1001」等)を溶剤(例えばテトラヒドロフラン等)に溶解し、GPC分取装置[例えば、リサイクル分取HPLC、日本分析工業(株)製「LC-9130NEXT」]を用いて分子量毎に分取する方法により製造してもよい。
【0029】
前記エポキシ樹脂(a1)及び前記エポキシ樹脂(a2)は、各種ビスフェノール化合物及びエピハロヒドリン等を用いて製造してもよい。具体的な製造方法としては、例えば、ビスフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるジグリシジルエーテル化合物を、更にビスフェノール化合物と反応させる方法(方法1)、及びビスフェノール化合物とエピハロヒドリンとを反応させて直接目的物であるエポキシ樹脂を得る方法(方法2)等が挙げられる。反応が調整し易く、得られるエポキシ樹脂のn[一般式(1)中の括弧内の基の数]の調整が容易であることから、方法1が好ましい。
【0030】
方法1又は2で用いるビスフェノール化合物としては、例えば、下記一般式(2a)で表される化合物を用いることができる。エピハロヒドリンとしてはエピクロロヒドリン等を用いることができる。
【0031】
【0032】
式(2a)中の、R1及びR2はそれぞれ一般式(1)中のR1及びR2と同じである。一般式(2a)で表される化合物は、目的物であるビニルエステル樹脂[一般式(1)で表される化合物]の種類に応じ選択することができる。
【0033】
ビニルエステル樹脂(A)は、繊維束の毛羽立ちを抑制する観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させてなる、数平均分子量が480~1372の樹脂(Ax)を含むことが好ましい。前記ビニルエステル樹脂(Ax)を構成するビスフェノール型エポキシ樹脂としては、上記一般式(2)で表されるものなどが挙げられる。ビニルエステル樹脂(A)が、前記樹脂(Ax)を含む場合、その含有量は、ビニルエステル樹脂(A)の総重量に基づき60重量%以上であることが好ましく、65重量%以上がより好ましい。ビニルエステル樹脂(A)がMnの相違する樹脂を2種以上含む場合、例えば液体クロマトグラフなどの分析方法により、ビニルエステル樹脂(A)中の樹脂のMnを測定しうる。
【0034】
ビニルエステル樹脂(A)のMnは、一般式(1)中のn(括弧内の基の数)を調整することにより調整することができる。一般式(2)で表される化合物をビニルエステル樹脂の材料として用いる場合、一般式(2)中のnが一般式(1)中のnに反映されるので、当該一般式(2)の化合物を選択することによりビニルエステル樹脂(A)のMnをコントロールすることができる。
【0035】
ビニルエステル樹脂(A)の数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPC)によって、40℃で測定することができる。
GPCの測定条件は例えば以下のようにすることができる。
(GPCの測定条件)
機種:Alliance(日本ウォーターズ(株)製液体クロマトグラフ)
カラム:Guardcolumn Super H-L
+TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:
Mn=228(出光興産(株);ビスフェノールA)
Mn=340(三井化学ファイン(株)製;エポミックR139S)
Mn=370(三菱ケミカル(株)製;jER828)
Mn=470(三菱ケミカル(株)製;jER834)
Mn=900(三菱ケミカル(株)製;jER1001)
Mn=1200(三菱ケミカル(株)製;jER1002)
【0036】
本発明の繊維用集束剤組成物は非イオン界面活性剤(B)を含有する。
本発明において、非イオン界面活性剤(B)としては、例えば、脂肪族1価アルコール(炭素数8~18)のアルキレンオキサイド(AO)付加物(Mn=158~200,000)、多価(2~8価)アルコール(炭素数2~6;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビタン等)のAO付加物(Mn500~100,000)、高級脂肪酸(炭素数12~24)のAO付加物(Mn=158~200,000)、アルキルフェノール(炭素数が10~20)のAO付加物(Mn500~5,000)、アリールアルキルフェノール(炭素数が14~62;スチレン化フェノール等)のAO付加物(Mn500~5,000)、スチレン化クミルフェノールまたはスチレン化クレゾール(炭素数の総数が15~61)のAO付加物(Mn500~5,000)、ポリアルキレングリコール(Mn150~6,000)と炭素数12~24の脂肪酸とを反応させたもの、多価(2価~8価、またはそれ以上)アルコール(炭素数2~32、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタンなど)と炭素数12~24の脂肪酸(たとえばラウリン酸、ステアリン酸)とのエステルのAO付加物(Mn350~10,000)、炭素数12~24の脂肪酸アミドのAO付加物(Mn200~30,000)、多価(2価~8価またはそれ以上)アルコールアルキル(炭素数8~60)エーテルのAO付加物(Mn220~30,000)などが挙げられる。
アルキレンオキサイド(AO)としては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)及びブチレンオキサイド(BO)等が挙げられる。PO及びBOは直鎖であっても分岐していてもよい。AOは一種であっても二種以上を組み合わせてもよい。二種以上を組み合わせたAO付加物としてはランダム付加物、ブロック付加物及びこれらの混合付加物等が挙げられる。
【0037】
上記非イオン界面活性剤(B)のうち、集束性の観点から、好ましくはアリールアルキルフェノール{スチレン化フェノール(炭素数14~62)、スチレン化クミルフェノール及びスチレン化クレゾール(炭素数15~61)等}のAO付加物(Mn500~5,000)であり、より好ましくはアリールアルキルフェノールのAO付加物であり、より好ましくはスチレン化フェノールのAO付加物であり、特に好ましくはスチレン化フェノールのPOおよびEO付加物である。
非イオン界面活性剤(B)は一種を単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
非イオン界面活性剤(B)のMnの測定方法は、標準物質をポリエチレングリコールに代える以外は上記ビニルエステル樹脂(A)のMnの測定方法と同様である。
【0039】
本発明の繊維用集束剤組成物において、ビニルエステル樹脂(A)の重量Waに対する非イオン界面活性剤(B)の重量Wbの比(Wb/Wa)は、毛羽立ち抑制効果と接着性向上効果の両立の観点から、5/95~50/50であることが好ましく、10/90~30/70であることがより好ましく、20/80~35/65であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の繊維用集束剤組成物中のビニルエステル樹脂(A)の含有量は、毛羽立ち抑制効果と接着性向上効果の両立の観点から、繊維用集束剤組成物が含有する固形分の重量に基づき、50~95重量%が好ましく、70~90重量%がより好ましい。ここで、固形分とは、試料1gを130℃45分間循風乾燥機で加熱乾燥した後の残渣である。
【0041】
本発明の繊維用集束剤組成物中の非イオン界面活性剤(B)の含有量は、毛羽立ち抑制効果と接着性向上効果の両立の観点から、繊維用集束剤組成物が含有する固形分の重量に基づき、5~50重量%が好ましく、10~30重量%がより好ましい。
【0042】
本発明の繊維用集束剤組成物はビニルエステル樹脂(A)及び非イオン性界面活性剤(B)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、非イオン界面活性剤以外の界面活性剤(C)、平滑剤、防腐剤及び酸化防止剤等が挙げられる。
【0043】
非イオン界面活性剤以外の界面活性剤(C)としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤等の公知の界面活性剤(例えば特開2006-124877号公報、WO2003/37964号公報記載のもの)等が挙げられる。
平滑剤としては、ワックス類(ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレン等)、高級脂肪酸アルキル(炭素数1~24)エステル類(メチルステアレート、エチルステアレート、プロプルステアレート、ブチルステアレート、オクチルステアレート及びステアリルステアレート等)、高級脂肪酸(ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸等)、天然油脂(ヤシ油、牛脂、オリーブ油及びナタネ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
防腐剤としては、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類及び第4級アンモニウム塩類イミダゾール類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール類(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等)、チオジプロピオネート類(ジラウリル 3,3’-チオジプロピオネート等)及びホスファイト類(トリフェニルホスファイト等)等が挙げられる。
【0044】
本発明の繊維用集束剤組成物中の他の成分の含有量は、集束性に優れるという観点から、繊維用集束剤組成物が含有する固形分の重量に基づき、0~5重量%が好ましく、0~2重量%がより好ましい。
【0045】
本発明の繊維用集束剤組成物の製造方法に特に制限はないが、例えば、混合容器に、ビニルエステル樹脂(A)及び非イオン界面活性剤(B)、並びに、必要により用いる成分(上記他の成分)を投入し、好ましくは20~150℃、更に好ましくは50~120℃で均一になるまで撹拌して製造する方法等が挙げられる。組成物を構成する成分[(A)、(B)及び他の成分]の投入順序は特に制限はない。
【0046】
<繊維用集束剤溶液>
本発明の繊維用集束剤溶液は、本発明の繊維用集束剤組成物が、水及び有機溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶剤に溶解または分散されてなるものである。
本発明の繊維用集束剤組成物を前記溶剤に溶解又は分散することにより、繊維束への繊維用集束剤組成物の付着量を適量にすることが容易になる。
【0047】
溶剤としては、水及び有機溶剤等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、炭素数1~4の1価のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、炭素数3~6のケトン(アセトン、エチルメチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、炭素数2~6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等)、そのモノ低級アルキル(アルキルの炭素数は1~4)エーテル、ジメチルホルムアミド、芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等)、炭素数3~5の酢酸アルキルエステル(酢酸メチル及び酢酸エチル等)等が挙げられる。
前記の溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記の溶剤のうち、火気などの安全性等の観点から好ましいのは、水、及び、水混和性有機溶剤(25℃において、水と、体積比1:1で混合した場合に、均一に混合しうる有機溶剤)と水との混合溶剤であり、更に好ましいのは水である。
【0048】
本発明の繊維用集束剤溶液は、コスト等の観点から、流通時は高濃度であって、繊維束の製造時は低濃度であることが好ましい。すなわち、高濃度で流通することで輸送コスト及び保管コスト等を低下させ、低濃度で繊維を処理することで、優れた集束性と開繊性とを両立した繊維束を製造することができる。
流通時の繊維用集束剤溶液の濃度(溶剤以外の成分の重量割合)は、保存安定性等の観点から、好ましくは30~80重量%であり、更に好ましくは40~70重量%である。
繊維束製造時の繊維用集束剤溶液の濃度は、繊維束の製造時に繊維用集束剤の付着量を適量にすることができるという観点等から、好ましくは0.5~15重量%であり、更に好ましくは1~10重量%である。
【0049】
本発明の繊維用集束剤溶液の製造方法に特に制限はないが、例えば、本発明の繊維用集束剤組成物に溶剤を投入して、繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散させる方法が挙げられる。
繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散する際の温度は、混合し易さの観点から、好ましくは20~90℃であり、更に好ましくは40~90℃である。繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散する時間は、好ましくは1~20時間であり、更に好ましくは1~10時間である。
繊維用集束剤組成物を溶剤中に溶解又は乳化分散する際には、公知の混合装置、溶解装置及び乳化分散装置を使用することができ、具体的には、撹拌羽根(羽根形状:カイ型及び三段パドル等)、ナウタミキサー[ホソカワミクロン(株)製等]、リボンミキサー、コニカルブレンダー、モルタルミキサー、万能混合機{万能混合撹拌機「5DM-L」[(株)三英製作所製]等}及びヘンシエルミキサー[日本コークス工業(株)等]及びオートクレーブ等が使用できる。
【0050】
本発明の繊維用集束剤組成物または繊維用集束剤溶液を適用できる繊維としては、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、鉱物繊維及びスラッグ繊維等)並びに有機繊維(アラミド繊維等)などが挙げられる。繊維用集束剤組成物及び繊維を用いた複合材料の成形体の強度の観点から、これらの中では炭素繊維が好ましい。
【0051】
本発明の繊維用集束剤組成物または繊維用集束剤溶液により繊維を処理する方法としては、スプレー法及び浸漬法等が挙げられる。繊維上への繊維用集束剤組成物の付着量は、集束性の観点から、繊維の重量に基づいて、好ましくは0.05~5重量%であり、更に好ましくは0.2~2.5重量%である。
【0052】
前記繊維を本発明の繊維用集束剤組成物または繊維用集束剤溶液により処理して得られる繊維束は、加工して繊維製品としてもよい。繊維製品としては、織物、編み物、不織布(フェルト、マット及びペーパー等)、チョップドファイバー及びミルドファイバー等が含まれる。
【0053】
本発明の繊維用集束剤組成物または繊維用集束剤溶液により処理して得られる繊維束及び/又は繊維製品は、マトリックス樹脂と組み合わせて複合材料としてもよい。
マトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂(ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリフェニレンスルフィド等)及び熱硬化性樹脂[エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂と同様のもの、ならびにフェノール樹脂(特許第3723462号に記載のもの等)等]等が挙げられる。
【0054】
複合材料において、マトリックス樹脂と繊維束との重量比(マトリックス樹脂/繊維束)は、複合材料の成形体の強度等の観点から、好ましくは10/90~90/10であり、更に好ましくは20/80~70/30であり、特に好ましくは30/70~60/40である。複合材料は触媒を含んでいてもよい。
【0055】
複合材料は、熱溶融(好ましい溶融温度:60~350℃)したマトリックス樹脂、又は溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン及び酢酸エチル等)で希釈したマトリックス樹脂を、繊維束及び/又は繊維製品に含浸させることで製造できる。溶剤を使用した場合、プリプレグを乾燥させて溶剤を除去することが好ましい。
【0056】
複合材料を構成するマトリックス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、常温で固化することで成形体とすることができる。
複合材料を構成するマトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、プリプレグを加熱成形し、硬化することで成形体とすることができる。
これらの樹脂は完全に硬化している必要はないが、成形体が形状を維持できる程度に硬化していることが好ましい。成形後、更に加熱して完全に硬化させてもよい。
加熱成形の方法は特に限定されず、公知の方法、例えばフィラメントワインディング成形法(回転するマンドレルに張力をかけながら巻き付け、加熱成形する方法)、プレス成形法(プリプレグシートを積層して加熱成形する方法)、オートクレーブ法(プリプレグシートを型に圧力をかけ押しつけて加熱成形する方法)及びチョップドファイバー又はミルドファイバーをマトリックス樹脂と混合して射出成形する方法等が挙げられる。
【実施例0057】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示す。
エポキシ樹脂のMnは、以下の方法で測定した。
【0058】
<エポキシ樹脂のMnの測定方法>
エポキシ樹脂のMnはGPCによって、下記標準物質を用いて、40℃で測定した。
GPCの測定条件は以下の通りである。
(GPCの測定条件)
機種:Alliance(日本ウォーターズ(株)製液体クロマトグラフ)
カラム:Guardcolumn Super H-L
+TSK gel Super H4000
+TSK gel Super H3000
+TSK gel Super H2000
(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準物質:
Mn=228(出光興産(株);ビスフェノールA)
Mn=340(三井化学ファイン(株)製;エポミックR139S)
Mn=370(三菱ケミカル(株)製;jER828)
Mn=470(三菱ケミカル(株)製;jER834)
Mn=900(三菱ケミカル(株)製;jER1001)
Mn=1200(三菱ケミカル(株)製;jER1002)
【0059】
<製造例1:ビスフェノール型エポキシ樹脂の製造>
三菱ケミカル製エポキシ樹脂「jER1001」400gをテトラヒドロフランで固形分濃度が2重量%になるように溶解し、GPC分取装置[リサイクル分取HPLC、日本分析工業(株)製「LC-9130NEXT」]を用いてエポキシ樹脂を分子量毎に分取した。その後、それぞれの分取液を加熱冷却装置及び撹拌装置を備えた反応容器に仕込み、90℃で20mmHgまで徐々に減圧してテトラヒドロフランを除去し、一般式(2)中のnが0のビスフェノール型エポキシ樹脂(a-1)(Mn340)、nが1のビスフェノール型エポキシ樹脂(a-2)(Mn624)、nが2のビスフェノール型エポキシ樹脂(a-3)(Mn908)、nが3のビスフェノール型エポキシ樹脂(a-4)(Mn1192)及びnが4以上10以下のビスフェノール型エポキシ樹脂(a-5)(Mn1700)を得た。エポキシ樹脂(a-1)~(a-5)は、それぞれ、一般式(2)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基の化合物である。
【0060】
<製造例2:ビニルエステル樹脂(A-1)の製造>
温度計、撹拌装置、還流冷却管、滴下装置を備えた4ツ口フラスコに、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a-1)340部、アクリル酸144部、t-ブチルハイドロキノン1部、2-メチルイミダゾール3部を仕込み、60℃で十分に攪拌溶解した。その後、窒素と空気の50/50の混合気体を100ml/分通気下、90℃まで昇温した。更に90℃で3時間反応させると、酸価が1以下となり、一般式(1)中のnが0のビニルエステル樹脂(A-1)を得た。当該ビニルエステル樹脂(A-1)は一般式(1)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基、R3が水素原子であり、Mnは480である。
【0061】
<製造例3:ビニルエステル樹脂(A-2)の製造>
(a-1)340部を(a-2)624部とした以外は、製造例2の方法と同様にして、一般式(1)中のnが1のビニルエステル樹脂(A-2)を得た。当該ビニルエステル樹脂(A-2)は一般式(1)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基、R3が水素原子であり、Mnは765である。
【0062】
<製造例4:ビニルエステル樹脂(A-3)の製造>
(a-1)340部を(a-3)908部とした以外は、製造例2の方法と同様にして、一般式(1)中のnが2のビニルエステル樹脂(A-3)を得た。当該ビニルエステル樹脂(A-3)は一般式(1)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基、R3が水素原子であり、Mnは1050である。
【0063】
<製造例5:ビニルエステル樹脂(A-4)の製造>
(a-1)340部を(a-4)1192部とした以外は、製造例2の方法と同様にして、一般式(1)中のnが3のビニルエステル樹脂(A-4)を得た。当該ビニルエステル樹脂(A-4)は一般式(1)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基、R3が水素原子であり、Mnは1330である。
【0064】
<製造例6:ビニルエステル樹脂(A-5)の製造>
温度計、撹拌装置、滴下装置を備えた簡易加圧反応装置に、テトラヒドロフラン150部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(a-5)850部、アクリル酸72部、t-ブチルハイドロキノン2部、2-メチルイミダゾール3部を仕込み、60℃で十分に攪拌溶解した。その後、窒素と空気の50/50の混合気体を100ml/分通気しながら圧力を0.3MPaを越えないよう90℃まで昇温した。更に90℃で3時間反応させた後、40℃まで冷却した。更に離型紙に内容物を取り出し、循風乾燥機で60℃、5時間乾燥させ、一般式(1)中のnが4以上10以下のビニルエステル樹脂(A-5)を得た。当該ビニルエステル樹脂(A-5)は一般式(1)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基、R3が水素原子であり、Mnは1840である。
【0065】
<製造例7:ビニルエステル樹脂(A-6)の製造>
アクリル酸144部をメタクリル酸172部とした以外は、製造例2の方法と同様にして、メタクリレート基を含有する一般式(1)中のnが0のビニルエステル樹脂(A-6)を得た。当該ビニルエステル樹脂(A-6)は一般式(1)中のR1が水素原子、R2がイソプロピリデン基、R3がメチル基であり、Mnは510である。
【0066】
<実施例1~8、比較例1~7>
表1に記載の種類及び量(重量部)のビニルエステル樹脂(A)および非イオン界面活性剤(B-1)[スチレン化フェノールのプロピレンオキサイドエチレンオキサイド付加物[商品名「Soprophor 796/P」、ソルベイ日華(株)製]を、万能混合機[万能混合攪拌機、(株)三英製作所製]中で70℃に温調しながら30分均一溶解させた後、そこに水を6時間かけて滴下し、固形分濃度が40重量%の実施例の繊維用集束剤溶液(Y-1)~(Y-8)及び比較例の繊維用集束剤溶液(Y’-1)~(Y’-7)をそれぞれ25部得た。
【0067】
実施例及び比較例の繊維用集束剤溶液(Y-1)~(Y-8)、(Y’-1)~(Y’-7)を用いて下記の方法により炭素繊維束を作製し、集束性及び界面剪断強度を評価した。結果を表1示す。
【0068】
<評価試験用の炭素繊維束の製造>
各例の繊維用集束剤溶液に、固形分濃度が1.5重量%となるように水を加えて分散液とし、未処理炭素繊維(フィラメント数12,000本)を浸漬して繊維用集束剤組成物の分散液を含浸させた。その後、炭素繊維を繊維用集束剤組成物の分散液から取り出し、180℃で3分間熱風乾燥させて炭素繊維束を得た。なお、繊維用集束剤組成物の分散液に含まれる固形分の繊維への付着量(浸漬前炭素繊維重量に基づく百分率)は、1.5重量%となるように、炭素繊維束を作製した。当該炭素繊維束を集束性及び界面剪断強度の評価試験に供した
【0069】
<集束性の評価試験>
試験用の炭素繊維束を用いて、集束性を、JIS L1096-2010 8.21.1 A法(45°カンチレバー法)に準じて評価した。前記JISで規定する処理条件で得られた炭素繊維束をカンチレバーで評価した。測定値(cm)が大きいほど集束性に優れることを意味する。本評価方法で測定した集束性の値は、13cm以上が好ましい。
【0070】
<界面剪断強度の評価試験>
マイクロドロップレット試験により界面剪断強度を評価した。
炭素繊維束より単糸を取り出し、試料ホルダーにセッティングした。マトリクス樹脂として、ビニルエステル樹脂[昭和電工株式会社製リポキシR804(製品名)]を用い、当該樹脂100質量部と、硬化剤[日油株式会社製パークミルD(製品名)]1.5質量部とを混合し、炭素繊維単糸上に塗布しドロップを形成させ、150℃で15分硬化し、測定用の試料を得た。測定は複合材料界面特性評価装置HM410[東栄産業株式会社製]を使用し、0.12mm/分の速度で走行させ単糸からドロップを引き抜く際の最大引抜き荷重Fを測定した。次式により界面剪断強度τを算出し、単糸とマトリクス樹脂との界面剪断強度を評価した。 界面剪断強度の数値が大きいほど、繊維とマトリックス樹脂との接着性が優れる。界面剪断強度は45MPa以上が好ましい。
界面剪断強度τ(単位:MPa)=F/πdl
(F:最大引抜き荷重、d:単糸直径、l:ドロップの引き抜き方向の粒子径)
【0071】
【0072】
表1に示すように、実施例の繊維用集束剤溶液を用いると、集束性に優れかつ、界面剪断強度を優れたものとすることができるということがわかった。これにより、本発明によれば、集束性に優れかつ、繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れた繊維用集束剤を提供できることがわかる。
ビニルエステル樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させてなる、数平均分子量が480~1372のビニルエステル樹脂(Ax)を、ビニルエステル樹脂(A)の総重量に基づき60重量%以上含む、請求項1に記載の繊維用集束剤組成物。