(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035910
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】インターロック機構
(51)【国際特許分類】
H01H 33/46 20060101AFI20240308BHJP
H01H 9/20 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01H33/46 Z
H01H9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140530
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬野 怜也
【テーマコード(参考)】
5G028
5G052
【Fターム(参考)】
5G028AA16
5G028EB03
5G028EB04
5G052AA28
5G052BB07
(57)【要約】
【課題】ボタン操作と動作干渉せず、正しいタイミングでボタン操作を阻害するように機能するインターロック機構。
【解決手段】ボタン操作機構10は、駆動レバー50が待機位置から操作位置まで変位することに連動して第1位置から第2位置へ変位する出力レバー24と、フリー位置とロック位置との間で変位可能であり、ロック位置に向けて回動するように作用を受けているインターロックレバー52と、出力レバー24が第1位置にあるときインターロックレバー52をフリー位置に保持する保持ピン56とを有する。駆動レバー50が操作位置まで変位したときに、保持ピン56は変位してインターロックレバー52を変位可能とする一方、駆動レバー50はインターロックレバー52に当接して移動を阻害し、駆動レバー50が待機位置まで自動復帰したときに、インターロックレバー52ロック位置へ変位する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人手によって押し出されてバネによって自動復帰する操作子と、
前記操作子によって押し出されて待機位置から操作位置まで変位し、前記操作子による押圧操作の解除にともなってバネによって前記待機位置まで自動復帰する駆動部材と、
前記駆動部材が前記待機位置から前記操作位置まで変位することに連動して第1位置から第2位置へ変位して該第2位置に維持される従動部材と、
フリー位置とロック位置との間で変位可能であり、前記ロック位置に向けて回動するように作用を受けているインターロックレバーと、
前記従動部材に設けられており、前記従動部材が前記第1位置にあるとき前記インターロックレバーを前記フリー位置に保持する保持具と、
を有し、
前記インターロックレバーの前記フリー位置は、前記駆動部材が前記待機位置から前記操作位置までの変位を許容する位置であり、前記ロック位置は前記駆動部材が前記待機位置から前記操作位置までの変位を阻害する位置であり、
前記駆動部材が前記操作位置まで変位したときに、前記保持具は変位して前記インターロックレバーを変位可能とする一方、前記駆動部材は前記インターロックレバーに当接して前記ロック位置への移動を阻害して前記フリー位置に保持し、
前記駆動部材がバネによって前記待機位置まで自動復帰したときに、前記インターロックレバーは前記駆動部材による移動の阻害が解除されて前記ロック位置へ変位する
ことを特徴とするインターロック機構。
【請求項2】
前記従動部材に対して機械的に同期し、前記従動部材が前記第1位置であることを示す第1状態表示と前記従動部材が前記第2位置であることを示す第2状態表示とに切り替えられる表示器を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のインターロック機構。
【請求項3】
前記表示器は前記保持具によって操作される
ことを特徴とする請求項2に記載のインターロック機構。
【請求項4】
前記インターロックレバーを前記ロック位置に向けて回動するように作用させる回転付勢バネを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のインターロック機構。
【請求項5】
前記従動部材と前記インターロックレバーとは同軸構成になっている
ことを特徴とする請求項1に記載のインターロック機構。
【請求項6】
真空遮断器に適用され、前記従動部材が前記第1位置であるときに回路が投入状態であり、前記従動部材が前記第2位置であるときに回路が遮断状態である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のインターロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
真空遮断器では投入ボタンを押すことにより回路が投入状態となり、引き外しボタンを押すことにより回路が遮断状態となる(特許文献1参照)。回路が投入状態または遮断状態のいずれであるかは所定の表示器によって表示され、例えば投入状態であれば「入」、遮断状態であれば「切」が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路が投入状態つまり表示器が「入」の状態で引き外しボタンを押すと内部機構が回路を遮断させるが、回路が遮断状態つまり表示器が「切」の状態で所定ばねが蓄勢されているときに引き外しボタンを押すと内部機構が所定の操作機に対して無負荷的かつ過大な力が作用する懸念がある。そのため、表示器が「切」の状態では引き外しボタンを押さないものとされている。また、遮断状態で引き外しボタンを押すに相当大きな力を要するためユーザは誤操作であると気付いて通常はボタン操作を停止する。しかしながらレアケースとして、誤操作であると気付かないユーザが何らかの工具などを用いて強制的にボタン操作をする懸念がある。
【0005】
このような誤操作を防止するには回路が遮断状態であるときに引き外しボタンを押すことを阻害するインターロック機構を設けることが望ましい。ところで投入状態で引き外しボタンを押したときに回路は遮断状態となるが、インターロック機構を直ちに動作させると押し込まれたままの状態で復帰していない引き外しボタンまたはその連動部材と動作干渉を起こす懸念がある。つまり、インターロック機構は回路が遮断状態となり、かつ引き外しボタンの押圧操作が終了して復帰したタイミングで動作する必要がある。このような懸念は真空遮断器に限らず同様の機構を持つ装置に共通する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ボタン操作と動作干渉せず、正しいタイミングでボタン操作を阻害するように機能するインターロック機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるインターロック機構は、人手によって押し出されてバネによって自動復帰する操作子と、前記操作子によって押し出されて待機位置から操作位置まで変位し、前記操作子による押圧操作の解除にともなってバネによって前記待機位置まで自動復帰する駆動部材と、前記駆動部材が前記待機位置から前記操作位置まで変位することに連動して第1位置から第2位置へ変位して該第2位置に維持される従動部材と、フリー位置とロック位置との間で変位可能であり、前記ロック位置に向けて回動するように作用を受けているインターロックレバーと、前記従動部材に設けられており、前記従動部材が前記第1位置にあるとき前記インターロックレバーを前記フリー位置に保持する保持具と、を有し、前記インターロックレバーの前記フリー位置は、前記駆動部材が前記待機位置から前記操作位置までの変位を許容する位置であり、前記ロック位置は前記駆動部材が前記待機位置から前記操作位置までの変位を阻害する位置であり、前記駆動部材が前記操作位置まで変位したときに、前記保持具は変位して前記インターロックレバーを変位可能とする一方、前記駆動部材は前記インターロックレバーに当接して前記ロック位置への移動を阻害して前記フリー位置に保持し、前記駆動部材がバネによって前記待機位置まで自動復帰したときに、前記インターロックレバーは前記駆動部材による移動の阻害が解除されて前記ロック位置へ変位することを特徴とする。このようなインターロック機構では、インターロックレバーがボタン操作と動作干渉せず、正しいタイミングでボタン操作を阻害するように機能する。
【0008】
前記従動部材に対して機械的に同期し、前記従動部材が前記第1位置であることを示す第1状態表示と前記従動部材が前記第2位置であることを示す第2状態表示とに切り替えられる表示器を有してもよい。このような表示器では従動部材に同期することから、インターロックレバーの状態に影響されることなく対象機器の状態を表示することができる。
【0009】
前記表示器は前記保持具によって操作されてもよい。これにより保持具が表示器の切替作用手段とインターロックレバーの保持作用手段とを兼ねて部品点数が抑制される。
【0010】
前記インターロックレバーを前記ロック位置に向けて回動するように作用させる回転付勢バネを有してもよい。これによりインターロックレバーを確実に付勢させることができる。
【0011】
前記従動部材と前記インターロックレバーとは同軸構成になっていてもよい。これにより、軸を増やすことなく従動部材とインターロックレバーとを軸支することができる。
【0012】
このようなインターロック機構は、真空遮断器に適用され、前記従動部材が前記第1位置であるときに回路が投入状態であり、前記従動部材が前記第2位置であるときに回路が遮断状態であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかるインターロック機構では、操作子が押圧操作された段階では駆動部材がインターロックレバーに当接してロック位置への移動を阻害してフリー位置に保持し、操作子の押圧操作が解除された段階ではインターロックレバーが駆動部材による移動の阻害が解除されてロック位置へ変位する。したがって、操作子の押圧操作に先立ち、または押圧操作の途中にインターロックレバーが動作してしまうことがなく動作干渉がなく正しいタイミングでボタン操作を阻害するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2は、真空遮断器の模式内部機構図である。
【
図5】
図5は、回路が投入状態であるときのボタン操作機構の斜視図である。
【
図6】
図6は、インターロックレバーおよびその周辺の斜視図である。
【
図7】
図7は、引き外しボタンが押されている状態のボタン操作機構の斜視図である。
【
図8】
図8は、引き外しボタンが押されている状態のインターロックレバーおよびその周辺の斜視図である。
【
図9】
図9は、引き外しボタンの押圧が解除されたときのボタン操作機構の斜視図である。
【
図10】
図10は、引き外しボタンの押圧が解除されたときのインターロックレバーおよびその周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかるインターロック機構の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、真空遮断器12の模式前面図である。後述するように真空遮断器12には本実施形態にかかるボタン操作機構(インターロック機構)10が適用されている。以下の説明では、ボタン操作機構10および真空遮断器12についてパネル12aの側を前、その反対側を後とする。
【0017】
真空遮断器12は投入バネ、遮断バネの蓄勢力に基づき真空内で接点の入切をして回路の投入、遮断および消弧を行う。真空遮断器12のパネル12aには、投入ボタン14、引き外しボタン16、表示窓18、カウンタ20などが設けられている。投入ボタン14および引き外しボタン16は人手によって押圧操作される。表示窓18は後述する表示器58による「入」表示または「切」表示が視認可能となっている。表示窓18は引き外しボタン16の下方近傍部に設けられている。「入」表示は回路が投入状態であることを示し、「切」表示は回路が遮断状態であることを示す。カウンタ20は真空遮断器12の動作回数を示す。
【0018】
投入ボタン14は回路の投入を行うための操作ボタンである。引き外しボタン16は回路の遮断を行うための操作ボタンである。ただし、引き外しボタン16は回路が投入状態つまり表示器58が「入」のときに押すものとされている。
【0019】
図2は、真空遮断器12の模式内部機構図である。真空遮断器12の内部には軸22を中心として実線で示す第1位置と仮想線で示す第2位置との間で回動変位可能な出力レバー(従動部材)24が設けられている。第2位置は第1位置よりもやや時計方向に回動した位置である。真空遮断器12は、出力レバー24が第1位置にあるとき投入状態であり、第2位置にあるとき遮断状態である。
図2は投入状態を示している。出力レバー24は、投入状態であるときに引き外しボタン16を押圧操作することにより第1位置から第2位置に変位して該第2位置に維持される。また、出力レバー24は、遮断状態であるときに投入ボタン14を押圧操作することにより第2位置から第1位置に変位する。この動作についてさらに説明する。
【0020】
投入状態であるときに引き外しボタン16を押圧操作すると、後述するボタン操作機構10の作用下に引き外しシャフト25がワイヤによって引かれてラッチレバー26との係合が外れ、ラッチレバー26が時計方向に回動し、ストッパーレバー28が反時計方向に回動し、第1連結板30が右上方向に移動して、第2連結板32によって出力レバー24が時計方向に回動して第1位置から第2位置へと変位する。そうすると、出力レバー24の端部にある中継片23が上昇し、真空バルブ側のバネ(図示略)が開放されて遮断状態となる。
【0021】
遮断状態であるときに投入ボタン14を押圧操作すると、モータ34の作用下に円盤36が回転しバネ圧縮機構38の投入バネ38aが圧縮・蓄勢され、第2連結板32が反時計方向に回動し投入ラッチ40に係合する。このとき、出力レバー24は第2位置から若干反時計方向に回動する。そして投入ラッチ40と第2連結板32との係合を開放すると出力レバー24が反時計方向に回動して第1位置へと変位する。そうすると、中継片23が下降し、真空バルブ側のバネを圧縮させながら接点を接触させて投入状態となる。
【0022】
投入バネ38aの蓄勢後(表示器58が「切」の状態)は投入ボタン14を用いて投入ラッチ40を操作し、出力レバー24を回転させることで真空遮断器の主回路部接点を操作する。この時、従来技術にかかる真空遮断器では誤って引き外しボタン16を操作すると遮断ラッチ25が動作してラッチレバー26の保持ができなくなり、投入バネ38aが放勢する。その結果、主回路を操作するためのエネルギーが全てスプリングホルダ38に加わり、過大な力が作用してダメージを与える懸念があり通常は銘板で注意喚起しているが、本実施の形態にかかる真空遮断器12ではこのような誤操作を防止するためにボタン操作機構10にインターロック機能が含まれている。
【0023】
次に、ボタン操作機構10について説明する。上記のとおり、ボタン操作機構10は引き外しボタン16の押圧操作に基づいて引き外しシャフト25に対して作用する機構である。ボタン操作機構10には、本実施の形態にかかるインターロック機構が含まれている。
【0024】
図3は、ボタン操作機構10の前面図である。
図4は、ボタン操作機構10の斜視図である。ボタン操作機構10は、メインブラケット46およびサブブラケット48をベースにして構成されており、駆動レバー(駆動部材)50、インターロックレバー52、回転付勢ばね64、保持ピン(保持具)56、および表示器58を有する。また、ボタン操作機構10には上記の引き外しボタン16および出力レバー24が含まれる。
【0025】
サブブラケット48は前面板46aに対して斜めに固定されているピン支持部48aと、該ピン支持部48aから左斜め下方に延出するボタン支持部48bと、該ボタン支持部48bの左端部で屈曲して前面板46aに当接している屈曲部48cとを有する。ピン支持部48aは左右壁でピン50aを支持している。
【0026】
ボタン支持部48bの左端部近傍には引き外しボタン16の一部が挿入される孔が形成されており、該孔から引き外しボタン16のロッド16aが後方に向けて押し出し操作可能に構成されている。ボタン支持部48bは前面板46aとパネル12a(
図1参照)との間にある。引き外しボタン16はシール16bを介してボタン支持部48bおよびパネル12aに固定されている。人手によって操作される操作子16cはパネル12aよりも外側に配置されている。引き外しボタン16の外殻部分は屈曲部48cを介して前面板46aに当接することから安定している。操作子16cの色は、例えば赤である。引き外しボタン16にはバネ16d(
図5参照)が含まれており、人手によって押し出された操作子16cは押圧操作を解除するとバネ16dによって自動復帰する。バネ16dはバネ座ボックス16eによって圧縮状態となっており、ロッド16aおよび操作子16cを付勢している。
【0027】
図5は、回路が投入状態であるときのボタン操作機構10の斜視図である。
図5~
図10においては、駆動レバー50およびインターロックレバー52などが視認されやすいようにサブブラケット48などを省略している。
【0028】
駆動レバー50は、ピン50aが圧入されてサブブラケット48に回転支持されている本体部50bと、該本体部50bから左方向に延在している延在部50cと、延在部50cの左端部でロッド16aと対向位置に配置されている被押圧片50dと、本体部50bの右端から後方向に突出するアーム50eとを有する。
【0029】
駆動レバー50はピン50aを中心として待機位置(
図5参照)と操作位置(
図7参照)との間で回動可能になっている。ピン50aにはトーションスプリング60が嵌装されている。トーションスプリング60の一端は本体部50bに形成された孔に挿入されており、他端はサブブラケット48に係合している。駆動レバー50はトーションスプリング60によって回転付勢されており、引き外しボタン16が押圧操作されていないときには待機位置となっている。待機位置では被押圧片50dがロッド16aに対して僅かに離間した対向位置にあり、アーム50eは略後方に突出している。
【0030】
引き外しボタン16の操作子16cが押圧操作されると被押圧片50dはトーションスプリング60の弾性力に抗して後方に押し出され、駆動レバー50は待機位置から操作位置まで変位する(
図7参照)。駆動レバー50が操作位置にあるときアーム50eはやや下向きとなる。アーム50eの先端にはフック61が設けられている。フック61はアーム50eとともに上下動し、図示しないワイヤを介して引き外しシャフト25(
図2参照)を操作する。駆動レバー50は操作子16cの押圧操作の解除にともなって、トーションスプリング60によって待機位置まで自動復帰する。
【0031】
出力レバー24は、前後にやや離間した2枚の板片24a,24bをベースに構成されている。板片24aが前側で板片24bが後側である。2枚の板片24a,24bは下部で連結されるとともに、2本のピン24c,24dが圧入されることによって強度が担保されている。ピン24cは上部における中心位置よりやや右寄りに設けられ、ピン24dはやや左寄りに設けられている。ピン24cは板片24aを貫通して前面側にやや突出して保持ピン56を形成している。換言すれば保持ピン56は出力レバー24に設けられている。メインブラケット46の前面板46aには保持ピン56が挿通される円弧孔46b(
図3参照)が形成されている。保持ピン56は出力レバー24の回動動作にともなって円弧孔46bの範囲内で上下動する。
【0032】
出力レバー24を軸支する軸22は、2本のピン24c,24dの略中間位置にある。軸22にはトーションスプリング62が嵌装されている。トーションスプリング62の一端は板片24aの上部に係合し、他端はサブブラケット48に係合し、出力レバー24を時計方向に弾性付勢している。トーションスプリング62は出力レバー24の復帰スプリングである。軸22はメインブラケット46に軸支されている。
【0033】
インターロックレバー52は、駆動レバー50の延在部50cとメインブラケット46の前面板46aとの間にあり、軸22によって軸支されている。つまり出力レバー24とインターロックレバー52とは同軸構成になっている。これにより、支軸を増やすことなくインターロックレバー52を設けることができる。また、インターロックレバー52は出力レバー24に対して同軸上で回転して相対的に並進動作することがないため出力レバー24に設けた保持ピン56により保持しやすくなる。
【0034】
図6は、インターロックレバー52、出力レバー24、軸22、保持ピン56の斜視図である。
図6ではこれら以外の要素を省略している。インターロックレバー52は、フリー位置(
図5参照)とロック位置(
図10参照)との間で変位可能となっている。インターロックレバー52は右に突出した被保持片52aと、斜め左上方向に突出した延在部52bと、該延在部52bの先端が前方に折り曲げられたロック片52cとを有する。延在部52bとロック片52cとの右側における折曲部は係合面52dを形成している。ロック片52cの前方への突出量はロッド16aの動作ストローク量にほぼ等しい。ロック片52cは先端がやや先細り形状となっている。延在部52bから係合面52dに亘る部分は凹状部52eを形成している。インターロックレバー52は適度な板厚を有しており十分な強度がある。
【0035】
軸22の前端には小さいトーションスプリング(回転付勢バネ)64が嵌装されている。トーションスプリング64の一端は被保持片52aの孔に係合し、他端はサブブラケット48に係合し、インターロックレバー52を時計方向に回転付勢している。つまり、インターロックレバー52は、トーションスプリング64によりロック位置に向けて回動するように作用を受けている。
【0036】
真空遮断器12が投入状態であって出力レバー24が第1位置にあるときるとき(
図5、
図6の状態)インターロックレバー52はトーションスプリング64によって時計方向に回転付勢されながら、被保持片52aが保持ピン56に当接することによりフリー位置に保持されている。インターロックレバー52がフリー位置の状態で、凹状部52eには駆動レバー50の被押圧片50d(
図7参照)が入り込むスペースが確保されている。つまり、インターロックレバー52のフリー位置は、駆動レバー50が待機位置(
図5に示す位置)から操作位置(
図7に示す位置)までの変位を許容する位置となっている。なお、インターロックレバー52を時計方向に向けて回動するように作用する手段は、該インターロックレバー52の自重バランスによるものであってもよいが、トーションスプリング64を用いることによりグリスの経年劣化などの要因によらず確実な付勢が可能である。
【0037】
図3、
図4に戻る。表示器58は保持ピン56によって操作され、出力レバー24に対して機械的に同期するものであり、出力レバー24が第1位置(
図2の実線位置)であることを示す「入」の表示(第1状態表示)と第2位置(
図2の仮想線位置)であることを示す「切」の表示(第2状態表示)とに切り替えられる。
【0038】
表示器58は、左右方向に延在するピン58aと、該ピン58aを両端で支持する支持片58bと、ピン58aに対してレバー58cを介して回動する表示板58dとを有する。表示板58dは角度の異なる2つの表示部58da,58dbを有し、表示部58daには「入」が表示され、表示部58dbには「切」が表示されている。「入」は例えば赤で表示され、「切」は例えば緑で表示される。レバー58cはフック66を介して保持ピン56とつながっており、表示板58dは保持ピン56の上下動に連動して回動し、表示部58da,58dbのいずれかが表示窓18(
図1参照)から視認されるようになっている。出力レバー24が第1位置にあるとき保持ピン56は上方位置にあって、表示窓18からは「入」表示の表示部58daが視認される。出力レバー24が第2位置にあるとき保持ピン56は下方位置にあって、表示窓18からは「切」表示の表示部58dbが視認される。
【0039】
次に、このように構成されるボタン操作機構10の動作について説明する。
図7は、引き外しボタン16が押されている状態のボタン操作機構10の斜視図である。
図8は、引き外しボタン16が押されている状態のインターロックレバー52およびその周辺の斜視図である。
【0040】
真空遮断器12が投入状態(
図3~
図6参照)であるときに表示窓18は「入」表示となっている。この状態から
図7、
図8に示すように引き外しボタン16を人手によって押圧すると、ロッド16aが被押圧片50dを後方に押し出す。このとき、インターロックレバー52はフリー位置にあり、被押圧片50dは凹状部52eに入り込むことが可能となっており、駆動レバー50はトーションスプリング60の弾性力に抗してピン50aを中心として回動し、待機位置から操作位置へと変位する。
【0041】
そうすると、アーム50eはやや下向きとなりワイヤを介して引き外しシャフト25(
図2参照)を操作する。上記の説明のとおり、引き外しシャフト25の変位に連動して出力レバー24が
図7の時計方向に回動し、第1位置から第2位置へと変位し、真空遮断器12は遮断状態となる。出力レバー24が第2位置へと変位することにより、保持ピン56は下降してレバー58cを押し下げて表示板58dが回動し、表示窓18は「切」表示へと切り替わる。
【0042】
このとき、保持ピン56は出力レバー24の回動にともなって下降することから、保持ピン56による被保持片52aの保持は解除される。つまり、駆動レバー50が操作位置まで変位したときに、保持ピン56は下降変位してインターロックレバー52を変位可能とする。したがって、インターロックレバー52はトーションスプリング64の付勢作用によって
図7の時計方向に回動しようとする。しかしながら、駆動レバー50の被押圧片50dは係合面52dに当接・係合し、インターロックレバー52がロック位置へ移動することを阻害してフリー位置に保持する。また、被保持片52aと保持ピン56とは離間する。
【0043】
駆動レバー50が待機位置から操作位置まで変位することに基づいて出力レバー24が第1位置から第2位置まで変位するまでは、
図2に基づいて説明したように機械的連動作用があることから若干の時間遅れがある。したがって、被押圧片50dが十分に後方まで押し出された後に出力レバー24が変位することから、被押圧片50dは係合面52dに対して確実に当接・係合しインターロックレバー52をフリー位置に保持することができる。また、ロック片52cの先端はやや先細り形状となっていることから、被押圧片50dはロック片52cから係合面52dへと案内されやすい。
【0044】
このように、ボタン操作機構10では引き外しボタン16の押圧操作に先立ち、または押圧操作の途中にインターロックレバー52が動作してしまうことがなく動作干渉がない。このため、被押圧片50dは十分に後方まで変位可能であり、真空遮断器12では確実な遮断動作が行われる。一方、表示器58はインターロックレバー52とは無関係に出力レバー24に連動することから、真空遮断器12の状態表示が正しいタイミングで切り替わる。また、
図7、
図8に示す状態では、仮に引き外しボタン16が長時間押されたままであっても、インターロックレバー52がフリー位置に保持され続けることはもちろんである。
【0045】
図9は、引き外しボタン16の押圧が解除されたときのボタン操作機構10の斜視図である。
図10は、引き外しボタン16の押圧が解除されたときのインターロックレバー52およびその周辺の斜視図である。
【0046】
引き外しボタン16が押されている状態(
図7、
図8参照)から、該ボタン16の押圧が解除されると、ロッド16aおよび操作子16cはバネ16dにより押し戻されて自動復帰する。
【0047】
そして、
図9、
図10に示すように、被押圧片50dはロッド16aの押圧から解放されるため、駆動レバー50はトーションスプリング60の弾性力により待機位置へと自動復帰する。そうすると、係合面52dが被押圧片50dによる当接・係合から解除されるためインターロックレバー52はトーションスプリング64の付勢作用を受け、被保持片52aが保持ピン56によって再び保持されるロック位置まで
図9の時計方向に回動する。換言すると、駆動レバー50がトーションスプリング64によって待機位置まで自動復帰したときに、インターロックレバー52は駆動レバー50による移動の阻害が解除されてロック位置へ変位することになる。
【0048】
インターロックレバー52がロック位置となるとロック片52cは被押圧片50dの後側に配置される。したがって、この状態から引き外しボタン16の操作子16cを操作してロッド16aを押し出そうとしてもロック片52cに阻害されて被押圧片50dは後方に変位不能であり、駆動レバー50は待機位置に維持される。すなわち、インターロックレバー52のロック位置は駆動レバー50が待機位置から操作位置までの変位を阻害する位置となっている。
【0049】
したがって、回路が遮断状態であるときに引き外しボタン16を押すという誤操作が防止される。つまり、ボタン操作機構10では、投入状態(
図5参照)から引き外しボタン16を押したとき(
図7参照)には遮断状態となって表示器58は「入」から「切」に切り替わるが、引き外しボタン16の動作のインターロックは保留状態となっておりボタン操作と動作干渉せず、正しいタイミング(ボタンの押圧操作が終了したとき(
図9参照))になってインターロックが作動して操作子16cの押し込みが阻害されるようになる。
【0050】
上記の例では、保持ピン56が表示器58の切替作用手段とインターロックレバー52の保持作用手段とを兼ねており部品点数が抑制されている。また、インターロックレバー52はその機構上引き外しボタン16の近傍に配置される一方、表示器58は注意喚起の観点から引き外しボタン16の近傍に配置される。つまり、インターロックレバー52と表示器58とは近くに配置されており、1つの保持ピン56を共用的作用手段とすることが合理的である。ただし、設計条件によっては2つの作用手段を異なる部材で行ってもよい。
【0051】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10 ボタン操作機構(インターロック機構)
16 引き外しボタン
16a ロッド
16c 操作子
22 軸
24 出力レバー(従動部材)
50 駆動レバー(駆動部材)
50d 被押圧片
52 インターロックレバー
52a 被保持片
52c ロック片
52d 係合面
52e 凹状部
56 保持ピン(保持具)
58 表示器
58d 表示板
58da,58db 表示部
64 トーションスプリング(回転付勢バネ)