(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035911
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】助手席側サイドミラー制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B60R1/074
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140531
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】永井 洋一
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF18
3D053GG01
3D053GG12
3D053HH18
3D053MM45
3D053MM49
(57)【要約】
【課題】助手席側サイドミラーの損傷を抑制することができる助手席側サイドミラー制御装置を提供する。
【解決手段】助手席側サイドミラー制御装置1は、車両Cの助手席側サイドミラーM1を支持する支持機構10と、支持機構10を車両Cの車体側へ回動可能であるモータ20と、モータ20を制御可能であるモータ制御部30aと、車両Cの進路変更予定を検出してモータ制御部30aに送信可能な方向指示器50と、車両Cの走行速度を検出してモータ制御部30aに送信可能な速度検出部60とを備え、モータ制御部30aは、車両Cの運転席側への進路変更予定と車両Cの停車とを受信したとき、支持機構10を車両Cの車体側へ回動させるようモータ20を制御し、これらのうち少なくともいずれかを受信しなくなったとき、支持機構10を回動させて元の状態に戻すようモータ20を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の助手席側サイドミラーを支持する支持機構と、
前記支持機構を前記車両の車体側へ回動可能であるモータと、
前記モータを制御可能であるモータ制御部と、
前記車両の進路変更予定を検出して前記モータ制御部に送信可能な方向指示器と、
前記車両の走行速度を検出して前記モータ制御部に送信可能な速度検出部とを備え、
前記モータ制御部は、
前記車両の運転席側への進路変更予定と前記車両の停車とを受信したとき、前記支持機構を前記車両の車体側へ回動させるよう前記モータを制御し、
前記車両の運転席側への進路変更予定と前記車両の停車とのうち少なくともいずれかを受信しなくなったとき、前記支持機構を回動させて元の状態に戻すよう前記モータを制御することを特徴とする、助手席側サイドミラー制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、助手席側サイドミラー制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、左右後方の状況を確認するためのサイドミラーが設けられている。例えば、特許文献1には、ステー駆動用モータによりアウトサイドミラーを回転させることで、このアウトサイドミラーの位置を調整する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばトラックやバスなどの車幅の広い大型車両において、道幅の狭い道路での右折待機時に大型の他車両が左側車線から追い越し走行してくると、自車両の左側サイドミラー(助手席側サイドミラー)と他車両の右側サイドミラーとの間隔が狭くなる。このため、両車両のサイドミラー同士が接触し、自車両の助手席側サイドミラーが損傷する可能性が考えられる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、助手席側サイドミラーの損傷を抑制することができる助手席側サイドミラー制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係る助手席側サイドミラー制御装置は、車両の助手席側サイドミラーを支持する支持機構と、前記支持機構を前記車両の車体側へ回動可能であるモータと、前記モータを制御可能であるモータ制御部と、前記車両の進路変更予定を検出して前記モータ制御部に送信可能な方向指示器と、前記車両の走行速度を検出して前記モータ制御部に送信可能な速度検出部とを備え、前記モータ制御部は、前記車両の運転席側への進路変更予定と前記車両の停車とを受信したとき、前記支持機構を前記車両の車体側へ回動させるよう前記モータを制御し、前記車両の運転席側への進路変更予定と前記車両の停車とのうち少なくともいずれかを受信しなくなったとき、前記支持機構を回動させて元の状態に戻すよう前記モータを制御する。
【0008】
本適用例によれば、モータ制御部が車両の運転席側への進路変更予定と車両の停車とを受信したとき、支持機構と共に助手席側サイドミラーを車両の車体側へ回動させることができる。これにより、例えば、車両が片側二車線の右側車線において信号待機時に右折を予定して停車しているとき、この車両の助手席側サイドミラーに対する、この片側二車線の左側車線において当該車両後方から走行してきた別車両との接触を回避することができる。
【0009】
また、本適用例によれば、車両の運転席側への進路変更予定と車両の停車とのうち少なくともいずれかを受信しなくなったとき、支持機構と共に助手席側サイドミラーを回動させて元の状態に戻すことにより、助手席側サイドミラーを再度使用可能な状態にすることができる。
【0010】
さらに、本適用例によれば、モータ制御部によって自動で助手席側サイドミラーを制御することができるため、ドライバーの運転負担の増加を回避することができる。
【0011】
よって、本発明によれば、助手席側サイドミラーを必要に応じて使用しつつ、ドライバーの運転負担を増加させずに助手席側サイドミラーの損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第一実施形態を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第二実施形態を示す概略図である。
【
図4】本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第三実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の構成)
本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第一実施形態の構成について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第一実施形態を示す概略図である。助手席側サイドミラー制御装置1は、例えば、車体Bと、助手席側サイドミラーM1と、運転席側サイドミラーM2とを有する車両C(具体的にはバス又はトラック等の大型車両)に設けられる。助手席側サイドミラー制御装置1は、支持機構10と、モータ20と、VCU30(制御部)と、自動制御スイッチ40と、方向指示器50と、速度センサ60(速度検出部)とを備えている。
【0014】
支持機構10は、その一端において助手席側サイドミラーM1を支持しており、その他端において車体Bに接続されている。支持機構10は、その他端において回動可能な支持ステー10aを備えている。支持ステー10aが回動すると、支持機構10の全体及び助手席側サイドミラーM1が車外側(車幅方向の助手席側)と車体側(車幅方向の運転席側且つ車両前方)との間で回動するようになっている。支持機構10としては、周知のものを用いることができる。助手席側サイドミラーM1は、使用時(例えば車両Cの走行時)には車外側に回動された状態となっており、不使用時(例えば車両Cの停車時及び駐車時)には車体側に回動された状態となっている。
【0015】
モータ20は、支持ステー10aを回動可能とすることにより、支持機構10の全体及び助手席側サイドミラーM1を回動可能とするように設けられている。
【0016】
VCU30(制御部)は、車両Cの全体を制御するためのものである。VCU30のモータ制御部30aは、後述する自動制御スイッチ40からの信号S1と方向指示器50からの信号S2と速度センサ60からの信号S3とに基づいて、モータ20の回転(例えば回転方向及び回転角度等)を制御用の信号S4によって制御可能とされている。VCU30は、モータ20の回転を制御することにより、支持機構10及び助手席側サイドミラーM1の回動位置を調整することができる。
【0017】
自動制御スイッチ40は、車両Cのドライバーから入力された情報I1に基づいて、助手席側サイドミラーM1の自動制御モードを実施するか否かに関する信号S1をVCU30に送信可能とされている。自動制御スイッチ40は、例えば、車両Cのインストルメントパネルに設けられており、車両Cのエンジン始動時においてはオフに設定されている。
【0018】
方向指示器50は、車両Cのドライバーから入力された情報I2に基づいて車両Cの進路変更予定を検出し、検出した進路変更予定(つまり進行予定方向)を信号S2としてVCU30に送信可能とされている。
【0019】
速度センサ60は、車両Cの走行速度に関する情報I3を検出し、検出した走行速度に関する情報I3を信号S3としてVCU30に送信可能とされている。速度センサ60としては、例えば、車両Cの駆動輪に接続されたドライブシャフトの回転数を検出するセンサを用いることができる。
【0020】
次に、本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第一実施形態の動作について
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図2は、本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第一実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1において、モータ制御部30aは、助手席側サイドミラーM1の制御が自動制御モードになっているか、つまり、自動制御スイッチ40がONにされている旨の信号S1を受信しているか否かを判断する。ステップS1がYesの場合、すなわち助手席側サイドミラーM1の制御が自動制御モードになっている場合には、モータ制御部30aはステップS2に処理を進める。一方、ステップS1がNoの場合、すなわち助手席側サイドミラーM1の制御が自動制御モードになっていない場合には、モータ制御部30aは当該フローを終了する。
【0021】
ステップS2において、モータ制御部30aは、運転席側へ進路変更予定であるか否か、つまり、車両Cの運転席側への進路変更を予定している旨の信号S2を方向指示器50から受信している否かを判断する。ステップS2がYesの場合、すなわち運転席側へ進路変更予定である場合には、モータ制御部30aはステップS3に処理を進める。一方、ステップS2がNoの場合、すなわち運転席側へ進路変更予定でない場合には、モータ制御部30aはステップS6に処理を進める。
【0022】
ステップS3において、モータ制御部30aは、車両Cが停車中であるか否か、つまり、車両Cの走行速度が0[m/s]である旨の信号S3を速度センサ60から受信しているか否かを判断する。ステップS3がYesの場合、すなわち車両Cが停車中である場合には、モータ制御部30aはステップS4に処理を進める。一方、ステップS3がNoの場合、すなわち車両Cが停車中でない場合には、モータ制御部30aはステップS6に処理を進める。
【0023】
ステップS4において、モータ制御部30aは、支持機構10が車外側に回動されている状態か否か、つまり、支持機構10及び助手席側サイドミラーM1を車外側に位置させるような信号S4をモータ20に送信しているか否かを判断する。ステップS4がYesである場合、すなわち支持機構10が車外側に回動されている状態である場合には、モータ制御部30aはステップS5に処理を進める。一方、ステップS4がNoの場合、すなわち支持機構10が車外側に回動されている状態でない場合には、モータ制御部30aは当該フローを終了する。
【0024】
ステップS5において、モータ制御部30aは、モータ20を一方向に回転させることにより、支持機構10及びこれに取り付けられた助手席側サイドミラーM1を車体側へ回動させる。
【0025】
ステップS6において、モータ制御部30aは、支持機構10が車体側に回動されている状態か否か、つまり、支持機構10及び助手席側サイドミラーM1を車体側に位置させるような信号S4をモータ20に送信しているか否かを判断する。ステップS6がYesである場合、すなわち支持機構10が車体側に回動されている状態である場合には、モータ制御部30aはステップS7に処理を進める。一方、ステップS6がNoの場合、すなわち支持機構10が車体側に回動されている状態でない場合には、モータ制御部30aは当該フローを終了する。
【0026】
ステップS7において、モータ制御部30aは、モータ20をステップS5の逆方向に回転させることにより、支持機構10及びこれに取り付けられた助手席側サイドミラーM1を車外側に回動させる。
【0027】
(助手席側サイドミラー制御装置の効果)
助手席側サイドミラー制御装置1によれば、モータ制御部30aが車両Cの運転席側への進路変更予定と車両Cの停車とを受信したとき、支持機構10と共に助手席側サイドミラーM1を車両Cの車体側へ回動させることができる。これにより、例えば、車両Cが片側二車線の右側車線において信号待機時に右折を予定して停車しているとき、この車両Cの助手席側サイドミラーM1に対する、この片側二車線の左側車線において当該車両Cの後方から走行してきた別車両との接触(特にサイドミラー同士の接触)を回避することができる。
【0028】
また、車両Cの運転席側への進路変更予定と車両Cの停車とのうち少なくともいずれかを受信しなくなったとき、支持機構10と共に助手席側サイドミラーM1を回動させて元の状態に戻すことにより、助手席側サイドミラーM1を再度使用可能な状態にすることができる。
【0029】
さらに、モータ制御部30aによって自動で助手席側サイドミラーM1を制御することができるため、車両Cのドライバーの運転負担の増加を回避することができる。
【0030】
よって、助手席側サイドミラーM1を必要に応じて使用しつつ、車両Cのドライバーの運転負担を増加させずに助手席側サイドミラーM1の損傷を抑制することができる。
【0031】
(その他)
なお、車両Cには、助手席側サイドミラーM1の不使用時における助手席側後方の視認を可能にするカメラ及び電子ミラー等が備わっていることが好ましい。
【0032】
(第二実施形態)
本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第二実施形態の構成について
図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第二実施形態を示す概略図である。第二実施形態については、第一実施形態と異なる構成及び動作についてのみ説明し、第一実施形態と共通の構成及び動作についての説明を省略する。また、第二実施形態の効果については、第一実施形態の効果と同様であるため説明を省略する。
【0033】
助手席側サイドミラー制御装置1-2は、
図1に示す支持機構10に代えて支持機構10-2を備えており、それ以外の点については
図1に示す助手席側サイドミラー制御装置1と同様の構成を備えている。支持機構10-2は、モータ20に接続された動力伝達機構10bと、動力伝達機構10bに接続された支持ステー10aと、支持ステー10aに接続されて助手席側サイドミラーM1を支持している支持部10cとを備えている。モータ20の回転により動力伝達機構10bが動作し、これにより支持ステー10aが回動することにより、支持部10c及び助手席側サイドミラーM1が回動するようになっている。
【0034】
(第三実施形態)
本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第三実施形態の構成について
図4を参照しながら説明する。
図4は、本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の第三実施形態を示す概略図である。第三実施形態については、第一実施形態と異なる構成及び動作についてのみ説明し、第一実施形態と共通の構成及び動作についての説明を省略する。また、第三実施形態の効果については、第一実施形態の効果と同様であるため説明を省略する。
【0035】
助手席側サイドミラー制御装置1-3は、
図1に示す支持機構10に代えて支持機構10-3を備えており、それ以外の点については
図1に示す助手席側サイドミラー制御装置1と同様の構成を備えている。支持機構10-3は、車体Bに連結された連結部10dと、連結部10dに接続された支持ステー10aと、支持ステー10aに接続されて助手席側サイドミラーM1を支持している支持部10cとを備えている。モータ20は、支持機構10-3の内部において支持ステー10aを回動可能に設けられている。モータ20の回転により支持ステー10aが回動すると、支持部10c及び助手席側サイドミラーM1が回動するようになっている。
【0036】
以上で本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置の各実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態の車両Cでは、車両右側が運転席、車両左側が助手席であるが、本発明に係る助手席側サイドミラー制御装置は、車両左側が運転席、車両右側が助手席の車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1、1-2、1-3 助手席側サイドミラー制御装置
10 支持機構
10a 支持ステー
10b 動力伝達機構
10c 支持部
10d 連結部
20 モータ
30 VCU(制御部)
30a モータ制御部
40 自動制御スイッチ
50 方向指示器
60 速度センサ(速度検出部)
B 車体
C 車両
I1~I3 情報
M1 助手席側サイドミラー
M2 運転席側サイドミラー
S1~S4 信号