(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035929
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】回路装置及び表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240308BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240308BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240308BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240308BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240308BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 612U
G09G3/20 642Z
G09G3/20 641G
G09G3/20 641P
G09G3/20 650M
G09G3/20 633P
G09G3/20 670F
G09G3/20 670E
G09G3/34 J
G02F1/133 535
G02F1/13357
H04N9/31 820
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140563
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】石澤 幸大
(72)【発明者】
【氏名】石黒 光郎
【テーマコード(参考)】
2H193
2H391
5C006
5C060
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZD24
2H193ZF14
2H193ZG03
2H193ZG14
2H193ZG43
2H193ZG48
2H193ZH23
2H193ZH52
2H193ZH57
2H391AA03
2H391AB04
2H391CB13
2H391CB52
5C006AA12
5C006AA22
5C006AF13
5C006AF46
5C006AF53
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF01
5C006BF14
5C006BF15
5C006BF29
5C006BF49
5C006EA01
5C006EC09
5C006FA18
5C060EA01
5C060GA02
5C060HD07
5C060JA14
5C060JA18
5C060JB06
5C080CC03
5C080DD01
5C080DD09
5C080GG12
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C080KK20
(57)【要約】
【課題】表示装置のバックライトの制御が適切に行われていることを保証する回路装置等の提供。
【解決手段】色情報抽出部110は、画像情報から色情報を抽出する。輝度情報抽出部120は、色情報に基づいて、バックライト1の輝度を制御する輝度情報を抽出する。ディザーリング処理部130は、輝度情報の下位ビット側にディザーリング用のビットを付加し、付加後の輝度情報を出力輝度情報として表示装置10に出力する。画像色味補正部140は、色情報に基づいて画像情報の色味を補正し、補正後の画像情報を出力画像情報として表示装置10に出力する。上位ビット比較部150は、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報の上位ビットを比較する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトと電気光学パネルとを有する表示装置を制御する回路装置であって、
画像情報から色情報を抽出する色情報抽出部と、
前記色情報に基づいて、前記バックライトの輝度を制御する輝度情報を抽出する輝度情報抽出部と、
前記輝度情報の下位ビット側にディザーリング用のビットを付加し、付加後の前記輝度情報を出力輝度情報として前記表示装置に出力するディザーリング処理部と、
前記画像情報の色味を補正し、補正後の前記画像情報を出力画像情報として前記表示装置に出力する画像色味補正部と、
前記輝度情報の上位ビット、前記出力輝度情報の上位ビット及び前記出力画像情報の上位ビットを比較する上位ビット比較部と、
を含むことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1に記載された回路装置において、
前記上位ビット比較部は、
前記輝度情報の上位ビット、前記出力輝度情報の上位ビット及び前記出力画像情報の上位ビットを比較した結果が不一致であったとき、第1エラー検出信号を出力することを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項1に記載された回路装置において、
Nを2以上の整数としたとき、N-1フレームの前記出力輝度情報と、Nフレームの前記出力輝度情報とを比較する前後フレーム比較部を、
さらに含むことを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項3に記載された回路装置において、
前記前後フレーム比較部は、
N-1フレームの前記出力輝度情報と、Nフレームの前記出力輝度情報が同一であった場合、第2エラー検出信号を出力することを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項1に記載された回路装置において、
前記輝度情報抽出部は、
前記色情報の複数の色成分のうちの最大輝度となる前記色成分に基づいて、前記輝度情報を抽出することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項1に記載された回路装置において、
前記画像色味補正部は、
前記出力画像情報の複数の色成分のうちの最大値となる前記色成分に基づいて、前記出力画像情報の前記上位ビットを前記上位ビット比較部に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1に記載された回路装置において、
前記輝度情報抽出部は、
前記電気光学パネルの複数のエリアにおける前記エリア毎に、前記色情報から前記輝度情報を抽出することを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項1に記載された回路装置において、
前記画像色味補正部は、
前記電気光学パネルの複数のエリアにおける前記エリア毎に、前記出力画像情報の前記上位ビットを、前記上位ビット比較部に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項1に記載された回路装置において、
前記輝度情報の前記上位ビットは、
前記輝度情報のビット数をm(mは2以上の偶数)としたとき、mビットのうちの上位m/2ビットであることを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項1に記載された回路装置において、
前記出力輝度情報に基づいて前記バックライトを制御する処理装置の処理ビット数に応じて、前記輝度情報抽出部からの前記輝度情報の下位ビットの設定処理を行い、設定処理後の前記輝度情報を前記ディザーリング処理部に出力する下位ビット設定部を、
さらに含むことを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項10に記載された回路装置において、
下位ビット設定部は、
前記輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、前記ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)としたときにおいて、前記処理装置の処理ビット数がmである場合、下位kビットを削除した前記輝度情報を前記ディザーリング処理部に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項10に記載された回路装置において、
下位ビット設定部は、
前記輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、前記ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)としたときにおいて、前記処理装置の処理ビット数がm+kであった場合、下位ビットを削除することなく前記輝度情報を前記ディザーリング処理部に出力することを特徴とする回路装置。
【請求項13】
請求項10に記載された回路装置において、
前記輝度情報に基づいて前記画像情報の明暗を判定する明暗レベル判定部を、
さらに含み、
下位ビット設定部は、
前記輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、前記ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)、前記処理装置の処理ビット数をm+k+p(pは1以上の整数)としたときにおいて、前記明暗レベル判定部による判定結果に応じたビット数pの下位ビットを前記輝度情報に付加することを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載された回路装置と、
前記表示装置と、
を含むことを特徴とする表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び表示システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED等の光源を含む表示装置が知られている。特許文献1には、(n+m)ビットからなる駆動信号で光源を制御し、上位nビットと下位mビットで制御する内容を異ならせる手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまで、光源の制御信号の上位ビットと画像情報の上位ビットを比較することにより、表示装置の光源制御データの送受信が正常に行われているか否かを確認する手法は提案されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、バックライトと電気光学パネルとを有する表示装置を制御する回路装置であって、画像情報から色情報を抽出する色情報抽出部と、前記色情報に基づいて、前記バックライトの輝度を制御する輝度情報を抽出する輝度情報抽出部と、前記輝度情報の下位ビット側にディザーリング用のビットを付加し、付加後の前記輝度情報を出力輝度情報として前記表示装置に出力するディザーリング処理部と、前記画像情報の色味を補正し、補正後の前記画像情報を出力画像情報として前記表示装置に出力する画像色味補正部と、前記輝度情報の上位ビット、前記出力輝度情報の上位ビット及び前記出力画像情報の上位ビットを比較する上位ビット比較部と、を含む回路装置に関係する。
【0006】
本開示の他の態様は、上記に記載された回路装置と、前記表示装置を含む表示システムに関係する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】表示制御システム、回路装置の構成例を説明する図。
【
図2】本実施形態の処理例を説明するフローチャート。
【
図3】ディザーリングの処理例を説明するフローチャート。
【
図4】固着検知の処理例を説明するフローチャート。
【
図5】表示制御システム、回路装置の別の構成例を説明する図。
【
図6】固着検知の別の処理例を説明するフローチャート。
【
図7】表示制御システム、回路装置の別の構成例を説明する図。
【
図8】ディザーリングの別の処理例を説明するフローチャート。
【
図9】表示制御システム、回路装置の別の構成例を説明する図。
【
図10】ディザーリングの別の処理例を説明するフローチャート。
【
図14】歪み補正を行った画像情報の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
図1に本実施形態の回路装置100、表示システム200の構成例を示す。表示システム200は、表示装置10の表示制御を行うシステムであり、回路装置100と表示装置10を含む。表示装置10は例えば自動車用途のクラスターディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ等であるが、用途は自動車に限られない。例えば以降において自動車用途の表示を例に説明することがあるが、本実施形態の手法の用途を自動車に限定するものではない。また、以降の説明において、ヘッドアップディプレイを、HUDと記載する。
【0010】
表示装置10は、バックライト1と電気光学パネル5とを含む。バックライト1には、複数の光源が設けられている。具体的にはバックライト1には、LED等により実現される複数の光源がアレイ配置されている。なお表示装置10は、バックライト1の光源を駆動する不図示の光源ドライバー、電気光学パネル5を駆動する不図示の表示ドライバー等を含んでもよい。また、後述する変形例において、バックライト1の光源を駆動する光源ドライバーを、処理装置3と呼ぶことがあり、詳細は後述する。また、表示ドライバーは、電気光学パネル5のデータ線を駆動するデータドライバーや、電気光学パネル5の走査線を駆動する走査ドライバーや、表示コントローラーなどを含む。また、本実施形態において、バックライト1に含まれる光源は、回路装置100におけるmビットの輝度情報により制御できるものとするが、より具体的にm=8ビット(0~255)を例示する。
【0011】
回路装置100は、
図1には図示していない所定のデバイスから画像情報を受信し、後述する手法によって、画像情報に基づいた出力輝度情報、出力画像情報等を表示装置10に出力する。なお、本実施形態における画像情報は、RGBそれぞれmビットのラスターデータであるものとする。つまり、画像情報の色のビット数と輝度情報のビット数は同じmビットであるものとする。ただし当該説明によって、画像情報がCMYK形式等、他の形式であってもよいことを妨げるものではない。例えば表示システム200が自動車用途である場合、所定のデバイスは、自動車の各種情報をセンシングし、センシングしたデータに基づき画像情報を形成する処理を行う。自動車の各種情報とは、自動車が運転している場合における速度情報、警告灯及び燃料の残量情報等であるが、これに限らず、前方の自動車や通行人を検知する情報等であってもよい。この場合の所定のデバイスは、例えばグラフィックス機能を含むSoC(System on Chip)等によって実現できる。
【0012】
このように、本実施形態の表示システム200を構成する各部が各種データの送受信を行い、所定のフレームレートでフレームを更新することで、表示装置10においてアニメーション表示が実現できる。これにより、例えば表示システム200が自動車用途である場合、ユーザーは当該自動車のメーターの映像を通じて自動車の速度変化を把握できる。なお本実施形態において、生成されるフレームの順番をN(Nは2以上の整数)で示すことがある。また、フレームの更新に対応するように、バックライト1の点灯制御データも更新される。
【0013】
ところが、表示システム200を構成する各部の少なくとも一部において、バックライト1の光源の輝度制御データが正確に送受信されていないこと等によって、バックライト1の点灯制御情報が更新されず、更新前のデータの送受信が継続する事象が発生することがある。本実施形態において、当該事象を「バックライト1が固着している」等と呼ぶことにする。これにより、表示装置10において本来視認できるはずの画像を、ユーザーが視認できない事象が発生することがある。以降の説明において、「バックライト1が固着していること」等を、単に「固着」と呼ぶことにする。本実施形態は、固着を検知する手法に関するものである。
【0014】
なお、本実施形態において、電気光学パネル5側に送信されるデータの送受信は問題なく行われているものとする。言い換えれば、前述の所定のデバイス、後述の色情報抽出部110、画像色味補正部140、上位ビット比較部150及び不図示の表示ドライバー等に不具合は無く、後述する出力画像情報の上位ビットの値は常に正しいものとする。
【0015】
回路装置100は、色情報抽出部110、輝度情報抽出部120、ディザーリング処理部130、画像色味補正部140及び上位ビット比較部150を含む。なお、
図1には図示していないが、回路装置100は、他の構成をさらに含むこともでき、詳細は後述する。
【0016】
回路装置100は例えばプロセッサーにより実現できる。例えば本実施形態の各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するメモリーにより実現できる。プロセッサーは、例えば各部の機能が個別のハードウェアーで実現されてもよいし、或いは各部の機能が一体のハードウェアーで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアーを含み、そのハードウェアーは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置や、1又は複数の回路素子により構成することもできる。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。但し、プロセッサーはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサーはASICによるハードウェアー回路であってもよい。またプロセッサーは、アナログ信号を処理するアンプ回路やフィルター回路等を含んでもよい。そして回路装置100は、例えば
図1に不図示のメモリーから、固着検知のプログラムを読み出して実行することによって、色情報抽出部110、輝度情報抽出部120、ディザーリング処理部130、画像色味補正部140及び上位ビット比較部150としての機能を実現する。色情報抽出部110、輝度情報抽出部120、ディザーリング処理部130、画像色味補正部140及び上位ビット比較部150の機能の詳細は、
図2の説明にて後述する。
【0017】
図2のフローチャートを用いて、本実施形態の処理について説明する。
図2のフローは例えばタイマー割込み処理等によって、所定の周期で行われる。所定の周期は、前述のフレームレートに基づく周期よりも短いものとする。回路装置100は、画像情報を受信しているか否かを判断する処理(ステップS10)を行う。回路装置100は、画像情報を受信していないと判断した場合(ステップS10でNO)は、フローを終了する。一方、回路装置100は、画像情報を受信した判断した場合(ステップS10でYES)は、色情報抽出(ステップS20)を行う。
【0018】
色情報抽出(ステップS20)は、具体的には、例えば色情報抽出部110が、画像情報から色情報を抽出する。例えば色情報抽出部110は、
図1に不図示の所定のデバイスから受信した画像情報のうち、所定の座標に位置する画素におけるRの階調値、Gの階調値、Bの階調値を抽出し、輝度情報抽出部120及び画像色味補正部140へ送信する。なお、所定の座標は複数有ってもよいが、ここでは説明を単純化するため、所定の座標は1つであるものとする。以降の説明において、例えばRの階調値、Gの階調値、Bの階調値がそれぞれ0である画素の色情報は(R、G、B)=(0、0、0)等と表記することがある。また、以降の色情報、輝度情報、各上位ビット等の数値は2進法または10進法を適宜使い分けて表記する。また、
図2のフローチャートには図示していないが、色情報抽出部110は、受信した画像情報を、画像色味補正部140にそのまま送信する処理も行っている。言い換えれば、色情報抽出部110は、画像情報に含まれる全画素のRの階調値、Gの階調値及びBの階調値を画像色味補正部140に送信している。
【0019】
所定の座標は、例えば所定画像が配置される座標に対応するように適宜設定することができるが、例えば所定画像が一様の背景画像であれば、任意の座標を設定してもよい。また、例えば後述するエリアAR毎に本実施形態の手法を適用する場合は、エリアAR毎に所定の座標を設定すればよい。
【0020】
例えば、表示システム200を含む所定の機器を動作させると、
図1に不図示の所定のデバイスは、初期状態の画像である初期画像を画像情報として生成し、回路装置100に送信する。なお、本実施形態において、初期画像は暗い一様な背景画像、例えば初期画像を構成する全画素について(R、G、B)=(0、0、0)であるものとする。そして、所定のタイミングで当該所定の機器が新たな情報を報知したい場合、当該所定のデバイスは、新たな情報に対応する所定画像を、新たな画像情報として回路装置100に送信する。所定画像は、初期画像と明確に区別できる明るい画像として表示装置10に表示される。具体的には例えば所定画像のRの階調値、Gの階調値及びBの階調値のうち少なくとも1つについて、上位ビットの値が1以上になっている。なお、「上位ビットの値が1以上である」とは、例えば上位ビットが4ビットである場合、0000ではないことをいう。また、後述する「上位ビットの値が0である」とは、例えば上位ビットが4ビットである場合、0000であることをいう。また、本実施形態においては、上位ビットの値が1以上を示す色を「明るい色」と、上位ビットの値が0の色を「暗い色」と、便宜上呼ぶことにする。上位ビットの詳細については後述する。なお説明を単純化するため、ここでの所定画像は青色の一様な背景画像を例示し、所定画像のRの階調値、Gの階調値は0とする。なお、所定画像がエリア毎に異なる画像である場合と、所定画像のRの階調値、Gの階調値及びBの階調値のうち少なくとも2つ以上が0でない場合については後述する。また、以降の図示において画像情報をAと表記することがある。
【0021】
例えば所定画像の青の階調値が11111010(=250)である場合、色情報抽出部110は、色情報として11111010(=250)を、輝度情報抽出部120へ送信する。なお、画像情報が初期画像である場合、色情報抽出部110は、色情報として00000000(=0)を輝度情報抽出部120に送信する。以降の図示において、色情報をCと表記することがある。
【0022】
回路装置100は、色情報抽出(ステップS20)を行った後、色味補正(ステップS100)と輝度情報抽出(ステップS200)を行い、色味補正(ステップS100)を行った後は上位ビット抽出(ステップS190)を行う。つまり
図1に不図示のメモリーは、色味補正(ステップS100)に必要な係数情報を予め記憶している。例えば表示装置10に表示される所定画像の青色の色味が不足していると思われる場合、それを補うように、係数情報が不図示のメモリーに記憶されている。他の色についても同様である。画像色味補正部140は、色味補正(ステップS100)において、受信した色情報に対応した当該係数情報を選択し、画像情報を構成する各画素について当該係数情報を乗算する処理を行う。なお、画像色味補正部140は、初期画像に基づく画像情報を受信した場合、ステップS100を省略し、初期画像に基づく画像情報をそのまま出力画像情報としてもよい。
【0023】
なお、本実施形態において、画像色味補正部140が色味補正(ステップS100)を行った後の画像情報を出力画像情報と呼ぶものとする。また、以降の説明及び図示において、出力画像情報をAγと表記することがある。
【0024】
その後、画像色味補正部140は、出力画像情報を表示装置10に送信し、不図示の表示ドライバーは、電気光学パネル5に出力画像情報に基づいた表示を行う。このように、画像色味補正部140は、画像情報の色味を補正し、補正後の画像情報を出力画像情報として表示装置10に出力する。
【0025】
上位ビット抽出(ステップS190)は、具体的には、例えば画像色味補正部140は、出力画像情報における、前述の所定の座標の色情報を抽出する処理と、当該色情報の上位ビットの値を抽出する処理と、当該上位ビットの値を上位ビット比較部150に送信する処理を行う。なお、以降において、当該上位ビットをAγ1と表記することがある。
【0026】
なお、色味補正(ステップS100)によって色味が補正された出力画像情報における所定の座標の色情報と、当初の画像情報における所定の座標の色情報が異なる場合があるが、それは構わない。「明るい色」に基づく画像情報であれば、色味補正(ステップS100)を行った後の出力画像情報も「明るい色」であることに変わりはないからである。つまり、上位ビットの値が1以上の画像情報に色味補正(ステップS100)を行っても、上位ビットの値が1以上になることに変わりはなく、後述の固着検知(ステップS400)の結果に影響しない。
【0027】
具体的には例えば画像色味補正部140は、所定画像に対して色味補正(ステップS100)を行った出力所定画像の所定の座標における青の階調値が240(11110000)~255(11111111)であれば、上位ビットとしての上位4ビットの1111をAγ1として送信する。なお、ここでの4ビットは、m=8ビットとした場合における、m/2ビットの関係にあり、詳細は後述する。同様に、当該階調値が224~239であれば、上位4ビットの1110をAγ1として送信する。つまり、青の階調値が250の所定画像に対して色味補正(ステップS100)を行うと、出力所定画像の色情報の値は250ではなくなり、色味補正の結果次第でAγ1の値は異なる可能性はあるが、16~255の範囲内でなくなることまでは想定されないので、それは構わない。ただし、所定画像の階調値はできるだけ高い方が望ましい。
【0028】
輝度情報抽出(ステップS200)は、例えば輝度情報抽出部120が、色情報に基づいて、バックライト1の輝度を制御する輝度情報を抽出する。より具体的には、例えば、輝度情報抽出部120は、前述のように色情報としての11111010を色情報抽出部110から受信した場合、バックライト1の光源の輝度情報を11111010に設定する処理と、設定した当該輝度情報をディザーリング処理部130に送信する処理を行う。なお、画像色味補正部140に送信された色情報が初期画像に基づく色情報である場合、つまり色情報が00000000の場合は、輝度情報抽出部120は、輝度情報を00000000に設定する処理を行う。つまり、初期画像のみからなる画像情報が送信されているときは、ユーザーは実質的にバックライト1が消灯している電気光学パネル5を見ていることになる。
【0029】
回路装置100は、輝度情報抽出(ステップS200)を行った後、上位ビット抽出(ステップS290)と、ディザーリング(ステップS300)を行う。ディザーリング(ステップS300)の詳細は
図3で後述する。上位ビット抽出(ステップS290)は、例えば輝度情報抽出部120は、ステップS200で設定した輝度情報の上位ビットを抽出し、上位ビット比較部150に送信する処理を行う。より具体的には、輝度情報を11111010に設定したことから上位ビットとしての上位4ビットの1111を上位ビット比較部150に送信する処理を行う。なお、ここでの4ビットは、m=8ビットとした場合における、m/2ビットの関係にあることはステップS190の場合と同様である。なお、以降において、当該上位ビットの値をC1と表記することがある。また、本実施形態においては、上位ビットの値が1以上の輝度情報に基づく光を「明るい光」と、上位ビットの値が0の輝度情報に基づく光を「暗い光」と、便宜上呼ぶことにする。
【0030】
図3は、ディザーリング(ステップS300)をより詳細に説明するフローチャートである。例えばディザーリング処理部130は、下位ビットのうちkビットを削除する処理(ステップS320)と、ランダムに生成したkビットを下位に付加する処理(ステップS350)を行う。kはディザーリング用のビットのビット数であり、1以上の整数であるが、後述の固着検知(ステップS400)の結果に影響しない程度の大きさであることが望ましい。例えば、kの値を大きくすると、ディザーリング(ステップS300)によって「明るい光」が「暗い光」になることも、「暗い光」が「明るい光」になる可能性があるが、本実施形態においては、kは当該可能性が無い範囲の数値であるものとする。また、kは予め設定した値としてもよいし、表示システム200を起動した後にkの値を設定変更できるようにしてもよい。
【0031】
また、ランダムな値を生成する手法は、N-1フレームにおけるkビットとNフレームにおけるkビットの値が異なれば特に問わず、乱数を発生させる手法でもよいし、決まった値を繰り返し発生させる手法でもよい。以下はk=2として、00、01、10、11を規則的に生成する手法を例示するが、これに限られない。
【0032】
具体的には、例えばk=2とした場合、ステップS320によって、ディザーリング処理部130は、輝度情報抽出部120から受信した11111010のうち、下位2ビット(=10)を削除し、111110とする。
【0033】
そしてステップS350によって、ディザーリング処理部130は、例えば前述した手法により、11111000、11111001、11111010、11111011を周期的に生成する。そして、
図3には図示していないが、ディザーリング処理部130は、ステップS350によって生成された値を出力輝度情報として、表示装置10に出力する。なお、以降において、当該出力輝度情報をCDと表記することがある。なお、本実施形態において、表示装置10のバックライト1には複数の光源が含まれるが、初期画像、所定画像は一様な背景画像であることから、1の出力輝度情報で、バックライト1の全ての光源を制御できるものとする。エリアAR毎に画像情報が異なる場合については後述する。このように、ディザーリング処理部130は、輝度情報の下位ビット側にディザーリング用のビットを付加し、付加後の輝度情報を出力輝度情報として表示装置10に出力する。
【0034】
なお、ディザーリング処理部130が初期画像に基づく輝度情報、つまり00000000を受信した場合、ステップS320、ステップS350によって、00000000、00000001、00000010、00000011が周期的に生成され、出力輝度情報として表示装置10へ送信される。なお、この場合において、最大階調値255に対して0~3の階調値が表示装置10に出力されているに過ぎないので、実質的にバックライト1が点灯していない状態が継続していることになる。
【0035】
回路装置100は、ディザーリング(ステップS300)を行った後、上位ビット抽出(ステップS390)を行う。例えばディザーリング処理部130は、ステップS190、ステップS290によって抽出された上位ビットが4ビットであれば、それに合わせるように、出力輝度情報の上位4ビットの値である1111を上位ビット比較部150に送信する処理を行う。なお、以降において、当該上位ビットの値をCD1と表記することがある。
【0036】
その後回路装置100は、固着検知(ステップS400)を行う。
図4は、固着検知(ステップS400)をより詳細に説明するフローチャートである。回路装置100は、ステップS190、ステップS290、ステップS390で抽出した上位ビットをそれぞれ比較する処理(ステップS410)を行う。つまり、上位ビット比較部150は、輝度情報の上位ビット(C1)、出力輝度情報の上位ビット(CD1)及び出力画像情報の上位ビット(Aγ1)を比較する。比較結果の判断基準は、より具体的には、C1、CD1及びAγ1の値が、いずれも1以上であること、またはC1、CD1及びAγ1の値がいずれも0であることを満たせばOK(問題無し)と判断し、それ以外の場合はNG(問題有り)と判断する。
【0037】
その後回路装置100は、比較結果が問題有るか否かを判断する処理(ステップS420)を行い、比較結果がOKと判断した場合(ステップS420でYES)、フローを終了する。
【0038】
例えば初期画像のみが表示されている第1タイミングで
図2の処理が実行されると、初期画像を構成する画素の色情報は(R、G、B)=(0、0、0)であることから、C1、CD1及びAγ1の値はいずれも0である。一方、前述の例において所定画像が表示された第2タイミングで
図2の処理が実行されると、C1、CD1及びAγ1の値は1以上である。つまり、上位ビット比較部150は、第2タイミングにおいてC1、CD1及びAγ1の値がいずれも1以上である場合、ステップS420でYESと判断する。これにより、回路装置100は、固着が発生していないと判断する。
【0039】
以上のように、本実施形態の回路装置100は、バックライト1と電気光学パネル5とを有する表示装置10を制御し、色情報抽出部110と、輝度情報抽出部120と、ディザーリング処理部130と、画像色味補正部140と、上位ビット比較部150と、を含む。色情報抽出部110は、画像情報から色情報を抽出する。輝度情報抽出部120は、色情報に基づいて、バックライト1の輝度を制御する輝度情報を抽出する。ディザーリング処理部130は、輝度情報の下位ビット側にディザーリング用のビットを付加し、付加後の輝度情報を出力輝度情報として表示装置10に出力する。画像色味補正部140は、画像情報の色味を補正し、補正後の画像情報を出力画像情報として表示装置10に出力する。上位ビット比較部150は、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報の上位ビットを比較する。
【0040】
このように、本実施形態の回路装置100は、バックライト1と電気光学パネル5とを有する表示装置10を制御することから、表示装置10に使用することができる。また、色情報抽出部110と、輝度情報抽出部120と、ディザーリング処理部130と、画像色味補正部140をさらに含むことから、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット、及び出力画像情報の上位ビットを抽出することができる。また、上位ビット比較部150をさらに含むことから、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報の上位ビットを比較することができる。これにより、固着が発生しているか否かを適切なタイミングで検出することができる。
【0041】
具体的には例えば、前述の第1タイミングにおいて輝度情報抽出部120の機能に不具合が生じ、輝度情報が更新されず同じ値の輝度情報を送信し続ける事態が発生したとする。この場合、前述のように、ディザーリング処理部130からは、階調値=0~3の出力輝度情報が表示装置10に送信され、バックライト1の光源が実質的に点灯していない状況が当該第1タイミング以降継続する。そのため、第2タイミングにおいて、所定画像に基づく画像情報が所定のデバイスから送信されても、ユーザーは所定画像を視認することができない。その点、本実施形態の手法を適用することで、当該第2タイミングにおいてステップS400が実行されると、Aγ1の値は1以上である一方、C1の値とCD1の値は0となる結果を得ることができる。これにより、上位ビット比較部150は、ステップS420でNOと判断できるので、回路装置100は第2タイミングにおいて固着が発生したことを判断する処理を行うことができる。
【0042】
また、例えば、第1タイミングにおいてディザーリング処理部130の機能に不具合が生じ、同じ輝度情報の値に対してディザーリングした出力輝度情報を送信し続ける事態が発生したとする。この場合も同様に、第2タイミングにおいて、所定画像に基づく画像情報が所定のデバイスから送信されても、ユーザーは所定画像を視認することができない。その点、本実施形態の手法を適用することで、当該第2タイミングにおいてステップS400が実行されると、Aγ1の値とC1の値は1以上になるが、CD1の値は0となる結果を得ることができる。これにより上位ビット比較部150は、ステップS420でNOと判断することから、回路装置100は第2タイミングにおいて固着が発生したことを判断する処理を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態の手法は、表示システム200として実現してもよい。つまり、本実施形態の表示システム200は、上記に記載された回路装置100と、表示装置10を含む。これにより、上記と同様の効果を得ることができる。
【0044】
本実施形態の手法は上記に限られない。例えば、
図4に示すように、上位ビット比較部150は、ステップS420でNOと判断した後、第1エラー検出信号を発生する処理(ステップS430)を行ってもよい。第1エラー検出信号は、具体的には例えば所定の音声アラームを発生させるための信号、所定のランプを点灯させるための信号、またはリセット信号等であるが、これに限られず、種々の手法を採用できる。このように、本実施形態の回路装置100において、上位ビット比較部150は、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報の上位ビットを比較した結果が不一致であったとき、第1エラー検出信号を出力する。このようにすることで、ユーザーは固着が発生したことを迅速に認識することができる。例えば前述の第2タイミングにおいて固着が発生した場合、ユーザーは表示装置10を見ても初期画像が継続して表示されていることしか認識できない。その点、本実施形態の手法を適用することで、第2タイミングで第1エラー信号が出力されるので、ユーザーは第2タイミングで固着が発生したことを認識できる。これにより、ユーザーは、固着が発生したことを迅速に認識し、適切な対処をすることができる。適切な対処とは、例えば表示システム200を再起動すること、表示システム200を含む装置全体を停止すること、表示システム200を構成する各ハードウェアー及び各ソフトウェアーを確認すること等である。
【0045】
また、本実施形態の回路装置100及び表示システム200は、例えば
図5に示す構成例のようにしてもよい。
図5は、
図1と比較すると、前後フレーム比較部160を含む点で異なる。つまり、本実施形態の回路装置100は、Nを2以上の整数としたとき、N-1フレームの出力輝度情報と、Nフレームの出力輝度情報とを比較する前後フレーム比較部160を、さらに含む。このようにすることで、フレームの更新タイミングごとに、固着が発生したか否かを把握することができる。
【0046】
また、回路装置100、表示システム200を
図5の構成例にした場合、固着検知(ステップS400)は例えば
図6に示す処理例にしてもよい。
図6は、
図4と比較すると、ステップS440、ステップS450、ステップS460をさらに含む点で異なる。以降の説明において、
図1及び
図4と重複する構成及び処理の説明は適宜省略する。
【0047】
回路装置100は、前述のステップS420でYESと判断した場合、N-1フレームの出力輝度情報とNフレームの出力輝度情報を比較する処理(ステップS440)を行う。なお、以降の説明及び図示において、N-1フレームの出力輝度情報をCD(N-1)、Nフレームの出力輝度情報をCD(N)と記載することがある。
【0048】
例えば前後フレーム比較部160は、CD(N-1)のデータとCD(N)のデータを記憶するバッファーを含み、ディザーリング処理部130からCD(N-1)のデータとCD(N)のデータを受信した後に、CD(N-1)のデータとCD(N)のデータを比較する。そして回路装置100は、CD(N-1)のデータとCD(N)のデータが同一であると判断した場合(ステップS450でYES)、第2エラー検出信号を発生する処理(ステップS460)を行い、フローを終了する。第2エラー検出信号は、前述の第1エラー検出信号と異なるエラー検出信号である。一方、回路装置100は、CD(N-1)のデータとCD(N)のデータが同一でないと判断した場合(ステップS450でNO)、フローを終了する。
【0049】
前述のステップS350が正常に機能している場合、前述のように、ディザーリング処理部130からフレーム毎に出力される出力輝度情報の値が連続して同じになることはない。つまり、ステップS440でYESと判断された場合、ディザーリングが機能していないことになり、ディザーリング処理部130に不具合が発生していることが分かる。このように、本実施形態の回路装置100において、前後フレーム比較部160は、N-1フレームの出力輝度情報と、Nフレームの出力輝度情報が同一であった場合、第2エラー検出信号を出力する。このようにすることで、ユーザーは、ディザーリングが機能できていないことを速やかに把握することができる。これにより、ユーザーは、回路装置100、表示システム200において固着が発生していることを速やかに把握することができる。
【0050】
なお、表示システム200の各機能がいずれも正常に機能する場合と、表示システム200の各機能のうちディザーリング処理部130のみが機能していない場合を比較すると、表示装置10に同一のCDの値が送信されている違いしか生じないことから、実質的に所望の明るさが継続して表示される。しかし、ディザーリング処理部130の機能を果たすプロセッサーに不具合が生じている場合、他の機能も別途不具合が生じる可能性があることを示唆するため、速やかに適切な対処をすることが望ましい。
【0051】
また、例えば第2タイミングで所定画像が表示され、当該所定画像が継続して表示される状況であるとユーザーが認識しているにも関わらず、第2タイミングの後の第3タイミングにおいて表示装置10の表示が暗くなった場合があったとする。この場合は、初期画像に切り替わったのではなく、バックライト1が点灯しなくなったことを意味するので、固着が生じていることが判断できる。また、この場合において、例えば前述の第1エラー検出信号、第2エラー検出信号が共に出力されていないときは、回路装置100の輝度情報抽出部120とディザーリング処理部130は正常に機能しているため、ユーザーは回路装置100ではなく表示装置10に不具合が生じていることを判断できる。以上のことから、本実施形態の手法を適用することで、固着が生じたときに、回路装置100と表示装置10のどちらに不具合が生じているかを迅速に見極めることができる。
【0052】
また、前述は、所定画像の色情報として、例えばRの階調値とGの階調値が0であることを前提にしていたが、所定画像の色情報としてRの階調値、Gの階調値及びBの階調値のうち少なくとも2つが0でない場合にも適用できる。この場合、ステップS200は、色成分のうち最も階調値の高い色成分の階調値を色情報として抽出すればよい。例えば所定画像からなる画像情報として例えば(R、G、B)=(250、10、10)の色情報を色情報抽出部110から受信した場合、最も高い階調値は250であることから、輝度情報11111010(=250)に設定する処理を行えばよい。このように、本実施形態の回路装置100において、輝度情報抽出部120は、色情報の複数の色成分のうちの最大輝度となる色成分に基づいて、輝度情報を抽出する。このようにすることで、複数の色成分を含む色を表示する画像情報を表示する表示装置10の光源を制御する輝度情報を適切に抽出することができる。
【0053】
また、この場合のステップS190は、画像情報に対して色味補正(ステップS100)を行った出力画像情報について、所定の座標の色成分のうち最も階調値の高い色成分の階調値の上位ビットを抽出する処理を行えばよい。なお、この場合においても、例えば画像情報の最も階調値の高い色成分の色が「明るい色」であれば、出力画像情報の最も階調値の高い色成分の色も「明るい色」と考えられるので、上位ビット比較部150に出力される上位ビットの値は1以上であることに変わりはない。
【0054】
このように、本実施形態の回路装置100において、画像色味補正部140は、出力画像情報の複数の色成分のうちの最大値となる色成分に基づいて、出力画像情報の上位ビットを上位ビット比較部150に出力する。このようにすることで、複数の色成分を含む出力画像情報の上位ビットを適切に抽出し、上位ビット比較部150に送信することができる。
【0055】
なお上記は、バックライト1を制御する光源ドライバーである処理装置3の処理ビット数と、出力輝度情報のビット数が同じ場合に適用できる例であるが、本実施形態の手法は、これに限られない。例えば、回路装置100、表示システム200を
図7に示す構成例のようにすることで、バックライト1を制御する処理装置3の処理ビット数が、出力輝度情報のビット数より高い場合にも、本実施形態の手法を適用できる。以降において、処理装置3の処理ビット数を適宜qと表記する。
図7は、
図3と比較すると、下位ビット設定部170をさらに含む点と、処理装置3を図示している点で異なる。下位ビット設定部170は、前述のプロセッサーにより実現できる。また、下位ビット設定部170は、
図1に示す回路装置100にさらに含めてもよい。また、処理装置3の処理ビット数とは、例えば処理装置3を構成するCPUが1クロックで処理できるビット数、処理装置3と回路装置100の通信における1単位分のビット数等に基づき適宜決められる。
【0056】
また、
図7の構成例の場合、
図3のディザーリング(ステップS300)は、
図8に示す処理例のようにしてもよい。回路装置100は、処理装置3の処理ビット数を確認する処理(ステップS310)を行う。具体的には例えば、回路装置100は不図示のインターフェースを含み、下位ビット設定部170は、当該インターフェースを介して、処理装置3から、処理装置3が扱うビット数に関する情報を受信する。当該インターフェースは、例えば処理装置3から「00」というパケットを含むデータを受信すると、処理装置3の処理ビット数は8ビットであると解析し、下位ビット設定部170にその旨の情報を送信する。同様に、処理装置3の処理ビット数は10ビットであれば当該パケットを「01」とし、処理装置3の処理ビット数は12ビットであれば当該パケットを「10」とし、処理装置3の処理ビット数は16ビットであれば当該パケットを「11」とする等、種々の設定を行うことができる。そして下位ビット設定部170は、処理装置3が扱うビット数(q)と、輝度情報抽出部120から送信される輝度情報のビット数(m)を比較する処理を行う。
【0057】
そして、回路装置100は、例えば処理装置3の処理ビット数(q)が、輝度情報のビット数と等しい場合(q=m)、ステップS320が行われる。ただし
図8のステップS320は、以下の点で
図3のステップS320と異なる。具体的には例えば、処理装置3の処理ビット数と輝度情報のビット数が8ビットであった場合、下位ビット設定部170は、ディザーリングのビット数kを所望のビット数に設定する処理と、輝度情報の階調値から下位のkビットを削除する処理と、削除後の輝度情報をディザーリング処理部130に送信する処理を行う。なお、
図7において、当該削除後の輝度情報をCKと表記している。q=mの場合、CKで示す値は、Cの値から下位kビットを削除した値となる。
【0058】
その後、ディザーリング処理部130は、ステップS350を行い、フローを終了する。なお、
図7においてディザーリング用のビットを付加した出力輝度情報を、CKDと表記している。
図8のステップS350は、
図3のステップS350と比較して処理の内容、処理の主体が共に共通する。一方、前述の通り、
図8のステップS320は、
図3のステップS320と比較して処理の主体が異なる。このように、本実施形態の回路装置100において、下位ビット設定部170は、輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)としたときにおいて、処理装置3の処理ビット数がmである場合、下位kビットを削除した輝度情報をディザーリング処理部130に出力する。このようにすることで、処理装置3の処理ビット数が輝度情報のビット数と等しい場合において、適切な情報量からなる輝度情報をディザーリング処理部130に送信することができる。
【0059】
回路装置100は、処理装置3の処理ビット数(q)が、輝度情報のビット数(m)、ディザーリング用のビット数(k)の和とすること(q=m+k)が妥当な場合、ステップS320を行うことなく、ステップS350を行う。具体的には、例えばq=10で、m=8であったとする。この場合、k=2とすれば、q=m+kが成立する。また、輝度情報が8ビットの場合、ディザーリング用のビットを2ビットとすることは、妥当な範囲であるから、q=m+kが成立すると下位ビット設定部170は判断する。なお、q=m+kとしたときのkが妥当な範囲でない場合については後述する。そして、下位ビット設定部170は、輝度情報抽出部120から送信された輝度情報を、そのままディザーリング処理部130に送信する処理を行う。なお、q=m+kが成立する場合、CKで示す値は、Cの値と同一の値となる。このように、本実施形態の回路装置100において、下位ビット設定部170は、輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)としたときにおいて、処理装置3の処理ビット数がm+kであった場合、下位ビットを削除することなく輝度情報をディザーリング処理部130に出力する。このようにすることで、処理装置3の処理ビット数が輝度情報のビット数とディザーリング用のビット数の和と扱える場合において、適切な情報量からなる輝度情報をディザーリング処理部130に送信することができる。
【0060】
例えば、ディザーリング処理部130が受信した輝度情報が11111010の場合、ステップS350によって、1111101000、1111101001、1111101010、1111101011という10ビットの値が、CKDで示す出力画像情報として周期的に生成されることになる。その後、ディザーリング処理部130は、処理装置3に対して当該10ビットの出力輝度情報を送信する。以上のことから、本実施形態の回路装置100は、下位ビット設定部170を、さらに含む。下位ビット設定部170は、出力輝度情報に基づいてバックライト1を制御する処理装置3の処理ビット数に応じて、輝度情報抽出部120からの輝度情報の下位ビットの設定処理を行い、設定処理後の輝度情報をディザーリング処理部130に出力する。このようにすることで、処理装置3の処理ビット数が輝度情報のビット数と異なる場合において、迅速に固着を検出することができる。
【0061】
なお、その後の上位ビット抽出(ステップS390)によって抽出される上位ビットの数は、前述の通り、ステップS190、ステップS290で抽出される上位ビットの数に合わせた数、すなわち4のままであるから、上位4ビットとして1111が送信される。言い換えれば、
図7の例においてディザーリング処理部130から上位ビット比較部150に送信される上位ビットは
図1、
図3と同様にCD1で示す値となる。
【0062】
また、本実施形態の回路装置100、表示システム200は、
図9の構成例のようにしてもよい。
図9は、
図7と比較すると、回路装置100が明暗レベル判定部180をさらに含む点で異なる。また、回路装置100、表示システム200を
図9の構成例にする場合、ディザーリング(ステップS300)は
図10の処理例のようにしてもよい。
図10は、
図8と比較すると、ステップS310から、ステップS330及びステップS340の処理がさらに分岐する点で異なる。
図9、
図10の説明において、
図1~
図8までの説明と重複する部分は適宜省略する。
【0063】
回路装置100は、ステップS310において、q=m+kで表すことができず、q=m+k+p(pは1以上の整数)として表すことができる場合、明暗レベル判定を判定する処理(ステップS330)と、判定結果に応じたpビットの値を輝度情報の下位に付加する処理(ステップS340)を行った後、前述のステップS350を行う。具体的には、例えばq=12でm=8の場合、q=m+kで表すにはk=4となる。しかし、輝度情報が8ビットに対して、ディザーリング用のビット数としての4ビットは大き過ぎることから、妥当ではない。そこで例えばk=2、p=2とすることで、q=m+k+pとして表すことが妥当であると判断する。
【0064】
明暗レベル判定(ステップS330)は、輝度情報に基づく光が「明るい光」であるか、「暗い光」かあるかを判断する。より具体的には、明暗レベル判定部180は、輝度情報抽出部から、輝度情報の上位m/2ビット、つまり
図1で前述したC1の値を受信し、当該C1の値が1以上であるか否かを判断し、その結果を下位ビット設定部170に送信する。
【0065】
ここで、
図11のグラフを用いて、上位m/2ビットから明暗レベルを判定できるメカニズムについて説明する。規格化した明るさを縦軸として、横軸を輝度情報とした場合、光源から出力される明るさは階調値に比例するので、明るさと輝度情報の関係は例えばF1に示す直線状の関係となる。一方、ウェーバーフェヒナーの法則から、人間の明るさの感覚と輝度情報の間には、F2に示す対数関数的な関係となることが知られている。そして、F2のグラフにおいて、輝度情報をH1としたときの、人間の明るさの感覚の規格値をH2とする。例えば、横軸の輝度情報を8ビットとした場合、H2=0.5とすると、H1は概ね4ビット付近となる。つまり、8ビットからなる輝度情報の上位4ビットの値が1以上の場合、
図11のグラフにおいて縦軸は0.5よりも大きくなる。つまり、
図11のグラフの縦軸が0.5よりも高い光が明るい光であると、人間が認識できる前提が成立する場合、8ビットからなる輝度情報において、上位4ビットの値が1以上の輝度情報に基づく光は「明るい光」であると、人間は認識できる。同様に、例えば10ビットからなる輝度情報の上位5ビットの値が1以上の輝度情報に基づく光は、明るい光であると人間は認識することができる。
【0066】
このように、mビットの輝度情報において、上位m/2ビットの値が1以上あるか0であるかを判断することで、当該輝度情報に基づく光源の光が「明るい光」か「暗い光」かを判断できる。この手法は
図3で前述した、ステップS190、ステップS290の上位ビットのビット数についても適用できる。なお、本実施形態においてmが奇数であってもよいが、mは偶数の場合本実施形態の手法の適用が容易になる。すなわち、本実施形態の回路装置100において、輝度情報の上位ビットは、輝度情報のビット数をm(mは2以上の偶数)としたとき、mビットのうちの上位m/2ビットである。このようにすることで、輝度情報の上位ビットの範囲を適切に設定することができる。なお、
図11のグラフの縦軸が0.6よりも高い光が明るい光であると人間が認識できる前提に立てば、8ビットからなる輝度情報において、上位3ビットの値が1以上の輝度情報に基づく光は「明るい光」であると、人間は認識できる。
【0067】
ステップS340は、例えばステップS330で判定した輝度情報が「明るい光」に基づく輝度情報である場合、輝度情報の下位ビットに全て1の値を付加する。例えば、q=12、m=8、k=2、p=2と設定され、下位ビット設定部170が明暗レベル判定部180から「明るい光」である旨の情報を受信し、輝度情報抽出部120から11111111(=255)の輝度情報を受信したとする。この場合、当該輝度情報に「11」を付加して1111111111(=1024)として、ディザーリング処理部130に送信する。このようにすることで、当該輝度情報は、「明るい光」の情報であることを明確にできる。
【0068】
一方、例えばステップS330で判定した輝度情報が「暗い光」に基づく輝度情報である場合、ステップS340において、下位ビット設定部170は、輝度情報の下位ビットに全て0の値を付加する。例えば、q=12、m=8、k=2、p=2と設定され、下位ビット設定部170が明暗レベル判定部180から「暗い光」である旨の情報を受信し、輝度情報抽出部120から00000000(=0)の輝度情報を受信したとする。この場合、当該輝度情報に「00」を付加して0000000000(=0)とする。このようにすることで、当該輝度情報は、「暗い光」の情報であることを明確にできる。
【0069】
その後、図示はしていないが、下位ビット設定部170は、pビットの値を下位に付加した輝度情報を、ディザーリング処理部130に送信する処理を行う。なお、
図9の例において、下位ビット設定部170からディザーリング処理部130に送信する輝度情報をCQと表記する。q=m+k+pが成立する場合、CQの値は、Cで示す輝度情報の下位pビットを付加した値となる。他の場合は、CQの値は
図7のCKの値と同様である。
【0070】
その後、回路装置100は、ステップS350を行い、フローを終了する。例えばCQで示す輝度情報を受信したディザーリング処理部130は、ディザーリング用のビットである2ビットを当該輝度情報に付加することにより、12ビットの出力輝度情報として、処理装置3に送信する。なお、
図9においてディザーリング用のビットを付加した出力輝度情報を、CQDと表記している。なお、
図9の例において、その後の上位ビット抽出(ステップS390)により上位ビット比較部150に送信される上位ビットはCD1で示す値となることは、
図7の例と同様である。
【0071】
以上のことから、本実施形態の回路装置100は、輝度情報に基づいて画像情報の明暗を判定する明暗レベル判定部180をさらに含む。また、下位ビット設定部170は、輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)、処理ビット数をm+k+p(pは1以上の整数)としたとき、明暗レベル判定部180による判定結果に応じたビット数pの下位ビットを輝度情報に付加する。このようにすることで、処理装置3の処理ビット数が輝度情報のビット数とディザーリング用のビット数の和より大きくなる場合において、適切な情報量からなる輝度情報をディザーリング処理部130に送信することができる。
【0072】
また、本実施形態の手法は、上記に限られない。例えば表示装置10を複数のエリアARに分割し、分割したエリアAR毎に本実施形態の手法を適用してもよい。例えば、
図12において、バックライト1は光源LS11、光源LS12、光源LS13、光源LS14、LS21、光源LS22、光源LS23、光源LS24、光源LS31、光源LS32、光源LS33、光源LS34、LS41、光源LS42、光源LS43及び光源LS44を含む。つまり、各光源LS11~光源LS44の配置に対応するように、表示装置10の表示エリアを分割して本実施形態の手法を適用してもよい。なお、説明を単純化するため、バックライト1、電気光学パネル5、表示装置10のエリアの面積は同一であるものとする。また、光源LS11に対応する表示エリアをエリアAR11とする。つまり表示装置10の表示エリアは、エリアAR11、エリアAR12、エリアAR13、エリアAR14、エリアAR21、エリアAR22、エリアAR23、エリアAR24、エリアAR31、エリアAR32、エリアAR33、エリアAR34、エリアAR41、エリアAR42、エリアAR43、エリアAR44に分割することができる。なお、
図12では方向D1に沿って4個、方向D2に沿って4個の光源が配置されているものとするが、あくまでも例示である。また、エリアARは回路装置100における処理に用いられるものであり、電気光学パネル5に実際に表示される表示画像においてエリアARの境界があるわけではない。また、本実施形態では、光源の光強度分布は考慮しないものとする。
【0073】
例えば、表示システム200が自動車用途である場合、
図13に示すような画像情報を、所定のデバイスは回路装置100へ出力する。
図13の点線で示す各領域は、
図12のエリアAR11~エリアAR44に対応する。画像情報はK0で示す実線内である、K1に示す領域の各画素の情報であり、例えばK2で示すメーター画像、K3、K4で示す警告灯の画像を含む。なお表示を分かりやすくするため、色はつけていないが、K2、K3、K4で示す画像以外の領域は、初期画像としての黒色((R、G、B)=(0、0、0))である。また、K2で示すメーターの画像は白((R、G、B)=(255、255、255))であるものとする。また、K3で示す警告灯の画像は黄色((R、G、B)=(255、255、0))であり、K4で示す警告灯の画像は赤色((R、G、B)=(255、0、0))であるものとする。
【0074】
例えば、表示システム200を含む所定の機器が起動すると、初期画像とK2に示すメーター画像を重畳した画像情報を、所定のデバイスは回路装置100へ出力する。そして回路装置はエリアAR11~AR44毎に、
図2の処理を行う。例えばエリアAR11には、黒の初期画像((R、G、B)=(0、0、0))しか表示されていないので、前述と同様に、輝度情報は0となり、0に基づくディザーリング用のビットを付加した出力輝度情報が処理装置3に送信される。これにより、エリアAR11の光源LS11は実質的に点灯していない状態となる。エリアAR12、エリアAR13、エリアAR14、エリアAR21、エリアAR24、AR31、エリアAR34、エリアAR41、エリアAR42、エリアAR43、エリアAR44も同様である。一方、エリアAR22、エリアAR23、エリアAR32、エリアAR33は、白((R、G、B)=(255、255、255))のメーター画像が含まれていることから、色情報抽出(ステップS20)で色情報として255を抽出する。これにより、輝度情報抽出(ステップS200)によって抽出される輝度情報は255となり、当該輝度情報に基づきディザーリング(ステップS300)を経て、出力輝度情報が表示装置10に送信される。これにより、光源LS22、光源LS23、光源LS32、光源LS33は点灯する。以上のことから、本実施形態の回路装置100において、輝度情報抽出部120は、電気光学パネル5の複数のエリアARにおけるエリアAR毎に、色情報から輝度情報を抽出する。このようにすることで、表示装置10を区分したエリアARごとに輝度情報を把握できる。
【0075】
また、エリアAR22、エリアAR23、エリアAR32及びエリアAR33の画像情報に対して色味補正(ステップS100)が行われる。つまり、エリアAR22、エリアAR23、エリアAR32及びエリアAR33においては、メーター画像として白色の色味を出す制御が行われる。また、光源LS22、光源LS23、光源LS32及び光源LS33について固着が発生していないかを確認するため、画像色味補正部140から上位ビット比較部150にAγ1の値が出力される。このように、本実施形態の回路装置100において、画像色味補正部140は、電気光学パネル5の複数のエリアARにおけるエリアAR毎に、出力画像情報の上位ビットを、上位ビット比較部150に出力する。このようにすることで、表示装置10を区分したエリアARごとに出力画像情報を把握できる。
【0076】
また、例えばK3に示す警告灯に関する事象を検知した場合、所定のデバイスは、K3の画像を付加した画像情報を回路装置100に送信する。これにより、エリアAR12には、色情報抽出(ステップS20)により明るい色を含む色情報が抽出され、輝度情報抽出(ステップS200)により明るい光の輝度情報が抽出され、ディザーリング(ステップS300)により、明るい光に基づく出力輝度情報が表示装置10に送信される。これにより、光源LS12は点灯し、ユーザーはエリアAR12においてK3に示す黄色の警告灯を明確に認識できる。また、固着が生じた場合、ユーザーはK3に示す黄色の警告灯が認識できなくても、本実施形態の手法により、速やかに当該警告灯に関する事象を認識することができる。これにより、ユーザーは当該警告灯に関する事態に対して迅速かつ適切に対処できる。
【0077】
同様に、K4に示す警告灯に関する事象を検知した場合、ユーザーはエリアAR13においてK4に示す赤色の警告灯を明確に認識できる。また、固着が生じた場合、ユーザーはK4に示す赤色の警告灯が認識できなくても、本実施形態の手法により、速やかに当該警告灯に関する事象を認識することができる。これにより、ユーザーは当該警告灯に関する事態に対して迅速かつ適切に対処できる。
【0078】
なお、本実施形態の表示システム200は、別の構成を追加する等の変形実施が可能である。例えば、図示は省略するが、表示システム200はさらに歪み補正ICを含めてもよい。この場合、所定のデバイスによって生成された画像情報に対して、当該歪み補正ICによって歪み補正を行った、歪み補正後の画像情報が、回路装置100に送信される。この場合、前述の
図13の画像情報は、例えば
図14に示すような画像情報として回路装置100に送信される。K0に示す画像情報の外形はK10に示すように歪んだ形状となる。同様に、K2に示すメーター画像はK12に示す形状となり、K3に示す警告灯画像はK13に示す形状となり、K4に示す警告灯画像はK14に示す形状となる。このようにすることで、例えば不図示のミラー、透明スクリーン等を組み合わせることでHUDを構成し、当該透明スクリーンにおいて適切な形状からなる画像を投影することができる。透明スクリーンは例えば自動車のフロントガラスである。
【0079】
なお、
図14において、例えばK12に示す画像がエリアAR22、エリアAR23、エリアAR32及びエリアAR33に配置される点は、
図13のK2に示す画像と同様である。同様に、K13に示す画像がエリアAR12に配置される点は、
図13のK3に示す画像と同様である。同様に、K14に示す画像がエリアAR13に配置される点は、
図13のK4に示す画像と同様である。そのため、
図13の画像情報を
図14の画像情報に変更しても、固着の有無の確認が必要なエリアは変更されない。ただし、歪み補正によって、画像の配置が変更される可能性は有り、その場合は、固着の有無の確認が必要なエリアは適宜変更される。
【0080】
以上に説明したように、本実施形態の回路装置は、バックライトと電気光学パネルとを有する表示装置を制御し、色情報抽出部と、輝度情報抽出部と、ディザーリング処理部と、画像色味補正部と、上位ビット比較部と、を含む。色情報抽出部は、画像情報から色情報を抽出する。輝度情報抽出部は、色情報に基づいて、バックライトの輝度を制御する輝度情報を抽出する。ディザーリング処理部は、輝度情報の下位ビット側にディザーリング用のビットを付加し、付加後の輝度情報を出力輝度情報として表示装置に出力する。画像色味補正部は、画像情報の色味を補正し、補正後の画像情報を出力画像情報として表示装置に出力する。上位ビット比較部は、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報の上位ビットを比較する。
【0081】
このように本実施形態の回路装置において、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報に対応する上位ビットを比較することにより、固着が発生しているか否かを適切なタイミングで検出することができる。
【0082】
また本実施形態では、上位ビット比較部は、輝度情報の上位ビット、出力輝度情報の上位ビット及び出力画像情報の上位ビットを比較した結果が不一致であったとき、第1エラー検出信号を出力してもよい。
【0083】
このようにすることで、ユーザーは固着が発生したことを迅速に認識することができる。
【0084】
また本実施形態では、Nを2以上の整数としたとき、N-1フレームの出力輝度情報と、Nフレームの出力輝度情報とを比較する前後フレーム比較部を、さらに含んでもよい。
【0085】
このようにすることで、フレームの更新タイミングごとに、固着が発生したか否かを把握することができる。
【0086】
また本実施形態では、前後フレーム比較部は、N-1フレームの出力輝度情報と、Nフレームの出力輝度情報が同一であった場合、第2エラー検出信号を出力してもよい。
【0087】
このようにすることで、ユーザーは、ディザーリングが機能できていないことを速やかに把握することができる。
【0088】
また本実施形態では、輝度情報抽出部は、色情報の複数の色成分のうちの最大輝度となる色成分に基づいて、輝度情報を抽出してもよい。
【0089】
このようにすることで、複数の色成分を含む色を表示する画像情報を表示する表示装置の光源を制御する輝度情報を適切に抽出することができる。
【0090】
また本実施形態では、画像色味補正部は、出力画像情報の複数の色成分のうちの最大値となる色成分に基づいて、出力画像情報の上位ビットを上位ビット比較部に出力してもよい。
【0091】
このようにすることで、画像色味補正部は、複数の色成分を含む出力画像情報の上位ビットを適切に抽出し、上位ビット比較部に送信することができる。
【0092】
また本実施形態では、輝度情報抽出部は、電気光学パネルの複数のエリアにおけるエリア毎に、色情報から輝度情報を抽出してもよい。
【0093】
このようにすることで、表示装置を区分したエリアごとに輝度情報を把握できる。
【0094】
また本実施形態では、画像色味補正部は、電気光学パネルの複数のエリアにおける前記エリア毎に、出力画像情報の上位ビットを上位ビット比較部に出力してもよい。
【0095】
このようにすることで、表示装置を区分したエリアごとに出力画像情報を把握できる。
【0096】
また本実施形態では、輝度情報の上位ビットは、輝度情報のビット数をm(mは2以上の偶数)としたとき、mビットのうちの上位m/2ビットであってもよい。
【0097】
このようにすることで、輝度情報の上位ビットの範囲を適切に設定することができる。
【0098】
また本実施形態では、出力輝度情報に基づいてバックライトを制御する処理装置の処理ビット数に応じて、輝度情報抽出部からの輝度情報の下位ビットの設定処理を行い、設定処理後の輝度情報をディザーリング処理部に出力する下位ビット設定部を、さらに含んでもよい。
【0099】
このようにすることで、処理装置の処理ビット数が輝度情報のビット数と異なる場合において、迅速に固着を検出することができる。
【0100】
また本実施形態では、下位ビット設定部は、輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)としたときにおいて、処理装置の処理ビット数がmである場合、下位kビットを削除した輝度情報をディザーリング処理部に出力してもよい。
【0101】
このようにすることで、処理装置の処理ビット数が輝度情報のビット数と等しい場合において、適切な情報量からなる輝度情報をディザーリング処理部に送信することができる。
【0102】
また本実施形態では、下位ビット設定部は、輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)としたときにおいて、処理装置の処理ビット数がm+kであった場合、下位ビットを削除することなく輝度情報をディザーリング処理部に出力してもよい。
【0103】
このようにすることで、処理装置の処理ビット数が輝度情報のビット数とディザーリング用のビット数の和と扱える場合において、適切な情報量からなる輝度情報をディザーリング処理部に送信することができる。
【0104】
また本実施形態では、輝度情報に基づいて画像情報の明暗を判定する明暗レベル判定部を、さらに含んでもよい。また、下位ビット設定部は、輝度情報のビット数をm(mは2以上の整数)、ディザーリング用のビットのビット数をk(kは1以上の整数)、処理ビット数をm+k+p(pは1以上の整数)としたときにおいて、明暗レベル判定部による判定結果に応じたビット数pの下位ビットを輝度情報に付加してもよい。
【0105】
このようにすることで、処理装置の処理ビット数が、輝度情報のビット数とディザーリング用のビット数の和より大きくなる場合において、適切な情報量からなる輝度情報をディザーリング処理部に送信することができる。
【0106】
また本実施形態の表示システムは、上記に記載された回路装置と、表示装置を含む。
【0107】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また回路装置、表示システム等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0108】
1…バックライト、3…処理装置、5…電気光学パネル、10…表示装置、100…回路装置、110…色情報抽出部、120…輝度情報抽出部、130…ディザーリング処理部、140…画像色味補正部、150…上位ビット比較部、160…前後フレーム比較部、170…下位ビット設定部、180…明暗レベル判定部、200…表示システム、AR,AR11,AR12,AR13,AR14,AR21,AR22,AR23,AR24,AR31,AR32,AR33,AR34,AR41,AR42,AR43,AR44…エリア、LS11,LS12,LS13,LS14,LS21,LS22,LS23,LS24,LS31,LS32,LS33,LS34,LS41,LS42,LS43,LS44…光源