(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035943
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】間仕切
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20240308BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20240308BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
E05D15/00 A
E05D15/06 105
E05D15/06 121
E04B2/74 561E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140588
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 りほ
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】下村 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 和希
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BA01
2E034BD01
2E034CA15
(57)【要約】
【課題】方向転換がスムーズで、かつ直進性も良好な間仕切を提供する。
【解決手段】間仕切20は、間仕切本体30の上端部にガイドレール5に沿って案内される一対の案内手段10、10を有するとともに、下端部の中央部に床面Fを走行可能な車輪12を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切本体の上端部にガイドレールに沿って案内される一対の案内手段を有するとともに、下端部の中央部に床面を走行可能な車輪を備えることを特徴とする間仕切。
【請求項2】
前記車輪は、車軸に二つの車輪単体が取り付けられた双輪構造であることを特徴とする請求項1に記載の間仕切。
【請求項3】
前記間仕切本体が枠状フレームを備え、該枠状フレームの下部フレームの中央部に前記双輪が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の間仕切。
【請求項4】
前記前記二つの車輪単体の離間寸法は、前記間仕切本体の厚さよりも若干大とされ、かつ前記車軸は前記下部フレームより上方に位置していることを特徴とする請求項3に記載の間仕切。
【請求項5】
前記二つの車輪単体と前記車軸及び該車軸の取付部材は予め組み付けられてユニット化され、前記取付部材により前記車軸を含む前記双輪全体が前記下部フレームの上面に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の間仕切。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端部がガイドレールに沿って移動可能に案内される間仕切に関する。
【背景技術】
【0002】
空間を仕切る間仕切において上端部がガイドレールに沿って移動可能なものとしては、例えば特許文献1に記載されているような移動間仕切装置がある。この移動間仕切装置は、部屋の対向する壁面と直交するように天井に架設されたガイドレールにより複数の間仕切の上端部を一対のローラを介して支持するとともに、下端部に設けた左右一対のキャスタを床面に沿って走行させることにより、複数の間仕切により室内空間を仕切ることができるようになっている。また、ガイドレールと連続して交差するように壁面側に架設された平面視コ字状の収納用ガイドレールに、複数の間仕切を1枚ずつ直角に方向転換させて収納することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7001467号公報(第1図、第4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている間仕切は、下端部に一対のキャスタが設けられているので、収納用ガイドレールからガイドレール側へ、またその反対側への方向転換をスムーズに行うことができる。しかしながら、キャスタは垂直軸回りに自在に回転するため、複数の間仕切ルをガイドレールに沿って直線状に連接する際の直進性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、方向転換がスムーズで、かつ直進性も良好な間仕切を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の間仕切は、
間仕切本体の上端部にガイドレールに沿って案内される一対の案内手段を有するとともに、下端部の中央部に床面を走行可能な車輪を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、間仕切本体の下端部の中央部に車輪が設けられ、かつ床面に対し一箇所で接触するので、間仕切の方向転換がスムーズに行われる。
【0007】
前記車輪は、車軸に二つの車輪単体が取り付けられた双輪構造であることを特徴としている。
この特徴によれば、間仕切の直進性がよくなる。
【0008】
前記間仕切本体が枠状フレームを備え、該枠状フレームの下部フレームの中央部に前記双輪が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、間仕切本体の軽量化が可能となり、車輪を介して床面に加わる荷重が軽減されるので、間仕切の方向転換がよりスムーズに行われる。
【0009】
前記前記二つの車輪単体の離間寸法は、前記間仕切本体の厚さよりも若干大とされ、かつ前記車軸は前記下部フレームより上方に位置していることを特徴としている。
この特徴によれば、車輪単体間に間仕切本体の下部フレームが挿入可能となり、かつ車軸は下部フレームより上方に位置しているので、間仕切本体のデザインを変えることなく双輪の車輪単体を大径として走行性を向上させることができる。
【0010】
前記二つの車輪単体と前記車軸及び該車軸の取付部材は予め組み付けられてユニット化され、前記取付部材により前記車軸を含む前記双輪全体が前記下部フレームの上面に取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、車輪の取り付けや交換作業等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例の間仕切を備える移動間仕切装置の斜視図である。
【
図3】
図1のA部を斜め下方より見た拡大斜視図である。
【
図4】
図1のB部を斜め下方より見た拡大斜視図である。
【
図5】同じくB部において移動パネルを支柱を挟んで対向する反対側のガイドレールに表裏が反転するように移動させる際の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の間仕切を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0013】
実施例に係る間仕切につき、
図1から
図9を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施例の間仕切20は移動間仕切装置でもある空間構造体1に使用されるものである。
【0014】
図1に示されるように、本実施例の空間構造体1は、オフィスや展示場等の広い室内空間を方形に区画するために床面Fに自立させて設置されるものであり、ミーティングや業務スペースなどに使用される。
【0015】
空間構造体1は、床面Fに自立させて設置されるフレーム体2を備えている。フレーム体2は、天井面よりも低い上下寸法の前後左右に所定間隔おきに並ぶ6本の支柱3と、各支柱3の上端部同士を平面視「日」形状をなすように直角に連結している前後左右7本のビーム4と、を備えている。支柱3及びビーム4は、例えば、アルミニウム材等の押出し成形によって製作されている。
【0016】
図2に示されるように、各ビーム4の下端部に形成された下向き凹状の下面には、下端が内向き対向状に折曲された下向きコ字状断面のガイドレール5が複数のネジ6により固定されている。ガイドレール5は、例えば、アルミニウム材等の押出し成形によって製作され、前方の左右方向に延びる2本のガイドレール5と前後方向に延びる3本のガイドレール5の長さは、後述するブリッジレール13を接続するためにビーム4の全長よりも所要寸法短かく形成されている(
図3、
図4参照)。尚、各ビーム4の長さ方向の両側面は、ガイドレール5の両側面と共にカバー部材7,7により覆われているが、このようなカバー部材7は省略することもできる。
【0017】
図1に示されるように、支柱3を挟んで対向する前方の左右方向に延びる2本のガイドレール5、5には、間仕切20が移動可能に支持されている。すなわち、
図2に示されるように、間仕切20の枠フレーム21の上面に上下方向を向く左右一対の支持軸21aの下端を固着し、両支持軸21aの上端部に水平回転自在に取り付けられた案内手段としてのガイドローラ10を、ガイドレール5内に転動可能に嵌挿することにより、間仕切20はガイドレール5に沿って移動可能に支持されている。
【0018】
また、間仕切20の枠フレーム21の下面の幅方向の中央部には、移動時に床面Fに接して回転する車輪12が取り付けられている。このように間仕切20は、床面Fから上方のガイドレール5にかけて延設され、上部に設けられた両支持軸21aのガイドローラ10がガイドレール5により移動案内されるとともに、下部に設けられた車輪12が床面F上を転動可能に設けられている。尚、
図1において、間仕切20は2個のみ図示されているが、3個以上の複数の間仕切20が設けられていてもよい。
【0019】
フレーム体2の前側の左方のコーナー部(
図1のA部)のガイドレール5、5、すなわち支柱3に2方向からL字状に直角に接続された2本のビーム4、4に取り付けた隣り合うガイドレール5、5の交差方向の終端には、ガイドレール5と同じ断面形状の直線形状のブリッジレール13の両端が、平面視及び底面視において45度をなすように、かつガイドレール5、5と連続するように架設されている。ブリッジレール13の両端部の上面は、ビーム4の下面にネジ14により固定されている。隣り合うカバー部材7、7の下端部は、ブリッジレール13が挿通されるように切り欠かれている。尚、右方のL字交差部のガイドレール5にも同様のブリッジレール13が架設されている。
【0020】
また、フレーム体2の前側中央部のT字交差部(
図1のB部)の3本のガイドレール5、すなわち、支柱3に3方向から直角に接続された各ビーム4に取り付けられた隣り合う3本のガイドレール5の交差方向の終端にも、上記と同様のブリッジレール13、13の両端が、平面視及び底面視において45度をなすように、かつ3本のガイドレール5と連続するように架設されている。
【0021】
図3及び
図4に示されるように、ビーム4のL字交差部とT字交差部のガイドレール5にブリッジレール13が架設されているため、間仕切20は、ブリッジレール13を介して左右方向を向くビーム4から前後方向を向くビーム4側に、支柱3を迂回して移動させることができる。これにより、間仕切20前方から後方に変更して、後述する板状機能部品を使用することができるようになっている。
【0022】
また、
図5に示されるように、右側の間仕切20を
図1のB部のT字交差部側に移動させ、右方のブリッジレール13を介して、前後方向に延びるガイドレール5側に一旦移動させた後、左方のブリッジレール13を介して対向する反対側のガイドレール5側に、スイッチバックして移動させると、間仕切20が180度回転して表面と裏面を反転させることができ、板状機能部品の両面が使用可能となる。
【0023】
次に、間仕切20の構成を詳細に説明する。間仕切20は、枠フレーム21と枠フレーム21内の上部に設けられた正面視略矩形状のフェルトスクリーン(板状機能部品)11と、枠フレーム21の下部に設けられたパネル52と、から主に構成され、枠フレーム21の上端部に幅方向に離間して設けられた案内手段としての一対のガイドローラ10、10がガイドレール5に沿って移動可能となっており、かつ枠フレーム21の下端部の幅方向の中央部に設けられた車輪12により床面Fに荷重が支持されている。車輪12は間仕切20の移動時に床面Fに接して回転するようになっている。枠フレーム21と枠フレーム21内に設けられた正面視略矩形状のフェルトスクリーン(板状機能部品)11は間仕切本体30を構成している。
【0024】
図6~
図9に示されるように、上述した車輪12は、間仕切本体30の移動方向と直交する方向(間仕切本体30の厚さ方向)を向く車軸31と、その両端部に二つの車輪単体120a、120aが取り付けられた双輪構造であり、車輪12は取付部材32により枠フレーム21の縦フレーム部22a、22aの下部間を連結する横フレーム部22bの上面122bに取り付けられている(詳細は後述する)。車輪単体120aは、例えば合成樹脂やアルミニウム等の軽金属により比較的大径に形成され、両側面に複数のリブを突設することにより補強されている。
【0025】
車輪12は次のようにして予め組み付けられている。
図6~
図9を参照し、まず、一端に拡径部を有する車軸31を、一方の車輪単体120aの中心の段付孔120bに外方から嵌挿し、車軸31の中間部を、取付部材32に嵌合された軸受(転がり軸受)33と、その両側の一対の円筒状のスペーサ34、34を介して回転自在に支持する。
【0026】
次いで、他方の車輪単体120aの段付孔120bに車軸31の他端部を嵌挿し、車軸31の端面に形成された雌ねじ孔(図示略)にワッシャ付きねじ35を螺合する。これにより、二つの車輪単体120a、120a、車軸31、取付部材32及び一対のスペーサ34が一体的に組み付けられユニット化されている。車輪単体120a、120aは車軸31と一体的に回転するようになっている。また、車輪単体120a、120aは、それらの離間寸法が間仕切本体30の厚さ(車軸31の軸方向寸法)よりも若干大となるように組み付けられている。
【0027】
図8に示されるように、取付部材32の一対の固定部32a、32aに形成された取付孔に上方より挿入した六角孔付きねじ39、39を、横フレーム部22bの上面板状部122bの幅方向の中央部に形成された雌ねじ孔(図示略)に螺合することにより、車輪12は、その車軸31が横フレーム部22bの上方に位置するようにして横フレーム部22bの中央部上面に着脱可能に固定されている。
【0028】
以上説明したように、実施例に係る間仕切20においては、間仕切本体30の下端部の中央部に車輪12が設けられ、かつ床面Fに対し一箇所で接触するので、間仕切20を方向転換させる際の移動がスムーズに行われる。
【0029】
特に、間仕切20をブリッジレール13を介して左右方向を向くビーム4から前後方向を向くビーム4側に、支柱3を迂回して移動させる際には、ビーム4のガイドレール5及びブリッジレール13の延設方向と間仕切20の移動方向が異なり、車輪12は床面Fに対して摺接されることになるため、床面Fに対し一箇所で接触する構成としたことで、摩擦抵抗を減らし、方向転換をスムーズに行うことができる。また、間仕切20を180度反転させる移動を行う場合においても、摩擦抵抗を減らし、反転操作をスムーズに行うことができる。
【0030】
また、車輪12は双輪構造であるので、間仕切20をガイドレール5及びブリッジレール13に沿って移動させる際の直進性が良好となり、複数の間仕切20を直線状に揃えて連接することができる。
【0031】
さらに、間仕切本体30は中空状の枠フレーム21を備え、この枠フレーム21の下部の横フレーム部22bの中央部に車輪12が設けられているので、間仕切本体30の軽量化が可能となり、車輪12を介して床面Fに加わる荷重が軽減されるので、間仕切20の方向転換がよりスムーズに行われる。
【0032】
さらに、車輪単体120a、120aの離間寸法は、間仕切本体30の厚さよりも若干大とされ、かつ車軸31が横フレーム部22bよりも上方に位置しているので、車輪単体120a、120aが間仕切本体30の下端部と干渉することはなく、従って間仕切本体30のデザインを変えることなく車輪単体120aを大径として走行性を向上させることができる。
【0033】
さらに、二つの車輪単体120a、車軸31、車軸31の取付部材32、及び一対のスペーサ34が予め組み付けられて車輪12がユニット化され、かつ取付部材32により車軸31を含む車輪12全体が横フレーム部22bの上面板状部122bに取り付けられるので、車輪12の取り付けや交換作業等を容易に行うことができる。
【0034】
また、
図9に示されるように、枠フレーム21の下部に設けられたパネル52の下端部が、車輪単体120a、120a間の上半部に挿入されているため、車輪12とパネル52との外観上の一体感を演出でき、大径の車輪12も空間の区画構成として機能させることができる。さらに、車輪12とパネル52との間に手や足が入りにくく、挟んで怪我をすることを防止できる。
【0035】
さらにまた、車輪12の直径は横フレーム部22bの高さ寸法よりも十分に大きい、具体的には3倍以上の長さである。これにより、1つの車輪12のみを利用して、間仕切20を安定して走行させることができる。
【0036】
また、車輪12は大径である、具体的には、直径は横フレーム部22bの長さ寸法の1/10よりも十分に長い。これにより、1つの車輪12のみを利用して、間仕切20を安定して走行させることができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0038】
例えば、前記実施例では、車輪12を双輪構造としているが、単輪とすることもある。この場合には、単輪を横フレーム部22bに設ければよい。
【0039】
また、前記実施例では、車軸31の中間部を軸受33により支持しているが、上下寸法の比較的小さな軽量の間仕切20については、軸受33を省略して車軸31の中間部を取付部材32により直接回転自在に支持するようにしてもよい。
【0040】
さらに、前記実施例では、車輪12の車輪単体120a、120aは車軸31と一体的に回転するものとしているが、両車輪単体120aを車軸31の両端部に、軸受を介して(または軸受を介さずに)回転自在に支持するようにしてもよい。