(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035948
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】建材パネルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
E04B2/74 541G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140595
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】596066482
【氏名又は名称】明正工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】永上 修一
(72)【発明者】
【氏名】上野 宏伸
(72)【発明者】
【氏名】辻 和由
(57)【要約】
【課題】外観性が良好であり安定した品質の建材パネルを得ることができる建材パネルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】サンドイッチ構造のパネル10を準備する工程と、パネル10に、コンセントボックス100を設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、コンセントボックス設置箇所における面材11および芯材12を加工して、コンセントボックス設置部60を設ける工程と、パネル10の芯材12が露出する端部を加工して、当該端部の一端からコンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部70を設ける工程と、コンセントボックス設置部60にコンセントボックス100を設置する工程と、配線管設置部70に配線管200を設置する工程と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の面材の間に芯材が配置されたサンドイッチ構造の建材パネルを準備する工程と、
前記建材パネルに、コンセントボックスを設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、
前記コンセントボックス設置箇所における前記面材および前記芯材を加工して、コンセントボックス設置部を設ける工程と、
前記建材パネルの前記芯材が露出する端部を加工して、当該端部の一端から前記コンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部を設ける工程と、
前記コンセントボックス設置部にコンセントボックスを設置する工程と、
前記配線管設置部に配線管を設置する工程と、を備えることを特徴とする建材パネルの製造方法。
【請求項2】
対向する一対の面材の間に芯材が配置され、互いに接合されるサンドイッチ構造の建材パネルを2枚準備する工程と、
2枚の前記建材パネルが接合された状態で、当該2枚の前記建材パネルのそれぞれに接合目地をまたがる状態でコンセントボックスを設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、
2枚の前記建材パネルを分離した状態で、これら建材パネルのそれぞれの前記コンセントボックス設置箇所における前記面材および前記芯材を加工して、コンセントボックス設置部をそれぞれの前記建材パネルに設ける工程と、
2枚の前記建材パネルのうちの少なくとも一方の建材パネルの、前記芯材が露出する端部を加工して、当該端部の一端から前記コンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部を設ける工程と、
2枚の前記建材パネルを接合して、前記コンセントボックス設置部を設ける工程と、
前記コンセントボックス設置部にコンセントボックスを設置する工程と、
前記配線管設置部に配線管を設置する工程と、を備えることを特徴とする建材パネルの製造方法。
【請求項3】
前記建材パネルは、前記一対の面材に、平板状の前記芯材が接着剤で接合されて作製されることを特徴とする請求項1または2に記載の建材パネルの製造方法。
【請求項4】
対向する一対の面材の間に芯材が配置され、互いに接合されて壁を構成するサンドイッチ構造の建材パネルであって、
所定箇所にコンセントボックスが設置され、
接合する相手の前記建材パネルに接合される接合端部に、当該接合端部の一端から前記コンセントボックスに近接する位置まで延びる配線管が設置されていることを特徴とする建材パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材パネルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば建物の内壁や間仕切り壁を、複数のパネルを接合して構築する場合がある。この種のパネルとしては、薄い金属板からなる一対の面材の間に、所定の特性を有する芯材を配置したサンドイッチ構造のパネル(金属サンドイッチパネル)が知られている(特許文献1等)。芯材としては、ウレタンやイソシアヌレート、フェノール等の発泡樹脂が適用されるものがある。
【0003】
一方、パネルに電源としてのコンセントボックスを設置したものが供給されている。芯材が発泡樹脂で、コンセントボックスを設置する場合、2枚の面材の間に、コンセントボックスと、このコンセントボックスに外部から接続する配線を通すための配線管を位置決めして配置し、この後、2枚の面材の間に樹脂を発泡させて芯材を成形し、コンセントボックスと配線管を芯材中に設置している。このように予めコンセントボックスを設置したパネルは、医療・医薬向け等のクリーンルーム、あるいは半導体製造用等の工業用クリーンルームの内壁や間仕切り壁等の、超高度のクリーン度が求められるクリーンルームの壁材として、近年では需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにして製造されるコンセントボックス付きのパネルにおいては、発泡する樹脂の流動性がコンセントボックスや配線管によって阻害され、2枚の面材の間に発泡樹脂を十分に充満させることができず、結果として内部にボイドが生じる場合がある。このようなパネルは、薄い面材がボイドの影響を受けて表面に凹凸が生じてしまい、平坦な状態が得られず外観性が損なわれ品質に劣るため、改善の余地があった。そこで本発明は、外観性が良好で安定した品質を備えるとともに、工場内でプレセットできることにより工期の短縮が図られる建材パネルおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の建材パネルの製造方法は、対向する一対の面材の間に芯材が配置されたサンドイッチ構造の建材パネルを準備する工程と、前記建材パネルに、コンセントボックスを設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、前記コンセントボックス設置箇所における前記面材および前記芯材を加工して、コンセントボックス設置部を設ける工程と、前記建材パネルの前記芯材が露出する端部を加工して、当該端部の一端から前記コンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部を設ける工程と、前記コンセントボックス設置部にコンセントボックスを設置する工程と、前記配線管設置部に配線管を設置する工程と、を備えることを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の建材パネルの製造方法は、対向する一対の面材の間に芯材が配置され、互いに接合されるサンドイッチ構造の建材パネルを2枚準備する工程と、前記2枚の建材パネルが接合された状態で、当該2枚の建材パネルのそれぞれに接合目地をまたがる状態でコンセントボックスを設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、前記2枚の建材パネルを分離した状態で、これら建材パネルのそれぞれの前記コンセントボックス設置箇所における前記面材および前記芯材を加工して、コンセントボックス設置部をそれぞれの前記建材パネルに設ける工程と、前記2枚の建材パネルのうちの少なくとも一方の建材パネルの、前記芯材が露出する端部を加工して、当該端部の一端から前記コンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部を設ける工程と、前記2枚の建材パネルを接合して、前記コンセントボックス設置部を設ける工程と、前記コンセントボックス設置部にコンセントボックスを設置する工程と、前記配線管設置部に配線管を設置する工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
(3)(1)または(2)において、前記建材パネルは、前記一対の面材に、平板状の前記芯材が接着剤で接合されて作製されることを特徴とする。
【0009】
(4)本発明の建材パネルは、対向する一対の面材の間に芯材が配置され、互いに接合されて壁を構成するサンドイッチ構造の建材パネルであって、所定箇所にコンセントボックスが設置され、接合する相手の前記建材パネルに接合される接合端部に、当該接合端部の一端から前記コンセントボックスに近接する位置まで延びる配線管が設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外観性が良好で安定した品質を備えるとともに、工場内でプレセットできることにより工期の短縮が図られる建材パネルおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る建材パネルを接合して構成される壁を示す正面図である。
【
図2】同建材パネルの接合構造を示す図であって
図1のII-II断面図である。
【
図3】同建材パネルの製造ラインを模式的に示す側面図である。
【
図4】同建材パネルの製造方法に係る第1実施形態の工程を(a)~(d)の順に概略的に示す図である。
【
図5】実施形態に係るコンセントボックス設置部および配線管設置部が形成された部分を示す建材パネルの斜視図である。
【
図6】同コンセントボックス設置部および配線管設置部が形成された部分を示す建材パネルの一部断面正面図である。
【
図7】実施形態に係る配線管設置部が形成された部分を示す建材パネルの一部断面図である。
【
図8】実施形態に係るコンセントボックスを示す正面図である。
【
図9】同コンセントボックスの、(a)コンセント本体を示す正面図、(b)カバーの正面図である。
【
図10】同コンセントボックスのケーシングの正面図である。
【
図11】第2実施形態のコンセントボックス設置部および配線管設置部が形成された部分を示す建材パネルの正面図である。
【
図12】第2実施形態のパネルが接合された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1の符号10は、実施形態に係る長方形状の建材パネル(以下、パネルと略称)である。
図1は、垂直に立てた複数のパネル10を縦張りの態様で接合して壁を構成した状態を示している。パネル10は、例えば医療・医薬向け等のクリーンルーム、あるいは半導体製造用等の工業用クリーンルームの内壁や間仕切り壁等に好適に用いられる。
【0013】
図2に示すように、パネル10は、2枚の薄い金属板である面材11の間に芯材12を配置した金属サンドイッチパネルである。面材11は、例えば、亜鉛合金めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム鋼板、カラー鋼板等が用いられるが、これらに限定されない。芯材12は、例えば断熱性を有するロックウール等の材料が用いられる。または、断熱性を有する樹脂等が用いられる。そのような樹脂としては、2液反応型硬質ウレタン樹脂、2液反応型イソシアヌレート発泡樹脂、フェノール樹脂ボード、スチレンフォームボード等が挙げられる。これらの他には、ペーパー製あるいはケイ酸マグネシウム、アルミニウム、塩化ビニル等を材料とするハニカムボード等が用いられるが、芯材12の材料としてはこれらに限定されない。
【0014】
パネル10の寸法は任意であるが、例えば縦方向長さ:1500~6000mm程度、幅:600~1200mm程度、厚さ:30~150mm程度とされる。芯材12は、発泡樹脂であれば、間隔をあけてセットした2枚の面材11の間に発泡樹脂を充填発泡させて面材11に接着固定できる。実施形態では、予め平板状に成形された芯材12を接着剤で面材11に接着して接合する手法が好ましい。
【0015】
図2に示すように、パネル10の左右両端側の縦方向(長手方向)に延びる接合端部のうち、一方側の第1の接合端部(
図2で右側)10Aには、この第1の接合端部10Aの全長にわたって上下方向に延びる溝状の凹部20が形成されている。この凹部20は、面材11を面方向に延長して芯材12から突出させた突出部21により形成され、芯材12の端面で底部12aが構成されている。突出部21は、面材11を内側に折り曲げ加工して二重に重ね合わせることによって形成されている。突出部21の先端の内側には、断面円弧状で内側に膨出する係合部22が形成されている。
【0016】
一方、
図2で左側の他方側の第2の接合端部10Bには、上記凹部20に嵌合可能な凸部30が全長にわたって形成されている。この凸部30は、面材11が屈曲してなる両面の段差31を経て接合方向に突出しており、芯材12と、芯材12の両面に配設された面材11とにより構成されている。凸部30の面材11の中間部には、ロールフォーミング加工により厚さ方向外側に膨出する断面三角形状の山部32が形成されている。山部32は、凹部20に凸部30を嵌合させた際にR部22に着脱可能に係合する。また、山部32の頂点部分は、凹部20に凸部30を嵌合させた状態で凹部20を形成している面材11の突出部21の内面に弾性的に当接可能となっている。また、凸部30の先端面には、芯材12によるクッション部33が突出形成されている。
【0017】
パネル10の接合端部どうしを接合するには、相対的に凹部20に凸部30を挿入し、凸部30のクッション部33を凹部20の底部12aに当接させて凹部20に凸部30を嵌合させる。凹部20に凸部30が挿入する際には、凸部30の山部32がR部22に弾性的に接触し、R部22が形成されている突出部21の先端部を外側に押して変形させながら挿入される。そして、R部22が山部32の頂点部分を乗り越えると、突出部21の先端部は弾性復帰し、R部22は段差31に嵌り込む。これにより、第1の接合端部10Aと第2の接合端部10Bとが、互いに弾性的に接触した状態で接合される。なお、必要に応じて、凹部20と凸部30との間にパッキン41を埋め込んでもよい。
【0018】
実施形態のパネル10は任意の製造方法で製造されるが、例えば
図3に示す製造ラインにより多数のパネル10が連続的に製造される。
【0019】
図3に示すパネル製造ラインでは、ローラコンベヤ51による搬送路の投入部51aに複数の芯材12が長手方向を矢印Fで示す搬送方向に沿った状態で順次製造ライン50に投入され、複数の芯材12は、シリンダ式のプッシャ52によって断続的に搬送される。芯材12は、所望のパネルに適合した寸法に予め板状に成形されている。製造ライン50の中間部で、芯材12の表裏面のそれぞれに、上下に配された面材11が接着され、パネル素材14が製造される。各面材11は、その幅が芯材12の幅にほぼ一致するものである。
【0020】
面材11の原反である面材原反11Bが、投入部51aの上下にそれぞれ配された面材ロール11Aから製造ライン50の下流側に巻き出されてガイドロール53により芯材12の上下に導かれる。ここから芯材12は上下の各面材原反11Bに挟まれた状態で、それら面材原反11Bと一体的に上下の搬送ロール54によって搬送され、その最中において、各面材原反11Bが芯材12の表裏面に対しそれぞれ前方から後方に接着されていく。芯材12に各面材原反11Bが重なる前において、各面材原反11Bの接合面に、図示せぬ接着剤塗布装置から接着剤が所定量塗布される。
【0021】
プッシャ52によって後方から次々に搬送されてくる複数の芯材12は、搬送方向の前側の芯材12の後端面に、後側の芯材12の前端面が当接してつながった状態となり、芯材12間に隙間が生じることなく各芯材12は各面材原反11Bに接着する。これにより、つながった芯材12の表裏面に面材原反11Bがそれぞれ固着された長尺なパネル素材14が製造される。
【0022】
その長尺なパネル素材14は、製造ライン50の下流において切断手段55により切断され、所望の長さのパネル10に加工される。以上の動作が連続的に行われることにより、所望の長さの多数のパネル10を連続的に得ることができる。
【0023】
次いで、上記のようにして製造されることにより準備されたパネル10を、コンセントボックスと配線管が組み込まれた第1実施形態に係るコンセントボックス付きのパネルに加工し、壁として施工する方法を説明する。
【0024】
図4は、当該方法に係る工程を(a)~(d)の順に概略的に示している。本方法は、まず
図4(a)に示すように、1枚のパネル10の所定箇所に、コンセントボックスを設置するコンセントボックス設置部60を設ける。コンセントボックス設置部60は、パネル10が適用されて構築される壁に設定されるコンセントボックス設置箇所に応じて、予めパネル10に設定される。この第1実施形態では、コンセントボックス設置部60はパネル10に1カ所である。すなわち、パネル10に1つのコンセントボックス設置箇所が設定され、その設置箇所に、コンセントボックス設置部60が設けられる。
【0025】
コンセントボックス設置部60は、パネル10の一方の面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。コンセントボックス設置部60は、
図5および
図6に示すように、コンセントボックス設置箇所の面材11および芯材12を部分的に切除して形成した凹所61である。この凹所61は、コンセントボックスの形状に応じた直方体形状に形成され、パネル10の表面に開口している。凹所61は、面材11を矩形状にカットして中の芯材12を露出させ、その露出した芯材12の一部を切除して直方体状に形成される。
【0026】
次に、
図4(b)に示すように、パネル10の、芯材12が露出する第2の接合端部10Bを加工して、この第2の接合端部10Bの長手方向一端からコンセントボックス設置部60に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部70を設ける。コンセントボックス設置部60は、上記のようにコンセントボックス設置箇所に既に設けられている。配線管設置部70が設けられる第2の接合端部10Bの長手方向の一端は、パネル10が壁として施工箇所に立てられた状態での上端である。この上端とされる一端からコンセントボックス設置部60の近傍まで、
図5および
図6に示すように、第2の接合端部10Bの凸部30を形成している芯材12の端面を溝状に切削加工して設けられる。すなわち第1実施形態の配線管設置部70は、溝71である。溝71は、その断面形状が例えば矩形状に加工される。
【0027】
なお、コンセントボックス設置部60と、配線管設置部70との加工順は、どちらが先でもよく、可能であれば同時に行ってもよい。
【0028】
次に、
図4(c)および
図7に示すように、コンセントボックス設置部60にコンセントボックス100を設置するとともに、配線管設置部70に配線管200を設置する。
【0029】
コンセントボックス100は、例えば
図8に示すような「2口:15Aの単相100V」用等の一般的な壁コンセントである。コンセントボックス100は、
図9に示すように、2口のコンセント本体110と、表面側に取り付けられるカバー120と、を含む。コンセントボックス100はさらに、
図10に示す箱状のケーシング130の内部に、コンセント本体110およびカバー120の組立体が収容されて構成される。コンセントボックス100は、コンセントボックス設置部60の凹所61にケーシング130を埋め込むことにより、パネル10に設置される。
【0030】
配線管200は、例えば塩化ビニル等からなる樹脂製のパイプや金属製のパイプが用いられる。配線管200は、
図5~
図7に示すように、配線管設置部70の溝71の内部に埋め込むことにより、パネル10に設置される。配線管200には、この配線管200の内部に通した配線をコンセントボックス100に通すための孔210が設けられる。
【0031】
以上により、第1実施形態に係るコンセントボックス付きのパネル(以下、パネルCBと称する)が製造される。このパネルCBは、対向する一対の面材11の間に芯材12が配置され、互いに接合されて壁を構成するサンドイッチ構造の建材パネルであって、所定箇所にコンセントボックス100が設置され、接合する相手のパネル10に接合される第2の接合端部10Bに、この第2の接合端部10Bの一端からコンセントボックス100に近接する位置まで延びる配線管200が設置されている。
【0032】
このパネル10CBは、
図4(d)に示すように、コンセントボックス100および配線管200が設置されない複数のパネル10と接合されて壁に施工される。壁に施工される場合、パネル10CBには、天井に配置される配線Hが、配線管200の上端から配線管200の内部に通される。その配線Hは、上記孔210から通路80を通してコンセントボックス100に引き入れられ、コンセントボックス100に電気的に接続される。これにより、コンセントボックス100は導通可能な状態となる。
【0033】
上記第1実施形態は、対向する一対の面材11の間に芯材12が配置されたサンドイッチ構造のパネル10を準備する工程と、パネル10に、コンセントボックス100を設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、コンセントボックス設置箇所における面材11および芯材12を加工して、コンセントボックス設置部60を設ける工程と、パネル10の芯材12が露出する第2の接合端部10Bを加工して、当該端部の一端からコンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部70を設ける工程と、コンセントボックス設置部60にコンセントボックス100を設置する工程と、配線管設置部70に配線管200を設置する工程と、を備える。
【0034】
上記第1実施形態によれば、予め製造されて準備されたパネル10に、コンセントボックス100および配線管200を、パネル10の面材11および芯材12を加工することにより後付けで設置するものである。したがって、芯材12が発泡樹脂で成形されたものであったとしても、その発泡樹脂の成形後にコンセントボックス100および配線管200を設置するので、発泡樹脂は面材11の間に、流動性が阻害されることなく十分に充満した状態で成形される。したがって芯材12の内部にボイドが生じることが抑制され、面材11の表面にボイドの影響で凹凸が生じることも抑制される。その結果、面材11の表面は平坦な状態が確保され、外観性が良好であり安定した品質のコンセントボックス付きパネルを得ることができる。また、製造する工場内でプレセットでき、これにより工期の短縮が図られる。
【0035】
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、接合される2枚の上記パネル10の双方にまたがる状態に、コンセントボックス100が設置される形態である。
【0036】
第2実施形態では、
図11に示すように、互いに接合されるパネル10の第1の接合端部10Aと、第2の接合端部10Bとに設定されたコンセントボックス設定箇所に、コンセントボックス設置部60をそれぞれ設ける。
【0037】
図11に示すように、第2実施形態では、一方側(
図11で右側)のパネル10の第2の接合端部10Bに、上記第1実施形態と同様に、コンセントボックス設置部60および配線管設置部70を設け、配線管設置部70に配線管200を設置する。この場合の配線管200の下端は、コンセントボックス設置部60の上端付近でカットしたものとし、配線管200がコンセントボックス設置部60の第2の接合端部10Bの開口に存在しないようにする。
【0038】
また、他方側(
図11で左側)のパネル10の第1の接合端部10Aにも、面材11および芯材12を適宜に切除することにより、凹所61を形成してコンセントボックス設置部60を設ける。他方側のパネル10の第1の接合端部10Aには、配線管設置部70は設けない。双方のコンセントボックス設置部60は、パネル10を接合すると互いに合体して1つの凹所となり、合体した状態で、埋め込む1つのコンセントボックスに対応した大きさとなる。
【0039】
第2実施形態では、
図12に示すように、2枚のパネル10の、第1の接合端部10Aと第2の接合端部10Bとを接合させて、双方のコンセントボックス設置部60を合体させ、その合体して1つとなった双方のコンセントボックス設置部60に、1つのコンセントボックス100を埋め込んで設置する。第2実施形態のコンセントボックス100は、上下一対が2列とされた4口のコンセントを有する。コンセントボックス100には、右側のパネル10の第2の接合端部10Bに設置した配線管200に通した配線Hが接続される。コンセントボックス100は、2枚のパネル10の接合目地19にまたがる状態で設置されている。
【0040】
上記第2実施形態は、対向する一対の面材11の間に芯材12が配置され、互いに接合されるサンドイッチ構造のパネル10を2枚準備する工程と、2枚のパネル10が接合された状態で、当該2枚のパネル10のそれぞれに接合目地19をまたがる状態でコンセントボックス100を設置する少なくとも1つのコンセントボックス設置箇所を設定する工程と、2枚のパネル10を分離した状態で、これらパネル10のそれぞれのコンセントボックス設置箇所における面材11および芯材12を加工して、コンセントボックス設置部60をそれぞれのパネル10に設ける工程と、2枚のパネル10のうちの少なくとも一方のパネル10の、芯材12が露出する第2の接合端部10Bを加工して、当該端部の一端からコンセントボックス設置箇所に近接する位置まで延びる溝状の配線管設置部70を設ける工程と、2枚のパネル10を接合して、合体したコンセントボックス設置部60を設ける工程と、コンセントボックス設置部60にコンセントボックス100を設置する工程と、配線管設置部70に配線管200を設置する工程と、を備える。
【0041】
上記第2実施形態の方法では、2枚のパネル10が接合された状態で、当該2枚のパネル10のそれぞれに接合目地19をまたがる状態でコンセントボックス100を設置することができる。
【符号の説明】
【0042】
10…建材パネル、10CB…建材パネル、10B…第2の接合端部(端部)、11…面材、12…芯材、19…接合目地、60…コンセントボックス設置部、70…配線管設置部、100…コンセントボックス、200…配線管。