(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035959
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】チューブホルダ及びテストチューブの蓋の保持機構
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B01L3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140617
(22)【出願日】2022-09-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、事業名:未来社会創造事業(探索加速型)、領域:「共通基盤」領域、テーマ名:革新的な知や製品を創出する共通基盤システム・装置の実現、研究課題名:ロボティックバイオロジーによる生命科学の加速、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】野口 大貴
(72)【発明者】
【氏名】神田 元紀
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恒一
【テーマコード(参考)】
4G057
【Fターム(参考)】
4G057AE08
(57)【要約】
【課題】蓋への異物の付着を抑制しつつ、蓋を開放した状態に保持可能なチューブホルダを実現する。
【解決手段】本開示の一形態に係るチューブホルダ(1)は、蓋(21)と、チューブ本体(22)と、蓋(21)とチューブ本体(22)とを連結する連結部(23)と、を有するテストチューブ(2)を保持するチューブホルダであって、基部(3)と、基部(3)に形成され、チューブ本体(22)を保持するためにチューブ本体(22)が挿入される挿入部(4)と、基部(3)に形成され、蓋(21)が開放した状態で連結部(23)を支持する支持部(6)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋と、チューブ本体と、前記蓋と前記チューブ本体とを連結する連結部と、を有するテストチューブを保持するチューブホルダであって、
基部と、
前記基部に形成され、前記チューブ本体を保持するために当該チューブ本体が挿入される挿入部と、
前記基部に形成され、前記蓋が開放した状態で前記連結部を支持する支持部と、
を備える、チューブホルダ。
【請求項2】
前記支持部は、
前記基部における挿入部に沿って形成される切り欠き部と、
前記切り欠き部の一部を覆う覆い部と、
前記切り欠き部の側壁部と前記覆い部の先端部との間に形成され、前記連結部が通される開口部と、
前記覆い部が前記切り欠き部の一部を覆った部分に形成され、前記連結部が通される断面L字形状の溝部と、
を備える、請求項1に記載のチューブホルダ。
【請求項3】
前記切り欠き部は、前記挿入部と中心を共通にする湾曲形状又は多角形状に形成され、
前記覆い部は、前記切り欠き部に向かって突出し、前記挿入部と中心を共通にする湾曲形状又は多角形状に形成されている、請求項2に記載のチューブホルダ。
【請求項4】
前記挿入部の径方向において前記切り欠き部の側壁部における前記覆い部と対向する部分は、前記チューブホルダの上下方向と平行な面である、請求項3に記載のチューブホルダ。
【請求項5】
前記挿入部の径方向において前記覆い部の側壁部における前記切り欠き部と対向する部分は、前記チューブホルダの上下方向と平行な面である、請求項3又は4に記載のチューブホルダ。
【請求項6】
前記覆い部の先端部に面取り部を備える、請求項2又は3に記載のチューブホルダ。
【請求項7】
前記基部に前記切り欠き部の底面部と連続するように形成され、前記チューブ本体が前記挿入部に挿入された状態で、前記チューブ本体の上端部に形成されたフランジ部が載置される載置部を備える、請求項2又は3に記載のチューブホルダ。
【請求項8】
前記基部は、板形状であり、
一組の前記挿入部及び前記支持部を有する保持ユニットが複数組、等しい配置で前記基部に形成されている、請求項2に記載のチューブホルダ。
【請求項9】
前記複数組の保持ユニットは、前記チューブホルダの上下方向と直交する第1の軸方向、及び前記チューブホルダの上下方向並びに前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向にマトリックス状に配置されており、
前記覆い部は、前記第1の軸方向に対して予め設定された角度で傾いた第3の軸上に配置されている、請求項8に記載のチューブホルダ。
【請求項10】
前記第3の軸は、当該第3の軸が延在する方向で隣接する前記保持ユニットの挿入部の中心を通る、請求項9に記載のチューブホルダ。
【請求項11】
蓋と、チューブ本体と、前記蓋と前記チューブ本体とを連結する連結部と、を有するテストチューブを保持するチューブホルダに支持部が形成されており、
前記支持部は、前記チューブホルダにおける前記チューブ本体を保持するために当該チューブ本体が挿入される挿入部の周辺に配置され、前記蓋が開放した状態で前記連結部を支持する、テストチューブの蓋の保持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チューブホルダ及びテストチューブの蓋の保持機構に関し、例えば、蓋と、チューブ本体と、蓋とチューブ本体とを連結する連結部と、を有するテストチューブを保持するチューブホルダ及びテストチューブの蓋の保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、一般的なテストチューブ2は、蓋21、チューブ本体22、及び蓋21とチューブ本体22とを連結する連結部23を備えている。テストチューブ2を用いて試験などを行う場合、例えば、当該テストチューブ2のチューブ本体22に検体などが注入されるが、その際に蓋21が開放された状態で保持されていることが好ましい。
【0003】
そこで、
図10に示すように、非特許文献1のチューブホルダ100は、板状の基部101に形成され、且つテストチューブ2のチューブ本体22が挿入された状態で当該チューブ本体22を保持する挿入部102、及び基部101に形成され、且つテストチューブ2の蓋21が嵌め込まれる嵌合部103を備えている。このようなチューブホルダ100は、テストチューブ2の連結部23を反り返して蓋21を嵌合部103に嵌め込む構成とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.funakoshi.co.jp/contents/65869
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願人は、以下の課題を見出した。非特許文献1のチューブホルダ100は、テストチューブ2の蓋21の内側面(即ち、蓋21でチューブ本体22を閉塞した際に当該チューブ本体22の側に配置される面)が嵌合部103に接触し、蓋21の内側面に異物が付着する可能性がある。
【0006】
本開示は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、蓋への異物の付着を抑制しつつ、蓋を開放した状態に保持可能なチューブホルダ及びテストチューブの蓋の保持機構を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るチューブホルダは、蓋と、チューブ本体と、前記蓋と前記チューブ本体とを連結する連結部と、を有するテストチューブを保持するチューブホルダであって、
基部と、
前記基部に形成され、前記チューブ本体を保持するために当該チューブ本体が挿入される挿入部と、
前記基部に形成され、前記蓋が開放した状態で前記連結部を支持する支持部と、
を備える。
【0008】
上述のチューブホルダにおいて、前記支持部は、
前記基部における挿入部に沿って形成される切り欠き部と、
前記切り欠き部の一部を覆う覆い部と、
前記切り欠き部の側壁部と前記覆い部の先端部との間に形成され、前記連結部が通される開口部と、
前記覆い部が前記切り欠き部の一部を覆った部分に形成され、前記連結部が通される断面L字形状の溝部と、
を備えることが好ましい。
【0009】
上述のチューブホルダにおいて、前記切り欠き部は、前記挿入部と中心を共通にする湾曲形状又は多角形状に形成され、
前記覆い部は、前記切り欠き部に向かって突出し、前記挿入部と中心を共通にする湾曲形状又は多角形状に形成されていることが好ましい。
【0010】
上述のチューブホルダでの前記挿入部の径方向において前記切り欠き部の側壁部における前記覆い部と対向する部分は、前記チューブホルダの上下方向と平行な面であることが好ましい。
【0011】
上述のチューブホルダでの前記挿入部の径方向において前記覆い部の側壁部における前記切り欠き部と対向する部分は、前記チューブホルダの上下方向と平行な面であることが好ましい。
【0012】
上述のチューブホルダは、前記覆い部の先端部に面取り部を備えることが好ましい。
【0013】
上述のチューブホルダは、前記基部に前記切り欠き部の底面部と連続するように形成され、前記チューブ本体が前記挿入部に挿入された状態で、前記チューブ本体の上端部に形成されたフランジ部が載置される載置部を備えることが好ましい。
【0014】
上述のチューブホルダにおいて、前記基部は、板形状であり、
一組の前記挿入部及び前記支持部を有する保持ユニットが複数組、等しい配置で前記基部に形成されていることが好ましい。
【0015】
上述のチューブホルダにおいて、前記複数組の保持ユニットは、前記チューブホルダの上下方向と直交する第1の軸方向、及び前記チューブホルダの上下方向並びに前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向にマトリックス状に配置されており、
前記覆い部は、前記第1の軸方向に対して予め設定された角度で傾いた第3の軸上に配置されていることが好ましい。
【0016】
上述のチューブホルダにおいて、前記第3の軸は、当該第3の軸が延在する方向で隣接する前記保持ユニットの挿入部の中心を通ることが好ましい。
【0017】
本開示の一態様に係るテストチューブの蓋の保持機構は、蓋と、チューブ本体と、前記蓋と前記チューブ本体とを連結する連結部と、を有するテストチューブを保持するチューブホルダに支持部が形成されており、
前記支持部は、前記チューブホルダにおける前記チューブ本体を保持するために挿入される挿入部の周辺に配置され、前記蓋が開放した状態で前記連結部を支持する。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、蓋への異物の付着を抑制しつつ、蓋を開放した状態に保持可能なチューブホルダ及びテストチューブの蓋の保持機構を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態のチューブホルダを示す斜視図である。
【
図2】実施の形態のチューブホルダの支持部を示す断面図である。
【
図3】
図2の高さh1でのチューブホルダのXY断面図である。
【
図4】
図2の高さh2でのチューブホルダのXY断面図である。
【
図5】
図2の高さh3でのチューブホルダのXY断面図である。
【
図6】実施の形態のチューブホルダを用いてテストチューブを保持しつつ、当該テストチューブの蓋が開放された状態に保持する流れを説明するための図である。
【
図7】実施の形態のチューブホルダを用いてテストチューブを保持しつつ、当該テストチューブの蓋が開放された状態に保持する流れを説明するための図である。
【
図8】実施の形態のチューブホルダの支持部でテストチューブの蓋が開放された状態で当該テストチューブが保持された様子を示す図である。
【
図10】非特許文献1のチューブホルダを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本開示が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、三次元(XYZ)座標系を用いて説明し、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0021】
先ず、本実施の形態のチューブホルダの構成を説明する。
図1は、本実施の形態のチューブホルダを示す斜視図である。
図2は、本実施の形態のチューブホルダの支持部を示す断面図である。
図3は、
図2の高さh1でのチューブホルダのXY断面図である。
図4は、
図2の高さh2でのチューブホルダのXY断面図である。
図5は、
図2の高さh3でのチューブホルダのXY断面図である。なお、
図3乃至
図5では、図を明確にするために、断面ハッチを省略している。
【0022】
本実施の形態のチューブホルダ1は、例えば、複数のテストチューブ2に検体などを注入する際に、複数のテストチューブ2をX軸方向(即ち、第1の軸方向)及びY軸方向(即ち、第2の軸方向)に並べた状態で保持するために用いることができる。特に、本実施の形態のチューブホルダ1は、1.5ml又は2mlのテストチューブを保持するために好適である。
【0023】
ここで、テストチューブ2は、例えば、
図9に示すように、一般的な樹脂製のテストチューブであり、上述したように、蓋21、チューブ本体22及び連結部23を備えている。蓋21は、例えば、チューブ本体22に嵌め込まれる嵌合部21a、嵌合部21aがチューブ本体22に嵌め込まれた状態で当該嵌合部21aのZ軸+側の端部から突出するフランジ部21b、及びフランジ部21bから突出する摘まみ部21cを備えている。
【0024】
チューブ本体22は、例えば、
図9に示すように、Z軸-側の端部が塞がれた有底円筒形状であり、チューブ本体22のZ軸+側の端部から突出するフランジ部22aを備えている。連結部23は、帯形状であり、折り返し部23aを備えている。そして、連結部23の一方の端部は、蓋21のフランジ部21bに固定され、連結部23の他方の端部は、チューブ本体22のフランジ部22aに固定されている。
【0025】
チューブホルダ1は、
図1に示すように、基部3、挿入部4、載置部5及び支持部6を備えている。基部3は、例えば、XY平面と略平行な板形状である。基部3のX軸方向の長さ及びY軸方向の長さは、例えば、SBS規格などによって規定された長さとすることができる。
【0026】
挿入部4は、
図1乃至
図5に示すように、基部3をZ軸方向(即ち、チューブホルダ1の上下方向)に貫通する貫通孔である。挿入部4は、例えば、Z軸方向に延在する略円柱形状である。挿入部4の直径D1(
図4及び
図5を参照)は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2のチューブ本体22のフランジ部22a(
図9を参照)の外径d1に対して大きい。
【0027】
載置部5は、
図1乃至
図3に示すように、基部3における挿入部4のZ軸-側の端部から当該挿入部4の径方向内側に向かって突出している。載置部5は、例えば、Z軸方向から見て円環形状である。
【0028】
このとき、
図3に示すように、挿入部4の中心(即ち、挿入部4の縁部の中心)O1と載置部5の中心(即ち、載置部5の内周縁部の中心)O2とは略重なるとよい。つまり、挿入部4と載置部5とで当該挿入部4の中心O1を共通にしているとよい。そして、載置部5の内径D2(
図3を参照)は、テストチューブ2のチューブ本体22のフランジ部22aの外径d1に対して小さく、且つテストチューブ2のチューブ本体22の外径d2(
図9を参照)に対して大きいとよい。
【0029】
支持部6は、
図1及び
図2に示すように、挿入部4の周辺に配置されている。支持部6は、切り欠き部61、覆い部62、開口部63及び溝部64を備えている。切り欠き部61は、挿入部4の側壁部の一部を切り欠くことで形成されている。切り欠き部61は、Z軸方向から見て略円弧柱形状であり、切り欠き部61のZ軸+側が開放されている。そのため、詳細な機能は後述するが、切り欠き部61の周方向に延在する第1の側壁部61aは、Z軸と略平行な円弧面である。
【0030】
このとき、
図4に示すように、挿入部4の中心O1と切り欠き部61の中心(即ち、切り欠き部61の第1の側壁部61aの縁部の中心)O3とは略重なるとよい。つまり、挿入部4と切り欠き部61とで当該挿入部4の中心O1を共通にしているとよい。そして、切り欠き部61の第1の側壁部61aの半径(即ち、切り欠き部61の中心O3から当該切り欠き部61の第1の側壁部61aまでの長さ)R1は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2におけるチューブ本体22の中心から連結部23の折り返し部23aの外側端部までの長さに対して、若干、大きいとよい。
【0031】
Z軸方向から見て切り欠き部61が配置される角度範囲θ1(即ち、切り欠き部61の第1の側壁部61aの長さ)は、当該角度範囲θ1内に後述する覆い部62及び開口部63を配置可能であればよく、例えば、約100°である。このような切り欠き部61のZ軸-側の面(即ち、底面部)は、載置部5のZ軸+側の面と略連続しているとよい。
【0032】
覆い部62は、
図1及び
図2に示すように、切り欠き部61の一部を覆う。覆い部62は、切り欠き部61のY軸-側の第2の側壁部61bにおけるZ軸+側の端部から当該切り欠き部61の内部に向かって突出している。覆い部62は、Z軸方向から見て略円弧柱形状である。そのため、詳細な機能は後述するが、覆い部62の径方向外側の第1の側壁部62aは、Z軸と略平行な円弧面である。
【0033】
このとき、
図5に示すように、挿入部4の中心O1と覆い部62の中心(即ち、覆い部62の第1の側壁部62aの縁部の中心)O4とは略重なるとよい。つまり、挿入部4と覆い部62とで当該挿入部4の中心O1を共通にしているとよい。そして、覆い部62の第1の側壁部62aの長さL1は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2の連結部23の幅寸法に対して長く、且つ切り欠き部61の第1の側壁部61aの長さに対して短いとよい。
【0034】
そのため、切り欠き部61のY軸+側の第3の側壁部61cと覆い部62のY軸+側の第2の側壁部62bとの間には、
図5に示すように、第1の隙間G1が形成されている。第1の隙間G1は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2の連結部23の幅寸法に対して大きいとよい。
【0035】
また、覆い部62の第1の側壁部62aの半径(即ち、覆い部62の中心O4から当該覆い部62の第1の側壁部62aまでの長さ)R2は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2におけるチューブ本体22の中心から連結部23の折り返し部23aの内側端部までの長さに対して、若干、短いとよい。
【0036】
そのため、覆い部62の第1の側壁部62aと切り欠き部61の第1の側壁部61aとの間には、
図5に示すように、第2の隙間G2が形成されている。第2の隙間G2は、
図1に示すように、第1の隙間G1と連続している。挿入部4の径方向において第2の隙間G2の幅寸法W1は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2の連結部23の厚さに対して大きい。
【0037】
また、覆い部62のZ軸方向の高さH1は、
図2に示すように、切り欠き部61のZ軸方向の高さH2に対して低い。そのため、覆い部62のZ軸-側の面と切り欠き部61のZ軸-側の面との間には、第3の隙間G3が形成されている。第2の隙間G2と第3の隙間G3とは、連続している。第3の隙間G3のZ軸方向の高さH3は、チューブホルダ1で保持するテストチューブ2の連結部23の厚さに対して高い。
【0038】
ここで、覆い部62のZ軸方向の高さH1及び切り欠き部61のZ軸方向の高さH2は、後述するようにテストチューブ2の連結部23が覆い部62又は切り欠き部61に寄り掛かった際に当該連結部23を支持可能な高さであるとよい。
【0039】
開口部63は、
図1、
図2及び
図5に示すように、第1の隙間G1によって形成されている。つまり、開口部63は、切り欠き部61の第3の側壁部61cと覆い部62の第2の側壁部62bとの間に形成されている。溝部64は、
図2に示すように、第2の隙間G2及び第3の隙間G3によって形成されている。溝部64は、
図2に示すように、挿入部4の周方向から見て略L字形状である。
【0040】
これらの挿入部4、載置部5及び支持部6は、一組の保持ユニット7を形成しており、
図1に示すように、複数組の保持ユニット7が基部3に形成されている。このとき、例えば、0.2mlなどの小型のテストチューブ2を保持する場合、基部3に多数の保持ユニット7を配置することができる。
【0041】
ここで、例えば、複数組の保持ユニット7がX軸方向及びY軸方向にマトリックス状に等しく配置されているとよい。このとき、
図5に示すように、各々の保持ユニット7における支持部6の覆い部62がX軸に対して傾いた軸(即ち、第3の軸)AX1上に配置されているとよい。そして、軸AX1は、例えば、軸AX1と平行に配置された軸が延在する方向で隣接する保持ユニット7の挿入部4の中心O1を通るとよい。
【0042】
これにより、例えば、X軸に対して傾いた斜め方向で隣接する保持ユニット7の挿入部4の間のデッドスペースに支持部6の覆い部62及び溝部64を配置することができ、保持ユニット7の配置の効率化を図ることができる。
【0043】
また、
図1に示すように、保持ユニット7の支持部6の切り欠き部61がX軸方向で隣接する保持ユニット7の載置部5と連続するように形成されているとよい。これにより、保持ユニット7のX軸方向での配置の効率化を図ることができる。このようなチューブホルダ1は、例えば、樹脂によって簡単に成形することができる。
【0044】
次に、本実施の形態のチューブホルダ1を用いてテストチューブ2を保持しつつ、当該テストチューブ2の蓋21が開放された状態に保持する流れを説明する。
図6及び
図7は、本実施の形態のチューブホルダを用いてテストチューブを保持しつつ、当該テストチューブの蓋が開放された状態に保持する流れを説明するための図である。
図8は、本実施の形態のチューブホルダの支持部でテストチューブの蓋が開放された状態で当該テストチューブが保持された様子を示す図である。
【0045】
なお、以下のテストチューブ2を保持しつつ、テストチューブ2の蓋21が開放された状態に保持する流れは、人間によって実行されてもよく、又はロボットによって実行されてもよい。ここで、テストチューブ2を保持しつつ、テストチューブ2の蓋21が開放された状態に保持する際に、例えば、
図1に示すように、Z軸+側が開放された収容箱8にチューブホルダ1が載置された状態で実施するとよい。
【0046】
先ず、テストチューブ2の蓋21の摘まみ部21cを摘まんで当該蓋21を開放した状態で、
図6に示すように、テストチューブ2のチューブ本体22をチューブホルダ1の挿入部4に挿入し、テストチューブ2のチューブ本体22のフランジ部22aをチューブホルダ1の載置部5に載置しつつ、テストチューブ2の連結部23をチューブホルダ1の支持部6の開口部63に通す。
【0047】
次に、Z軸と平行に配置された軸回りにテストチューブ2を回転させて、
図7に示すように、テストチューブ2の連結部23をチューブホルダ1の支持部6の溝部64に通す。つまり、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対してチューブ本体22の側の部分を第3の隙間G3に通すと共に、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分を第2の隙間G2に通す。
【0048】
これにより、テストチューブ2の蓋21が開放された状態を保持するように、チューブホルダ1の支持部6における切り欠き部61の第1の側壁部61aと覆い部62の第1の側壁部62aとによって当該テストチューブ2の連結部23を支持する。つまり、チューブホルダ1の支持部6は、テストチューブ2の蓋21の保持機構を構成する。
【0049】
このように、テストチューブ2の蓋21(特に、蓋21の嵌合部21a)がチューブホルダ1などの他の部材に接触することなく、当該蓋21を開放した状態に保持することができる。そのため、蓋21への異物の付着を抑制することができる。
【0050】
このとき、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が蓋21の自重によってチューブホルダ1における支持部6の切り欠き部61の第1の側壁部61aに寄り掛かる。そして、上述のように、チューブホルダ1における支持部6の切り欠き部61の第1の側壁部61aは、Z軸と略平行な円弧面である。
【0051】
そのため、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分は、略Z軸方向に配置されることになり、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分をZ軸に対して傾けて配置した場合に比べて、Z軸方向から見て蓋21が開放された状態での投影面積を狭くすることができる。
【0052】
これにより、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分をZ軸に対して傾けて配置した場合に比べて、Z軸方向から見て蓋21が隣接する保持ユニット7に保持されたテストチューブ2に干渉することを抑制しつつ、保持ユニット7の配置の密集度を向上させることができる。
【0053】
しかも、上述のように、覆い部62の第1の側壁部62aは、Z軸と略平行な円弧面である。そのため、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が蓋21に自重によってチューブ本体22の径方向内側に向かって傾いても、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が覆い部62の第1の側壁部62aに接触して略Z軸方向に配置された状態を維持することができる。
【0054】
ここで、覆い部62は、当該覆い部62の第2の側壁部62bに面取り部(即ち、Z軸方向から見て湾曲部)62cを備えているとよい。これにより、テストチューブ2を回転させた際にテストチューブ2の連結部23が覆い部62に引っ掛かることを抑制することができる。
【0055】
このように本実施の形態のチューブホルダ1及びテストチューブ2の蓋21の保持機構は、支持部6によってテストチューブ2の蓋21が開放された状態で当該テストチューブ2の連結部23を支持する構成とされている。
【0056】
これにより、本実施の形態のチューブホルダ1及びテストチューブ2の蓋21の保持機構は、テストチューブ2の蓋21がチューブホルダ1などの他の部材に接触することなく、当該蓋21を開放した状態に保持することができる。そのため、蓋21への異物の付着を抑制することができ、蓋21を閉塞した際にテストチューブ2内の検体などへの異物の混入を抑制することができる。
【0057】
しかも、チューブホルダ1における支持部6の切り欠き部61の第1の側壁部61aがZ軸と略平行な円弧面である場合、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が蓋21の自重によってチューブ本体22の径方向外側に傾いても、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が当該第1の側壁部61aに支持されて略Z軸方向に配置された状態を維持できる。
【0058】
また、覆い部62の第1の側壁部62aがZ軸と略平行な円弧面である場合、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が蓋21の自重によってチューブ本体22の径方向内側に向かって傾いても、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分が当該第1の側壁部62aに支持されて略Z軸方向に配置された状態を維持することができる。
【0059】
これにより、本実施の形態のチューブホルダ1及びテストチューブ2の蓋21の保持機構は、テストチューブ2における連結部23の折り返し部23aに対して蓋21の側の部分をZ軸に対して傾けて配置した場合に比べて、Z軸方向から見て蓋21が隣接する保持ユニット7に保持されたテストチューブ2に干渉することを抑制することができる。しかも、Z軸方向から見て蓋21が開放された状態での投影面積を狭くすることができ、その結果、保持ユニット7の配置の密集度を向上させることができる。
【0060】
また、覆い部62が当該覆い部62の第2の側壁部62bに面取り部62cを備えている場合、テストチューブ2を回転させた際にテストチューブ2の連結部23が覆い部62に引っ掛かることを抑制することができる。
【0061】
また、各々の保持ユニット7における支持部6の覆い部62がX軸に対して傾いた軸AX1上に配置されているとよい。そして、軸AX1は、例えば、軸AX1と平行に配置された軸が延在する方向で隣接する保持ユニット7の挿入部4の中心O1を通るとよい。
【0062】
これにより、本実施の形態のチューブホルダ1は、X軸に対して傾いた斜め方向で隣接する保持ユニット7の挿入部4の間のデッドスペースに支持部6の覆い部62及び溝部64を配置することができ、保持ユニット7の配置の効率化を図ることができる。
【0063】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施の形態の支持部6の形状は、例示であり、蓋21が開放した状態で連結部23を支持することができる形状であればよい。また、例えば、切り欠き部61又は覆い部62の形状は、Z軸方向から見て、略円弧形状に限らず、湾曲形状又は多角形状であってもよい。
例えば、上記実施の形態の保持ユニット7の配置は、例示であり、適宜、変更することができる。
例えば、上記実施の形態のテストチューブ2の形状は、例示であり、限定されない。テストチューブ2は、一般的なテストチューブであればよく、例えば、蓋がスクリューキャップ形状であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 チューブホルダ
2 テストチューブ
21 蓋、21a 嵌合部、21b フランジ部、21c 摘まみ部
22 チューブ本体、22a フランジ部
23 連結部、23a 折り返し部
3 基部
4 挿入部
5 載置部
6 支持部
61 切り欠き部、61a 第1の側壁部、61b 第2の側壁部、61c 第3の側壁部
62 覆い部、62a 第1の側壁部、62b 第2の側壁部、62c 面取り部
63 開口部
64 溝部
7 保持ユニット
8 収容箱
AX1 X軸に対して傾いた軸
G1 第1の隙間
G2 第2の隙間
G3 第3の隙間
O1 挿入部の中心
O2 載置部の中心
O3 切り欠き部の中心
O4 覆い部の中心
D1 挿入部の直径
D2 載置部の内径
R1 切り欠き部の第1の側壁部の半径
R2 覆い部の第1の側壁部の半径
d1 テストチューブのチューブ本体のフランジ部の外径
d2 テストチューブのチューブ本体の外径
H1 覆い部のZ軸方向の高さ
H2 切り欠き部のZ軸方向の高さ
H3 第3の隙間のZ軸方向の高さ
W1 第2の隙間の径方向の幅寸法
θ1 切り欠き部が配置される角度範囲