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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035961
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電子データの同一性確認システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240308BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20240308BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】49
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140619
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】500063228
【氏名又は名称】田中 成典
(71)【出願人】
【識別番号】511121768
【氏名又は名称】今井 龍一
(71)【出願人】
【識別番号】502235692
【氏名又は名称】中村 健二
(71)【出願人】
【識別番号】519113745
【氏名又は名称】Intelligent Style株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516119678
【氏名又は名称】株式会社日本インシーク
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】田中 成典
(72)【発明者】
【氏名】今井 龍一
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄平
(72)【発明者】
【氏名】塚田 義典
(72)【発明者】
【氏名】梅▲原▼ 喜政
(72)【発明者】
【氏名】中原 匡哉
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA09
5L096BA08
5L096HA09
5L096JA11
5L096JA13
(57)【要約】
【課題】 三次元点群階層データに関し、いずれの部分が改竄されているかを容易に特定できる電子データの同一性確認システムを提供する。
【解決手段】
三次元点群階層データの複製を有する利用者は、データ登録システム100に当該三次元点群階層データの特徴値を要求する。データ登録システム100の特徴値送信手段108は、当該三次元点群階層データの各層の特徴値を利用装置120に送信する。利用装置120の複製特徴値算出手段122は、複製である三次元点群階層データの各層の特徴値を算出する。同一性確認手段124は、算出した複製三次元点群階層データの各層の特徴値が、データ登録システム100から取得したオリジナル三次元点群階層データの各層の特徴値と合致するかを確認する。両者が合致していれば、同一性確認手段124は、複製である三次元点群階層データがオリジナルの三次元点群階層データと同一である旨を出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
前記オリジナル三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値を算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、
前記登録すべきオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、
前記利用装置からの要求に応じて、オリジナル三次元階層データの各層の特徴値を当該利用装置に送信する特徴値送信手段とを備え、
前記利用装置は、
同一性確認の対象である複製三次元階層データに対応するオリジナル三次元階層データの特徴値を、前記データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、
前記複数三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を算出する複製特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値が、前記オリジナル三次元点群下位層データの各層の全体特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたこと
を特徴とする同一性確認システム。
【請求項2】
一または複数の装置を備えたデータ登録システムであって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
前記オリジナル三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値を算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、
前記登録すべきオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、
前記利用装置からの要求に応じて、オリジナル三次元階層データの各層の特徴値を当該利用装置に送信する特徴値送信手段と、
を備えたデータ登録システム。
【請求項3】
同一性確認の対象である複製三次元階層データに対応するオリジナル三次元階層データの特徴値を、データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、
前記複数三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を算出する複製特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値が、前記オリジナル三次元点群下位層データの各層の全体特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
を備えた利用装置。
【請求項4】
利用装置をコンピュータによって実現するための利用プログラムであって、コンピュータを、
同一性確認の対象である複製三次元階層データに対応するオリジナル三次元階層データの特徴値を、データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、
前記複数三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を算出する複製特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値が、前記オリジナル三次元点群下位層データの各層の全体特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段として機能させるための利用プログラム。
【請求項5】
請求項1のシステム、請求項2、3の装置または請求項4のプログラムにおいて、
前記特徴値は、三次元階層データの各層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値と、前記各層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値とを含み、
前記全体特徴値は、
対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、
前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、
前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値と
を含むこと特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項6】
請求項1のシステムまたは請求項2の装置において、
前記データ登録システムは、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と、
をさらに備えていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項7】
請求項6のシステムまたは装置において、
前記基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項8】
請求項1のシステム、請求項3の装置または請求項4のプログラムにおいて、
前記複製三次元階層データは、前記オリジナル三次元階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項9】
請求項1のシステム、請求項2、3の装置または請求項4のプログラムにおいて、
前記特徴値は、ハッシュ値であることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項10】
請求項1のシステム、請求項2、3の装置または請求項4のプログラムにおいて、
前記利用装置は、インターネット上のサーバ装置として構築されていることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項11】
一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
前記オリジナル三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、
前記登録すべきオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、
前記利用装置から受信した複製三次元点群データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出する複製特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の特徴値に合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
前記同一性の確認結果を前記利用装置に送信する確認結果送信手段とを備え、
前記利用装置は、
同一性確認の対象である複製三次元階層データを前記データ登録システムに送信する複製データ送信手段と、
前記データ登録システムから確認結果を受信する確認結果取得手段とを備えたこと
を特徴とする同一性確認システム。
【請求項12】
一または複数の装置を備えたデータ登録システムであって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
前記オリジナル三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、
前記登録すべきオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、
前記利用装置から受信した複製三次元点群データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出する複製特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の特徴値に合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
前記同一性の確認結果を前記利用装置に送信する確認結果送信手段と、
を備えたデータ登録システム。
【請求項13】
請求項11のシステムまたは請求項12の装置において、
前記特徴値は、三次元階層データの各層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値と、前記各層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値とを含み、
前記全体特徴値は、
対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、
前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、
前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値と
を含むこと特徴とするシステムまたは装置。
【請求項14】
請求項11のシステムまたは請求項12の装置において、
前記データ登録システムは、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と、
をさらに備えていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項15】
請求項14のシステムまたは装置において、
前記基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項16】
請求項11のシステムまたは請求項12の装置において、
前記複製三次元階層データは、前記オリジナル三次元階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項17】
請求項11のシステムまたは請求項12の装置において、
前記特徴値は、ハッシュ値であることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項18】
一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
前記オリジナル三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、
前記登録すべきオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、
前記複数三次元階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を算出する複製特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値が、前記オリジナル三次元点群下位層データの各層の全体特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたこと
を特徴とする同一性確認システム。
【請求項19】
請求項1~4、11、12、18のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記三次元階層データに代えて、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データを対象とすることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項20】
一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、
前記利用装置からの要求に応じて、オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を当該利用装置に送信する特徴値送信手段とを備え、
前記利用装置は、
同一性確認の対象である複製三次元階層データに対応するオリジナル三次元階層データの全体特徴値および下位層部分特徴値を、前記データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、
前記複製三次元階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたこと
を特徴とする同一性確認システム。
【請求項21】
一または複数の装置を備えたデータ登録システムであって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、
前記利用装置からの要求に応じて、オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を当該利用装置に送信する特徴値送信手段と、
を備えたデータ登録システム。
【請求項22】
同一性確認の対象である複製三次元階層データに対応するオリジナル三次元階層データの全体特徴値および下位層部分特徴値を、前記データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、
前記複製三次元階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
を備えた利用装置。
【請求項23】
利用装置をコンピュータによって実現するための利用プログラムであって、コンピュータを、
同一性確認の対象である複製三次元階層データに対応するオリジナル三次元階層データの全体特徴値および下位層部分特徴値を、前記データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、
前記複製三次元階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段として機能させるための利用プログラム。
【請求項24】
請求項20のシステム、請求項21、22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記全体特徴値、下位層部分特徴値の一方または双方は、
対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、
前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、
前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値と
を備えることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項25】
請求項20のシステム、請求項21、22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記データ登録システムは、
登録すべき新たなオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を含むデータの統合特徴値と、登録すべき新たなオリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値と、下位層部分特徴値とを含むデータの統合特徴値を、前記登録すべき新たなオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段をさらに備えることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項26】
請求項20のシステムまたは請求項21の装置において、
前記データ登録システムは、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と、
をさらに備えていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項27】
請求項26のシステムまたは装置において、
前記基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項28】
請求項20のシステム、請求項22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記複製三次元階層データは、前記オリジナル三次元階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項29】
請求項20のシステム、請求項21、22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記特徴値は、ハッシュ値であることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項30】
請求項20のシステム、請求項21、22の装置または請求項23のプログラムにおいて、
前記利用装置は、インターネット上のサーバ装置として構築されていることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項31】
一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、
前記オリジナル三次元階層データを複製した複製三次元階層データを前記利用装置から取得する複製データ取得手段と、
受信した複製三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
前記同一性の確認結果を前記利用装置に送信する確認結果送信手段とを備え、
前記利用装置は、
前記複製三次元階層データを前記データ登録システムに送信する複製データ送信手段と、
前記データ登録システムからの確認結果を受信する確認結果取得手段と、
を備えたことを特徴ととする同一性確認システム。
【請求項32】
一または複数の装置を有するデータ登録システムであって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、
前記オリジナル三次元階層データを複製した複製三次元階層データを前記利用装置から取得する複製データ取得手段と、
受信した複製三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
前記同一性の確認結果を前記利用装置に送信する確認結果送信手段と、
を備えたデータ登録システム。
【請求項33】
請求項31のシステムまたは請求項32の装置において、
前記全体特徴値、下位層部分特徴値の一方または双方は、
対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、
前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、
前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値と
を備えることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項34】
請求項31のシステムまたは請求項32のプログラムにおいて、
前記データ登録システムは、
登録すべき新たなオリジナル三次元階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を含むデータの統合特徴値と、登録すべき新たなオリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値と、下位層部分特徴値とを含むデータの統合特徴値を、前記登録すべき新たなオリジナル三次元階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段をさらに備えることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項35】
請求項31のシステムまたは請求項32の装置において、
前記データ登録システムは、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と、
をさらに備えていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項36】
請求項35のシステムまたは装置において、
前記基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項37】
請求項31のシステムにおいて、
前記複製三次元階層データは、前記オリジナル三次元階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項31のシステムまたは請求項32の装置において、
前記特徴値は、ハッシュ値であることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項39】
一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、
前記オリジナル三次元階層データを複製した複製三次元階層データを取得する複製データ取得手段と、
受信した複製三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、
前記複製三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、
を備えたことを特徴ととする同一性確認システム。
【請求項40】
請求項20~23、31、32、39のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記三次元階層データに代えて、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データを対象とすることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項41】
三次元階層データに特徴値を付すための特徴値付与装置であって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、
を備えた特徴値付与装置。
【請求項42】
三次元階層データに特徴値を付すための特徴値付与装置をコンピュータによって実現するための特徴値付与プログラムであって、コンピュータを、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元階層データを取得する登録データ取得手段と、
受信したオリジナル三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段として機能させるための特徴値付与プログラム。
【請求項43】
請求項20の装置または請求項21のプログラムにおいて、
前記全体特徴値、下位層部分特徴値の一方または双方は、
対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、
前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、
前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値と、
を備えることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項44】
請求項41または42のいずれかの装置またはプログラムにおいて、
前記取得手段は、
三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、
基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、
内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元階層データを生成し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項45】
請求項41または42のいずれかの装置またはプログラムにおいて、
前記三次元階層データに代えて、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データを対象とすることを特徴とする装置またはプログラム。
【請求項46】
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた三次元階層データであって、
最上位層のボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、
当該ボクセルを複数個の下位層のボクセルとし、当該下位層のボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、
上位層のボクセルに含まれる下位層のボクセルのそれぞれに、前記対象物が含まれるか否かを判断し、当該下位層のボクセルに対象物が含まれるか否かを示す存否データを付与する処理を、最上位層ボクセルから最下位層ボクセルにわたって行い構成された三次元階層データであって、
当該三次元階層データの最上層と最下層以外の各層について算出された当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値が各層に対応付けて付与され、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値が各ボクセルに対応付けて記録された三次元階層データ。
【請求項47】
同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データであって、
最上位層のピクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、
当該ピクセルを複数個の下位層のピクセルとし、当該下位層のピクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、
上位層のピクセルに含まれる下位層のピクセルのそれぞれに、前記対象物が含まれるか否かを判断し、当該下位層のピクセルに対象物が含まれるか否かを示す存否データを付与する処理を、最上位層ピクセルから最下位層ピクセルにわたって行い構成された二次元点群階層データであって、
当該二次元点群階層データの最上層と最下層以外の各層について算出された当該層のピクセル全体の特徴を示す全体特徴値が各層に対応付けて付与され、
当該層の各ピクセルについて、当該ピクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のピクセルの特徴を示す下位層部分特徴値が各ピクセルに対応付けて記録された二次元点群階層データ。
【請求項48】
特徴値付きの三次元階層データの生産方法であって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた三次元階層データを取得する取得手段と、
取得した三次元階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録する全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録する下位層部分特徴値算出手段と、
を備えた特徴値付きの三次元階層データの生産方法。
【請求項49】
特徴値付きの二次元点群階層データの生産方法であって、
同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた二次元点群階層データを取得する取得手段と、
取得した二次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録する全体特徴値算出手段と、
当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録する下位層部分特徴値算出手段と、
を備えた特徴値付きの二次元点群階層データの生産方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子データの同一性を確認するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手元にある電子データがオリジナルの電子データと同一であって改竄がなされていないかどうかをチェックするシステムが提案されている。たとえば、特許文献1には、次のようなシステムが開示されている。ディジタル証明書のデータの特徴を表すハッシュ値をブロックチェーンネットワークに登録する。これにより、当該ハッシュ値の改竄を防止している。その上で、利用者は、手元にあるディジタル証明書のハッシュ値を算出し、これがブロックチェーンネットワークに登録されているハッシュ値と合致するかを確認することで、ディジタル証明書が改竄されておらず真正なものであるかを確認する。
【0003】
このシステムによれば、入手したディジタル証明書が改竄されていないことを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-90113
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の技術においては、データが真正なものであるかどうかを判断することができるものの、データのいずれの部分が改竄され、いずれの部分が改竄されていないかを判断することはできない。
【0006】
本件発明者らは、LiDARやMMS(モービルマッピングシステム)などを用いて対象物を計測して得た三次元点群データを元に、解像度の異なる複数の三次元点群データを階層状に構築した三次元点群階層データを既に発明している。
【0007】
この三次元点群階層データでは、下位層の解像度の高いデータに改竄があったとしても上位層の解像度の低いデータには影響がない場合もある。このような三次元点群階層データに関し、上記のような従来技術では、データのいずれの部分に改竄があったかを見いだすのは容易ではなかった。
【0008】
この発明は、上記のような問題点を解決して、三次元点群階層データに関し、いずれの部分が改竄されているかを容易に特定できる電子データの同一性確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の独立して適用可能な特徴を以下に列挙する。
【0010】
(1)~(4)一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、前記オリジナル三次元点群階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値を算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元点群階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、前記利用装置からの要求に応じて、オリジナル三次元点群階層データの各層の特徴値を当該利用装置に送信する特徴値送信手段とを備え、
前記利用装置は、同一性確認の対象である複製三次元点群階層データに対応するオリジナル三次元点群階層データの特徴値を、前記データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、前記複数三次元点群階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を算出する複製特徴値算出手段と、前記複製三次元点群階層データの各層の全体特徴値が、前記オリジナル三次元点群下位層データの各層の全体特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
したがって、データ登録システムに登録されたオリジナルとの合致性を確認することができる。
【0012】
(5)この発明に係る同一性確認システムは、特徴値が、三次元点群階層データの各層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値と、前記各層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値とを含み、
全体特徴値が対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値とを含むこと特徴としている。
【0013】
したがって、不一致を生じたボクセルがいずれであるかの特定が容易である。
【0014】
(6)この発明に係る同一性確認システムは、データ登録システムが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元点群階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と備えていることを特徴としている。
【0015】
したがって、三次元点群階層データを生成することができる。
【0016】
(7)この発明に係る同一性確認システムは、基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴としている。
【0017】
したがって、異なる三次元点群階層データ同士の位置関係を明確にすることができる。
【0018】
(8)この発明に係る同一性確認システムは、複製三次元点群階層データが、前記オリジナル三次元点群階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴としている。
【0019】
したがって、一部分の複製についても同一性の判断をすることができる。
【0020】
(9)この発明に係る同一性確認システムは、特徴値が、ハッシュ値であることを特徴としている。
【0021】
したがって、ハッシュ値を用いた同一性判断を行うことができる。
【0022】
(10)この発明に係る同一性確認システムは、利用装置が、インターネット上のサーバ装置として構築されていることを特徴としている。
【0023】
(11)(12)この発明に係る同一性確認システムは、一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、前記オリジナル三次元点群階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元点群階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、前記利用装置から受信した複製三次元点群データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出する複製特徴値算出手段と、前記複製三次元点群階層データの各層の特徴値が、前記オリジナル三次元点群階層データの各層の特徴値に合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、前記同一性の確認結果を前記利用装置に送信する確認結果送信手段とを備え、
前記利用装置は、同一性確認の対象である複製三次元点群階層データを前記データ登録システムに送信する複製データ送信手段と、前記データ登録システムから確認結果を受信する確認結果取得手段とを備えたことを特徴としている。
【0024】
したがって、データ登録システムに登録されたオリジナルとの合致性を確認することができる。
【0025】
(13)この発明に係る同一性確認システムは、特徴値が、三次元点群階層データの各層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値と、前記各層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値とを含み、
全体特徴値が、対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値とを含むこと特徴としている。
【0026】
したがって、不一致を生じたボクセルがいずれであるかの特定が容易である。
【0027】
(14)この発明に係る同一性確認システムは、データ登録システムが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元点群階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と備えていることを特徴としている。
【0028】
したがって、三次元点群階層データを生成することができる。
【0029】
(15)この発明に係る同一性確認システムは、基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴としている。
【0030】
したがって、異なる三次元点群階層データ同士の位置関係を明確にすることができる。
【0031】
(16)この発明に係る同一性確認システムは、複製三次元点群階層データが、前記オリジナル三次元点群階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴としている。
【0032】
したがって、一部分の複製についても同一性の判断をすることができる。
【0033】
(17)この発明に係る同一性確認システムは、特徴値が、ハッシュ値であることを特徴としている。
【0034】
したがって、ハッシュ値を用いた同一性判断を行うことができる。
【0035】
(18)この発明に係る同一性確認システムは、一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた登録すべきオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、前記オリジナル三次元点群階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を含む特徴値算出し、当該特徴値を当該層に対応付けて記録するオリジナル特徴値算出手段と、前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元点群階層データの少なくとも複数層の特徴値を含むデータの統合特徴値と、前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データの複数層の特徴値とを含むデータの統合特徴値を算出して前記登録すべきオリジナル三次元点群階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段と、前記複数三次元点群階層データの各層のボクセル全体についての特徴を示す全体特徴値を算出する複製特徴値算出手段と、前記複製三次元点群階層データの各層の全体特徴値が、前記オリジナル三次元点群下位層データの各層の全体特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたことを特徴としている。
【0036】
したがって、データ登録システムに登録されたオリジナルとの合致性を確認することができる。
【0037】
(19)この発明に係る同一性確認システムは、三次元点群階層データに代えて、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データを対象とすることを特徴としている。
【0038】
したがって、二次元点群階層データについても同一性の判定を行うことができる。
【0039】
(20)~(23)この発明に係る同一性確認システムは、一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、受信したオリジナル三次元点群階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、前記利用装置からの要求に応じて、オリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を当該利用装置に送信する特徴値送信手段とを備え、
前記利用装置は、同一性確認の対象である複製三次元点群階層データに対応するオリジナル三次元点群階層データの全体特徴値および下位層部分特徴値を、前記データ登録システムから取得する特徴値取得手段と、前記複製三次元点群階層データの少なくとも第2層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴値を下位層部分特徴値として算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、前記複製三次元点群階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたことを特徴としている。
【0040】
したがって、データ登録システムに登録されたオリジナルとの合致性を確認することができる。
【0041】
(24)この発明に係る同一性確認システムは、全体特徴値、下位層部分特徴値の一方または双方が、対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値とを備えることを特徴としている。
【0042】
したがって、迅速に不一致ボクセルを特定することができる。
【0043】
(25)この発明に係る同一性確認システムは、データ登録システムが、登録すべき新たなオリジナル三次元点群階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を含むデータの統合特徴値と、登録すべき新たなオリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値と、下位層部分特徴値とを含むデータの統合特徴値を、前記登録すべき新たなオリジナル三次元点群階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段をさらに備えることを特徴としている。
【0044】
したがって、ブロックチェーンによって改竄がされないように特徴値を記録することができる。
【0045】
(26)この発明に係る同一性確認システムは、データ登録システムが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元点群階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と備えていることを特徴としている。
【0046】
したがって、三次元点群階層データを生成することができる。
【0047】
(27)この発明に係る同一性確認システムは、基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴としている。
【0048】
したがって、異なる三次元点群階層データ同士の位置関係を明確にすることができる。
【0049】
(28)この発明に係る同一性確認システムは、複製三次元点群階層データが、前記オリジナル三次元点群階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴としている。
【0050】
したがって、一部分の複製についても同一性の判断をすることができる。
【0051】
(29)この発明に係る同一性確認システムは、特徴値が、ハッシュ値であることを特徴としている。
【0052】
したがって、ハッシュ値を用いた同一性判断を行うことができる。
【0053】
(30)この発明に係る同一性確認システムは、利用装置が、インターネット上のサーバ装置として構築されていることを特徴としている。
【0054】
(31)(32)この発明に係る同一性確認システムは、一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、
前記データ登録システムは、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、受信したオリジナル三次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、前記オリジナル三次元点群階層データを複製した複製三次元点群階層データを前記利用装置から取得する複製データ取得手段と、受信した複製三次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、前記複製三次元点群階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段と、前記同一性の確認結果を前記利用装置に送信する確認結果送信手段とを備え、
前記利用装置は、前記複製三次元点群階層データを前記データ登録システムに送信する複製データ送信手段と、前記データ登録システムからの確認結果を受信する確認結果取得手段とを備えたことを特徴としている。
【0055】
したがって、データ登録システムに登録されたオリジナルとの合致性を確認することができる。
【0056】
(33)この発明に係る同一性確認システムは、全体特徴値、下位層部分特徴値の一方または双方が、対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値とを備えることを特徴としている。
【0057】
したがって、迅速に不一致ボクセルを特定することができる。
【0058】
(34)この発明に係る同一性確認システムは、データ登録システムが、登録すべき新たなオリジナル三次元点群階層データを取得すると、既に登録済みの他のオリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値および下位層部分特徴値を含むデータの統合特徴値と、登録すべき新たなオリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値と、下位層部分特徴値とを含むデータの統合特徴値を、前記登録すべき新たなオリジナル三次元点群階層データに対応付けて記録するブロックチェーン手段をさらに備えることを特徴としている。
【0059】
したがって、ブロックチェーンによって改竄がされないように特徴地を記録することができる。
【0060】
(35)この発明に係る同一性確認システムは、データ登録システムが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元点群階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と備えていることを特徴としている。
【0061】
したがって、三次元点群階層データを生成することができる。
【0062】
(36)この発明に係る同一性確認システムは、基準層ボクセルは、緯度経度標高に基づいて予め定められた位置にメッシュ状に配置されたものの一つであることを特徴としている。
【0063】
したがって、異なる三次元点群階層データ同士の位置関係を明確にすることができる。
【0064】
(37)この発明に係る同一性確認システムは、複製三次元点群階層データが、前記オリジナル三次元点群階層データの一部を複製したものであり、少なくとも一つの階層を含むことを特徴としている。
【0065】
したがって、一部分の複製についても同一性の判断をすることができる。
【0066】
(38)この発明に係る同一性確認システムは、特徴値が、ハッシュ値であることを特徴としている。
【0067】
したがって、ハッシュ値を用いた同一性判断を行うことができる。
【0068】
(39)この発明に係る同一性確認システムは、一または複数の装置を有するデータ登録システムと、当該データ登録システムと通信可能な利用装置とを備えた同一性確認システムであって、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、受信したオリジナル三次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段と、前記オリジナル三次元点群階層データを複製した複製三次元点群階層データを取得する複製データ取得手段と、受信した複製三次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出する複製全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出する複製下位層部分特徴値算出手段と、前記複製三次元点群階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値が、前記オリジナル三次元点群階層データの各層の全体特徴値、下層部分特徴値と合致するか否かを確認し同一性を確認する同一性確認手段とを備えたことを特徴としている。
【0069】
したがって、データ登録システムに登録されたオリジナルとの合致性を確認することができる。
【0070】
(40)この発明に係る同一性確認システムは、三次元点群階層データに代えて、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データを対象とすることを特徴としている。
【0071】
従って、二次元点群階層データについて同一性を判断することができる。
【0072】
(41)(42)この発明に係る特徴値付与装置は、三次元点群階層データに特徴値を付すための特徴値付与装置であって、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられたオリジナル三次元点群階層データを取得する登録データ取得手段と、受信したオリジナル三次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録するオリジナル全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録するオリジナル下位層部分特徴値算出手段とを備えている。
【0073】
したがって、三次元点群階層データのボクセルの特徴を示す特徴値を付すことができる。
【0074】
(43)この発明に係る特徴値付与装置は、全体特徴値、下位層部分特徴値の一方または双方は、対象となる層のボクセルを複数個のボクセルから構成される群に分けたときの各群のボクセルについての最下位特徴値と、前記最下位特徴値を複数個の特徴値から構成される群に分けたときの各群の特徴値についての中位特徴値と、前記複数個の中位特徴値についての最上位特徴値とを備えることを特徴としている。
【0075】
したがって、比較時に不一致箇所を特定しやすい特徴値を付すことができる。
【0076】
(44)この発明に係る特徴値付与装置は、データ登録システムが、三次元空間において計測された三次元点群データのうち、少なくとも処理対象となる対象三次元点群データを取得する三次元点群データ取得手段と、基準層のボクセルを単位とする基準層のメッシュにおいて、前記対象三次元点群データが含まれる内実ボクセルを決定する基準層ボクセル決定手段と、内実ボクセルを、予め定められた複数の下位層のボクセルに分割した下位層のメッシュにおいて、下位層のボクセルのそれぞれが、前記対象三次元点群データの点を含む内実ボクセルであるか、前記対象三次元点群データの点を含まない空ボクセルであるかを判断し、当該内実ボクセルに関し、さらに下位の下位層のメッシュについて同様の処理を繰り返して階層構造を有する三次元点群階層データを生成し、当該空ボクセルに関し、それより下位の下位層のメッシュについての処理を行わない階層データ生成手段と備えていることを特徴としている。
【0077】
したがって、三次元点群階層データを生成することができる。
【0078】
(45)この発明に係る特徴値付与装置は、三次元点群階層データに代えて、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データを対象とすることを特徴としている。
【0079】
したがって、二次元点群階層データに対して特徴値を付すことができる。
【0080】
(46)この発明に係る三次元点群階層データは、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた三次元点群階層データであって、最上位層のボクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、当該ボクセルを複数個の下位層のボクセルとし、当該下位層のボクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、上位層のボクセルに含まれる下位層のボクセルのそれぞれに、前記対象物が含まれるか否かを判断し、当該下位層のボクセルに対象物が含まれるか否かを示す存否データを付与する処理を、最上位層ボクセルから最下位層ボクセルにわたって行い構成された三次元点群階層データであって、当該三次元点群階層データの最上層と最下層以外の各層について算出された当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値が各層に対応付けて付与され、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値が各ボクセルに対応付けて記録されたものである。
【0081】
したがって、同一性の判断を容易かつ迅速に行うことができる。
【0082】
(47)この発明に係る二次元点群階層データは、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のピクセルが関連づけられた二次元点群階層データであって、最上位層のピクセルを単位とする最上位層のメッシュを含み、該ピクセルを複数個の下位層のピクセルとし、当該下位層のピクセルによって構成される下位層のメッシュを、階層的に最下位層まで設けた階層的メッシュによる階層構造を有し、上位層のピクセルに含まれる下位層のピクセルのそれぞれに、前記対象物が含まれるか否かを判断し、当該下位層のピクセルに対象物が含まれるか否かを示す存否データを付与する処理を、最上位層ピクセルから最下位層ピクセルにわたって行い構成された二次元点群階層データであって、当該二次元点群階層データの最上層と最下層以外の各層について算出された当該層のピクセル全体の特徴を示す全体特徴値が各層に対応付けて付与され、当該層の各ピクセルについて、当該ピクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のピクセルの特徴を示す下位層部分特徴値が各ピクセルに対応付けて記録されたものである。
【0083】
したがって、同一性の判断を容易かつ迅速に行うことができる。
【0084】
(48)この発明に係る特徴値付きの三次元点群階層データの生産方法は、同一の対象についての解像度の異なる複数の三次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた三次元点群階層データを取得する取得手段と、取得した三次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録する全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録する下位層部分特徴値算出手段とを備えている。
【0085】
したがって、三次元点群階層データの特徴を表すデータの付された三次元点群階層データを生成することができる。
【0086】
(49)この発明に係る特徴値付きの二次元点群階層データの生産方法は、同一の対象についての解像度の異なる複数の二次元点群データが階層化され、各層間において対応する位置のボクセルが関連づけられた二次元点群階層データを取得する取得手段と、取得した二次元点群階層データの少なくとも第二層以下の各層について当該層のボクセル全体の特徴を示す全体特徴値を算出し、当該層に対応付けて記録する全体特徴値算出手段と、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに位置的に対応付けられた下位層の複数のボクセルの特徴を示す下位層部分特徴値を算出し、当該ボクセルに対応付けて記録する下位層部分特徴値算出手段とを備えている。
【0087】
したがって、二次元点群階層データの特徴を表すデータの付された二次元点群階層データを生成することができる。
【0088】
「登録データ取得手段」は、実施形態においては、ステップS1がこれに対応する。
【0089】
「オリジナル特徴値算出手段」は、実施形態においては、ステップS3がこれに対応する。
【0090】
「ブロックチェーン手段」は、実施形態においては、ステップS4、S5がこれに対応する。
【0091】
「特徴値送信手段」は、実施形態においては、ステップS51がこれに対応する。
【0092】
「特徴値取得手段」は、実施形態においては、ステップS33がこれに対応する。
【0093】
「複製特徴値算出手段」は、実施形態においては、ステップS31がこれに対応する。
【0094】
「同一性確認手段」は、実施形態においては、ステップS34がこれに対応する。
【0095】
「三次元点群階層データ」とは、解像度の異なる三次元点群データを階層状に対応付けた三次元点群データや、階層状に構築したボクセルのそれぞれに当該ボクセルに関連づけられた数値が記録されたような数値データなどを含む概念である。
【0096】
「装置」とは、1台のコンピュータによって構成されるものだけでなく、ネットワークなどを介して接続された複数のコンピュータによって構成されるものも含む概念である。したがって、本発明の手段(あるいは手段の一部でもよい)が複数のコンピュータに分散されている場合、これら複数のコンピュータが装置に該当する。
【0097】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム、オペレーティングシステムと協働してその機能を発揮するプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】この発明の一実施形態による同一性確認システムの機能構成図である。
図2】同一性確認システムのシステム構成である。
図3】分散協調型管理サーバ装置のハードウエア構成である。
図4】利用装置のハードウエア構成である。
図5】分散協調型管理サーバプログラムのフローチャートである。
図6】三次元点群階層データの構造を示す図である。
図7】データベースに記録された三次元点群階層データに関連づけて、ブロックチェーンに記録されたマークルツリーを示す図である。
図8】マークルツリーの構造を示す図である。
図9】ブロックチェーンによる記録方式を示す図である。
図10】同一性確認のフローチャートである。
図11】同一性修復のフローチャートである。
図12】同一性修復のフローチャートである。
図13】同一性修復のフローチャートである。
図14】全体マークルルートを用いた不一致ボクセルの特定を説明するための図である。
図15】部分マークルルートを用いた不一致ボクセルの特定を説明するための図である。
図16】第1の例による圧縮三次元点群データ生成装置の機能構成を示す図である。
図17】圧縮三次元点群データ生成装置のハードウエア構成を示す図である。
図18】圧縮三次元点群データ生成プログラムのフローチャートである。
図19】圧縮三次元点群データ生成プログラムのフローチャートである。
図20】圧縮三次元点群データ生成プログラムのフローチャートである。
図21】三次元点群データの例である。
図22】基準層メッシュ12における基準層ボクセル10を示す図である。
図23】基準層ボクセル10の下位層ボクセルへの分割を示す図である。
図24】位置に関する圧縮三次元点群データを示す図である。
図25図25Aは基準色のテーブルを示す図である。図25Bは基準色との誤差を算出するための式である。
図26】色に関する圧縮三次元点群データを示す図である。
図27】反射強度のテーブルを示す図である。
図28】反射強度に関する圧縮三次元点群データを示す図である。
図29】バイナリ化した圧縮三次元点群データを示す図である。
図30図30Aは三次元点群データであり、図30Bは圧縮三次元点群データに基づいて生成した圧縮データであり、図30Cは圧縮三次元点群データに基づいて生成したより圧縮率の高い圧縮データである。
図31】圧縮三次元点群データ生成装置をサーバ装置として構築した場合の機能構成図である。
図32】第2の例によるデータ処理装置の機能構成を示す図である。
図33】三次元点群データの構成を示す図である。
図34】データ処理プログラムのフローチャートである。
図35】データ比較処理を説明するための図である。
図36】データ処理装置をサーバ装置として構築した場合の機能構成図である。
図37】第3の例による特徴データ付与装置の機能構成素示す図である。
図38】特徴データ付与プログラムのフローチャートである。
図39】特徴データ付与プログラムのフローチャートである。
図40】特徴データ付与処理を説明するための図である。
図41】統合値の構造を示す図である。
図42】特徴データ付与装置をサーバ装置として構築した場合の機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0099】
1.第1の実施形態
1.1機能構成
図1に、この発明の一実施形態による同一性確認システムの機能構成を示す。この実施形態において、同一性確認システムは、データ登録システム100と利用装置120を備えている。
【0100】
データ登録システム100の登録データ取得手段102は、データ登録システム100に登録する対象であるオリジナルの三次元点群階層データを取得する。三次元点群階層データは、たとえば、対象物の表面形状を点群にて表したデータである。基準層ボクセル10が最上層にあり、第二層はこの基準層ボクセル10を細分化したボクセル20によって構成されている。第二層の各ボクセル20はさらに細分化され、この細分化されたボクセル30によって第三層が構成されている。図においては、分離して示しているが、第三層のボクセル30全体で、大きな直方体を構成している。第1層も、第2層も、第3層も、その外形は、三次元空間においては同じ位置を示しており、解像度が異なっている。以下、同様にして、最下層までボクセルが細分化されて構築されている。
【0101】
いずれの層のデータも、同じ対象物の表面形状を点群にて表したものであるが、最下層のボクセルによるデータは最も解像度が高く、層が上がるごとに解像度が低くなる。
【0102】
登録データ取得手段102によって取得された三次元点群階層データについて、オリジナル特徴値算出手段104によって特徴値が算出される。オリジナル特徴値算出手段104は、三次元点群階層データの各層について、層を構成する全てのデータの特徴を示す特徴値(ハッシュ値など)を算出する。
【0103】
ブロックチェーン手段106は、三次元点群階層データごとに各層の特徴値をブロック化し、ブロックチェーンの仕組みを用いて登録を行う。新たな三次元点群データが登録されるごとにブロックが形成され、各層の特徴値を含む前のブロック全体のブロック特徴値を含めて、各層の特徴値を含む次のブロック全体のブロック特徴値を算出するようにしている。このようにブロックがブロック特徴値によって連続しているので、連続するブロックのブロック特徴値の整合性を維持しつつ登録されている各層の特徴値を改竄することは極めて困難である。
【0104】
このようにして、データ登録システム100に登録されている各層の特徴値は、改竄されないものであることが保証されている。
【0105】
三次元点群階層データの複製を有する利用者は、手元にある当該複製が、上記のデータ登録システム100によって登録された三次元点群階層データと同一であるかどうかを確認することができる。利用者は、利用装置120から、データ登録システム100に当該三次元点群階層データの特徴値を要求する。データ登録システム100の特徴値送信手段108は、当該三次元点群階層データの各層の特徴値を利用装置120に送信する。
【0106】
利用装置120の複製特徴値算出手段122は、複製である三次元点群階層データの各層の特徴値を算出する。同一性確認手段124は、算出した複製三次元点群階層データの各層の特徴値が、データ登録システム100から取得したオリジナル三次元点群階層データの各層の特徴値と合致するかを確認する。
【0107】
両者が合致していれば、同一性確認手段124は、複製である三次元点群階層データがオリジナルの三次元点群階層データと同一である旨を出力する。これにより、複製である三次元点群階層データを使用する者や、当該三次元点群階層データに基づいて生成されたデータを使用する者は、改竄や記録エラーのないオリジナルと同じ三次元点群データであることを確認することができる。
【0108】
1.2システム構成およびハードウエア構成
図2に、この発明の一実施形態による同一性確認システムのシステム構成を示す。この実施形態では、データ登録システム100は、コンソーシアム型(パブリック型、プライベート型であってもよい)のブロックチェーン・システムとして構築されている。データ登録システム100は、複数の分散協調型管理サーバ装置110を備え、分散型の台帳によってデータの登録を行うシステムである。
【0109】
図3に、分散協調型管理サーバ装置110のハードウエア構成を示す。CPU140には、メモリ142、SSD144、DVD-ROMドライブ146、通信回路148が接続されている。通信回路148は、インターネットに接続するための回路である。
【0110】
SSD144には、オペレーティングシステム150、管理サーバプログラム152が記録されている。管理サーバプログラム152は、オペレーティングシステム150と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM154に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ146を介して、SSD144にインストールしたものである。
【0111】
図4に、利用装置120のハードウエア構成を示す。CPU160には、メモリ162、ディスプレイ164、SSD166、DVD-ROMドライブ168、キーボード/マウス170、通信回路172が接続されている。通信回路172は、インターネットに接続するための回路である。
【0112】
SSD166には、オペレーティングシステム174、同一性確認プログラム176が記録されている。同一性確認プログラム176は、オペレーティングシステム174と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM178に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ168を介して、SSD166にインストールしたものである。
【0113】
1.3データ登録処理
この実施形態では、まず、登録を希望するユーザ装置(多くの場合利用装置120とは別の装置であるが、ハードウエア構成は利用装置120と同様である)から、データ登録システム100にオリジナルの三次元点群階層データを登録することが行われる。この際の管理サーバプログラム152のフローチャートを図5に示す。
【0114】
分散協調型管理サーバ装置110のCPU140(以下、分散協調型管理サーバ装置110と省略することがある)は、ユーザ装置から登録対象である三次元点群階層データを取得する(ステップS1)。
【0115】
ここで、三次元点群階層データは、たとえば、MMS(モービルマッピングシステム)により、自動車を走行させながらレーザによって地物などの表面点までの距離を計測し、これらの計測データを再構築して、地物などの表面点の三次元座標を示した三次元点群データに基づいて階層的に形成されたものである。三次元点群階層データは、本発明の発明者らによって開発されたデータ形式である。その作成方法などは後に詳述するが、以下、その構造について簡単に説明する。
【0116】
三次元点群階層データのデータ構造例を、図6に示す。最上位層(基準層)にはボクセル10が一つだけ含まれている。この下位層である第1下位層には、ボクセル10を緯度・経度・高さ方向に分割したボクセル20、22が設けられている。図に示すように、第1下位層においては、対象物の存在するボクセル20(データとしては「1」)と、対象物の存在しないボクセル22(データとしては「0」)が設けられている。第1下位層の各ボクセルは、さらに第2下位層のボクセル30、32に分割される。このように、最下位層まで、階層構造の三次元点群データが構築されている。なお、図6において第2下位層は、対応する第1下位層のボクセルごとに分離して示しているが、第2下位層のボクセル全体で大きな立方体を構成している。
【0117】
上位ボクセルに対応する下位のボクセルに一つでも「1」のボクセルがあれば、当該上位ボクセルを「1」とするようにしている。したがって、いずれの下位層も同じ対象物に対する三次元点群データでありながら、最下位層の三次元点群データは最も解像度が高く、上位層に行くにつれて解像度が低くなっていくように構築されている。
【0118】
この実施形態では、「0」のボクセルに対応する下位ボクセルのデータは保持しないようにして、データ容量を削減するようにしている。しかし、これら下位ボクセルのデータも保持するようにしてもよい。
【0119】
また、三次元点群階層データの各層において、各ボクセルにはその座標位置を特定するための位置IDが付されている。この位置IDは、所定の大きさのボクセルについて規格などによって定められたものを用いることが好ましい。当該規格によって位置IDが定められているボクセルについては、そのまま位置IDを付加して記録すればよい。また、当該ボクセルより下層の対応するボクセルには、当該ボクセルの位置IDと同じものを付加して記録するとよい。さらに、当該ボクセルを含む複数のボクセルが、上位のボクセルに対応している。上位のボクセルには、当該ボクセルを含む複数のボクセルの位置IDを全て記録するとよい。
【0120】
分散協調型管理サーバ装置110は、受信した三次元点群階層データをデータベースに記録する(ステップS2)。この際、図7に示すように、三次元点群データに対してユニークな識別符号を与えて記録する。図示していないが、三次元点群階層データの名称や説明なども併せて記録される。このデータベースは、分散協調型管理サーバ装置110内に設けてもよいし、外部に設けたものであってもよい。
【0121】
次に、分散協調型管理サーバ装置110は、登録した三次元点群階層データのマークルツリーを算出する(ステップS3)。マークルツリーは、段階的に構築されたハッシュ値である。図8を参照し、たとえば、最下段のボクセルについて、2個ずつをペアとしてその値(「1」または「0」)のハッシュ値を算出する。図8の下に示すように、ボクセル1と2、ボクセル3と4・・・というように、位置的に隣接するボクセルのペアを形成し、そのハッシュ値αを算出する。この例では、最下段のボクセルとして216個のボクセルがあるので、ハッシュ値αは108個生成されることになる。
【0122】
さらに、分散協調型管理サーバ装置110は、位置的に隣接するハッシュ値について、2個ずつをペアとして、ハッシュ値αのハッシュ値βを算出する。ハッシュ値αは108個あるので、ハッシュ値βは54個生成されることになる。
【0123】
以上の処理を繰り返して行うことで、図8に示すように一つのハッシュ値ωまで段階的にハッシュ値を得ることができる(ハッシュ値が奇数個の場合には、最後のハッシュ値を複製して偶数個にする)。このハッシュ値ωをマークルルートと呼ぶ。また、マーククルートを含めて以下の段階的なハッシュ値をマークルツリーと呼ぶ。分散協調型管理サーバ装置110は、以上のようにして最下位層のボクセル全体についての全体マークルツリーを生成する。
【0124】
マークルツリーを用意しておけば、マークルルートから順に照合を行うことで、いずれのボクセルに改竄があったかを容易に特定することができる。
【0125】
以上のように、最下位層のマークルツリーを算出すると、分散協調型管理サーバ装置110は、一つ上の層である第n下位層について、当該層を構成する全ボクセルについて、上記と同じようにマークルツリーを算出する。
【0126】
分散協調型管理サーバ装置110は、以上の処理を繰り返し、第1下位層までについてのマークルツリーを算出する(図7参照)。このようにして、最上位層(基準層)を除く各層について、マークルツリーが生成される。なお、この例のように最上位層が1ボクセルである場合には、算出する意味が無いため、最上位層についてのマークルツリーは算出されない。
【0127】
さらに、分散協調型管理サーバ装置110は、各層の各ボクセルについて、当該ボクセルに対応する下位層のボクセル群について、部分マークルツリーを算出する。たとえば、図6のボクセルAであれば、これに対応する下位層のボクセル群Bについての部分マークルツリーを算出し、ボクセルAに関連づけて記録する。分散協調型管理サーバ装置110は、これを各層(最下位層を除く)の全てのボクセルについて行う。このように、ボクセルAに対応する下位層の部分的なボクセル群Bについても部分マークルツリーを記録しておくことで、ボクセルAについて改竄が見いだされたときに、ボクセル群Bのうちのいずれに改竄があったかの特定が容易である。
【0128】
図7に、データベースに記録された三次元点群階層データと、算出されたマークルツリーとの関係を示す。三次元点群階層データの各層に対応付けて、当該層に含まれる全ボクセルの全体マークルツリーが算出され、当該層の各ボクセルについて、当該ボクセルに対応する下位層のボクセル群の部分マークルツリーが算出される。
【0129】
続いて、分散協調型管理サーバ装置110は、三次元点群データの記録された場所のURI(データにたどり着ける情報なら何であってもよい)、第1下位層から再下位層までの全体マークルツリー、部分マークルツリーを、他の分散協調型管理サーバ装置110と協調して、ブロックチェーンとしてSSD144に記録する(ステップS4)。
【0130】
図9に、ブロックチェーンのトランザクションとして登録された例を示す。今回の登録対象であるURI、全体マークルルート、部分マークルルートを一つのブロックにしてトランザクションとする。図においては、ブロックBLKnが今回の登録対象である。
【0131】
分散協調型管理サーバ装置110は、トランザクションとしたURI、全体マークルツリー、部分マークルツリーに、前回登録済みの三次元点群階層データ(他の人による登録である場合が多い)のブロックBLKn-1全体のハッシュ値(統合特徴値)を加えて、今回登録するブロックBLKnとして記録する。この登録は、他の複数の分散協調型管理サーバ装置110によって承認される。
【0132】
上記のように、登録されたブロックBLKnには、前のブロックBLKn-1全体のハッシュ値が含まれている。さらに、前のブロックBLKn-1には、そのさらに前のブロックBLKn-2全体のハッシュ値が含まれている。したがって、登録済みのブロック内のトランザクションを改竄しようとすると、それ以降のブロックのハッシュ値との整合性がとれなくなる。この整合性を崩さずに改竄を行うことは困難であるから、現実的には改竄が不可能となっている。
【0133】
分散協調型管理サーバ装置110は、ブロックBLKnを登録すると、ブロックコードn(ブロックを識別するための識別子)を、三次元点群階層データに対応付けて記録する(ステップS5)。以上のようにして、三次元点群階層データが登録される。
【0134】
1.4複製配布処理
分散協調型管理サーバ装置110に記録された三次元点群階層データは、インターネットなどを介して、当該データの利用を希望する特定のユーザがダウンロード可能となっている。
【0135】
図10に、分散協調型管理サーバ装置110に対して三次元点群階層データのダウンロードを要求して、三次元点群階層データの複製を取得する処理のフローチャートを示す。
【0136】
ダウンロードを行うユーザは、PC(図4と同様の構成である)を用いて、インターネットを介し、分散協調型管理サーバ装置110にアクセスし、三次元点群階層データ一覧を要求する(ステップS11)。この一覧要求は、三次元点群データの属性(場所など)を特定して行うようにしてもよい。
【0137】
分散協調型管理サーバ装置110は、これを受けて、三次元点群階層データの一覧を送信する(ステップS21)。ユーザPCにこの一覧が表示されるので、ユーザは、三次元点群階層データを選択し、ダウンロード要求を行う(ステップS12)。
【0138】
分散協調型管理サーバ装置110は、ブロックチェーンとして記録している三次元点群階層データのURIを読み出す(ステップS22)。さらに、当該URIに基づいて要求された三次元点群階層データを、データベースから読み出す(ステップS23)。分散協調型管理サーバ装置110は、読み出した三次元点群データ(当該三次元点群階層データの識別符号を含む)をユーザPCに送信する(ステップS24)。
【0139】
ユーザPCはこれを受信して記録する(ステップS14)。このようにして、ユーザPCは、三次元点群階層データの複製を得ることができる。
【0140】
ユーザは、この三次元点群階層データを自ら使用して加工データを生成したりするなどして、三次元点群階層データを利用することができる。また、加工データの配布時に三次元点群階層データを付してその過去データの根拠を示すこともできる。あるいは、三次元点群階層データを単独で、他人に配布する場合もある。
【0141】
なお、分散協調型管理サーバ装置110から、三次元点群階層データだけでなく、全体マークルルート、部分マークルルートも送信するようにしてもよい。
【0142】
1.4同一性確認処理
上記のように三次元点群階層データの複製は、利用者の間を転々とすることになる。このため、上記のデータ登録サーバ装置110に直接アクセスして三次元点群階層データの複製を得たものであれば、その複製がオリジナルと同一であることは担保されるが、他の利用者から取得するなど間接的に三次元点群階層データの複製を得た場合には、オリジナルと同一であるかどうかが担保されない。改竄や通信・複製エラーによる誤りなどが生じている可能性があるためである。
【0143】
以下では、このような場合に、利用者が利用装置120を用いて、手元にある三次元点群階層データの複製が、登録されたオリジナルの三次元点群階層データと同じであることを確認する処理について説明する。
【0144】
利用者装置120のCPU160(以下、利用者装置120と省略することがある)は、手元にある複製三次元点群階層データについて、各層についての全体マークルツリーを算出する(ステップS31)。全体マークルツリーの算出方法は、前述のとおりである。
【0145】
利用者装置120は、データ登録サーバ装置110に対し、オリジナルの三次元点群階層データについて、各層の全体マークルツリーを要求する(ステップS32)。データ登録サーバ装置110は、要求されたオリジナルの各層の全体マークルツリーを読み出して送信する(ステップS51)。
【0146】
利用者装置120は、オリジナル三次元点群階層データについて、各層の全体マークルツリーを受信する(ステップS33)。続いて、利用者装置120は、複製三次元点群階層データの各層の全体マークルルート(全体マークルルートの最上段のハッシュ値)と、オリジナルの三次元点群階層データの各層の全体マークルルート(全体マークルルートの最上段のハッシュ値)を比較する。
【0147】
全ての層において全体マークルルートが合致していれば(ステップS34)、複製三次元点群階層データは、オリジナルの三次元点群階層データと同一であることが保証されることになる。この場合、利用者装置120は、同一性が確認できた旨を、ディスプレイ164などに出力する(ステップS35)。
【0148】
いずれかの層において、マークルルートが一致しない場合には、オリジナルと複製との間に不一致が生じていることがわかる。この実施形態では、不一致があることだけでなく、不一致箇所を特定する処理を行うようにしている。不一致箇所が特定されれば、当該不一致箇所のみを分散協調型管理サーバ装置110に要求し、効率よく修正を行うことができる。
【0149】
ステップS34において、不一致が生じたと判断した場合には、ステップS36に進む。利用者装置120は、ステップS36において、不一致が、上下層に連続して生じているか否かを判断する。
【0150】
三次元点群階層データを複製したり通信したりする際に誤りが生じた場合には、特定の中間層一層のみに不一致が生じる可能性がある。この場合、利用者装置120は、図12に示す処理を実行する。
【0151】
まず、利用者装置120は、当該不一致が生じた層の全体マークルツリーを用いて、不一致ボクセルを特定する(ステップS37)。マークルツリーを用いた不一致ボクセルの特定処理を、図14を用いて説明する。
【0152】
図14は、不一致が生じた層のマークルツリーを示している。各ボックスは、ハッシュ値を示している(最下段はボクセルの値である)。白抜きになっているボックスは、複製とオリジナルにてハッシュ値が一致したところを示し、グレーになっているボックスは、複製とオリジナルにてハッシュ値が不一致となったところを示している。図14に示すように、マークルルートが不一致となっているので、この層を構成するいずれかのボクセル(1つ以上)の値が、オリジナルから変化していることがわかる。
【0153】
利用者端末装置120は、マークルルートの下の段のボックスにおいて、不一致となっている箇所を探し出す。不一致となっているボックスを見いだすと、さらにその下の段において、不一致となっている箇所を探し出す。以下同様の処理を繰り返すことで、不一致となっているボクセルUBを見いだすことができる。このように、マークルツリーを用いることで、効率的に不一致ボクセルを特定することができる。
【0154】
以上のようにして不一致ボクセルを特定すると、利用者端末装置120は、当該不一致ボクセルのデータを分散協調型管理サーバ装置110に要求する(ステップS38)。これを受けて、分散協調型管理サーバ装置110は、不一致ボクセルの正しいデータを送信する(ステップS52)。
【0155】
利用者装置120は、この正しいデータを受信して、不一致ボクセルのデータを書き換え、複製三次元点群階層データを修正する(ステップS39)。
【0156】
修正が終わると、利用者装置120は、修正済みの複製三次元点群階層データについて、ステップS31~S34を再度実行して、オリジナルと同一であるかどうかの確認をする(既に取得済のマークルルートを記録している場合には、ステップS32は実行しなくともよい)。
【0157】
同一性が確認できれば、利用者装置120は、その旨を出力して処理を終了する(ステップS35)。修正済みの複製三次元点群階層データにおいても、いまだ同一性が確認できなければ、再度ステップS36以下を実行して修正を行う。これを繰り返して、同一となるまで修正を行う。これにより、複製三次元点群階層データをオリジナルと同じ状態に修復することができる。
【0158】
上記のように、不一致層が一層だけである場合には、当該不一致層のマークルツリーを用いて不一致箇所を容易に特定して、修復することができる。
【0159】
一方、不一致層が複数層に渡って連続する場合、通信中のノイズなど偶発的な理由で不一致が生じたのではなく、上下層のボクセルの関係(上層のボクセルに対応する下層の複数のボクセルのいずれか一つでも「1」であれば、上層のボクセルは「1」となるという関係)を維持させつつ、意図的な改竄が行われた可能性がある。
【0160】
このような場合、利用者装置120は、ステップS36からステップS40(図13)に進む。ステップS40においては、不一致の生じた層のうち最も上の層について、マークルツリーを用いて不一致ボクセルを特定する。その手法は、前述のとおりである。たとえば、図15に示すように、不一致ボクセルUB1、UB2、UB3が見いだされたとする。
【0161】
次に、利用者装置120は、複製三次元点群階層データにつき、不一致を生じたボクセルUB1、UB2、UB3に対応する下位ボクセル群のマークルツリー(部分マークルツリー)を算出する(ステップS42)。利用者装置120は、オリジナル三次元点群階層データにつき、不一致を生じたボクセルに対応する下位ボクセル群のマークルツリー(部分マークルツリー)を、分散協調型管理サーバ装置110に要求する(ステップS43)。
【0162】
図7に示すように、各ボクセルに対応する下位ボクセル群のマークルツリー(部分マークルツリー)が、各ボクセルに関連づけて記録されているので、分散協調型管理サーバ装置110は、これを読み出して送信する(ステップS53)。
【0163】
利用者装置120は、オリジナルの部分マークツリーと複製の部分マークツリーを比較して不一致部分を求め、これにより下層ボクセル群の中から不一致ボクセルを特定する(ステップS44)。たとえば、図15に示すように、不一致ボクセルUB11、UB21、UB22、UB23、UB31が見いだされる。
【0164】
このようにして特定した不一致ボクセルについて、さらにその下層ボクセルの部分マークツリーを用いて不一致部分を特定するため、ステップS42~S44を繰り返す(ステップS41、S45)。不一致の生じた層のうちの最下層まで上記の処理を繰り返す。これにより、各層における不一致ボクセルを特定することができる。
【0165】
なお、上記の不一致ボクセル特定は、マークルルートにおいて不一致を生じた層ごとに、全体マークルツリーを用いた図12の処理を行うことによっても可能である。しかし、上述のように部分マークルツリーを用いて特定を行えば、処理が迅速であり効率的である。
【0166】
以上のようにして各層の不一致ボクセルを特定すると、利用者端末装置120は、当該不一致ボクセルのデータを分散協調型管理サーバ装置110に要求する(ステップS46)。これを受けて、分散協調型管理サーバ装置110は、不一致ボクセルの正しいデータを送信する(ステップS54)。
【0167】
利用者装置120は、この正しいデータを受信して、不一致ボクセルのデータを書き換え、複製三次元点群階層データを修正する(ステップS47)。
【0168】
修正が終わると、利用者装置120は、修正済みの複製三次元点群階層データについて、ステップS31~S34を再度実行して、オリジナルと同一であるかどうかの確認をする(既に取得済のマークルルートを記録している場合には、ステップS32は実行しなくともよい)。
【0169】
同一性が確認できれば、利用者装置120は、その旨を出力して処理を終了する(ステップS35)。修正済みの複製三次元点群階層データにおいても、いまだ同一性が確認できなければ、再度ステップS36以下を実行して修正を行う。これを繰り返して、同一となるまで修正を行う。これにより、複製三次元点群階層データをオリジナルと同じ状態に修復することができる。
【0170】
また、複製三次元点群階層データに不一致があったとしても、利用者が利用した部分(複製三次元点群階層データの一部分を用いて加工データを生成したような場合)に不一致がなければ問題は無いことになる。この場合においても、不一致ボクセルの特定が重要である。
【0171】
1.5その他
(1)上記実施形態では、各層の全体マークルツリーおよび部分マークルツリーを、ブロックチェーンにて記録するようにしている。しかし、全体マークルツリーのマークルルートのみ、部分マークルルートのマークルルートのみをブロックチェーンに記録するようにしてもよい。全体マークルツリー、部分マークルツリーは、三次元点群階層データとともに(ブロックチェーンではない)データベースに記録する。この場合、直接的にマークルツリーの非改竄性をブロックチェーンにて保証できないが、マークルツリーのマークルルートが合致することで非改竄性を保証できる。
【0172】
なお、全体マークルツリーは記録し、部分マークルツリ-は記録せず部分マークルルートを記録するようにしてもよい。
【0173】
(2)上記実施形態では、図7に示すように、部分マークルツリーを各ボクセルに対応付けて記録するようにしている。これにより、図13に示す場合において、より迅速に不一致ボクセルを見いだすことができる。
【0174】
しかし、各ボクセルに対応付けて部分マークルツリーを記録するのは大きな記憶容量が必要である。そこで、部分マークルツリーは記録せず、全体マークルツリーだけを記録するようにしてもよい。 全体マークルツリーがあれば、不一致箇所の特定が可能だからである。
【0175】
(3)上記実施形態では、特徴値としてハッシュ値を用いたがその他の特徴地を用いてもよい。
【0176】
(4)上記実施形態では、利用者端末装置120において複製についてのマークルツリーを算出し、分散協調型管理サーバ装置110からオリジナルについてのマークルルートを取得し、利用者端末装置120において両者の比較を行うようにしている。
【0177】
しかし、利用者端末装置120において複製についてのマークルツリーを算出し、これを分散協調型管理サーバ装置110に送信し、分散協調型管理サーバ装置110において両者の比較を行うようにしてもよい。この場合、分散協調型管理サーバ装置110は、比較結果を利用者端末装置120に送信する。さらに、比較によって不一致となった不一致ボクセルについてオリジナルのデータを、利用者端末装置120に送信する。利用者端末装置120はこれを受けて三次元点群階層データを修正する。
【0178】
また、利用者端末装置120から複製三次元点群階層データを分散協調型管理サーバ装置110に送信し、分散協調型管理サーバ装置110において複製についてのマークルツリーを演算し、オリジナルについてのマークルツリーと比較するようにしてもよい。分散協調型管理サーバ装置110は、比較結果を利用者端末装置120に送信する。この場合、分散協調型管理サーバ装置110は、不一致ボクセルについてのオリジナルデータを利用者端末装置120に送信し、利用者端末装置120はこのオリジナルデータに基づいて複製三次元点群階層データの修正を行う。
【0179】
あるいは、利用者端末装置120から複製三次元点群階層データを分散協調型管理サーバ装置110に送信するようにしてもよい。この場合、分散協調型管理サーバ装置110は、複製三次元点点群階層データのマークルツリーを算出し、オリジナルのマークルツリーと比較を行い、比較結果を利用者端末装置120に送信する。さらに、分散協調型管理サーバ装置110は、複製三次元点群階層データの不一致ボクセルをオリジナルデータで修正し、修正した複製三次元点群階層データを利用者端末装置120に送信する。
【0180】
(5)上記実施形態では、不一致ボクセルをオリジナルのデータによって正しく修復するようにしている。しかし、不一致があるか否か、または不一致箇所を見いだすだけにしてもよい。
【0181】
(6)上記実施形態では、複製三次元点群階層データがオリジナルと同一であるかどうかを判定するようにしている。しかし、その一部の層(1以上の層)のデータを有する利用者が、当該一部の層のデータについて判定を行うようにしてもよい。
【0182】
(7)上記実施形態では、複製三次元点群階層データの全体がオリジナルと同一であるかどうかを判定するようにしている。しかし、その一部下層(たとえば、第2層以下のデータなど)を有する利用者が、当該一部下層のデータについて判定を行うようにしてもよい。
【0183】
(8)上記実施形態による同一性判断システムを、たとえば、自動移動ロボットや自律移動装置などの自動運転装置に用いることができる。自動移動ロボットや自律移動装置などにおいては、三次元点群データに基づいて障害物を避けて移動することが必要となる。この際、自動移動ロボットや自律移動装置など自らが記録している複製三次元点群階層データに誤りが無いかどうかを確認する必要がある。
【0184】
この場合、地物などの変更によってオリジナルの三次元点群データが更新される。この最新の三次元点群データを自動移動ロボットや自律移動装置などが常に取得するのはデータが大量であるため時間を要する。実際には、自らが必要としている箇所においては変更がなく古いデータを用いることができる場合もある。
【0185】
自動移動ロボットや自律移動装置などは、自身の位置を把握しているため、緯度、経度、標高に基づいて、その周囲の三次元点群階層データを取得することができる。そこで、本システムによる利用者装置を自動移動ロボットや自律移動装置などに搭載すれば、リアルタイムにあるいは事前に、自らが移動して必要な箇所についてのみ同一性の確認を行い。不一致があれば修正して使用することができる。
【0186】
(9)上記実施形態では、対象物の有無を示す(「1」または「0」)三次元点群階層データを対象としている。しかし、これに代えて、あるいはこれに加えて、その他の付加データ(後述する色データなど)を持つ三次元点群階層データを対象としてもよい。この場合、付加データも含めて特徴値を記録するとよい。
【0187】
(10)上記実施形態では、データ修復を含めた同一性判断システムとして構築しているが、同一性判断を行わず、ブロックチェーンを用いた原本性保証システムとして構築するようにしてもよい。この場合、ブロックチェーンに登録された三次元点群階層データのマークルツリー、URI(データにたどり着ける情報なら何であってもよい)によって、非改竄性が保証される。
【0188】
これにより、MMS等によって収集した三次元点群データに基づく三次元点群階層データの原本性を保証することができる。また、自動車やドローンの運行軌跡などを時間変化に伴う三次元点群データとし、当該軌跡を示す三次元点群データに関するマークルツリー、URIをブロックチェーンに登録することで、これらの原本性を保証することができる。
【0189】
(11)上記実施形態では、三次元点群階層データを同一性判断の対象としている。しかし、同一対象物について解像度の異なる二次元点群階層データを対象としても良い。
【0190】
また、人や車などの移動軌跡を、解像度の異なる三次元画像(二次元画像)データとして記録したものを対象としてもよい。
【0191】
さらに、上記では、画像データを対象としているが、ボクセルごとに当該ボクセル内にて生じた事象(移動した車の単位時間あたりの数、人口など)を示す数値が対応付けて記録された階層的なデータを対象としてもよい(図6に示す各ボクセルに数値が記録されたようなデータ)。この場合、上位ボクセルの数値は、当該上位ボクセルに対応付けられた下位ボクセルの数値の合計(もしくは平均)となる。このようなデータの例としては、次の第1の例における、反射強度などが該当する。
【0192】
すなわち、階層として対応付けられた階層構造を持つ三次元階層データであれば対象とすることができる。
【0193】
また、階層構造となっていない三次元点群データ(三次元点群階層データの一階層のみ)、二次元点群データ(二次元点群階層データの一階層のみ)を対象としてもよい。
【0194】
さらに、ボクセルやピクセル単位にて表される通常の立体画像、平面画像を対象としてもよい。
【0195】
(12)上記実施形態では、ブロックチェーンを用いてマークルツリーやURIを記録するようにしている。しかし、通常のデータベースに記録するようにしてもよい。
【0196】
(13)上記実施形態では、特徴値としてマークルツリーを用いたが、ボクセルの値の特徴を示すものであれば、ツリー構造ではないものを用いてもよい。
【0197】
(14)上記実施形態では、図11のステップS51において、各層の全体マークルツリーを送信するようにしている。しかし、各層の全体マークルルートのみを送信するようにしてもよい。この場合、ステップS34において、各層のマークルルートが合致しない場合のみ、分散協調型管理サーバ装置110から各層のマークルツリーを送信する。このようにすれば、合致する場合の処理が迅速となる(無駄なダウンロードがない)。
【0198】
(15)上記実施形態では、分散協調型管理サーバ装置110からオリジナルのハッシュ値を取得し、複製のハッシュ値と比較して、変化がないかどうかを判断している。
【0199】
三次元点群階層データにおいては、上位ボクセルに対応する下位ボクセル群において、下位ボクセル群のデータと上位ボクセルのデータとの間には論理的な関連がある。すなわち、下位ボクセル群のいずれかが「1」であれば、上位ボクセルは「1」とならなければならない。したがって、複製においてこのような関係が成立しているかどうかを判断してもよい。この関係が崩れていれば、改竄なりデータ転送エラーなりで、オリジナルとは異なっているということがわかるからである。オリジナルと異なっていることになれば、分散協調型管理サーバ装置110からオリジナルのハッシュ値を取得し、どの箇所が変化しているのかを決めることができる。
【0200】
(16)上記変形例は、互いに任意に組み合わせて実施可能である。また、他の実施形態においても、必要に応じ当該他の実施形態に適合するように修正した上で適用することができる。
【0201】
2.三次元点群階層データについて(第1の例)
上記では、三次元点群階層データを同一性判断の対象としている。この三次元点群階層データは、本発明の発明者らによって新たに提案されたものである。そこで、以下では、同一性判断の対象である三次元点群階層データの生成方法や構成などについて説明を行う。
【0202】
なお、以下の説明においては、三次元点群階層データを圧縮三次元点群データとして表現している。これは、MMS等で取得した三次元点群データからみると、定められたボクセルにて表現されており、データが圧縮された状態となっているからである。
【0203】
また、上記にて説明したデータ登録システムが、以下に示す三次元点群階層データ(圧縮三次元点群データ)を生成する機能を有していてもよい。
【0204】
2.1機能構成
図16に、圧縮三次元点群データ生成装置の機能構成を示す。三次元点群データ取得手段2は、圧縮対象である対象三次元点群データを取得する。基準層ボクセル決定手段4は、緯度経度標高に基づいてグローバル座標系において予め定められた位置に設けられた基準層のボクセルによるメッシュを参照し、前記取得した対象三次元点群データが含まれる内実ボクセル10(三次元点群データを含むボクセル)を決定する。基準層のボクセルとしては、たとえば、緯度経度によって区画されている、国土地理院の定める図郭に所定の高さ(標高方向の高さ)を与えたものを用いることができる。
【0205】
圧縮データ生成手段6は、基準層の内実ボクセル10を、予め定められた複数の下位層ボクセルに分割した下位層メッシュを形成する。圧縮データ生成手段6は、下位層メッシュの各ボクセルについて、対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、点が含まれるボクセルを内実ボクセル20とし、点が含まれないボクセルを空ボクセル22とする。
【0206】
さらに、圧縮データ生成手段6は、下位層の内実ボクセル20のそれぞれを、さらに下位の下位層ボクセルに分割した下位層メッシュを形成する。圧縮データ生成手段6は、下位層メッシュの各ボクセルについて、対象三次元点群データの点が含まれるか否かを判断し、点が含まれるボクセルを内実ボクセル30とし、点が含まれないボクセルを空ボクセル32とする。
【0207】
圧縮データ生成手段6は、以上の処理を繰り返し、最下層メッシュのボクセルまでの階層的なデータを生成する。
【0208】
なお、圧縮データ生成手段6は、空ボクセル22、32については、それより下位層のメッシュに関する処理を行わずデータを保持しない。
【0209】
以上のように、この実施形態に係る圧縮三次元点群データ生成装置によれば、いずれの階層においても、グローバル座標系において予め定められた位置に設けられたボクセルが用いられている。したがって、2つの圧縮三次元点群データを比較するなどの処理においても、互いのボクセルが同じ座標系において同じ規則に従って生成されたものであるから、特別な加工をしなくともそのまま用いることができる。
【0210】
2.2ハードウエア構成
圧縮三次元点群データ生成装置のハードウエア構成を、図17に示す。CPU40には、メモリ42、ディスプレイ44、SSD46、DVD-ROMドライブ48、キーボード/マウス50、通信回路52が接続されている。通信回路52は、インターネットに接続するための回路である。
【0211】
SSD46には、オペレーティングシステム54、圧縮三次元点群データ生成プログラム56が記録されている。圧縮三次元点群データ生成プログラム56は、オペレーティングシステム54と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM58に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ48を介して、SSD46にインストールしたものである。
【0212】
2.3圧縮三次元点群データ生成処理
図18図20に、圧縮三次元点群データ生成プログラム56のフローチャートを示す。CPU40は、DVD-ROMドライブ48を介して、DVD-RWディスク(図示せず)に記録された三次元点群データを読み込んで、SSD46に記録する(ステップS1)。三次元点群データは、他の記録媒体から読み込んでもよいし、通信回路52を介してインターネット上のサーバ装置などから読み込むようにしてもよい。
【0213】
この実施形態では、三次元点群データは、MMSにより、自動車を走行させながらレーザによって地物などの表面点までの距離を計測し、これらの計測データを再構築して、地物などの表面点の三次元座標を示したものを用いている。図21に、計測によって得られた三次元点群データの例を示す。これら三次元点群データには、緯度経度標高に基づくグローバル座標が付与されている。また、各点における反射強度(照射レーザ光の強度に対する受光レーザ光の強度の比)、色のデータも付与されている。
【0214】
次に、CPU40は、予め用意されているグローバル座標に基づく基準層メッシュを参照し、上記三次元点群データがいずれのボクセルに含まれるかを、グローバル座標系のもとで判定する。基準層メッシュにおいて上記三次元点群データを含むボクセルを基準層ボクセルとして決定する(ステップS2)。
【0215】
この実施形態では、基準層メッシュにおいて、国土地理院の定める国土基本図図郭(地図情報レベル500)に、高さを与えたボクセルを用いている。この基本図図郭によれば、日本の国土のいずれの場所であっても、それぞれの図郭に図郭コードが与えられているので、緯度経度を特定することができる。同様に、世界測地系や平面直角座標系などに基づいてボクセルを構築すれば、世界のいずれの場所であっても緯度経度を特定することができる。
【0216】
基本図図郭(地図情報レベル500)は、緯度方向に300m、経度方向に400mとして定められており、この実施形態では、これに標高方向に300mを与えて基準層メッシュにおけるボクセルとしている。
【0217】
この実施形態において、基準層メッシュのボクセルを特定するためには、たとえば、図郭コード(09LD3599)に標高方向の高さを示すコード(00,01・・・)を付加することでこれを実現している。また、基準層メッシュの各ボクセルには、基準点(たとえば最北、最西、最下の点)のグローバル座標が記録されている。
【0218】
図22に、日本全国に配置された基準層メッシュ12の一部を示す。CPU40は、この基準層メッシュ12を参照し、その中に三次元点群データを包含するボクセルを特定して、基準層ボクセル10とする。なお、三次元点群データの広がりが大きい場合や、三次元点群データがボクセルの境界近傍にある場合には、複数のボクセルが基準層ボクセル10として選択されることになる。
【0219】
次に、CPU40は、選択した基準層ボクセルを対象ボクセルとして以下の処理を行う(ステップS3)。まず、当該基準ボクセルの第1下位層メッシュを生成する。ここで、第1下位層メッシュの生成規則は予め定めており、当該規則に従って生成する。
【0220】
図23を用いて、基準層ボクセルについての第1下位層メッシュの生成を説明する。上述のように、基準層ボクセルは、基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて生成されており、経度方向400m、緯度方向300m、標高方向300mの大きさを有している。また、基準点14のグローバル座標が記録されている。この実施形態では、基準層ボクセルを、緯度方向に4つ、経度方向に3つ、標高方向に3つのメッシュに分割して、100m立方の36個の第1下位層ボクセルを生成している。
【0221】
CPU40は、この下位層ボクセルのそれぞれに三次元点群データの点が少なくとも1つ以上含まれるかどうかを判断し、第1下位層ボクセルのそれぞれに対し存否データを与える(ステップS5)。三次元点群データが含まれていれば「1」、含まれていなければ「0」を与える。この処理を対象ボクセルの全てについて行う(ステップS4、S6)。
【0222】
なお、図22の例では、対象ボクセルである基準層ボクセルは一つであるので、ステップS5は1回だけ実行されることになる。図24に、生成された第1下位層の存否データの例を示す。基準層ボクセルの36個の下位層ボクセルのそれぞれに対して、「1」「0」が与えられている。図では、標高方向に3つの平面として存否データを示している。なお、各下位層ボクセルは、大きさが定められており、その配置から、グローバル座標の記録された基準点14(図23参照)との相対的な位置関係がわかるので、グローバル座標系において正確な位置に配置することができる。
【0223】
以上のようにして、対象ボクセルについて存否データを生成すると、CPU40は、最下位層のメッシュまで処理を行った否かを判断する(ステップS7)。まだであれば、図24Aに示す「1」の存否データを持つボクセル(すなわち、三次元点群データを含むボクセル)を、新たな対象ボクセルとして選択する(ステップS8)。
【0224】
このようにして選択された新たな対象ボクセル(三次元点群データを含むボクセル)について、さらに第2下位層メッシュに分割し、存否データを生成する(ステップS4~S6)。この実施形態では、経度、緯度、標高方向にそれぞれ10個ずつの下位層ボクセルに分割している。
【0225】
図24Bに、このようにして生成された第2下位層の存否データを示す。標高方向に10個の平面があるが、図においては2つのみを示している。第2下位層の存否データは、第1下位層において存否データが「1」を示すボクセル(三次元点群データを含むボクセル)についてのみ生成される。なお、図においては、1つの「1」である第1下位層ボクセルについて生成された第2下位層ボクセルを示しているが、他の「1」である第1下位層ボクセルについても同様に第2下位層ボクセルが生成される。
【0226】
以上の処理を行うと、CPU40は、第2下位層ボクセルのうち「1」であるもの(三次元点群データを含むボクセル)を新たな対象ボクセルとし、ステップS4~S6を実行する。これにより、上記と同様に、三次元点群データを含む第2下位層ボクセルのそれぞれについて、経度、緯度、標高方向にそれぞれ10個ずつの第3下位層ボクセルが生成されて存否データが与えられる。
【0227】
CPU40は、この処理を最下位層(たとえば1cmグリッド)まで繰り返す。このようにして、図24に示すような位置に関する圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0228】
次に、CPU40は、図19のステップS11~S17に示すように、三次元点群データの持つ色データについての圧縮処理を行う。CPU40は、基準層ボクセルを対象ボクセルとして決定し(ステップS11)、対象ボクセルに含まれる三次元点群データの点のRGB値に基づいて、離散化して決定されたいずれかの基本色を対象ボクセルに付与する(ステップS13)。その処理は以下のとおりである。
【0229】
CPU40は、対象ボクセルに含まれる点についてそのRGB値を取得し、RGBそれぞれについてその平均値を算出する。たとえば、3つの点が含まれる場合には、3つの点のRGB値の平均値を算出する。この平均値が、予め定めた基本色のどれに最も近いかを算出し、当該基本色の色番号を対象ボクセルの色として与える。
【0230】
この実施形態では、図25Aに示すように、色番号1~16までの16色の基本色を設けている。CPU40は、図25Bに示す計算式に基づき、これら基本色のR、G、B値とR、G、Bの平均値との差の絶対値を誤差として算出し、もっとも誤差の小さい基本色を決定して、その色番号を対象ボクセルに与える。また、点の無いボクセルには「0」を与える。
【0231】
上記の処理を最下位層まで繰り返すことにより(ステップS16)、図26に示すような色に関する圧縮三次元点群データを得ることができる。この色に関する圧縮三次元点群データについても、位置に関する圧縮三次元点群データと同じように、点の存在しないボクセルより下位の層のデータは持たないようにしている。
【0232】
次に、CPU40は、図20のステップS21~S27に示すように、三次元点群データの持つ反射強度データ(照射したレーザの強度に対しての受光したレーザの強度の比)についての圧縮処理を行う。CPU40は、基準層ボクセルを対象ボクセルとして決定し(ステップS21)、対象ボクセルに含まれる三次元点群データの点の反射強度に基づいて、離散化して決定されたいずれかの反射強度を対象ボクセルに付与する(ステップS23)。その処理は以下のとおりである。
【0233】
CPU40は、対象ボクセルに含まれる点についてその反射強度を取得し、その平均値を算出する。たとえば、3つの点が含まれる場合には、3つの点の反射強度の平均値を算出する。この平均値が、段階的に定めた反射強度のどれに最も近いかを算出し、当該反射強度の反射強度番号を対象ボクセルの反射強度として与える。
【0234】
この実施形態では、反射強度を全体として等間隔に分けるのではなく、図27に示すように、重要なところ(処理においてよく用いられる反射強度の領域)を細かく分けるようにしている。たとえば、強度を8段階に分ける場合、CPU40は、三次元点群データ全体において、反射強度の最大値と最小値を取得する。続いて、反射強度を最小値から最大値まで順に並べた場合の、順番として中央に位置する反射強度(すなわち中央値)を中央値(1)として取得する。続いて、中央値(1)から最大値まで反射強度を順に並べた場合の、順番として中央に位置する反射強度を中央値(2)として取得する。
【0235】
中央値(2)から最大値までの間は、全段階数の1/8の段階に分ける。ここでは、全段階数を8としているので、中央値(2)から最大値までの間は、1つの段階となる。
【0236】
中央値(1)から中央値(2)までの間は、全段階数の4/8の段階に分ける。ここでは、全段階数を8としているので、中央値(1)から中央値(2)までの間は、4つの段階に分けられる。
【0237】
最小値から中央値(1)までの間は、全段階数の3/8の段階に分ける。ここでは、全段階数を8としているので、最小値から中央値(1)までの間は、3つの段階に分けられる。
【0238】
CPU40は、分けられた8つの段階のそれぞれに、反射強度番号(1~8)と、各段階における反射強度の中心値を与える。反射強度の大きい領域はデータ処理において用いられることが多い(たとえば、白線抽出など)。したがって、上記のようにして反射強度の大きい領域を細かく分けるようにしている。
【0239】
なお、上記実施形態では8段階に分けているが、7段階以下、9段階以上の所定段階に分けるようにしてもよい。
【0240】
CPU40は、ステップS23において算出した対象ボクセルの反射強度の平均値が、上記いずれの段階に入るかを判断し、当該対象ボクセルに反射強度番号を付与する。また、点の無いボクセルには「0」を与える。
【0241】
上記の処理を最下位層まで繰り返すことにより(ステップS26)、図28に示すような反射強度に関する圧縮三次元点群データを得ることができる。この反射強度に関する圧縮三次元点群データについても、位置に関する圧縮三次元点群データと同じように、点の存在しないボクセルより下位の層のデータは持たないようにしている。
【0242】
以上のようにして、位置、色、反射強度についての圧縮三次元点群データを得ることができる。なお、この実施形態では、この圧縮三次元点群データをバイナリデータにしている(ステップS28)。
【0243】
図29にバイナリデータの例を示す。「SOI」「EOI」は、データの始まりと終わりを示している。階段数は、図24の階層構造の階層数を示している。頂点座標は、基準層の基準点14(図23)のグローバル座標系における緯度、経度、標高である(反対側の頂点についても緯度、経度、標高を記録してもよい)。また、図示していないが、図25Aに示す色番号とRGBを対応付けたデータ(標準的に定められている場合は不要)、反射強度番号と反射強度(中心値)を対応付けたデータ(標準的に定められている場合は不要)も記録している。
【0244】
「第1段階SOI」「第1段階EOI」は、データの始まりと終わりを示す。「要素数」は、当該層における位置、色、反射強度などの要素数である。
【0245】
「位置情報SOI」「位置情報EOI」は、第1下位層の位置データの始まりと終わりを示す。「圧縮結果」は、図24に示す存否データを順に並べたものである。
【0246】
「RGBSOI」「RGBEOI」は、第1下位層のRGBデータの始まりと終わりを示す。「RGBSOI」の後には、「圧縮結果」(図示せず)が設けられている。この「圧縮結果」には、図26に示すデータが順に並べられて記録される。
【0247】
「反射強度SOI」「反射強度EOI」は、第1下位層の反射強度データの始まりと終わりを示す。「反射強度SOI」の後には、「圧縮結果」(図示せず)が設けられている。この「圧縮結果」には、図28に示すデータが順に並べられて記録される。
【0248】
以下、第2下位層・・・第n下位層(最下位層)まで、同様のデータ構造にてデータが記録されている。なお、位置データの「1」「0」や、色データの「0」や、反射強度データの「0」については、可逆圧縮手法(たとえばランレングス圧縮)用いて記録するようにしてもよい。
【0249】
以上のようにして、データ量が削減され、しかもデータ加工が容易な圧縮三次元点群データを得ることができる。また、三次元点群データが存在しないボクセルの下位層のデータを設けないようにしているので、データ量を削減することができる。
【0250】
2.4圧縮三次元点群データの利用
このような圧縮三次元点群データは、たとえば、次のようにして利用することができる。第1下位層の位置、色、反射強度データのみを抽出することで、高い圧縮率の三次元点群データを得ることができる。同様に、第2下位層、第3下位層・・・最下位層まで、所望の圧縮率の三次元点群データを得ることができる。
【0251】
図30Aが元の三次元点群データであり、図30Bは5cm立方のボクセルを持つ下位層の圧縮三次元点群データであり、図30Cは10cm立方のボクセルを持つ下位層の圧縮三次元点群データである。このように、データ処理の目的に応じて容易に所望の圧縮率の圧縮データを得ることができる。
【0252】
また、2つの三次元点群データを比較したり、三次元点群データに他の三次元点群データを追加したりする場合においても、圧縮率を合致させたいずれかの下位層のデータを用いることで、グローバル座標系において位置を合致させ、処理を正確にかつ迅速に行うことができる。
【0253】
2.5変形例
(1)上記実施形態では、国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて基準層のメッシュを構築し、下位に向かって下位層を構築するようにしている。
【0254】
さらに、国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて形成した基準層のメッシュから、上位に向かって上位層を構築するようにしてもよい。この場合、緯度方向300m、経度方向400m、標高方向300mの基準層ボクセルであるから、緯度方向4個、経度方向3個、標高方向4個で、上位層のボクセルを構築すれば、1.2km立方の上位層ボクセルを形成できる。
【0255】
さらに、この1.2km立方のボクセルを緯度方向10個、経度方向10個、標高方向10個にして、さらに上位層の立方ボクセルを構築する。このようにして、さらに上位のボクセルを構築することができる。
【0256】
なお、上位層のボクセルを構築する際にも、グローバル座標系において予められた位置に上位層ボクセルが形成されるようにする。そうでないと、上位ボクセルのデータを用いたデータ比較や加工ができないからである。
【0257】
三次元点群データが完全に含まれる上位層のボクセルを見いだし、これを最上位層のボクセルとして、第1下位層、第2下位層・・・最下位層まで、上記と同じようにして階層的な圧縮三次元点群データを形成する。
【0258】
なお、上記では、400m×300mの国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて生成した基準層ボクセルの上位方向に、予め定められた規則に従って上位層ボクセルを設けるようにしている。しかし、4km×3kmの国土基本図図郭(地図情報レベル5000)に基づいて、4km×3km×3kmの基準層ボクセルを構築し、これを緯度方向に10個、経度方向に10個、標高方向に10個に分割し、下位層ボクセルを構築してもよい。このようにして構築した下位層ボクセルは、国土基本図図郭(地図情報レベル500)に基づいて構築した400m×300m×300mのボクセルと合致することになる。したがって、それより下位の層は、上記実施形態にて説明したものと同様となる。
【0259】
(2)上記実施形態では、色データとしてRGBデータを用いている。しかし、YMCKなどその他の色データを用いるようにしてもよい。
【0260】
(3)上記実施形態では、圧縮三次元点群データをバイナリデータの形式にしているが、そのままのデータ形式にて記録、利用するようにしてもよい。
【0261】
(4)上記実施形態では、存否データにおいて三次元点群データを含まないボクセルより下位のデータは保持しないようにしている。しかし、これも含めて保持するようにしてもよい。
【0262】
(5)上記実施形態では、スタンドアローンにて完結する圧縮三次元点群データ生成装置を説明した。しかし、これをインターネット上のサーバ装置として構築してもよい。
【0263】
図31に、サーバ装置として構築した場合の機能構成を示す。端末装置3は、三次元点群データをサーバ装置5に送信する。サーバ装置5の三次元点群データ取得手段2は、この三次元点群データを取得する。基準ボクセル決定手段4は、この三次元点群データを含むボクセルを基準ボクセルとして決定する。
【0264】
圧縮データ生成手段6は、基準ボクセルの下位ボクセルを構築し、存否データを付与することで、圧縮三次元点群データを形成する。圧縮データ送信手段8は、生成した圧縮三次元点群データを、端末装置3に送信する。
【0265】
このようにして、端末装置3は、圧縮三次元点群データを得ることができる。
【0266】
(6)上記実施形態では、圧縮三次元点群データには元の三次元点群データを含めていないが、元の三次元点群データを含めるようにしてもよい。
【0267】
(7)上記実施形態では、三次元点群データがボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしている。しかし、三次元点群データ以外の対象物がボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしてもよい。
【0268】
また、走行履歴のように、座標の点列で表現できるものも対象とすることができる。
【0269】
さらに、メッシュ構造となっているデータ(メッシュごとに記録された人流を示すモバイル空間統計データやメッシュごとに記録された気象情報データなど)の各ボクセルにおける平均値を、併せて(あるいは単独で)記録するようにしてもよい。
【0270】
(8)上記実施形態では、位置、色、反射強度のデータにて圧縮三次元点群データを構成している。しかし、位置、色、反射強度のいずれか、あるいはいずれか2つによって圧縮三次元点群データを構成するようにしてもよい。
【0271】
(9)上記実施形態では、三次元点群データを含む最上位のボクセルが複数個存在する場合も許容している。しかし、対象とする三次元点群データの全体を含むさらに上位のボクセルを最上位ボクセルとするようにしてもよい。これにより、最上位ボクセルを常に一つとすることができる。
【0272】
(10)上記実施形態では、三次元点群データを対象として説明した。しかし、二次元点群データを対象とすることもできる。この場合、ボクセルに代えてピクセルを使用することになるが、処理の本質は同様である。
【0273】
(11)上記実施形態では、国土基本図図郭に基づいて基準層ボクセルを構築している。しかし、その他の規格に基づいて基準層ボクセルを構築してもよいし、独自の規格に基づいて基準層ボクセルを構築してもよい。
【0274】
(12)上記実施形態では、色データや反射強度の平均値を代表値としてボクセルに付与するようにしている。しかし、最高値、最低値、中央値などを代表値として付与するようにしてもよい。
【0275】
(13)上記実施形態では、各ボクセルに点群データの有無(「0」「1」)、色の代表値、反射強度の代表値を付加するようにしている。しかし、これに代えて、あるいは、これに加えて、当該ボクセルに含まれる点が、いずれの対象物(たとえば信号、標識、木などの地物や車道表面、歩道表面、道路表面、自動車の軌跡などを示す識別子を付す)を構成するものであるかも付与するようにしてもよい。複数の対象物の点が含まれる場合には、そのまま複数の対象物を記録してもよいし、複数の対象物のうち最も点の多い対象物を選択して記録するようにしてもよい。
【0276】
また、各ボクセルに、道路表面における車や人の通過数(過去の統計データに基づく平均値や直近所定時間における通過数など)を記録するようにしてもよい。
【0277】
さらに、各ボクセルに、その場所におけるモバイル通信のための基地局の電波強度を記録するようにしてもよい。複数の基地局の電波が到達している場合には、それぞれの基地局の電波強度(あるいは最も強い基地局の電波強度)を記録する。この電波強度は、たとえば、データ伝送状況を把握するため(たとえば、ドローンなどから撮像動画データを送信することができるかどうかを判断するため)に用いることができる。
【0278】
また、各ボクセルに、温度・湿度・風力・風向・天気などの気象情報を記録するようにしてもよい。
【0279】
(14)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその変形例と互いに組み合わせて実施可能である。
【0280】
3.三次元点群階層データについて(第2の例)
3.1機能的構成
図32に、第2の例によるデータ処理装置の機能的構成を示す。このデータ処理装置は、座標情報が付された2つの三次元点群データを比較したり加工したりする処理装置である。
【0281】
三次元点群データの点には座標位置が付されている。したがって、2つのデータを比較することは理論的に可能である。しかし、三次元点群データの点は、地物などの対象物表面において隙間無く配置されるものではなく、間隔を開けて配置されている。このため、2つの三次元点群データを比較しようとしても、双方に対応する位置に点が存在するとは限らず、許容誤差を考慮して比較しているため、計算速度が遅いという問題があった。このことは、データの比較だけではなく、一方のデータから他方のデータの差分を算出したり、一方のデータに他方のデータを追加したりするデータ加工を行う場合にも生じていた。
【0282】
この実施形態では、2つの三次元点群データの比較や加工を容易に行うことのできる装置を提供する。
【0283】
第1の生成手段52は、第1の三次元点群データを取得し、これに基づいて階層的構造のボクセルとして構築された第1の圧縮三次元点群データを生成する。生成される圧縮三次元点群データは、たとえば図33のような構造となっている。
【0284】
対象とする三次元点群データの全体を含む最上位層のボクセル10を、緯度、経度、標高方向にそれぞれ所定個の下位層ボクセルに分割する。これら下位層ボクセルについて、その領域に三次元点群データを含むか否かの存否データが与えられている。図では、三次元点群データを含むボクセルを内実ボクセル20として、三次元点群データを含まないボクセルを空ボクセル22として示している。これら下位層ボクセルのそれぞれについて、さらに分割された下位層が設けられており、その領域に三次元点群データを含むか否かの存否データが与えられている。以下、同様にして、最下位層まで存否データが与えられている。
【0285】
なお、三次元点群データには、第1の実施形態と同じようにグローバル座標が与えられていてもよいし、第1の実施形態とは異なってローカル座標が与えられていてもよい。ただし、処理対象である第1の圧縮三次元点群データと、第2の圧縮三次元点群データは、最上位層から最下位層にわたって、位置や大きさなどについて同じ規則に従って構築されたボクセルによって構成されていることが必要である。
【0286】
第2の生成手段54は、第2の三次元点群データを取得し、これに基づいて階層的構造のボクセルとして構築された第2の圧縮三次元点群データを生成する。
【0287】
処理手段56は、生成された第1の圧縮三次元点群データと第2の圧縮三次元点群データに基づいて、比較・加工などの処理を行う。三次元点群データを、比較可能な圧縮三次元点群データとしているので、比較処理などを容易に行うことができる。すなわち、0、1のバイナリ表現がされているデータなので、論理演算等のビット演算を用いることができ、高速な処理が可能である。また、階層的構造としているので、比較処理などを効率的に行うことができる。
【0288】
3.2ハードウエア構成
データ処理装置のハードウエア構成は、第1の例における図17と同様である。なお、SSD46には、データ処理プログラムが記録されている。
【0289】
3.3データ処理
図34に、データ処理プログラムのフローチャートを示す。ここでは、2つの三次元点群データを比較する場合を例として説明する。
【0290】
CPU40は、第1の三次元点群データを取得し(ステップS51)、第1の圧縮三次元点群データを生成する(ステップS52)。CPU40は、第2の三次元点群データを取得し(ステップS53)、第2の圧縮三次元点群データを生成する(ステップS54)。圧縮三次元点群データの生成は、第1の実施形態にて説明した処理を用いることができる。図35に、このようにして生成された第1の圧縮三次元点群データと第2の圧縮三次元点群データを示す。
【0291】
次に、CPU40は、第1の圧縮三次元点群データの最上位ボクセルAを処理対象のボクセルとする(ステップS55)。続いて、この対象ボクセルについて、第2の圧縮三次元点群データの対応する最上位ボクセルBと比較する(ステップS58)。
【0292】
両者ともに内実ボクセルであったり、両者ともに空ボクセルである場合には、何もせずに処理を進める(ステップS59)。図35に示す例では、両者ともに内実ボクセルであるから、何もせずに処理を進めることになる。
【0293】
このようにして対象ボクセルについての処理を終えると、CPU40は、双方とも内実ボクセルとなった対象ボクセルを選択し、その対象ボクセルの下位層のボクセルを新たな対象ボクセルとする(ステップS62)。図35の例では、対象ボクセルAおよび対応する第2の圧縮三次元点群データのボクセルBについて双方とも内実ボクセルであったので、対象ボクセルAの下位層のボクセルA1,1,1、A1,1,2・・・A1,1,10・・・A10,10,10を新たな対象ボクセルとすることとなる。
【0294】
CPU40は、この新たな対象ボクセルのそれぞれについて、ステップS58~S60の処理を実行する(ステップS57、S61)。CPU40は、対象ボクセルA1,1,1と対応するボクセルB1,1,1を比較する(ステップS58)。両者はともに内実ボクセルであるから、何もせず処理を進めることになる(ステップS59)。続いて、CPU40は、対象ボクセルA1,1,2と対応するボクセルB1,1,2を比較する(ステップS58)。両者はともに空ボクセルであるから、何もせず処理を進めることになる(ステップS59)。CPU40は、以上の処理を対象ボクセルについて順次行う。
【0295】
対象ボクセルA4,10,5と対応するB4,10,5は、前者が内実ボクセルであり、後者が空ボクセルである。したがって、CPU40は、ステップS60を実行する。ステップS60においては、内実ボクセルA4,10,5以下の層のデータ全て(最下位層まで)を、第1の圧縮三次元点群データにのみ存在する差異データとして記録する。
【0296】
なお、第2の圧縮三次元点群データが内実ボクセルである場合にも同様にして、第2の圧縮三次元点群データにのみ存在する差異データとして記録する。
【0297】
CPU40は、以上の処理を最下位層まで繰り返すことで、階層構造となった差異データを得ることができる。
【0298】
このようにして得られた差異データは、階層的構造となっているので、どの階層において差異が生じているのかを容易に判断することができる。たとえば、大きな差異だけを見いだしたいときは、上位層の差異データのみを用いればよい。
【0299】
この実施形態では、双方ともに空のボクセルである場合には、それより下位のボクセルについての処理を行わないようにしているので、処理が効率的である。また、一方のみが内実ボクセルである場合には、それ以下の階層のデータを差異データとして記録し、これら下位層に対する処理を行わないようにしているので、処理が効率的である。
【0300】
3.4変形例
(1)上記実施形態では、データの比較処理について説明した。しかし、第1の三次元点群データに、第2の三次元点群データを追加する場合や、第1の三次元点群データから、第2の三次元点群データを削除する場合などのデータ加工においても、同様に適用することができる。
【0301】
(2)上記実施形態では、三次元点群データを対象として説明した。しかし、二次元点群データを対象とすることもできる。この場合、ボクセルに代えてピクセルを使用することになるが、処理の本質は同様である。
【0302】
(3)上記実施形態では、スタンドアローンにて完結するデータ処理装置を説明した。しかし、これをインターネット上のサーバ装置として構築してもよい。
【0303】
図36に、サーバ装置として構築した場合の機能構成を示す。端末装置50は、第1・第2の三次元点群データをサーバ装置55に送信する。サーバ装置55の第1・第2の生成手段52、54は、この第1・第2の三次元点群データを取得して、階層的構造の第1・第2の圧縮三次元点群データを生成する。処理手段56は、この第1・第2の圧縮三次元点群データに基づいて比較などのデータ処理を行って、処理結果データを出力する。処理結果データ送信手段58は、処理結果データを、端末装置50に送信する。
【0304】
このようにして、端末装置3は、処理結果データを得ることができる。
【0305】
(4)上記実施形態では、位置についての三次元点群データを例としてデータ処理を説明した。しかし、色、反射強度についての三次元点群データについても同様に適用することができる。
【0306】
(5)上記実施形態では、三次元点群データがボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしている。しかし、三次元点群データ以外の対象物がボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしてもよい。
【0307】
(6)上記実施形態では、最下位層までの精度の比較データを得ることを目的としているが、それより上の層までの精度の比較データを得るようにしてもよい。この場合、ステップS60においては、目的とする層までのデータを差異データとして記録することになる。
【0308】
(7)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその変形例と互いに組み合わせて実施可能である。
【0309】
4.三次元点群階層データについて(第3の例)
4.1機能的構成
この発明の第3の例による特徴データ付与装置の機能的構成を図37に示す。階層構造データ取得手段70は、階層構造データを取得する。なお、階層構造データとしては、対象物の存否がボクセルごとに記録されたような第1の実施形態、第2の実施形態にて示した圧縮三次元点群データを対象とすることができる。
【0310】
特徴値算出手段72は、それぞれのボクセルについて、当該ボクセルを分割した下位層のボクセルの存否データの特徴値を算出する。たとえば、一方向関数値であるハッシュ値を特徴値として用いることができる。これにより、全てのボクセルについて、当該ボクセルを構成する下位層ボクセルの存否データについての特徴値が、当該ボクセルの特徴値として算出される。
【0311】
統合値算出手段74は、対象となるボクセルを構成する下位層の複数のボクセルの特徴値(当該下位層のボクセルを構成するさらに下位層のボクセルの存否データによる特徴値)を、統合して統合値を算出し、対象となるボクセルの統合値とする。統合値算出手段74は、算出可能な全てのボクセルについてこの統合値を算出する。
【0312】
付与手段76は、階層構造データの各ボクセルに、これらボクセルの特徴値と、統合値を付与し、特徴データ付き階層構造データを生成する。
【0313】
以上のようにして生成された特徴付き階層構造データでは、特徴値、統合値を算出することで、特徴値によって自らのボクセルの下位階層のボクセルに変更があったか、統合値によってさらに下位層のボクセルに変更があったかを知ることができる。
【0314】
また、統合値は、特徴値を統合して構成されているので、統合値によって全体的な変更を知ることができ、統合値を算出する基礎となった特徴値によって詳細な変更箇所を知ることができる。
【0315】
たとえば、データの原本保障に用いることができる。データ自体が改竄されていないかや、原本と同様のデータであるか(データ流通時にデータが変化していないか)を判定することができる。
【0316】
4.2ハードウエア構成
データ処理装置のハードウエア構成は、第1の実施形態における図17と同様である。なお、SSD46には、特徴データ付与プログラムが記録されている。
【0317】
4.3特徴データ付与処理
図38図39に、特徴データ付与処理のフローチャートを示す。この実施形態では、各ボクセルに特徴値を付与した後、各ボクセルに統合値を与えるようにしている。
【0318】
CPU40は、階層構造の三次元点群データを取得する(ステップS71)。階層構造の三次元点群データとしては、第1の実施形態や第2の実施形態における圧縮三次元点群データを用いることができる。
【0319】
CPU40は、三次元点群データの最上位層のボクセルを処理対象のボクセルとする(ステップS72)。図40に示すような三次元点群データであれば、最上位層のボクセル9が対象ボクセルとして選択されることになる。
【0320】
CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセル900~999の存否データを取得し、そのハッシュ値を算出する(ステップS76)。算出したハッシュ値を、対象ボクセル9のハッシュ値として記録する(ステップS77)。
【0321】
次に、CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセルのうち内実ボクセルを新たな対象ボクセルとする。CPU40は、この新たな対象ボクセルについて、ステップS75~S77を実行する。
【0322】
たとえば、対象ボクセル900について、これを構成する下位ボクセル90000~90099の存否データを取得し、そのハッシュ値を算出する(ステップS76)。算出したハッシュ値を、対象ボクセル900のハッシュ値として記録する(ステップS77)。以上の処理は、対象ボクセル900~999について行われ、それぞれにハッシュ値が付されることになる。
【0323】
このような処理を最下位層まで繰り返す(最下位層のボクセルに対しては特徴値は算出されない)(ステップS73、S80)。これにより、各ボクセルに特徴量が与えられる。
【0324】
次に、CPU40は、統合値を付与する処理を行う。CPU40は、最上位層のボクセルを対象ボクセルとする(ステップS81)。図40に示すような三次元点群データであれば、最上位層のボクセル9が対象ボクセルとして選択されることになる。
【0325】
CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセル900~999のハッシュ値を取得する(ステップS84)。続いて、これらハッシュ値に基づいて統合値を算出する(ステップS85)。
【0326】
図41に、統合値の算出方法を示す。隣接する下位層ボクセル900ハッシュ値Aと下位層ボクセル910のハッシュ値B(ボクセル901~909は空ボクセルであるのでボクセル900と910は隣接することになる)のハッシュ値を、統合ハッシュ値ABとして算出する。同様にして、ハッシュ値C、ハッシュ値Dを、統合ハッシュ値CDとして算出する。以下同様にして、隣接する全ての下位層ボクセルのハッシュ値から統合ハッシュ値を算出する。これを1段目の統合ハッシュ値とする。
【0327】
次に、1段目の統合ハッシュ値ABと統合ハッシュ値CDのハッシュ値を、統合ハッシュ値ABCDとして算出する。以下同様にして、1段目の統合ハッシュ値に基づいて、2段目の統合ハッシュ値を算出する。
【0328】
以上の処理を繰り返して、最上段の統合ハッシュ値まで、階層的な統合ハッシュ値を算出する。すなわち、マークルツリーのアルゴリズムに基づいて、マークルツリーを生成するようにしている。
【0329】
この実施形態では、上記にて生成した階層的な統合ハッシュ値を、対象ボクセル9に付与している(ステップS86)。
【0330】
次に、CPU40は、対象ボクセル9を構成する下位ボクセルのうち内実ボクセルを新たな対象ボクセルとする。CPU40は、この新たな対象ボクセルについて、ステップS84~S86を実行する。したがって、これら対象ボクセルについても、図41に示すような階層的な統合ハッシュ値が付与される。
【0331】
CPU40は、以上の処理を最下位層まで繰り返す(最下位層のボクセルに対しては統合ハッシュ値は算出されない)(ステップS82、S89)。これにより、各ボクセルに統合ハッシュ値が与えられる。
【0332】
以上のようにして、各ボクセルには、ハッシュ値と統合ハッシュ値が記録されることになる。
【0333】
このようにハッシュ値と統合ハッシュ値が記録された階層的三次元点群データによれば、このハッシュ値や統合ハッシュ値により変更や改竄が行われたか否かを検出することができる。
【0334】
たとえば、取得した階層的三次元点群データについて、図38図39に示す処理にて、ハッシュ値、統合ハッシュ値を算出し、この値が記録されているハッシュ値、統合ハッシュ値と合致するかどうかによって、改竄や変更があったかどうかを判断することができる。
【0335】
あるボクセルについてのハッシュ値が不一致である場合、当該ボクセルを構成する下位ボクセルのいずれかに変化が生じていることがわかる。また、統合ハッシュ値が不一致である場合、さらに下位のボクセルのいずれかに変化が生じていることがわかる。
【0336】
なお、統合ハッシュ値は階層構造に構築されているので、最上段から下段に向かって不一致が生じているルートをたどることにより、容易に変更されたボクセルを見いだすことができる。
【0337】
4.4変形例
(1)上記実施形態では、階層構造の三次元点群データを取得して、これに特徴データを付与するようにしている。しかし、第1の実施形態に示したように三次元点群データから圧縮三次元点群データを作成する際に、あわせて、特徴データを付与するようにしてもよい。
【0338】
(2)上記実施形態では、三次元点群データを対象として説明した。しかし、二次元点群データを対象とすることもできる。この場合、ボクセルに代えてピクセルを使用することになるが、処理の本質は同様である。
【0339】
(3)上記実施形態では、スタンドアローンにて完結する特徴データ付与装置を説明した。しかし、これをインターネット上のサーバ装置として構築してもよい。
【0340】
図42に、サーバ装置として構築した場合の機能構成を示す。端末装置90は、階層構造データをサーバ装置80に送信する。サーバ装置80の階層構造データ取得手段70は、この階層構造データを取得する。特徴値算出手段72は、各ボクセルの特徴値を算出する。統合値算出手段74は、各ボクセルの統合値を算出する。付与手段76は、算出した特徴値、統合値を、各ボクセルに付与する。特徴データ付き階層構造データ送信手段78は、特徴データ付き階層構造データを端末装置90に送信する。
【0341】
このようにして、端末装置90は、特徴データ付き階層構造データを得ることができる。
【0342】
(4)上記実施形態では、位置についての三次元点群データを例としてデータ処理を説明した。しかし、色、反射強度についての三次元点群データについても同様に適用することができる。
【0343】
(5)上記実施形態では、三次元点群データがボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしている。しかし、三次元点群データ以外の対象物がボクセルに含まれるか否かによって各階層の存否データを構築するようにしてもよい。
【0344】
(6)上記実施形態では、圧縮された三次元点群データを対象として、特徴データを付与するようにしている。しかし、下層のデータの変化が上層のデータの変化をもたらすような階層構造に構築されたデータであれば、これを対象として特徴データを付与することができる。
【0345】
(7)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態およびその変形例と互いに組み合わせて実施可能である。




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図22
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図26
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図28
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図33
図34
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図39
図40
図41
図42