(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035972
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】被覆粒子、樹脂組成物及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
H01B 5/00 20060101AFI20240308BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20240308BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20240308BHJP
H01B 5/16 20060101ALI20240308BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H01B5/00 M
H01B1/00 M
H01B1/22 A
H01B5/16
H01R11/01 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140639
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 理
(72)【発明者】
【氏名】久保 厚喜
【テーマコード(参考)】
5G301
5G307
【Fターム(参考)】
5G301DA10
5G301DA42
5G301DD01
5G301DD02
5G301DE01
5G307AA02
5G307CC04
5G307HB03
5G307HC01
(57)【要約】
【課題】電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる被覆粒子を提供する。
【解決手段】本発明に係る被覆粒子は、導電性粒子と、フッ素を含む有機化合物とを備え、前記導電性粒子が、基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有し、前記導電部がニッケルを含み、前記フッ素を含む有機化合物が、前記導電部の表面の少なくとも一部を被覆している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粒子と、フッ素を含む有機化合物とを備え、
前記導電性粒子が、基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有し、
前記導電部がニッケルを含み、
前記フッ素を含む有機化合物が、前記導電部の表面の少なくとも一部を被覆している、被覆粒子。
【請求項2】
前記フッ素を含む有機化合物が、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロアルキル化合物、又はポリフルオロアルキル化合物である、請求項1に記載の被覆粒子。
【請求項3】
TOF-SIMS分析において、前記被覆粒子の表面におけるフッ素イオン強度の、全マイナスイオンのイオン強度の合計に対する比が、0.0001以上である、請求項1又は2に記載の被覆粒子。
【請求項4】
前記導電部の外表面部分がニッケルを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の被覆粒子。
【請求項5】
前記フッ素を含む有機化合物が、リン酸基を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の被覆粒子。
【請求項6】
前記被覆粒子の粒子径が、1.0μm以上4.0μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の被覆粒子。
【請求項7】
複数の絶縁性粒子をさらに備え、
前記導電性粒子の表面上に複数の前記絶縁性粒子が配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の被覆粒子。
【請求項8】
前記導電性粒子の表面上に、絶縁性粒子が配置されていない、請求項1~7のいずれか1項に記載の被覆粒子。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の被覆粒子と、バインダー樹脂とを含む、樹脂組成物。
【請求項10】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1~8のいずれか1項に記載の被覆粒子を含み、
前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子を用いた被覆粒子に関する。また、本発明は、上記被覆粒子を用いた樹脂組成物及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために用いられている。上記異方性導電材料を用いる接続としては、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等が挙げられる。
【0004】
また、導電性粒子として、基材粒子と、該基材粒子の表面上に導電層が配置された導電性粒子が用いられることがある。
【0005】
下記の特許文献1には、ニッケル層と、該ニッケル層上に形成されている金層とを備える導電性粒子が開示されている。上記金層の平均膜厚は300Å以下である。この導電性粒子では、上記金層は最外層である。また、この導電性粒子では、X線光電子分光分析による導電性粒子の表面におけるニッケル及び金の元素組成比(Ni/Au)が0.4以下である。
【0006】
下記の特許文献2には、コア粒子と、Niめっき層と、貴金属めっき層と、防錆膜とを備える導電性粒子が開示されている。上記Niめっき層は、上記コア粒子を被覆している。上記貴金属めっき層は、上記Niめっき層の少なくとも一部を被覆している。上記貴金属めっき層は、Au及びPdのうち少なくともいずれかを含む。上記防錆膜は、上記Niめっき層及び上記貴金属めっき層のうち少なくともいずれかを被覆している。上記防錆膜は、有機化合物を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-102731号公報
【特許文献2】特開2013-20721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、導電性粒子を含む導電材料では、プリント配線板等における配線及びコネクター等のファインピッチ化により、導電性粒子の小粒子径化が進行している。
【0009】
しかしながら、小粒子径の導電性粒子では、導電層の歪みが大きくなるので、導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電層に応力が集中し、導電層にクラック等が生じることにより、接続抵抗を低くすることが困難であるという課題がある。
【0010】
また、高温かつ高湿な環境下に長期間晒された導電性粒子を用いたり、導電性粒子を用いた接続構造体が高温かつ高湿な環境下に長期間晒されたりすると、接続抵抗が高くなりやすい(導通信頼性が低くなりやすい)という課題がある。
【0011】
本発明の目的は、電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる被覆粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記被覆粒子を用いた樹脂組成物及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の広い局面によれば、導電性粒子と、フッ素を含む有機化合物とを備え、前記導電性粒子が、基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有し、前記導電部がニッケルを含み、前記フッ素を含む有機化合物が、前記導電部の表面の少なくとも一部を被覆している、被覆粒子が提供される。
【0013】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、前記フッ素を含む有機化合物が、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロアルキル化合物、又はポリフルオロアルキル化合物である。
【0014】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、TOF-SIMS分析において、前記被覆粒子の表面におけるフッ素イオン強度の、全マイナスイオンのイオン強度の合計に対する比が、0.0001以上である。
【0015】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、前記導電部の外表面部分がニッケルを含む。
【0016】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、前記フッ素を含む有機化合物が、リン酸基を有する。
【0017】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、前記被覆粒子の粒子径が、1.0μm以上4.0μm以下である。
【0018】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、前記被覆粒子は、複数の絶縁性粒子をさらに備え、前記導電性粒子の表面上に複数の前記絶縁性粒子が配置されている。
【0019】
本発明に係る被覆粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子の表面上に、絶縁性粒子が配置されていない。
【0020】
本発明の広い局面によれば、上述した被覆粒子と、バインダー樹脂とを含む、樹脂組成物が提供される。
【0021】
本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部の材料が、上述した被覆粒子を含み、前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る被覆粒子は、導電性粒子と、フッ素を含む有機化合物とを備える。本発明に係る被覆粒子では、上記導電性粒子が、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する。本発明に係る被覆粒子では、上記導電部がニッケルを含む。本発明に係る被覆粒子では、上記フッ素を含む有機化合物が、上記導電部の表面の少なくとも一部を被覆している。本発明に係る被覆粒子では、上記の構成が備えられているので、本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第5の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第6の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る被覆粒子を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0025】
(被覆粒子)
本発明に係る被覆粒子は、導電性粒子と、フッ素を含む有機化合物とを備える。本発明に係る被覆粒子では、上記導電性粒子が、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する。本発明に係る被覆粒子では、上記導電部がニッケルを含む。本発明に係る被覆粒子では、上記フッ素を含む有機化合物が、上記導電部の表面の少なくとも一部を被覆している。
【0026】
本発明に係る被覆粒子では、上記の構成が備えられているので、導電接続後に初期の接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる。
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、
図1及び後述する図において、異なる箇所は互いに置き換え可能である。また、
図1及び後述する図において、図示の便宜上、各構成要素の大きさ及び厚みは、実際の大きさ及び厚みと異なる場合がある。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【0029】
図1に示す被覆粒子1は、導電性粒子2と、フッ素を含む有機化合物3とを備える。被覆粒子1では、導電性粒子2が、基材粒子21と、基材粒子21の表面上に配置された導電部22とを有する。
【0030】
被覆粒子1では、フッ素を含む有機化合物3が、導電性粒子2の表面(導電部22の表面)を被覆している。被覆粒子1では、フッ素を含む有機化合物3が、導電性粒子2の表面(導電部22の表面)上に配置されており、導電性粒子2(導電部22)と接している。
【0031】
導電部22は、基材粒子21の表面を覆っている。導電性粒子2では、基材粒子21の表面が導電部22により被覆されている。導電性粒子2は、表面に導電部22を有する。
【0032】
被覆粒子1では、導電部22は、導電層である。導電部22は、単層の導電層である。上記導電性粒子では、上記導電部が上記基材粒子の表面の全体を覆っていてもよく、上記導電部が上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよい。
【0033】
被覆粒子1は、例えば、フッ素を含む有機化合物3を配置する前の導電性粒子2を用いて、フッ素を含む有機化合物分散液へのディッピング処理によりフッ素を含む有機化合物3を形成することで、得ることができる。また、後述する被覆粒子1A、及び被覆粒子1Bも、被覆粒子1と同様にして得ることができる。
【0034】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【0035】
図2に示す被覆粒子1Aは、導電性粒子2Aと、フッ素を含む有機化合物3Aとを備える。被覆粒子1Aでは、導電性粒子2Aが、基材粒子21Aと、基材粒子21Aの表面上に配置された導電部22Aとを有する。
【0036】
被覆粒子1Aでは、フッ素を含む有機化合物3Aが、導電性粒子2Aの表面(導電部22Aの表面)を被覆している。被覆粒子1Aでは、フッ素を含む有機化合物3Aが、導電性粒子2Aの表面(導電部22Aの表面)上に配置されており、導電性粒子2A(導電部22A)と接している。
【0037】
被覆粒子1Aでは、導電部22Aが、2層の導電層である。導電部22Aは、第1の導電部22AAと、第2の導電部22ABとを備える。導電部22Aでは、第1の導電部22AAが、基材粒子21Aの表面上に積層されており、第2の導電部22ABが、第1の導電部22AAの表面上に積層されている。
【0038】
被覆粒子1と被覆粒子1Aとでは、導電部の構成が異なる。上記導電部は、1層の導電層であってもよく、多層の導電層であってもよい。
【0039】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【0040】
図3に示す被覆粒子1Bは、導電性粒子2Bと、フッ素を含む有機化合物3Bとを備える。被覆粒子1Bでは、導電性粒子2Bが、基材粒子21Bと、基材粒子21Bの表面上に配置された導電部22Bと、基材粒子21Bの表面上に配置された複数の芯物質23Bとを有する。
【0041】
被覆粒子1Bでは、フッ素を含む有機化合物3Bが、導電性粒子2Bの表面(導電部22Bの表面)を被覆している。被覆粒子1Bでは、フッ素を含む有機化合物3Bが、導電性粒子2Bの表面(導電部22Bの表面)上に配置されており、導電性粒子2B(導電部22B)と接している。
【0042】
被覆粒子1Bでは、導電部22Bは、基材粒子21Bと、芯物質23Bとを被覆している。芯物質23Bを導電部22Bが被覆していることにより、被覆粒子1B、及び導電性粒子2Bは表面に、複数の突起2Baを有する。芯物質23Bにより導電部22Bの表面が隆起されており、複数の突起2Baが形成されている。
【0043】
被覆粒子1と被覆粒子1Bとでは、芯物質の使用の有無、及び突起の有無が異なる。上記被覆粒子は表面に、突起を有していてもよく、突起を有していなくてもよい。
【0044】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【0045】
図4に示す被覆粒子1Cは、導電性粒子2Cと、フッ素を含む有機化合物3Cと、複数の絶縁性粒子4Cとを備える。被覆粒子1Cは、導電性粒子2Cと、フッ素を含む有機化合物3Cとを備え、複数の絶縁性粒子4Cをさらに備える。被覆粒子1Cでは、導電性粒子2Cの表面上に複数の絶縁性粒子4Cが配置されている。被覆粒子1Cでは、導電性粒子2Cが、基材粒子21Cと、基材粒子21Cの表面上に配置された導電部22Cとを有する。
【0046】
被覆粒子1Cでは、フッ素を含む有機化合物3Cが、導電性粒子2Cの表面(導電部22Cの表面)と、絶縁性粒子4Cの表面とを被覆している。被覆粒子1Cでは、フッ素を含む有機化合物3Cが、導電性粒子2Cの表面(導電部22Cの表面)上、及び、絶縁性粒子4Cの表面上に配置されており、導電性粒子2C(導電部22C)及び絶縁性粒子4Cと接している。
【0047】
被覆粒子1Cでは、絶縁性粒子4Cが、導電性粒子2Cの表面上に配置されている。被覆粒子1Cでは、絶縁性粒子4Cが、導電部22Cの表面上に配置されており、導電部22Cと接している。
【0048】
導電部22Cは、基材粒子21Cの表面を覆っている。導電性粒子2Cでは、基材粒子21Cの表面が導電部22Cにより被覆されている。導電性粒子2Cは、表面に導電部22Cを有する。
【0049】
被覆粒子1Cでは、導電部22Cは、導電層である。導電部22Cは、単層の導電層である。上記導電性粒子では、上記導電部が上記基材粒子の表面の全体を覆っていてもよく、上記導電部が上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよい。
【0050】
被覆粒子1Cは、例えば、絶縁性粒子4Cが付着した導電性粒子2Cを用いて、フッ素を含む有機化合物分散液へのディッピング処理によりフッ素を含む有機化合物3Cを形成することで、得ることができる。また、後述する被覆粒子1D及び被覆粒子1Eも、被覆粒子1Cと同様にして得ることができる。
【0051】
被覆粒子1と被覆粒子1Cとでは、絶縁性粒子の有無が異なる。上記被覆粒子は、絶縁性粒子を備えていてもよく、絶縁性粒子を備えていなくてもよい。
【0052】
図5は、本発明の第5の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【0053】
図5に示す被覆粒子1Dは、導電性粒子2Dと、フッ素を含む有機化合物3Dと、複数の絶縁性粒子4Dとを備える。被覆粒子1Dは、導電性粒子2Dと、フッ素を含む有機化合物3Dとを備え、複数の絶縁性粒子4Dをさらに備える。被覆粒子1Dでは、導電性粒子2Dの表面上に複数の絶縁性粒子4Dが配置されている。被覆粒子1Dでは、導電性粒子2Dが、基材粒子21Dと、基材粒子21Dの表面上に配置された導電部22Dとを有する。
【0054】
被覆粒子1Dでは、フッ素を含む有機化合物3Dが、導電性粒子2Dの表面(導電部22Dの表面)と、絶縁性粒子4Dの表面とを被覆している。被覆粒子1Dでは、フッ素を含む有機化合物3Dが、導電性粒子2Dの表面(導電部22Dの表面)上、及び、絶縁性粒子4Dの表面上に配置されており、導電性粒子2D(導電部22D)及び絶縁性粒子4Dと接している。
【0055】
被覆粒子1Dでは、絶縁性粒子4Dが、導電性粒子2Dの表面上に配置されている。被覆粒子1Dでは、絶縁性粒子4Dが、導電部22Dの表面上に配置されており、導電部22Dと接している。
【0056】
被覆粒子1Dでは、導電部22Dが、2層の導電層である。導電部22Dは、第1の導電部22DAと、第2の導電部22DBとを備える。導電部22Dでは、第1の導電部22DAが、基材粒子21Dの表面上に積層されており、第2の導電部22DBが、第1の導電部22DAの表面上に積層されている。
【0057】
被覆粒子1Cと被覆粒子1Dとでは、導電部の構成が異なる。上記導電部は、1層の導電層であってもよく、多層の導電層であってもよい。
【0058】
図6は、本発明の第6の実施形態に係る被覆粒子を示す断面図である。
【0059】
図6に示す被覆粒子1Eは、導電性粒子2Eと、フッ素を含む有機化合物3Eと、複数の絶縁性粒子4Eとを備える。被覆粒子1Eは、導電性粒子2Eと、フッ素を含む有機化合物3Eとを備え、複数の絶縁性粒子4Eをさらに備える。被覆粒子1Eでは、導電性粒子2Eの表面上に複数の絶縁性粒子4Eが配置されている。被覆粒子1Eでは、導電性粒子2Eが、基材粒子21Eと、基材粒子21Eの表面上に配置された導電部22Eと、基材粒子21Eの表面上に配置された複数の芯物質23Eとを有する。
【0060】
被覆粒子1Eでは、フッ素を含む有機化合物3Eが、導電性粒子2Eの表面(導電部22Eの表面)と、絶縁性粒子4Eの表面とを被覆している。被覆粒子1Eでは、フッ素を含む有機化合物3Eが、導電性粒子2Eの表面(導電部22Eの表面)上、及び、絶縁性粒子4Eの表面上に配置されており、導電性粒子2E(導電部22E)及び絶縁性粒子4Eと接している。
【0061】
被覆粒子1Eでは、絶縁性粒子4Eが、導電性粒子2Eの表面上に配置されている。被覆粒子1Eでは、絶縁性粒子4Eが、導電部22Eの表面上に配置されており、導電部22Eと接している。
【0062】
被覆粒子1Eでは、導電部22Eは、基材粒子21Eと、芯物質23Eとを被覆している。芯物質23Eを導電部22Eが被覆していることにより、被覆粒子1E、及び導電性粒子2Eは表面に、複数の突起2Eaを有する。芯物質23Eにより導電部22Eの表面が隆起されており、複数の突起2Eaが形成されている。
【0063】
被覆粒子1Cと被覆粒子1Eとでは、芯物質の使用の有無、及び突起の有無が異なる。上記被覆粒子は表面に、突起を有していてもよく、突起を有していなくてもよい。
【0064】
以下、被覆粒子の他の詳細を説明する。
【0065】
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルとを示す。
【0066】
上記被覆粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましく1.5μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5.0μm以下、より一層好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは3.5μm以下、特に好ましくは3μm未満、最も好ましくは2.8μm以下である。上記被覆粒子の粒子径が、上記下限以上であると、導電接続後に接続抵抗を低くすることができる。上記被覆粒子の粒子径が、上記上限以下であると、ファンピッチ接続においても隣り合う電極同士が短絡することを防ぐことができ、接続信頼性を高めることができる。本発明に係る被覆粒子では、上記の構成が備えられているので、上記被覆粒子の粒子径が小さくても、導電接続後に初期の接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる。
【0067】
上記被覆粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。上記被覆粒子の粒子径は、例えば、任意の被覆粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各被覆粒子の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
【0068】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記被覆粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。上記被覆粒子の粒子径の変動係数(CV値)の下限は、特に限定されない。上記被覆粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、0%であってもよく、2%以上であってもよく、5%以上であってもよい。
【0069】
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0070】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:被覆粒子の粒子径の標準偏差
Dn:被覆粒子の粒子径の平均値
【0071】
上記被覆粒子の形状は、特に限定されない。上記被覆粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等であってもよい。
【0072】
上記被覆粒子では、TOF-SIMS分析において、上記被覆粒子の表面におけるフッ素イオン強度の、全マイナスイオンのイオン強度の合計に対する比(フッ素イオン強度比)が、0.0001以上であることが好ましい。上記フッ素イオン強度比は、比(被覆粒子の表面におけるフッ素イオン強度/全マイナスイオンのイオン強度の合計)で表される。上記フッ素イオン強度比は、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.001以上、さらに好ましくは0.005以上、特に好ましくは0.01以上であり、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下である。上記フッ素イオン強度比が上記下限以上であると、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる。上記フッ素イオン強度比が上記上限以下であると、導電接続後に初期の接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性高めることができる。
【0073】
TOF-SIMSの具体的な測定条件は、例えば、以下の通りである。
【0074】
TOF-SIMS装置:ION-TOF社製、TOF-SIMS5型
一次イオン:209Bi3++
イオン電圧:25kV
イオン電流:1pA
質量範囲:1~500mass
分析エリア:500μm×500μm
チャージ防止:電子照射中和
【0075】
上記フッ素イオン強度比を上記の好ましい範囲に制御する方法としては、上記フッ素を含む有機化合物を上記導電性粒子の表面上に配置する際の、上記フッ素を含む有機化合物の含有量を調整する方法等が挙げられる。上記フッ素を含む有機化合物を上記導電性粒子の表面上に配置する方法としては、ディッピングにより配置する方法、スプレーにより配置する方法、溶融塗布により配置する方法等が挙げられる。
【0076】
上記被覆粒子は、バインダー樹脂中に分散され、樹脂組成物を得るために好適に用いられる。
【0077】
<基材粒子>
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよく、上記シェルが無機シェルであってもよい。
【0078】
上記樹脂粒子の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、及びポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及びジビニルベンゼン重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン重合体は、ジビニルベンゼン共重合体であってもよい。上記ジビニルベンゼン共重合体としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子の材料は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0079】
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0080】
上記非架橋性の単量体としては、スチレン、及びα-メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及び無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、及びプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、及びステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;エチレン、プロピレン、イソプレン、及びブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、及びクロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
【0081】
上記架橋性の単量体としては、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、並びに、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、及びビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。上記樹脂粒子のガラス転移温度においても上記樹脂粒子が形状を保つ観点からは、上記架橋性の単量体は、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0082】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0083】
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は、金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0084】
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
【0085】
上記有機コアの材料としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。
【0086】
上記無機シェルの材料としては、上述した基材粒子の材料として挙げた無機物が挙げられる。上記無機シェルの材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
【0087】
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子の材料である金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。
【0088】
上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5.0μm以下、より一層好ましくは4.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下、特に好ましくは2.7μm以下、最も好ましくは2.7μm未満である。上記基材粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下(又は上記上限未満)であると、導電接続後に接続抵抗を低くすることができる。上記基材粒子の粒子径が、上記上限以下(又は上記上限未満)であると、ファンピッチ接続においても隣り合う電極同士が短絡することを防ぐことができ、接続信頼性を高めることができる。本発明に係る被覆粒子では、上記の構成が備えられているので、上記基材粒子及び上記被覆粒子の粒子径が小さくても、導電接続後に初期の接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる。
【0089】
上記基材粒子の形状は、特に限定されない。上記基材粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等であってもよい。
【0090】
上記基材粒子の粒子径は、数平均粒子径を示す。上記基材粒子の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。基材粒子の粒子径は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求めることが好ましい。被覆粒子において、上記基材粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
【0091】
被覆粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に被覆粒子を添加し、分散させて、被覆粒子を含む検査用埋め込み樹脂体を作製する。上記検査用埋め込み樹脂体中に分散した基材粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、被覆粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の被覆粒子を無作為に選択し、各被覆粒子の基材粒子を観察する。各被覆粒子における基材粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して基材粒子の粒子径とする。
【0092】
<芯物質及び突起>
上記被覆粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記突起は、複数であることが好ましい。上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記突起は、複数であることが好ましい。一般に、被覆粒子と接触する電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。表面に突起を有する被覆粒子を用いた場合には、導電接続時に、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と被覆粒子とがより一層確実に接触し、被覆粒子と電極との接触面積を十分に大きくすることができ、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。さらに、被覆粒子がバインダー樹脂に分散されて樹脂組成物や導電材料として用いられる場合に、被覆粒子の突起によって、被覆粒子と電極との間のバインダー樹脂をより一層効果的に排除できる。このため、被覆粒子と電極との接触面積を十分に大きくすることができ、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0093】
被覆粒子及び導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。
【0094】
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
【0095】
上記導電性粒子は、上記基材粒子の表面上に第1の導電部を有し、かつ、第1の導電部の表面上に第2の導電部を有していてもよい。この場合に、基材粒子の表面に芯物質を付着させてもよく、上記第1の導電部の表面に芯物質を付着させてもよい。上記芯物質は、上記第2の導電部により被覆されていることが好ましく、上記第1の導電部及び上記第2の導電部により被覆されていることがより好ましい。上記導電性粒子は、基材粒子の表面上に芯物質を付着させた後、基材粒子及び芯物質の表面上に第1の導電部を形成し、次に第1の導電部の表面上に第2の導電部を形成することにより得られていることが好ましい。
【0096】
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。導電性を高める観点からは、上記芯物質を構成する物質は、金属が好ましい。導電性を高める観点からは、上記芯物質は、金属粒子であることが好ましい。
【0097】
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫-鉛合金、錫-銅合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0098】
上記芯物質の形状は、特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
【0099】
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができる。
【0100】
<導電部>
本発明では、上記導電性粒子は、導電部を表面に有する。上記導電部は、上記基材粒子の表面上に配置されている。
【0101】
上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部を構成する金属は、特に限定されない。上記金属としては、金、銀、銅、錫、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0102】
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部は、錫、ニッケル、パラジウム、銅又は金を含むことが好ましく、錫又はニッケルを含むことがより好ましく、ニッケルを含むことがさらに好ましい。
【0103】
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部は、ニッケルを主金属として含むことが好ましい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部100重量%中、ニッケルの含有量は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上、特に好ましくは30重量%以上である。上記導電部100重量%中、ニッケルの含有量は、100重量%(全量)であってもよい。
【0104】
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層を構成する金属は、錫、ニッケル、パラジウム、銅又は金であることが好ましく、錫、ニッケル、パラジウム、又は銅であることがより好ましく、錫又はニッケルであることがさらに好ましく、ニッケルであることが特に好ましい。最外層を構成する金属がこれらの好ましい金属である場合には、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性をより一層高めることができる。また、最外層を構成する金属が金である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
【0105】
高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の外表面部分がニッケルを含むことが好ましい。高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部が2層以上の積層構造を有する場合に、最外層がニッケルを含むことが好ましい。上記導電部が1層の構造を有する場合に、1層の導電層がニッケルを含む。
【0106】
上記基材粒子の全表面積100%中、上記導電部により被覆されている部分の面積(導電部による被覆率)は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。上記導電部による被覆率の上限は、特に限定されない。上記導電部による被覆率は99%以下であってもよい。上記導電部による被覆率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0107】
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、導通信頼性をより一層効果的に高め、かつ、導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を十分に変形させることができる。
【0108】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗を十分に低くすることができる。
【0109】
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最内層の導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。上記最内層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗を十分に低くすることができる。
【0110】
上記導電部の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
【0111】
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は、特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。上記導電部を形成する方法は、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
【0112】
<フッ素を含む有機化合物>
本発明に係る被覆粒子では、上記フッ素を含む有機化合物は、上記導電部の表面の少なくとも一部を被覆している。すなわち、上記フッ素を含む有機化合物は、上記導電性粒子の表面の少なくとも一部を被覆している。上記被覆粒子では、上記導電部(導電性粒子)の表面上の少なくとも一部に上記フッ素を含む有機化合物(被覆部)が配置されている。上記被覆粒子が後述する複数の絶縁性粒子をさらに備える場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記フッ素を含む有機化合物が、上記導電部の表面の少なくとも一部と、上記絶縁性粒子の表面の少なくとも一部とを被覆していることが好ましい。上記被覆粒子では、上記導電部の表面上の少なくとも一部及び上記絶縁性粒子の表面上の少なくとも一部に上記フッ素を含む有機化合物(被覆部)が配置されていることが好ましい。上記フッ素を含む有機化合物は、被膜であってもよい。
【0113】
本発明に係る被覆粒子では、上記の構成が備えられているので、上記導電部の酸化を抑制することができる。上記被覆粒子では、上記フッ素を含む有機化合物は、防錆剤として作用する。
【0114】
上記被覆粒子が後述する複数の絶縁性粒子をさらに備える場合に、上記導電部と上記絶縁性粒子との間に、上記フッ素を含む有機化合物が配置されていてもよく、配置されていなくてもよい。上記導電部と上記絶縁性粒子とは、上記フッ素を含む有機化合物を介さずに、直接接していてもよい。
【0115】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記導電部(導電性粒子)の全表面積100%中、上記フッ素を含む有機化合物により被覆されている部分の面積(フッ素を含む有機化合物による被覆率)は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは100%である。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記フッ素を含む有機化合物は、上記導電部(導電性粒子)の表面の全体を被覆していることが好ましい。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記フッ素を含む有機化合物は、上記導電部の表面と、上記絶縁性粒子の表面とを被覆していることが好ましい。上記フッ素を含む有機化合物による被覆率は、以下の方法で測定することができる。
【0116】
導電性粒子を一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察画像における導電部の表面の外周縁部分の円内の面積全体に占める、導電部の表面の外周縁部分の円内におけるフッ素を含む有機化合物の合計の面積から算出する。上記フッ素を含む有機化合物による被覆率は、20個の被覆粒子を観察し、各被覆粒子の測定結果を平均した平均被覆率として算出することが好ましい。なお、上記絶縁性粒子による被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)に付随するEDX等のマッピング分析によって測定されてもよい。
【0117】
上記フッ素を含む有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロアルキル化合物、及びポリフルオロアルキル化合物等が挙げられる。上記パーフルオロアルキル化合物としては、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルリン酸、及びパーフルオロアルキルアミン等が挙げられる。上記ポリフルオロアルキル化合物としては、ポリフルオロアルキルスルホン酸、ポリフルオロアルキルカルボン酸、ポリフルオロアルキルリン酸及びポリフルオロアルキルアミン等が挙げられる。
【0118】
上記導電性粒子を容易に被覆する観点からは、上記フッ素を含む有機化合物は、ポリフッ化ビニリデン、パーフルオロアルキル化合物、又はポリフルオロアルキル化合物であることが好ましく、パーフルオロアルキル化合物であることがより好ましい。
【0119】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記フッ素を含む有機化合物は、金属とイオン結合、共有結合、又は配位結合が可能な官能基を有することが好ましく、ニッケルとイオン結合、共有結合、又は配位結合可能な官能基を有することがより好ましく、リン酸基を有することがさらに好ましい。上記フッ素を含む有機化合物がリン酸基を有する場合には、導電部の表面をより一層容易に被覆することができる。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記フッ素を含む有機化合物は、ポリフルオロアルキルリン酸、又はパーフルオロアルキルリン酸であることが好ましい。
【0120】
上記フッ素を含む有機化合物は、以下の方法で検出することができる。飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて粒子最表面を測定し、フッ素原子を含む有機化合物に由来する質量スペクトルの有無を観察する。上記TOF-SIMSに用いる分析装置としては、例えば、アルバック-ファイ社製「PHI nano TOFII」等が挙げられる。
【0121】
上記フッ素を含む有機化合物を上記導電性粒子の表面上に配置する方法は、特に限定されない。上記フッ素を含む有機化合物を上記導電性粒子の表面上に配置する方法としては、ディッピングにより配置する方法、スプレーにより配置する方法、溶融塗布により配置する方法等が挙げられる。
【0122】
上記被覆粒子100重量%中、上記フッ素を含む有機化合物の含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下、さらに好ましく1.0重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。上記フッ素を含む有機化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電接続後に初期の接続抵抗を低くすることができ、かつ、高温高湿下で長期間使用されたときに、導通信頼性を高めることができる。
【0123】
<絶縁性粒子>
本発明に係る被覆粒子は、上記導電性粒子の外表面上に、絶縁性粒子を備えていてもよく、絶縁性粒子を備えていなくてもよい。本発明に係る被覆粒子では、上記導電性粒子の表面上に、絶縁性粒子が配置されていなくてもよい。上記被覆粒子は、上記導電性粒子の表面上に配置された複数の絶縁性粒子を備えていてもよい。上記被覆粒子は、絶縁性粒子付き導電性粒子と、フッ素を含む有機化合物とを備え、上記絶縁性粒子付き導電性粒子が、導電性粒子と、上記導電性粒子の表面上に配置された複数の絶縁性粒子とを有していてもよい。上記被覆粒子は、複数の絶縁性粒子をさらに備え、上記導電性粒子の表面上に複数の上記絶縁性粒子が配置されていることが好ましい。上記被覆粒子が上記導電性粒子の表面上に配置された複数の絶縁性粒子を備える場合には、上記被覆粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の被覆粒子同士が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で被覆粒子を加圧することにより、導電性粒子と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。さらに、導電部の外表面に複数の突起を有する導電性粒子である場合には、導電性粒子と電極との間の絶縁性粒子をより一層容易に排除できる。
【0124】
上記絶縁性粒子は、重合性化合物の重合体であることが好ましい。上記重合性化合物は、特に限定されない。上記重合性化合物としては、上述した樹脂粒子の材料等が挙げられる。電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができ、かつ、絶縁信頼性を高める観点からは、上記絶縁性粒子は、樹脂粒子であることが好ましい。導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記樹脂粒子の材料は、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体であることが好ましい。なお、上記導電部の表面上へ絶縁性粒子を良好に配置する観点からは、上記絶縁性粒子は、フッ素を含む有機化合物を含まないことが好ましい。
【0125】
上記導電部の表面上に上記絶縁性粒子を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電部の表面上に上記絶縁性粒子を配置する方法は、物理的方法であることが好ましい。
【0126】
上記絶縁性粒子の粒子径は、上記被覆粒子の粒子径及び上記被覆粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性粒子の粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上であり、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは800nm以下、特に好ましくは500nm以下である。上記絶縁性粒子の粒子径が、上記下限以上であると、上記被覆粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の上記被覆粒子同士が接触し難くなる。上記絶縁性粒子の粒子径が、上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性粒子を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
【0127】
上記絶縁性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましい。該平均粒子径は、数平均粒子径を意味する。上記絶縁性粒子の粒子径は粒度分布測定装置等を用いて求められる。上記絶縁性粒子の粒子径は、任意の絶縁性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求めることが好ましい。上記被覆粒子において、上記絶縁性粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
【0128】
被覆粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、被覆粒子を含む検査用埋め込み樹脂体を作製する。上記検査用埋め込み樹脂体中の分散した被覆粒子における絶縁性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、被覆粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の被覆粒子を無作為に選択し、各被覆粒子の絶縁性粒子を観察する。各被覆粒子における絶縁性粒子の円相当径を粒子径として計測し、それらを算術平均して絶縁性粒子の粒子径とする。
【0129】
本発明に係る被覆粒子では、粒子径の異なる2種以上の絶縁性粒子を併用してもよい。粒子径の異なる2種以上の絶縁性粒子を併用することにより、粒子径の大きい絶縁性粒子により被覆された隙間に、粒子径の小さい絶縁性粒子が入り込み、導電性粒子の表面上に絶縁性粒子をより一層効率的に配置することができる。
【0130】
上記絶縁性粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、20%以下であることが好ましい。上記絶縁性粒子の粒子径の変動係数が、上記上限以下であると、得られる被覆粒子における絶縁性粒子の厚みがより一層均一となり、導電接続の際に均一に圧力をより一層容易に付与することができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
【0131】
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0132】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:絶縁性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:絶縁性粒子の粒子径の平均値
【0133】
上記絶縁性粒子の形状は、特に限定されない。上記絶縁性粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等の形状であってもよい。
【0134】
電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電部の全表面積100%中、上記絶縁性粒子により被覆されている部分の面積(絶縁性粒子による被覆率)は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上であり、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。
【0135】
上記絶縁性粒子による被覆率は、例えば、以下の方法で測定することができる。絶縁性粒子付き導電性粒子を一方向から走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、観察画像における導電部の表面の外周縁部分の円内の面積全体に占める、導電部の表面の外周縁部分の円内における絶縁性粒子の合計の面積から算出する。上記絶縁性粒子による被覆率は、20個の絶縁性粒子付き導電性粒子を観察し、各絶縁性粒子付き導電性粒子の測定結果を平均した平均被覆率として算出することが好ましい。
【0136】
また、上記絶縁性粒子による被覆率はSEMに付随するEDX等のマッピング分析によっても測定が可能である。
【0137】
上記絶縁性粒子による被覆率は、例えば、絶縁性粒子の基材粒子に対する添加量、混合時間等によって、調節することができるので、上記絶縁性粒子による被覆率を調節する方法は、特に限定されない。
【0138】
(樹脂組成物)
本発明に係る樹脂組成物は、上述した被覆粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記被覆粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましい。上記被覆粒子は、バインダー樹脂中に分散されて樹脂組成物として用いられることが好ましい。上記樹脂組成物は、導電材料であることが好ましく、異方性導電材料であることがより好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。上記樹脂組成物及び導電材料では、上述した被覆粒子が用いられているので、バインダー樹脂中での粒子の凝集を抑制することができる。また、電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を効果的に高めることができる。さらに、上記被覆粒子をバインダー樹脂中に分散させる等の導電接続前に被覆粒子の表面から絶縁性粒子が意図せずに脱離することを防止でき、電極間の絶縁信頼性をより一層高めることができる。
【0139】
上記バインダー樹脂は、特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
【0140】
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0141】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0142】
上記樹脂組成物は、上記被覆粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0143】
上記バインダー樹脂中に上記被覆粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ、特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記被覆粒子を分散させる方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記被覆粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記被覆粒子を水又は有機分散媒中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機分散媒等で希釈した後、上記被覆粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
【0144】
上記樹脂組成物の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記樹脂組成物の25℃での粘度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0145】
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0146】
本発明に係る樹脂組成物が導電材料である場合に、上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0147】
上記樹脂組成物100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、樹脂組成物により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0148】
上記樹脂組成物100重量%中、上記被覆粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記被覆粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高めることができる。
【0149】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記バインダー樹脂中の上記被覆粒子の全個数100%中、凝集していない上記被覆粒子の割合は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上、最も好ましくは90%以上である。上記バインダー樹脂中の上記被覆粒子の全個数100%中、凝集していない上記被覆粒子の割合の上限は、特に限定されない。上記バインダー樹脂中の上記被覆粒子の全個数100%中、凝集していない上記被覆粒子の割合は、100%(全量)であってもよい。
【0150】
(接続構造体)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した被覆粒子を含む。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されている。
【0151】
上記接続構造体は、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に、上記被覆粒子を配置する工程と、熱圧着することにより、導電接続する工程とを経て、得ることができる。上記熱圧着時に、上記フッ素を含む有機化合物が上記被覆粒子から脱離することが好ましい。上記被覆粒子が上記絶縁性粒子を備える場合には、上記熱圧着時に、上記絶縁性粒子が上記被覆粒子から脱離することが好ましい。また、上記被覆粒子に代えて、上記樹脂組成物を配置してもよい。
【0152】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る被覆粒子を用いた接続構造体を模式的に示す断面図である。
【0153】
図7に示す接続構造体81は、第1の接続対象部材82と、第2の接続対象部材83と、第1の接続対象部材82及び第2の接続対象部材83を接続している接続部84とを備える。接続部84の材料は、被覆粒子1を含む。接続部84は、被覆粒子1を含む樹脂組成物により形成されていてもよい。接続部84は、複数の被覆粒子1を含む樹脂組成物を硬化させることにより形成されていることが好ましい。なお、
図7では、被覆粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。被覆粒子1の代わりに、被覆粒子1A又は被覆粒子1Bを用いてもよい。
【0154】
第1の接続対象部材82は表面(上面)に、複数の第1の電極82aを有する。第2の接続対象部材83は表面(下面)に、複数の第2の電極83aを有する。第1の電極82aと第2の電極83aとが、1つ又は複数の被覆粒子1における導電性粒子2(
図7では省略)により電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材82及び第2の接続対象部材83が導電性粒子2(
図7では省略)における導電部22(
図7では省略)により電気的に接続されている。
【0155】
上記接続構造体の製造方法は、特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記被覆粒子又は上記樹脂組成物を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記熱圧着の圧力は好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記熱圧着の温度(加熱温度)は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。上記熱圧着の圧力及び温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電接続時に被覆粒子の表面から上記フッ素を含む有機化合物が容易に脱離でき、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
【0156】
上記積層体を加熱及び加圧する際に、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記フッ素を含む有機化合物を排除することができる。なお、上記加熱及び加圧の際には、上記導電性粒子の表面から一部の上記フッ素を含む有機化合物が排除されて、上記導電部の表面が部分的に露出することがある。上記導電部の表面が露出した部分が、上記第1の電極及び上記第2の電極に接触することにより、上記導電性粒子を介して第1の電極と第2の電極とを電気的に接続することができる。
【0157】
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
【0158】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0159】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0160】
以下の材料を用意した。
【0161】
基材粒子:
ジビニルベンゼン樹脂粒子(基材粒子A、積水化学工業社製「ミクロパールEX」、粒子径(平均粒子径)2.55μm)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(基材粒子B、積水化学工業社製「ミクロパールEX」、粒子径(平均粒子径)1.30μm)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(基材粒子C、積水化学工業社製「ミクロパールEX」、粒子径(平均粒子径)1.80μm)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(基材粒子D、積水化学工業社製「ミクロパールEX」、粒子径(平均粒子径)3.55μm)
ジビニルベンゼン樹脂粒子(基材粒子E、積水化学工業社製「ミクロパールEX」、粒子径(平均粒子径)4.55μm)
【0162】
被覆材料:
ポリフッ化ビニリデン(フッ素を含む有機化合物、富士フイルム和光純薬社製「ポリフッ化ビニリデン」)
パーフルオロアルキルリン酸(フッ素を含む有機化合物、AGCセイミケミカル社製「サーフロンFPE-50」)
パーフルオロアルキル(フッ素を含む有機化合物、AGCセイミケミカル社製「S-656」)
リン酸モノヘキシルエステル(フッ素を含まない有機化合物、東京化成工業社製「リン酸モノエチルヘキシル」)
シリコーン化合物(フッ素を含まない有機化合物、モメンティブ社製「TSF4700」)
【0163】
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
基材粒子Aに、無電解めっきして、基材粒子Aの表面上にニッケル層(厚み0.1μm)が形成されている導電性粒子を得た。
【0164】
(2)被覆粒子の作製
得られた導電性粒子10gを、ポリフッ化ビニリデン(被覆材料)を1重量%で溶解させたアセトン溶液100gに入れ、50℃で30分間超音波撹拌した。その後、10μmのメッシュフィルターでろ過し、メタノールで洗浄した後、乾燥させ、導電性粒子の表面がポリフッ化ビニリデンにより被覆された被覆粒子を得た。
【0165】
(3)樹脂組成物(異方性導電ペースト)の作製
得られた被覆粒子7重量部と、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂25重量部と、フルオレン型エポキシ樹脂4重量部と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂30重量部と、SI-60L(三新化学工業社製)とを配合して、3分間脱泡及び撹拌することで、樹脂組成物A(異方性導電ペースト)を得た。
【0166】
(4)接続構造体の作製
L/Sが10μm/10μmであるIZO電極パターン(第1の電極、電極表面の金属のビッカース硬度100Hv)が上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが10μm/10μmであるAu電極パターン(第2の電極、電極表面の金属のビッカース硬度50Hv)が下面に形成された半導体チップを用意した。
【0167】
上記透明ガラス基板上に、得られた樹脂組成物A(異方性導電ペースト)を厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が100℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、60MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を100℃で硬化させ、接続構造体を得た。
【0168】
(実施例2~6及び8~11、及び比較例2~4)
基材粒子の種類、導電部の構成、及び被覆材料の種類を下記の表1~4のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、被覆粒子、樹脂組成物、及び接続構造体を得た。
【0169】
(実施例7)
基材粒子Aに、無電解めっきして、基材粒子Aの表面上にニッケル層(厚み0.1μm)を形成した。次いで、無電解めっきして、錫層(厚み0.01μm)を形成して、基材粒子Aの表面上にニッケル層及び錫層が形成されている導電性粒子を得た。得られた導電性粒子を用いたこと、及び被覆材料の種類を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、被覆粒子、樹脂組成物、及び接続構造体を得た。
【0170】
(比較例1)
導電性粒子の構成を下記の表4のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。得られた導電性粒子を被覆せずに、非被覆粒子として用いたこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、及び接続構造体を得た。以下の説明及び表において、比較例1については「被覆粒子」を「非被覆粒子」と読みかえる。
【0171】
(評価)
(1)フッ素イオン強度比
得られた被覆粒子について、上述した測定条件で、TOF-SIMS分析を行い、上記被覆粒子の表面におけるフッ素イオン強度の、全マイナスイオンのイオン強度の合計に対する比(フッ素イオン強度比)を測定した。
【0172】
(2)初期の接続抵抗
得られた被覆粒子2gについて、20kNにおける体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学社製「粉体抵抗率測定システム」)を用いて測定し、その平均を体積抵抗率(初期)とした。初期の接続抵抗を、下記の基準で判定した。
【0173】
[初期の接続抵抗の判定基準]
○○:体積抵抗率(初期)が、0.002Ω・cm未満
○:体積抵抗率(初期)が、0.002Ω・cm以上、0.005Ω・cm未満
×:体積抵抗率(初期)が、0.005Ω・cm以上
【0174】
(3)長期の接続抵抗(導通信頼性)
得られた被覆粒子を、85℃及び85%RHにて500時間放置した。放置後の被覆粒子2gについて、20kNにおけるの体積抵抗率を、抵抗率計(三菱化学社製「粉体抵抗率測定システム」)を用いて測定し、その平均を体積抵抗率(長期)とした。長期の接続抵抗を、下記の基準で判定した。また、比(体積抵抗率(長期)/体積抵抗率(初期))を求めた。
【0175】
[長期の接続抵抗の判定基準]
○○○:体積抵抗率(長期)が、0.004Ω・cm未満
○○:体積抵抗率(長期)が、0.004Ω・cm以上、0.006Ω・cm未満
○:体積抵抗率(長期)が、0.006Ω・cm以上、0.01Ω・cm未満
×:体積抵抗率(長期)が、0.01Ω・cm以上
【0176】
(4)接続構造体の導通信頼性
得られた20個の接続構造体を、85℃及び85%RHにて500時間放置した後、上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続構造体の導通信頼性を、下記の基準で判定した。
【0177】
[接続構造体の導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗が3.0Ω以下
○:接続抵抗が3.0Ωを超え、10.0Ω以下
×:接続抵抗が10.0Ωを超える
【0178】
被覆粒子の組成及び結果を下記の表1~4に示す。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【符号の説明】
【0183】
1,1A,1B,1C,1D,1E…被覆粒子
2,2A,2B,2C,2D,2E…導電性粒子
2Ba,2Ea…突起
3,3A,3B,3C,3D,3E…フッ素を含む有機化合物
4C,4D,4E…絶縁性粒子
21,21A,21B,21C,21D,21E…基材粒子
22,22A,22B,22C,22D,22E…導電部
22AA,22DA…第1の導電部
22AB,22DB…第2の導電部
23B,23E…芯物質
81…接続構造体
82…第1の接続対象部材
82a…第1の電極
83…第2の接続対象部材
83a…第2の電極
84…接続部