(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035973
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】胡桃殻製ペレット
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
C10L5/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140640
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】322004773
【氏名又は名称】竹内 康造
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 康造
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA02
4H015BA13
4H015BB10
4H015CA01
4H015CB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】胡桃殻の使用量を大幅に増やした胡桃殻製ペレットを提供することにより、胡桃殻の有効利用を促進すること。
【解決手段】胡桃の殻を1mm未満に破砕した第1破砕殻10と、胡桃の殻を1mm以上7mm未満に破砕した第2破砕殻20と、の混合材料40により形成されていることを特徴とする胡桃殻製ペレット100である。また、殻の内表面と仁の外表面との間の薄皮30をさらに含んでいることが好ましく、第1破砕殻10および第2破砕殻20の合計と薄皮30の質量比が90:10~50:50の比率で混合されたものであることがより好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胡桃の殻を1mm未満に破砕した第1破砕殻と、
前記殻を1mm以上7mm未満に破砕した第2破砕殻と、の混合材料により形成されていることを特徴とする胡桃殻製ペレット。
【請求項2】
前記混合材料は、前記第1破砕殻と前記第2破砕殻との質量比が30:70~70:30の比率で混合されたものであることを特徴とする請求項1記載の胡桃殻製ペレット。
【請求項3】
前記殻の内表面と仁の外表面との間の薄皮をさらに含んでいることを特徴とする請求項1または2記載の胡桃殻製ペレット。
【請求項4】
前記混合材料は、前記第1破砕殻および前記第2破砕殻の合計と前記薄皮の質量比が90:10~50:50の比率で混合されたものであることを特徴とする請求項3記載の胡桃殻製ペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胡桃殻製ペレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
間伐材等を原料としたバイオマス固体燃料としてのペレットが知られている。このようなペレットについては、特許文献1(特開2020-33396号公報)や特許文献2(特開2020-90673号公報)に記載されているようなものが知られている。これら特許文献1および特許文献2には、原料バイオマスの一部に胡桃殻を用いていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-33396号公報(明細書段落0017-0018)
【特許文献2】特開2020-90673号公報(明細書段落0010,0080,0187,0213,表5,表6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2に開示されているバイオマス固体燃料としてのペレットは、バイオマス材料として木質系や草木系の材料であれば良いとされているが、主材料にはいわゆる木材が用いられており、原材料に対する胡桃殻の使用比率は低く、胡桃殻の有効利用としては使用量が不十分であるといった課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的とするところは次のとおりである。すなわち、胡桃殻の使用量を大幅に増やした胡桃殻製ペレットを提供することにより、胡桃殻の有効利用を促進することが本発明の目的である。
【0006】
上記課題を解決するため発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち、本発明は、胡桃の殻を1mm未満に破砕した第1破砕殻と、前記殻を1mm以上7mm未満に破砕した第2破砕殻と、の混合材料により形成されていることを特徴とする胡桃殻製ペレットである。
【0007】
これにより、胡桃殻のみで形成した胡桃殻製ペレットを提供することができ、胡桃殻の有効利用が可能になる。
【0008】
また、前記混合材料は、前記第1破砕殻と前記第2破砕殻との質量比が30:70~70:30で混合されたものであることが好ましい。
【0009】
これにより、胡桃殻製ペレットの形状保持性や燃焼性が高まり、燃料としての使い勝手が向上する。
【0010】
また、前記殻の内表面と仁の外表面との間の薄皮をさらに含んでいることが好ましい。
【0011】
これにより、ペレット製造装置による胡桃殻製ペレットの成形性および排出性が向上し、生産効率を高めることができる。
【0012】
また、前記混合材料は、前記第1破砕殻および前記第2破砕殻の合計と前記薄皮の質量比が90:10~50:50の比率で混合されたものであることが好ましい。
【0013】
これにより、原材料の入手や胡桃殻製ペレットの成形性および燃料としての使い勝手のバランスを良好にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、胡桃殻のみで形成した(胡桃殻の使用量を大幅に増やした)胡桃殻製ペレットを提供することができ、胡桃殻の有効利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態における胡桃殻製ペレット製造装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態における胡桃殻製ペレット100は、胡桃の殻(以下、胡桃殻という)を主原材料としている。ここで、胡桃とは、菓子胡桃、鬼胡桃、姫胡桃等に代表される食用の胡桃はもちろんのこと、食用以外の胡桃であってもよい。
【0017】
本実施形態における胡桃殻製ペレット100は、胡桃殻を主原材料としており、食用部分である仁(種子)は含まれていない。このように食用部分を除いた捨てる部分である胡桃殻を用いているため、胡桃殻を有効利用することができる点において好都合である。
【0018】
本実施形態における胡桃殻は、図示しない破砕機を用いて所定寸法に破砕されたものが用いられる。本実施形態においては、破砕した胡桃殻が粒径に基づいて2グループに分類されている。具体的には、粒径寸法が1mm未満に破砕された胡桃殻である第1破砕殻10と、粒径寸法が1mm以上7mm以下に破砕された胡桃殻である第2破砕殻20に分類している。第1破砕殻10と第2破砕殻20は、破砕した胡桃殻を篩分けすることで分類可能である。なお、本実施形態における第1破砕殻10と第2破砕殻20の質量比は1:1である。
【0019】
なお、第1破砕殻10には、胡桃殻の破砕処理中や胡桃殻の篩分け中に舞い上がっている微粒子成分を図示しない集塵機で集めたものが含まれていてもよい。また、第1破砕殻10および第2破砕殻20からなる混合材料40には、胡桃殻の内表面と仁の外表面との間にある薄皮30がさらに含まれていてもよい。本実施形態における混合材料40のように、原材料の一部として薄皮30を用いることにより、ダイス孔DAと混合材料40の境界面に薄皮30が露出し、混合材料40がダイス孔DAから排出する際の摩擦が軽減され、胡桃殻製ペレット100の排出性を高めることができる点で好都合である。
【0020】
本実施形態における混合材料40は、第1破砕殻10および第2破砕殻20の合計と薄皮30との質量比を90:10で混合しているが、この質量比に限定されるものではない。混合材料40における第1破砕殻10および第2破砕殻20の合計と薄皮30との質量比は、使用する胡桃殻の状態や許容製造コストに応じて90:10~50:50の範囲で適宜変更することができる。出願人の実験により、上記の混合材料40に占める薄皮30の質量割合が高まれば、ペレット製造装置SSにおける胡桃殻製ペレット100の成形性および生産性(固まり易く、排出し易くなる)や、燃焼時における着火性が向上すると共に、燃焼後に発生する灰の量が削減可能であることが確認されている。
【0021】
このようにして得られた混合材料40がペレット製造装置SSのホッパHPに投入されると、混合部KGで第1破砕殻10、第2破砕殻20および薄皮30が混合される。このとき、第1破砕殻10、第2破砕殻20および薄皮30は破砕が進み、幅広い径寸法の破砕殻(および薄皮30)からなる混合材料40が生成される。混合部KGで生成された混合材料40は、ダイスDSに押し込まれてダイス孔DAから所定径寸法の円柱体に押し出される。ダイス孔DAの出口側に配設されたカッタCTがダイス孔DAから押し出された円柱体を所定長さに切断することで胡桃殻製ペレット100が得られる。ダイスDSから排出された胡桃殻製ペレット100は、パンチングメタル板等により形成された通気孔(図示はせず)を有する受皿USの上で自然冷却すると共に乾燥が行われる。
【0022】
混合材料40を構成する第1破砕殻10、第2破砕殻20および薄皮30にはリグニン成分が少ないものの、幅広い粒径寸法の胡桃殻からなる混合材料40を所定の圧力でダイス孔DAを通過させることで確実にペレット化することができる。本実施形態における胡桃殻製ペレット100は、バインダーを用いていないため水分量が少なく、乾燥に要する時間をほとんど必要とせず、保存性にも優れている。さらに胡桃に由来する油脂分が含まれているため、燃料として使用する際には着火性に優れ燃焼も良好である。
【0023】
また、胡桃殻製ペレット100は燃焼前の状態でアルカリ性を呈しているため、燃焼させる前の状態で土壌改良剤としても使用することができる。土壌改良剤として使用する際には、農業用の動力散布機等を用いて胡桃殻製ペレット100を粒状肥料や粒状農薬のように放出することができ、広範囲の土壌であっても胡桃殻製ペレット100の散布を極めて容易に行うことができる。ペレット製造装置SSにより製造された胡桃殻製ペレット100を長期間保存することなく土壌改良剤として用いる場合は、混合材料40にバインダーとしての水を追加することもできる。これによりさらに成形性が高まり効率的な生産をすることができる。また、長期保存の必要がないため、バインダーとして水を用いた場合であっても、乾燥処理時間を省略または大幅に短縮することができる。そして水分を含んでいる分だけ胡桃殻製ペレット100の質量が増すので、土壌改良対象土地への散布性にも優れる点で好都合である。
【0024】
以上に本発明にかかる胡桃殻製ペレット100について実施形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の実施形態においては、第1破砕殻10、第2破砕殻20および薄皮30によって混合材料40が構成されているが、第1破砕殻10、第2破砕殻20および薄皮30の混合比は以上の実施形態で示した質量比に限定されるものではない。第1破砕殻10および第2破砕殻20の合計に対する薄皮30の質量比は10未満であってもよい。
【0025】
また、混合材料40は第1破砕殻10と第2破砕殻20のみで構成することもできる。また、以上の実施形態においては、混合材料40おける第1破砕殻10と第2破砕殻20の質量比が1:1である形態について説明しているが、第1破砕殻10と第2破砕殻20の質量比を異ならせることもできる。混合材料40における第1破砕殻10と第2破砕殻20は、質量比で30:70~70:30の範囲で混合されていることが好ましいが、他の質量比を採用することもできる。
【0026】
また、以上の実施形態においては、胡桃殻製ペレット100をバイオマス燃料や土壌改良剤としての使用形態について例示したが、胡桃殻製ペレット100はペット用の敷材やペット用トイレ敷材としても使用することができる。本発明にかかる胡桃殻製ペレット100は100%自然由来の原材料により製造されているため、小動物の健康に悪影響を与えずに使用することができる。
【0027】
そして以上に説明した変形例の他、実施形態において説明した変形例等を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
10:第1破砕殻
20:第2破砕殻
30:薄皮
40:混合材料
100:胡桃殻製ペレット
SS:ペレット製造装置
HP:ホッパ,KG:混合部,DS:ダイス,DA:ダイス孔,
CT:カッタ,US:受皿