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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035981
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】鉄骨廊下階段ユニットの床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
E04B1/00 501Q
E04B1/00 501N
E04B1/00 501G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140652
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕造
(72)【発明者】
【氏名】坪井 健一
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 智史
(72)【発明者】
【氏名】藤森 英樹
(57)【要約】
【課題】施工性を向上させながら床面に水勾配を確保可能な廊下階段ユニットの床構造を提供する。
【解決手段】建建物に付設される床体10が、一対の桁材14と、桁材14の両端に連結される梁材20と、梁材20の間に複数配置され、各端部が一対の桁材14に連結される複数の根太材22により形成された床下地構造を備えた廊下階段ユニットの床構造であって、水平に設けられた一対の桁材14の間に架橋され、床材を支持する根太材22が、一方の桁材側が他方の桁材側よりも低く位置するように一対の桁材と連結された構成とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に付設される床体が、
一対の桁材と、
桁材の両端に連結される梁材と、
梁材の間に複数配置され、各端部が一対の桁材に連結される複数の根太材により形成された床下地構造と、
を備えた廊下階段ユニットの床構造であって、
水平に設けられた一対の桁材の間に架橋され、床材を支持する根太材が、一方の桁材側が他方の桁材側よりも低く位置するように一対の桁材と連結されたことを特徴とする廊下階段ユニットの床構造。
【請求項2】
前記床下地構造の裏側を覆う平板状の被覆材を備え、
前記被覆材が前記根太材に直接的又は間接的に取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の廊下階段ユニットの床構造。
【請求項3】
前記建物は、2以上の階数を有するとともに前記床下地構造を各階毎に備え、
前記床下地構造を支持するは柱体が、複数の柱材を連結して形成され、
前記柱材は、各階毎に設けられた前記床下地構造に対応する位置で連結される長さを有することを特徴とする請求項1に記載の廊下階段ユニットの床構造。
【請求項4】
前記床下地構造を形成する桁材及び梁材は、溝形鋼を素材として構成され、
桁材及び梁材、または、いずれか一方の前記溝形鋼は、
該溝形鋼を形成する一対のフランジ部間にトラス状に延長する補強部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の廊下階段ユニットの床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外面に付設される鉄骨により形成される廊下階段ユニットの床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建住宅や集合住宅等の建物の外面に付設される鉄骨階段ユニットが知られている(特許文献1参照)。このような鉄骨階段ユニットでは、例えば廊下部や階段踊場部の床面から雨水等の水を排水溝に向かわせるためのいわゆる水勾配を有するように設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-199811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのような水勾配は、廊下部や階段踊場部を構成する桁材や根太材など構造部材の取付部の許容範囲を利用し、各部材が組みあがった状態で全体のレベル調整(勾配)を行うことで設定される。このため、場合によっては、品質上必要とされる水勾配(1/100)を設定することができなかったり、廊下部のスパンが長い場合には水勾配を設定するために柱のレベル調整に多くの時間が必要とされ、施工性や施工標準化の問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、施工性を向上させながら床面に水勾配を確保可能な廊下階段ユニットの床構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鉄骨廊下階段ユニットの床構造は、建物に付設される床体が、一対の桁材と、桁材の両端に連結される梁材と、梁材の間に複数配置され、各端部が一対の桁材に連結される複数の根太材により形成された床下地構造を備えた床構造であって、水平に設けられた一対の桁材の間に架橋され、床材を支持する根太材が、一方の桁材側が他方の桁材側よりも低く位置するように一対の桁材と根太材が連結された構成とした。
本構成によれば、根太材が一方向に傾斜しているので、根太材の上に敷設される床材に対して水勾配を確実に設けることができる。
また、鉄骨廊下階段ユニットの床構造の他の構成として、前記床下地構造の裏側を覆う平板状の被覆材を備え、前記被覆材が前記根太材に直接的又は間接的に取り付けられた構成とした。
本構成によれば、床材から床下地構造に漏水した水が被覆材によって受け止められるとともに、被覆材が傾斜した根太材に取り付けられていることから、被覆材は根太材と同一方向に傾斜することになり、被覆材の上に漏れた水を一方向に集水することができる。
また、鉄骨廊下階段ユニットの床構造の他の構成として、前記建物は、2以上の階数を有するとともに前記床下地構造を各階毎に備え、前記床下地構造を支持するは柱体が、複数の柱材を連結して形成され、前記柱材は、各階毎に設けられた前記床下地構造に対応する位置で連結される長さを有する構成とした。
本構成によれば、2階建て以上の建物であっても建物に対して容易に床体を構築することができる。
また、鉄骨廊下階段ユニットの床構造の他の構成として、前記床下地構造を形成する桁材及び梁材は、溝形鋼を素材として構成され、桁材及び梁材またはいずれか一方の前記溝形鋼は、該溝形鋼を形成する一対のフランジ部間にトラス状に延長する補強部材を備えた構成とした。
本構成によれば、床体の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建物に敷設される階段廊下ユニットの平面図である。
図2】床体の床下地構造の平面図である。
図3】2階部踊場の床構造の平面図である。
図4】廊下部3の縦断面図である。
図5】廊下部3の縦断面図である。
図6】桁材と根太材の連結部分の分解図である。
図7】桁材の平面図及び断面図である。
図8】梁材の平面図及び断面図である。
図9】根太材の平面図及び断面図である。
図10】桁材と根太材及び桁材と根太材の連結部分を示す拡大分解図である。
図11】上下の柱の連結部分を示す3面図である。
図12】上下の柱の連結部分を示す3面図である。
図13】内側連結部材の他の構成を示す図である。
図14】柱の他の連結構造を示す図である。
図15】柱の他の連結構造を示す図である。
図16】桁材の他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施形態に係る建物に付設される階段廊下ユニット1の立面図である。 図2は、建物2階の廊下部3の平面図である。図3は、2階の廊下の踊場の平面図である。図4は、3階の廊下の踊場の平面図である。
図5は、廊下部3の縦断面図である。
階段廊下ユニット1は、いわゆる鉄骨構造により構成され、例えば、戸建住宅や集合住宅等の建物2における外階段等の付設物として設置される。本実施形態では、図1図5に示すように、階段廊下ユニット1が3階建ての建物2に付設された場合について説明する。なお、建物2の階数は特に限定されない。
【0009】
階段廊下ユニット1は、廊下部3と、廊下部3に連接して設けられる階段部5とを備えた構成とされる。廊下部3は、建物2の各階に対応して外壁2aに取り付けられる廊下4を備える。階段部5は、地上から2階、2階から3階へと向かう階段6と、地階から2階に向かう階段6;6の途中や2階から3階に向かう階段6;6の途中を結ぶ中間踊場7と、2階に達した階段6と2階の廊下部3とを結ぶ2階部踊場8と、3階に達した階段6と3階の廊下部3とを結ぶ3階部踊場9とを備えた構成とされる。
【0010】
階段廊下ユニット1は、廊下4、階段6、中間踊場7、踊場8;9を支持する柱体12と、廊下4、階段6、中間踊場7、踊場8;9に手すり13とを備える。
【0011】
以下の説明では、廊下部3が設けられた外壁2aを基準とし、外壁2aに向かって左右方向、上下方向、外壁2aから廊下部3が突設された方向を前後方向等として各方向を定義する。また、上下方向について、特段の場合には、鉛直方向などという。
【0012】
図1図4に示すように、廊下4は、例えば、各階の所定の高さに位置するように外壁2aから前方に向けて突出するように設けられる。例えば、廊下4が設置される高さは、各階の居室に対応して外壁2aに設けられる扉(図外)の高さ(各階の床)等を基準として設定される。
【0013】
本実施形態では、各階に設けられる廊下4は、2階部踊場8や3階部踊場9と各階において一体的に形成され、一つの床構造体10を成す構成とされている(図1乃至図4等参照)。なお、本実施形態では、2階部を用いて床構造体(以下、単に床体という)10について説明する。
【0014】
図2乃至図4に示すように、床体10は、外壁2aに沿って水平に延長する桁材14と、桁材14に対して平行かつ水平に設けられる桁材17と、桁材14及び桁材17の間に配置され、桁材14と桁材17とを連結する梁材20及び根太材22とを備える。梁材20と桁材14及び桁材17との連結、根太材22と桁材14及び桁材17との連結は、例えば、ボルトナットによる締結によって実現される。
【0015】
本実施形態では、桁材14は、廊下4の範囲で延長する廊下桁材15と、踊場8の範囲で延長する踊場桁材16とを連結して構成されている(図2図3参照)。桁材14を構成する廊下桁材15と踊場桁材16は、例えば、廊下4が設けられる外壁2aのコーナー部の近傍の躯体芯で分割される。また、桁材17は、廊下4の範囲で延長する廊下桁材18と、踊場8の範囲で延長する踊場桁材19とを連結して構成されている(図2図3参照)。桁材17は、例えば、廊下桁材18が対向する桁材14の廊下桁材15と同じ長さ、踊場桁材19が対向する桁材14の踊場桁材16と同じ長さとされ、連結部材を介して連結される。
【0016】
図7は、桁材の平面図及び断面図である。桁材14を構成する廊下桁材15及び踊場桁材16は、廊下桁材15が、ウェブ部15Aと、該ウェブ部15Aの上下に直交状に設けられたフランジ部15B;15Cとを有する断面視コ字状に形成された部材(図7(a))であり、踊場桁材16がウェブ部16Aと、該ウェブ部16Aの上下に直交状に設けられたフランジ部16B;16Cとを有する断面視コ字状に形成された部材(図7(b))である。桁材17を構成する廊下桁材18及び踊場桁材19は、桁材14と同様に、廊下桁材18が、ウェブ部18Aと、該ウェブ部18Aの上下に直交状に設けられたフランジ部18B;18Cとを有する断面視コ字状に形成された部材(図7(c))であり、踊場桁材19がウェブ部19Aと、該ウェブ部19Aの上下に直交状に設けられたフランジ部19B;19Cとを有する断面視コ字状に形成された部材(図7(d))である。
【0017】
なお、廊下桁材15のウェブ部15A及び踊場桁材16のウェブ部16Aは、桁材14のウェブ部14A、また、廊下桁材15のフランジ部15B;15Cや、踊場桁材16のウェブ部16Aやフランジ部16B;16Cは、纏めて桁材14のフランジ部14B;14C等と言う場合がある。
廊下桁材18のウェブ部18A及び踊場桁材19のウェブ部19Aは、桁材17のウェブ部17A、また、廊下桁材18のフランジ部18B;18Cや、踊場桁材19のウェブ部19Aやフランジ部19B;19Cは、纏めて桁材17のフランジ部17B;17C等と言う場合がある。例えば、桁材15;16;18;19には、構造材として同一形状、同一寸法で形成された溝形鋼を素材として利用することができる。
【0018】
廊下桁材15は、延長方向が水平となるようにウェブ部15Aの外面を外壁2aに接触させて固定される。また、踊場桁材16は、廊下桁材15と連続し、水平に延長するように、廊下桁材15側の端部がウェブ部15Aの外面を外壁2aに接触させて固定され、他方の端部が支柱に固定される。廊下桁材15や踊場桁材16の外壁2aへの固定は、例えばコーチスクリューなどを利用することができる。
また、桁材17は、廊下桁材18及び踊場桁材19が連結部材を介して連結され、桁材14(廊下桁材15及び踊場桁材16)と同一の水平面上に位置し、桁材14と平行となるようにウェブ部17Aを利用して柱体12に固定される。
【0019】
各桁材14;17は、梁材20を連結するための梁連結部23、根太材22を連結するための根太連結部24を備える。図2に示すように、梁連結部23、根太連結部24は、平面視において、桁材14;17に連結された梁材20や根太材22が、桁材14;17に対して直交方向に延長するように設けられる。
【0020】
梁連結部23は、梁材20が桁材14;17の延長方向(左右方向)の両端部に配置されるように、各桁材14;17の両端部に設けられる。廊下桁材15及び踊場桁材16により構成される桁材14の場合、桁材14の一端側の端部(踊場桁材16に連結されない側の廊下桁材15の端部)は、外壁2aに接した状態にあるため、梁材20とのボルトナットによる直接的な連結が構成しにくい。そこで、桁材14の一端側の端部に設けられる梁連結部23は、連結部材を介して梁材20と連結するように構成すれば良い。例えば、梁連結部23として平板状のプレート、いわゆるガゼットプレートを桁材14又は柱体12にあらかじめ設けておけば良い。ガゼットプレートは、板面が桁材14の延長方向と直交するように、周縁が桁材14のウェブ部14A;フランジ部14B;14Cの内側の三面に溶接等により桁材14に固着される。このプレートには、例えば、板厚方向に貫通する孔23hが複数設けられ、この複数の孔23hを実質的な梁連結部23として機能させることにより、梁材20とのボルトナットによる連結が可能とされる。
【0021】
また、桁材14の他端側の端部(廊下桁材15に連結されない側の踊場桁材16の端部)の設けられる梁連結部23は、例えば、桁材14のウェブ部14Aに板厚方向に貫通する複数の孔23hにより構成され、連結部材を介して梁材20とのボルトナットによる連結が可能とされる(図3参照)。
【0022】
また、廊下桁材18及び踊場桁材19により構成される桁材17の場合、桁材17の一端側の端部(踊場桁材19に連結されない側の廊下桁材18の端部)に設けられる梁連結部23や、桁材17の他端側の端部(廊下桁材18に連結されない側の踊場桁材19の端部)の設けられる梁連結部23は、廊下桁材18のウェブ部18Aや踊場桁材19のウェブ部19Aに、板厚方向に貫通する複数の孔23hにより構成され、連結部材を介して梁材20とのボルトナットによる連結が可能とされる(図2図3参照)。
【0023】
なお、踊場桁材16に連結される側の廊下桁材15の端部、廊下桁材15に連結される踊場桁材16の端部には、例えば、連結部材を介した廊下桁材15及び踊場桁材16のボルトナットによる連結を可能とする孔15h(本例では3つ),孔16h(本例では3つ)が設けられている。
また、踊場桁材19に連結される側の廊下桁材18の端部、廊下桁材18に連結される踊場桁材19の端部には、連結部材を介した廊下桁材18及び踊場桁材19のボルトナットによる連結を可能とする孔18h(本例では3つ),孔19h(本例では3つ)が設けられている。
【0024】
図8は、梁材20の平面図及び断面図である。梁連結部23に連結される梁材20は、桁材14;17と同様な、ウェブ部20Aと、該ウェブ部20Aの上下に直交状に設けられたフランジ部20B;20Cとを有する断面視コ字状に形成された部材である。梁材20には、桁材14;17を構成する構造材と同じ構造材を利用することができる。
【0025】
梁材20の両端には、桁材14の一端側の梁連結部23及び桁材17の一端側の梁連結部23や、桁材14の他端側の梁連結部23及び桁材17の他端側の梁連結部23と連結される桁連結部が設けられる。桁連結部は、例えば、ウェブ部20Aを板厚方向に貫通する複数の孔20hにより構成される。
【0026】
桁材14の一端側の梁連結部23及び桁材17の一端側の梁連結部23、桁材14の他端側の梁連結部23及び桁材17の他端側の梁連結部23は、桁材14;17に梁材20を連結したときに、梁材20の上面20aが水平となるように(図5(a)参照)、桁材14の両端に形成される孔14hの数量や配置、桁材17の両端に形成される孔17hの数量や配置、梁材20の両端に形成される孔20hの数量や配置が設定される。
【0027】
図2図7等に示すように、根太連結部24は、桁材14;17に連結される梁材20;20の間を根太材22が所定の間隔で配置されるように各桁材14;17に複数設けられている。例えば、図2に示すように、本実施形態では、根太連結部24は、桁材14を構成する廊下桁材15及び踊場桁材16の連結位置を境として、廊下4側で均等な間隔、踊場8側で均等な間隔で配置され、桁材17を構成する廊下桁材18及び踊場桁材19の連結位置を境として、廊下4側で均等な間隔、踊場8側で均等な間隔で配置される。
【0028】
根太連結部24は、平板状のプレート、いわゆるガゼットプレートにより構成され、各桁材14;17の延長方向に対して板面が直交するように桁材14のウェブ部14A及びフランジ部14B;14C、桁材17のウェブ部17A,フランジ部17B;17Cの3つの内面に周縁が溶接などにより固定される。ガゼットプレート(根太連結部24)は、桁材14や桁材17の上方に位置するフランジ部14B;17Bの内面の高さを維持したままフランジ部14B;17Bの先端を超えて桁材17や桁材14に向けて所定長さ延長するように形成されている。
【0029】
各根太連結部24には、根太材22とのボルトナットによる結合を可能とする、板厚方向に貫通する孔24hが設けられている。本実施形態では、孔24hは、例えば、桁材14;17から突出する方向(幅方向)に並ぶように2つ並べて配置されている。
【0030】
図9は、根太材の平面図及び断面図である。図10は、桁材14と根太材22と、桁材17と根太材22との連結部分を示す拡大分解図である。図9に示すように、根太連結部24に連結される根太材22は、ウェブ部22Aと、ウェブ部22Aの上下に直交状に設けられたフランジ部22B;22Dと、上方に位置する上側のフランジ部22Bの先端から下向きに延びる下向き片22Cと、下方に位置する下側のフランジ22Dの先端から上向きに延びる上向き片22Eとを有する断面視C字状に形成された所謂リップ溝形鋼により構成される。
【0031】
根太材22の両端部には、桁材14に設けられた根太連結部24と、桁材17に設けられた根太連結部24と連結する桁連結部が設けられる。桁連結部は、ウェブ部22Aを板厚方向に貫通する孔22hとして形成される。孔22は、根太連結部24として設けられた2つの孔24h;24や、桁材17に根太連結部24として設けられた2つの孔24h;24hと重なるように、各端部に2つずつ配置される。
【0032】
根太材22の一方の端部に設けられた2つの孔22h;22hを桁材14の根太連結部24に設けられた孔24h;24hを重ね合わせ、根太材22の他方の端部に設けられた2つの孔22h;22hを桁材14の根太連結部24に設けられた孔24h;24hを重ね合わせ、これら重なり合う孔にボルトを挿入してナットを締め付けることにより、根太材22が桁材14,桁材17に連結される。
【0033】
図2乃至図4に示すように、根太材22は、前述のように桁材14と桁材17に連結されたときに、平面視において桁材14;17の延長方向に対して直交し(図2参照)、縦断面視において桁材17側が桁材14側よりも低くなる(図5(b)参照)ように配置される。
【0034】
なお、根太材22は、梁材20に隣接する根太連結部24に対しては根太連結部24の片面側のみに1本、これを除く根太連結部24に対しては根太連結部24を両面側から挟み込むように、ウェブ部22A;22Aが背中合わせで2本が設けられる(図10(b)参照)。
【0035】
縦断面視における根太材22の傾斜(図5(b)参照)は、例えば、以下のように根太材22と桁材14;17との連結の関係を構成することにより可能とされる。
【0036】
例えば、外壁2aに固定された桁材14に対して桁材17を水平に配置したときに、桁材14の根太連結部24に設けられる2つの孔24h;24hと、桁材17の根太連結部24に設けられる2つの孔24h;24hとが水平に延長する1つの直線上に配置されるように桁材14及び桁材17の根太連結部24に各孔24hを形成されているものとする。ここで、桁材14の根太連結部24に設けられる2つの孔24h;24hの間隔と、桁材14の根太連結部24に設けられる2つの孔24h;24hの間隔は同じものとする。なお、2つの孔24h;24hの間隔とは、各孔24hの中心間距離とする。
【0037】
これに連結される根太材22の両端部の各々に設けられる2つの孔22h;22hは、桁材17側に連結される2つの孔22h;22hと、桁材14側に連結される2つの孔22h;22hとを一直線上に位置するように配置するとともに、根太材22の上方のフランジ部22Bの上面22aに対して桁材14側の孔22hが桁材17側の孔22hよりも低くなるように形成すると良い。なお、根太材22の各端部に設けられる2つの孔22h;22hの間隔は、根太材連結部24に設けられる2つの孔24h;24hの間隔と同じとされることは言うまでもない。
【0038】
そして、根太材22は、上方のフランジ部22Bの上面22aからの距離が遠い側の端部に設けられた一方の2つの孔22h;22hを、桁材14の根太連結部24に設けられた2つの孔24h;24hに重ね合わせるとともに、他方の2つの孔22h;22hを桁材17の根太連結部24に設けられた2つの孔24h;24hに重ね合わせ、重ね合わされた各孔22h;24hにボルトを貫通させ、ナットを締め付けることにより、桁材14;17に連結される。
【0039】
このように、桁材14;17の各根太連結部24に設けられた2つの孔24h;24hと、根太材22の各端部に設けられた2つの孔22h;22hの位置の関係を設定しておくことにより、根太材22を桁材14;17に連結したときに、根太材22の上方のフランジ部22Bの上面22aが、桁材14側(外壁2a側)よりも桁材17側(柱体10側)を低くすることができる。
【0040】
加えて、桁材14の根太連結部24に設けられる2つの孔24h;24h及び桁材17の根太連結部24に設けられる2つの孔24h;24hは、前述のように桁材14;17に根太材22を連結したときの上面22aの最も低い位置が、桁材14;17に連結された梁材20の上面20aよりも上方に位置するように、上下方向の位置を設定することにより、根太材22上に配置された床材28と梁材20との干渉を防止できる。
【0041】
このように桁材14;17に梁材20や根太材22を連結することにより、床体10における床下地構造が形成される。そして、床体10は、この床下地構造を形成する複数の根太材22の上面22aを支持基盤として床材28が敷設される(図5b参照)。
【0042】
図5(b)に示すように、床材28は、例えば、上面24aと下面24bとが平行の平板状とされた例えば、セメント押し出し材からなり、根太材22の上面22aに下面24bを面接触させて外壁2aから柱体12の間に複数枚(本実施形態では3枚)が敷き詰められる。手すり側に設けられる床材28には、集水溝が設けられている。
【0043】
以上説明したように、床下地構造を構成する根太材22の上面22aが傾斜するように、根太材22と桁材14;17との連結の関係をあらかじめ構成しておくことにより、従来根太材22上に敷設される床材28の上面24aに必要とされる水勾配のレベル調整を不要とすることができる。また、廊下部3のスパンが長い場合に水勾配を維持するために従来柱のレベル調整に多くの時間が必要されていたが、床体10の組み立て時に既に水勾配が確保されるため作業性を向上させることができる。
また、根太材22と桁材14;17との連結の関係について工場における各部材の製造工程によって精度が担保されるので、床体10の設置時に品質上必要とされる水勾配を確実に確保することができる。
また、桁材17や梁材20に勾配が必要とされないため、桁材17や梁材20に取り付けられる被覆材(化粧材)の水平が保たれるので外観上の意匠性を確保することができる。
【0044】
なお、根太材22の上面22aを桁材14側(外壁2a側)よりも桁材17側(柱体10側)を低くするための構成は、前述のものに限定されず、適宜変更すれば良い。即ち、根太材22及び梁材20は、梁材20が水平に取り付けられ、根太材22が傾斜するように取り付けられたときに、壁側の根太材22の上面が、桁材14の上面より上方に位置するような関係が維持されていれば良い。
【0045】
図2乃至図4に示すように、床体10は、揺れを抑制するためのブレース材26を備えた構成とされる。ブレース材26は、桁材14;17に設けられたブレース連結部27を介して桁材14;17に掛け渡すように連結される。ブレース材26には、例えば、断面L字状のアングル材、ターンバックル等を利用することができる。以下の説明では、ブレース材26がアングル材により構成されるものとして説明する。
【0046】
ブレース連結部27は、例えば、桁材14;17に設けられた根太連結部24に対応するように設けることができる。ブレース連結部27は、例えば、所謂ガゼットプレートと呼ばれる平板状のプレートにより構成される。
ブレース連結部27として機能するガゼットプレートは、例えば、板面が桁材14のウェブ部16Aの内面及び桁材14の根太連結部24として機能するガゼットプレートの板面に直交するように、該桁材14のウェブ部14A及び桁材14の根太連結部24として機能するガゼットプレートに周縁の一部を接触させた状態で溶接等により固定され、桁材17のウェブ部17Aの内面及び桁材17の根太連結部24として機能するガゼットプレートの板面に直交するように、該桁材17のウェブ部17A及び桁材17の根太連結部24として機能するガゼットプレートに周縁の一部を接触させた状態で溶接等により固定される。
【0047】
図2に示すように、ブレース連結部27は、例えば、根太連結部24が梁連結部23に隣接する場合には、梁連結部23と逆側の一方の面のみ設けられ、これを除く位置の根太連結部24には両面に設けられている。
各ブレース連結部27には、板厚方向に貫通する貫通孔27hが設けられ、ブレース材26とのボルトナットによる連結が可能とされる。
【0048】
ブレース材26は、隣接する根太材22;22の間を対角に延長するように桁材14側のブレース連結部27と桁材17側のブレース連結部27とに端部が連結される。
【0049】
なお、ブレース材26は、床体10を構成する全ての根太材22の間に設けるようにしても良く、廊下部3の前後方向の張り出しや幅方向の長さに応じて適宜設定すれば良い。
例えば、本実施形態で示すように、階段部6を構成する踊場7が廊下部3と一体的に形成される場合には、実質的な廊下部3と踊場7との境界の近傍に設けると良く。より好ましくは、踊場7の部分に関しては全て設け、廊下部3のこれに隣接する近傍に設けるようにすると良い。
【0050】
図5に示すように、桁材14;17や梁材20、根太材22等により構成された床下地構造の下面側は、被覆材としての軒天材80により被覆される。
軒天材80は、根太材22の下面22bにビス止めなどにより固定された野縁82に、平板状の軒天材下地材81をビス止めなどにより取り付け、この軒天材下地材81にビス止めすることで設けられる。このように軒天材80を根太材22に取り付けることにより、根太材22と同様に、軒天材80に建物2側よりも柱体12側が低い勾配を付与することができる。即ち、桁材14;17間を建物2側よりも柱体12側が低くなるように組み付けられた根太材22に野縁82を介して軒天材80を取り付けるだけで軒天材80に必要とされる勾配を設定することができるので、勾配を設定するための作業が不要となり、現場における作業効率性を向上させることができる。なお、軒天材80は、必ずしも野縁82を介して根太材22に取り付けられなくても良く、根太材に直接取り付けても良い。即ち、軒天材80は、根太材22に直接的又は間接的に取り付けても良い。
【0051】
図5(b)に示すように、野縁82は、根太材22の延長方向に複数箇所に設けられる。本実施形態では、同一の野縁82が、根太材22の延長方向の複数箇所に用いられる。根太材22の延長方向の各箇所に設けられた野縁82は、床体10の幅方向に延長し、例えば、床体10における一端側の梁材20から他端側の梁材20に達する長さ寸法を有するように設けられる。
また、野縁82は、例えば、軒天材下地材81が取り付けられたときに、該軒天材下地材81の上面81aが梁材20の下面20bよりも下側に配置可能な上下寸法を有するものとされる。
【0052】
軒天材下地材81は、例えば、薄肉の平板部材により構成され、桁材14;17の延長方向に沿い、梁材20の延長方向に沿うように配置され、桁材14;17及び桁材14;17の両端に連結された梁材20;20により囲まれる領域全体を覆うように設けられる。
【0053】
軒天材80は、軒天材下地材81の下面81bの全面を覆うように設けられ、軒天材下地材81とともに野縁82にビス止めして固定される。軒天材80の桁材14側の端部は、桁材14の下面16bに取り付けられた軒天ランナー86が下側から被さることで、外壁2aとの隙間が隠される。
【0054】
また、軒天材80の桁材17側の端部は、軒天材80の下面80bに取り付けられた軒天ランナー88により桁材17との隙間が隠される。軒天ランナー88は、軒天材80の下面80bに沿って延長し、下面80bに取り付けられる取付片88Aと、取付片88Aの桁材17側の端部から下向きに延長する下向き延長片88Bと、下向き延長片88Bの下端から桁材17方向に延長する桁方向片88Cと、桁方向片88Aの桁材17側の端部から桁材17と接触するように上向きに延長する接触片88Dとを有するように形成される。
【0055】
上記構成によれば、軒天材80は、傾斜する根太材22に同一構成(寸法及び形状が同一)の野縁82に取り付けられた軒天材下地材81を介して取り付けられることにより、根太材22と同一の傾斜角で桁材17側が桁材14側よりも低くなるように設けられることになる。
【0056】
したがって、外壁2aと床材28との隙間や、床材28同士の結合部などに雨水の漏れが生じた場合に漏れ出た水は、軒天材下地材81が受け皿となって軒天材下地材81の傾斜方向、即ち桁材17方向に流れることになる。軒天材下地材81の傾斜に沿って流れた水は、桁材17側に設けられた軒天ランナー88の延長片88B、桁方向片88C、接触片88Dにより囲まれた部分に集水される。そして、延長片88B、桁方向片88C、接触片388Dにより囲まれた部分が樋となって、例えば、延長片88B、桁方向片88C、接触片88Dにより囲まれた部分に図外の排水口を設けておくことにより、外壁2aと床材28との隙間や、床材28同士の結合部などから漏れ出た水を外部に排水することができる。
【0057】
このように、軒天材80が取り付けられる軒天材下地材81が傾斜を有することにより、従来のように、床面から漏れ出た雨水などが軒天場内に滞留することなく、速やかに外部に排出できる。
【0058】
図2に示すように、柱体12は、例えば、外壁2aから前方に向かって突設される床体10の3つのコーナー部やその中間部分、或いは階段部6を構成する中間踊場9の4つのコーナー部や、階段8等に複数配置される。各柱体12は、地面から鉛直方向上方に向けて立設され、各階に対応して設けられた床体10を構成する桁材18に連結される。
【0059】
本実施形態に係る柱体12は、複数を連結して構成される。図1に示すように、建物2が3階建てのような場合、柱体12は、例えば、2本の柱(下側柱30;上側柱32)を連結して構成することができる。以下、下側柱30;上側柱32は、単に柱30;32という。また、柱32の上にはさらに手すり13を支持する柱36が連結される。柱30;32;36は、柱連結部材を用いて連結される。柱30;32及び柱32;36は、例えば、桁材14;17におけるウェブ14A;17Aの上下方向の中間位置で連結されるように設けられる。
以下、柱連結部材による柱30;32や柱32;36の連結について、柱30;32の連結を用いて詳細を説明する。
【0060】
図11図12は、上下の柱30;32の連結部分を示す3面図である。詳細には、図11は、コーナー部に配置される柱体12の連結部分、図12は、中間部に配置される柱体12の連結部分をそれぞれ示している。
図11(a),図12(a)に示すように、柱30及び柱32は、例えば、アルミ合金等を素材とした同一の部材により構成される。柱30及び柱32は、断面視における外形形状が正方形状、肉厚が一定の中空部材により構成されている。つまり、柱30及び柱32は、断面視における外側の形状及び内側の形状が正方形状の中空部材である。なお、柱30;32の断面形状については、正方形状に限定されるものではない。また、正方形状とは、角部に所定の曲率の設定や面取り加工等がされている意味を含む。
【0061】
柱30;32は、柱30の上端側、柱32の下端側に互いの連結を可能とするための貫通孔34を備える。
貫通孔34は、床体10に対して柱30;32が設けられる位置に基づいて形成される位置が設定される。
図8に示すように、例えば、床体10のコーナー部分に設けられる柱30;32の場合には、柱を構成する4面のうちの隣接する2面に貫通孔34が設けられる。また、図12に示すように、中間部(コーナー部に設けられる柱30;32の間に設けられるもの)柱30;32の場合には、柱を構成する4面のうち対向する2面に貫通孔34が設けられる。
【0062】
図11図12に示すように、コーナー部及び中間部に設けられる各柱30;32の各面に設けられる貫通孔34は、柱30の上端面30t、柱32の下端面32tから所定距離離間して上下方向に2箇所ずつ各面に形成されている。なお、各面に設けられる貫通孔34の数量は2つに限定されるものではない。また、各面において貫通孔34が設けられる位置は、例えば、柱30;32が、柱30の上端面30t及び柱32の下端面32tを接触させて連結されたときに、上下方向に対称の位置とすると良い。
【0063】
柱連結具は、柱30;32の中空部に設けられる内側連結部材40と、柱30;32の外側に設けられる外側連結部材50とで構成することができる。柱30;32は、中空部に設けた内側連結部材40を、柱30;32の外側に設けた外側連結部材50を結合し、内側連結部材40と外側連結部材50とで柱30;32を挟み込むことで連結される。
【0064】
図11(a),図12(a)に示すように、内側連結部材40は、柱30;32内に挿入したときに、柱30;32の1つの面の延長方向に沿って延長する基片41と、基片41の延長方向の両側に連続し、基片41に直交するように設けられた側片42;43とを有する断面コの字状とされる。内側連結部材40は、基片41及び側片42;43の外面が柱30;32の互いに隣り合う3つの内面と接するような寸法とされる。
【0065】
内側連結部材40は、連結対象となる柱30:32が配置される位置に対応して、コーナー部用の内側連結部材40と、中間部用の内側連結部材40とが用意される。
図11に示すように、コーナー部用の内側連結部材40の基片41及び側片42には、例えば、コーナー部用として構成された柱30の上端面30tと柱32の下端面32tとが突き合わせ状態とされた柱30;32の貫通孔34に対応する位置及び数量の貫通孔44が形成される。
また、図12に示すように、中間部用の内側連結部材40の側片42及び側片43には、例えば、中間部用として構成された柱30の上端面30tと柱32の下端面32tとが突き合わせ状態とされた柱30;32の貫通孔34に対応する位置及び数量の貫通孔44が形成される。
【0066】
さらに、コーナー部用の内側連結部材40の基片41及び側片42の内面には、貫通孔44に対応する位置にナット45が例えば溶接などの固定手段によって固着され、貫通孔44を貫通したボルト46がねじ込み可能とされる。
また、中間部用の内側連結部材40の側片42及び側片43の内面には、貫通孔44に対応する位置にナット45が例えば溶接などの固定手段によって固着され、貫通孔44を貫通したボルト46がねじ込み可能とされる。
【0067】
コーナー部用及び中間部用の内側連結部材40は、柱30;32への挿入が容易となるように、基片41から延出する側片42;43の上下の角部分に相当する部分が傾斜面42Mとして面取り加工されている。
【0068】
図11(a),図12(a)に示すように、外側連結部材50は、例えば、L型の所謂アングル材により構成されている。外側連結部材50は、コーナー部用、中間部用の柱体12の形成に共通して用いられる。外側連結部材50は、一方の片部51が柱30;32との連結用に構成され、他方の片部52が桁材17や梁材20との連結用に構成されている。
【0069】
外側連結部材50は、一方の片部51及び他方の片部52のそれぞれに貫通孔54;56を備える。
一方の片部51に設けられた貫通孔54は、コーナー部用の内側連結部材40の基片41及び側片42に形成された複数の貫通孔44や中間部用の内側連結部材40の側片42;43に形成された複数の貫通孔44に一致するように位置及び数量で形成されている。
【0070】
また、外側連結部材50は、一方の片部51に設けられた複数の貫通孔54を、柱30;32内に設けられた内側連結部材40の複数の貫通孔44に一致させたときに、曲がり部50Mと、上下方向に延長する端面51tとが柱30;32の延長方向と平行となるように一方の片部51の形状が設定されている。
【0071】
また、他方の片部52に設けられた貫通孔56は、桁材17や梁材20との連結が可能となるように複数設けられている。本実施形態では、貫通孔56は、3つとされ、この3つを利用して桁材17と連結される。
【0072】
上記柱連結具を用いた柱30;32を連結する工程の一例について説明する。
まず、コーナー部に設けられる柱体12について説明する。
柱体12の下側のコーナー部用として構成された柱30の隣接する2面に設けられた貫通孔34と内側連結部材40の基片41及び側片42に設けた貫通孔44とが一致するように、柱30の中空部に内側連結体40を挿入する。
この状態を維持しつつ、例えば、基片41に対応する位置の柱30の外側から外側連結部材50の貫通孔54を柱30の貫通孔34に一致させ、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み、締結する。このとき、外側連結部材50の曲げ部50Mが側片42側に配置される。
側片42に対応する位置の柱30の外側から外側連結部材50の貫通孔54を柱30の貫通孔34に一致させ、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み、締結する。このとき、外側連結部材50の曲げ部50Mが基片41側に配置される。
【0073】
また、中間部用として構成された柱30の対向する2面に設けられた貫通孔34と内側連結部材40の側片42及び側片43に設けた貫通孔44とが一致するように、柱30の中空部に内側連結体40を挿入する。
この状態を維持しつつ、例えば、側片42に対応する位置の柱30の外側から外側連結部材50の貫通孔54を柱30の貫通孔34に一致させ、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み、締結する。このとき、外側連結部材50の曲げ部50Mが基片41側に配置される。
側片43に対応する位置の柱30の外側から外側連結部材50の貫通孔54を柱30の貫通孔34に一致させ、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み締結する。このとき、外側連結部材50の曲げ部50Mが基片41側に配置される。
【0074】
コーナー部用及び中間部用として内側連結部材40及び外側連結部材42;42が組み付けられ、一体化された柱30を建物2の外壁2aに対して所定の位置に配置し、各柱30の外側連結部材42にボルトナットを利用して梁材17を仮組し、外壁2aに固着された桁材14に対する位置や水平度等の調整をしつつ2階の床体10を組み上げる。
【0075】
次に、組み上げられた2階の床体10を足場として利用し、各柱30の上に柱32を組み立てる。例えば、コーナー部に設けられた柱30から突き出た内側連結部材40の貫通孔44とコーナー部用として構成された柱32の貫通孔34の位置関係を確認し、内側連結部材40と2つの外側連結部材50の間に、柱32の下端が柱30の上端に突き当たるまで挿入する。このとき、柱32に設けられた貫通孔34は、外2つの外側連結部材50の貫通孔54及び内側連結部材40の貫通孔44と一致した状態とされ、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み締結することにより、柱32が柱30と一体化される。
【0076】
また、中間部用の柱30から突き出た内側連結部材40の貫通孔44と中間部用として構成された柱32の貫通孔34の位置関係を確認し、内側連結部材40と2つの外側連結部材50の間に、柱32の下端が柱30の上端に突き当たるまで挿入する。このとき、柱32に設けられた貫通孔34は、外2つの外側連結部材50の貫通孔54及び内側連結部材40の貫通孔44と一致した状態とされ、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み締結することにより、柱32が柱30と一体化される。
【0077】
なお、図示しないが、前述の柱30に柱32を連結に至る工程と同様の工程を柱32と柱36との連結についても行うことで、柱32の上に柱36を連結することができる。この場合、柱32の上端側にコーナー用の柱30の上端に構成した貫通孔54及びナット45の固着等の加工を施し、柱36の下端側にコーナー用の柱32の下端に構成した貫通孔54及びナット45の固着などの加工を施しておけば良い。
柱32の上端に内側連結部材40及び外側連結部材50をあらかじめ取り付けておき、2階の床部10の施工時と同様に3階の床部10を施工後したのち、柱32の上端に取り付けられた内側連結部材40及び外側連結部材50の間に柱36を挿入し、ボルト46を貫通孔54、34、44の順に貫通させて内側連結部材40に固着されたナット45にねじ込み締結することにより、柱36が柱32一体化される。
【0078】
このように複数に分割された柱30;32;36を施工時に一体化するように構成することにより、2階以上の建物であっても安全かつ容易に施工することができる。なお、上述のように構成された柱連結具を用いた柱の連結は、例えば、柱30;32にのみ用い、柱32;36の連結は、他の連結金具をあらかじめブラインドボルトで取り付けるようにしても良い。
例えば、従来は、2階建てなどの共同住宅などに設置される屋外廊下の支柱は、長尺の支柱を人力により現場で建て、組み立てを行っていたが、3階建てとなると人力による長尺の支柱の施工は困難であり重機の使用が必要とされるが、重機を使用するためのスペースが必要とされ、施工条件が限定されてしまう。
そこで、上述したように、柱を各階毎に分割し、2階の床部10、3階の床部10のように、各階の床部10の施工が完了するごとに、柱を連結し、上の階の床部10の施工が完了した後にさらに柱を連結するため、重機を使用することなく2階以上の建物でも施工することができる。
また、2階床部10など各階の床部10が仕上がったのちに上部支柱を取り付けるため安全に施工することができる。
【0079】
なお、内側連結部材40は、図11図12に示したものに限定されず、例えば図13に示すように構成しても良い。
図13に示す他の形態としての内側連結部材40は、図11図12に示した内側連結部材40に補強板48を備える構成とされ、側片42;43の上端側及び下端側に形成されていた傾斜面42M;43Mが設けられていない点で相違している。
【0080】
補強板48は、基片41から延出する側片42;43の先端側の上部及び下部に設けられ、側片42;43の先端側の上部同士及び下部同士を連結する。
各補強板48は、例えば、基片41や側片42;43と同じ厚みの板材を同一寸法の矩形状に形成して構成される。側片42;43の上部に設けられる補強板48は、例えば、1つの辺を側片42;43の上端面に一致させ、これに直交する辺が側片42;43に沿って下方に向けて延長するように取り付けられる。また、下部に設けられる補強板48は、1つの辺を側片42;43の下端面に一致させ、これに直交する辺が側片42;43に沿って上方に向けて延長するように取り付けられる。
図13(a)に示すように、補強板48は、側片42;43の端面42t;43tと面一となるように溶接等による固着方法により側片42;43に固着される。
このように、内側連結部材40を構成することにより、内側連結部材40の剛性を高めることができる。
【0081】
図14図15は、柱30;32の他の連結構造を示す図である。
柱30;32の連結は、上述の内側連結部材40や外側連結部材50を用いたものに限定されない。例えば、図14図15に示すように、柱30;32の連結は、例えば、柱30の上端と、柱32の下端とにフランジ状の連結ベースを設け、連結ベース同士を結合することで柱30;32とを一体化するように構成しても良い。
【0082】
連結ベースは、柱体12の配置される位置に応じて異なる形状とされる、コーナー部に設けられる柱体12を構成する柱30;32にはコーナー用連結ベース60、中間部に設けられる柱体12を構成する柱30;32には中間部用連結ベース70を備えた構成とされる。
【0083】
図14に示すように、コーナー用連結ベース60は、柱連結部62と、桁材20と梁材17との連結を可能とする部材連結部64;66とを備えた構成とされる。なお、コーナー用連結ベース60は、柱30に設けられたものと柱32に設けられたものと上下対称とされるため、以下の説明では、柱32を用いてコーナー用連結ベース60について説明する。
【0084】
図14(b),(c)に示すように、柱連結部62は、板厚が一定とされた平板状の板片として構成され、一方の板面に対して柱32の延長方向が垂直となるように、柱32の下端面に溶接等により固着される。
【0085】
また、図14(a)に示すように、柱連結部62は、柱32の外面よりも外側に、異なる方向に延出する延出片62A;62Bを備える。延出片62A;62Bは、柱32における1つの角を形成する2つの面32a;32bから各面32a;32bの法線方向に同じ長さ延長するように形成される。
各延出片62A;62Bには、コーナー用連結ベース60同士を結合するためのボルトが貫通する孔62h;62hが設けられている。
【0086】
部材連結部64;66は、延長片62A;62Bの外形形状における端縁を形成するように、延長片62A;62Bと一体的に設けられている。部材連結部64は、板面が柱32の面32bの延長上に位置するように延長片62Aから柱32の他端側に向けて垂直に立ち上がる平板状に形成される。また、部材連結部66は、板面が柱32の面32aの延長上に位置するように延長片62Bから柱32の他端側に向けて垂直に立ち上がる平板状に形成される。部材連結部64;66には桁材17や梁材20との連結を可能とする孔64h;66hがそれぞれ設けられている。
【0087】
したがって、コーナー用の柱体12は、柱30の上端に設けられたコーナー用連結ベース60の柱連結部62と、柱32の下端に設けられたコーナー用連結ベース60の柱連結部62とを面接触させ、柱30側の延長片62A;62Bに設けられた孔62h;62hと、柱32側の延長片62A;62Bに設けられた孔62h;62hとにボルトを貫通させナットを締め付けることで一体的に形成される。
【0088】
図15に示すように、中間部用連結ベース70は、柱連結部72と、梁材17との連結を可能とする部材連結部74とを備えた構成とされる。なお、中間部用連結ベース70は、柱30に設けられたものと柱32に設けられたものと上下対称とされるため、以下の説明では、柱32を用いて中間部用連結ベース70について説明する。
【0089】
図15に示すように、中間部用連結ベース70は、板厚が一定の平板により形成された一方長尺の直角L字状の部材として構成される。一方の片は、柱連結部72を構成し、他方の片が部材連結部74を構成する。
図15(a)に示すように、柱連結部72には、部材連結部74が柱32の他端側に位置するように板面に対して柱32の延長方向が垂直かつ左右方向(柱連結部72の延長方向)の中央に柱32の下端面が溶接等により固着される。
【0090】
また、柱連結部72には、柱32を挟んで両側に中間部用連結ベース70;70同士を結合するためのボルトが貫通する孔72h;72hが設けられている。
図15(a)に示すように、部材連結部74には、柱32を挟んで両側に桁材17と結合するためのボルトが貫通する孔74h;74hが設けられている。
【0091】
したがって、中間部用の柱体12は、柱30の上端に設けられた中間部用連結ベース70の柱連結部72と、柱32の下端に設けられた中間部用連結ベース70の柱連結部72とを面接触させ、柱30側の延長片72A;72Bに設けられた孔72h;72hと、柱32側の延長片72A;72Bに設けられた孔72h;72hとにボルトを貫通させナットを締め付けることで一体的に形成される。
【0092】
なお、連結ベースにより柱30;32を連結する場合、下側の柱30の連結ベースのみによって桁材17を支持するように取り付け、被覆材を除く床体10が構成された後に、上側の柱32を柱30及び桁材17と連結すれば良い。
【0093】
また、柱32と柱36の連結についても、柱30;32と同様な関係となるように、それぞれに連結ベースを設けて連結するようにすれば良い。
【0094】
図16は、桁材の他の形態を示す図である。図7に示すように、桁材14;18;19などのように溝形鋼を素材として用いる場合、溝形鋼における上下のフランジ部間に補強部材90を設けるようにすると良い。ここでは、桁材14の他の形態として説明する。
【0095】
図16に示すように、補強部材90は、桁材14のフランジ部14B;14C間をトラス状に配置される。
補強部材90は、所定の厚みを有する平板帯状に形成された部材であって、フランジ部14Bの下面14mからフランジ部14Cの上面14nに向けて桁材14の延長方向に対して傾斜するように設けられる。
桁材14には、床材28を支持するための複数の根太材22が連結される。根太材22は、上述したように桁材14の延長方向に複数が均等な間隔で設けられる。
【0096】
そこで、例えば、桁材14に補強部材90を設ける場合には、根太材22が連結される根太連結部24を桁材14の一端から他端までの長さに対して均等に配置する。
そして、補強部材90は、例えば、桁材14の一端側の端部からこの端部の最も近くに位置する根太連結部24までの中間位置まで、フランジ部14Bの下面14mからフランジ部14Cの上面14nに向けて延長し、この中間位置から連続してフランジ部14Cの上面14nからフランジ部14Bの下面14mと根太連結部24との接合部まで延長するように設けられる。
また、各根太連結部24;24間では、根太連結部24とフランジ部14Bの下面14mとの接合部からフランジ部14Cの上面14nに向けて延長し、この中間位置から連続してフランジ部14Cの上面14nからフランジ部14Bの下面14mと根太連結部24との接合部まで延長するように設けられる。
これを繰り返し、桁材14の他端側の端部の最も近くに位置する根太連結部24とフランジ部14Bの下面14mとの接合部から桁材14の他端側の端部までの中間位置まで延長し、この中間位置から連続してフランジ部14Cの上面14nから桁材14の他端側のフランジ部14Bの下面14mまで延長するように設けられる。このように補強部材90を設けることにより、桁材14に補強部材90がトラス状に設けられる。
補強部材90は、フランジ部14Bの下面14mからフランジ部14Cの上面14nまで延長したときの両端部、或いはフランジ部14Cの上面14nからフランジ部14Bの下面14mまで延長したときの両端部は、溶接によりフランジ部14Bの下面14mやフランジ部14Cの上面14nに固定される。
【0097】
このように、桁材14に補強部材90をトラス状に設けることにより、桁材14が補強され、その結果として桁材14の剛性を向上させることができる。
なお、補強部材90をトラス状に設ける対象は、桁材14に限定されず、桁材18や桁材19、或いは梁材20、階段を構成するササラ桁等の構造部材に適用すると良い。
【0098】
上記実施形態で説明したような、階段廊下ユニット1は、付設対象である建物に応じて廊下部3の構成や、階段部5の構成が個別に設計されるため、場合によっては、従来の溝形鋼では強度に不足する場合があった。各部材の強度については、荷重に対する溝形鋼の曲げ、せん断、たわみ量に基づいてなされるが、曲げ、せん断については問題がないが、たわみ量で問題が生じる場合があった。
【0099】
そこで、階段廊下ユニット1における構造部材である桁材や梁材、ササラ桁などに上述のようにトラス状に補強部材90を設けることにより、たわみ量の問題の発生を抑制することができる。
一般に、トラス構造は、軸力しか生じないため、軸力に対する部材(主として溝形鋼におけるフランジ部)の圧縮・引っ張りを補強部材が受けるため、桁材のたわみ量を抑制することができる。
【0100】
以上説明したように、廊下部を構成する桁材や梁材、階段部を構成する桁材やササラ桁、或いは踊場、中間踊場を構成する桁材や梁材に用いられる溝形鋼のフランジ部間にトラス補強を加えることにより、階段廊下ユニット1における設計の自由度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 階段廊下ユニット、
2 建物、
2a 外壁、
3 廊下部、
4 廊下、
5 階段部、
6 階段、
7 中間踊場、
8 2階部踊場(踊場)、
9 3階部踊場(踊場)、
10 床構造体(床体)
12 柱体12、
13 手すり、
14 桁材、
15 廊下桁材(桁材)、
16 踊場桁材(桁材)、
17 桁材、
18 廊下桁材(桁材)、
19 踊場桁材(桁材)、
20 梁材、
22 根太材、
23 梁連結部、
24 根太連結部、
26 ブレース材、
30;32;36 柱、
40 内側連結部材、
50 外側連結部材、
80 軒天材、
88 軒天ランナー、
90 補強部材。

図1
図2
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