(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036014
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】管継手の施工確認装置
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20240308BHJP
G01M 3/02 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
F16L1/00 V
G01M3/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140703
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(71)【出願人】
【識別番号】317004999
【氏名又は名称】ヤマトガワ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509175078
【氏名又は名称】中川企画建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤田 弘司
(72)【発明者】
【氏名】小仲 正純
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】魚津 颯二郎
(72)【発明者】
【氏名】上田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】上撫 智也
(72)【発明者】
【氏名】正木 義人
(72)【発明者】
【氏名】檜皮 安弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 勝弘
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA16
2G067BB17
2G067BB26
2G067DD27
(57)【要約】
【課題】長尺の操作軸を支持して、先行する管に対し後続の管を容易に接近させて接合できる管継手の施工確認装置を提供する。
【解決手段】ゴム輪3の装着状況を管内面から確認するカメラ12と光源13とを備えた台車11に後方へ向けて管軸方向に延びる操作軸14を接続し、操作軸14には、転動支持体16と中折支柱17とを設ける。台車11を預け入れた先行する管Pの外部では、直立状態となった中折支柱17により操作軸14が支持され、先行する管Pへの後続の管Pの接近に伴い、転動支持体16が後続の管Pの内部に進入し、これに続いて、中折支柱17が後続の管Pの一方の端部に押されて揺動しつつ、折畳状態で後続の管Pの内部に進入し、後続の管Pの内部では、走行用車輪16aを有する転動支持体16で操作軸14が支持され、カメラ12が継手部に位置づけられるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(P)の内部を管軸方向に沿って移動する台車(11)に、密閉用のゴム輪(3)の装着状況を管内面から確認するカメラ(12)と光源(13)とを備え、後方へ向けて管軸方向に延びる移動用の操作軸(14)が接続された管継手の施工確認装置において、
前記操作軸(14)には、前記台車(11)から離れた位置に、走行用車輪(16a)を有する転動支持体(16)が設けられると共に、前記転動支持体(16)より前記台車(11)に近い位置に揺動する中折支柱(17)が設けられ、
前記台車(11)を預け入れた先行する管(P)の外部では、直立状態となった前記中折支柱(17)の下端が地盤に接地して、前記中折支柱(17)により先行する管(P)から突出した前記操作軸(14)が支持され、
先行する管(P)への後続の管(P)の接近に伴い、前記転動支持体(16)が後続の管(P)の内部に進入し、これに続き、前記中折支柱(17)が前記後続の管(P)の一方の端部に押されて揺動しつつ、折畳状態で後続の管(P)の内部に進入し、
後続の管(P)の内部では、前記転動支持体(16)により前記操作軸(14)が支持され、前記転動支持体(16)の走行用車輪(16a)が管(P)の内部底面上を転動し、前記中折支柱(17)は折畳状態に維持され、前記操作軸(14)の後端部が後続の管(P)の他方の端部側に達することを特徴とする管継手の施工確認装置。
【請求項2】
前記転動支持体(16)は、前記操作軸(14)の軸線の周りに揺動自在となるように、前記操作軸(14)に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手の施工確認装置。
【請求項3】
前記中折支柱(17)は、上下方向に延びる柱部の下端に着地用車輪(17a)を有し、
前記着地用車輪(17a)は、先行する管(P)の外部で地盤に接地し、前記中折支柱(17)の揺動に伴い地盤上を転動し、後続の管(P)の内部では管(P)の内部底面上を転動するものであることを特徴とする請求項1に記載の管継手の施工確認装置。
【請求項4】
前記中折支柱(17)は、前記操作軸(14)に取り付けられたベース部材(21)に、前記操作軸(14)の軸線に直交する横向きのヒンジ軸(23)を介して連結されており、
前記中折支柱(17)と前記ベース部材(21)との接続部には、前記ベース部材(21)の連結片(22)の片側に前記中折支柱(17)の揺動を許容する案内曲面(22a)が形成され、下部に前記中折支柱(17)の受面(17b)に当接して前記中折支柱(17)の揺動を阻止するストッパ面(22b)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手の施工確認装置。
【請求項5】
前記中折支柱(17)には、先行する管(P)への後続の管(P)の接近に伴い、後続の管(P)の端面で押される部分に、保護材(25)が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の管継手の施工確認装置。
【請求項6】
前記中折支柱(17)の下部には、錘(26)が取り付けられ、前記錘(26)の重量により、前記中折支柱(17)に後続の管(P)側への回転力が付与されることを特徴とする請求項1に記載の管継手の施工確認装置。
【請求項7】
前記操作軸(14)には、後端側へ向かって先細となる案内治具(27)が設けられ、前記案内治具(27)は、先行する管(P)への後続の管(P)の接近に伴い、前記操作軸(14)を後続の管(P)の内部で幅方向の中央から偏心しないように案内することを特徴とする請求項1に記載の管継手の施工確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管の継手接合時において、ゴム輪が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダクタイル鉄管は、水道管や下水道管、ガス管等として主に地中に埋設され、管路を構成しており、管同士は、受口に挿し口が挿入される継手形式にて接合されている。継手としては、受口に挿し口を挿入した状態で、密封性を得るためのゴム輪を受口と挿し口の隙間に押輪で押し込み、ボルトで締め付けるメカニカルタイプと呼ばれるK形等のほか、受口の内周面に予めゴム輪を装着し、受口に挿し口を挿入するだけで簡単に接合可能なプッシュオンタイプと呼ばれるGX形、T形、PII形等が知られている。
【0003】
一例として、
図9に基づき、T形継手を備えた水道用の管Pの接合工程を説明する。この接合に際しては、
図9(a)に示すように、先行する管Pの受口1の内周面の溝部1aにゴム輪3のヒール部3aを予め嵌め込んでおき、後続の管Pの挿し口2の端部外周面とゴム輪3の内周面に滑剤を塗布しておく。次に、
図9(b)に示すように、後続の管Pの挿し口2を受口1に挿入し、これに伴い、
図9(c)に示すように、先行する管Pの受口1の溝部1aより奥側の内周面と後続の管Pの挿し口2の外周面との間に、ゴム輪3のバルブ部3bが圧縮されつつ挟み込まれるようにする。
【0004】
ここで、ゴム輪3のヒール部3aが予め受口1の内周面の溝部1aに正しく収まっていない等の原因により、継手接合時にゴム輪3のずれや欠損、傷付き等が生じて、止水性能に不具合が生じることがある。このような不具合は、管Pの内部からは比較的確認しやすいが、管径が700mm未満である場合、管内に人が入ることができない。
【0005】
その対策として、
図10(a)に示すように、継手接合後に、管Pの外部において、受口1の端面側から受口1と挿し口2の隙間に薄板ゲージ30と呼ばれる検査具を差し込んで、ゴム輪3の位置を確認し、
図10(b)に示すように、この作業を管Pの継手部の全周にわたって行う方法が知られている(同旨の先行技術として下記特許文献1([0052]、
図7(a))参照)。
【0006】
しかしながら、例えば、管Pと壁面との間隔が狭い場合や、隣り合う管P同士の間隔が狭い場合には、管Pの外部から上述のような確認方法を実施することが困難であり、ゴム輪3の装着状態が正常であるかどうか判断することが容易でないという問題があった。
【0007】
また、ゴム輪3より受口1の奥側に位置するロックリングで受口1からの挿し口2の離脱を防止する耐震継手において、ゴム輪3の装着状態に異常が発見された場合に、施工をやり直すには、非常に煩雑な解体作業が必要になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような問題に対処するため、本出願人は、
図11に示すような管継手の施工確認装置を提案している。この施工確認装置は、管Pの内部を管軸方向に沿って移動可能な台車11にカメラ12と光源13とを備え、台車11に移動用の長尺の操作軸14をカメラ12の保持部に繋がるソケット15を介して接続し、操作軸14に管Pの内部底面上を転動する走行用車輪16aを下端に備えた転動支持体16を設け、管Pの内部では、転動支持体16により操作軸14を支持するものとされている。
【0010】
そして、この管継手の施工確認装置の使用に際しては、管Pの内部に進入させたカメラ12を継手の挿し口2の端面より受口1側に位置づけ、管Pの内部で受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3を光源13で照明しつつカメラ12により撮影し、その映像を管Pの外部のモニターMに表示し、受口1への挿し口2の挿入に伴うゴム輪3の挙動をモニターMで確認する。
【0011】
この施工工程においては、
図12に示すように、台車11を先に設置した管Pの内部に継手部となる受口1から預け入れておき、操作軸14が先行する管Pから新しく接合する後続の管Pの長さ程度突出した状態とし、後続の管Pを接合した後、台車11を受口1の近傍に引き戻す方法をとることがある。
【0012】
上記のような方法を採用する場合、後続の管Pは、操作軸14を管内に取り込みながら先行する管Pに接近させる必要がある。その際、長尺の操作軸14の自重による撓みが大きくなりすぎて管Pの接続に支障を来たさないように、操作軸14を人力で支えたり、クレーンで吊ったり、図示のように仮受台31で支えたりする必要があり、仮受台31で支持する場合、後続の管Pに操作軸14の端部が入ったとき、仮受台31を撤去しなければならず、これらの作業には、多大な労力と手間を要することとなる。
【0013】
そこで、この発明は、長尺の操作軸を支持して、先行する管に対し後続の管を容易に接近させて接合できる管継手の施工確認装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、この発明は、管の内部を管軸方向に沿って移動する台車に、密閉用のゴム輪の装着状況を管内面から確認するカメラと光源とを備え、後方へ向けて管軸方向に延びる移動用の操作軸が接続された管継手の施工確認装置において、
前記操作軸には、前記台車から離れた位置に、走行用車輪を有する転動支持体が設けられると共に、前記転動支持体より前記台車に近い位置に揺動する中折支柱が設けられ、
前記台車を預け入れた先行する管の外部では、直立状態となった前記中折支柱の下端が地盤に接地して、前記中折支柱により先行する管から突出した前記操作軸が支持され、
先行する管への後続の管の接近に伴い、前記転動支持体が後続の管の内部に進入し、これに続き、前記中折支柱が前記後続の管の一方の端部に押されて揺動しつつ、折畳状態で後続の管の内部に進入し、
後続の管の内部では、前記転動支持体により前記操作軸が支持され、前記転動支持体の走行用車輪が管の内部底面上を転動し、前記中折支柱は折畳状態に維持され、前記操作軸の後端部が後続の管の他方の端部側に達するものとしたのである。
【0015】
また、前記転動支持体は、前記操作軸の軸線の周りに揺動自在となるように、前記操作軸に装着されているものとしたのである。
【0016】
また、前記中折支柱は、上下方向に延びる柱部の下端に着地用車輪を有し、
前記着地用車輪は、先行する管の外部で地盤に接地し、前記中折支柱の揺動に伴い地盤上を転動し、後続の管の内部では管の内部底面上を転動するものとしたのである。
【0017】
また、前記中折支柱は、前記操作軸に取り付けられたベース部材に、前記操作軸の軸線に直交する横向きのヒンジ軸を介して連結されており、
前記中折支柱と前記ベース部材との接続部には、前記ベース部材の連結片の片側に前記中折支柱の揺動を許容する案内曲面が形成され、下部に前記中折支柱の受面に当接して前記中折支柱の揺動を阻止するストッパ面が形成されているものとしたのである。
【0018】
また、前記中折支柱には、先行する管への後続の管の接近に伴い、後続の管の端面で押される部分に、保護材が取り付けられているものとしたのである。
【0019】
また、前記中折支柱の下部には、錘が取り付けられ、前記錘の重量により、前記中折支柱に後続の管側への回転力が付与されるものとしたのである。
【0020】
そして、前記操作軸には、後端側へ向かって先細となる案内治具が設けられ、前記案内治具は、先行する管への後続の管の接近に伴い、前記操作軸を後続の管の内部で幅方向の中央から偏心しないように案内するものとしたのである。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係る管継手の施工確認装置を使用して管を接合する際、台車に接続されて先行する管から突出した操作軸は、管の外部で直立状態となった中折支柱により支持され、先行する管への後続の管の接近に伴い、中折支柱が後続の管の一方の端部に押されて揺動しつつ、折畳状態で後続する管の内部に進入し、後続の管の内部では転動支持体により支持され、後続の管の他方の端部側から台車を移動させることが可能となる。
【0022】
このため、操作軸を人力で支えたり、クレーンで吊ったり、仮受台で支えたり、仮受台を撤去したりすることなく、継手部にゴム輪の装着状況を確認するカメラを位置づけることができ、管継手の施工確認作業の省力化を図ることができる。また、操作軸の撓みが抑制され、管の内面の塗装に操作軸の接触傷が付く現象も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明に係る管継手の施工確認装置の管接合時における(a)直立状態の中折支柱により操作軸を支持した状態、(b)中折支柱が後続の管に押されて揺動した状態、(c)操作軸が転動支持体で支持された状態をそれぞれ示す概略側面図
【
図2】同上の管継手の施工確認装置における操作軸への転動支持体と中折支柱の取付状態を示す側面図
【
図3】同上の転動支持体の取付構造を示す(a)後方端面図、(b)側面図
【
図4】同上の中折支柱の取付構造を示す(a)後方端面図、(b)側面図
【
図5】同上の中折支柱の受面とベース部材のストッパ面のクリアランスにより中折支柱が後続の管の進行方向の反対側に傾動した状態を示す側面図
【
図6】同上の錘により中折支柱に回転力が付与された状態を示す側面図
【
図7】同上の先行する管に接近する後続の管内において(a)操作軸が管の幅方向中心から偏心した状態、(b)操作軸が管の幅方向中心に位置する状態での転動支持体をそれぞれ後方から示す端面図
【
図8】同上の案内治具を備えた管継手の施工確認装置を示す(a)平面図、(b)側面図
【
図9】T形継手における(a)接合初期過程、(b)接合中間過程、(c)接合状態をそれぞれ示す管軸方向の部分断面図
【
図10】薄板ゲージによる継手接合後の確認方法を説明する(a)管軸方向の部分断面図、(b)(a)のA-A位置での管径方向の全周断面図
【
図11】管継手の施工確認装置のカメラ及び光源を備えた台車とその近傍の操作軸を示す側面図
【
図12】操作軸を撓まないように仮支えして先行する管に後続の管を接近させる過程を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態を
図1乃至
図8に基づいて説明する。
【0025】
ここでは、
図1に示す管Pの接合作業に際し、先行して設置された管Pに対して、新しく接合する後続の管Pを進行させる方向を前方とし、その反対側を後方と規定する。
【0026】
また、プッシュオンタイプのT形継手を備えた管Pの受口1と挿し口2を接合する場合について例示しているが(
図9参照)、ロックリングを備えたプッシュオンタイプの耐震継手(GX形やPII形)についても同様である。この継手における接合に際しては、受口1の内周面の溝部1aに予めゴム輪3のヒール部3aを嵌め込んでおく。
【0027】
図1及び
図2に示すように、この管継手の施工確認装置は、
図11に示すものと同様、移動体である台車11に、ゴム輪3を撮影するカメラ12として、画角が360°の天球カメラを備えると共に、撮影対象を照射する光源13を備えている。台車11には、長尺の操作軸14がカメラ12の保持部に繋がるソケット15を介して後方へ延びるように接続されている。
【0028】
操作軸14の後方の端部寄りには、転動支持体16が設けられ、その前方に中折支柱17が設けられている。中折支柱17は、転動支持体16よりも下方へ延びている。
【0029】
図3に示すように、転動支持体16は、一対の走行用車輪16aが取付部16bに下広がりに並んで保持されたものであり、操作軸14に挿通されたベース部材18から下方へ延びる取付軸19を介して操作軸14に装着される。ベース部材18は、上方及び両側方からねじ込まれるボルト20により、操作軸14に対して軸線方向に固定される。
【0030】
ここで、転動支持体16は、セットカラ―等を用いて、操作軸14の軸線の周りに揺動自在となるように(
図3(a)の矢印参照)、操作軸14に装着してもよい。
【0031】
図4に示すように、中折支柱17は、上下方向に延びる柱部の下端に一対の着地用車輪17aを備えたものであり、操作軸14に挿通されたベース部材21を介して操作軸14に装着される。
【0032】
ベース部材21には、下方へ突出する連結片22が設けられ、中折支柱17の二股状の上端部と、その間に挟まれた連結片22には、操作軸14の軸線に直交する横向きのヒンジ軸23が貫通し、中折支柱17はベース部材21に対して揺動可能とされている。ベース部材21は、上方及び両側方からねじ込まれるボルト24により、操作軸14に対して軸線方向及び周方向に固定される。
【0033】
ベース部材21の連結片22には、前方の側面から下方へかけて円弧状の案内曲面22aが形成され、下面に平坦なストッパ面22bが形成されている。また、中折支柱17の上部には、ストッパ面22bの下方に対向する平坦な受面17bが形成されている。案内曲面22aは、中折支柱17の揺動を許容し、ストッパ面22bは、受面17bと当接して中折支柱17の揺動を阻止する。
【0034】
また、中折支柱17には、案内曲面22aの反対側となる後方の側面部に、弾性を有する樹脂製の保護材25が取り付けられている。
【0035】
なお、中折支柱17において、着地用車輪17aを省略し、中折支柱17の柱部の下端を地盤及び管Pの内面に対して滑りが許容される形状に加工してもよい。
【0036】
上記のような管継手の施工確認装置を使用して、
図9に示すように、管Pの継手接合時において、受口1の内周面に予め装着されたゴム輪3が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するには、
図1(a)に示すように、台車11を先行して設置された管Pの内部に受口1から預け入れ、操作軸14が先行する管Pから後方へ向かって新しく接合する後続の管Pの長さ程度突き出した状態としておく。
【0037】
この状態では、先行する管Pの外部で中折支柱17が直立状態となり、中折支柱17の下端の着地用車輪17aが地盤に接地して、中折支柱17により操作軸14が支持され、操作軸14の自重による撓みが抑制される。
【0038】
次に、
図1(b)に示すように、後続の管Pの挿し口2を先行する管Pの受口1に接近させると、転動支持体16が後続の管Pの内部に進入し、走行用車輪16aが後続の管Pの内部底面に乗り上げ、操作軸14の後端側が支持された状態となり、これに続き、中折支柱17が後続の管Pの挿し口2の端面に押されて倒れるように揺動し、折畳状態となって後続する管Pの内部に進入する。
【0039】
このとき、中折支柱17には、後続の管Pの挿し口2の端面で押される部分に弾性を有する樹脂製の保護材25が取り付けられているので、中折支柱17の損傷が防止されるほか、後続の管Pの挿し口2の端面の塗装が保護される。
【0040】
そして、先行する管Pに後続の管Pをさらに接近させると、転動支持体16の走行用車輪16aが後続の管Pの内部底面上を転動し、転動支持体16により操作軸14が支持された状態で、先行する管Pの受口1に後続の管Pの挿し口2を差し込むことができ、後続の管Pの受口1の近傍に操作軸14の後端部が位置づけられる。
【0041】
これにより、後続の管Pの受口1側から操作軸14を引っ張って、台車11を先行する管Pの受口1の近傍に引き戻すことができるので、継手部の内面にゴム輪3の装着状況を確認するカメラ12を容易に位置づけることができる。
【0042】
また、先行する管Pに後続の管Pを接近させる際、操作軸14が中折支柱17又は転動支持体16で支持されているので、操作軸14の撓みが抑制され、走行用車輪16a及び着地用車輪17aが後続の管Pの内部底面上を転動することから、管Pの内面の塗装に操作軸14の接触傷が付く現象も防止される。
【0043】
さらに、
図4に示すように、中折支柱17が鉛直方向に垂下した状態で、受面17bとストッパ面22bとの間に2mm程度の隙間を設けておくと、
図5に示すように、操作軸14の自重が作用して着地用車輪17aが地盤に接地しているとき、中折支柱17は、下端側が後続の管Pの移動方向とは反対の方向である後方へ傾斜する。
【0044】
これにより、操作軸14が中折支柱17で支持された状態において、中折支柱17が誤って倒れる方向へ揺動する現象が防止される。
【0045】
また、
図6に示すように、中折支柱17の前方となる側部に、折畳方向とは反対側への回転力を付与する鋼材等の錘26を取り付けておくと、中折支柱17が誤って倒れる現象がより確実に防止されるほか、操作軸14を管Pから突出させたとき、中折支柱17が折畳状態から直立状態へ迅速に揺動するようになる。
【0046】
なお、管Pを継手の許容範囲で曲げて接合する場合等においては、先行する管Pに後続の管Pが接近する際、
図7(a)に示すように、操作軸14が管Pの幅方向の中央から偏心し、継手の施工状態の確認や台車11の進行に支障が生じることがある。
【0047】
このような事態を防止するため、
図8に示すように、操作軸14の後方の端部寄りに、後端側へ向かって先細となる三角板状の案内治具27を設けておき、先行する管Pへの後続の管Pの接近に伴い、後続の管Pに挿入した案内治具27が管Pの両側の内面に規制されて、
図7(b)に示すように、操作軸14が管Pの幅方向の中央から偏心することなく案内されるようにするとよい。
【0048】
ところで、上記実施形態では、
図1に示すように、地表面から掘り下げる開削工法により、後続の管Pを吊り下げて先行する管Pに接近させる施工手順を例示しているが、トンネル内で後続の管Pを台車に載せて先行する管Pに接近させる場合等においても、この管継手の施工確認装置を同様に使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 受口
1a 溝部
2 挿し口
3 ゴム輪
3a ヒール部
3b バルブ部
11 台車
12 カメラ
13 光源
14 操作軸
15 ソケット
16 転動支持体
16a 走行用車輪
16b 取付部
17 中折支柱
17a 着地用車輪
17b 受面
18 ベース部材
19 取付軸
20 ボルト
21 ベース部材
22 連結片
22a 案内曲面
22b ストッパ面
23 ヒンジ軸
24 ボルト
25 保護材
26 錘
27 案内治具
P 管