(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036035
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ガラス母材の延伸方法
(51)【国際特許分類】
C03B 37/012 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
C03B37/012 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140734
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】撫佐 宜孝
【テーマコード(参考)】
4G021
【Fターム(参考)】
4G021BA00
(57)【要約】
【課題】ガラス母材から複数の延伸母材を形成する場合に歩留まりの低下を抑制する。
【解決手段】ガラス母材を加熱しながら延伸することにより、複数の延伸母材が得られる延伸体を形成するガラス母材の延伸方法であって、前記ガラス母材の延伸中に、前記ガラス母材の外径を測定し、外径測定値が目標外径値と一致するよう制御するステップと、前記ガラス母材の延伸中に、前記目標外径値を、第一の外径を有する第一の延伸母材に対応する第一目標外径値から前記第一の外径とは異なる第二の外径を有する第二の延伸母材に対応する第二目標外径値に変更するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス母材を加熱しながら延伸することにより、複数の延伸母材が得られる延伸体を形成するガラス母材の延伸方法であって、
前記ガラス母材の延伸中に、前記ガラス母材の外径を測定し、外径測定値が目標外径値と一致するよう制御するステップと、
前記ガラス母材の延伸中に、前記目標外径値を、第一の外径を有する第一の延伸母材に対応する第一目標外径値から前記第一の外径とは異なる第二の外径を有する第二の延伸母材に対応する第二目標外径値に変更するステップと、
を含む、ガラス母材の延伸方法。
【請求項2】
前記ガラス母材の延伸を開始する前に前記ガラス母材の状態を確認するステップを含み、
延伸前の前記ガラス母材に異常部が確認された場合、前記目標外径値を変更するステップにおいて、前記異常部の位置に基づいて前記目標外径値を変更する、請求項1に記載のガラス母材の延伸方法。
【請求項3】
前記目標外径値を変更するステップにおいて、前記ガラス母材から形成される延伸体の有効部から、第一の長さを有する前記第一の延伸母材と第二の長さを有する前記第二の延伸母材が得られるように、前記目標外径値を変更する、請求項2に記載のガラス母材の延伸方法。
【請求項4】
前記ガラス母材の延伸中に前記ガラス母材の状態を確認するステップを含み、
延伸中の前記ガラス母材に異常部が確認された場合、前記目標外径値を変更するステップにおいて、前記異常部の位置に基づいて前記目標外径値を変更する、請求項1に記載のガラス母材の延伸方法。
【請求項5】
前記目標外径値を変更するステップにおいて、延伸中の前記ガラス母材の前記異常部の後に形成される延伸体の有効部から、第一の長さを有する前記第一の延伸母材と第二の長さを有する前記第二の延伸母材が得られるように、前記目標外径値を変更する、請求項4に記載のガラス母材の延伸方法。
【請求項6】
複数の外径の異なる第二の延伸母材候補と、当該第二の延伸母材候補に対応する複数の第二目標外径値候補とが設定されており、
前記ガラス母材において異常部の後に延伸される残りの部分の体積に応じて、複数の前記第二目標外径値候補の中から前記第二目標外径値を選択するステップを含む、
請求項4または請求項5に記載のガラス母材の延伸方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス母材の延伸方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光ファイバ用ガラス母材を加熱しながら延伸するガラス母材の延伸方法を開示している。ガラス母材を加熱しながら、ガラス母材の両端を把持する上部チャックと下部チャックを異なる速度で移動させることにより、ガラス母材の延伸体が形成される。形成された延伸体は、複数の延伸母材に分割される。
【0003】
特許文献2は、光ファイバ用ガラス母材を加熱しながら延伸するガラス母材の延伸方法を開示している。ガラス母材を加熱しながら、ガラス母材の引き下げ速度と延伸されたプリフォームの引き取り速度を制御することにより、ガラス母材の延伸体が形成される。形成された延伸体は、複数の延伸母材に分割される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-87338号公報
【特許文献2】特開2006-193397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガラス母材の製造ばらつきや、ガラス母材または延伸体において発生する異常部などにより、延伸体から得られる延伸母材が所定の長さよりも短くなったり、延伸体の余り部分が多くなったりして、歩留まりが低下する場合がある。
【0006】
本開示の目的は、ガラス母材から複数の延伸母材を形成する場合に歩留まりの低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のガラス母材の延伸方法は、
ガラス母材を加熱しながら延伸することにより、複数の延伸母材が得られる延伸体を形成するガラス母材の延伸方法であって、
前記ガラス母材の延伸中に、前記ガラス母材の外径を測定し、外径測定値が目標外径値と一致するよう制御するステップと、
前記ガラス母材の延伸中に、前記目標外径値を、第一の外径を有する第一の延伸母材に対応する第一目標外径値から前記第一の外径とは異なる第二の外径を有する第二の延伸母材に対応する第二目標外径値に変更するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ガラス母材から複数の延伸母材を形成する場合に歩留まりの低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るガラス母材の延伸装置の構成を例示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の延伸装置により形成される延伸体と、延伸体から分割される延伸母材を説明するための図である。
【
図3】
図3は、一つの目標外径値に基づいて形成される延伸体と、延伸体から分割される延伸母材を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第二の延伸母材候補のテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
本開示のガラス母材の延伸方法は、
(1)ガラス母材を加熱しながら延伸することにより、複数の延伸母材が得られる延伸体を形成するガラス母材の延伸方法であって、
前記ガラス母材の延伸中に、前記ガラス母材の外径を測定し、外径測定値が目標外径値と一致するよう制御するステップと、
前記ガラス母材の延伸中に、前記目標外径値を、第一の外径を有する第一の延伸母材に対応する第一目標外径値から前記第一の外径とは異なる第二の外径を有する第二の延伸母材に対応する第二目標外径値に変更するステップと、
を含む。
【0011】
上記方法によれば、ガラス母材を延伸して形成される延伸体は、長手方向に一定の外径ではなく、複数の異なる外径の延伸母材に対応して、長手方向に複数の外径を有するように形成される。これにより、延伸体から複数の異なる外径を有する延伸母材を得ることができるので、複数の同一の外径を有する延伸母材を得る場合に比べて、延伸母材が所定の長さよりも短くなったり延伸体の余り部分が長くなったりすることを抑制できる。したがって、延伸体や延伸母材の廃棄量の増加を抑制し、歩留まりの低下を抑制することができる。また、延伸母材が光ファイバ用母材として使用される場合に線引き効率の低下を抑制できる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記ガラス母材の延伸を開始する前に前記ガラス母材の状態を確認するステップを含み、
延伸前の前記ガラス母材に異常部が確認された場合、前記目標外径値を変更するステップにおいて、前記異常部の位置に基づいて前記目標外径値を変更してもよい。
【0013】
上記方法によれば、延伸されるガラス母材に存在する異常部の位置に基づいて、延伸体の外径を変化させることにより、ガラス母材から形成される延伸体の異常部により延伸母材が所定の長さよりも短くなったり延伸体の余り部分が長くなったりすることを抑制できる。
【0014】
(3)上記(2)において、前記目標外径値を変更するステップにおいて、前記ガラス母材から形成される延伸体の有効部から、第一の長さを有する前記第一の延伸母材と第二の長さを有する前記第二の延伸母材が得られるように、前記目標外径値を変更してもよい。
【0015】
上記方法によれば、延伸体から所望の長さの第一の延伸母材と第二の延伸母材を得ることができ、また、延伸体の余り部分の発生を抑制できる。
【0016】
(4)上記(1)において、前記ガラス母材の延伸中に前記ガラス母材の状態を確認するステップを含み、
延伸中の前記ガラス母材に異常部が確認された場合、前記目標外径値を変更するステップにおいて、前記異常部の位置に基づいて前記目標外径値を変更してもよい。
【0017】
上記方法によれば、延伸中にガラス母材に異常が発生した場合でも、延伸中のガラス母材に存在する異常部の位置に基づいて延伸体の外径を変化させることにより、延伸体の異常部により延伸母材が所定の長さよりも短くなったり延伸体の余り部分が長くなったりすることを抑制できる。
【0018】
(5)上記(4)において、前記目標外径値を変更するステップにおいて、延伸中の前記ガラス母材の前記異常部の後に形成される延伸体の有効部から、第一の長さを有する前記第一の延伸母材と第二の長さを有する前記第二の延伸母材が得られるように、前記目標外径値を変更してもよい。
【0019】
上記方法によれば、延伸体の異常部よりも後ろの部分から所望の長さの第一の延伸母材と第二の延伸母材を得ることができ、また、延伸体の余り部分の発生を抑制できる。
【0020】
(6)上記(4)または(5)において、複数の外径の異なる第二の延伸母材候補と、当該第二の延伸母材候補に対応する複数の第二目標外径値候補とが設定されており、
前記ガラス母材において異常部の後に延伸される残りの部分の体積に応じて、複数の前記第二目標外径値候補の中から前記第二目標外径値を選択するステップを含んでもよい。
【0021】
上記の方法によれば、ガラス母材において異常部の後に延伸される残りの部分の体積に応じて、より適切な第二目標外径値を使用できる。これにより、延伸体や延伸母材の廃棄量の増加を防ぎ、歩留まりを向上させることができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係るガラス母材の延伸方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、以下の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0023】
(ガラス母材の延伸装置)
図1は、本実施形態に係るガラス母材Gの延伸装置1の構成を示す概略図である。
図2は、延伸装置1により形成される延伸体G1および延伸体G1から得られる延伸母材G2を示す模式図である。
【0024】
延伸装置1は、ガラス母材Gを加熱しながら延伸することにより、当該ガラス母材Gの径よりも小さい径を有する延伸体G1を形成するように構成されている。延伸装置1により形成された延伸体G1は、
図2に例示されるように、所定の位置で分割される。これにより、複数の延伸母材G2が得られる。本例においては、延伸体G1から三つの延伸母材G2が得られる。ガラス母材Gは、例えば光ファイバのコア用のガラス母材であり、延伸体G1から分割された延伸母材G2は、光ファイバのコアとして使用される。
【0025】
図1に例示されるように、延伸装置1は、加熱炉11、上部チャック12、下部チャック13、第一外径測定装置14、第二外径測定装置15、および制御装置16を備えている。
【0026】
加熱炉11は、円筒状の炉心管111とリング状のヒータ112を有している。ヒータ112は、炉心管111の外周を囲むように配置されている。
【0027】
上部チャック12は、ガラス母材Gの上端に連結されている支持ロッドR1を把持するように構成されている。上部チャック12は、上下移動機構(図示省略)によって昇降可能に設けられている。上部チャック12は、ガラス母材Gの延伸が開始されると、加熱炉11のヒータ112の加熱領域に向けて(
図1において下方向)移動し、ガラス母材Gを加熱炉11に送り込む。
【0028】
下部チャック13は、ガラス母材Gの下端に連結されている支持ロッドR2を把持するように構成されている。下部チャック13は、上下移動機構(図示省略)によって昇降可能に設けられている。下部チャック13は、ガラス母材Gの延伸が開始されると、上部チャック12よりも速い速度で下方に向けて移動し、ガラス母材Gから延伸された延伸体G1を引き取る。
【0029】
第一外径測定装置14は、延伸中のガラス母材Gの外径を測定するように構成されている。第一外径測定装置14は、例えばレーザ光を用いてガラス母材Gの外径を所定間隔ごとに測定する。本例においては、第一外径測定装置14は、ヒータ112の下方に配置されており、ガラス母材Gにおいてヒータ112から出た直後の外径が大きく変動している部分の外径を測定するように構成されている。
【0030】
第二外径測定装置15は、ガラス母材Gから延伸された延伸体G1の外径を測定するように構成されている。第二外径測定装置15は、例えばレーザ光を用いて延伸体G1の外径を所定間隔ごとに測定する。本例においては、第二外径測定装置15は、加熱炉11の下方に配置されており、加熱炉11から出た延伸体G1の外径を測定するように構成されている。なお、第二外径測定装置15が配置される場所は、
図1の場所に限定されない。例えば、第二外径測定装置15は、ヒータ112の下方に配置され、ガラス母材Gの外径変動が大きい部分の外径を測定するように配置されてもよい。
【0031】
制御装置16は、加熱炉11、上部チャック12、下部チャック13、第一外径測定装置14、および第二外径測定装置15に電気的に接続されている。制御装置16は、第一外径測定装置14により取得されたガラス母材Gの外径の測定値に基づいて、外径測定値が目標外径値と一致するように、上部チャック12または下部チャック13の移動速度を制御するように構成されている。目標外径値は、延伸体G1から取得される延伸母材G2の外径に応じて適宜設定される。本例においては、ヒータ112から出た直後のガラス母材Gの外径が測定されているので、目標外径値は、延伸母材G2の外径よりも大きな値に設定される。
【0032】
また、制御装置16は、ガラス母材Gの延伸中に、目標外径値を第一目標外径値から第二目標外径値に変更させるように構成されている。
【0033】
第一目標外径値は、
図2に例示されるように、第一の外径D1を有する第一の延伸母材G21に対応する目標外径値である。第二目標外径値は、第一の外径D1とは異なる第二の外径D2を有する第二の延伸母材G22に対応する目標外径値である。例えば、第一の外径D1は第二の外径D2よりも大きく、第一目標外径値は第二目標外径値よりも大きな値に設定される。第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22は、異なる種類の延伸母材G2でありうる。あるいは、第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22は、同一種類の延伸母材G2であり、公差の範囲内の異なる外径の延伸母材G2でありうる。
【0034】
本例においては、制御装置16は、第二外径測定装置15により取得された延伸体G1の外径の測定値に基づいて意図しない外径変動が生じていると判断すると、延伸体G1の外径変動が生じている部分(以下、外径変動部と称する)の位置に基づいて、目標外径値を第二目標外径値に変更するタイミングを決定する。そして、制御装置16は、目標外径値を第二目標外径値に変更すると、第二目標外径値に基づいて上部チャック12または下部チャック13の移動速度を制御する。ガラス母材Gから延伸された延伸体G1の外径変動部は、延伸中のガラス母材Gの異常部の一例である。
【0035】
(ガラス母材の延伸方法)
次に、延伸装置1を用いたガラス母材Gの延伸方法について説明する。
まず、上部チャック12を加熱炉11のヒータ112の加熱領域に向けて移動させて、ガラス母材Gを加熱炉11に送り込む。そして、ガラス母材Gがヒータ112によって加熱されて軟化されると、下部チャック13を上部チャック12よりも速い速度で下方に向けて移動させる。これにより、
図1に例示されるように、加熱炉11内で軟化されたガラス母材Gの軟化部分が下方に延伸されて、延伸体G1が得られる。
【0036】
上部チャック12と下部チャック13の移動速度は、ガラス母材Gの外径測定値が目標外径値と一致するよう制御装置16により制御される。例えば、ガラス母材Gの外径測定値が目標外径値よりも大きい場合は、延伸されているガラス母材Gの外径が細くなるように、上部チャック12の移動速度が下げられる、または、下部チャック13の移動速度が上げられる。
【0037】
目標外径値は、ガラス母材Gの延伸開始時は、第一目標外径値に設定されている。そして、ガラス母材Gの延伸中に、目標外径値は、第一目標外径値から第二目標外径値に変更される。本例においては、第二外径測定装置15から取得した延伸体G1の外径測定値に基づいて延伸体G1に意図しない外径変動が発生したと判断された場合、延伸体G1の外径変動部の位置に基づいて、目標外径値が第二目標外径値に変更される。
【0038】
例えば、制御装置16は、第二外径測定装置15により測定された延伸体G1の外径測定値が所定の閾値よりも大きいと判断すると、延伸体G1において意図しない外径変動が発生したと判断する。なお、閾値は、延伸体G1から取得される延伸母材G2の外径の値に基づいて適宜設定される。
【0039】
制御装置16は、延伸体G1において外径変動が発生したと判断されると、延伸体G1における外径変動部の位置に基づいて、外径変動部の後に延伸されるガラス母材Gの残りの部分の体積を算出する。外径変動部の後に延伸されるガラス母材Gの残りの部分の体積は、ガラス母材Gの体積、延伸体G1における外径変動部の位置、上部チャック2と下部チャック3の移動速度などから、算出されうる。
【0040】
続いて、制御装置16は、算出されたガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積に基づいて、当該部分から取得可能な第一の延伸母材G21の本数と第二の延伸母材G22の本数を判断する。本例においては、
図2に示されるように、延伸体G1の外径変動部A1よりも後ろの部分から第一の長さL1を有する第一の延伸母材G21と第二の長さL2を有する第二の延伸母材G22がそれぞれ1本ずつ取得できると判断される。
【0041】
続いて、制御装置16は、延伸体G1における第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22の分割位置に基づいて、目標外径値を第二目標外径値に変更する。これにより、ガラス母材Gから、長手方向に沿って第一の延伸母材G21の第一の外径D1と第二の延伸母材G22の第二の外径D2に対応する二つの異なる外径を有する延伸体G1が形成される。
【0042】
このように形成された延伸体G1の有効部から第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22が取得される。本例においては、
図2に示されるように、延伸体G1の有効部から第一の長さL1を有する2本の第一の延伸母材G21と第二の長さL2を有する1本の第二の延伸母材G22が取得される。なお、本明細書において用いられる「延伸体G1の有効部」という用語は、延伸母材G2とはなり得ない不良部を除いた部分である。不良部には、外径変動部A1などの異常部に加えて、延伸開始時に最初に引き伸ばされた先端部分A2や目標外径値の変更により外径変動が生じた部分A3などが含まれる。
【0043】
ところで、例えば
図3に示されるように複数の同一の外径を有する延伸母材G2を取得するために一つの目標外径値のみに基づいてガラス母材Gの外径が制御される場合、延伸中のガラス母材Gに意図しない外径変動が生じると、一部の延伸母材G2が所定の長さより短くなったり、延伸体G1の余り部分が長くなってしまう。本例においては、延伸体G1から取得された3本の第一の外径D1を有する第一の延伸母材G21のうち、延伸体G1の後端部から取得された第一の延伸母材G21の長さが第一の長さL1の7割の長さとなる。
【0044】
このように延伸母材G2の長さが短いと、例えば光ファイバの線引き工程において光ファイバ用母材を交換する頻度が高くなり線引きの効率が低下したり、光ファイバの線引き工程で使用されずに廃棄されてしまったりする。あるいは、長さが短すぎて延伸母材G2として取り出せなくなり延伸体G1の余り部分が長くなる。これにより、延伸体G1や延伸母材G2の廃棄量が増加し、歩留まりが低下する。
【0045】
これに対して、本実施形態に係るガラス母材Gの延伸方法によれば、延伸中のガラス母材Gにおける外径変動部A1の位置に基づいて、目標外径値が第一目標外径値から第二目標外径値に変更される。これにより、
図2に例示されるように、延伸体G1から複数の異なる外径を有する十分な長さの複数の延伸母材G2を得ることができる。したがって、複数の同一の外径を有する延伸母材G2を得る場合に比べて、延伸母材G2が所定の長さよりも短くなったり延伸体の余り部分が長くなったりすることを抑制できる。これにより、延伸体G1や延伸母材G2の廃棄量の増加を抑制し、歩留まりの低下を抑制することができる。また、光ファイバの線引き工程における線引き効率の低下を抑制できる。
【0046】
また、本実施形態においては、第二外径測定装置15を用いて延伸中のガラス母材Gにおいて発生する外径変動を検出し、外径変動部A1の位置に基づいて、目標外径値を第二目標外径値に変更している。これにより、延伸中にガラス母材Gに外径変動が発生した場合でも、外径変動部の位置に応じて、延伸体G1の外径を変化させることにより、延伸体G1の外径変動部A1により延伸母材G2が所定の長さよりも短くなったり延伸体G1の余り部分が長くなったりすることを抑制できる。
【0047】
また、本実施形態においては、延伸中のガラス母材Gの外径変動部A1よりも後に形成される延伸体G1の有効部から第一の長さL1を有する第一の延伸母材G21と第二の長さL2を有する第二の延伸母材G22が得られるように、目標外径値が変更されている。これにより、延伸体G1から所望の長さの第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22を得ることができ、また、延伸体G1の余り部分の発生を抑制できる。
【0048】
なお、延伸体G1の有効部から得られる第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22はそれぞれ第一の長さL1と第二の長さL2ではなく、第一の長さL1と第二の長さL2の所定の範囲内の長さを有するように、目標外径値が変更されてもよい。所定の範囲内とは、例えば、第一の長さL1と第二の長さL2のそれぞれ±10%の範囲である。この場合でも十分な長さの第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22を得ることができる。
【0049】
また、本実施形態においては、延伸中のガラス母材Gに発生する異常として、第二外径測定装置15により延伸中のガラス母材Gの外径変動が検出されている。しかしながら、本明細書において用いられる「異常部」という用語は、外径変動が生じた部分に加えて、気泡が発生した部分などを含む。例えば、第二外径測定装置15に加えてあるいは代えて、加熱炉11の下方にカメラを配置し、カメラを用いて延伸中のガラス母材Gが撮像されてもよい。そして、撮像された画像に基づいて延伸中のガラス母材Gに気泡が検出された場合には、延伸中のガラス母材Gに異常が発生したと判断してもよい。
【0050】
また、本実施形態において、第二の延伸母材G22は、ガラス母材Gにおいて異常部の後に延伸される残りの部分の体積に応じて、複数の第二の延伸母材の候補の中から選択されてもよい。例えば
図4に示されるように、制御装置16の記憶部(不図示)には、それぞれ異なる外径と長さを有する第二の延伸母材の候補1~候補3と、該第二の延伸母材の候補に対応する複数の第二目標外径値の候補とを含むテーブルが記憶されている。制御装置16は、ガラス母材Gにおいて延伸される残りの部分の体積に応じて、複数の第二目標外径値候補の中から第二目標外径値を選択してもよい。
【0051】
具体的には、まず、制御装置16は、第二の延伸母材の候補1~候補3のうちのいずれかの候補を第二の延伸母材として選択し、目標外径値を選択した第二の延伸母材に対応する第二目標外径値に変更してガラス母材Gにおいて延伸される残りの部分のすべてを延伸する場合に、当該部分から得られる延伸体G1から取得される第二の延伸母材の端数が0.1以内になるかを判定する(第一ステップ)。そして、制御装置16は、候補1~候補3のうちのいれかの候補を第二の延伸母材として選択するときの第二の延伸母材の端数が0.1以内になると判定すると、その候補を第二の延伸母材として選択する。なお、本例においては、端数が0.1以内であるかを判定しているが、端数の判定基準の値は0.1には限定されない。
【0052】
一方、制御装置16は、候補1~候補3のいずれかを第二の延伸母材として選択しても第二の延伸母材の端数が0.1以内にならないと判定すると、候補1から候補3の全ての本数の組み合わせで延伸母材の体積を計算する。そして、延伸母材の合計体積とガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積との差が最も小さくなる候補の組み合わせを求めて、その候補の組み合わせを第二の延伸母材として選択する(第二ステップ)。すなわち、この場合、第二の延伸母材は、外径が異なる複数の第二の延伸母材を含み、第二目標外径値は、外径値が異なる複数の第二目標外径値を含む。制御装置16は、延伸体G1において外径が異なる第二の延伸母材G22,G22間の分割位置に基づいて、目標外径値を対応する第二目標外径値に変更する。
【0053】
例えば、第二の延伸母材の候補1~候補3が下記の表1に示される外径および長さを有しており、ガラス母材において延伸される残りの部分の体積が3182cm3である場合、第一ステップにおいて、制御装置16は、候補1~候補3のいずれを第二の延伸母材として選択しても端数が0.1以内にならないと判定する。
【0054】
【0055】
具体的には、候補1を第二の延伸母材として選択すると、ガラス母材において延伸される残りの部分から取得可能な第二の延伸母材の本数は4.50本となり、端数は0.1以内とはならない。また、候補2を第二の延伸母材として選択すると、ガラス母材において延伸される残りの部分から取得可能な第二の延伸母材の本数は6.48本となり、端数は0.1以内とはならない。また、候補3を第二の延伸母材として選択すると、ガラス母材において延伸される残りの部分から取得可能な第二の延伸母材の本数は10.13本となり、端数は0.1以内とはならない。
【0056】
次に、第二ステップにおいて、制御装置16は、各候補の取り得る本数の範囲を求める。下限は0本とし、上限は第一ステップで求めた本数を超えない範囲で最も近い整数となる本数とする。具体的には、候補1の取り得る本数は0本~4本であり、候補2の取り得る本数は0本~6本であり、候補3の取り得る本数は0本~10本となる。
【0057】
続いて、制御装置16は、各候補の取り得る本数の範囲内において、すべての本数の組み合わせについて延伸母材の合計体積を求め、ガラス母材において延伸される残りの部分の体積に最も近い組み合わせを求める。そして、制御装置16は、その候補の組み合わせを第二の延伸母材として選択する。
【0058】
具体的には、表2、表4、表6、表8、表10は、候補1から候補3すべての本数の組み合わせについて算出された延伸母材の合計体積を示している。表3、表5、表7、表9、表11は、延伸母材の合計体積とガラス母材において延伸される残りの部分の体積との差分を示している。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
表3から、候補1が0本の場合、候補2が2本であり候補3が7本であるときに、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分が最小値(1cm3)となる。表5から、候補1が1本の場合、候補2が5本であり候補3が0本であるときに、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分が最小値(21cm3)となる。表7から、候補1が2本の場合、候補2が3本であり候補3が1本であるときに、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分が最小値(19cm3)となる。表9から、候補1が3本の場合、候補2が1本であり候補3が2本であるときに、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分が最小値(58cm3)となる。表11から、候補1が4本の場合、候補2が0本であり候補3が1本であるときに、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分が最小値(40cm3)となる。
【0070】
したがって、候補1が0本、候補2が2本、候補3が7本の組み合わせの延伸母材の合計体積が最もガラス母材の体積に近くなるので、制御装置16は、その候補の組み合わせを第二の延伸母材として選択する。
【0071】
なお、第二ステップにおいては、制御装置16は、延伸母材の合計体積とガラス母材の延伸される残りの部分の体積との差分が最も小さくなる候補の組み合わせを、第二の延伸母材として選択している。しかしながら、制御装置16は、候補1を優先する場合は、候補1が最大本数である場合の組み合わせにおいて、延伸母材の合計体積とガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積との差分が候補2または候補3の体積の0.1倍以内となれば、その組み合わせを、第二の延伸母材として選択するように構成されてもよい。
【0072】
また、制御装置16は、候補1が最大本数である場合の組み合わせにおいて、延伸母材の合計体積とガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積との差分が候補2または候補3の体積の0.1倍以内とならない場合は、候補1の本数を最大本数から1本ずつ少なくした場合の組み合わせにおいて、延伸母材の合計体積とガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積との差分が候補2または候補3の体積の0.1倍になるかを判定する処理を繰り返すように構成されてもよい。そして、制御装置16は、延伸母材の合計体積とガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積との差分が候補2または候補3の体積の0.1倍になる場合の組み合わせを、第二の延伸母材として選択するように構成されうる。
【0073】
例えば、候補1が4本の場合において、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分の最小値は40cm3であり、候補3の体積の0.1倍である31cm3より大きいので、「候補2または候補3の体積の0.1倍以内」の要件を満たさない。
【0074】
次に、候補1が3本の場合において、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分の最小値は58cm3であり、候補2の体積の0.1倍である49cm3および候補3の体積の0.1倍である31cm3のいずれより大きいので、「候補2または候補3の体積の0.1倍以内」の要件を満たさない。
【0075】
次に、候補1が2本の場合において、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分の最小値は19cm3であり、候補2の体積の0.1倍である49cm3および候補3の体積の0.1倍である31cm3のいずれより小さいので、「候補2または候補3の体積の0.1倍以内」の要件を満たす。したがって、制御装置16は、延伸母材の合計体積とガラス母材の体積との差分が19cm3となる候補の組み合わせ(候補1が2本、候補2が3本、候補3が1本)を第二の延伸母材として選択する。
【0076】
このような方法によれば、ガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積に応じて、より適切な第二目標外径値を使用できる。これにより、延伸体G1や延伸母材G2の廃棄量の増加を防ぎ、歩留まりを向上させることができる。
【0077】
なお、本例においては、ガラス母材Gにおいて延伸される残りの部分から、第二の延伸母材の候補1~候補3から選択された一つまたは複数の第二の延伸母材を取得している。しかしながら、ガラス母材Gにおいて延伸される残りの部分から、第一の延伸母材と選択された一つまたは複数の第二の延伸母材を取得するように構成されてもよい。この場合、制御装置16は、例えば、第二ステップにおいて、第一の延伸母材と第二の延伸母材の候補1から候補3との組み合わせで延伸母材の体積を計算し、延伸母材の合計体積とガラス母材Gの延伸される残りの部分の体積との差分に基づいて、第一の延伸母材と第二の延伸母材の組み合わせを決定するように構成されてもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、延伸中のガラス母材Gの状態が確認され、延伸中のガラス母材Gの異常部に基づいて目標外径値が変更されている。しかしながら、ガラス母材Gの延伸を開始する前にガラス母材Gの状態を確認し、ガラス母材Gに気泡などの異常が確認された場合、ガラス母材Gの異常部に基づいて目標外径値が変更されてもよい。
【0079】
例えば、延伸前のガラス母材Gをカメラにより撮像し、撮像された画像から気泡が検出される。あるいは、ガラス母材Gを作業者が目視することにより気泡が検出されてもよい。このガラス母材Gの気泡の位置に基づいて、当該ガラス母材Gから形成される延伸体G1における気泡の位置が予測される。ガラス母材Gの延伸を開始すると、予測された延伸体G1における気泡の位置に基づいて目標外径値が第一目標外径値から第二目標外径値に変更される。
【0080】
好ましくは、目標外径値は、ガラス母材Gから延伸されて形成される延伸体G1の有効部から、第一の長さL1を有する第一の延伸母材G21と第二の長さL2を有する第二の延伸母材G22が得られるように、変更される。あるいは、延伸体G1から得られる第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22がそれぞれ第一の長さL1と第二の長さL2の所定の範囲内の長さを有するように、目標外径値が変更されてもよい。所定の範囲内とは、例えば、第一の長さL1と第二の長さL2のそれぞれ±10%の範囲である。
【0081】
延伸前のガラス母材Gに気泡などの異常部が存在する場合には、当該ガラス母材Gを延伸して形成される延伸体G1にも異常部が残った状態となる。したがって、延伸されるガラス母材Gの異常部の位置に基づいて目標外径値を変更することにより、ガラス母材Gから形成される延伸体G1の異常部により延伸母材G2が所定の長さよりも短くなったり延伸体G1の余り部分が長くなったりすることを抑制できる。
【0082】
また、延伸体G1の有効部から、第一の長さL1を有する第一の延伸母材G21と第二の長さL2を有する第二の延伸母材G22が得られるように目標外径値を変更することにより、延伸体G1から所望の長さの第一の延伸母材G21と第二の延伸母材G22を得ることができ、また、延伸体G1の余り部分の発生を抑制できる。
【0083】
なお、延伸前のガラス母材Gの異常部に基づいて異常部の前に延伸体G1の外径が変化するように目標外径値を変更する場合には、ガラス母材Gの異常部の位置に応じて、異常部よりも前の部分の延伸体G1を形成している途中に変更されてもよく、さらに必要に応じて、異常部の後に目標外径値を第二外径目標値から第一外径目標値に変更してもよい。
【0084】
また、延伸前のガラス母材Gの異常部よりも前の部分のガラス母材Gの体積あるいは異常部よりも後の部分のガラス母材Gの体積に応じて、複数の第二の延伸母材の候補の中から第二の延伸母材が選択されてもよい。
【0085】
上述した制御装置16は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等を含んで構成されるコンピュータを備える。マイクロプロセッサ等の演算処理部は、上述した処理の一部または全部を含むコンピュータプログラムを、ROM、RAM等の記憶部からそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のコンピュータプログラムは、それぞれ、外部のサーバ装置等からインストールすることができる。また、これら複数の装置のコンピュータプログラムは、それぞれ、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通する。
【0086】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【0087】
上記の実施形態では、第一外径測定装置14は、ヒータ112から出た直後のガラス母材Gの外径を測定している。しかしながら、例えば、第一外径測定装置14は、加熱炉11から出る直前または直後のガラス母材Gの外径を測定してもよい。あるいは、第一外径測定装置14は、ガラス母材Gから延伸された延伸体G1の外径を測定するように配置されてもよい。なお、本実施形態のように、ヒータ112から出た直後のガラス母材Gの外径測定値に基づいて上部チャック12と下部チャック13の移動速度が制御される場合には、移動速度の変化が即座に延伸体G1の外径の変化となって表れるため、遅れ時間が小さく延伸体G1の外径の制御を比較的容易に行うことができる。
【0088】
上記の実施形態では、延伸前のガラス母材Gまたは延伸中のガラス母材Gに異常部がある場合に目標外径値を変更する例について述べた。しかしながら、例えば製造上のばらつきによりガラス母材Gの形状が所定の形状よりも大きいまたは小さい場合に目標外径値が変更されてもよい。あるいは、延伸体G1の先端部分A2の体積が想定よりも大きくなった場合に目標外径値が変更されてもよい。このような場合でも同様に歩留まりの低下を抑制することができる。
【0089】
上記の実施形態では、制御装置16により目標外径値の変更処理が行われている。しかしながら、目標外径値の変更処理の少なくとも一部は、作業者により行われてもよい。例えば、ガラス母材Gの残りの部分の体積の算出、取得可能な第一の延伸母材G21の本数と第二の延伸母材G22の本数の判断、第二目標外径値候補からの第二目標外径値の選択などは作業者により行われてもよい。この場合、制御装置16は、入力装置(不図示)を介して作業者から算出結果や選択結果の入力を受け付けるように構成されうる。
【0090】
上記の実施形態では、延伸体G1から3本の延伸母材G2を得る場合について述べている。しかしながら、延伸体G1から2本の延伸母材G2が取得されてもよく、あるいは、4本以上の延伸母材G2が取得されてもよい。また、延伸体G1から取得できる第一の延伸母材G21の本数と第二の延伸母材G22の本数も適宜変更可能である。
【0091】
上記の実施形態では、ガラス母材Gの一例として、光ファイバのコア用のガラス母材を挙げている。しかしながら、ガラス母材Gは、例えば、コアとクラッドからなる光ファイバ用のガラス母材でもよい。
【符号の説明】
【0092】
1:延伸装置
11:加熱炉
111:炉心管
112:ヒータ
12:上部チャック
13:下部チャック
14:第一外径測定装置
15:第二外径測定装置
16:制御装置
A1:外径変動部
A2:先端部分
A3:外径変動が生じた部分
D1:第一の外径
D2:第二の外径
G:ガラス母材
G1:延伸体
G2:延伸母材
G21:第一の延伸母材
G22:第二の延伸母材
L1:第一の長さ
L2:第二の長さ
R1:支持ロッド
R2:支持ロッド