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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036036
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】シート部材
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/20 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
G09F13/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140735
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】520027419
【氏名又は名称】▲鶴▼巻 京彦
(71)【出願人】
【識別番号】522216400
【氏名又は名称】笹野 周作
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼巻 京彦
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA01
5C096BA01
5C096BA04
5C096BC01
5C096BC07
5C096CA02
5C096CA14
5C096CA22
5C096CB01
5C096CC05
5C096CC19
5C096CC37
5C096FA03
5C096FA08
5C096FA09
(57)【要約】
【課題】暗い環境下においてもマップを視認しやすくするための技術を提供する。
【解決手段】シート部材は、持ち運び可能であって、印刷基材と、蓄光部と、を備える。印刷基材は、シート状である。蓄光部は、蓄光材料を含み、印刷基材に積層される。印刷基材には、マップが印刷されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運び可能なシート部材であって、
シート状の印刷基材と、
蓄光材料を含み、前記印刷基材に積層された蓄光部と、
を備え、
前記印刷基材には、マップが印刷されている、シート部材。
【請求項2】
請求項1に記載のシート部材であって、
前記蓄光部は、前記印刷基材における前記マップが印刷されている領域と重なっている、シート部材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシート部材であって、
前記蓄光部は、前記マップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分である特定発光部を有する、シート部材。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のシート部材であって、
前記蓄光部は、前記蓄光部に囲まれた部分であって、前記マップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分である特定非発光部を形成する、シート部材。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のシート部材であって、
シート状の被覆部材を更に備え、
前記蓄光部は、前記印刷基材における前記マップの印刷面に積層され、
前記被覆部材は、前記印刷基材と共に前記蓄光部を挟むように、前記印刷面に貼り合わせられ、
前記印刷基材及び前記被覆部材の少なくとも一方は、光透過性を有する、シート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
テーマパークや商業施設等の施設では、当該施設のマップが印刷された印刷物が用いられる場合がある。なお、このような印刷物は周知であり、公知・公用の技術に該当するため、ここでは特に先行技術文献を開示しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような印刷物には、例えば、施設において光量を制限している区域、夜間、あるいは停電時等の暗い環境下において、マップを視認しづらいという課題があった。
【0004】
本開示の一局面は、暗い環境下においてもマップを視認しやすくするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、持ち運び可能なシート部材であって、印刷基材と、蓄光部と、を備える。印刷基材は、シート状である。蓄光部は、蓄光材料を含み、印刷基材に積層される。印刷基材には、マップが印刷されている。このような構成によれば、暗い環境下においてもマップを視認しやすくすることができる。
【0006】
本開示の一態様では、蓄光部は、印刷基材におけるマップが印刷されている領域と重なっていてもよい。このような構成によれば、暗い環境下においてもマップを一層視認しやすくすることができる。
【0007】
本開示の一態様では、蓄光部は、マップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分である特定発光部を有してもよい。このような構成によれば、暗い環境下においてもマップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を視認しやすくすることができる。
【0008】
本開示の一態様では、蓄光部は、蓄光部に囲まれた部分であって、マップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分である特定非発光部を形成してもよい。このような構成によれば、暗い環境下においてもマップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を視認しやすくすることができる。
【0009】
本開示の一態様は、シート状の被覆部材を更に備えてもよい。蓄光部は、印刷基材におけるマップの印刷面に積層されてもよい。被覆部材は、印刷基材と共に蓄光部を挟むように、印刷面に貼り合わせられてもよい。印刷基材及び被覆部材の少なくとも一方は、光透過性を有してもよい。このような構成によれば、摩擦により蓄光部が剥がれてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】シート部材を明るい環境下で見たときの平面図である。
図2】シート部材の積層構造を示すための模式的な断面図である。
図3】シート部材を暗い環境下で見たときの平面図である。
図4】蓄光部の配置の変形例を示すため平面図である。
図5】シート部材の積層構造の第1変形例を示すための模式的な断面図である。
図6】シート部材の積層構造の第2変形例を示すための模式的な断面図である。
図7】シート部材の積層構造の第3変形例を示すための模式的な断面図である。
図8】シート部材の積層構造の第4変形例を示すための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.シート部材の構成]
図1に示すシート部材1は、シート状の部材である。シート状とは、厚みが薄く広さを有する形状を指す。シート部材1は、持ち運び可能に構成されている。シート部材1は、使用者に携帯されて用いられることが想定されている。シート部材1は、柔軟性を有する。シート部材1は、折りたたみ可能に構成されている。また、シート部材1は、例えば巻物のように、丸めることが可能に構成されている。
【0012】
シート部材1には、対象施設のマップMが印刷されている。マップMは、使用者が対象施設における目的とする位置に到着するための情報を示す地図である。対象施設としては、例えば、テーマパーク、公園、遊園地、動物園、水族館、美術館、博物館、文化施設、商業施設、運動施設、宿泊施設等が挙げられる。対象施設は、屋内施設であってもよいし、屋外施設であってもよいし、それら双方を含んでもよい。図1には、マップMの一例として、屋内施設である対象施設の館内図が示されている。当該マップMでは、対象施設における各部屋への入口の位置が、三角形の図形で示されている。なお、図1では、2部屋分のみ当該三角形の図形を図示し、それ以外は省略している。図3及び図4も同様である。
【0013】
図2に示すように、シート部材1は、印刷基材2、マップ表現部3、蓄光部4、及び被覆部材5を備える。なお、図2は、シート部材1における各構成の積層順序を示すための模式的な断面図であり、図2中の各構成の形状、大きさ、位置等は正確でない。図5図8も同様である。
【0014】
印刷基材2は、シート状である。印刷基材2は、光透過性を有する。印刷基材2は、マップ表現部3に含まれる染料あるいは顔料が反射する光を透過する。印刷基材2は、蓄光部4に含まれる蓄光材料が吸収する光を透過する。蓄光材料については後述する。印刷基材2は、蓄光部4に含まれる蓄光材料が放つ光を透過する。例えば、印刷基材2は、蓄光部4に含まれる蓄光材料が放つ光を、印刷基材2を通して視認することができる程度の透過率を有する。
【0015】
本実施形態の印刷基材2は、透明又は半透明の樹脂製のフィルムである。透明又は半透明の樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、アクリル、セロファン、ポリスチレン等が挙げられる。なお、印刷基材2の材料は、特に限定されない。例えば、印刷基材2は、透明又は半透明のガラスや紙等により構成されてもよい。
【0016】
印刷基材2は、シート部材1のおもて面11を構成する。シート部材1のおもて面11とは、使用者がマップMを正面視するときに使用者に面する面である。印刷基材2には、前述したマップMが印刷されている。本実施形態では、印刷基材2の両面のうち、シート部材1のおもて面11を構成する面と反対側の面に、マップMが印刷されている。すなわち、印刷基材2におけるシート部材1のおもて面11を構成する面と反対側の面が、マップMの印刷面21に該当する。
【0017】
マップ表現部3は、マップMを表現する。マップ表現部3は、印刷により印刷基材2に載せられた顔料及び染料の少なくとも一方を含む着色部の1種である。例えば、シート部材1は、マップ表現部3以外の着色部を備えてもよい。マップ表現部3以外の着色部には、例えば、マップM外の余白部分の色彩を表現する着色部が挙げられる。
【0018】
蓄光部4は、蓄光材料と、保持材料と、を含む。蓄光材料は、可視光や紫外光などの光や電磁波を蓄え、発光する性質を有する材料である。蓄光材料としては、例えば、アルミン酸ストロンチウムを主体とし、セリウム、ユーロピウム、ネオジム、ディスプロシウムといった発光状態等を変化させるための物質が添加された材料が挙げられる。保持材料は、蓄光材料を保持する材料であって、光透過性を有する材料である。保持材料としては、例えば、光沢ワニス、艶消しワニス、耐摩ワニス、静電防止ワニス、ブロッキング防止ワニス、乾性油、塗料、接着剤等が挙げられる。
【0019】
蓄光部4は、印刷基材2に積層されている。具体的には、蓄光部4は、印刷基材2におけるマップMの印刷面21に積層されている。また、蓄光部4は、マップ表現部3と重なっている。これらの積層順序は、印刷基材2の印刷面21に近い側から、マップ表現部3、蓄光部4の順である。なお、図2では、蓄光部4は、マップ表現部3と接触し、印刷基材2の印刷面21との間には隙間を空けているが、実際には、蓄光部4は、マップ表現部3及び印刷基材2の印刷面21の双方に密着している。
【0020】
図3に示すように、蓄光部4は、印刷基材2におけるマップMが印刷されている領域と重なっている。蓄光部4は、少なくとも、マップMにおける使用者が移動可能な領域である移動可能領域Aを、暗い環境下において使用者に認識させることが可能に構成されている。本実施形態では、蓄光部4は、更に、マップM上の非常口の位置及び非常口までの避難経路を、暗い環境下において使用者に認識させることが可能に構成されている。マップM上の非常口の位置は、マップM上の特定の位置の一例に相当する。マップM上の避難経路は、マップM上の特定の経路の一例に相当する。マップM上の非常口の位置及び避難経路は、マップ表現部3によっては表現されていない。
【0021】
具体的には、蓄光部4は、マップMにおける移動可能領域A及びこれを区画する区画壁Bの双方と重なるように形成されている。ただし、移動可能領域Aにおける避難経路を示すための部分(図3における破線部分)については、蓄光部4が形成される領域から除外されている。すなわち、蓄光部4は、蓄光部4に囲まれた部分であって、マップM上の避難経路を示すための部分である特定非発光部41を形成する。特定非発光部41は、暗い環境下において、蓄光部4の発光により明るくなっている領域における、部分的に暗い領域として視認される。
【0022】
また、蓄光部4は、マップM上の非常口の位置を示すための部分である特定発光部42を有する。特定発光部42は、移動可能領域Aと重ならない位置に形成されている。特定発光部42は、例えば、非常口のピクトグラムを示す形状である。特定発光部42は、例えば、「非常口」の文字を示す形状であってもよい。
【0023】
なお、図3では、蓄光部4の領域がマップMにおける最も外側の区画壁Bよりも外側まで広がっているが、蓄光部4は、当該最も外側の区画壁Bからはみ出さないように形成されてもよい。
【0024】
図2に戻り、被覆部材5は、シート状である。被覆部材5は、白色である。被覆部材5は、光透過性を有してもよいし有さなくてもよい。
【0025】
本実施形態の被覆部材5は、白色の樹脂製のフィルムである。白色の樹脂製のフィルムとしては、例えば、乳白フィルム、パールフィルム、石灰フィルム等が挙げられる。乳白フィルムとは、乳白色のフィルムである。パールフィルムとは、パール顔料を含むフィルム、又はフィルムを発泡させることでパールの風合いを表現したフィルムである。パール顔料とは、フィルムに真珠のような光沢を現すための顔料である。パール顔料としては、例えば、雲母の粒子に二酸化チタンをコーティングしたものが挙げられる。石灰フィルムとは、石灰石を主原料とするフィルムである。石灰フィルムには、炭酸カルシウム等の無機物と、樹脂と、が含まれる。なお、被覆部材5の材料は、特に限定されない。例えば、被覆部材5は、白色の紙等により構成されてもよい。
【0026】
被覆部材5は、印刷基材2と共にマップ表現部3及び蓄光部4を挟むように、印刷基材2の印刷面21に貼り合わせられている。図2では、被覆部材5は、外周部において印刷基材2との間に隙間を空けているが、実際には、被覆部材5の外周部は、印刷基材2に密着している。被覆部材5は、シート部材1のうら面12を構成する。シート部材1のうら面12とは、シート部材1のおもて面11と反対側の面である。
【0027】
[2.シート部材の製造方法]
シート部材1の製造方法は、マップ印刷工程、蓄光部積層工程、及び貼り合わせ工程を備える。
【0028】
マップ印刷工程は、印刷基材2にマップMを印刷する工程である。この印刷により、マップ表現部3が形成される。マップMの印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、シルクスクリーン印刷、パッド印刷等が挙げられる。
【0029】
蓄光部積層工程は、マップMが印刷された印刷基材2に蓄光部4を積層する工程である。本実施形態では、蓄光部4は、印刷基材2におけるマップMの印刷面21に積層される。また、本実施形態では、蓄光部4は、印刷により印刷基材2に積層される。その際の印刷方法には、例えば、マップ印刷工程で例示した方法を用いることができる。
【0030】
貼り合わせ工程は、蓄光部4が積層された印刷基材2の印刷面21に、被覆部材5を貼り合わせる工程である。これにより、シート部材1が得られる。
【0031】
[3.作用]
図1に示すように、シート部材1では、明るい環境下において蓄光部4はほとんど視認されず、マップMを視認する妨げにならない。蓄光部4に含まれる蓄光材料は種類によって僅かに白色であるものの、シート部材1では、蓄光部4に白色の被覆部材5が重ねられている。このため、被覆部材5が白色でない構成や被覆部材5自体が設けられない構成と比較して、シート部材1は、明るい環境下において、蓄光部4がより視認されにくい。
【0032】
図3に示すように、シート部材1は、明るい環境から暗い環境へ移行した場合に、蓄光部4(より詳細には蓄光部4に含まれる蓄光材料)が発光する。蓄光部4は、印刷基材2におけるマップMが印刷される領域と重なっているため、蓄光部4の発光によってマップMが視認されやすい。
【0033】
また、特定発光部42及び特定非発光部41により、非常口の位置及び避難経路が認識されやすい。本実施形態では、非常口の位置及び避難経路がマップ表現部3によっては表現されておらず、対象施設の各部屋への入口の位置を示す図形と、避難経路を示す破線とが重なっている。このように、マップMの他の記載と避難経路を示す破線とが重なっている場合でも、蓄光部4の発光によりマップMのコントラストが抑えられるため、避難経路が認識されやすい。
【0034】
さらに、蓄光部4は、マップ表現部3よりもシート部材1のうら面12側に位置している。つまり、マップ表現部3は、蓄光部4の発光により、後方から照らされる。このため、シート部材1は、マップ表現部3よりもシート部材1のおもて面11側に蓄光部4が位置している構成と比較して、暗い環境下においてもマップMの色味が見分けやすい。
【0035】
[4.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(4a)シート部材1は、印刷基材2と蓄光部4とを備える。印刷基材2には、マップMが印刷されている。このような構成によれば、蓄光部4が発光することにより、暗い環境下においてもマップMを視認しやすくすることができる。また、蓄光部4が発光することにより、暗い環境下において、シート部材1を所持している人(つまりシート部材1の使用者)を周囲から認識しやすることができる。つまり、暗闇に人がいることを周囲の人が認識しやすくすることができる。
【0036】
(4b)蓄光部4は、印刷基材2におけるマップMが印刷されている領域と重なっていている。このような構成によれば、暗い環境下において、蓄光部4が発光することにより、マップMの少なくとも一部を明るくすることができる。このため、シート部材1は、印刷基材2におけるマップMが印刷されている領域と蓄光部4とが重なっていない構成と比較して、暗い環境下においてもマップMを一層視認しやすくすることができる。
【0037】
(4c)特に本実施形態では、蓄光部4は、マップMにおける移動可能領域Aと重なっている。このような構成によれば、暗い環境下において、蓄光部4が発光することにより、マップMにおける移動可能領域Aを明るくすることができる。このため、例えば、マップMにおいて文字等により移動可能領域A内に情報が示されている場合に、暗い環境下においても当該情報を視認しやすくすることができる。
【0038】
(4d)蓄光部4は、マップM上の非常口の位置を示すための特定発光部42を有する。このような構成によれば、暗い環境下においても非常口の位置を認識しやすくすることができる。このため、例えば夜間や停電時など暗い環境下で避難する必要が生じた場合に、非常口まで早く到着しやすくすることができる。
【0039】
(4e)蓄光部4は、避難経路を示すための特定非発光部41を形成する。このような構成によれば、暗い環境下においても避難経路を認識しやすくすることができる。このため、上記(4d)でも述べたように例えば暗い環境下で避難する必要が生じた場合に、避難経路を辿って非常口まで早く到着しやすくすることができる。
【0040】
(4f)蓄光部4は、マップ表現部3よりもシート部材1のうら面12側に位置している。このような構成によれば、蓄光部4が発光した場合に、マップ表現部3は後方から照らされる。このため、シート部材1は、マップ表現部3よりもシート部材1のおもて面11側に蓄光部4が位置している構成と比較して、暗い環境下においてもマップMの色味を見分けやすくすることができる。
【0041】
(4g)シート部材1は、被覆部材5を備える。被覆部材5は、印刷基材2と共にマップ表現部3及び蓄光部4を挟んでいる。
【0042】
蓄光部4は、例えば爪でこすられる等、摩擦が加えられると、印刷基材2から剥がれてしまう場合がある。しかし、上記のような構成によれば、印刷基材2及び被覆部材5により蓄光部4が挟まれているため、蓄光部4に摩擦が加えられることを抑制することができる。つまり、摩擦により蓄光部4が剥がれてしまうことを抑制することができる。
【0043】
また、上記のような構成によれば、マップ表現部3が印刷基材2及び被覆部材5に挟まれているため、マップMの劣化を抑制することも可能である。シート部材1は、長期保管に適する。
【0044】
(4h)特に本実施形態では、印刷基材2及び被覆部材5がいずれも樹脂製である。このため、例えばシート部材1に水がかかった場合に、マップMがにじんでしまうことを抑制することができる。これは、例えば、対象施設が屋外施設であり、降雨や降雪時にもシート部材1が用いられることが想定されている場合に、特に有用である。また、印刷基材2及び被覆部材5を構成する樹脂の種類を適宜選択することにより、シート部材1をマテリアルリサイクル可能に構成することもできる。
【0045】
なお、例えば、印刷基材2及び被覆部材5の双方を紙により構成することによっても、シート部材1をマテリアルリサイクル可能に構成することはできる。
【0046】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0047】
(5a)上記実施形態では、暗い環境下においてマップMにおける移動可能領域Aを使用者に認識させやすくするために、蓄光部4は、移動可能領域A及び区画壁Bと重なるように形成されている。しかし、蓄光部4は、必ずしも移動可能領域A及び区画壁Bと重なるように形成されなくてもよい。
【0048】
例えば、図4に示すように、蓄光部4は、区画壁Bと重なり、移動可能領域Aとは重ならないように形成されてもよい。図示の都合上、図4では蓄光部4が区画壁Bの範囲からはみ出しているが、実際には、図4に示す例では、蓄光部4が区画壁Bの範囲に収まるように形成されている。この場合、暗い環境下において、移動可能領域Aは、蓄光部4の発光により明るくなっている領域により区画された、暗い領域として視認される。また、このような構成において、暗い環境下においても避難経路を使用者に認識させやすくために、避難経路を示すための特定発光部42aが形成されてもよい。
【0049】
また例えば、蓄光部4は、移動可能領域Aと重なり、区画壁Bとは重ならないように形成されてもよい。この場合、暗い環境下において、移動可能領域Aは、暗い領域により区画された、蓄光部4の発光により明るくなっている領域として視認される。
【0050】
(5b)上記実施形態では、蓄光部4は、印刷基材2におけるマップMが印刷されている領域と重なるように形成されている。しかし、蓄光部4は、例えば、マップM外の余白部分にも重なるように形成されてもよい。例えば、蓄光部4は、印刷基材2の全面に形成されてもよい。
【0051】
(5c)上記実施形態では、特定発光部42は、マップM上の非常口の位置を示すための部分である。また、特定非発光部41は、マップM上の避難経路を示すための部分である。しかし、特定発光部42及び特定非発光部41が示す対象は、非常口の位置及び避難経路に限定されない。特定発光部42及び特定非発光部41は、マップM上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分であってもよい。例えば、対象施設において宝探しのイベントが行われる場合、シート部材1には、宝の位置を示すための特定発光部42が形成されてもよい。この場合、シート部材1を用いるイベント参加者に、暗い環境下においてのみ宝の位置を視認させることも可能である。
【0052】
(5d)上記実施形態では、蓄光部4は、マップ表現部3よりもシート部材1のうら面12側に設けられている。しかし、図5に示すように、蓄光部4がマップ表現部3よりもシート部材1のおもて面11側に設けられてもよい。
【0053】
また例えば、マップ表現部3及び蓄光部4は、上記実施形態や図5に示す例のように互いに重なっていなくてもよい。例えば、マップ表現部3及び蓄光部4は、互いに重ならず横並びに形成されてもよい。
【0054】
蓄光部4におけるシート部材1のおもて面11側がマップ表現部3により覆われていない場合、明るい環境下においてマップ表現部3により光が遮られず、蓄光部4がより多くの光を蓄えることができる。このため、暗い環境下における蓄光部4の発光度合いを強くすることができる。
【0055】
(5e)上記実施形態では、マップ表現部3及び蓄光部4は、印刷基材2及び被覆部材5により挟まれている。しかし、マップ表現部3及び蓄光部4は、必ずしも印刷基材2と被覆部材5との間に形成されなくてもよい。
【0056】
例えば、マップ表現部3及び蓄光部4の一方が、印刷基材2と被覆部材5との間に形成され、他方が、印刷基材2における被覆部材5側と反対側の面(つまりシート部材1のおもて面11)又は被覆部材5における印刷基材2側と反対側の面(つまりシート部材1のうら面11)に形成されてもよい。例えば、マップ表現部3が印刷基材2及び被覆部材5により挟まれているシート部材1に対して、おもて面11及びうら面12の少なくとも一方に蓄光部4を積層することにより、シート部材1に事後的に蓄光機能を付与することも可能である。
【0057】
(5f)また例えば、図6に示すように、シート部材1のおもて面11及びうら面12の少なくとも一方(図6に示す例ではおもて面11)に、更にマップ表現部3及び蓄光部4が形成されてもよい。例えば、イベントごとにマップMとして表示したい情報が異なる場合に、各イベント共通の情報を示すマップ表現部3及び蓄光部4が形成されたシート部材1を準備し、当該シート部材1のおもて面11及びうら面12の少なくとも一方に、イベントごとに異なる表示に係るマップ表現部3及び蓄光部4を事後的に形成することにより、元となるシート部材1の共通化を図ることが可能である。
【0058】
(5g)上記実施形態では、シート部材1は、被覆部材5を備えるが、必ずしも被覆部材5を備えなくてもよい。この場合、図7及び図8に示すように、印刷基材2の両面が、シート部材1のおもて面11及びうら面12をそれぞれ構成する。マップ表現部3及び蓄光部4は、図7に示すようにシート部材1のおもて面11に形成されてもよいし、図8に示すようにシート部材1のうら面12に形成されてもよいし、シート部材1のおもて面11及びうら面12の双方に形成されてもよい。マップ表現部3及び蓄光部4がシート部材1のうら面12に形成される場合、印刷基材2は光透過性を有する。マップ表現部3及び蓄光部4がシート部材1のおもて面11のみに形成される場合には、印刷基材2は光透過性を有してもよいし有さなくてもよい。
【0059】
(5h)上記実施形態では、被覆部材5は、白色であるが、必ずしも白色でなくてもよい。例えば、被覆部材5は、透明な樹脂製のフィルムであってもよい。また例えば、被覆部材5は、アルミニウム等の金属が蒸着された樹脂製のフィルム(いわゆる金属蒸着フィルム)であってもよい。
【0060】
(5i)シート部材1のおもて面11に、例えば、つや消し塗装、つや消し加工、エンボス加工、梨地加工等が施されてもよい。つや消し塗装には、例えばニスを用いることができる。シート部材1のおもて面11にこのような塗装や加工が行われることにより、ペンや鉛筆等を用いて使用者がシート部材1のおもて面11に文字等を書き込むことを可能にすることができる。暗い環境下においても、蓄光部4が発光することによりシート部材1の少なくとも一部が明るくなるため、使用者は書き込みを行うことができる。
【0061】
(5j)上記実施形態では、蓄光部4は印刷により印刷基材2に積層されるが、蓄光部4の積層方法は特に限定されない。例えば、蓄光部4は、蓄光材料が分布されたシート状の部材であってもよい。つまり、蓄光材料が分布されたシート状の部材が印刷基材2に貼り合わされることにより、蓄光部4が形成されてもよい。また例えば、上記実施形態のように印刷基材2の全面ではなく一部に蓄光部4が形成される場合、印刷基材2にマスキングを行って蓄光材料が吹き付けられることにより、蓄光部4が形成されてもよい。また例えば、蓄光材料を含む塗装剤が印刷基材2にローラ等で塗り広げられることにより、蓄光部4が形成されてもよい。また例えば、人が筆やペン状の道具を用いて蓄光部4を形成してもよい。
【0062】
(5k)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0063】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
持ち運び可能なシート部材であって、
シート状の印刷基材と、
蓄光材料を含み、前記印刷基材に積層された蓄光部と、
を備え、
前記印刷基材には、マップが印刷されている、シート部材。
【0064】
[項目2]
項目1に記載のシート部材であって、
前記蓄光部は、前記印刷基材における前記マップが印刷されている領域と重なっている、シート部材。
【0065】
[項目3]
項目1又は項目2に記載のシート部材であって、
前記蓄光部は、前記マップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分である特定発光部を有する、シート部材。
【0066】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載のシート部材であって、
前記蓄光部は、前記蓄光部に囲まれた部分であって、前記マップ上の特定の位置及び経路の少なくとも一方を示すための部分である特定非発光部を形成する、シート部材。
【0067】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載のシート部材であって、
シート状の被覆部材を更に備え、
前記蓄光部は、前記印刷基材における前記マップの印刷面に積層され、
前記被覆部材は、前記印刷基材と共に前記蓄光部を挟むように、前記印刷面に貼り合わせられ、
前記印刷基材及び前記被覆部材の少なくとも一方は、光透過性を有する、シート部材。
【符号の説明】
【0068】
1…シート部材、2…印刷基材、21…印刷面、3…マップ表現部、4…蓄光部、41…特定非発光部、42…特定発光部、5…被覆部材、M…マップ。
図1
図2
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図8