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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036037
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電池および電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/564 20210101AFI20240308BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20240308BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240308BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240308BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240308BHJP
【FI】
H01M50/564
H01M50/176
H01M50/55 101
H01M50/533
H01M50/557
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140737
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正也
(72)【発明者】
【氏名】小久保 彰格
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄也
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晃一
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H011JJ03
5H043AA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043EA02
5H043EA06
5H043HA08D
5H043HA16D
5H043HA18D
5H043JA09D
5H043LA01D
(57)【要約】
【課題】部材同士の境目の位置が適切に接合された電池、およびその電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本開示技術に係る電池1は、外装体2の内部の発電要素3に接続された集電部材9と、外装体2の外部に配置されたリベット20とを有する。集電部材9が、外装体2の蓋体5に沿って配置されている板状部91を有しており、リベット20が、蓋体5を貫通する貫通部13と、板状部91の第1面911と接触している接触部15と、を有しており、接触部15の縁辺部16の一部が、第1面911と接合されている。縁辺部16のうち接合されていない部位における第1面911側のエッジ部161に、貫通部13に近い位置ほど第1面911との隙間が小さいテーパ面が設けられており、テーパ面の最大寸法が、縁辺部16から貫通部13へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、縁辺部16の厚み方向に対して0.03mm以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体と、前記外装体の内部に収納された発電要素と、前記発電要素に接続された第1集電部材と、前記外装体の外部に配置された第2集電部材とを有する電池であって、
前記第1集電部材と前記第2集電部材とのうち一方が、第1面およびその裏の第2面を有し前記第2面を前記外装体に向けつつ前記外装体に沿って配置されている板状部を有しており、
前記第1集電部材と前記第2集電部材とのうちもう一方が、
前記外装体を貫通する貫通部と、
前記貫通部に連続して設けられ前記第1面と接触している接触部とを有しており、
前記接触部における前記貫通部から離れた縁辺部の一部が、前記第1面と接合されており、
前記縁辺部のうち接合されていない部位における前記第1面側のエッジ部に、前記貫通部に近い位置ほど前記第1面との隙間が小さいテーパ面が設けられており、
前記テーパ面の最大寸法が、
前記縁辺部から前記貫通部へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、
前記縁辺部の厚み方向に対して0.03mm以上である電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記テーパ面の最大寸法が、
前記縁辺部から前記貫通部へ向かう方向に対して0.4mm以下であり、
前記縁辺部の厚み方向に対して0.1mm以下である電池。
【請求項3】
外装体と、前記外装体の内部に収納された発電要素と、前記発電要素に接続された第1集電部材と、前記外装体の外部に配置された第2集電部材とを有する電池を製造する電池の製造方法であって、
前記第1集電部材と前記第2集電部材とのうち一方が、第1面およびその裏の第2面を有する板状部を有しており、
前記第1集電部材と前記第2集電部材とのうちもう一方として、
前記外装体を貫通するように配置される貫通部と、
前記貫通部に連続して設けられるとともに後にカシメ加工を受けるカシメ部とを有するとともに、
前記カシメ部の先端における一面側のエッジ部に、前記貫通部に近い位置ほど凹み量が小さいテーパ面が設けられており、
前記テーパ面の最大寸法が、
前記カシメ部の先端から前記貫通部へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、 前記カシメ部の厚み方向に対して0.03mm以上であるものを用い、
前記第1集電部材と前記第2集電部材とのうち前記板状部を有するものを、前記第2面が前記外装体を向きつつ前記板状部が前記外装体に沿うように配置し、
その状態で、前記第1集電部材と前記第2集電部材とのうち前記貫通部を有するものを、前記貫通部が前記外装体を貫通し、前記カシメ部が前記第1面のレベルを越えて突出して位置するように配置し、
前記カシメ部を、前記テーパ面が設けられている側の面が前記第1面に向き合うようにカシメ加工して、前記第1面と接触する接触部を形成し、
前記接触部および前記第1面のうち前記接触部に覆われていない部分に光を照射して、前記接触部の先端部分を含む画像を取得し、
前記画像から把握される前記接触部の先端の位置に対して、前記接触部と前記第1面とを接合する処理を施す電池の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電池の製造方法であって、
前記貫通部の少なくとも一部が柱状部であり、
前記カシメ部は前記柱状部に繋がる管状部であり、
前記テーパ面は前記管状部の先端の外側のエッジ部に形成されており、
前記カシメ加工は、前記管状部のうちその先端を含む部分を径方向に押し広げることにより、前記管状部の外面を前記第1面と接触させる加工である電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、電池および電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外装体の内部に収容される発電要素に接続された集電部材と、外装体の外部に配置される外部端子とが、リベット状の部材を用いて接続された電池が知られている。例えば特許文献1では、内部端子の突出部が外部端子の貫通孔に挿入されてかしめられた電池が開示されている。この文献では、かしめる前の状態において、突出部の先端が中空の筒状であって、途中まで切り込みが形成された内部端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-054109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の技術には、次のような問題点があった。部材同士を接合することで接続状態を確実なものとする場合、接合対象である部材と部材との境目の位置を正確に特定する必要がある。例えば、接合対象位置の周囲を撮影し、その撮影画像に基づいて、接合の対象箇所を特定することが考えられる。しかしながら、接合前の各部材の形状によっては、撮影画像に部材の境目が明確に現れるとは限らない。接合された箇所が部材の境目からずれている場合、接続状態が不安定な電池となる可能性がある。
【0005】
本開示技術は、前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、部材同士の境目の位置が適切に接合された電池を提供することにある。また、その電池の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術の一態様における電池は、外装体と、外装体の内部に収納された発電要素と、発電要素に接続された第1集電部材と、外装体の外部に配置された第2集電部材とを有する電池であって、第1集電部材と第2集電部材とのうち一方が、第1面およびその裏の第2面を有し第2面を外装体に向けつつ外装体に沿って配置されている板状部を有しており、第1集電部材と第2集電部材とのうちもう一方が、外装体を貫通する貫通部と、貫通部に連続して設けられ第1面と接触している接触部とを有しており、接触部における貫通部から離れた縁辺部の一部が、第1面と接合されており、縁辺部のうち接合されていない部位における第1面側のエッジ部に、貫通部に近い位置ほど第1面との隙間が小さいテーパ面が設けられており、テーパ面の最大寸法が、縁辺部から貫通部へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、縁辺部の厚み方向に対して0.03mm以上である。
【0007】
上記態様における電池では、第1集電部材と第2集電部材との一方の第1面ともう一方の接触部とが接触して接合されているので、確実に導通している。一方、接合されていない部位では、接触部の縁辺部のエッジ部にテーパ面が設けられているため、縁辺部と第1面との間に隙間が有り、縁辺部と第1面との境目の周辺を撮影した場合、この隙間の画像から境目の位置を容易に把握できる。接合箇所にも、接合前には同様のテーパ面が設けられていたとすれば、縁辺部と第1面との境目の位置を容易に把握でき、適切な位置が接合されている可能性が高い。従って、第1集電部材と第2集電部材とが適切に接合された電池となっている。
【0008】
上記態様に係る電池ではさらに、テーパ面の最大寸法が、縁辺部から貫通部へ向かう方向に対して0.4mm以下であり、縁辺部の厚み方向に対して0.1mm以下であることが望ましい。テーパ面の最大寸法が大きすぎると、接合面積が小さくなったり接合が不安定となったりしがちである。テーパ面の最大寸法が適切な大きさ以下であることで、より確実に接合された電池とすることができる。
【0009】
上記いずれかの態様に係る電池ではまた、第1集電部材と第2集電部材とが同一の種類の導電材で構成されていることが望ましい。同一の種類の導電材であれば、第1集電部材と第2集電部材とを、溶接によって適切に接合できる。
【0010】
本開示技術の一態様における電池の製造方法は、外装体と、外装体の内部に収納された発電要素と、発電要素に接続された第1集電部材と、外装体の外部に配置された第2集電部材とを有する電池を製造する電池の製造方法であって、第1集電部材と第2集電部材とのうち一方が、第1面およびその裏の第2面を有する板状部を有しており、第1集電部材と第2集電部材とのうちもう一方として、外装体を貫通するように配置される貫通部と、貫通部に連続して設けられるとともに後にカシメ加工を受けるカシメ部とを有するとともに、カシメ部の先端における一面側のエッジ部に、貫通部に近い位置ほど凹み量が小さいテーパ面が設けられており、テーパ面の最大寸法が、カシメ部の先端から貫通部へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、カシメ部の厚み方向に対して0.03mm以上であるものを用い、第1集電部材と第2集電部材とのうち板状部を有するものを、第2面が外装体を向きつつ板状部が外装体に沿うように配置し、その状態で、第1集電部材と第2集電部材とのうち貫通部を有するものを、貫通部が外装体を貫通し、カシメ部が第1面のレベルを越えて突出して位置するように配置し、カシメ部を、テーパ面が設けられている側の面が第1面に向き合うようにカシメ加工して、第1面と接触する接触部を形成し、接触部および第1面のうち接触部に覆われていない部分に光を照射して、接触部の先端部分を含む画像を取得し、画像から把握される接触部の先端の位置に対して、接触部と第1面とを接合する処理を施す製造方法である。
【0011】
上記態様における電池の製造方法では、第1集電部材と第2集電部材との一方に板状部が有り、もう一方にカシメ部が有る。そのカシメ部の先端にはあらかじめテーパ面が設けられており、カシメ加工によってテーパ面が板状部の第1面に向き合うので、板状部とカシメ後の接触部の先端との間に隙間の有る箇所ができる可能性が高い。この状態で、接触部および第1面のうち接触部に覆われていない部分に光を照射して画像を取得するので、その隙間による影画像に基づいて、接触部の先端の位置を容易に把握でき、接触部と第1面とを適切に接合できる可能性が高い。
【0012】
上記態様に係る電池の製造方法ではさらに、貫通部の少なくとも一部が柱状部であり、カシメ部は柱状部に繋がる管状部であり、テーパ面は管状部の先端の外側のエッジ部に形成されており、カシメ加工は、管状部のうちその先端を含む部分を径方向に押し広げることにより、管状部の外面を第1面と接触させる加工であることが望ましい。この方法によれば、テーパ面を含むカシメ部を第1面に接触させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示技術によれば、部材同士の境目の位置が適切に接合された電池、およびその電池の製造方法が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態に係る電池の構成を示す斜視図である。
図2図1の電池を一部切開して内部の様子を示す正面図である。
図3図1の電池における外部端子の箇所の構造を示す断面図である。
図4図1の電池における縁辺部の形状を示す断面図である。
図5】電池の製造方法に係る手順を示す工程図である。
図6】リベットのカシメ加工を行う直前の段階での状況を示す断面図である。
図7】リベットのカシメ部の先端形状を示す断面図である。
図8】カシメ加工におけるポンチとカシメ部との配置を示す説明図である。
図9】カシメ加工におけるポンチとカシメ部との配置を示す説明図である。
図10】画像を取得して接合する工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、図1に示す電池1として本開示技術を具体化したものである。図1の電池1は、外装体2に発電要素3を内蔵してなるものである。発電要素3は、正負の電極板を積層したものである。
【0016】
外装体2は、箱体4と蓋体5とにより構成されている。発電要素3は箱体4に収納されている。蓋体5には、外部端子6、7と、封口キャップ8とが設けられている。外部端子6、7はそれぞれ、発電要素3の正負両極性の電極板の一方と外装体2内で接続されているものである。封口キャップ8は、蓋体5に設けられている注液口を塞いでいるキャップである。外部プレート21は、外部端子6と一体に繋がっている平板状の部材である。外部プレート21は、リベット20により蓋体5に取り付けられている。詳細は後述するが、外部端子6は、外部プレート21を介してリベット20に電気的に接続されている。
【0017】
電池1の内部には図2に示すように、集電部材9、集電部材11が設けられている。集電部材9は発電要素3の負極板10と接続されており、集電部材11は正極板12と接続されている。集電部材9は外部端子6と負極板10とを導通させる部材であり、集電部材11は外部端子7と正極板12とを導通させる部材である。
【0018】
電池1における本開示技術としての特徴的部位は、集電部材9と外部端子6との接続構造であり、より具体的には、集電部材9とリベット20との接合構造にある。図3に、リベット20の箇所の断面構造を示す。図3中のリベット20は、貫通部13と、鍔部14と、接触部15と、縁辺部16とを有している。図3中にはこの他、集電部材9と、蓋体5と、外部プレート21と、絶縁部材17と、絶縁部材18と、のいずれも一部が見えている。この図の例では、集電部材9が第1集電部材の一例であり、リベット20またはリベット20と外部プレート21との組が第2集電部材の一例である。
【0019】
蓋体5には、リベット20を取り付けるための孔19が形成されている。集電部材9、絶縁部材17、絶縁部材18、外部プレート21にも、孔19と対応する位置に孔が形成されている。蓋体5、集電部材9、絶縁部材17、絶縁部材18、外部プレート21のいずれも、図3中の左の部分と右の部分とは実際には繋がっている。図3において、蓋体5より上側が電池1における外装体2の外側に相当し、蓋体5より下側が外装体2の内側に相当する。
【0020】
集電部材9は、蓋体5に沿って配置される板状部91を有し、図3では板状部91が見えている。板状部91のうち、リベット20の接触部15と接触している面、すなわち、図3中で下方の面は、第1面911である。板状部91のうち、蓋体5に向けられている面、すなわち、図3中で上方の面は、第1面911の裏の第2面912である。
【0021】
リベット20における貫通部13は、蓋体5の孔19の中に位置し蓋体5を貫通する部位である。鍔部14は、貫通部13の一方の端部に設けられ、貫通部13より大径であり、蓋体5の外面側に位置する部位である。接触部15は、貫通部13の他方の端部に貫通部13に連続して設けられ、貫通部13より大径であり、蓋体5の内面側に位置する部位である。鍔部14および接触部15は孔19よりも大径である。
【0022】
図3に示される箇所では、外部プレート21、蓋体5および集電部材9の板状部91が、リベット20の接触部15と鍔部14との間に挟み付けられている。これにより、リベット20は蓋体5における孔19の位置に固定されている。鍔部14は、外部プレート21に密着している。つまり、外部端子6と集電部材9とは、接触部15と板状部91との密着および鍔部14と外部プレート21との密着により導通している。集電部材9は前述のように負極板10と接続されており、外部端子6と負極板10とは、リベット20を介して導通している。
【0023】
ただし接触部15と鍔部14との間には、外部プレート21、蓋体5および集電部材9ばかりでなく絶縁部材17、絶縁部材18も挟み込まれている。絶縁部材17は、集電部材9を蓋体5から絶縁するための部材である。絶縁部材18は、外部プレート21を蓋体5から絶縁するための部材である。このため、蓋体5は、外部プレート21および集電部材9から絶縁されている。
【0024】
次に、リベット20の接触部15と集電部材9の板状部91との接触箇所について説明する。接触部15は、後述するように、カシメによって拡径された円環状の部位であり、その外周縁辺が縁辺部16となっている。縁辺部16は、接触部15のうち、貫通部13から離れた先端側の円環状の部分である。そして、縁辺部16の一部は、板状部91の第1面911と接合され、接合部61となっている。図3では、図中左側に接合部61を、図中右側に接合されていない部位である非接合部62を示している。つまり、縁辺部16は、接合部61と非接合部62とを含む。なお、集電部材9とリベット20とは、同一種類の導電材で構成されており、接合部61によって強固に接合されている。
【0025】
縁辺部16の非接合部62には、図4に示すように、テーパ面が存在する箇所が含まれる。図4は、図3中の非接合部62を拡大して示す図である。図4に示す箇所では、縁辺部16の先端のエッジ部161に、貫通部13に近い位置ほど第1面911との隙間が小さいテーパ面が設けられている。このテーパ面の箇所では、エッジ部161は、板状部91の第1面911に接触していない。つまり、本形態の電池1では、リベット20の接触部15の縁辺部16のうち、非接合部62の少なくとも一部はエッジ部161となっており、集電部材9の板状部91から離間している。
【0026】
エッジ部161のテーパ面の最大寸法は、図4に示すように、縁辺部16から貫通部13へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、縁辺部16の厚み方向に対して0.03mm以上である。なお、後述するように、リベット20の接触部15は、カシメ加工によって図3に示した形状になる。そして、カシメ加工の後であって、接合加工の前には、接合後に接合部61となる箇所にも、テーパ面を備えるエッジ部161が含まれる。例えば、縁辺部16の全周にテーパ面を備えるエッジ部161が存在しても良い。テーパ面が設けられているエッジ部161に対して接触部15側から光を照射した場合、縁辺部16の周囲に影が生じる可能性が高い。
【0027】
なお、後述するように、カシメ前のリベットの先端部にはあらかじめテーパ面が設けられている。しかし、リベット20の縁辺部16は、カシメにより元の形状から変形している可能性があり、電池1のリベット20では、非接合部62であっても、カシメ前のリベットのテーパ面の形状が正確に維持されているとは限らない。つまり、テーパ面の最大寸法とは、全周の縁辺部16のうち、テーパ面が最大となっている箇所の寸法を意味している。
【0028】
さらに、エッジ部161のテーパ面の最大寸法は、縁辺部16から貫通部13へ向かう方向に対して0.4mm以下であり、縁辺部16の厚み方向に対して0.1mm以下であることが望ましい。エッジ部161のテーパ面が大きすぎると、接触部15と板状部91との接触面積が小さくなりがちであり、導電性に影響がある可能性がある。
【0029】
次に、電池1の製造方法について、図5の工程図を参照して説明する。本方法で用いる部材は、カシメ前のリベット、蓋体5、外部プレート21、集電部材9、絶縁部材17、18、である。なお、以下では、カシメ前のリベットをリベット22とする。本開示技術の製造工程では、製造者は、まず、各部材を、図6に示すように重ねる(工程1)。具体的には、製造者は、リベット22の鍔部14側から、外部プレート21、絶縁部材18、蓋体5、絶縁部材17、集電部材9をこの順に重ね、それらの孔に対してリベット22が貫通した状態とする。
【0030】
カシメ前のリベット22は、図6に示すように、カシメ部24と、貫通部25と、鍔部14とを有している。鍔部14は、貫通部25の一方の端部に設けられており、貫通部25より大径である。貫通部25は、鍔部14に近い側の中実の柱状部251と、鍔部14から遠い側であって柱状部251に繋がる管状部252とを含む。カシメ部24は、管状部252の先端側であって、貫通部25に連続して設けられ、後にカシメ加工を受ける部位である。カシメ部24は、内面241と外面242とを有する筒状である。カシメ部24の外面242の外径は、貫通部25と同径である。
【0031】
なお、図6では、実際のカシメ作業時の状況に合わせて、図3とは上下を逆にして描いている。そのため、集電部材9の板状部91は、図中上方に第1面911が、図中で下方に第2面912が、それぞれ示されている。つまり、板状部91の第2面912が蓋体5を向きつつ、板状部91が蓋体5に沿うように配置されている。
【0032】
工程1によって、カシメ部24と貫通部25とは、集電部材9を含む各部材の孔に差し込まれる。貫通部25は、蓋体5の孔19を貫通している。貫通部25は、カシメ後のリベット20の貫通部13に相当する。カシメ部24の一部は、板状部91の第1面911のレベルを越えて上方に突出している。この突出している部分は、カシメ加工によりリベット20の接触部15となる部分である。鍔部14は、カシメ後のリベット20の鍔部14に相当する。
【0033】
なお、図6には、カシメの加工ツールであるポンチ28も描かれている。ポンチ28は、円錐面状の加工面29を有している。加工時には、ポンチ28の先端をカシメ部24の先端の穴に差し込み、ポンチ28をさらに押し下げる。これにより、カシメ部24は、加工面29によって拡径方向に押し広げられる。
【0034】
カシメ前のリベット22では、カシメ部24のうち、鍔部14と反対側の端部である先端部26において、図7に示すように、内面241と外面242とにそれぞれテーパ面31、32が形成されている。図7は、図6中に破線で囲った範囲を拡大して示す図である。カシメ部24の内面241は、後のカシメ加工の際にポンチ28の加工面29に接触する面であり、カシメ部24の外面242は、カシメ加工によって板状部91に接触する面である。外面242のテーパ面32は、カシメ部24の先端における一面側のエッジ部に設けられているテーパ面の一例である。
【0035】
内面241のテーパ面31は、カシメ加工によってカシメ部24を適切に塑性変形させるためのものであり、全周にわたって円錐面状に形成されている。本形態のリベット22の内面241には、テーパ角15°~40°のテーパ面31が形成されている。テーパ面31は、先端部26の先端まで形成されていても良いし、図7に示すように、先端にはテーパ面31の形成されていない範囲が含まれていても良い。また、カシメ部24の板厚は、先端付近および根元付近を除いて一定であり、0.5~0.6mmとすることが好ましい。
【0036】
一方、外面242のテーパ面32は、図7に示すように、貫通部25に近い位置ほど凹み量が小さいテーパ面であり、カシメ部24の先端から貫通部25へ向かう方向に対して0.1mm以上であり、カシメ部24の厚み方向に対して0.03mm以上である。なお、外面242のテーパ面32は、全周に形成されていても良いし、形成されていない箇所が含まれていても良い。つまり、テーパ面32は、外面242の半周など、一部のみに形成されていても良い。カシメ前のリベット22のテーパ面の最大寸法とは、外面242のうち、テーパ面32が形成されている箇所の寸法である。
【0037】
また、本形態のリベット22のテーパ面32は、図7に示すように、カシメ部24の先端から貫通部25へ向かう方向に対して0.4mm以下であり、カシメ部24の厚み方向に対して0.1mm以下である。テーパ面32は、前述したように、電池1において接触部15と板状部91との間に隙間を形成するためのものであり、大きすぎても好ましくない。この大きさとすることで、カシメ加工によって適切な大きさの隙間が形成されることが期待できる。
【0038】
図5の製造手順の説明に戻る。図6のように各部材をセットした後、製造者は、リベット22のカシメ部24にカシメ加工を施して塑性変形させる(工程2)。図8に示すように、ポンチ28を下方(矢印P)に押し下げることで、ポンチ28の加工面29は、まず、内面241の先端を外周方向(矢印E)に押し出す。ポンチ28をさらに押し下げることで、図9に示すように、内面241の先端部の内側肩付近の位置に凸状部30が生じる。凸状部30の図中下方にはテーパ面31が形成されているので、図9からポンチ28をさらに押し下げると、凸状部30は、テーパ面31によって吸収され、バリの発生が抑制されている。
【0039】
工程2のカシメ加工により、リベット22のカシメ部24の先端を含む部分が径方向に押し広げられ、外面242が板状部91の第1面911に押し付けられる。カシメ加工が終了した状態では、図3の右側に示したように、カシメ部24が塑性変形して接触部15となり、鍔部14と接触部15とで集電部材9を含む各部材を挟み込んだ状態のリベット20となる。
【0040】
次に、製造者は、リベット20の接触部15の側から光を照射して、接触部15の先端部分である縁辺部16と、その周囲であって第1面911のうち接触部15に覆われていない部分と、を含む範囲をカメラで撮像し、画像を取得する(工程3)。外面242にはポンチ28が接触しないことから、カシメ前のリベット22にて外面242のテーパ面32であった箇所の一部は、カシメ後もテーパ面を維持し、図4に示したように、エッジ部161となる。つまり、集電部材9の板状部91とリベット20の縁辺部16との間には、エッジ部161による隙間が有る箇所がある。そのため、接触部15の側から光を照射すると、集電部材9の板状部91やリベット20の接触部15は光を反射して輝く一方、縁辺部16の周囲には影ができる。これにより、工程3にて取得される画像は、例えば、図10(A)に示すように、縁辺部16と板状部91との境目の周囲に、他の部分より暗い影画像71が含まれる。
【0041】
工程3にて取得した画像に基づく画像処理によって、製造者は、縁辺部16の先端の位置を検出する(工程4)。例えば、画像の明暗に基づくエッジ検出技術を利用することで、図10(B)に示すように、縁辺部16とその周囲の影画像71との境目のエッジ位置を取得する。この部分が、縁辺部16の先端の位置である。影画像71が含まれることで、先端の位置が分かり易く、接合対称の位置を正確に検出できる。
【0042】
さらに、製造者は、工程4で検出された先端の位置に対して溶接を施すことで、接触部15と板状部91の第1面911とを接合する(工程5)。具体的には、図10(C)に示すように、製造者は、画像から取得された先端に沿って、複数の溶接箇所72をスポット溶接する。これにより、図3の左側に示したように接合部61ができ、リベット20の接触部15と集電部材9の第1面911とが接合される。従って、集電部材9を介して、外部端子6と負極板10とが適切に導通される。
【0043】
この後、製造者は他の工程を行う。具体的には、製造者は、集電部材11についても、同様に組み立てる。また、製造者は、発電要素3を外装体2の箱体4に挿入して、箱体4と蓋体5とを接合し、箱体4の内部に電解液を注入する。これにより、電池1が製造される。
【0044】
以上、詳細に説明したように本実施の形態の電池1は、発電要素3に接続された集電部材9と、外部端子6に接続されるリベット20と、を有する電池1であって、集電部材9の板状部91の第1面911とリベット20の接触部15とは、接合部61にて接合されている。一方、非接合部62では、接触部15の縁辺部16のエッジ部161にテーパ面が設けられ、縁辺部16と第1面911との間に隙間が有る。縁辺部16と第1面911との境目の周辺を撮影した場合、この隙間の画像から、縁辺部16と第1面911との境目の位置が容易に把握できる。接合前の接合部61にも同様のテーパ面が設けられているので、接合の対象箇所の特定は容易であり、縁辺部16と第1面911と境目の位置が適切に接合された電池1となっている。
【0045】
本実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。従って本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、前記形態では、電池1における本開示技術の適用対象箇所として外部端子6(負端子)を示したが、外部端子7(正端子)に適用することもできるし、両方の端子に適用することもできる。一般的にはリベットの素材として、負端子用としては銅が、正端子用としてはアルミが用いられることが多い。その場合、アルミよりも硬度の高い銅を用いる負端子側の方が、本開示技術を適用する意義がより高い。電池1の電池種は問わない。
【0046】
また、リベット22におけるカシメ部24の先端部26以外の箇所の形状は、実施の形態の例に限らない。例えば、カシメ部24の穴の深さにはある程度の自由度がある。また、カシメ部24の穴は、貫通部25に近いほど内径が小さくなるV字形であっても良い。また、鍔部14の形状は任意である。
【0047】
また、リベット22と外部端子6とが一体であってもよい。また、鍔部14が電池1の外装体2の内側に位置し、外装体2の外側でカシメ部24のカシメ加工を行う構成のものであってもよい。つまり、第1集電部材と第2集電部材とは、実施の形態の逆でもよい。また、図9に現れている凸状部30の形状も一例である。加工時に現れる凸状部30の形状は一個一個異なる。また、特に凸状部30と言えるような形状が現れないこともある。
【0048】
また、図10では、接触部15の全周の画像の例を示しているが、全周でなくても良い。例えば、半周など一部のみを溶接する場合には、溶接の対象となる範囲を含む画像を取得すればよい。また、接触部15の全周を接合した電池であっても良い。また、接合方法は溶接に限らない。
【符号の説明】
【0049】
1 電池
2 外装体
3 発電要素
9、11 集電部材
13 貫通部
15 接触部
16 縁辺部
20 リベット(加工後)
22 リベット(加工前)
24 カシメ部
25 貫通部
91 板状部
161 エッジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10