(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036038
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/593 20210101AFI20240308BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20240308BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20240308BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/176
H01M50/588
H01M50/586
H01M50/567
H01M50/533
H01M50/184 A
H01M50/188
H01M50/553
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140738
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】水野 智基
(72)【発明者】
【氏名】谷本 晃一
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011AA17
5H011BB03
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H043AA04
5H043AA07
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043EA36
5H043EA40
5H043GA22
5H043GA23
5H043GA24
5H043JA01D
5H043JA01E
5H043JA02D
5H043JA02E
5H043JA09D
5H043JA09E
5H043JA11D
5H043JA11E
5H043JA13D
5H043JA13E
5H043JA14D
5H043JA14E
5H043LA21D
5H043LA21E
5H043LA22D
5H043LA22E
(57)【要約】
【課題】外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、長期にわたって適切に維持できる電池を提供すること。
【解決手段】電池1の端子部材20は、柱状部22と、外装体2の外側にて蓋体10の貫通孔13より大径に広がった盤状部21と、集電部材30より内側にて集電部材30の貫通孔34より大径に広がって集電部材30の内側面33と密着している傘状部23とを有する。ガスケット40は、蓋体10の外面11と盤状部21との間に挟まれた外部板状部41と、蓋体10の貫通孔13の壁面14と柱状部22との間に挟まれた外部管状部42とを有する。インシュレーター50は、蓋体10の内面12と集電部材30との間に挟まれた内部板状部51と、蓋体10の貫通孔13の壁面14と柱状部22との間に挟まれた内部管状部52とを有する。外部管状部42の先端44と内部管状部52の先端54とが、蓋体10の貫通孔13の壁面14と柱状部22との間で密着している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された外装体と、前記外装体の内部に収納された発電要素と、前記貫通孔を貫通して前記外装体の内外にわたって設けられた端子部材と、前記外装体の内部で前記発電要素と前記端子部材とを接続する集電部材と、前記外装体の外側に配置されて前記端子部材を前記外装体から絶縁する外部絶縁部材と、前記外装体の内側に配置されて前記集電部材を前記外装体から絶縁する内部絶縁部材とを有する電池であって、
前記集電部材における前記外装体の貫通孔と重なる位置に貫通孔が形成されており、
前記端子部材は、
前記外装体の貫通孔および前記集電部材の貫通孔の内部に位置する柱状部と、
前記柱状部と繋がっており前記外装体の外側にて前記外装体の貫通孔より大径に広がった盤状部と、
前記柱状部と繋がっており前記集電部材より内側にて前記集電部材の貫通孔より大径に広がって前記集電部材の内側面と密着している傘状部とを有し、
前記外部絶縁部材は、
前記外装体の外面と前記盤状部との間に挟まれた外部板状部と、
前記外部板状部と繋がっており前記外装体の貫通孔の壁面と前記柱状部との間に挟まれた外部管状部とを有し、
前記内部絶縁部材は、
前記外装体の内面と前記集電部材との間に挟まれた内部板状部と、
前記内部板状部と繋がっており前記外装体の貫通孔の壁面と前記柱状部との間に挟まれた内部管状部とを有し、
前記外部管状部の先端と前記内部管状部の先端とが、前記外装体の貫通孔の壁面と前記柱状部との間で密着している電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池であって、
前記外部管状部および前記内部管状部が、前記外装体の貫通孔の壁面と前記柱状部との間で、前記外装体の厚み方向に圧縮された状態にある電池。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池であって、
前記集電部材の外側面における前記貫通孔の周囲に、前記貫通孔に近い位置ほど前記内部絶縁部材に向けて盛り上がった迫りだし部が形成されている電池。
【請求項4】
請求項3に記載の電池であって、
前記集電部材の内側面における前記貫通孔の周囲に、前記貫通孔に近い位置ほど凹んでいるテーパ部が形成されており、
前記傘状部は、前記テーパ部にも密着している電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、外装体の貫通孔を貫通して外装体の内外にわたって設けられた端子部材と、外装体の内部で発電要素と端子部材とを接続する集電部材と、端子部材を外装体から絶縁する絶縁部材とを有する電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池の端子部材と外装体とを絶縁するため、これらの間には絶縁部材が配置されていることがある。そのような先行技術として、例えば、特許文献1を挙げることができる。特許文献1に記載されている電池では、電池ケースに、取付穴が形成された蓋が設けられている。蓋の取付穴には、その内外にわたって出力端子が設けられている。出力端子は、電池ケースの外側に位置する頭部と、頭部から電池ケースの内側に向けて延びる軸部とを有している。出力端子の軸部の電池ケース内部側の先端は、電池ケースの内側にて広がるように変形されることでかしめ軸部とされている。蓋の取付穴と出力端子の軸部との間には、ガスケットが設けられている。ガスケットは、電池ケースの外部にて出力端子の頭部を収容するフランジ部と、フランジ部の下面に突設した丸軸状のボス部とが一体に形成されているプラスチック成形品である。そして、ガスケットにより、蓋と出力端子とを絶縁しつつ、その箇所での密閉性が保たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池の充放電時には、電池の端子部材の温度が上昇する。端子部材の温度が上昇することで、端子部材と接触している絶縁部材の温度も上昇することとなる。端子部材の絶縁部材との接触面積が大きいほど、電池の充放電時の端子部材の温度上昇に伴い、絶縁部材の温度も上昇しやすい傾向にある。そして、一般的に、絶縁部材は、温度が高い状態が長く続くほど、劣化しやすい傾向にある。絶縁部材が劣化してしまうと、端子部材との密着性が低下し、絶縁部材が備える絶縁機能や密閉機能が低下してしまうことがある。
【0005】
前記した従来の技術においては、出力端子の軸部の側面のほとんどが、ガスケットのボス部によって覆われている。つまり、出力端子とガスケットとの接触面積が大きい構成である。このため、電池の充放電に伴い、ガスケットが劣化しやすい構成である。これにより、ガスケットの絶縁機能や密閉機能が、長期にわたって適切に維持できないおそれがあった。
【0006】
本開示技術は、前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、長期にわたって適切に維持できる電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示技術は、貫通孔が形成された外装体と、外装体の内部に収納された発電要素と、貫通孔を貫通して外装体の内外にわたって設けられた端子部材と、外装体の内部で発電要素と端子部材とを接続する集電部材と、外装体の外側に配置されて端子部材を外装体から絶縁する外部絶縁部材と、外装体の内側に配置されて集電部材を外装体から絶縁する内部絶縁部材とを有する電池であって、集電部材における外装体の貫通孔と重なる位置に貫通孔が形成されており、端子部材は、外装体の貫通孔および集電部材の貫通孔の内部に位置する柱状部と、柱状部と繋がっており外装体の外側にて外装体の貫通孔より大径に広がった盤状部と、柱状部と繋がっており集電部材より内側にて集電部材の貫通孔より大径に広がって集電部材の内側面と密着している傘状部とを有し、外部絶縁部材は、外装体の外面と盤状部との間に挟まれた外部板状部と、外部板状部と繋がっており外装体の貫通孔の壁面と柱状部との間に挟まれた外部管状部とを有し、内部絶縁部材は、外装体の内面と集電部材との間に挟まれた内部板状部と、内部板状部と繋がっており外装体の貫通孔の壁面と柱状部との間に挟まれた内部管状部とを有し、外部管状部の先端と内部管状部の先端とが、外装体の貫通孔の壁面と柱状部との間で密着している電池である。
【0008】
上記態様に係る電池では、外部絶縁部材および内部絶縁部材により、外装体と端子部材との間が密閉されている。また、外部絶縁部材および内部絶縁部材により、外装体と端子部材との間が絶縁されている。そして、上記態様に係る電池では、充放電時における端子部材の発熱を、外部絶縁部材と内部絶縁部材との両方に分散し、そのどちらの温度上昇についても抑制できる。これにより、外部絶縁部材および内部絶縁部材の両方について、温度上昇によって短期で劣化してしまうことが抑制できる。従って、上記態様における電池は、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、長期にわたって適切に維持される。
【0009】
上記態様の電池ではさらに、外部管状部および内部管状部が、外装体の貫通孔の壁面と柱状部との間で、外装体の厚み方向に圧縮された状態にあることが望ましい。このようになっていることで、外部管状部および内部管状部の一方が劣化した場合にも、劣化していない他方が一方側へと伸びることとなる。これにより、外部管状部および内部管状部の一方が劣化した場合にも、劣化した部材の密着性を維持できる。さらには、外部管状部と内部管状部との間に隙間が形成されてしまうことも抑制できる。よって、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、より長期にわたって適切に維持される。
【0010】
上記態様の電池ではさらに、集電部材の外側面における貫通孔の周囲に、貫通孔に近い位置ほど内部絶縁部材に向けて盛り上がった迫りだし部が形成されていることが望ましい。このようになっていることで、内部管状部をより強く、外部管状部側へと押し付けることができる。つまり、外部管状部の先端と、内部管状部の先端との密着性を高めることができる。よって、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、より長期にわたって適切に維持される。
【0011】
上記態様の電池ではさらに、集電部材の内側面における貫通孔の周囲に、貫通孔に近い位置ほど凹んでいるテーパ部が形成されており、傘状部は、テーパ部にも密着していることが望ましい。このようになっていることで、内部管状部をさらに強く、外部管状部側へと押し付けることができる。よって、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、さらに長期にわたって適切に維持される。
【発明の効果】
【0012】
本開示技術によれば、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、長期にわたって適切に維持できる電池が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施の形態に係る電池の外部端子の断面図である。
【
図3】実施の形態に係る電池の外部端子を構成する各部材の組み付け前を示す断面図である。
【
図4】実施の形態に係る電池の外部端子のかしめ加工を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態に係る電池1は、概略、
図1に示されるように、外装体2の内部に発電要素3を収納したものである。発電要素3は、正負の電極板を積層してなるものである。外装体2は、箱体4と蓋体10とで構成されている。外装体2を構成する箱体4および蓋体10はともに、導電性を有する材質のものである。また、外装体2の内部には、電解液5が収容されている。
【0015】
電池1は全体として平板角形状の外形のものである。その上部の蓋体10の長手方向両端付近には、正負の外部端子6、7が設けられている。外部端子6、7ではそれぞれ、端子部材20が、絶縁部材を介して蓋体10に取り付けられている。この点、後に詳述する。端子部材20は、導電性を有する材質のものである。外部端子6の端子部材20、外部端子7の端子部材20はそれぞれ、外装体2の内部で、発電要素3を構成する正負の電極板のどちらかに接続されている。これにより、電池1は、外部端子6、7の端子部材20を介して充電または放電することができる。
【0016】
図2は、電池1の外部端子6、7の位置における断面図である。
図2に示すように、電池1は、正負の外部端子6、7の周辺を構成する部材として、端子部材20に加え、集電部材30、ガスケット40、インシュレーター50を有している。
【0017】
蓋体10は板状の部材である。蓋体10は、その厚み方向の端面として、外面11と内面12とを有している。
図2において、蓋体10の内面12よりも下側が、外装体2の内部である。蓋体10には、厚み方向に貫通する貫通孔13が形成されている。蓋体10の貫通孔13の外面11側には、外面11よりも外装体2の外部側へと突き出た凸部15が設けられている。凸部15は、貫通孔13の外面11側の開口に沿って連続して設けられている。
【0018】
集電部材30は、外装体2の内部で発電要素3と端子部材20とを接続する部材である。
図2には、集電部材30のうち、端子部材20への接続箇所である端子接続部31を示している。集電部材30は、端子接続部31とは異なる箇所にて、発電要素3を構成する正負の電極板のどちらかに接続されている。集電部材30は、導電性を有する材質のものである。具体的に、集電部材30の材質として、例えば、正極側を構成するものである場合にはアルミニウムを、負極側を構成するものである場合には銅を用いることができる。
【0019】
集電部材30の端子接続部31は、板状の形状をしている。集電部材30の端子接続部31は、その厚み方向の端面として、外側面32と内側面33とを有している。外側面32は、蓋体10の内面12と対向している。集電部材30の端子接続部31には、厚み方向に貫通する貫通孔34が形成されている。集電部材30の貫通孔34は、蓋体10の貫通孔13と重なる位置に設けられている。つまり、集電部材30の貫通孔34は、蓋体10の貫通孔13と同軸上に設けられている。
【0020】
本形態では、集電部材30の外側面32における貫通孔34の周囲に、迫りだし部35が形成されている。迫りだし部35は、貫通孔34に近い位置ほど、蓋体10に向けて盛り上がった形状をしている。また、集電部材30の内側面33における貫通孔34の周囲には、テーパ部36が形成されている。テーパ部36は、貫通孔34に近い位置ほど凹んだ形状をしている。
【0021】
端子部材20は、盤状部21、柱状部22、傘状部23を有している。盤状部21および傘状部23はどちらも、柱状部22よりも太い部分である。柱状部22は、蓋体10の貫通孔13および集電部材30の貫通孔34のどちらにも通されている。
【0022】
盤状部21は、柱状部22における外装体2の外部側に繋がっている。盤状部21は、外装体2の外側に位置している。そして、盤状部21は、蓋体10の貫通孔13よりも大径に広がっている。
【0023】
傘状部23は、柱状部22における外装体2の内部側に繋がっている。傘状部23は、外装体2の内側に位置している。さらに、傘状部23は、集電部材30よりも外装体2の内部側に位置している。そして、傘状部23は、集電部材30の貫通孔34よりも大径に広がっている。傘状部23は、端子部材20の柱状部22を外装体2の外部側から各部材を貫通させた後、かしめ加工を行うことで形成されたものである。
【0024】
ガスケット40およびインシュレーター50はともに、弾性と絶縁性とを有するとともに、電解液5に対する耐性を有する材質のものである。具体的に、ガスケット40の材質として、例えば、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)を用いることができる。インシュレーター50の材質として、例えば、無機フィラーを含まないポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いることができる。
【0025】
ガスケット40は、外装体2の外側に配置されており、端子部材20を蓋体10から絶縁する外部絶縁部材である。ガスケット40は、外部板状部41および外部管状部42を有する。また、ガスケット40には、外部管状部42の内周を形成する貫通孔43が設けられている。外部板状部41は、蓋体10の外面11と、端子部材20の盤状部21との間に挟まれている。これにより、外部板状部41は、蓋体10の外面11および端子部材20の盤状部21のどちらにも密着している。外部板状部41には、端子部材20の盤状部21を収容する凹部41Aが設けられている。
【0026】
外部管状部42は、外部板状部41における外装体2の内部側に繋がっている。外部管状部42は、蓋体10の貫通孔13の内側に位置している。端子部材20の柱状部22は、ガスケット40の貫通孔43の内部に通されている。外部管状部42は、蓋体10の貫通孔13の壁面14と、端子部材20の柱状部22との間に挟まれている。これにより、外部管状部42は、蓋体10の貫通孔13の壁面14および端子部材20の柱状部22のどちらにも密着している。
【0027】
ガスケット40の外部板状部41が接触している蓋体10の外面11には、前述したように、凸部15が設けられている。凸部15は、外部板状部41に食い込んでいる。これにより、外部板状部41の内側面45は、凸部15の形状に沿って変形している。この外部板状部41の変形によって、外部管状部42の先端44は、凸部15がない場合よりも、外装体2の内部側に伸びている。
【0028】
インシュレーター50は、外装体2の内側に配置されており、集電部材30を蓋体10から絶縁する内部絶縁部材である。インシュレーター50は、内部板状部51および内部管状部52を有する。また、インシュレーター50には、内部管状部52の内周を形成する貫通孔53が設けられている。内部板状部51は、蓋体10の内面12と、集電部材30の端子接続部31との間に挟まれている。これにより、内部板状部51は、蓋体10の内面12および集電部材30のどちらにも密着している。内部板状部51には、集電部材30の端子接続部31を収容する凹部51Aが設けられている。
【0029】
内部管状部52は、内部板状部51における外装体2の外部側に繋がっている。内部管状部52は、蓋体10の貫通孔13の内側に位置している。端子部材20の柱状部22は、インシュレーター50の貫通孔53の内部に通されている。内部管状部52は、蓋体10の貫通孔13の壁面14と、端子部材20の柱状部22との間に挟まれている。これにより、内部管状部52は、蓋体10の貫通孔13の壁面14および端子部材20の柱状部22のどちらにも密着している。
【0030】
インシュレーター50の内部板状部51が接触している集電部材30の端子接続部31には、前述したように、集電部材30の貫通孔34に近い位置ほど、蓋体10に向けて盛り上がった迫りだし部35が設けられている。つまり、迫りだし部35は、貫通孔34に近い位置ほど、インシュレーター50に向けて盛り上がった形状をしている。このため、内部板状部51は、貫通孔34に近い位置ほど外装体2の外部側に向かうように、迫りだし部35によって押されている。この迫りだし部35によって押された内部板状部51の変形によって、内部管状部52が形成されている。この点、後に詳述する。そして、内部管状部52の先端54は、迫りだし部35がない場合よりも、外装体2の外部側へと出っ張っている。
【0031】
前述したように、蓋体10と端子部材20との間にはガスケット40の外部板状部41が挟まれている。また、蓋体10と集電部材30との間にはインシュレーター50の内部板状部51が挟まれている。さらに、ガスケット40の外部管状部42の先端44、および、インシュレーター50の内部管状部52の先端54はともに、蓋体10の貫通孔13の壁面14と、端子部材20の柱状部22との間に位置している。さらに、ガスケット40の外部管状部42の先端44と、インシュレーター50の内部管状部52の先端54とは、密着している。このため、蓋体10と端子部材20との接触が防止されている。さらには、電解液5がガスケット40の外部管状部42の先端44とインシュレーター50の内部管状部52の先端54との隙間に入り込むことが防止されている。これにより、蓋体10と端子部材20とが、電解液5を介して通電してしまうことについても適切に防止されている。すなわち、電池1では、外部端子6、7の箇所での密閉性が高いとともに、蓋体10と端子部材20とが適切に絶縁されている。さらには、蓋体10の外面11に設けられた凸部15がガスケット40に食い込んでいることで、より密閉性が高められている。
【0032】
本形態では、蓋体10の貫通孔13の壁面14と、端子部材20の柱状部22との間に、外装体2における内外からそれぞれ、ガスケット40の外部管状部42と、インシュレーター50の内部管状部52とが入り込んでいる。つまり、端子部材20の柱状部22を、ガスケット40とインシュレーター50とにより覆っている。このため、ガスケット40およびインシュレーター50のいずれか一方のみについて、端子部材20の柱状部22との接触面積が大きくなってしまうことが抑制されている。この構造の電池1では、充放電時における端子部材20の発熱が、ガスケット40とインシュレーター50との両方に分散する。これにより、電池1の充放電時に端子部材20が発熱した場合に、ガスケット40およびインシュレーター50のどちらについても、温度上昇を抑制できる。つまり、ガスケット40およびインシュレーター50の両方について、温度上昇によって短期で劣化してしまうことが抑制できる。よって、電池1では、外部端子6、7の箇所での絶縁および密閉が、長期にわたって適切に維持できる。
【0033】
また、本形態の電池1では、ガスケット40の外部管状部42と、インシュレーター50の内部管状部52とが、蓋体10の厚み方向について圧縮された状態である。すなわち、外部管状部42の先端44と内部管状部52の先端54とが、蓋体10の貫通孔13の壁面14と端子部材20の柱状部22との間で、互いに押し合う状態となっている。このようになっていることで、ガスケット40の外部管状部42およびインシュレーター50の内部管状部52の一方が劣化した場合にも、劣化していない他方が一方側へと伸びることとなる。具体的には、例えば、ガスケット40の外部管状部42が劣化し、弾性力が弱くなってしまった場合、外部管状部42の蓋体10の貫通孔13の壁面14への密着性、端子部材20の柱状部22への密着性が低下する可能性がある。本形態では、ガスケット40の外部管状部42が劣化したような場合、圧縮状態となっていたインシュレーター50の内部管状部52が伸びることで、その先端54によって外部管状部42を圧迫することができる。圧迫された外部管状部42は、蓋体10の貫通孔13の壁面14への密着性、端子部材20の柱状部22への密着性を適切に維持することができる。つまり、ガスケット40の外部管状部42およびインシュレーター50の内部管状部52の一方が劣化した場合にも、劣化した部材の密着性を維持できる。さらには、ガスケット40の外部管状部42とインシュレーター50の内部管状部52との間に隙間が形成されてしまうことも抑制できる。よって、外部端子6、7の箇所での絶縁および密閉を、より長期にわたって適切に維持できる。
【0034】
また、本形態の電池1では、集電部材30に迫りだし部35が形成されている。これにより、インシュレーター50の内部管状部52をより強く、ガスケット40の外部管状部42側へと押し付けることができる。つまり、ガスケット40の外部管状部42の先端44と、インシュレーター50の内部管状部52の先端54との密着性を高めることができる。さらには、ガスケット40の外部管状部42およびインシュレーター50の内部管状部52の、蓋体10の厚み方向における圧縮の程度を高めることができる。これにより、外部端子6、7の箇所での絶縁および密閉を、より長期にわたって適切に維持できる。
【0035】
さらに、本形態の電池1では、集電部材30の内側面33側における貫通孔34の周囲にテーパ部36が形成されている。そして、端子部材20の傘状部23は、テーパ部36に密着するように形成されている。傘状部23は、前述の通り、かしめ加工により形成されたものである。つまり、かしめ加工では、傘状部23となる部分が、かしめ加工前よりも広がってテーパ部36に密着するように変形させられている。このようなかしめ加工が行われていることで、集電部材30の迫りだし部35は、インシュレーター50に向けてより大きく盛り上がっている。従って、インシュレーター50の内部管状部52をさらに強く、ガスケット40の外部管状部42側へと押し付けることができる。これにより、外部端子6、7の箇所での絶縁および密閉を、さらに長期にわたって適切に維持できる。
【0036】
次に、電池1の製造方法について説明する。本形態の電池1は、箱体4に蓋体10を組み付けることで外装体2を構成し、外装体2の内部に電解液5を注入することで製造される。また、蓋体10には、箱体4に組み付けられる前に、外部端子6、7が設けられるとともに、発電要素3が組み付けられる。すなわち、電池1の製造工程において、蓋体10には、外部端子6、7を構成する端子部材20、集電部材30、ガスケット40、インシュレーター50の組み付けが行われる。端子部材20、集電部材30、ガスケット40、インシュレーター50の蓋体10への組み付けは、これら各部材を組み合わせつつ、端子部材20のかしめ加工を行うことで行う。
【0037】
図3は、外部端子6、7を構成する各部材の組み付け前を示す断面図である。具体的に、
図3には、蓋体10へ組み付けられる前の、端子部材20、集電部材30、ガスケット40、インシュレーター50を示している。
【0038】
端子部材20は、蓋体10へ組み付けられる前には、柱状部22における盤状部21とは反対側に、被かしめ部24を有する。被かしめ部24は、その後にかしめ加工が行われることで、傘状部23となる部分である。被かしめ部24には、下穴25が形成されている。これにより、被かしめ部24は中空の円筒形状をしている。
【0039】
本形態のガスケット40は、蓋体10へ組み付けられる前には、凸部15の形状に沿った変形が生じていない。また、ガスケット40の外部板状部41の内側面45のうち、蓋体10の凸部15が接触する部分には、凸部15に対応する凹部などは設けられていない。具体的には、本形態のガスケット40の外部板状部41の内側面45は、蓋体10へ組み付けられる前には、蓋体10の凸部15に対応する部分が平坦である。
【0040】
本形態のインシュレーター50は、蓋体10へ組み付けられる前には、内部管状部52が形成されていない。具体的には、本形態のインシュレーター50の内部板状部51の外側面55は、蓋体10へ組み付けられる前には、蓋体10の貫通孔13に対応する部分が平坦である。
【0041】
集電部材30は、蓋体10へ組み付けられる前には、迫りだし部35が形成されていない。具体的には、本形態の集電部材30の外側面32は、蓋体10へ組み付けられる前には、平坦である。
【0042】
図4は、端子部材20、集電部材30、ガスケット40、インシュレーター50を蓋体10へ組み合わせつつ、かしめ加工を行った状態を示す図である。
図4に示すように、かしめ加工では、一対のプレス型110、120により、端子部材20をその軸方向について押圧する。このかしめ加工における押圧方向は、蓋体10の厚み方向と同じ方向である。
【0043】
プレス型110は、プレス面111により端子部材20の盤状部21を押圧する。プレス型120は、端子部材20を挟んでプレス型110とは反対側に設けられている。プレス型120のプレス面121は、傘状部23の形状をしている。端子部材20の被かしめ部24は、かしめ加工により、径方向の外側に押し広げられつつ、集電部材30の内側面33に沿って変形する。これにより、端子部材20に傘状部23が形成される。
【0044】
端子部材20に傘状部23が形成されることで、集電部材30、ガスケット40、インシュレーター50は、蓋体10とともに、端子部材20の盤状部21と傘状部23とに挟み込まれる。これにより、蓋体10に外部端子6、7が構成される。また、かしめ加工では、端子部材20の盤状部21から傘状部23の間に位置する各部材がそれぞれ、プレス型110、120による押圧方向に圧迫される。この圧迫により、本形態では、所定の部材に変形を生じさせる。
【0045】
ガスケット40の外部板状部41は、かしめ加工における押圧によって、蓋体10の外面11と端子部材20の盤状部21との間に挟まれ、厚み方向に圧迫される。厚み方向に圧迫された外部板状部41は、圧迫方向と交差する方向、すなわち
図4における左右方向へと押し出されるように変形する。さらに、外部板状部41の内側面45には、蓋体10の外面11に設けられた凸部15が食い込む。この凸部15の食い込みにより、外部板状部41の凸部15に対応する部分は、その外部へと押し出される。外部板状部41の厚み方向における圧迫、および、外部板状部41への凸部15の食い込みにより、ガスケット40の外部管状部42は、
図4に矢印Aで示すように、外装体2の内部側へ向けて伸びるように変形する。
【0046】
集電部材30の内側面33には、かしめ加工により変形した端子部材20の傘状部23が密着している。また、かしめ加工では、傘状部23が、集電部材30の内側面33に向けて押圧される。集電部材30のうち、かしめ加工における押圧を受ける部分は、貫通孔34の周囲である。そして、かしめ加工時に押圧される集電部材30の貫通孔34の周囲は、
図4に矢印Bで示すように、外装体2の外部側へ向けて変形する。この変形により、集電部材30には、貫通孔34に近い位置ほどインシュレーター50に向けて盛り上がった迫りだし部35が形成される。
【0047】
また本形態では、集電部材30の内側面33における貫通孔34の周囲には、テーパ部36が形成されている。そして、かしめ加工においては、端子部材20に形成される傘状部23が、テーパ部36に密着するように変形する。テーパ部36に密着するように変形する傘状部23は、集電部材30の貫通孔34に近い箇所の矢印Bで示す向きの変形を、より大きなものとすることができる。すなわち、集電部材30にテーパ部36を設け、傘状部23がテーパ部36に密着するようにかしめ加工を行う本形態では、迫りだし部35の貫通孔34に近い部分の盛り上がりの程度を、より大きなものとすることができる。
【0048】
インシュレーター50の内部板状部51は、かしめ加工における押圧によって、蓋体10の内面12と集電部材30の外側面32との間に挟まれ、厚み方向に圧迫される。厚み方向に圧迫された内部板状部51は、圧迫方向と交差する方向、すなわち
図4における左右方向へと押し出されるように変形する。なお、蓋体10の貫通孔13は、インシュレーター50の貫通孔53よりも大きい。このため、内部板状部51の外側面55のうち、蓋体10の貫通孔13の内側に対応する部分は、蓋体10の内面12による圧迫を受けない非圧迫部分となる。その非圧迫部分が、
図4に矢印Cで示すように、外装体2の外部側へ向けて盛り上がるように変形することで、その箇所に内部管状部52が形成される。
【0049】
そして、インシュレーター50に形成された内部管状部52の先端54は、蓋体10の貫通孔13の壁面14と端子部材20の柱状部22との間において、ガスケット40の外部管状部42の先端44と密着する。また、本形態では、ガスケット40の外部管状部42とインシュレーター50の内部管状部52とは、蓋体10の厚み方向に圧縮された状態とされる。さらに、本形態では、集電部材30の迫りだし部35によって、インシュレーター50の内部管状部52はより強く、ガスケット40の外部管状部42へと押し付けられる。加えて、本形態では、傘状部23がテーパ部36に密着するようにかしめ加工が行われていることによって、迫りだし部35の盛り上がりをより大きなものとしている。
【0050】
以上詳細に説明したように本実施の形態に係る電池1は、外装体2と、発電要素3と、端子部材20と、集電部材30と、ガスケット40と、インシュレーター50とを有する。外装体2は、貫通孔13が形成された蓋体10を有する。発電要素3は、外装体2の内部に収納されている。端子部材20は、蓋体10の貫通孔13を貫通して外装体2の内外にわたって設けられている。集電部材30は、外装体2の内部で発電要素3と端子部材20とを接続する。ガスケット40は、外装体2の外側に配置されて端子部材20を蓋体10から絶縁する外部絶縁部材である。インシュレーター50は、外装体2の内側に配置されて集電部材30を蓋体10から絶縁する内部絶縁部材である。集電部材30における蓋体10の貫通孔13と重なる位置には、貫通孔34が形成されている。端子部材20は、盤状部21と、柱状部22と、傘状部23とを有する。柱状部22は、蓋体10の貫通孔13および集電部材30の貫通孔34の内部に位置する。盤状部21は、柱状部22と繋がっており外装体2の外側にて蓋体10の貫通孔13より大径に広がっている。傘状部23は、柱状部22と繋がっており集電部材30より内側にて集電部材30の貫通孔34より大径に広がって集電部材30の内側面33と密着している。ガスケット40は、外部板状部41と、外部管状部42とを有する。外部板状部41は、蓋体10の外面11と盤状部21との間に挟まれている。外部管状部42は、外部板状部41と繋がっており蓋体10の貫通孔13の壁面14と柱状部22との間に挟まれている。インシュレーター50は、内部板状部51と、内部管状部52とを有する。内部板状部51は、蓋体10の内面12と集電部材30との間に挟まれている。内部管状部52は、内部板状部51と繋がっており蓋体10の貫通孔13の壁面14と柱状部22との間に挟まれている。そして、外部管状部42の先端44と内部管状部52の先端54とが、蓋体10の貫通孔13の壁面14と柱状部22との間で密着している。このような電池1では、充放電時における端子部材20の発熱を、ガスケット40とインシュレーター50との両方に分散し、そのどちらの温度上昇についても抑制できる。これにより、ガスケット40およびインシュレーター50の両方について、温度上昇によって短期で劣化してしまうことが抑制できる。従って、本実施の形態により、外装体と端子部材との間における絶縁および密閉が、長期にわたって適切に維持される電池が実現されている。
【0051】
上記実施の形態はいずれも単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。従って本開示技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
【0052】
例えば、上記実施の形態では、外装体2を構成する部材のうち、蓋体10に端子部材20を設けた例について説明した。しかし、端子部材は、電池の外装体に設けられていればよい。具体的には、例えば、箱体に形成された貫通孔に端子部材を設けた構成の電池にも適用可能である。
【0053】
また例えば、上記実施の形態では、ガスケット40とインシュレーター50とに異なる材質を採用している。しかし、例えば、ガスケット40とインシュレーター50との材質は同じであってもよい。ただし、ガスケット40とインシュレーター50とが異なる材質であることで、一方の材質が劣化する状況であっても、他方の材質の劣化については抑制できる可能性がある。そして、一方が劣化しても、劣化していない他方がその分、一方側へと伸びることで、劣化した一方の密着性を維持することが可能である。すなわち、ガスケット40とインシュレーター50とに異なる材質を採用することで、外装体2と端子部材20との間における絶縁および密閉が、確実に長期にわたって適切に維持できる可能性がある。
【0054】
また例えば、上記実施の形態では、インシュレーター50として、蓋体10への組み付け前には内部管状部52がない形状のものを用いた例について説明した。しかし、インシュレーターには、外装体へ組み付けられる前にも内部管状部のあるものを用いることとしてもよい。
【0055】
また例えば、上記実施の形態では、端子部材20が一つの部材で構成されている。しかし、端子部材を複数の部材で構成してもよい。すなわち、例えば、盤状部と柱状部とを異なる部材として、これらを接続して一体とすることで端子部材を構成してもよい。
【0056】
また上記実施の形態では、平板角形状の外形の電池に適用した例について説明した。しかし、上記実施の形態の適用対象には、電池の外形について特段の限定はない。また上記実施の形態の適用対象は、電池種(ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の種別)については特段の限定はない。
【符号の説明】
【0057】
1 電池
2 外装体
3 発電要素
10 蓋体
11 外面
12 内面
13 貫通孔
14 壁面
20 端子部材
21 盤状部
22 柱状部
23 傘状部
30 集電部材
33 内側面
34 貫通孔
35 迫りだし部
36 テーパ部
40 ガスケット(外部絶縁部材)
41 外部板状部
42 外部管状部
44 先端
50 インシュレーター(内部絶縁部材)
51 内部板状部
52 内部管状部
54 先端