(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036041
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】情報管理装置、情報管理方法および情報管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/32 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
G06F11/32 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140741
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】占部 宏生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇作
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042KK13
(57)【要約】
【課題】システムに関する情報を各利用者に効果的に提供すること。
【解決手段】アプリケーションサーバ10は、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、システムで異常が発生した場合にシステムの管理者に異常を通知するとともに、設定情報に基づき利用者ごとに前記異常の通知を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶する記憶部と、
前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する通知部と、
を備える情報管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記利用者ごとに、前記システムの基盤で発生するエラーのうち前記通知対象とする前記エラー、および前記利用者が管理対象とするデバイスが送信するデータの異常値が設定される前記設定情報を記憶し、
前記通知部は、前記エラーが発生した場合は、前記管理者および前記エラーを前記通知対象として設定する前記利用者に通知し、前記異常値が発生した場合は、前記管理者および前記異常値を前記通知対象として設定する前記利用者に通知する、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記エラーが発生したときの前記システムの構成情報、および前記異常値が発生したときの前記システムの構成情報を取得する取得部と、
前記エラーを示すエラー情報と前記システムの構成情報とを対応付けたエラー履歴、および前記異常値を示す判定情報と前記システムの構成情報とを対応付けた異常値履歴を前記記憶部に格納する格納部と、
をさらに備える請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記通知部は、
前記管理者から前記エラーまたは前記異常値の参照要求を受信した場合には、前記記憶部に記憶される前記エラー履歴または前記異常値履歴を参照し、前記参照要求に含まれる前記エラー情報または前記判定情報と対応付けられる前記システムの構成情報を特定し、特定した前記システムの構成情報を前記管理者に通知する、
請求項3に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記デバイスが送信する前記データを収集する収集部と、
収集された前記データが所定の閾値を超過した場合には前記異常値と判定し、判定情報を出力する判定部と、
前記システムにおける前記エラーの発生を検出し、エラー情報を出力する検出部と、
をさらに備える請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項6】
前記収集部は、
プラントに設置される、通信機器、センサ機器または制御機器を含むプラント機器が送信するプラント情報を収集し、
前記判定部は、
収集された前記プラント情報が所定の閾値を超過した場合には前記異常値と判定し、前記判定情報を出力する、
請求項5に記載の情報管理装置。
【請求項7】
前記検出部は、
前記エラーとして、前記システムを構成するデバイス、通信回線、ソフトウェア、またはクラウド基盤の障害の発生を検出する、
請求項5に記載の情報管理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、
前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する、
処理を実行する情報管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、
前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する、
処理を実行させる情報管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、情報管理方法および情報管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントに設置されるプラント機器からプラント情報を収集し、プラントの安全な稼働状況を示すヘルスチェックを実行するウェブアプリケーション(適宜、単に「アプリケーション」)が知られている。例えば、当該アプリケーションは、データの異常値を示す閾値判定結果やシステムの障害の発生を示すエラー情報を、管理者や利用者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、アプリケーションを利用する各利用者に、システムに関する情報を効果的に提供することが難しい。例えば、従来技術では、閾値判定結果やエラー情報が一元管理されていないので、利用者が要求する情報を選択してアラート情報として提供することが難しい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶する記憶部と、前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する通知部と、を備える情報管理装置。
【0007】
また、本発明は、コンピュータが、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する、処理を実行する情報管理方法。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する、処理を実行させる情報管理プログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る情報管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る各装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係るネットワークマップの一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るアプリケーションサーバの構成情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るアプリケーションサーバの判定情報記憶部の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るアプリケーションサーバのエラー情報記憶部の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るアプリケーションサーバの設定情報記憶部の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る管理者端末の表示画面の具体例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る利用者端末の表示画面の具体例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る情報管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る情報管理装置、情報管理方法および情報管理プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る情報管理システム100の構成、各装置の構成、処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0013】
〔1.情報管理システム100の構成〕
図1を用いて、実施形態に係る情報管理システム100の構成を詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る情報管理システム100の構成例を示す図である。以下に、情報管理システム100全体の構成例、情報管理システム100の処理、参考技術の情報管理システムの問題点を順に説明し、最後に情報管理システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、プラントに設置されるデバイスであるプラント機器を使用する工場生産遠隔監視を一例にして説明するが、デバイスや利用分野を限定するものではなく、電力モニタ、風力発電、上下水モニタ、河川監視等の環境計測遠隔監視に適用することもできる。
【0014】
(1-1.情報管理システム100全体の構成例)
情報管理システム100は、情報管理装置であるアプリケーションサーバ10、管理者端末20、利用者端末30(30A、30B、30C)およびプラント機器40(ゲートウェイ機器41、センサ機器42、制御機器43)を有する。ここで、アプリケーションサーバ10は、クラウド環境に作成された管理領域に構築される。また、管理者端末20は、情報管理システム100全体を管理するアプリケーション管理者(適宜、単に「管理者」)が使用する端末装置である。また、利用者端末30は、情報管理システム100で実行されるアプリケーションを利用するアプリケーション利用者(適宜、単に「利用者」)が使用する端末装置である。
【0015】
図1に示した情報管理システム100には、複数台のアプリケーションサーバ10や複数台の管理者端末20が含まれてもよい。なお、アプリケーションサーバ10は、クラウド環境に構築されるサーバ装置に限定されるものではなく、オンプレミス環境に構築される物理サーバ、仮想マシン、コンテナ等であってもよい。
【0016】
(1-2.情報管理システム100全体の処理)
上記のような情報管理システム100全体の処理について説明する。なお、下記のステップS1~S10は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS1~S10のうち、省略される処理があってもよい。
【0017】
(1-2-1.システム構成履歴登録処理)
アプリケーションサーバ10は、システム構成履歴を登録する(ステップS1)。例えば、アプリケーションサーバ10は、管理者端末20から送信されたシステムの階層構造を示したネットワークマップ等の構造情報を記憶する。このとき、アプリケーションサーバ10は、デバイスの追加等によって構造情報が変更されるたびに新たに構造情報を追加して記憶する。
【0018】
(1-2-2.アラート設定入力処理)
利用者端末30は、アラート設定の入力を受け付ける(ステップS2)。例えば、利用者端末30は、利用者がアラート通知として受信する通知対象として、エラーの種別、データ判定結果の種別等の入力を各利用者から受け付ける。このとき、利用者端末30は、入力を受け付けたアラート設定を設定情報として記憶する。
【0019】
(1-2-3.アラート設定送信処理)
利用者端末30は、アプリケーションサーバ10にアラート設定を送信する(ステップS3)。例えば、利用者端末30は、設定情報をアプリケーションサーバ10に送信する。このとき、アプリケーションサーバ10は、受信した設定情報を記憶する。
【0020】
(1-2-4.データ収集処理)
アプリケーションサーバ10は、プラント機器40からデータを収集する(ステップS4)。例えば、アプリケーションサーバ10は、プラントに設置されるゲートウェイ機器41、センサ機器42、制御機器43から、通信データ、測定データ、制御データ等のプラント情報を収集する。
【0021】
(1-2-5.データ判定処理)
アプリケーションサーバ10は、データの正常または異常を判定する(ステップS5)。例えば、アプリケーションサーバ10は、センサ機器42から収集した測定データが閾値を超過した場合には、プラント情報が異常値であると判定する。
【0022】
(1-2-6.データ判定履歴登録処理)
アプリケーションサーバ10は、データ判定履歴を登録する(ステップS6)。例えば、アプリケーションサーバ10は、判定した異常値の数値、発生理由、発生時間、発生場所等の判定情報を記憶する。このとき、アプリケーションサーバ10は、各プラントや各デバイスにおいて異常値と判定するたびに判定情報を追加して記憶する。
【0023】
(1-2-7.エラー検出処理)
アプリケーションサーバ10は、システムで発生したエラーを検出する(ステップS7)。例えば、アプリケーションサーバ10は、プラント機器40の故障、通信網の逼迫、アプリケーションのソフトウェアの不具合、クラウド基盤のリソース不足等のシステムに関する障害(エラー)を検出する。
【0024】
(1-2-8.エラー検出履歴登録処理)
アプリケーションサーバ10は、エラー検出履歴を登録する(ステップS8)。例えば、アプリケーションサーバ10は、検出されたエラーの種別、発生理由、発生時間、発生場所等のエラー情報を記憶する。このとき、アプリケーションサーバ10は、システム内でエラーを検出するたびにエラー情報を追加して記憶する。
【0025】
(1-2-9.エラー・判定結果通知処理)
アプリケーションサーバ10は、管理者端末20にエラー・判定結果を通知する(ステップS9)。例えば、アプリケーションサーバ10は、判定したすべての異常値、検出したすべてのエラーを管理者端末20に送信する。このとき、管理者端末20は、受信したエラー・判定結果を表示する。また、アプリケーションサーバ10は、管理者の要求に応じて、管理者端末20にエラーや異常値が発生したシステムのネットワークマップ等の構成情報を通知することもできる。
【0026】
(1-2-10.アラート通知処理)
アプリケーションサーバ10は、利用者端末30にアラートを通知する(ステップS10)。例えば、アプリケーションサーバ10は、判定した異常値、検出したエラーのうち、利用者がアラート設定した通知対象のアラート情報を利用者端末30に送信する。このとき、利用者端末30は、受信したアラートを表示する。
【0027】
(1-3.参考技術の情報管理処理)
以下では、参考技術としての情報管理処理の概要について説明した上で、参考技術の問題点について説明する。
【0028】
(1-3-1.参考技術の情報処理の概要)
参考技術の情報管理処理では、システムの管理者は、異常値やデバイスエラーをアプリケーションを介して受け取る。また、管理者は、ハードウェアやクラウド基盤等のシステムエラーが発生した場合には、ログやエラー表示を見て原因を特定する。このとき、管理者は、過去のエラーの発生状況を調べるには、ログやエラー発生状況から、推測する必要がある。
【0029】
(1-3-2.参考技術の情報処理の問題点)
参考技術の情報管理処理では、以下のような問題点がある。第1に、参考技術の情報管理処理では、利用者は、発生したエラーの種別を選択して、アラート通知を受けることができない。第2に、参考技術の情報管理処理では、システムの管理者は、すべてのシステムの状況を把握し、エラーを検知する必要がある。第3に、参考技術の情報管理処理では、システムの管理者は、システム構成が変更された場合には、変更前のエラー発生の分析をすることが困難である。
【0030】
(1-4.情報管理システム100の効果)
以下では、実施形態に係る情報管理システム100の概要について説明した上で、情報管理システム100の改善点について説明する。
【0031】
(1-4-1.情報管理システム100の概要)
情報管理システム100では、以下のような処理が実行される。第1に、アプリケーションサーバ10は、システム構成履歴を登録する。第2に、利用者端末30は、アラート設定の入力を受け付ける。第3に、利用者端末30は、アプリケーションサーバ10にアラート設定を送信する。第4に、アプリケーションサーバ10は、プラント機器40からデータを収集する。第5に、アプリケーションサーバ10は、データの正常値、異常値を判定する。第6に、アプリケーションサーバ10は、データ判定履歴を登録する。第7に、アプリケーションサーバ10は、システムで発生したエラーを検出する。第8に、アプリケーションサーバ10は、エラー検出履歴を登録する。第9に、アプリケーションサーバ10は、管理者端末20にエラー・判定結果を通知する。第10に、アプリケーションサーバ10は、利用者端末30にアラートを通知する。
【0032】
また、情報管理システム100では、アプリケーションサーバ10は、システム構成が変更された場合であっても、過去のシステム構成の履歴を検索することができる。また、同様に、アプリケーションサーバ10は、過去のエラーやアラートの履歴を検索することができる。
【0033】
(1-4-2.情報管理システム100の改善点)
情報管理システム100では、以下のような改善点が期待できる。第1に、利用者は、データの閾値判定結果、エラー情報を選択して、アラートとして通知を受信することができる。第2に、管理者は、すべての閾値判定結果、エラー情報を一元管理することができるので、トラブルの解析が容易になる。第3に、管理者は、システム構成の変更があった場合も、過去のシステム構成時に発生したエラーについて発生当時のシステム構成を再現し、確認しながら分析することができる。
【0034】
〔2.情報管理システム100の各装置の構成〕
図2を用いて、
図1に示した情報管理システム100が有する各装置の機能構成について説明する。
図2は、実施形態に係る各装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係る情報管理システム100全体の構成例を説明した上で、実施形態に係るアプリケーションサーバ10、管理者端末20、利用者端末30およびプラント機器40の構成例について詳細に説明する。
【0035】
(2-1.情報管理システム100全体の構成例)
図2に示すように、情報管理システム100は、アプリケーションサーバ10、管理者端末20、複数の利用者端末30および複数のプラント機器40(ゲートウェイ機器41、センサ機器42、制御機器43)を有する。アプリケーションサーバ10と管理者端末20と利用者端末30とは、クラウド環境の所定の通信網によって通信可能に接続される。また、プラント機器40は、携帯電話回線網等の通信網Nによって通信可能に接続される。
【0036】
なお、アプリケーションサーバ10は、クラウド環境に構築されるサーバ装置に限定されるものではなく、オンプレミス環境に構築される物理サーバ、仮想マシン、コンテナ等であってもよい。
【0037】
(2-2.アプリケーションサーバ10の構成例)
まず、
図2を用いて、情報管理装置であるアプリケーションサーバ10の構成例について説明する。アプリケーションサーバ10は、通信部11、記憶部12および制御部13を有する。なお、アプリケーションサーバ10は、情報管理システム100のシステム提供者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0038】
(2-2-1.通信部11)
通信部11は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部11は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部11は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0039】
(2-2-2.記憶部12)
記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部12は、構成情報記憶部12a、判定情報記憶部12b、エラー情報記憶部12cおよび設定情報記憶部12dを有する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、
図2の例では、記憶部12は、アプリケーションサーバ10の内部に設置されているが、アプリケーションサーバ10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0040】
(2-2-2-1.構成情報記憶部12a)
構成情報記憶部12aは、後述する制御部13の格納部13eによって格納されるシステムの階層構造の構造情報を記憶する。ここで、
図4を用いて、構成情報記憶部12aが記憶する情報の一例を説明する。
図4は、実施形態に係るアプリケーションサーバ10の構成情報記憶部12aの一例を示す図である。
図4の例において、構成情報記憶部12aは、「アプリケーションサーバ識別情報」、「アプリケーション情報」、「構成情報」といった項目を有する。
【0041】
「アプリケーションサーバ識別情報」は、アプリケーションサーバ10を識別するための識別情報を示し、例えばアプリケーションサーバ10の識別番号や識別記号である。「アプリケーション情報」は、アプリケーションを識別するための識別情報を示し、例えばアプリケーションサーバ10が実行するアプリケーションの識別番号や識別記号である。「構成情報」は、アプリケーションサーバ10が管理するシステムの階層構造を示し、例えばシステムに含まれるプラント機器40の階層関係、接続関係等を把握するためのネットワークマップである。
【0042】
すなわち、
図4では、アプリケーションサーバ識別情報「AS001」によって識別されるアプリケーションサーバ10について、アプリケーション識別情報「アプリケーション001」で識別されるアプリケーションがインストールされ、アプリケーションサーバ10が管理するシステムの構成情報が「システム構成001」である例を示す。また、構成情報記憶部12aが記憶する構成情報は、システムの階層構造が変更されるたびに生成され、階層構造の履歴として蓄積される。
【0043】
ここで、
図3を用いて、構成情報の具体例であるネットワークマップについて説明する。
図3は、実施形態に係るネットワークマップの一例を示す図である。
図3に示すように、ネットワークマップは、アプリケーションサーバ10と接続されるゲートウェイ機器41、センサ機器42、制御機器43等のプラント機器40の階層関係や接続関係を示す情報である。すなわち、
図3の例では、「プラントA」において、ゲートウェイ機器41Aが、「プラント機器A1」として示されたプラント機器40A-1(センサ機器42A-1、センサ機器42A-2、制御機器43A-1)と、「プラント機器A2」として示されたプラント機器40A-2(センサ機器42A-3、制御機器43A-2)と階層的に接続されている。また、同様に、「プラントB」において、ゲートウェイ機器41Bが、「プラント機器B」として示されたプラント機器40B(センサ機器42B-1、センサ機器42B-2、制御機器43B)と階層的に接続されている。
【0044】
(2-2-2-2.判定情報記憶部12b)
判定情報記憶部12bは、後述する制御部13の判定部13bによって出力される判定情報を記憶する。ここで、
図5を用いて、判定情報記憶部12bが記憶する情報の一例を説明する。
図5は、実施形態に係るアプリケーションサーバ10の判定情報記憶部12bの一例を示す図である。
図5の例において、判定情報記憶部12bは、「プラント識別情報」、「時間」、「判定結果」といった項目を有する。
【0045】
「プラント識別情報」は、プラントを識別するための識別情報を示し、例えばアプリケーションサーバ10が管理しているプラントの識別番号や識別記号である。「時間」は、プラント機器40のデータの正常、異常を判定した時間を示し、例えばデータが異常と判定された年月日、時分秒で表わされる。「判定結果」は、プラント機器40のデータの正常、異常を判定した結果を示し、例えば異常と判定されたプラント機器40の識別番号、データの数値、危険度等を含む情報である。
【0046】
すなわち、
図5では、プラント識別情報「P011」によって識別されるプラントについて、時間「T001」の判定結果が「判定結果#1」、時間「T002」の判定結果が「判定結果#2」、時間「T003」の判定結果が「判定結果#3」、・・・である例を示す。また、判定情報記憶部12bが記憶する判定情報は、判定部13bによって判定情報が出力されるたびに格納され、判定結果の履歴として蓄積される。
【0047】
(2-2-2-3.エラー情報記憶部12c)
エラー情報記憶部12cは、後述する制御部13の検出部13cによって出力されるシステムのエラー情報を記憶する。ここで、
図6を用いて、エラー情報記憶部12cが記憶する情報の一例を説明する。
図6は、実施形態に係るアプリケーションサーバ10のエラー情報記憶部12cの一例を示す図である。
図6の例において、エラー情報記憶部12cは、「エラー識別情報」、「時間」、「機器識別情報」といった項目を有するデバイスのエラー情報であるデバイスエラー情報12c-1と、「エラー識別情報」、「時間」、「システム識別情報」といった項目を有するシステム基盤のエラー情報であるシステムエラー情報12c-2とを含む。
【0048】
「エラー識別情報」は、エラーの種別を識別するための識別情報を示し、例えばシステムのエラーの識別番号や識別記号である。「時間」は、システムのエラーが発生した時間を示し、例えばデバイス、通信回線、ソフトウェア、クラウド基盤のエラーが検出された年月日、時分秒で表わされる。「機器識別情報」は、デバイス(機器)を識別するための識別情報を示し、例えばプラント機器40の識別番号や識別記号である。「システム識別情報」は、システム基盤を識別するための識別情報を示し、例えば通信回線、アプリケーションソフトウェア、クラウド基盤の識別番号や識別記号である。
【0049】
すなわち、デバイスエラー情報12c-1について説明すると、
図6では、エラー識別情報「機器エラー#1」によって識別されるデバイスエラーについて、時間「T001」にエラーが検出されたデバイスが「機器A011」、時間「T002」にエラーが検出されたデバイスが「機器A013」、時間「T003」にエラーが検出されたデバイスが「機器B031」、・・・である例を示す。また、エラー情報記憶部12cが記憶するデバイスエラー情報12c-1は、デバイスのエラーが検出されるたびに格納され、システム全体におけるエラーの履歴として蓄積される。
【0050】
また、システムエラー情報12c-2について説明すると、
図6では、エラー識別情報「システムエラー#1」によって識別されるシステムエラーについて、時間「T001」にエラーが検出されたシステム基盤が「通信システムA011」、時間「T002」にエラーが検出されたシステム基盤が「アプリケーションシステム001」、時間「T003」にエラーが検出されたシステム基盤が「クラウドシステム001」、・・・である例を示す。また、エラー情報記憶部12cが記憶するシステムエラー情報12c-2は、システム基盤のエラーが検出されるたびに格納され、システム全体におけるエラーの履歴として蓄積される。
【0051】
(2-2-2-4.設定情報記憶部12d)
設定情報記憶部12dは、後述する制御部13の格納部13eによって格納される各利用者の設定情報を記憶する。設定情報記憶部12dは、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶する。例えば、設定情報記憶部12dは、利用者ごとに、システム基盤で発生するエラーのうち通知対象とするエラー、および利用者が管理対象とするデバイスが送信するデータの異常値が設定される設定情報を記憶する。ここで、
図7を用いて、設定情報記憶部12dが記憶する情報の一例を説明する。
図7は、実施形態に係るアプリケーションサーバ10の設定情報記憶部12dの一例を示す図である。
図7の例において、設定情報記憶部12dは、「利用者識別情報」、「設定情報」といった項目を有する。
【0052】
「利用者識別情報」は、利用者を識別するための識別情報を示し、例えばアプリケーションサーバ10が実行するアプリケーションを利用する事業者の識別番号や識別記号である。「設定情報」は、利用者が設定したアラートの通知対象を示し、例えばアラート通知を要求するエラーの種別、データ判定結果の種別等の一覧表である。
【0053】
すなわち、
図7では、利用者識別情報「U001」によって識別される利用者について、設定情報が「アラート設定001」である例を示す。また、設定情報記憶部12dが記憶する設定情報は、利用者がアラート設定を変更するたびに更新される。また、設定情報記憶部12dは、後述する制御部13の通知部13fによって通知されるアラート情報(システムエラー、データの異常値等)を記憶することもできる。
【0054】
(2-2-3.制御部13)
制御部13は、当該アプリケーションサーバ10全体の制御を司る。制御部13は、収集部13a、判定部13b、検出部13c、取得部13d、格納部13eおよび通知部13fを有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0055】
(2-2-3-1.収集部13a)
収集部13aは、デバイスが送信するデータを収集する。例えば、収集部13aは、プラントに設置される、通信機器、センサ機器または制御機器を含むプラント機器40が送信するプラント情報を収集する。具体的な例を用いて説明すると、収集部13aは、通信機器であるゲートウェイ機器41から通信データを収集し、測定機器であるセンサ機器42から測定データを収集し、制御機器43から制御データを収集する。
【0056】
(2-2-3-2.判定部13b)
判定部13bは、収集されたデータが所定の閾値を超過した場合には異常値と判定し、判定情報を出力する。例えば、判定部13bは、収集されたプラント情報が所定の閾値を超過した場合には異常値と判定し、判定情報を出力する。具体的な例を用いて説明すると、判定部13bは、センサ機器42Aから収集された測定データが所定の閾値を超過した場合には異常値と判定し、判定情報{時間:T001,判定結果:判定結果#1}を出力する。
【0057】
(2-2-3-3.検出部13c)
検出部13cは、システムにおけるエラーの発生を検出し、エラー情報を出力する。例えば、検出部13cは、エラーとして、システムを構成するデバイス、通信回線、ソフトウェア、またはクラウド基盤の障害の発生を検出する。具体的な例を用いて説明すると、検出部13cは、センサ機器42Aの故障が発生した場合にはエラーを検出し、エラー情報{時間:T001,機器識別情報:機器A001}を出力する。
【0058】
(2-2-3-4.取得部13d)
取得部13dは、システムの構成情報を取得する。例えば、取得部13dは、システムに含まれるプラント機器40の階層関係、接続関係等を把握するためのネットワークマップを取得する。
図3に示す例を用いて説明すると、取得部13dは、ネットワークマップとして、{プラントA:ゲートウェイ機器41A(センサ機器42A-1,センサ機器42A-2,制御機器43A-1),ゲートウェイ機器41A(センサ機器42A-3、制御機器43A-2)}、{プラントB:ゲートウェイ機器41B(センサ機器42B-1,センサ機器42B-2,制御機器43B)}のような構成情報を取得する。
【0059】
また、取得部13dは、エラーが発生したときのシステムの構成情報、および異常値が発生したときのシステムの構成情報を取得する。例えば、取得部13dは、デバイス、通信網、ソフトウェア、クラウド基盤等のシステムのエラーが発生した場合には、発生した時点でのシステムの構成情報を管理者端末20から取得する。また、取得部13dは、プラント機器40(ゲートウェイ機器41、センサ機器42、制御機器43)のデバイスの異常値が発生した場合には、発生した時点でのシステムの構成情報を利用者端末30から取得する。また、取得部13dは、エラーや異常値が発生してない場合でも、定期的にシステムの構成情報を管理者端末20や所定のデータベースから取得してもよい。
【0060】
(2-2-3-5.格納部13e)
格納部13eは、取得されたシステムの構成情報を格納する。例えば、格納部13eは、取得部13dによって取得されたシステムに含まれるプラント機器40の階層関係、接続関係等を把握するためのネットワークマップを、構成情報記憶部12aに格納する。
【0061】
また、格納部13eは、出力された判定情報を格納する。例えば、格納部13eは、判定部13bによって出力されたプラント機器40の異常値を含む判定情報を、判定情報記憶部12bに格納する。
【0062】
また、格納部13eは、出力された検出情報を格納する。例えば、格納部13eは、検出部13cによって出力されたデバイス、通信網、ソフトウェア、クラウド基盤等のシステムのエラーを含む検出情報を、エラー情報記憶部12cに格納する。
【0063】
さらに、格納部13eは、エラーを示すエラー情報とシステムの構成情報とを対応付けたエラー履歴、および異常値を示す判定情報とシステムの構成情報とを対応付けた異常値履歴を記憶部12に格納する。具体的な例を用いて説明すると、格納部13eは、エラー履歴として、{エラー情報:機器A011,構成情報:システム構成001}をエラー情報記憶部12cに格納する。また、格納部13eは、異常値履歴として、{判定結果:判定結果#1,構成情報:システム構成001}を判定情報記憶部12bに格納する。
【0064】
(2-2-3-6.通知部13f)
通知部13fは、システムで異常が発生した場合に、当該システムの管理者に異常を通知するとともに、設定情報に基づき、利用者ごとに異常の通知を制御する。例えば、通知部13fは、エラーが発生した場合は、管理者およびエラーを通知対象として設定する利用者に通知し、異常値が発生した場合は、管理者および異常値を通知対象として設定する利用者に通知する。
【0065】
以下では、具体的な例を用いて説明する。システムで発生した異常として、利用者の監視対象であるプラント機器40のうちゲートウェイ機器41の異常値である「異常値A」、センサ機器42の異常値である「異常値B」、制御機器43の異常値である「異常値C」が発生し、プラント機器40の故障である「エラーA」、通信網の逼迫である「エラーB」、アプリケーションのソフトウェアの不具合である「エラーC」、クラウド基盤のリソース不足である「エラーD」が発生したとする。このとき、通知部13fは、管理者の管理者端末20に対して、すべての異常値(「異常値A」、「異常値B」、「異常値C」)を通知し、すべてのエラー(「エラーA」、「エラーB」、「エラーC」、「エラーD」)を通知する。一方、通知部13fは、利用者が設定情報においてアラート通知を要求する通知対象として、異常値について{ゲートウェイ機器41、制御機器43}、エラーについて{通信システム、アプリケーションシステム、クラウドシステム}と設定していた場合には、利用者の利用者端末30に対して、異常値について「異常値A」、「異常値C」を通知し、エラーについて「エラーB」、「エラーC」、「エラーD」を通知する。
【0066】
上述したように、通知部13fは、デバイスの種別やシステムの種別についてアラート設定していた場合には、当該種別ごとに通知を制御することができる。また、通知部13fは、特定のデバイス、特定の時期、特定の場所を除外対象としてアラート設定していた場合には、当該除外対象以外の対象に関するアラート通知を送信することができる。
【0067】
通知部13fは、管理者からエラーまたは異常値の参照要求を受信した場合には、記憶部12に記憶されるエラー履歴または異常値履歴を参照し、参照要求に含まれるエラー情報または判定情報と対応付けられるシステムの構成情報を特定し、特定したシステムの構成情報を管理者に通知する。
【0068】
具体的な例を用いて説明すると、通知部13fは、管理者から「プラントA」のエラーの参照要求を受信した場合には、エラー情報記憶部12cに記憶される「プラントA」のプラント機器40Aのエラー情報を含むエラー履歴{エラー情報:機器A011,構成情報:システム構成001}を参照して、エラー発生時のシステムの構成情報である「システム構成001」を管理者端末20に通知する。また、通知部13fは、管理者から「プラントA」の異常値の参照要求を受信した場合には、判定情報記憶部12bに記憶される「プラントA」のプラント機器40Aの判定情報を含む異常値履歴として、{判定結果:判定結果#1,構成情報:システム構成001}を参照して、異常値発生時のシステムの構成情報である「システム構成001」を管理者端末20に通知する。
【0069】
(2-3.管理者端末20の構成例)
図2を用いて、管理者端末20の構成例について説明する。例えば、管理者端末20は、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップPC、スマートフォン、タブレット型端末、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等により実現される。管理者端末20は、入出力部21および送受信部22を有する。
【0070】
(2-3-1.入出力部21)
入出力部21は、当該管理者端末20への各種情報の入力を司る。入出力部21は、例えば、マウスやキーボード等であり、当該管理者端末20への検索条件等の入力を受け付ける。入出力部21は、当該管理者端末20からの各種情報の出力を司る。入出力部21は、例えば、ディスプレイ等であり、プラントにおける異常値やシステムのエラー等を出力する。
【0071】
(2-3-2.送受信部22)
送受信部22は、各種情報を送信する。例えば、送受信部22は、アプリケーションサーバ10に構成情報の参照要求を送信する。また、送受信部22は、各種情報を受信する。例えば、送受信部22は、アプリケーションサーバ10が送信した判定情報やエラー情報等を受信する。
【0072】
(2-3-3.管理者端末20の表示画面の具体例)
ここで、
図8を用いて、管理者端末20の入出力部21が出力する表示画面の具体例について説明する。
図8は、実施形態に係る管理者端末20の表示画面の具体例を示す図である。以下では、「アプリケーション管理システム 通知管理画面」における「受信通知一覧」、「検索条件」の順に説明する。
【0073】
(2-3-3-1.受信通知一覧)
図8に示すように、管理者端末20は、アプリケーションサーバ10から受信した通知一覧画面である「受信通知一覧」を表示する。
図8の例では、管理者端末20は、システム基盤のエラーに関する通知である「システムエラー一覧」をエラーの発生順に表示し、デバイスのエラーに関する通知である「デバイスエラー一覧」をエラーの発生順に表示し、データの判定結果に関する通知である「データ異常判定一覧」を異常値の発生順に表示している。このとき、管理者は、表示された一覧のうち選択した一部の項目をクリック操作することによって、選択した項目に関する通知の詳細を閲覧することができる。
【0074】
(2-3-3-2.検索条件)
図8に示すように、管理者端末20は、発生したエラー等を分析するために入力する条件である「検索条件」を表示する。
図8の例では、管理者端末20は、検索する項目として「システム構成」、「システムエラー」、「デバイスエラー」、「データ異常」を選択可能なラジオボタンを表示する(検索対象選択)。また、管理者端末20は、検索する場所を選択可能なプルダウンメニューと、検索する時期を入力可能なテキストボックスとを表示する(検索範囲選択)。このとき、管理者は、「検索開始」ボタンをクリック操作することによって、「作業場所P001a」、「2022/07/21~2022/08/22」におけるシステムの構成情報である「システム構成」を検索することができる。
【0075】
(2-3-3-3.その他)
管理者は、同様にして、所定の場所、所定の期間に発生したシステム基盤のエラーである「システムエラー」や、所定の場所、所定の期間に発生したデバイスのエラーである「デバイスエラー」や、所定の場所、所定の期間に発生した異常値である「データ異常」を検索することができる。
【0076】
(2-4.利用者端末30の構成例)
図2を用いて、利用者端末30の構成例について説明する。例えば、利用者端末30は、ノート型PC、デスクトップPC、スマートフォン、タブレット型端末、携帯電話機、PDA等により実現される。利用者端末30は、入出力部31および送受信部32を有する。
【0077】
(2-4-1.入出力部31)
入出力部31は、当該利用者端末30への各種情報の入力を司る。入出力部31は、例えば、マウスやキーボード等であり、当該利用者端末30へのアラーム通知に関する設定情報等の入力を受け付ける。入出力部31は、当該利用者端末30からの各種情報の出力を司る。入出力部31は、例えば、ディスプレイ等であり、プラントにおける異常値やシステムのエラー等を出力する。
【0078】
(2-4-2.送受信部32)
送受信部32は、各種情報を送信する。例えば、送受信部32は、アプリケーションサーバ10にアラーム通知に関する設定情報等を送信する。また、送受信部32は、各種情報を受信する。例えば、送受信部32は、アプリケーションサーバ10が送信した判定情報やエラー情報等を受信する。
【0079】
(2-4-3.利用者端末30の表示画面の具体例)
ここで、
図9を用いて、利用者端末30の入出力部31が出力する表示画面の具体例について説明する。
図9は、実施形態に係る利用者端末30の表示画面の具体例を示す図である。以下では、「プラント監視システム 通知管理画面」における「受信通知設定」、「データ判定通知」、「エラー通知」の順に説明する。
【0080】
(2-4-3-1.受信通知設定)
図9に示すように、利用者端末30は、アプリケーションサーバ10から受信するアラート通知を設定する画面である「受信通知設定」を表示する。
図9の例では、利用者端末30は、データの判定結果に関するアラート通知を選択する「データ異常判定」の設定画面を表示し、デバイスのエラーに関するアラート通知を選択する「デバイスエラー」の設定画面を表示し、システム基盤のエラーに関するアラート通知を選択する「システムエラー」の設定画面を表示している。このとき、利用者は、表示された項目をチェックすることによって、アラート通知を受信する設定をすることができる。
【0081】
(2-4-3-2.データ判定通知)
図9に示すように、利用者端末30は、アプリケーションサーバ10から受信したデータ判定に関するアラート通知を表示する画面である「データ判定通知」を表示する。
図9の例では、利用者端末30は、データの判定結果に関するアラート通知として「作業現場001bで、異常データを検出しました。」と表示している。このとき、利用者は、「通知確認」ボタンをクリック操作することによって、最新のアラート通知を受信することができる。
【0082】
(2-4-3-3.エラー通知)
図9に示すように、利用者端末30は、アプリケーションサーバ10から受信したシステム全体のエラーに関するアラート通知を表示する画面である「エラー通知」を表示する。
図9の例では、利用者端末30は、システム全体のエラーに関するアラート通知として「新しい受信メッセージはありません。」と表示している。このとき、利用者は、「通知確認」ボタンをクリック操作することによって、最新のアラート通知を受信することができる。
【0083】
(2-5.プラント機器40の構成例)
図2を用いて、プラント機器40の構成例について説明する。例えば、プラント機器40は、通信機器であるゲートウェイ機器41、測定機器であるセンサ機器42、プラント機器の制御を司る制御機器43等で構成される。
【0084】
ゲートウェイ機器41は、通信データを収集する。例えば、ゲートウェイ機器41は、プラントごとにパケット通信のデータ量を収集する。センサ機器42は、測定データを収集する。例えば、センサ機器42は、プラントの工程ごとに温度データ、流速データ、圧力データ等を収集する。制御機器43は、制御データを収集する。例えば、制御機器43は、プラントごとのゲートウェイ機器41やセンサ機器42に対する制御信号を収集する。
【0085】
〔3.情報管理システム100の処理の流れ〕
図10を用いて、実施形態に係る情報管理システム100の処理の流れについて説明する。
図10は、実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、下記のステップS101~S114の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S114の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0086】
(3-1.構成情報制御処理)
アプリケーションサーバ10は、システムの構成情報を格納する(ステップS101)。例えば、アプリケーションサーバ10は、エラー発生時のシステムの構成情報を管理者端末20から取得し、構成情報記憶部12aに格納する。
【0087】
(3-2.設定情報制御処理)
第1に、利用者端末30は、アラート通知を設定する(ステップS102)。例えば、利用者端末30は、利用者の入力に応じて、アラート通知を要求する異常値、エラーを選択した設定情報を生成する。第2に、利用者端末30は、設定情報を送信する(ステップS103)。例えば、利用者端末30は、アラート通知を要求する異常値、エラーを選択した設定情報をアプリケーションサーバ10に送信する。第3に、アプリケーションサーバ10は、設定情報を格納する(ステップS104)。例えば、アプリケーションサーバ10は、利用者端末30から受信した設定情報を、利用者ごとに設定情報記憶部12dに格納する。
【0088】
(3-3.判定情報制御処理)
第1に、アプリケーションサーバ10は、デバイスからデータを収集する(ステップS105)。例えば、アプリケーションサーバ10は、プラント機器40からプラント情報を収集する。第2に、アプリケーションサーバ10は、データの正常、異常を判定する(ステップS106)。例えば、アプリケーションサーバ10は、プラント情報が所定の閾値を超過した場合には、異常値と判定する。第3に、アプリケーションサーバ10は、判定情報を通知する(ステップS107)。例えば、アプリケーションサーバ10は、管理者端末20にはすべての判定情報を送信し、利用者端末30には利用者がアラート通知を設定した通知対象の判定情報を送信する。第4に、アプリケーションサーバ10は、判定情報を格納する(ステップS108)。例えば、アプリケーションサーバ10は、異常値の履歴である判定情報を、プラントごとに判定情報記憶部12bに格納する。
【0089】
(3-4.エラー情報制御処理)
第1に、アプリケーションサーバ10は、システムのエラーを検出する(ステップS109)。例えば、アプリケーションサーバ10は、デバイス、通信、アプリケーション、クラウド環境の異常を検出する。第2に、アプリケーションサーバ10は、エラー情報を通知する(ステップS110)。例えば、アプリケーションサーバ10は、管理者端末20にはすべてのエラー情報を送信し、利用者端末30には利用者がアラート通知を設定した通知対象のエラー情報を送信する。第3に、アプリケーションサーバ10は、エラー情報を格納する(ステップS111)。例えば、アプリケーションサーバ10は、システム全体のエラーの履歴であるエラー情報を、エラーの種別ごとにエラー情報記憶部12cに格納する。
【0090】
(3-5.検索情報制御処理)
第1に、管理者端末20は、検索要求を送信する(ステップS112)。例えば、管理者端末20は、アプリケーションサーバ10に、異常値やエラー発生時のシステムの構成情報の検索を要求する。第2に、アプリケーションサーバ10は、要求情報を検索する(ステップS113)。例えば、アプリケーションサーバ10は、管理者端末20から送信されたシステムの構成情報を要求情報として検索する。第3に、アプリケーションサーバ10は、要求情報を送信する(ステップS114)。例えば、アプリケーションサーバ10は、管理者端末20に、特定した構成情報を要求情報として送信する。
【0091】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~7について説明する。
【0092】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、システムで異常が発生した場合にシステムの管理者に異常を通知するとともに、設定情報に基づき利用者ごとに前記異常の通知を制御する。このため、本処理では、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。
【0093】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、利用者ごとにシステムの基盤で発生するエラーのうち通知対象とするエラーおよび利用者が管理対象とするデバイスが送信するデータの異常値が設定される設定情報を記憶し、エラーが発生した場合は管理者およびエラーを通知対象として設定する利用者に通知し、異常値が発生した場合は管理者および異常値を通知対象として設定する利用者に通知する。このため、本処理では、利用者に対する通知対象を選択可能とすることによって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。
【0094】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、エラーが発生したときのシステムの構成情報および異常値が発生したときのシステムの構成情報を取得し、エラーを示すエラー情報とシステムの構成情報とを対応付けたエラー履歴および異常値を示す判定情報とシステムの構成情報とを対応付けた異常値履歴を記憶部12に格納する。このため、本処理では、異常が発生したときのシステム構成を検索可能に保持することによって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。例えば、本処理では、過去のエラーを検索した場合、途中でシステム構成が変更されたとしても、システム構成情報と紐づけて履歴が管理されているので、過去に同様なシステム構成において、エラーが起きたか否かを明確に把握することができる。
【0095】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、管理者からエラーまたは異常値の参照要求を受信した場合には、記憶部12に記憶されるエラー履歴または異常値履歴を参照し、参照要求に含まれるエラー情報または判定情報と対応付けられるシステムの構成情報を特定し、特定したシステムの構成情報を管理者に通知する。このため、本処理では、異常が発生したときのシステム構成を管理者に提供することによって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。
【0096】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、デバイスが送信するデータを収集し、収集したデータが所定の閾値を超過した場合には異常値と判定し判定情報を出力し、システムにおけるエラーの発生を検出しエラー情報を出力する。このため、本処理では、異常値の判定およびエラーの検出を実行することによって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。
【0097】
(4-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、プラントに設置される、通信機器、センサ機器または制御機器を含むプラント機器40が送信するプラント情報を収集し、収集したプラント情報が所定の閾値を超過した場合には異常値と判定し判定情報を出力する。このため、本処理では、プラントにおける異常値の判定およびエラーの検出を実行することによって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。
【0098】
(4-7.効果7)
第7に、上述した実施形態に係る処理では、アプリケーションサーバ10は、エラーとして、システムを構成するデバイス、通信回線、ソフトウェア、またはクラウド基盤の障害の発生を検出する。このため、本処理では、クラウド環境における異常値の判定およびエラーの検出を実行することによって、システムに関する情報を各利用者に効果的に提供することができる。
【0099】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0100】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0101】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0102】
〔ハードウェア〕
次に、情報提供装置であるアプリケーションサーバ10のハードウェア構成例を説明する。なお、管理者端末20等の他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。
図11は、ハードウェア構成例を説明する図である。
図11に示すように、アプリケーションサーバ10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図11に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0103】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、
図2に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0104】
プロセッサ10dは、
図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、
図2等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、アプリケーションサーバ10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、収集部13a、判定部13b、検出部13c、取得部13d、格納部13e、通知部13f等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、収集部13a、判定部13b、検出部13c、取得部13d、格納部13e、通知部13f等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0105】
このように、アプリケーションサーバ10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、アプリケーションサーバ10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、アプリケーションサーバ10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0106】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0107】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0108】
(1)システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶する記憶部と、前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する通知部と、を備える情報管理装置。
【0109】
(2)前記記憶部は、前記利用者ごとに、前記システムの基盤で発生するエラーのうち前記通知対象とする前記エラー、および前記利用者が管理対象とするデバイスが送信するデータの異常値が設定される前記設定情報を記憶し、前記通知部は、前記エラーが発生した場合は、前記管理者および前記エラーを前記通知対象として設定する前記利用者に通知し、前記異常値が発生した場合は、前記管理者および前記異常値を前記通知対象として設定する前記利用者に通知する、(1)に記載の情報管理装置。
【0110】
(3)前記エラーが発生したときの前記システムの構成情報、および前記異常値が発生したときの前記システムの構成情報を取得する取得部と、前記エラーを示すエラー情報と前記システムの構成情報とを対応付けたエラー履歴、および前記異常値を示す判定情報と前記システムの構成情報とを対応付けた異常値履歴を前記記憶部に格納する格納部と、をさらに備える(1)または(2)に記載の情報管理装置。
【0111】
(4)前記通知部は、前記管理者から前記エラーまたは前記異常値の参照要求を受信した場合には、前記記憶部に記憶される前記エラー履歴または前記異常値履歴を参照し、前記参照要求に含まれる前記エラー情報または前記判定情報と対応付けられる前記システムの構成情報を特定し、特定した前記システムの構成情報を前記管理者に通知する、(3)に記載の情報管理装置。
【0112】
(5)前記デバイスが送信する前記データを収集する収集部と、収集された前記データが所定の閾値を超過した場合には前記異常値と判定し、判定情報を出力する判定部と、前記システムにおける前記エラーの発生を検出し、エラー情報を出力する検出部と、をさらに備える(2)~(4)のいずれか1つに記載の情報管理装置。
【0113】
(6)前記収集部は、プラントに設置される、通信機器、センサ機器または制御機器を含むプラント機器が送信するプラント情報を収集し、前記判定部は、収集された前記プラント情報が所定の閾値を超過した場合には前記異常値と判定し、前記判定情報を出力する、(5)に記載の情報管理装置。
【0114】
(7)前記検出部は、前記エラーとして、前記システムを構成するデバイス、通信回線、ソフトウェア、またはクラウド基盤の障害の発生を検出する、(5)または(6)に記載の情報管理装置。
【0115】
(8)コンピュータが、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する、処理を実行する情報管理方法。
【0116】
(9)コンピュータに、システムに関連するアプリケーションの利用者ごとに、各利用者へ通知する通知対象が設定される設定情報を記憶し、前記システムで異常が発生した場合に、前記システムの管理者に前記異常を通知するとともに、前記設定情報に基づき、前記利用者ごとに前記異常の通知を制御する、処理を実行させる情報管理プログラム。
【符号の説明】
【0117】
10 アプリケーションサーバ
11 通信部
12 記憶部
12a 構成情報記憶部
12b 判定情報記憶部
12c エラー情報記憶部
12d 設定情報記憶部
13 制御部
13a 収集部
13b 判定部
13c 検出部
13d 取得部
13e 格納部
13f 通知部
20 管理者端末
21 入出力部
22 送受信部
30 利用者端末
31 入出力部
32 送受信部
40 プラント機器
41 ゲートウェイ機器
42 センサ機器
43 制御機器
100 情報管理システム