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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036063
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/10 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B65D35/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140775
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
3E065BB03
3E065CA09
3E065DA04
3E065DB05
3E065DC01
3E065FA02
3E065HA01
(57)【要約】
【課題】構成する部品数が少なく、注出作業が簡明であり、しかも、保存中に内容物が漏れることのないチューブ容器を提供すること。
【解決手段】胴部形成用シートを丸めて構成した筒状胴部110と、肩部121と首部122とから成る注出具120と、この注出具120を覆うトップシール130を備えたチューブ容器100とする。胴部形成用シートの端部が折り曲げられて前記肩部の上側表面の周縁に固定されており、前記トップシールがその周縁で前記胴部形成用シートに固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部形成用シートを丸めて構成した筒状胴部と、前記筒状胴部の端部に固定された注出具と、この注出具を覆うトップシールとを備えたチューブ容器であって、
前記注出具が肩部と首部とから成り、首部の下端に肩部が固定されており、
かつ、これら肩部と首部とを貫通する注出路を有しており、
前記胴部形成用シートの端部が折り曲げられて前記肩部の上側表面の周縁に固定されており、
前記トップシールがその周縁で前記胴部形成用シートに固定されていることを特徴とするチューブ容器。
【請求項2】
前記胴部形成用シートがガスバリア性を有していることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記トップシールがガスバリア性を有していることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記トップシールが前記注出路を密封していることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項5】
前記首部の先端にキャップが施蓋されており、このキャップを覆うように前記トップシールが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。特に、先端にノズルを有し、このノズルによって精度よく注出することのできるチューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
このようなチューブ容器は、一般に図4に示すようなものである。なお、図4は内容物を充填する前のチューブ容器200を示しており、図4(a)はその正面図、図4(b)は断面説明図である。
【0004】
これら図4(a)及び(b)から分るように、チューブ容器200は、筒状胴部410と注出具420とで構成されている。筒状胴部410はシートを丸めてその両端を封筒貼りして形成されている。
【0005】
また、注出具420は肩部421と首部422とを一体に射出成型して製造された樹脂成型品である。この肩部421は首部422の下端に位置しており、首部422の周囲に広がって、首部422を前記筒状胴部410に接続する部分である。そして、この肩部421の上側の一部に、これを被覆するように前記筒状胴部410の端部412が重ねられ、こうして肩部421の一部に重ねた筒状胴部410の端部412を固定している。
【0006】
なお、図4(b)から分るように、注出具420には肩部421と首部422とを貫通する注出路が設けられている。
【0007】
良く知られているように、このチューブ容器200には、筒状胴部410の両端部のうち、注出具420が装着されておらず、解放されている端部から内容物を充填し、この解放端部を閉塞して使用する。解放端部の閉塞には、例えば巻き締め等の方法が使用されている。
【0008】
一方、内容物としてコーキング剤等を収容するチューブ容器には、その保存性を高めるために、筒状胴部と注出具との間に注出路を閉塞する閉塞フィルムを設け、また、注出する際には、その塗布位置に狙いを定めて精度良く注出できるように注出具の先端にノズルを配置したものもある。
【0009】
図5はこのようなノズル付きのチューブ容器300の説明用要部断面図で、この図から分かるように、このチューブ容器300は、筒状胴部310、注出具320、閉塞フィルム330及びノズル320という4つの部品で構成されている。
【0010】
閉塞フィルム330は、突き刺しによって容易に破断できるフィルムで、しかも酸素ガス等のガスを透過しないフィルムで構成されており、図示のように、筒状胴部310の一方の端部を覆って閉塞し、その周縁を筒状胴部310の外側に折り込んで接着している。
【0011】
注出具320は、前述の注出具220と同様に肩部と首部とを有しており、これらを貫通する注出路を有している。また、首部には、その外面にネジ部が設けられている。
【0012】
そして、この注出具320は前記閉塞フィルム330の上に接着されており、その注出
路の位置で閉塞フィルム330を破断した場合にも、これら筒状胴部310、閉塞フィルム330及び注出具320が一体性を失わないように構成されている。
【0013】
ノズル320は、注出具320の首部外面のネジ部に螺合して、注出具320に着脱自在に取り付けられている。このノズル320は、注出具320の注出路から注出する内容物を目的とする塗布位置に狙いを定めて精度良く注出できるように設けられたもので、比較的長い筒状の成型物で、その先端が細く構成されている。
【0014】
このチューブ容器300も、前述のチューブ容器200と同様に、解放されている端部から内容物を充填し、この解放端部を閉塞して使用する。
【0015】
このチューブ容器300から内容物を注出する際には、まず、ノズル320を注出具320から取り外し、露出した注出具220の注出路からカッター等を差し込んで、閉塞フィルム330中央部を破断して開口を作成する。次に、ノズル320を注出具320に螺合して固定し、筒状胴部310の外側から押圧することにより、閉塞フィルム330の開口、注出具220の注出路及びノズル320を通って内容物を吐出することができる。ノズル320が比較的長い筒状で、先端が細くされているため、この細い先端を目的とする塗布位置に近接させて吐出することにより、目的位置に精度良く吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2016-199280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、コーキング剤等を収容する前記チューブ容器300は、ノズル320を含む4つの部品で構成されており、このように多数の部品で構成されている上、内容物を注出する際には、このノズル320を取り外して閉塞フィルム330を破断し、再度ノズル320を取り付けるという煩雑な作業を必要とする。
【0018】
また、内容物によっては、筒状胴部310と閉塞フィルム330との間でデラミネーションが発生することもあった。
【0019】
そこで、本発明は、構成する部品数が少なく、注出作業が簡明であり、しかも、保存中に内容物が漏れることのないチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
すなわち、請求項1に記載の発明は、胴部形成用シートを丸めて構成した筒状胴部と、前記筒状胴部の端部に固定された注出具と、この注出具を覆うトップシールとを備えたチューブ容器であって、
前記注出具が肩部と首部とから成り、首部の下端に肩部が固定されており、
かつ、これら肩部と首部とを貫通する注出路を有しており、
前記胴部形成用シートの端部が折り曲げられて前記肩部の上側表面の周縁に固定されており、
前記トップシールがその周縁で前記胴部形成用シートに固定されていることを特徴とするチューブ容器である。
【0021】
前記胴部形成用シートと前記トップシールとは、いずれも、ガスバリア性を有していることが望ましい。
【0022】
そして、このトップシールで前記注出路が密封されていてもよいし、前記首部の先端にキャップが施蓋されており、このキャップにより前記注出路が密封されていてもよい。この場合には、このキャップを覆うように前記トップシールを設けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のチューブ容器は、筒状胴部、注出具及びトップシールから成る3つの部品で構成することができる。このため、少ない部品数で構成することができる。また、注出の際にも、トップシールを剥離除去するだけで可能なので、極めて簡明である。
【0024】
そして、胴部形成用シートの端部が折り曲げられて肩部の上側表面の周縁に固定されているため、胴部形成用シートと肩部とがデラミネーションして内容物が漏れ出すということがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明のチューブ容器の第1の実施の形態に係り、図1(a)はその正面図、図1(b)は断面説明図である。
図2図2は本発明のチューブ容器の第2の実施の形態に係る要部断面説明図である。
図3図3は本発明のチューブ容器の第3の実施の形態に係る要部断面説明図である。
図4図4は従来のチューブ容器に係り、図4(a)はその正面図、図4(b)は断面説明図である。
図5図5は従来の別のチューブ容器に係る要部断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のチューブ容器の実施の形態に係り、図1(a)はその正面図、図1(b)は断面説明図である。
【0027】
これらの図から分かるように、この実施の形態に係るチューブ容器100は3つの部品で構成されている。すなわち、筒状胴部110、注出具120及びトップシール130である。
【0028】
筒状胴部110は、長方形状の胴部形成用シートを丸め、その両端を封筒貼りして形成したものであり、その両端が解放されている。
【0029】
この胴部形成用シートとしては、酸素ガスや水蒸気等のガスの透過を防止するガスバリア性シートで構成されたものであることが必要である。また、内容物の風味の経時的低下を防止する場合には、この風味が透過することを防止できるシートを使用することができる。このように、内容物やその保護目的に応じて適切な種類のガスを遮断するシートを使用することができる。
【0030】
例えば、酸素ガスの透過を防止する酸素ガスバリア性のシートとしては、アルミニウム等の金属箔や金属蒸着膜をその層構成中に含むラミネートシートを使用することができる。また、アルミナやシリカ等の無機透明蒸着膜をその層構成中に含むラミネートシートを使用することも可能である。このほかエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂も酸素ガスバリア性に優れていることから、これら樹脂をその層構成中に含むラミネートシートを使用することもできる。
【0031】
また、前述のように、この胴部形成用シートは、封筒貼りによって筒状胴部110を形
成するから、その表面はヒートシール可能に構成されていることができる。このようにヒートシール可能な表面を構成する樹脂としてはポリオレフィン樹脂が例示できる。例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等である。
【0032】
このような胴部形成用シートとしては、例えば、その外面側から、ガスバリア性フィルム、中間層及びヒートシール層を積層したラミネートシートを例示できる。中間層はポリアミドフィルム等の樹脂フィルムであってもよく、また、不透明の紙であってもよい。中間層が不透明である場合には、内容物の光劣化を防止することも可能である。また、紙化率の高いラミネートシート、例えば紙化率30%以上のラミネートシートを使用して環境対応の容器とすることもできる。
【0033】
次に、注出具120は、肩部121と首部122とから成る樹脂成型品で、前記筒状胴部110の端部に固定される。この注出具120もガスバリア性に優れた樹脂を素材とすることが望ましい。酸素バリア性に優れた樹脂としては、例えば、前述のエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂を例示することができる。このような酸素バリア性樹脂に他の樹脂をブレンドして成形したものであってもよい。例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂とポリオレフィン樹脂とをブレンドして、射出成型することで注出具120を成型することができる。
【0034】
すなわち、注出具120は、その首部122の下端に前記肩部121が固定されるように成形されたもので、前記肩部121は、首部122の下端を中心として、その周囲に広がった形状を有しており、その上側表面は凹凸や曲率のない平面を構成している。
【0035】
もちろん、この注出具120には、肩部121と首部122とを貫通する注出路が設けられている。
【0036】
そして、この注出具120は、前記筒状胴部110の端部に固定される。すなわち、図1(b)に示すように、筒状胴部110の一端からその内部に前記肩部121を収容し、筒状胴部110の端部112を折り曲げて、この端部112を前記肩部121の上側表面に重ね、ヒートシールすることにより、これを前記肩部121の上側表面に固定することができる。筒状胴部110の端部112を構成する胴部形成用シートは、上側表面の全面を被覆してその端面が首部122に当接していることが望ましいが、そうでなくても、前記胴部形成用シートが前記肩部121の上側表面の全面をほぼ被覆していればよい。肩部121の上側表面が凹凸や曲率のない平面を構成している場合には、筒状胴部端部112の胴部形成用シートを折り畳むことにより、肩部121の上側表面を隙間なく被覆することが可能である。
【0037】
首部122は、その内部の注出路を通して内容物を注出する部位である。そして、前述のように筒状胴部110はガスバリア性の胴部形成用シートで構成されており、このガスバリア性胴部形成用シートは肩部121の上側表面の全面をほぼ被覆している。
【0038】
次に、前記トップシール130は注出具120を覆うように設けられている。そして、その中央は注出具120の先端表面にシールされており、このシールにより、注出路を密封している。また、その周縁で前記胴部形成用シート110に固定されている。図1(b)から分るように、トップシール130が胴部形成用シート110に固定されている位置は、胴部形成用シート110が肩部121の上側表面に固定された領域の内部である。
【0039】
トップシール130は、胴部形成用シートと同様に、内容物やその保護目的に応じて適切な種類のガスを遮断するシートを使用することが望ましい。例えば、金属箔、金属蒸着
膜、無機透明蒸着膜あるいはエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂等を層構成中に含む酸素ガスバリア性のラミネートフィルムである。
【0040】
このチューブ容器100も、前述のチューブ容器200やチューブ容器300と同様に、解放されている端部から内容物を充填し、この解放端部を閉塞して使用することができる。解放端部を閉塞する方法としては、例えば巻き締め等の方法が例示できる。
【0041】
このチューブ容器100から内容物を注出する際には、まず、トップシール130を胴部形成用シート110及び注出具120の先端表面から剥離除去する。この剥離除去によって注出路が開通するから、筒状胴部110の外側から押圧することにより、この注出路を通って内容物を吐出することができる。
【0042】
次に、図2は本発明のチューブ容器の第2の実施の形態に係る要部断面説明図である。このチューブ容器100Aは、首部122Aが長く、しかも、その先端が細く構成された注出具120Aを使用したもので、その他は第2の実施の形態に係るチューブ容器100と同様である。
【0043】
このチューブ容器100Aでは、注出具120Aの首部122Aが長く、しかも、その先端が細く構成されているため、目的とする塗布位置に狙いを定めて精度良く内容物を吐出することができる。
【0044】
また、図3は本発明のチューブ容器の第3の実施の形態に係る要部断面説明図である。このチューブ容器100Bでは、注出具120Bの先端にキャップ140が施蓋されており、このキャップ140によって注出路を密封している。そして、このトップシール130は、このキャップ140の上から、このキャップ140と注出具120Bの両者を覆うように設けられている。
【0045】
このチューブ容器100Bを使用する際には、まず、トップシール130を剥離除去し、次に、キャップ140を外すことにより、注出路が開通する。そして、筒状胴部110の外側から押圧することにより、この注出路を通って内容物を吐出することができる。
【0046】
なお、図示のように、キャップ140が注出具120Bの首部122Bに螺合している場合には、一旦キャップ140にも再度施蓋することができるから、内容物の一部を注出して使用した後、残部をチューブ容器100B内にそのまま保存することができる。
【符号の説明】
【0047】
100,100A,100B:チューブ容器
110:筒状胴部 111:筒状胴部本体 112:筒状胴部端部
120,120A,120B:注出具
121,121A,121B:肩部
122,122A,122B:首部
130:トップシール
140:キャップ
図1
図2
図3
図4
図5