(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036065
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20240308BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20240308BHJP
B65D 30/20 20060101ALI20240308BHJP
B65D 5/40 20060101ALI20240308BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/38
B65D30/20 F
B65D5/40
B65D5/54 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140777
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横山 吏世
【テーマコード(参考)】
3E060
3E064
【Fターム(参考)】
3E060AA01
3E060BC01
3E060BC04
3E060CE04
3E060CE08
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060CF06
3E060CG12
3E060DA17
3E060EA03
3E064AA03
3E064BA01
3E064BA24
3E064BA54
3E064BB03
3E064EA12
3E064FA04
3E064GA04
3E064HM01
3E064HM03
3E064HN05
3E064HN65
3E064HP01
3E064HP02
3E064HS07
3E064HU02
(57)【要約】
【課題】紙と樹脂層とを層構成中に含む積層シートから成る包装容器であって、残留した液体内容物を容易に取り出すことができる包装容器を提供すること。
【解決手段】紙と樹脂層とを層構成中に含む積層シートを2枚重ね、その周縁を互いに固定すると共に、内部を液体内容物の収容部とする。そして、2枚の前記積層シートのうち、一方を天部側シート1A、他方を底部側シート1Bとして、これら天部側シートと底部側シートとが、いずれも、その縁端に切り欠け1Ay,1Byを有しており、かつ、これら天部側シートと底部側シートのうち少なくとも一方のシートがその切り欠けを始点とする易破断線1Az,1Bzを有している。そして、天部側シートの前記切り欠け1Ayと底部側シートの前記切り欠け1Byとが互いに位置整合している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙と樹脂層とを層構成中に含む積層シートを2枚重ね、その周縁を互いに固定すると共に、内部を液体内容物の収容部とした包装容器において、
2枚の前記積層シートのうち、一方を天部側シート、他方を底部側シートとして、
これら天部側シートと底部側シートとが、いずれも、その縁端に切り欠けを有しており、かつ、これら天部側シートと底部側シートのうち少なくとも一方のシートがその切り欠けを始点とする易破断線を有しており、
天部側シートの前記切り欠けと底部側シートの前記切り欠けとが互いに位置整合していることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記天部側シートと底部側シートのうち前記易破断線を有するシートが、紙、延伸プラスチックフィルム及びポリオレフィン系樹脂層を積層して構成されており、
前記易破断線が、このシートに含まれる紙と延伸プラスチックフィルムの全部に施されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムから成ることを特徴とする請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記天部側シートに開口部が設けられ、この開口部にはスパウトが装着されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
前記天部側シートと底部側シートとが、それぞれ、次の構造を有することを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
天部側シートの構造:
中央に多角形状の天面を有し、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有しており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
底部側シートの構造:
中央に多角形状の底面を有し、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有しており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙と樹脂層とを有する2枚の積層シートで構成され、これら2枚の積層シートを互いに重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定して構成された包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙を基材とし、これに合成樹脂を積層した積層シートを2枚使用して構成した包装容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
この包装容器6は次のようなものである。
【0004】
すなわち、この包装容器6に使用する天部側シート6Aは、
図10に示すように、その中央に四角形状の天面6A10を有しており、この天面6A10には開口部が設けられ、この開口部にはスパウト2Cが装着されている。
【0005】
次に、天部側シート6Aは、四角形状の天面6A10の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面6A10の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面6A21~6A24を有している。天部側側面6A21~6A24の数は、多角形状天面6A10の辺の数と同じ4である。
【0006】
また、天部側シート6Aは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面6A21~6A24同士を繋ぐ天部側つなぎ片6A31~6A34を有している。すなわち、天部側側面6A21と天部側側面6A22との間は天部側つなぎ片6A31で繋がれている。また、天部側側面6A22と天部側側面6A23との間は天部側つなぎ片6A32で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面6A21~6A24と天部側つなぎ片6A31~6A34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。
【0007】
そして、この天部側つなぎ片6A31~6A34によって、天部側側面6A21~6A24の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面6A21~6A24と天部側つなぎ片6A31~6A34とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片6A31~6A34はその角部に位置して、天部側側面6A21~6A24の間を閉塞している。例えば、天部側側面6A21と天部側側面6A22との間は天部側つなぎ片6A31で閉塞している。
【0008】
次に、天部側シート6Aは、これら天部側側面6A21~6A24と天部側つなぎ片6A31~6A34とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート6Bと固定するヒートシール領域から成る天部側固定部6A40を有している。なお、説明の便宜上、この
図10においては、天部側側面6A21の外側に位置する天部側固定部に符号「6A41」を付して示している。
【0009】
そして、前記天部側つなぎ片6A31~6A34は、天面6A10の各頂点から、天部側つなぎ片6A31~6A34を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、
図10に拡大して示すように、例えば、天部側側面6A23と天部側側面6A24とは、天面6A10の頂点6A10bを共有している。天部側側面6A23を構成する辺のうち、天面6A10の頂点6A10bを共有している辺には、符号6A23bを付して示している。また、天部側側面6A24を構成する辺のうち、天面6A10の頂点6A10
bを共有している辺には、符号6A24bを付して示している。そして、この辺6A23bと辺6A24bとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線6A33cが設けられ、この天部側二つ折り用罫線6A33cによって、天部側つなぎ片6A33は2つの領域6A331,6A332に区分されている。すなわち、図において、辺6A23bと二つ折り用罫線6A33cとがなす角θ1と、辺6A24bと天部側二つ折り用罫線6A33cとがなす角θ2とは等しく、領域6A331と領域6A332とは、同形同大で、しかも、天部側二つ折り用罫線6A33cを対称軸として線対称に配置されている。
【0010】
なお、この天部側二つ折り用罫線6A33cは、天部側つなぎ片6A31を超えて、その外側に位置する天部側固定部にも延在している。すなわち、天部側二つ折り用罫線6A33cは、天部側つなぎ片6A33を領域6A331と領域6A332とに二分すると共に、その外側の天部側固定部も二分している。
【0011】
ところで、
図10中、6A43αは、天部側つなぎ片6A33の外側に位置する天部側固定部であって、天部側二つ折り用罫線6A33cによって二分された天部側固定部の2つの領域のうち、領域6A331の外側に位置する領域を示し、6A43βは領域6A332の外側に位置する領域を示している。そして、この図から分かるように、領域6A43βは領域6A43αよりも大きく構成されている。このため、前記天部側二つ折り用罫線6A33cを二つ折りしたとき、天部側つなぎ片6A33を構成する2つの領域6A331,6A332は互いにぴったりと重なり合うが、その外側に位置する2つの領域6A43α,6A43βとはぴったりと重なり合うことがなく、領域6A43αの端部から領域6A43βが突出する。
【0012】
このため、天部側二つ折り用罫線6A33cで二つ折りすると、領域6A331と領域6A332とが互いに位置整合してぴったりと重なり、また、領域6A43αと領域6A43βとが互いに位置整合して重なる。
【0013】
なお、側面6A21及びこれに対向する側面6A23の縁端には、それぞれ、位置合わせ用切り欠け6Ayが2箇所に設けられている。後述するように、これら切り欠け6Ayは、天部側シート6Aと底部側シート6Bとを重ね合わせる際に両シート6A,6Bの位置決めのために設けられたものである。なお、天部側シート6Aにおける側面6A21の縁端と側面6A23との間の距離6ALは、底部側シート6Bにおける側面6B21の縁端と側面6B23との間の距離6BLよりわずかに大きく構成されており、このため、両6A,6Bを位置整合して重ね合わせたとき、天部側シート6Aの切り欠け6Ayと底部側シート6Bの切り欠け6Byとを一致させて位置決めすることができる。
【0014】
以上天部側つなぎ片6A33を例として天部側二つ折り用罫線6A33cについて説明したが、その他の天部側つなぎ片6A31~6A32,6A34にも同様に天部側二つ折り用罫線6A31c~6A32c,6A34cが設けられている。
【0015】
次に、底部用シート6Bは、後述する点を除き、天部側シート6Aと同様の構造を有している。すなわち、
図11に示すように、まず、底部用シート6Bは中央に四角形状の底面6B10を有している。この四角形状底面6B10は天面6A10と同形である。底部用シート6Bが天部側シート6Aと異なる点は、天部側シート6Aの天面6A10には、開口部が設けられ、この開口部にスパウト2Cが装着されているのに対し、底部用シート6Bの底面6B10には開口部が設けられておらず、もちろんスパウトが装着されていないことである。
【0016】
また、底部用シート6Bは、四角形状の底面6B10の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面6B21~6B24を、前記四角形状底面6
B10の辺の数と同じ4つ有している。これら底部側側面6B21~6B24も、それぞれ、天部側側面6A21~6A24と同形である。
【0017】
また、底部用シート6Bは、互いに隣接する各底部側側面6B21~6B24の間に、この底部側側面6B21~6B24同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片6B31~6B34を有している。これら底部側つなぎ片6B31~6B34は天部側つなぎ片6A31~6A34と同形である。
【0018】
次に、底部側シート6Bは、これら底部側側面6B21~6B24と底部側つなぎ片6B31~6B34とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート6Aと固定するヒートシール領域から成る底部側固定部6B40を有している。
【0019】
そして、各底部側側面6B21~6B24と底部側つなぎ片6B31~6B34との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片6B31~6B34には、底面6B10の各頂点から、底部側つなぎ片6B31~6B34を二等分する底部側二つ折り用罫線6B31c~6B34cが設けられており、この底部側二つ折り用罫線6B31c~6B34cは、底部側つなぎ片6B31を超えて、その外側に位置する底部側固定部にも延在している。すなわち、底部側二つ折り用罫線6B31c~6B34cは、底部側つなぎ片6B31~6B34を二分すると共に、その外側の底部側固定部も二分している。
【0020】
また、底部側シート6Bの側面6B21及びこれに対向する側面6B23の縁端にも、それぞれ、位置合わせ用切り欠け6Byが2箇所に設けられている。
【0021】
底部側シート6Bの側面6B21の縁端と側面6B23の縁端との間の距離6BLは天部側シート6Aの側面6A21の縁端と側面6A23の縁端との間の距離6BLとほぼ等しく構成されているから、天部側シート6Aと底部側シート6Bとを重ね合わせたとき、両切り欠け6Ay,6Byを観察することができる。そして、この両切り欠け6Ay,6Byを観察しながら位置合わせすることにより、両シート6A,6Bを位置決めすることができる。
【0022】
そして、これら天部側シート6Aと底部側シート6Bとを位置合わせして重ね、両固定部6A40,6B40同士をヒートシールすることにより、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)6
1を製造することができる(
図12参照)。包装容器5は、このように平坦な状態で箱詰めして移送し、内容物を充填密封する工程に供給することができる。なお、この包装容器5は、平坦な状態であっても、スパウト6Cがその外側に向けて突出している。
【0023】
平坦状態の第1の中間製品61を箱型の状態に変形するためには、天部側シート6Aと底部側シート6Bとのそれぞれをその折り曲げ用罫線で折り曲げて立ち上げればよい。
【0024】
図13はこうして箱型の状態に変形された第2の中間製品6
2を示している。こうして形成された箱型の状態の第2の中間製品6
2では、天部側つなぎ片6A31~6A34及び底部側つなぎ片6B31~6B34が、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線6A31c~6A34cと底部側二つ折り用罫線6B31c~6B34cのいずれもが容器外面に対して山折りになるように二つ折りされたものである。この二つ折りによって、天部側シート6Aの天部側側面6A21~6A24のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合い、また、天部側二つ折り用罫線6A31c~6A34cのそれぞれによって区分された2つの領域が互いに重なり合って、フィン状パネルの天部側を構成する。
図10の拡大図を参照して天部側つなぎ片6A33について説明すると、この天部側つなぎ片6A33を天部側二つ折り用罫線6A33cで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片6A33の両側に位置する天部側側面6A23の辺6A23bと天部側側面6A24の辺6A24bとが互いに重なり合う。また、天部側二つ折り用罫線6A33cで区分されたつなぎ片6A33の2つの領域6A331,6A332が互いに重なり合い、天部側固定部6A40の領域2A43αと領域6A43βが互いに重なり合って、第2の中間製品6
2の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネルの天部側を構成する。
【0025】
ところで、平坦な状態の第1の中間製品61においては、天部側シート6Aの天部側つなぎ片6A33と底部側シート6Bの底部側つなぎ片6B33とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線6A33cと底部側二つ折り用罫線6B33cも互いに正確に重なり合っており、天部側シート6Aの天部側つなぎ片6A33を天部側二つ折り用罫線6A33cで二つ折りするとき、底部側シート6Bの底部側つなぎ片6B33も底部側二つ折り用罫線6B33cで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片6B33の両側に位置する底部側側面6B23の辺6B23bと底部側側面6B24の辺6B24bも互いに重なり合い、また、底部側二つ折り用罫線6B33cで区分された底部側つなぎ片6B31~6B34の2つの領域及びその外側に位置する底部側固定部6B40の2つの領域も互いに重なり合って、第2の中間製品62の各角部から外側に向けて突出するフィン状パネル633を構成する。
【0026】
そして、天部側シート6Aの天部側側面6A23と底部側シート6Bの底部側側面6B23とは容器固定部540を介して連続しているから、この両側面6A23,6B23によって箱型の状態の第2の中間製品62の側面623が構成される。
【0027】
また、天部側シート6Aの天部側つなぎ片6A33と底部側シート6Bの底部側つなぎ片6B33も容器固定部540を介して連続しているから、この両つなぎ片6A33,6B33で構成された部分によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面6A23と底部側側面6B23とで構成される側面623と、天部側側面6A24と底部側側面6B24とで構成される側面624との間を繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。
【0028】
以上、天部側つなぎ片6A33及び底部側つなぎ片6B33で構成された部分を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。
【0029】
そして、このようにすべてのつなぎ片6A31~6A34,6B31~6B34を二つ折りすることにより、各側面621~624が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、第2の中間製品62は箱型の形態を採る。この箱型の状態の第2の中間製品62は、天面6A10と底面6B10とを有し、その周囲に側面621~624が設けられており、しかも、側面621~624の間をつなぎ片6A31~6A34,6B31~6B34が閉塞しているから、スパウト6Cが装着された前記開口部を除いて密封された状態にある。
【0030】
なお、各つなぎ片6A31~6A34,6B31~6B34を二つ折りする代わりに、平坦な状態の第1の中間製品61に空気を吹き込みながら、各側面221~224を立ち上げることによって箱型の状態の第2の中間製品62を形成することもできる。この場合でも、形成された第2の中間製品62は、各つなぎ片6A31~6A34,6B31~6B34を二つ折りして形成された第2の中間製品62と同じ形状を有するものである。
【0031】
ところで、このように箱型の状態に変形された状態では、
図13に図示されるように、二つ折りされたつなぎ片6A31~6A34,6B31~6B34及び両固定部6A40,6B40がフィン状パネル631~634を構成し、このフィン状パネル631~634が中間製品6
2の各角部から外側に向けて突出している。そこで、このフィン状パネル631~634を倒して中間製品6
2の各側面621~624に折り重ね、接着することによって、その外観を整えることができる。
図14はこのようにフィン状パネル631~634を中間製品6
2の各側面621~624に折り重ねて製造した包装容器5を示している。
【0032】
以上の説明から分かるように、平坦な状態の第1の中間製品61の天部側つなぎ片6A31~6A34及び底部側つなぎ片6B31~6B34のすべてを、これらの二つ折り用罫線6A31c~6A34c及び6B31c~6B34cで二つ折りすると共に、そのフィン状パネル631~634を中間製品62の各側面621~624に折り重ねることにより、箱型の状態の包装容器5に変形することができる。
【0033】
そして、平坦な状態の第1の中間製品61として内容物を充填密封する工程に供給された包装容器5は、箱型の状態に変形することにより、スパウトから内容物を充填することができる。また、キャップにより密封することができる。
【0034】
この箱型の包装容器5を使用した後、空になったときには、箱型の状態から平坦な状態に戻すことができる。例えば、前述のように平坦な状態の第1の中間製品61を内容物充填工程に供給し、この工程で箱型の状態の包装容器5に変形して充填密封し、この状態で輸送・販売した後、消費者が内容物を消費してその中身が空になったときには、これを平坦な状態の第1の中間製品61に減容して保管あるいは廃棄することができる。
【0035】
箱型の状態の包装容器5を平坦な状態に変形させるためには、フィン状パネル631~634を容器側面621~624から引き剥がし、容器固定部540を把持して、包装容器5の外方に引っ張ればよい。容器固定部540を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片631~634が開き、包装容器5を平坦な状態の第1の中間製品61に変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
ところで、以上の説明から明らかなように、この箱型の包装容器5に収容された液体内容物は、スパウト6Cを通して外部に注出することができる。
【0038】
しかしながら、液体内容物は、スパウトの内側位置やフィン状パネル631~634に残留してしまい、これら残留した液体内容物が無駄となるという問題を残していた。
【0039】
そこで、本発明は、紙と樹脂層とを層構成中に含む積層シートから成る包装容器であって、残留した液体内容物を容易に取り出すことができる包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0040】
すなわち、請求項1に記載の発明は、紙と樹脂層とを層構成中に含む積層シートを2枚重ね、その周縁を互いに固定すると共に、内部を液体内容物の収容部とした包装容器において、
2枚の前記積層シートのうち、一方を天部側シート、他方を底部側シートとして、
これら天部側シートと底部側シートとが、いずれも、その縁端に切り欠けを有しており
、かつ、これら天部側シートと底部側シートのうち少なくとも一方のシートがその切り欠けを始点とする易破断線を有しており、
天部側シートの前記切り欠けと底部側シートの前記切り欠けとが互いに位置整合していることを特徴とする包装容器である。
【0041】
ところで、前記天部側シートと底部側シートのうち前記易破断線を有するシートが、紙、延伸プラスチックフィルム及びポリオレフィン系樹脂層を積層して構成されている場合、前記易破断線が、このシートに含まれる紙と延伸プラスチックフィルムの全部に施されていることが望ましい。延伸プラスチックフィルムとしては二軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。
【0042】
また、本発明は、前記天部側シートに開口部が設けられ、この開口部にはスパウトが装着されている場合に、特にその特徴が生かされる。
【0043】
なお、前記天部側シートと底部側シートとしては、それぞれ、次の構造を有することができるシートを採用できる。
天部側シートの構造:
中央に多角形状の天面を有し、
この多角形状天面の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面を、前記多角形状天面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面同士を繋いでしかも閉塞する天部側つなぎ片を有しており、
これら天部側側面及び天部側つなぎ片の外側に、底部側シートと固定する天部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の天部側側面を構成する辺同士が一致するように前記天部側つなぎ片を二つ折りできる天部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
底部側シートの構造:
中央に多角形状の底面を有し、
この多角形状底面の各辺を一辺とする四角形状の底部側側面を、前記多角形状底面の辺の数と同じ数だけ有しており、
互いに隣接する各底部側側面の間に、この底部側側面同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片を有しており、
これら底部側側面及び底部側つなぎ片の外側に、天部側シートと固定する底部側固定部を有しており、
隣接する前記四角形状の底部側側面を構成する辺同士が一致するように前記底部側つなぎ片を二つ折りできる底部側二つ折り用罫線が設けられている
構造。
【発明の効果】
【0044】
本発明においては、天部側シートと底部側シートとが、いずれも、その縁端に切り欠けを有しているから、これら切り欠けを位置合わせマークとして、天部側シートと底部側シートとを重ね、互に固定することができる。こうして製造された本発明の包装容器においては、天部側シートの前記切り欠けと底部側シートの前記切り欠けとが互いに位置整合して配置されている。
【0045】
そして、天部側シートと底部側シートとは、いずれも、易破断線とを有しており、これら天部側シートの易破断線と底部側シートの易破断線も互いに位置整合しているから、これら両易破断線で天部側シートと底部側シートの両者を破断して、包装容器内部に残留した液体内容物を包装容器外部に取り出すことができる。
【0046】
しかも、天部側シートの易破断線と底部側シートの易破断線は前記切り欠けを始点としているから、例えば、手を用いてこれら両易破断線で両シートを破断するのも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は本発明の包装容器の天部側シートの例に係り、その層構成及び易破断線の位置を説明するための説明用断面図である。
【
図2】
図2は本発明の包装容器の第1の実施の形態に係り、
図2(a)はその天部側シートの平面図、
図1(b)はその底部側シートの平面図である。
【
図3】
図3は本発明の包装容器の第1の実施の形態に係り、
図3(a)は第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の平面図、
図3(b)はその断面図である。
【
図4】
図4は本発明の包装容器の第1の実施の形態に係り、包装容器中に残留した液体内容物をボトルに移す方法を示す説明図である。
【
図5】
図5は本発明の包装容器の第2の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の平面図である。
【
図6】
図6は本発明の包装容器の第3の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の平面図である。
【
図7】
図7は本発明の包装容器の第4の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の平面図である。
【
図8】
図8は比較例1の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の平面図である。
【
図9】
図9は比較例2の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の平面図である。
【
図10】
図10は従来の包装容器に係り、その天部側シートの平面図である。
【
図11】
図11は従来の包装容器に係り、その底部側シートの平面図である。
【
図12】
図12は従来の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)の断面図である。
【
図13】
図13は従来の包装容器に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)を箱型の状態に変形した第2の中間製品の斜視図である。
【
図14】
図14は従来の包装容器に係り、その包装容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明の包装容器は、天部側シートと底部側シートのうち少なくとも一方のシートに易破断線が設けられている点を除き、従来の包装容器6と同様である。
【0049】
この易破断線は、内容物を注出して、その内部に残留内容物が残った状態の包装容器を平坦な状態に戻した後、この平坦な包装容器を破断容易とする目的で設けられたものである。そして、この易破断線で破断した容器から残留内容物を注出することができる。例えば、その残留内容物をボトル等の他の容器の移し替えて保存し、必要に応じて適時使用することができる。残留内容物をボトル等の他の容器の移し替えて残った包装容器は、もちろん、廃棄することができる。
【0050】
易破断線は、天部側シートだけに設けられていてもよいし、底部側シートだけに設けられていてもよい。また、これら両シートに設けられていてもよい。いずれの場合にも、この易破断線は、包装容器の破断を容易とするため、その切り欠けを始点としている必要がある。また、天部側シートや底部側シートに複数本の易破断線を設けることも可能である。
【0051】
前述のように、天部側シートの切り欠けと底部側シートの切り欠けとは、両者の位置決
めのために設けられたものであるから、平坦な状態であってもまた箱型の状態であっても、天部側シートの切り欠けと底部側シートの切り欠けとは互いに位置整合している状態である。このため、天部側シートに易破断線を設けた場合であっても、その易破断線は、位置整合して配置された両シートの切り欠けから始まっている。底部側シートに易破断線を設けた場合も同様で、位置整合して配置された両シートの切り欠けから始まっている。
【0052】
なお、天部側シートと底部側シートの両シートに易破断線を設けた場合には、天部側シートの易破断線と底部側シートの易破断線のうち、いずれか一方が両シートの切り欠けから始まっていればよく、他方の易破断線は3mmの範囲内でずれていてもよい。例えば、天部側シートの易破断線が両シートの切り欠けから始まっている場合には、底部側シートの易破断線は、3mmの範囲内で、天部側シートの易破断線からずれていてもよい。また、底部側シートの易破断線が両シートの切り欠けから始まっている場合には、天部側シートの易破断線、3mmの範囲内で、底部側シートの易破断線からずれていてもよい。なお、両シートの易破断線のいずれもが、両シートの切り欠けから始まっていることが望ましい。
【0053】
そして、これら天部側シートの易破断線の始点や底部側シートの易破断線の始点を両シートの切り欠けに配置することにより、包装容器の破断を容易とするだけでなく、包装容器を箱型の形状として、各つなぎ片で構成されたフィン状パネルを包装容器の側面に倒したとき、このフィン状パネルによって易破断線の始点を被覆することができる。そして、このため、易破断線の始点は箱型の形状の包装容器の外面に露出しないから、その美観を損なうことがない。なお、このように易破断線が箱型の形状の包装容器の外面に露出しないようにする際には、易破断線は、その全長が包装容器の側面に倒したフィン状パネルで被覆できることが望ましい。
【0054】
一方、易破断線が箱型の形状の包装容器の外面に露出している場合には、その易破断線で破断することを表示できるという利点がある。
【0055】
また、これら天部側シートの易破断線及び底部側シートの易破断線は、いずれも、それぞれのシートの縁端を終点としていることが望ましいが、易破断線がシートの縁端に至っていなくてもよい。易破断線が天部側シートの縁端まで続いているときには、この易破断線で包装容器を破断することにより、包装容器を二分することができる。易破断線が天部側シートの縁端まで続いていないときには、この易破断線の延長線上を天部側シートの縁端まで破断することにより、包装容器を二分することができる。
【0056】
この易破断線の終点が天部側シートや底部側シートの縁端に位置する場合には、これら天部側シートや底部側シートにおいて、易破断線の始点が配置された辺と隣接する辺にこの終点を配置して、易破断線で破断することにより、これら天部側シートや底部側シートのコーナーを切断できるように構成することが望ましい。このようにコーナーを破断して開口したとき、その開口部が比較的狭く、このため、残留内容物を注出する際に、位置精度よく残留内容物を注出することができるからである。このため、例えば、口の狭いボトル等に残留内容物を移し替える際の位置決めが容易である。もっとも、以下の第4の実施形態で説明するように、易破断線の始点が配置された辺と対向する辺に終点を配置しても構わない。この場合には、易破断線で破断して形成される開口を広くすることが可能である。
【0057】
また、易破断線は直線状であっても曲線状であってもよいが、包装容器を容易に破断できることから、直線状であることが望ましい。
【0058】
次に、天部側シートと底部側シートの両シートに易破断線を設けた場合には、これら両
シートの易破断線は互に位置整合していることが望ましい。もっとも、両シートの易破断線が同じ長さとは限らないため、その限度で位置整合していなくてもよい。例えば、天部側シートの易破断線が天部側シートの切り欠けを始点とし、天部側シートの縁端を終点としたとき、底部側シートの易破断線の終点は、天部側シートの易破断線の終点(天部側シートの縁端)と一致しなくてもよいのである。
【0059】
ところで、前述のように、天部側シートと底部側シートとは、いずれも、紙を基材とし、これに合成樹脂を積層した積層シートで構成されている。平坦な状態に戻した包装容器を破断容易とするため、前記易破断線は、少なくとも紙基材に施されていることが望ましい。前記積層シートの層構成中に複数の紙基材が含まれている場合には、これら複数の紙基材の全部に施されていることが望ましい。
【0060】
また、前記合成樹脂として、前記積層シートの層構成中に延伸プラスチックフィルムが含まれている場合には、この延伸プラスチックフィルムを破断容易とするため、この延伸プラスチックフィルムにも前記易破断線が施されていることが望ましい。層構成中に複数の延伸プラスチックフィルムが含まれている場合には、もちろん、これら複数の延伸プラスチックフィルムの全部に施されていることが望ましい。延伸プラスチックフィルムの例を挙げると、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を例示することができる。
【0061】
前記合成樹脂として、延伸プラスチックフィルムのほかに、破断強度の低い樹脂層を積層シートの層構成中に含んでいることができる。例えば、無延伸または低延伸の樹脂層である。前記積層シートのうち、包装容器内面側を構成するシーラント樹脂層には、これを貫通する易破断線を設けないことが望ましい。液体内容物が積層シート内部に浸透することを防止するためである。また、包装容器外面側を構成する樹脂層にも、これを貫通する易破断線を設けないことが望ましい。包装容器外面側から水分等が積層シート内部に浸透することを防止するためである。なお、このほか、積層シートの各層を接着する接着剤層や接着性樹脂層を前記合成樹脂として有する場合には、これら接着剤層や接着性樹脂層には、易破断線を施してもよいし、施さなくてもよい。また、積層シートが印刷インキ層を有する場合にも、この印刷インキ層に易破断線を施す必要はない。接着剤層、接着性樹脂層、印刷インキ層は、一般に、平坦な状態に戻した包装容器を破断する際の妨げとはならないからである。
【0062】
なお、この積層シートは、平坦な状態に戻した包装容器を破断する際の妨げとならない他の層を含むことができる。例えば、薄い金属箔、金属蒸着膜、無機蒸着膜などである。
【0063】
図1は本発明の包装容器の天部側シート1Aの例を示すもので、その層構成及び易破断線の位置を説明するための説明用断面図である。
【0064】
すなわち、この天部側シート1Aは、紙A2を基材とし、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムA4を、接着性樹脂層A3によって積層接着している。なお、二軸延伸ポリエステルフィルムA4には、アルミナから成る無機透明蒸着膜が積層されている。また、接着性樹脂層A3は、厚さ20μmのエチレン-メタクリル酸共重合体から成り、これを溶融押出しして、その両面に紙基材A2と二軸延伸ポリエステルフィルムA4とを押圧して積層接着したものである。
【0065】
また、この天部側シート1Aは、その包装容器内面側にシーラント層A5が積層されている。このシーラント層A5は厚さ80μmの直鎖状低密度ポリエチレンで構成されている。
【0066】
また、この天部側シート1Aは、その包装容器外面側に表面樹脂層A1が積層されている。この表面樹脂層は、厚さ3μmのポリエチレンで構成されており、紙基材A2上に溶融押出しコーティングして形成したものである。
【0067】
そして、紙基材A2には、これを貫通する易破断線1Az2が施されており、二軸延伸ポリエステルフィルムA4にも、これを貫通する易破断線1Az4が施されている。図から分かるように、紙基材A2の易破断線1Az2と二軸延伸ポリエステルフィルムA4の易破断線1Az4とは位置整合して配置されており、両易破断線1Az2,1Az4が一体として、天部側シート1Aの破断を容易としている。これら両易破断線1Az2,1Az4は、例えば、それぞれ紙基材A2及び二軸延伸ポリエステルフィルムA4を貫通するミシン目で構成することができる。また、これらを貫通しないハーフカット線で構成してもよい。
【0068】
一方、シーラント層A5としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が使用できる。
【0069】
なお、底部側シート1Bの層構成及び易破断線の位置については説明を省略するが、底部側シート1Aの層構成及び易破断線の位置と同様である。
【0070】
(第1の実施の形態)
次に、
図2は本発明の包装容器1の第1の実施の形態に係り、
図2(a)はその天部側シート1Aの平面図、
図2(b)はその底部側シート1Bの平面図である。この包装容器1では、易破断線は天部側シート1Aと底部側シート1Bの両シートに施されている。
【0071】
なお、従来の包装容器2を説明する
図10~
図13においては、この従来の包装容器6を構成する要素について、先頭数字「6」から始まる符号を付していたが、第1の実施形態に係る包装容器1を説明する
図1~
図4では先頭数字「1」から始まる符号を付しており、両者はこの先頭数字を除き、互いに対応する符号を付している。例えば、従来の包装容器には「6」の符号を付しており、本発明の包装容器の具体例には「1」の符号を付している。また、従来の包装容器6の天面には「6A10」の符号を付しており、本発明の包装容器の天面には「1A10」の符号を付している。また、従来の包装容器6の天部側側面には「6A21~2A24」の符号を付しており、本発明の包装容器の天部側側面には「1A21~1A24」の符号を付している。第2の実施形態~第4の実施形態についても同様である。
【0072】
図2(a)において、符号「1Ay」は天部側シート1Aの切り欠けを示し、符号「1Az」は天部側シート1Aの易破断線を示している。そして、
図2(a)から分かるように、この易破断線1Azは1本であり、切り欠け1Ayを始点とし、この始点1Ayが設けられた辺と隣接する辺の縁端として、始点から終点まで、直線状に延びている。
【0073】
次に、
図2(b)において、符号「1By」は底部側シート1Bの切り欠けを示し、符号「1Bz」は底部側シート1Bの易破断線を示している。そして、
図2(b)から分かるように、底部側シート1Bの易破断線1Bzも、天部側シート1Aの易破断線1Azに対応して、切り欠け1Byを始点とし、この始点1Byが設けられた辺と隣接する辺の縁端として、始点から終点まで、直線状に延びている。
【0074】
次に、
図3は、この包装容器1の第1の実施の形態に係り、天部側シート1Aと底部側シート1Bとを位置整合してシールした状態の中間製品(平坦な状態の包装容器)1
1を示すもので、
図3(a)はその平面図、
図3(b)は断面図である。なお、
図3(a)において、底部側シート1Bにはハッチングを施して示している。この
図3(a)から分か
るように、平坦な状態の包装容器1
1では、底部側シート1Bの存在しない領域は別として、天部側シート1Aと底部側シート1Bとが重なった領域においては、天部側シート1Aの易破断線1Azと底部側シート1Bの易破断線1Bzとはぴったりと重なり合っている。
【0075】
次に、箱型の包装容器に変形して内容物を収容し、この内容物を注出した後、再度平坦な状態に戻した包装容器1
4は、使用に伴う撚れやしわが生じていることを除き、平坦な状態の包装容器1
1と同様の形状を有している。このため、その図示を省略するが、要するに、
図3(a)及び
図3(b)とほぼ同様である。
【0076】
そして、この包装容器1
4について、互にぴったりと重なった両易破断線1Az,1Bzで両シート1A,1Bを一体に破断して開口を形成することにより、
図4の説明図に示すように、包装容器1
4に残留した液体内容物をボトル等の容器に移し替えることができる。
【0077】
(第2の実施の形態)
次に、
図5は本発明の包装容器の第2の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)2
1の平面図である。
図5においても、底部側シート2Bにはハッチングを施して示している。
【0078】
この包装容器2においても、易破断線2Az,2Bzは天部側シート2Aと底部側シート2Bの両方に設けられている。そして、底部側シート2Bの易破断線2Bzは1本であり、底部側シート2Bの切り欠け2Byを始点とし、この始点2Byが設けられた辺と隣接する辺の縁端を終点として、始点から終点まで、直線状に延びている。そして、天部側シート2Aの易破断線2Azは、この底部側シート2Bの易破断線2Bzに重なるように延びている。
【0079】
(第3の実施の形態)
次に、
図6は本発明の包装容器の第3の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)3
1の平面図である。
図6においても、底部側シート3Bにはハッチングを施して示している。
【0080】
この包装容器3においても、易破断線3Az,3Bzは天部側シート3Aと底部側シート3Bの両方に設けられている。易破断線3Bzは、底部側シート3Bの4つの各コーナー部に設けられており、その総数は4本である。そして、これら4本の易破断線3Bzは、第2の実施の形態に係る易破断線2Bzと同様に、底部側シート3Bの切り欠け3Byを始点とし、この始点3Byが設けられた辺と隣接する辺の縁端として、始点から終点まで、直線状に延びている。また、天部側シート3Aの4本の易破断線3Azは、この底部側シート3Bの4本の易破断線3Bzに重なるように延びている。
【0081】
(第4の実施の形態)
次に、
図7は本発明の包装容器の第4の実施の形態に係り、第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)4
1の平面図である。
【0082】
この包装容器4においては、易破断線4Az,4Bzは天部側シート4Aと底部側シート4Bの両方に設けられている。天部側シート4Aの易破断線4Azはその切り欠け4Ayを始点とすると共に、この始点が配置された辺と対向する辺に終点を有しており、この始点から終点まで直線状に延びている。底部側シート4Bの易破断線4Bzも、同様に、その切り欠け4Byを始点とすると共に、この始点が配置された辺と対向する辺に終点を有しており、この始点から終点まで直線状に延びている。天部側シート4Aの切り欠け4
Aと底部側シート4Bの切り欠け4Aとは互いに位置整合しているから、天部側シート4Aの易破断線4Azと底部側シート4Bの易破断線4Bzとは、その全長に渡ってぴったりと重なり合っている。
【0083】
そして、この包装容器4においても、第1の実施の形態に係る包装容器1と同様に、互にぴったりと重なった両易破断線4Az,4Bzで両シート1A,1Bを一体に破断することにより開口を形成することができる。こうして形成された開口は広く、このため、残留内容物の注出に有利である。
【実施例0084】
(実施例1)
第2の実施形態に係る包装容器2を対象として、次の測定と評価とを行った。この包装容器2は、
図5に示すように、底部側シート2Bだけに易破断線2Bzを設けたものである。そして、この易破断線2Bzは、切り欠け2Byを始点とし、この始点2Byが設けられた辺と隣接する辺の縁端を終点として、始点から終点まで、直線状に延びている。なお、底部側シート2Bと天部側シート2Aとは、両シート2A,2Bの切り欠け2By,2Ayが互いに位置整合するように接合している。
【0085】
そして、まず、この包装容器2に十分な量の水を入れ、この水をスパウトから注出した後、包装容器2の内部に残った水の量(残存内容物の量)を測定した。
【0086】
次に、スパウトから水を注出した後の包装容器2を平坦な状態の包装容器24に戻した後、易破断線2Bzに沿って底部側シート2Bと天部側シート2Aの両方を手で破断し、また、破断線2Bzの延長線上まで天部側シート2Aを破断することにより、開口を形成した。
【0087】
そして、
図4に示すように、この開口から残存内容物を他の容器に移し替えた後、それでも包装容器2
4の内部に残った残存内容物の量(破断して注出した後の残存量)を測定した。また、併せて、破断し易さと他の容器への移し替えの容易さについても評価した。
【0088】
(実施例2)
測定・評価の対象として、第4の実施の形態に係る包装容器4を使用した他は、実施例1と同様に測定と評価とを行った。この包装容器4は、
図7に示すように、天部側シート4Aと底部側シート4Bの両方に易破断線4Az,4Bzを設けたものである。天部側シート4Aの易破断線4Azはその切り欠け4Ayを始点とすると共に、この始点が配置された辺と対向する辺に終点を有しており、この始点から終点まで直線状に延びている。底部側シート4Bの易破断線4Bzも、同様に、その切り欠け4Byを始点とすると共に、この始点が配置された辺と対向する辺に終点を有しており、この始点から終点まで直線状に延びている。天部側シート4Aと底部側シート4Bとは、両シート4A,4Bの切り欠け4By,4Ayが互いに位置整合するように接合しており、この結果、天部側シート4Aの易破断線4Azと底部側シート4Bの易破断線4Bzとは、その全長に渡ってぴったりと重なり合っている。
【0089】
(比較例1)
この比較例1に係る包装容器5は、第2の実施形態に係る前記包装容器2と同様に、底部側シート5Bだけに易破断線5Bzを設けたものである。
図8は、この比較例1に係る包装容器5を示しており、その第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)5
1の平面図である。
【0090】
この
図8から分かるように、易破断線5Bzの始点は、切り欠け5Ayを設けた辺の上
にあるが、切り欠け5Ayからずれた位置にある。そして、その終点は始点2Byが設けられた辺と隣接する辺の縁端に配置されている。
【0091】
要するに、第2の実施形態に係る包装容器2を測定・評価の対象とした実施例1との相違は、易破断線5Bzの始点が切り欠け5Ayからずれていることにある。
【0092】
(比較例2)
この比較例1に係る包装容器6は、易破断線を設けていないもので、従来の包装容器6と同一である。その第1の中間製品(平坦な状態の包装容器)6
1の平面図を
図9に示す。
【0093】
なお、この包装容器6には易破断線がないため、その破断は困難であった。
【0094】
(評価)
これら実施例1~2,比較例1~2の測定結果を表1に示す。
【0095】
【0096】
以上の結果から分かるように、切り欠けを始点とする易破断線を設けた場合(実施例1,2)には、その破断が容易である。これに対し、易破断線を設けない場合(比較例2)には、その破断そのものが困難であり、易破断線を設けても、その始点が切り欠けからずれている場合(比較例1)には、破断が容易とはいえない。
【0097】
なお、実施例1と実施例2とを対比して分かるように、始点が配置された辺と対向する辺に易破断線の終点が位置する場合(実施例2)よりも、始点が配置された辺と隣接する辺に易破断線の終点が位置する場合(実施例1)の方が、他の容器に移し替えることが容易である。