(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036072
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240308BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140788
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】大原 修治
(72)【発明者】
【氏名】野本 周平
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】取引先毎に設定された伝票に対して、選択的にインボイスの発行を行う。
【解決手段】検出部が、伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する適格請求情報の入力の有無を検出する。データ生成部は、発行する伝票が適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、適格請求情報を入力する伝票であった場合、適格請求情報を入力した伝票データを生成する。これにより、取引先毎に設定された伝票を自動的に判別してインボイスの発行を行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する前記適格請求情報の入力の有無を検出する検出部と、
発行する伝票が前記適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、前記適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、前記適格請求情報を入力する伝票であった場合、前記適格請求情報を入力した伝票データを生成するデータ生成部と、
を有する業務支援装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記適格請求情報が入力された伝票の発行の有無を示す情報が記憶されており、
前記データ生成部は、入力された取引先が前記適格請求情報を入力した伝票を発行しない取引先であることが前記検出部により検出された場合、前記適格請求情報を非入力とした伝票データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
前記伝票データに基づいて前記伝票の印刷制御を行う出力制御部を、さらに備えること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の業務支援装置。
【請求項4】
検出部が、伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する前記適格請求情報の入力の有無を検出する検出ステップと、
データ生成部が、発行する伝票が前記適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、前記適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、前記適格請求情報を入力する伝票であった場合、前記適格請求情報を入力した伝票データを生成するデータ生成ステップと、
を有する業務支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、
伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する前記適格請求情報の入力の有無を検出する検出部と、
発行する伝票が前記適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、前記適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、前記適格請求情報を入力する伝票であった場合、前記適格請求情報を入力した伝票データを生成するデータ生成部として機能させること、
を特徴とする業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2023年10月1日より施行予定の適格請求書等保存方式(インボイス制度)においては、請求書等の伝票(インボイス)への事業者登録番号の印字が義務付けられる。
【0003】
インボイス発行に関しては、特許文献1(特許第7072964号公報)に、データ処理システムが開示されている。このデータ処理システムは、請求書を発行する事業者が登録された会計処理装置と、会計処理装置から受信した請求書データを所定の形式の電子インボイスに変換するデータ処理装置と、を備える。
【0004】
会計処理装置は、事業者を認証するための事業者認証情報を記憶する会計処理用記憶部と、事業者認証情報を用いて事業者を認証できたことを条件として、事業者が作成した請求書に対応する請求書データをデータ処理装置に送信するデータ送信部と、を備える。
【0005】
また、データ処理装置は、会計処理装置を認証するための装置認証情報を記憶するデータ処理用記憶部と、会計処理装置から請求書データを受信するデータ受信部と、装置認証情報を用いて会計処理装置を認証できたことを条件として、データ受信部が受信した請求書データを所定の形式に変換することにより作成した電子インボイスを電子インボイスネットワークに送信するインボイス作成部と、を有する。
【0006】
このようなデータ処理装置は、電子インボイスを作成する装置が、請求書を発行した事業者に関する情報を有していない場合であっても電子インボイスを発行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インボイス制度上は、請求書のみ対応していれば問題ないとされるが、実務に鑑みると、請求書以外に、個別の納品書をインボイスとして発行することも想定される。
【0009】
しかし、請求書又は納品書の双方に事業者登録番号を印字した場合、インボイスとして扱う伝票の判断を受領側(取引先)に委ねることとなる(請求書をインボイスとして扱うか又は納品書をインボイスとして扱うか)。このため、取引先側で意図しない方の伝票がインボイスとして扱われた場合、発行者側に罰則が適用されるおそれがある。
【0010】
また、各伝票の発行の都度、オペレータがインボイスとして発行するか否かを判断して、印刷処理を行うことは困難である。
【0011】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、取引先毎に設定された伝票に対して、選択的にインボイスの発行を行うことで、上述の課題を解決可能とした業務支援装置、業務支援方法、及び、業務支援プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援装置は、伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する適格請求情報の入力の有無を検出する検出部と、発行する伝票が適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、適格請求情報を入力する伝票であった場合、適格請求情報を入力した伝票データを生成するデータ生成部と、を有する。
【0013】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援方法は、検出部が、伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する適格請求情報の入力の有無を検出する検出ステップと、データ生成部が、発行する伝票が適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、適格請求情報を入力する伝票であった場合、適格請求情報を入力した伝票データを生成するデータ生成ステップと、を有する。
【0014】
また、上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る業務支援プログラムは、コンピュータを、伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報を入力する伝票の種別を示す情報が、取引先毎に記憶された記憶部を、入力された取引先の情報に基づいて参照し、発行する伝票の種別に対応する適格請求情報の入力の有無を検出する検出部と、発行する伝票が適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、適格請求情報を入力する伝票であった場合、適格請求情報を入力した伝票データを生成するデータ生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、取引先毎に設定された伝票に対して、選択的にインボイスの発行を行うことができる。このため、請求書又は納品書の双方に事業者登録番号を印字した場合に、インボイスとして扱う伝票の判断を受領側(取引先)に委ねることで、意図しない方の伝票がインボイスとして扱われ、発行者側に罰則が適用される不都合を防止できる。
【0016】
また、各伝票の発行の都度、オペレータがインボイスとして発行するか否かを判断して、印刷処理を行う面倒な作業を省略して、業務オペレータの業務を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施の形態の業務支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、請求先マスタの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、事業所マスタの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、請求書データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、請求書に対してインボイス情報の印字を行う取引先に対する請求書の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、請求書に対してインボイス情報の印字を行わない取引先に対する請求書の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、納品書に対してインボイス情報の印字を行わない取引先に対する納品書の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、納品書に対してインボイス情報の印字を行う取引先に対する納品書の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施の形態となる業務支援装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、このような実施の形態に本発明が限定されるものではない。
【0019】
(ハードウェア構成)
図1は、実施の形態の業務支援装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図1に示す業務支援装置1は、記憶部2、制御部3、通信インターフェース部4及び入出力インターフェース部5を備えている。入出力インターフェース部5には、入力装置6及び出力装置7が接続されている。出力装置7としては、モニタ装置(家庭用テレビを含む)等の表示部を用いることができる。入力装置6としては、キーボード装置、マウス装置及びマイクロホン装置等の他、マウス装置と協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタ装置等を用いることができる。
【0020】
通信インターフェース部4は、例えばインターネット等の広域網又はLAN(Local Area Network)等のプライベート網に接続される。
【0021】
記憶部2としては、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いることができる。記憶部2には、業務オペレータ等の業務支援動作を可能とする業務支援プログラムが記憶されている他、それぞれ記憶領域である請求先マスタ11、区分マスタ12、及び、事業者マスタ13が設けられている。また、記憶部2には、取引先に対して請求を行う金額等を含む請求データ、及び、各取引先に対する売上金額を含む売上データが記憶されている。
【0022】
図2は、請求先マスタ11の一例を示す図である。この
図2に示すように、請求先マスタ11には、取引先毎の固有のコードである請求先コード、請求先名、及び、適格請求書発行区分が記憶されている。この
図2の例の場合、「株式会社〇〇〇〇」の請求先コードは「SEI0001」であり適格請求書発行区分は「1」となっている。また、「株式会社△△△△」の請求先コードは「SEI0002」であり適格請求書発行区分は「2」となっている。
【0023】
図3は、区分マスタ12の一例を示す図である。この
図3に示すように、区分マスタ12には、適格請求書発行区分、及び、適格請求書発行区分名が記憶されている。この
図3の例の場合、「0」の適格請求書発行区分は適格請求書を「発行しない」ことを示している。また、
図3の例の場合、「1」の適格請求書発行区分は伝票が「請求書の場合に適格請求書を発行する」ことを示しており、「2」の適格請求書発行区分は伝票が「納品書の場合に適格請求書を発行する」ことを示している。
【0024】
図4は、事業所マスタ13の一例を示す図である。この
図4に示すように、事業所マスタ13には、適格請求書の発行を行う事業所コード、事業所名、及び、登録番号が記憶されている。この
図4の例の場合、事業所コードは「100」、事業所名は「東京本社」、及び、登録番号は「T1234567890123」となっている。
【0025】
図5は、上述の「株式会社〇〇〇〇」及び「株式会社△△△△」等の各請求先に対する請求金額(税抜金額及び税込金額)及び消費税額等が記憶された請求データの一例である。
【0026】
また、
図6は、上述の「株式会社〇〇〇〇」及び「株式会社△△△△」等に対する2022年7月度の売上請求データの一例である。
【0027】
(業務支援装置の機能構成)
次に、制御部3は、記憶部2に記憶されている業務支援プログラムを実行することで、
図1に示すように、表示制御部21、取得部22、検出部23、データ生成部24、記憶制御部25、及び、出力制御部26として機能する。
【0028】
表示制御部21は、図示しない請求書又は納品書の入力画面である伝票入力画面を、出力装置7を介して表示する。取得部22は、伝票入力画面の表示データに基づいて、請求先又は納品先となる取引先の請求先コードを取得する。
【0029】
検出部23は、入力された取引先の情報である請求先コードに基づいて、記憶部2の請求先マスタ11を参照し、取引先の適格請求書発行区分を検出する。また、検出部23は、検出した取引先の適格請求書発行区分に基づいて区分マスタ12を参照し、適格請求書発行の有無、及び、適格請求書を発行する伝票の種別(請求書又は納品書)を検出する。そして、検出部23は、検出した伝票の種別に基づいて、現在、入力を行っている伝票(請求書又は納品書)に対する、伝票を発行する事業者の登録番号及び商取引対象の税率毎の消費税額を含む適格請求情報の入力の有無を検出する。
【0030】
データ生成部24は、発行する伝票が適格請求情報の入力を行う伝票ではなかった場合、適格請求情報を非入力とした伝票データを生成し、発行する伝票が、適格請求情報を入力する伝票であった場合、適格請求情報を入力した伝票データを生成する。
【0031】
記憶制御部25は、生成されて伝票データを記憶部2に記憶制御する。出力制御部26は、伝票データに基づいて、印刷装置の一例である出力装置7を介して伝票の印刷制御を行う。
【0032】
(請求書の生成動作)
このような業務支援装置1は、取引先に対する伝票の種別に応じて、事業所の登録番号及び商取引対象(商品又は役務)の税率毎の消費税額を含む適格請求情報の入力の有無を判別し、この判別結果に基づいて、適格請求情報を入力した伝票又は適格請求情報を非入力した伝票を作成するようになっている。
【0033】
具体的には、業務オペレータにより、入力装置6を介して伝票の入力が指定されると、表示制御部21は、図示しない伝票入力画面を、出力装置7を介して表示する。業務オペレータは、この伝票入力画面に基づいて、これから入力を行う伝票の種別(請求書又は納品書)を選択する。業務オペレータにより請求書の入力が選択されると、表示制御部21は、
図7に例示する請求書入力画面を、出力装置7を介して表示する。
【0034】
次に、業務オペレータは、請求月、及び、請求先となる例えば「株式会社〇〇〇〇」の「SEI0001」の請求先コードを入力操作する。取得部22は、請求書入力画面の表示データに基づいて、業務オペレータにより入力された請求先コードを取得する。検出部23は、取得された請求先コードに基づいて、
図2に示す請求先マスタ11を参照し、請求先コードに対応する株式会社〇〇〇〇の適格請求書発行区分を検出する。この例の場合、「1」の適格請求書発行区分が検出される。
【0035】
また、検出部23は、検出した「1」の適格請求書発行区分に基づいて区分マスタ12を参照し、「1」の適格請求書発行区分は、適格請求書を発行する伝票の区分であるか、及び、適格請求書を発行する伝票の種別を検出する。この例の場合、「1」の適格請求書発行区分であるため、検出部23は、「請求書」に対して適格請求書を発行することを示す適格請求書発行区分であるとの検出を行う。
【0036】
なお、請求先コードに基づいて請求先マスタ11を参照したが、請求先マスタ11に請求先コードに対応する適格請求書発行区分が存在しない場合、検出部23は、「0」の適格請求書発行区分として検出する。そして、検出部23は、この「0」の適格請求書発行区分に基づいて、
図3に示す区分マスタ12を参照する。これにより、「0」の適格請求書発行区分は、適格請求書を非発行とする適格請求書発行区分であることが検出される。この場合、業務支援装置1は、適格請求情報を非入力とした請求書(又は納品書)を作成する。
【0037】
また、検出部23は、適格請求書を発行することを示す適格請求書発行区分であることを検出すると、
図4に示す事業所マスタ13を参照し、業務オペレータが所属する事業所である東京本社(事業者コード:100)の「T1234567890123」の登録番号を検出する。
【0038】
データ生成部24は、現在、作成されている伝票が「請求書」であるため、業務オペレータにより入力された7月度の売上データ(
図6参照)を記憶部2から取得し、各売上の税率毎に売上消費税を算出する。
図6の例の場合、「6000円」の売上本体金額に対する税率は「0:通常税率(10%)」であるため、売上消費税額は「600円」と算出される。また、
図6の例の場合、「4000円」の売上本体金額に対する税率は「0:通常税率(10%)」であるため、売上消費税額は「400円」と算出される。また、
図6の例の場合、「1000円」の売上本体金額に対する税率は「8:軽減税率(8%)」であるため、売上消費税額は「80円」と算出される。
【0039】
データ生成部24は、このような演算結果に基づいて、
図5の上段の列に例示する株式会社○○〇〇に対する請求データを生成する。また、データ生成部24は、このような請求データ、及び、検出部23により
図4に示す事業所マスタ13から検出された「T1234567890123」の登録番号を含む伝票データを生成する。
【0040】
表示制御部21は、伝票データに含まれる売上データ、及び、データ生成部24により算出された売上消費税額に基づいて、
図7に示すように各売上金額及び各売上金額の消費税額と共に、各売上の税率毎の消費税額を請求書入力画面に表示する。また、表示制御部21は、伝票データに含まれる「T1234567890123」の登録番号を請求書入力画面に表示する。
【0041】
このような請求書に対応する伝票データは、出力制御部26により、請求先の端末装置に送信され、又は、出力制御部26により、印刷装置の一例である出力装置7を介して印刷され、請求先に郵送される。
【0042】
次に、適格請求情報を非入力とした請求書の作成動作を説明する。例えば、業務オペレータにより、請求書入力画面に対して、「株式会社△△△△」の「SEI00002」の請求先コードが入力されたとする。
【0043】
この場合、取得部22は、請求書入力画面の表示データに基づいて、業務オペレータにより入力された請求先コードを取得する。検出部23は、取得された請求先コードに基づいて、
図2に示す請求先マスタ11を参照し、請求先コードに対応する株式会社△△△△の適格請求書発行区分を検出する。この例の場合、「2」の適格請求書発行区分が検出される。
【0044】
また、検出部23は、検出した「2」の適格請求書発行区分に基づいて区分マスタ12を参照し、「2」の適格請求書発行区分は、適格請求書を発行する伝票の区分であるか、及び、適格請求書を発行する伝票の種別を検出する。この例の場合、「2」の適格請求書発行区分であるため、検出部23は、「納品書」に対して適格請求書を発行することを示す適格請求書発行区分として検出する。
【0045】
ここで、現在、作成中の伝票は「請求書」である。「株式会社△△△△」に対しては、納品書に対して適格請求書情報の入力を行う設定であるため、現在、作成中の「請求書」に対しては、適格請求書情報は非入力となる。このため、検出部23は、
図4に示した事業所マスタ13からの登録番号の取得は行わない。
【0046】
この場合、データ生成部24は、
図6に示す「株式会社△△△△」の売上データに基づいて、各売上の売上本体金額、及び、対応する税率の売上消費税額を算出し、
図5の下段の例に例示する請求データを生成する。
図6の例の場合、「5000円」の売上本体金額に対する税率は「0:通常税率(10%)」であるため、売上消費税額は「500円」と算出される。また、
図6の例の場合、「2000円」の売上本体金額に対する税率は「8:軽減税率(8%)」であるため、売上消費税額は「160円」と算出される。
【0047】
データ生成部24は、このような演算結果に基づいて、
図6の下段の列に例示する株式会社△△△△に対する請求データを生成する。また、データ生成部24は、このような請求データを含む伝票データを生成する。
【0048】
表示制御部21は、伝票データに含まれる売上データ、及び、データ生成部24により算出された売上消費税額に基づいて、
図8に示すように各売上金額及び各売上金額の消費税額を請求書入力画面に表示する。なお、この場合、
図7に例示した適格請求書情報は表示(入力)されない。
【0049】
このような株式会社△△△△の請求書に対応する伝票データは、出力制御部26により、請求先の端末装置に送信され、又は、出力制御部26により、印刷装置の一例である出力装置7を介して印刷され、請求先に郵送される。
【0050】
(納品書の生成動作)
次に、納品書の生成動作を説明する。業務オペレータにより、図示しない伝票入力画面を介して納品書の入力が指定されると、表示制御部21は、
図9に例示する納品書入力画面を、出力装置7を介して表示する。
【0051】
この納品書入力画面に対して、業務オペレータにより、「株式会社〇〇〇〇」の「SEI00001」の請求先コードが入力されたとする。この場合、取得部22は、納品書入力画面の表示データに基づいて、業務オペレータにより入力された請求先コードを取得する。検出部23は、取得された請求先コードに基づいて、
図2に示す請求先マスタ11を参照し、請求先コードに対応する株式会社〇〇〇〇の適格請求書発行区分を検出する。この例の場合、「1」の適格請求書発行区分が検出される。
【0052】
また、検出部23は、検出した「1」の適格請求書発行区分に基づいて区分マスタ12を参照し、「1」の適格請求書発行区分は、適格請求書を発行する伝票の区分であるか、及び、適格請求書を発行する伝票の種別を検出する。この例の場合、「1」の適格請求書発行区分であるため、検出部23は、「請求書」に対して適格請求書を発行することを示す適格請求書発行区分であるとの検出を行う。
【0053】
ここで、現在、作成中の伝票は「納品書」である。「株式会社〇〇〇〇」に対しては、請求書に対して適格請求書情報の入力を行う設定であるため、現在、作成中の「納品書」に対しては、適格請求書情報は非入力の設定である。このため、検出部23は、
図4に示した事業所マスタ13からの登録番号の取得は行わない。
【0054】
この場合、データ生成部24は、
図6に示す「株式会社〇〇〇〇」の売上データに基づいて、各売上の売上本体金額、及び、対応する税率の売上消費税額を算出し、
図5の下段の例に例示する請求データを生成する。
図6の例の場合、「6000円」の売上本体金額に対する税率は「0:通常税率(10%)」であるため、売上消費税額は「600円」と算出される。また、「4000円」の売上本体金額に対する税率は「0:通常税率(10%)」であるため、売上消費税額は「400円」と算出される。また、「1000円」の売上本体金額に対する税率は「8:軽減税率(8%)」であるため、売上消費税額は「80円」と算出される。
【0055】
データ生成部24は、このような演算結果に基づいて、伝票データを生成する。表示制御部21は、
図9に示すように各売上金額及び各売上金額の消費税額を納品書入力画面に表示する。なお、この場合、適格請求書情報は表示(入力)されない。
【0056】
このような株式会社〇〇〇〇の納品書に対応する伝票データは、出力制御部26により、納品先の端末装置に送信され、又は、出力制御部26により、印刷装置の一例である出力装置7を介して印刷され、納品先に郵送される。
【0057】
次に、適格請求情報を入力した納品書の作成動作を説明する。例えば、業務オペレータにより、
図10に示す納品書入力画面に対して、「株式会社△△△△」の「SEI00002」の請求先コードが入力されたとする。
【0058】
取得部22は、納品書入力画面の表示データに基づいて、業務オペレータにより入力された請求先コードを取得する。検出部23は、取得された請求先コードに基づいて、
図2に示す請求先マスタ11を参照し、請求先コードに対応する株式会社△△△△の適格請求書発行区分を検出する。この例の場合、「2」の適格請求書発行区分が検出される。
【0059】
また、検出部23は、検出した「2」の適格請求書発行区分に基づいて区分マスタ12を参照し、「2」の適格請求書発行区分は、適格請求書を発行する伝票の区分であるか、及び、適格請求書を発行する伝票の種別を検出する。この例の場合、「2」の適格請求書発行区分であるため、検出部23は、「納品書」に対して適格請求書を発行することを示す適格請求書発行区分であるとの検出を行う。
【0060】
なお、請求先コードに基づいて請求先マスタ11を参照したが、請求先マスタ11に請求先コードに対応する適格請求書発行区分が存在しない場合、検出部23により「0」の適格請求書発行区分が検出され、適格請求情報が非入力とされた請求書(又は納品書)が作成されることは上述のとおりである。
【0061】
また、検出部23は、適格請求書を発行することを示す適格請求書発行区分であることを検出すると、
図4に示す事業所マスタ13を参照し、業務オペレータが所属する事業所である東京本社(事業者コード:100)の「T1234567890123」の登録番号を検出する。
【0062】
データ生成部24は、現在、作成されている伝票は納品書であるため、業務オペレータにより入力された7月度における株式会社△△△△の売上データ(
図6参照)を記憶部2から取得し、各売上の税率毎に売上消費税を算出する。
図6の例の場合、「5000円」の売上本体金額に対する税率は「0:通常税率(10%)」であるため、売上消費税額は「500円」と算出される。また、
図6の例の場合、「2000円」の売上本体金額に対する税率は「8:軽減税率(8%)」であるため、売上消費税額は「160円」と算出される。
【0063】
データ生成部24は、このような演算結果に基づいて、
図5の下段の列に例示する株式会社△△△△に対する請求データを生成する。また、データ生成部24は、このような請求データ、及び、検出部23により
図4に示す事業所マスタ13から検出された「T1234567890123」の登録番号を含む伝票データを生成する。
【0064】
表示制御部21は、伝票データに含まれる売上データ、及び、データ生成部24により算出された売上消費税額に基づいて、
図10に示すように各売上金額及び各売上金額の消費税額と共に、各売上の税率毎の消費税額を納品書入力画面に表示する。また、表示制御部21は、伝票データに含まれる「T1234567890123」の登録番号を納品書入力画面に表示する。
【0065】
このような納品書に対応する伝票データは、出力制御部26により、請求先の端末装置に送信され、又は、出力制御部26により、印刷装置の一例である出力装置7を介して印刷され、請求先に郵送される。
【0066】
(実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、実施の形態の業務支援装置1は、取引先毎に設定された種別の伝票に対して、選択的に適格請求書(インボイス)の発行を行うことができる。このため、請求書又は納品書の双方に事業者登録番号を印字することで、インボイスとして扱う伝票の判断を受領側(取引先)に委ねることとなり、意図しない方の伝票がインボイスとして扱われ、発行者側に罰則が適用される不都合を防止できる。
【0067】
また、各伝票の発行の都度、オペレータがインボイスの発行の有無を判断して印刷処理を行う等の面倒な作業を省略でき、業務オペレータの作業負担を大幅に軽減できる。
【0068】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び目標9に貢献することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、目標13及び目標15に貢献することが可能となる。
【0070】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0071】
[他の実施の形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0072】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0073】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0074】
また、業務支援装置1に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも図示の如く物理的に構成されていることを要しない。
【0075】
例えば、業務支援装置1が備える処理機能、特に制御部3及び制御部3にて行われる各処理機能については、その全部又は任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置1に機械的に読み取られる。すなわち、ROM又はHDD等の記憶部等には、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部3を構成する。
【0076】
また、この業務支援装置1の業務支援プログラムは、業務支援装置1に対して任意のネットワークを介して接続された他のサーバ装置に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部又は一部をダウンロードすることも可能である。
【0077】
また、本実施形態で説明した処理を実行するための業務支援プログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及び、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0078】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコード又はバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した業務支援装置1において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0079】
記憶部2は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0080】
また、業務支援装置1は、既知のパーソナルコンピュータ装置又はワークステーション等の情報処理装置で構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された情報処理装置で構成してもよい。また、情報処理装置は、本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラム又はデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0081】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部又は一部を、各種の付加等に応じて又は機能付加に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、本発明は、会計業務を行う全ての業界に利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 業務支援装置
2 記憶部
3 制御部
4 通信インターフェース部
5 入出力インターフェース部
6 入力装置
7 出力装置
11 請求先マスタ
12 区分マスタ
13 事業所マスタ
21 表示制御部
22 取得部
23 検出部
24 データ生成部
25 記憶制御部
26 出力制御部