(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036080
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】走査光学装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240308BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20240308BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20240308BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G02B26/10 F
G02B26/12
B41J2/47 101D
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140800
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳一
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA43
2C362AA45
2C362BA04
2C362BA86
2C362BA89
2C362BA90
2C362BB03
2C362DA12
2C362DA14
2H045AA01
2H045AA34
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA03
2H045CA63
2H045CA88
2H045CA89
2H045DA02
2H045DA04
2H045DA41
5C072AA03
5C072BA01
5C072DA02
5C072DA04
5C072HA02
5C072HA08
5C072HA13
(57)【要約】
【課題】走査レンズの大型化を抑制しつつ、ポリゴンミラーの周囲に塵等が侵入するのを抑制することを目的とする。
【解決手段】走査光学装置1は、半導体レーザ10からの光をビームに変換するカップリングレンズ20と、カップリングレンズ20からのビームを偏向するポリゴンミラー51を有する偏向器50と、偏向器50からのビームを像面に結像する走査光学系(例えばLoC)と、偏向器50からのビームを透過させる窓部材110と、窓部材110を通ったビームを検知する光センサ120と、フレームFを備える。フレームFは、第1壁F1を有する。第1壁F1は、偏向器50から走査光学系に向かうビームが通る第1開口H1と、偏向器50から光センサ120に向かうビームが通る第2開口H2を有する。走査光学系のうち偏向器50に最も近い走査レンズ(60CK)は、第1開口H1を塞ぐ。窓部材110は、第2開口H2を塞ぐ。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する半導体レーザと、
前記半導体レーザからの光をビームに変換するカップリングレンズと、
前記カップリングレンズからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーを有する偏向器と、
前記偏向器からのビームを像面に結像する走査光学系と、
前記偏向器で偏向されたビームを透過させる窓部材と、
前記窓部材を通ったビームを検知する光センサと、
前記偏向器が設置された設置面を有するフレームと、を備え、
前記フレームは、
前記偏向器から前記走査光学系に向かうビームが通る第1開口と、前記偏向器から前記光センサに向かうビームが通る第2開口とを有する第1壁を有し、
前記走査光学系のうち前記偏向器に最も近い走査レンズは、前記第1開口を塞ぎ、
前記窓部材は、前記第2開口を塞ぐことを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
前記窓部材は、前記光センサにビームを集光するレンズであることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記窓部材は、平面形状の入射面を有し、
前記入射面は、前記偏向器から前記光センサに向かうビームの光路に直交することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記偏向器を、前記設置面と反対側で覆う第1カバーを有し、
前記第1カバーは、前記走査レンズに入射するビームの進行方向から見て、前記第1壁と重なる第1リブを有することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記カップリングレンズからのビームを副走査方向に集光する集光レンズを備え、
前記フレームは、
前記カップリングレンズから前記偏向器に向かうビームが通る第3開口を有する第2壁を有し、
前記集光レンズは、前記第3開口を塞ぐことを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記カップリングレンズを覆う第2カバーを有し、
前記第2カバーは、
前記集光レンズに入射するビームの進行方向から見て、前記第2壁と重なる第2リブを有することを特徴とする請求項5に記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記フレームは、
前記カップリングレンズと前記集光レンズの間に位置し、前記ビームが通過する開口絞りを有する絞り板を有し、
前記集光レンズは、前記第2壁と前記絞り板の間で挟まれていることを特徴とする請求項5に記載の走査光学装置。
【請求項8】
前記集光レンズは、前記集光レンズに入射するビームの進行方向に突出し、前記第2壁に接触するリブを有することを特徴とする請求項5に記載の走査光学装置。
【請求項9】
前記偏向器を前記設置面と反対側で覆う第1カバーと、
前記走査レンズと前記第1カバーの間に位置するシール部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項10】
前記フレームは、
前記ポリゴンミラーの回転軸線に沿った第1方向に交差し、前記偏向器が取り付けられる第1ベース壁と、
前記第1方向に交差し、前記第1ベース壁に対して、前記第1方向の一方側にずれた位置に位置する第2ベース壁と、を有し、
前記偏向器は、前記第1ベース壁に対して、前記第1方向の一方側に位置し、
前記カップリングレンズは、前記第2ベース壁に対して、前記第1方向の他方側に位置することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴンミラーを備える走査光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリゴンミラーは、周囲の空気に含まれた塵等が回転するミラーに当たることで傷がつき、反射率が低下することがある。従来、走査光学装置として、塵がポリゴンミラーの周囲に入り込まないように封止するものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、ポリゴンミラーの出射側に配置される壁に形成された孔を、走査レンズで封止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術では、ビームを検知するための光センサに向かうビームが、走査レンズを通過するように構成されている。そのため、走査レンズに、光センサに向かうビームを通すための領域を設ける必要があり、走査レンズが大型化するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、走査レンズの大型化を抑制しつつ、ポリゴンミラーの周囲に塵等が侵入するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る走査光学装置は、半導体レーザと、カップリングレンズと、偏向器と、走査光学系と、窓部材と、光センサと、フレームと、を備える。
半導体レーザは、光を出射する。
カップリングレンズは、半導体レーザからの光をビームに変換する。
偏向器は、カップリングレンズからのビームを主走査方向に偏向するポリゴンミラーを有する。
走査光学系は、偏向器からのビームを像面に結像する。
窓部材は、偏向器で偏向されたビームを透過させる。
光センサは、窓部材を通ったビームを検知する。
フレームは、偏向器が設置された設置面を有する。フレームは、第1壁を有する。
第1壁は、偏向器から走査光学系に向かうビームが通る第1開口と、偏向器から光センサに向かうビームが通る第2開口とを有する。
走査光学系のうち偏向器に最も近い走査レンズは、第1開口を塞ぐ。
窓部材は、第2開口を塞ぐ。
【0007】
走査レンズが第1開口を塞ぎ、窓部材が第2開口を塞ぐことにより、塵等が第1開口や第2開口からポリゴンミラーの周囲に侵入するのを、走査レンズと窓部材によって抑制することができる。また、光センサに向かうビームが、走査レンズとは別の窓部材を通ることで、光センサに向かうビームを通すための領域を走査レンズに設ける必要がないので、走査レンズの大型化を抑制することができる。
【0008】
また、窓部材は、光センサにビームを集光するレンズであってもよい。
【0009】
窓部材がビームを集光するレンズであることにより、例えば光センサ用のレンズを窓部材とは別に設ける構造に比べ、部品点数を削減することができる。
【0010】
また、窓部材は、平面形状の入射面を有していてもよい。入射面は、偏向器から光センサに向かうビームの光路に直交してもよい。
【0011】
窓部材の入射面が光路に直交することにより、例えば窓部材の入射面が光路に対して傾斜する構造と比べ、光量のロスが少なく、第2開口の大きさを小さくすることができる。
【0012】
また、走査光学装置は、偏向器を設置面と反対側で覆う第1カバーを有していてもよい。第1カバーは、走査レンズに入射するビームの進行方向から見て、第1壁と重なる第1リブを有していてもよい。
【0013】
第1壁と重なる第1リブを有することにより、塵等が第1壁と第1カバーの隙間からポリゴンミラーの周囲に侵入するのを、第1リブによって抑制することができる。
【0014】
また、走査光学装置は、カップリングレンズからのビームを副走査方向に集光する集光レンズを備えていてもよい。フレームは、カップリングレンズから偏向器に向かうビームが通る第3開口を有する第2壁を有していてもよい。集光レンズは、第3開口を塞いでもよい。
【0015】
集光レンズが第3開口を塞ぐことにより、塵等が第3開口からポリゴンミラーの周囲に侵入するのを、集光レンズによって抑制することができる。
【0016】
また、走査光学装置は、カップリングレンズを覆う第2カバーを有していてもよい。第2カバーは、集光レンズに入射するビームの進行方向から見て、第2壁と重なる第2リブを有していてもよい。
【0017】
第2壁と重なる第2リブを有することにより、塵等が第2壁と第2カバーの隙間からポリゴンミラーの周囲に侵入するのを、第2リブによって抑制することができる。
【0018】
また、フレームは、カップリングレンズと集光レンズの間に位置し、ビームが通過する開口絞りを有する絞り板を有していてもよい。集光レンズは、第2壁と絞り板の間で挟まれていてもよい。
【0019】
第2壁と絞り板の間で集光レンズを挟むことにより、集光レンズを第2壁に密着させることができるので、塵等が第3開口からポリゴンミラーの周囲に侵入するのをより抑制することができる。
【0020】
また、集光レンズは、集光レンズに入射するビームの進行方向に突出し、第2壁に接触するリブを有していてもよい。
【0021】
第2壁に接触するリブを有することで、集光レンズの光学面を第2壁に接触させることなく、集光レンズで第3開口を封止することができる。
【0022】
また、走査光学装置は、偏向器を設置面と反対側で覆う第1カバーと、走査レンズと第1カバーの間に位置するシール部材と、をさらに備えていてもよい。
【0023】
シール部材を有することにより、塵等が走査レンズと第1カバーの隙間からポリゴンミラーの周囲に侵入するのを抑制することができる。
【0024】
また、フレームは、ポリゴンミラーの回転軸線に沿った第1方向に交差し、偏向器が取り付けられる第1ベース壁と、第1方向に交差し、第1ベース壁に対して、第1方向の一方側にずれた位置に位置する第2ベース壁と、を有していてもよい。
偏向器は、第1ベース壁に対して、第1方向の一方側に位置していてもよい。
カップリングレンズは、第2ベース壁に対して、第1方向の他方側に位置していてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、走査レンズの大型化を抑制しつつ、ポリゴンミラーの周囲に塵等が侵入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態に係る走査光学装置を第1方向の他方側から見た斜視図である。
【
図2】走査光学装置を第1方向の一方側から見た斜視図である。
【
図5】第1方向に直交する面であって窓部材を通る面で切った状態の走査光学装置の偏向器周りの構造を拡大して示す斜視図である。
【
図6】フレームの第1壁周りの構造を拡大して示す斜視図である。
【
図7】第1方向に直交する面であって窓部材を通る面で切った状態の走査光学装置の偏向器周りの構造を示す断面図である。
【
図8】第1壁と第1カバーの関係を示す断面図である。
【
図9】第2壁と第2カバーの関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および
図2に示すように、走査光学装置1は、フレームFと、入射光学系Liと、偏向器50と、走査光学系Loとを備える。本実施形態において、走査光学装置1は、電子写真式の画像形成装置に適用されている。画像形成装置は、4つの感光ドラム200(
図4参照)を備える。
【0028】
以下の説明では、後述するポリゴンミラー51の回転軸線X1に平行な方向を、「第1方向」と称する。また、第1方向に直交する方向であって、ポリゴンミラー51と第1走査レンズ60(
図4参照)が並ぶ方向を、「第2方向」と称する。また、第1方向および第2方向に直交する方向を「第3方向」と称する。第3方向は、主走査方向に相当し、第1方向は、入射光学系Liの副走査方向に相当する。図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。
【0029】
入射光学系Liは、4つの半導体レーザ10と、4つのカップリングレンズ20と、絞り板30と、集光レンズ40とを備える。
【0030】
半導体レーザ10は、光を出射する装置である。半導体レーザ10は、走査光学装置1が走査露光する4つの感光ドラム200(
図4参照)に対応して4つ設けられている。各感光ドラム200には、それぞれ異なる色のトナー像が形成される。
【0031】
なお、本実施形態では、第1色を「イエロー(Y)」、第2色を「マゼンタ(M)」、第3色を「シアン(C)」、第4色を「ブラック(K)」とする。以下の説明では、第1色に対応した部品の名称の頭に「第1」を付し、第1色に対応した部品の符号の末尾に「Y」を付して区別する場合がある。また、第2色、第3色、第4色に対応した部品ついても同様に、名称の頭に「第2」、「第3」、「第4」を付し、符号の末尾に「M」、「C」、「K」を付して区別する場合がある。
【0032】
半導体レーザ10は、イエローに対応した第1半導体レーザ10Yと、マゼンタに対応した第2半導体レーザ10Mと、シアンに対応した第3半導体レーザ10Cと、ブラックに対応した第4半導体レーザ10Kとを有する。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向に間隔を空けて並んでいる。第1半導体レーザ10Yは、第2半導体レーザ10Mに対して第1方向の一方側に位置する。
【0033】
第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向に間隔を空けて並んでいる。第3半導体レーザ10Cは、第2半導体レーザ10Mに対して第2方向の他方側に位置する。第4半導体レーザ10Kは、第1方向において第3半導体レーザ10Cと間隔を空けて並び、かつ、第2方向において第1半導体レーザ10Yと間隔を空けて並んでいる。
【0034】
カップリングレンズ20は、半導体レーザ10からの光をビームに変換するレンズである。各色に対応したカップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kは、対応する半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと対向する位置に配置されている。
【0035】
絞り板30は、カップリングレンズ20からのビームが通過する開口絞り31を有する。本実施形態では、絞り板30は、フレームFに一体に形成されている。絞り板30は、カップリングレンズ20と集光レンズ40の間に位置している。開口絞り31は、4つの半導体レーザ10およびカップリングレンズ20に対応して4つ設けられている。
【0036】
集光レンズ40は、カップリングレンズ20からのビームを副走査方向においてポリゴンミラー51のミラー面に集光するレンズである。集光レンズ40は、絞り板30に対してカップリングレンズ20とは反対側に位置している。
【0037】
図3に示すように、偏向器50は、カップリングレンズ20からのビームを主走査方向(第3方向)に偏向する装置であり、ポリゴンミラー51と、ポリゴンモータ52と、モータ基板53とを有する。ポリゴンミラー51は、回転することでビームを主走査方向に偏向する。ポリゴンミラー51は、回転軸線X1から等距離に設けられた5つのミラー面を有している(
図1も参照)。ポリゴンモータ52は、ポリゴンミラー51を回転させるモータである。モータ基板53は、ポリゴンモータ52を有し、フレームFに固定されている。
【0038】
図4に示すように、走査光学系Loは、偏向器50によって偏向されたビームを、像面としての感光ドラム200の表面に結像する光学系である。走査光学系Loを構成する各部品は、フレームFに固定されている。走査光学系Loは、イエローに対応した第1走査光学系LoYと、マゼンタに対応した第2走査光学系LoMと、シアンに対応した第3走査光学系LoCと、ブラックに対応した第4走査光学系LoKとを有する。
【0039】
第1走査光学系LoYおよび第2走査光学系LoMは、第2方向において、ポリゴンミラー51の一方側に配置されている。第3走査光学系LoCおよび第4走査光学系LoKは、第2方向において、ポリゴンミラー51の他方側に配置されている。各走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKには、偏向器50からのビームが入射する。
【0040】
第1走査光学系LoYは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Yと、反射ミラー81Yとを有する。第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。詳しくは、第1走査光学系LoYにおいて主走査方向の中心を通るビームの光路に沿った距離で見て、第1走査レンズ60YMは、偏向器50に最も近い光学部品である。
【0041】
第1走査レンズ60YMは、偏向器50で偏向されたビームBY,BMを主走査方向に屈折させて感光ドラム200Y,200Mに結像させるレンズである。また、第1走査レンズ60YMは、偏向器50によって等角速度で走査されたビームBY,BMを、感光ドラム200Y,200Mにおいて等速度となるようにするfθ特性を有する。
【0042】
反射ミラー81Yは、第1走査レンズ60YMからのビームBYを感光ドラム200Yに向けて反射するミラーである。
【0043】
第2走査レンズ70Yは、反射ミラー81Yで反射されたビームBYを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Yに結像させるレンズである。なお、走査光学系Loにおいて、副走査方向は、主走査方向およびビームの進行方向に直交する方向に相当する。第2走査レンズ70Yは、ポリゴンミラー51に対して第1方向の一方側の位置に配置されている。
【0044】
第2走査光学系LoMは、第1走査レンズ60YMと、第2走査レンズ70Mと、反射ミラー81Mと、ミラー82Mとを有する。第1走査レンズ60YMは、第2走査光学系LoMを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0045】
第1走査レンズ60YMは、第1走査光学系LoYと共用されている。ミラー82Mは、第1走査レンズ60YMからのビームBMを反射ミラー81Mに反射するミラーである。第2走査レンズ70Mおよび反射ミラー81Mは、第1走査光学系LoYの第2走査レンズ70Yおよび反射ミラー81Yと同様の機能を有する。すなわち、反射ミラー81Mは、ミラー82Mで反射されたビームBMを感光ドラム200Mに向けて反射し、第2走査レンズ70Mは、反射ミラー81Mで反射されたビームBMを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Mに結像させる。
【0046】
第3走査光学系LoCは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第2走査光学系LoMと線対称の構造となっている。具体的に、第3走査光学系LoCは、第2走査光学系LoMの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70C、反射ミラー81Cおよびミラー82Cを有する。第1走査レンズ60CKは、第3走査光学系LoCを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0047】
第1走査レンズ60CKは、偏向器50で偏向されたビームBC,BKを主走査方向に屈折させて感光ドラム200C,200Kに結像させる。ミラー82Cは、第1走査レンズ60CKからのビームBCを反射ミラー81Cに反射し、反射ミラー81Cは、ミラー82Cで反射されたビームBCを感光ドラム200Cに向けて反射し、第2走査レンズ70Cは、反射ミラー81Cで反射されたビームBCを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Cに結像させる。
【0048】
第4走査光学系LoKは、ポリゴンミラー51の回転軸線X1に対して、おおむね第1走査光学系LoYと線対称の構造となっている。具体的に、第4走査光学系LoKは、第1走査光学系LoYの各部材と同様の機能を有する、第1走査レンズ60CK、第2走査レンズ70Kおよび反射ミラー81Kを有する。第1走査レンズ60CKは、第4走査光学系LoKを構成する光学部品のうち偏向器50に最も近い光学部品である。
【0049】
反射ミラー81Kは、第1走査レンズ60CKからのビームBKを感光ドラム200Kに向けて反射し、第2走査レンズ70Kは、反射ミラー81Kで反射されたビームBKを副走査方向に屈折させて感光ドラム200Kに結像させる。
【0050】
図3に示すように、各半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kから出射された光は、対応する各カップリングレンズ20Y,20M,20C,20Kを通ることでビームBY,BM,BC,BKに変換される。ビームBY,BM,BC,BKは、絞り板30の対応する開口絞り31Y,31M,31C,31Kを通った後、集光レンズ40を通って、ポリゴンミラー51に入射される。集光レンズ40は、ビームBY,BM,BC,BKが共通して通過するレンズであり、入射面が円筒面、出射面が平面で構成される。
【0051】
図4に示すように、ポリゴンミラー51は、ビームBY,BM,BC,BKを、対応する走査光学系LoY,LoM,LoC,LoKに向けて偏向する。第1走査光学系LoYに向かうビームBYは、第1走査レンズ60YMを通った後、反射ミラー81Yで反射され、第2走査レンズ70Yを通って第1方向の一方側の感光ドラム200Yに向けて出射される。ビームBYは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Yから出射される。ビームBYは、第1感光ドラム200Yの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0052】
第2走査光学系LoMに向かうビームBMは、第1走査レンズ60YMを通った後、ミラー82Mおよび反射ミラー81Mで反射され、第2走査レンズ70Mを通って第1方向の一方側の感光ドラム200Mに向けて出射される。ビームBMは、第1方向と所定の角度をなして第2走査レンズ70Mから出射される。ビームBMは、第2感光ドラム200Mの表面に結像され、主走査方向に走査される。ビームBC,BKも、同様に、対応する走査光学系LoC,LoKによって、第1方向の一方側の感光ドラム200C,200Kに向けて出射されて、対応する感光ドラム200C,200Kの表面に結像され、主走査方向に走査される。
【0053】
フレームFは、樹脂製であり、成形によって一体に造られている。フレームFは、
図2に示す第1凹部CP1と、
図1に示す第2凹部CP2とを有する。第1凹部CP1は、第1方向の一方側に開口する。第2凹部CP2は、第1方向の他方側に開口する。
図4に示すように、第1凹部CP1内には、偏向器50と、走査光学系Loの一部とが配置されている。具体的には、走査光学系Loのうち各反射ミラー81を除く部材が、第1凹部CP1内に配置されている。
図1に示すように、第2凹部CP2内には、カップリングレンズ20、絞り板30および集光レンズ40が配置されている。第2凹部CP2は、第1凹部CP1に対して第3方向の他方側に配置されている。
【0054】
フレームFは、第1凹部CP1の底に位置する第1ベース壁Fb1と、第2凹部CP2の底に位置する第2ベース壁Fb2とを有する。
【0055】
第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、第1方向に交差する壁である。詳しくは、第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、厚み方向が第1方向に沿っている壁である。つまり、第1ベース壁Fb1および第2ベース壁Fb2は、第1方向に直交する平面を有する壁である。
【0056】
第2ベース壁Fb2は、第1ベース壁Fb1に対して、第1方向の一方側にずれた位置に位置する。
図5に示すように、第1ベース壁Fb1には、偏向器50が取り付けられている。具体的には、モータ基板53が第1ベース壁Fb1に第1方向の一方側からネジで固定されている。また、走査光学系Loの一部、詳しくは走査光学系Loのうち反射ミラー81を除く部材が第1ベース壁Fb1に第1方向の一方側に取り付けられている。偏向器50と走査光学系Loの一部は、第1ベース壁Fb1に対して、第1方向の一方側に位置する。
図1に示すように、半導体レーザ10、カップリングレンズ20および絞り板30は、第2ベース壁Fb2に対して、第1方向の他方側に位置する。また、集光レンズ40および反射ミラー81も、第2ベース壁Fb2に対して、第1方向の他方側に位置する。
【0057】
反射ミラー81は、第1ベース壁Fb1付近に配置され、第1ベース壁Fb1に対して、第1方向の他方側に露出している。言い換えると、第1ベース壁Fb1は、反射ミラー81の第1方向の他方側に位置する部分を有していない。これにより、反射ミラー81は、第1ベース壁Fb1で隠されることなく第1方向の他方側に露出して、フレームFに対して、第1方向の他方側から取付可能となっている。
【0058】
図5に示すように、フレームFは、偏向器50が設置された設置面Fb11を有する。偏向器50のモータ基板53は、設置面Fb11から突出するボスFb12に固定されている。
【0059】
走査光学装置1は、窓部材110と、光センサ120と、レーザ基板90とをさらに備える。窓部材110は、偏向器50で偏向されたビームBを透過させる部材である。本実施形態では、窓部材110は、光センサ120にビームBを集光するレンズである。
【0060】
図7に示すように、窓部材110は、平面形状の入射面111を有している。入射面111は、偏向器50から光センサ120に向かうビームBの光路に直交している。窓部材110は、主走査方向および副走査方向に集光する出射面112を有している。出射面112は主走査方向と副走査方向とでパワーの異なるアナモルフィック面である。
【0061】
図5に示すように、光センサ120は、感光ドラム200に対するビームBの書き出し位置を決定するためのセンサであり、窓部材110を通ったビームBを検知する。詳しくは、図示せぬ制御部は、光センサ120でビームBを検知したタイミングに基づいて、感光ドラム200に対するビームBの書き出し位置を決定する。
【0062】
レーザ基板90は、フレームFの第3方向の他方側の端部に位置する。レーザ基板90は、第3方向において、カップリングレンズ20に対してポリゴンミラー51とは反対側に位置する。
図2および
図5に示すように、レーザ基板90には、半導体レーザ10Y,10M,10C,10Kと、光センサ120が取り付けられている。
【0063】
フレームFは、第1壁F1と、第2壁F2と、第3壁F3と、第4壁F4とを有する。第1壁F1、第2壁F2、第3壁F3および第4壁F4は、偏向器50を収容する第3凹部CP3を形成する。第3凹部CP3は、第1凹部CP1の第2方向における中央に位置する。
【0064】
偏向器50は、第2方向において、第1壁F1と第3壁F3の間に位置する。偏向器50は、第3方向において、第2壁F2と第4壁F4の間に位置する。第2壁F2および第4壁F4は、第1壁F1と第3壁F3とに連結されている。
【0065】
第1壁F1は、偏向器50と第3走査光学系LoCおよび第4走査光学系LoKの一部とを仕切る壁である。詳しくは、第1壁F1は、偏向器50と、第3走査光学系LoCおよび第4走査光学系LoKのうち第1走査レンズ60CK以外の部材とを仕切る。
【0066】
図5および
図6に示すように、第1壁F1は、第1開口H1と、第2開口H2とを有する。第1開口H1は、偏向器50から第3走査光学系LoCまたは第4走査光学系LoKに向かうビームBC,BKが通る開口である。第2開口H2は、偏向器50から光センサ120に向かうビームBが通る開口である。第1走査レンズ60YMは、第1開口H1を塞ぐ。窓部材110は、第2開口H2を塞ぐ。
【0067】
図5に示すように、第2壁F2は、2つの第3開口H31,H32を有する。第3開口H31,H32は、カップリングレンズ20から偏向器50に向かうビームBが通る開口である。第3開口H31,H32は、第1方向に長いスリット状に形成され、第3方向に貫通する。第3開口H31は、ビームBY,BMを通す。第3開口H32は、ビームBC,BKを通す。
【0068】
図5および
図6に示すように、第3壁F3は、第4開口H4を有する。第4開口H4は、偏向器50から第1走査光学系LoYまたは第2走査光学系LoMに向かうビームBY,BMが通る開口である。第1走査レンズ60YMは、第4開口H4を塞ぐ。
【0069】
集光レンズ40は、第3開口H31,H32を塞ぐ。集光レンズ40は、第2壁F2と絞り板30の間で挟まれている。
【0070】
図9に示すように、集光レンズ40は、出射面から第3方向の一方側、つまり集光レンズ40に入射するビームBの進行方向に突出するリブ40Aを有し、リブ40Aが第2壁F2に接触している。また、集光レンズ40は、入射面から第3方向の他方側に突出するリブ40Bを有し、リブ40Bが絞り板30に接触している。詳しくは、リブ40Bの第2方向の各端部が、絞り板30に接触している(
図1参照)。リブ40A,40Bは、集光レンズ40の光学面である出射面および入射面の周囲を囲むように構成されている。これにより、集光レンズ40の光学面を直接第2壁F2および絞り板30に接触させることなく、集光レンズ40で第3開口H31,H32を塞ぐことが可能である。
【0071】
図8に示すように、走査光学装置1は、第1カバーC1をさらに備えている。第1カバーC1は、偏向器50を設置面Fb11とは反対側から覆う。詳しくは、第1カバーC1は、第1凹部CP1を覆う。
【0072】
第1カバーC1は、2つの第1リブR11,R12を有する。各第1リブR11,R12は、第1走査レンズ60CK(
図4参照)に入射するビームBの進行方向、詳しくは第2方向から見て、第1壁F1と重なっている。各第1リブR11,R12は、第3方向に延びている。各第1リブR11,R12は、第1壁F1との第2方向の間隔が第1壁F1の厚さより小さい。2つの第1リブR11,R22は、第2方向において、第1壁F1を挟んでいる。2つのうちポリゴンミラー51から遠い側の第1リブR11は、近い側の第1リブR12よりも第1ベース壁Fb1側に突出している。なお、2つの第1リブR11,R12は、ポリゴンミラー51に対して第2方向の一方側にある第3壁F3に対しても同様に設けられている。
【0073】
図4に示すように、走査光学装置1は、2つのシール部材210,220をさらに備えている。一方のシール部材210は、第1走査レンズ60CKと第1カバーC1の間に位置する。一方のシール部材210は、第1走査レンズ60CKとともに第1開口H1を塞ぐ。一方のシール部材210は、また、窓部材110と第1カバーC1との間に位置する。一方のシール部材210は、窓部材110とともに第2開口H2を塞ぐ。他方のシール部材220は、第1走査レンズ60YMと第1カバーC1の間に位置する。他方のシール部材220は、第1走査レンズ60YMとともに第4開口H4を塞ぐ。シール部材210,220は、例えばスポンジなどの弾性部材からなる。
【0074】
図9に示すように、走査光学装置1は、第2カバーC2をさらに備えている。第2カバーC2は、カップリングレンズ20を覆う。詳しくは、第2カバーC2は、第2凹部CP2を覆う。
【0075】
第2カバーC2は、第2リブR2を有する。第2リブR2は、集光レンズ40に入射するビームBの進行方向、詳しくは第3方向から見て、第2壁F2と重なっている。第2リブR2と第2壁F2との第3方向の間隔は、第2壁F2の厚さ以下となっている。
【0076】
以上、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
図5に示すように、第1壁F1の第1開口H1が第1走査レンズ60CKで塞がれ、第2開口H2が窓部材110で塞がれるので、塵等が第1開口H1や第2開口H2からポリゴンミラーの周囲に侵入するのを、第1走査レンズ60CKと窓部材110によって抑制することができる。また、光センサ120に向かうビームBが、第1走査レンズ60CKとは別の窓部材110を通ることで、光センサ120に向かうビームBを通すための領域を第1走査レンズ60CKに設ける必要がないので、第1走査レンズ60CKの大型化を抑制することができる。
【0077】
窓部材110が、光センサ120にビームBを集光するレンズであるので、例えば光センサ用のレンズを窓部材とは別に設ける構造に比べ、部品点数を削減することができる。
【0078】
窓部材110の入射面111が、偏向器50から光センサ120に向かうビームBの光路に直交するので、例えば窓部材の入射面が光路に対して傾斜する構造と比べ、光量のロスが少なく、第2開口H2の大きさを小さくすることができる。
【0079】
図8に示すように、第1カバーC1が、第2方向から見て第1壁F1と重なる第1リブR11,R12を有するので、塵等が第1壁F1と第1カバーC1の隙間からポリゴンミラー51の周囲に侵入するのを、第1リブR11,R12によって抑制することができる。
【0080】
図5に示すように、第2壁F2の第3開口H31,H32が集光レンズ40で塞がれるので、塵等が第3開口H31,H32からポリゴンミラー51の周囲に侵入するのを、集光レンズ40によって抑制することができる。
【0081】
図9に示すように、第2カバーC2が、第3方向から見て第2壁F2と重なる第2リブR2を有するので、塵等が第2壁F2と第2カバーC2の隙間からポリゴンミラー51の周囲に侵入するのを、第2リブR2によって抑制することができる。
【0082】
第2壁F2と絞り板30の間で集光レンズ40を挟むことで、集光レンズ40を第2壁F2に密着させることができるので、塵等が第3開口H31,H32からポリゴンミラー51の周囲に侵入するのをより抑制することができる。
【0083】
図4に示すように、第1走査レンズ60YM,60CKと第1カバーC1の間にシール部材210,220が位置するので、塵等が第1走査レンズ60YM,60CKと第1カバーC1の隙間からポリゴンミラー51の周囲に侵入するのを、シール部材210,220によって抑制することができる。
【0084】
図9に示すように、集光レンズ40が、第3方向に突出して第2壁F2に接触するリブ40Aを有するので、集光レンズ40の光学面を第2壁F2に接触させることなく、集光レンズ40で第3開口H31,H32を封止することができる。
【0085】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0086】
窓部材は、単にビームを透過させるだけの、レンズ機能を有さない部材であってもよい。この場合、光センサにビームを集光するレンズを窓部材とは別に設けてもよい。
【0087】
集光レンズは、カップリングレンズと一体であってもよい。
【0088】
前記実施形態では、走査光学系Loの一部を第1ベース壁Fb1の第1方向の一方側に取り付けたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、走査光学系の全部を、第1ベース壁の第1方向の一方側に取り付けてもよい。
【0089】
前記実施形態では、フレームFが、各凹部CP1,CP2を囲う略矩形の枠状の側壁を有する構成としたが、枠状の側壁のうち少なくとも1つが、第1カバーまたは第2カバーに設けられていてもよい。
【0090】
第1カバーは、フレームのうち少なくとも偏向器が配置された部分を覆えばよい。例えば、偏向器を覆うカバーと、走査光学系の一部を覆うカバーが別体であってもよい。また、カバーは、走査光学系の全部を覆っていてもよい。例えば、第1凹部内に走査光学系の全部が収容される場合には、カバーが走査光学系の全部を覆ってもよい。
【0091】
第1リブ、第2リブの数は、前記実施形態に限定されず、いくつであってもよい。また、第2リブを2つ設け、2つの第2リブで第2壁を挟んでもよい。
【0092】
半導体レーザ10は、複数の発光点を有する構成としてもよい。これにより半導体レーザ10からの複数の光が、1つのカップリングレンズ20によって複数のビームに変換され、複数のビームが対応する走査光学系Loによって感光ドラム200の表面に結像されるよう構成してもよい。このように構成した場合、前記実施形態のビームBY,BM,BC,BKがそれぞれ複数のビームを含む構成となる。
【0093】
前記実施形態では、カラーの画像形成装置に適用される走査光学装置を例示したが、走査光学装置は、1つのビームのみを走査するモノクロの画像形成装置に適用されるものであってもよい。
【0094】
前記実施形態では、窓部材110は平面形状の入射面111を有しているとしたが、入射面111は平面でなくパワーを持った面であってもよい。また出射面112はアナモルフィック面であるとしたが、軸対称の面であってもよい。
【0095】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 走査光学装置
10 半導体レーザ
20 カップリングレンズ
50 偏向器
51 ポリゴンミラー
60CK 第1走査レンズ
110 窓部材
120 光センサ
F フレーム
F1 第1壁
Fb11 設置面
H1 第1開口
H2 第2開口
Lo 走査光学系