(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036084
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】火力調節装置
(51)【国際特許分類】
F23N 1/00 20060101AFI20240308BHJP
F23K 5/00 20060101ALI20240308BHJP
F23N 5/26 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F23N1/00 102D
F23K5/00 303
F23K5/00 301D
F23N5/26 T
F23N5/26 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140805
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】岸 隆行
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068BB01
3K068BB20
3K068FA01
3K068FB01
3K068FC02
3K068FD05
3K068HA08
3K068LA02
3K068LA03
3K068MA02
(57)【要約】
【課題】バーナの火力を調節するニードル弁6を進退させる火力調節レバー7と、バーナの点火動作を行う点火位置に押し操作自在な操作釦5とを備える火力調節装置であって、火力調節レバーに、操作釦に連動して当該レバーを揺動させる羽根部を設けるものにおいて、中火火力でバーナに点火できるようにして、且つ、操作釦を点火位置まで確実に押し操作できるようにする。
【解決手段】火力調節レバー7に、羽根部として、当該レバー7が中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦5を点火位置に押し操作したときに、操作釦5に設けた押し部54が当接して、火力調節レバー7を中火位置又はそれより強火側の位置まで揺動させる単一の羽根部74を設ける。また、ニードル弁6に直列の自動弁8を設ける。そして、操作釦5を点火位置に押し操作する際に自動弁8を中火状態に切換える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナにガスを供給するガス流路が内部に形成された装置本体と、装置本体内のガス流路の一部に軸方向に進退自在に挿入され、軸方向に進退することでガス供給量を増減してバーナの火力を調節するニードル弁と、装置本体に揺動操作自在に取付けられ、揺動操作によってニードル弁を軸方向に進退させる火力調節レバーと、バーナの点火動作を行う点火位置に押し操作自在な操作釦とを備える火力調節装置であって、
火力調節レバーに、操作釦を点火位置に押し操作したときに、操作釦に設けた押し部が当接して、火力調節レバーを揺動させる羽根部が設けられるものにおいて、
火力調節レバーは、羽根部として、火力調節レバーがバーナの火力を中火にする中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦を点火位置に押し操作したときに、押し部が当接して、火力調節レバーを中火位置又は中火位置より強火側の揺動位置まで揺動させる単一の羽根部のみを具備し、
更に、装置本体に、ニードル弁と直列にガス流路に介設される電気駆動式の自動弁が組み込まれ、自動弁は、火力調節レバーがバーナの火力を強火にする強火位置に存する状態でバーナの火力を強火にする強火状態と中火にする中火状態との少なくとも2つの状態に切換可能であって、操作釦を点火位置に押し操作する際に自動弁が中火状態に切換えられることを特徴とする火力調節装置。
【請求項2】
前記自動弁は、前記操作釦の前記点火位置への押し操作後、前記バーナへの着火が検出されたときに、前記強火状態に切換えられることを特徴とする請求項1記載の火力調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロバーナ等のバーナの火力を調節する火力調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の火力調節装置は、バーナにガスを供給するガス流路が内部に形成された装置本体と、装置本体内のガス流路の一部に軸方向に進退自在に挿入され、軸方向に進退することでバーナへのガス供給量を調節するニードル弁と、装置本体に揺動操作自在に取付けられ、揺動操作によってニードル弁を軸方向に進退させる火力調節レバーと、バーナへの点火動作を行う点火位置に押し操作自在な操作釦とを備えている。
【0003】
また、従来、このような火力調節装置として、火力調節レバーに、火力調節レバーがバーナの火力を中火にする中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦を点火位置に押し操作したときに、操作釦に設けた第1の押し部が当接して、火力調節レバーを中火位置に揺動させる第1の羽根部と、火力調節レバーが中火位置よりも強火側の揺動位置に存する状態で操作釦を点火位置に押し操作したときに、操作釦に設けた第2の押し部が当接して、火力調節レバーを中火位置に揺動させる第2の羽根部とを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、操作釦を点火位置に押し操作する前に火力調節レバーがどのような揺動位置に存していても、点火に適した中火火力でバーナに点火されることになる。
【0004】
然し、第1と第2の各羽根部や第1と第2の各押し部の成形誤差により、操作釦が点火位置に到達する前に、第1と第2の両押し部が第1と第2の両羽根部に同時に当接することがある。この場合は、両押し部が両羽根部に当接した位置で操作釦がセルフロックして、操作釦を点火位置まで押し操作できなくなり、点火不良を生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、中火火力でバーナに点火できるようにして、且つ、操作釦を点火位置まで確実に押し操作できるようにした火力調節装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナにガスを供給するガス流路が内部に形成された装置本体と、装置本体内のガス流路の一部に軸方向に進退自在に挿入され、軸方向に進退することでガス供給量を増減してバーナの火力を調節するニードル弁と、装置本体に揺動操作自在に取付けられ、揺動操作によってニードル弁を軸方向に進退させる火力調節レバーと、バーナの点火動作を行う点火位置に押し操作自在な操作釦とを備える火力調節装置であって、火力調節レバーに、操作釦を点火位置に押し操作したときに、操作釦に設けた押し部が当接して、火力調節レバーを揺動させる羽根部が設けられるものにおいて、火力調節レバーは、羽根部として、火力調節レバーがバーナの火力を中火にする中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦を点火位置に押し操作したときに、押し部が当接して、火力調節レバーを中火位置又はバーナの火力を中火以上にする位置まで揺動させる単一の羽根部のみを具備し、更に、装置本体に、ニードル弁と直列にガス流路に介設される電気駆動式の自動弁が組み込まれ、自動弁は、火力調節レバーがバーナの火力を強火にする強火位置に存する状態でバーナの火力を強火にする強火状態と中火にする中火状態との少なくとも2つの状態に切換可能であって、操作釦を点火位置に押し操作する際に自動弁が中火状態に切換えられることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、火力調節レバーが中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦を点火位置に押し操作したときは、操作釦の押し部により羽根部を介して火力調節レバーが中火位置又は中火位置より強火側の揺動位置まで揺動されると共に、自動弁が中火状態に切換えられるため、中火火力での点火が行われる。また、火力調節レバーが中火位置よりも強火側の揺動位置に存する状態で操作釦を点火位置に押し操作したときは、火力調節レバーは、中火位置よりも強火側の揺動位置に留まったままであるが、自動弁が中火状態に切換えられるため、この場合も中火火力での点火が行われる。
【0009】
そして、本発明では、火力調節レバーが単一の羽根部のみを具備するため、操作釦を点火位置に押し操作したとき、操作釦が点火位置に到達する前に、従来例の如く操作釦の2つの押し部が火力調節レバーの2つの羽根部に同時に当接してセルフロックするようなことがない。従って、操作釦を点火位置まで確実に押し操作でき、点火不良を防止できる。
【0010】
また、本発明において、自動弁は、操作釦の点火位置への押し操作後、バーナへの着火が検出されたときに、強火状態に切換えられることが望ましい。これによれば、中火火力で点火した後は、火力調節レバーの強火側への揺動操作でバーナの火力を強火にすることができ、使い勝手を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】実施形態の火力調節装置の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、
図2に示す本発明の実施形態の火力調節装置は、コンロバーナから成るバーナ(図示せず)の火力を調節するものである。コンロの奥行き方向を前後方向、コンロの幅方向を左右方向として、火力調節装置は、前後方向にのびる下部本体部11と、下部本体部11から立ち上がる上部本体部12とで構成される装置本体1を備えている。装置本体1の内部には、下部本体部11の後部下面の流入口2aと上部本体部12の上部後面の流出口2bとを結ぶガス流路2が形成されている。そして、流出口2bに接続する図外のガス配管を介してバーナにガスを供給する。
【0013】
下部本体部11には、後部に、下部本体部11内のガス流路21の上流側部分に介設される電磁安全弁3が組み込まれ、前部に、下部本体部11内のガス流路21の下流側部分に介設される主弁4が組み込まれている。電磁安全弁3は、弁座31と、弁座31に後方から着座可能な弁体32と、弁体32から後方にのびる弁軸33に連結される吸着片34と、吸着片34に対向する電磁石35と、弁体32を弁座31に着座する閉弁位置に付勢する弁バネ36とを備えている。主弁4は、弁座41と、弁座41に後方から着座可能な弁体42と、弁体42を弁座41に着座する閉弁位置に付勢する弁バネ43とを備えている。主弁4の弁体42は、下部本体部11に前方から前後方向に摺動自在に挿入される、電磁安全弁3の弁体32に前方から当接可能な押圧ロッド51に固定されている。
【0014】
また、下部本体部11の前端には、ガイドブロック13が取付けられている。そして、ガイドブロック13に、押圧ロッド51に前方から当接可能な操作釦5が、前方のストローク端たる消火位置(
図2に示す位置)から後方のストローク端たる点火位置にバネ52に抗して押し操作自在に支持されている。ガイドブロック13には、更に、操作釦5に設けたドグ部53aによりオンオフ操作される2接点式のマイクロスイッチ53が設けられている。
【0015】
操作釦5は、操作釦5の下面に形成したハート形のカム溝541とカム溝541に係合するガイドブロック13に取付けたピン542とから成るハートカム式のプッシュプッシュ機構54により、点火位置での押し操作解除後の消火位置への復動が消火位置の手前の燃焼位置で一旦係止され、燃焼位置で再度押し操作してから押し操作を解除したときに消火位置に復帰する。燃焼位置は、押圧ロッド51の後端が電磁安全弁3の弁座31よりも前方に位置するように設定され、電磁安全弁3の弁体32が電磁石35への通電停止で閉弁位置に復帰することを妨げないようにしている。尚、プッシュプッシュ機構54は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0016】
操作釦5を消火位置から点火位置に押し操作すると、先ず、消火位置と燃焼位置との間で、マイクロスイッチ53の第1の接点がオンして、電磁安全弁3の電磁石35への通電が開始されると共に、操作釦5が押圧ロッド51に当接して、押圧ロッド51が後方に押動され、主弁4の弁体42が弁座41から後方に離れて、主弁4が開弁する。操作釦5が燃焼位置を超えて更に後方に移動すると、マイクロスイッチ53の第2の接点がオンして、バーナに付設した点火電極(図示せず)でのスパークが開始されると共に、押圧ロッド51が電磁安全弁3の弁体32に当接して、弁体32が弁座31から後方に離れ、電磁安全弁3が開弁する。そして、操作釦5が点火位置に到達したところで、吸着片34が電磁石35に当接する開弁位置に弁体32が押動されて、通電励磁されている電磁石35により弁体32が開弁位置に吸着保持される。このように操作釦5の点火位置への押し操作で主弁4の開弁、電磁安全弁3の開弁及び点火電極でのスパークによる点火動作が行われ、バーナに点火される。
【0017】
尚、操作釦5が点火位置での押し操作の解除で燃焼位置に復帰しても、電磁石35への通電開始及び点火電極でのスパーク開始から所定時間(例えば、8秒)経過するまでは、バーナに付設した熱電対等の火炎検知素子(図示せず)でバーナの着火が検出されるまで、電磁石35への通電及び点火電極でのスパークを継続する。そして、電磁石35への通電開始及び点火電極でのスパーク開始から所定時間経過する前にバーナの着火が検出されたときは、その時点でスパークを停止すると共に、バーナの失火を検出したときに電磁安全弁3の電磁石35への通電を停止する通常制御に移行する。
【0018】
上部本体部12内のガス流路22の下流側部分22aは、流出口2bに向けて後方に屈曲している。そして、上部本体部12の上部に、上記下流側部分22aに軸方向たる前後方向に進退自在に挿入されるニードル弁6を組み込んでいる。更に、上部本体部12の上端には、火力調節レバー7が左右方向に揺動操作自在に取付けられている。具体的には、
図3に示す如く、上部本体部12の上端に、火力調節レバー7の基端部に形成した軸支孔71に挿入されるボス部121を突設して、このボス部121により火力調節レバー7が左右方向に揺動自在に軸支されるようにしている。また、ボス部121に上方から締め込まれるビス72により火力調節レバー7を抜け止めしている。
【0019】
ニードル弁6は、
図2に示す位置が、バーナの火力を中火とする位置であり、この位置から前方に移動することでガス供給量が増加して、バーナの火力が中火から強火側に増加し、後方に移動することでガス供給量が減少して、バーナの火力が中火から弱火側に減少する。また、ニードル弁6は、上部本体部12の前方に突出する部分を有しており、この部分に、上方にのびるピン61が取付けられている。
【0020】
火力調節レバー7には、ピン61が上下方向に貫通する、長孔状で前方に向けて左方に傾斜したカム孔73が形成されている。また、
図3も参照して、上部本体部12には、火力調節レバー7の下面に沿う板部1221を有するブラケット122がビス1222で締結されている。板部1211には、ピン61が上下方向に貫通する前後方向に長手のガイド孔1223が形成されている。そのため、火力調節レバー7を右方に揺動すれば、カム孔73によりピン61がガイド孔1223に沿って前方に移動し、即ち、ニードル弁6が前方に移動して、バーナの火力が増加し、また、火力調節レバー7を左方に揺動すれば、カム孔73によりピン61がガイド孔1223に沿って後方に移動し、即ち、ニードル弁6が後方に移動して、バーナの火力が減少する。
【0021】
ここで、バーナへの点火は、点火に適した火力である中火火力で行うことが望まれる。そこで、本実施形態では、火力調節レバー7に、操作釦5を点火位置に押し操作したときに、操作釦5に設けた押し部55が当接して、火力調節レバー7を揺動させる羽根部として、火力調節レバー7が中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦5を点火位置に押し操作したときに、押し部55が当接して、火力調節レバー7を中火位置まで揺動させる単一の羽根部74を設けている。具体的に説明すれば、火力調節レバー7に下方にのびる脚片部75を垂設して、脚片部75の下端に、火力調節レバー7が前下がりに傾くことを抑制するために、下部本体部12の下部前面に当接する当て部76を設けている。そして、
図3、
図4に示す如く、当て部76から右方に張出すように、押し部55に対向する羽根部74を設けている。尚、押し部55は、操作釦5の上部に設けた、ガイドブロック13の上部の左右一対のガイドレール部131,131に挿入される左右一対のガイド片部56,56のうち右側のガイド片部56の先端で構成されている。
【0022】
図4を参照して、押し部55は、操作釦5が消火位置に存するときに実線示の位置に存し、操作釦5が点火位置に到達したときに仮想線示の位置に移動する。また、羽根部74は、火力調節レバー7が中火位置に存するときに実線示の位置に存し、火力調節レバー7が中火位置よりも弱火側の揺動位置に存するときは、仮想線で示すように実線示の位置よりも前方に位置する。従って、火力調節レバー7が中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦5を点火位置まで押し操作すると、操作釦5が点火位置に到達する前に押し部55が羽根部74に当接して、押し部55により羽根部74を介して火力調節レバー7が中火位置まで揺動させられる。そのため、中火火力での点火が行われる。
【0023】
そして、火力調節レバー7に本実施形態の如く単一の羽根部74のみを設ければ、上記従来例の如く操作釦の2つの押し部が火力調節レバーの2つの羽根部に同時に当接してセルフロックするようなことがない。従って、操作釦5を点火位置まで確実に押し操作でき、点火不良を防止できる。
【0024】
但し、このままでは、火力調節レバー7が中火位置よりも強火側の揺動位置に存する状態で操作釦5を点火位置まで押し操作した場合、中火火力よりも強火力での点火が行われてしまう。そこで、本実施形では、上部本体部12の下部に、ニードル弁6と直列に上部本体部12内のガス流路22に介設される電気駆動式の自動弁8を組み込んでいる。以下、自動弁8について詳述する。尚、自動弁8は、自動調理等で火力制御を行う場合にも役立つ。
【0025】
自動弁8は、モータ81により送りねじ機構82を介して進退駆動される弁体83を備える電動弁で構成されている。弁体83は、ガス流路22中の弁孔22bに後方から挿入可能なニードル部831aと、弁孔22bが開設された弁座22cに後方から着座可能なシール部831bと、弁孔22bより上流側の流路部分を弁孔22bに連通するオリフィス孔831cとを有する主弁体831と、主弁体831のオリフィス孔831cの開設面に後方から接離自在な副弁体832とで構成されている。主弁体831は、バネ831dで後方の開き側に付勢されている。また、副弁体832は、バネ831dよりも強いバネ832aで主弁体831のオリフィス孔831cの開設面から離間する位置に付勢保持されている。送りねじ機構82は、モータ81の出力軸81aに連結した雄ネジ部材821と、雄ネジ部材821に螺合して、雄ネジ部材821の回転に伴い前後方向に進退する雌ネジ部材822と、雌ネジ部材822により後方から押されて副弁体832に当接する押圧子823とで構成されている。押圧子823には、弁体83が収納された空間をシールするためのダイヤフラム824が連結されている。
【0026】
自動弁8は、火力調節レバー7がバーナの火力を強火(最大火力)にする強火位置に存する状態でバーナの火力を強火にする強火状態からバーナの火力を弱火(最小火力)にする弱火状態まで無段階に切換自在である。
図2に示す自動弁8の状態は、火力調節レバー7が強火位置に存する状態でバーナの火力を中火にする中火状態である。中火状態から弁体83が前方に移動して、主弁体831のシール部831bが弁座22cに着座し、主弁体831のオリフィス孔831cを介してのみガスが流れる状態が弱火状態である。また、中火状態から弁体83が後方に移動し、主弁体831のニードル部831aが弁孔22bから完全に抜け出た状態が強火状態である。
【0027】
自動弁8は、操作釦5を点火位置に押し操作する際に中火状態に切換えられる。ここで、火力調節レバー7が中火位置よりも強火側の揺動位置に存する状態で操作釦5を点火位置に押し操作した場合、火力調節レバー7はこの揺動位置から動かない。然し、自動弁8が中火状態に切換えられるため、中火火力での点火が行われる。
【0028】
また、本実施形態では、操作釦5の点火位置への押し操作後、火炎検知素子によりバーナへの着火が検出されたときは、自動弁8を中火状態から強火状態に切換えるようにしている。これによれば、中火火力で点火した後は、火力調節レバー7の強火側への揺動操作でバーナの火力を強火にすることができ、使い勝手を損なうことがない。
【0029】
尚、上記実施形態では、自動弁8を電動弁で構成しているが、電磁弁で構成することも可能である。例えば、
図5に示す如く、ニードル弁に直列のガス流路22に、上流側と下流側とを接続する互いに並列の3つの分岐路22d
1,22d
2,22d
3を設けて、第1と第2の各分岐路22d
1,22d
2に第1と第2の各電磁弁8
1,8
2を介設すると共に、第3の分岐路22d
3に最小火力を規定するオリフィス9を介設し、第1と第2の両電磁弁8
1,8
2で自動弁8を構成する。これによれば、第1と第2の両電磁弁8
1,8
2を閉弁させることで、バーナの火力を弱火にする弱火状態になり、第1と第2の両電磁弁8
1,8
2の一方を開弁させることで、バーナの火力を中火にする中火状態になり、第1と第2の両電磁弁8
1,8
2を開弁させることで、バーナの火力を強火にする強火状態になる。そして、操作釦5を点火位置に押し操作する際に、第1と第2の両電磁弁8
1,8
2の一方を開弁させて中火状態に切換え、操作釦5の点火位置への押し操作後、バーナへの着火が検出されたときに、第1と第2の両電磁弁8
1,8
2を開弁させて強火状態に切換える。
【0030】
また、ニードル弁に直列のガス流路に、上流側と下流側とを接続する互いに並列の2つの分岐路を設けて、一方の分岐路に電磁弁を介設し、この電磁弁で自動弁を構成することも可能である。この場合は、電磁弁を閉弁させることで中火状態になり、電磁弁を開弁させることで強火状態になる。そして、操作釦5を点火位置に押し操作する際に、電磁弁を閉弁させて中火状態に切換え、操作釦5の点火位置への押し操作後、バーナへの着火が検出されたときに、電磁弁を開弁させて強火状態に切換える。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、火力調節レバー7が中火位置よりも弱火側の揺動位置に存する状態で操作釦5を点火位置に押し操作したときに、押し部54により羽根部74を介して火力調節レバー7が中火位置まで揺動されるようにしているが、中火位置より強火側の揺動位置まで揺動されるようにしてもよい。この場合でも、自動弁8が中火状態に切換えられるため、中火火力での点火が行われる。但し、この場合には、着火検出後の自動弁8の強火状態への切換えで、バーナの火力が使用者の意図と無関係に中火から増加して、使用者を驚かせてしまう虞がある。そのため、上記実施形態の如く火力調節レバー7が中火位置まで揺動されるようにすることが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
1…装置本体、2…ガス流路、5…操作釦、55…押し部、6…ニードル弁、7…火力調節レバー、74…羽根部、8…自動弁。