(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036091
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】草刈機
(51)【国際特許分類】
A01B 39/18 20060101AFI20240308BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240308BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140816
(22)【出願日】2022-09-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 読売新聞 九州版 2021年11月6日朝刊 〔刊行物等〕 電気新聞 2021年11月8日 第3面 〔刊行物等〕 読売新聞 大分版 2021年11月13日朝刊 第30面 〔刊行物等〕 南日本新聞 2021年11月13日朝刊 第8面 〔刊行物等〕 大分合同新聞 2021年11月13日朝刊 第9面 〔刊行物等〕 西日本新聞 2021年11月13日朝刊 第24面 〔刊行物等〕 森林技術 2022年No.960 4月号 第5~6頁 〔刊行物等〕 第44回全国育樹祭記念行事 森林・林業・環境機械展示実演会 〔刊行物等〕 アグリビジネス創出フェア 2021 〔刊行物等〕 林政ニュース 2021年11月24日 第665号 〔刊行物等〕 農村ニュース 2021年11月30日 第10面
(71)【出願人】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522352580
【氏名又は名称】株式会社BlueBee
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩章
(72)【発明者】
【氏名】坂元 博巳
(72)【発明者】
【氏名】安田 建治
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA10
2B034BA01
2B034BA08
2B034BC03
2B034HB13
2B034HB18
2B034JA30
(57)【要約】
【課題】飛行体により効率よく下刈作業を行いつつ、刈刃に対して必要以上の負荷が掛かった場合であってもその反力を吸収して飛行体の姿勢を安定させることができる草刈機を提供する。
【解決手段】空中を自在に移動可能なドローン2と、ドローン2の動きに連動して地面から生える草を刈り取る草刈部3と、ドローン2と草刈部3とを接続する接続部4とを備え、草刈部3は、各々が同方向に回転駆動する複数の草刈刃31を有し、当該複数の草刈刃31が接続部4の垂直方向の軸に対して軸受34を介して回動自在に接続している。また、草刈刃3をワイヤーとし、草刈刃3の回転軸Mが接続部4の軸Nと平行ではない角度で設置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中を自在に移動可能な飛行体と、
前記飛行体の動きに連動して草を刈り取る草刈部と、
前記飛行体と前記草刈部とを接続する接続部とを備え、
前記草刈部は、各々が同方向に回転駆動する複数の草刈刃を有し、当該複数の草刈刃が前記接続部の垂直方向の軸に対して軸受を介して回動自在に接続していることを特徴とする草刈機。
【請求項2】
請求項1に記載の草刈機において、
当該草刈刃の回転軸が前記接続部の軸と平行ではない角度で設置されることを特徴とする草刈機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の草刈機において、
前記接続部が、前記飛行体と前記草刈部との間の距離を可変することを特徴とする草刈機。
【請求項4】
請求項3に記載の草刈機において、
前記接続部がリンク機構であることを特徴とする草刈機。
【請求項5】
請求項4に記載の草刈機において、
前記接続部が、
前記飛行体の底部に第1ヒンジを介して一端側が固定される第1リンクと、
前記第1リンクの他端側に第2ヒンジを介して一端側が接続する第2リンクと、
前記第2リンクの他端側に第3ヒンジを介して一端側が接続し、他端側に前記草刈部が接続するための軸受が設置される第3リンクと、
前記飛行体の底部に固定され、前記第2リンクを巻き上げるウインチとを備えることを特徴とする草刈機。
【請求項6】
請求項5に記載の草刈機において、
前記第2リンクの一端側で接続する前記第2ヒンジの更に先端側に、前記草刈部の重量に応じた錘が配設されていることを特徴とする草刈機。
【請求項7】
請求項6に記載の草刈機において、
前記錘が前記草刈機を駆動させるための電力が蓄電されたバッテリであることを特徴とする草刈機。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の草刈機において、
前記草刈部を固定するアンカー部を備えることを特徴とする草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体を用いて下刈りを行う草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行体を用いて除草を行う技術として、例えば特許文献1に示す技術が開示されている。特許文献1に示す技術は、除草区における除草作業を行う除草機であって、前記除草区の地表面に接地又は近接して除草を行う除草部と、前記除草部が取り付けられ、空中において任意の方向に移動自在に構成される飛行体と、を備えるものである。また、特許文献1には、刈刃に所定値を超えるようなトルクや反力が生じた場合に、刈刃とは異なる動力のフライホイール機構でそれらを軽減又は打ち消すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す技術は刈刃に掛かるトルクや反力を打ち消すためにフライホイール機構に別途動力を設ける必要があり、装置構成が複雑になると共に、装置を構成する部品数の増加に伴って重量やコストが増大してしまうという課題を有する。また、フライホイール機構を動作させるためには適正なタイミングや回転数を演算する必要があり、加えて飛行体の飛行姿勢、高さ、位置の制御も必要となるため、制御が非常に複雑になってしまうという課題を有する。
【0005】
本発明は、飛行体により効率よく下刈作業を行いつつ、刈刃に対して必要以上の負荷が掛かった場合であってもその反力を吸収して飛行体の姿勢を安定させることができる草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る草刈機は、空中を自在に移動可能な飛行体と、前記飛行体の動きに連動して草を刈り取る草刈部と、前記飛行体と前記草刈部とを接続する接続部とを備え、前記草刈部は、各々が同方向に回転駆動する複数の草刈刃を有し、当該複数の草刈刃が前記接続部の垂直方向の軸に対して軸受を介して回動自在に接続しているものである。
【0007】
このように、本発明に係る草刈機においては、複数の草刈刃が前記接続部の垂直方向の軸に対して軸受を介して回動自在に接続しているため、複数の草刈刃で効率よく草刈りをおこないつつ、草刈刃に必要以上の負荷が掛かった場合であっても、回動自在に接続される軸受によりその負荷が吸収されて飛行体を安定することができるという効果を奏する。
【0008】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、当該草刈刃の回転軸が前記接続部の軸と平行ではない角度で設置されるものである。
【0009】
このように、当該草刈刃の回転軸が前記接続部の軸と平行ではない角度で設置されるため、草刈刃が地面に対して平行ではなく所定の角度で叩き付けるように草を根元から刈ることができ、非常に効率よく除草することができる。また、根元付近を刈ることで葉が軟らかい植物に対しても確実に除草することが可能となる。さらに、草刈刃をワイヤーとした場合には必要以上の負荷を掛けることなく地面を叩き付けながら回転することで効率よく作業を進めることができる。
【0010】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、前記接続部が、前記飛行体と前記草刈部との間の距離を可変するものである。
【0011】
このように、前記接続部が、前記飛行体と前記草刈部との間の距離を可変するため、飛行体の高さを安定させつつ地面の凹凸に応じて草刈部を適度な高さで動作させることができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、前記接続部をリンク機構とするものである。
【0013】
このように、前記接続部がリンク機構であるため、草刈部の高さ制御や飛行体の離着陸における伸縮などを自在に行うことができ、飛行体の制御が複雑になることを防止することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、前記接続部が、前記飛行体の底部に第1ヒンジを介して一端側が固定される第1リンクと、前記第1リンクの他端側に第2ヒンジを介して一端側が接続する第2リンクと、前記第2リンクの他端側に第3ヒンジを介して一端側が接続し、他端側に前記草刈部が接続するための軸受が設置される第3リンクと、前記飛行体の底部に固定され、前記第2リンクを巻き上げるウインチとを備えるものである。
【0015】
このように、前記接続部が、前記飛行体の底部に第1ヒンジを介して一端側が固定される第1リンクと、前記第1リンクの他端側に第2ヒンジを介して一端側が接続する第2リンクと、前記第2リンクの他端側に第3ヒンジを介して一端側が接続し、他端側に前記草刈部が接続するための軸受が設置される第3リンクと、前記飛行体の底部に固定され、前記第2リンクを巻き上げるウインチとを備えるため、複数のリンクとヒンジにより伸縮自在に構成することができると共に、伸縮制御をウインチの駆動のみで簡単に行うことができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、前記第2リンクの一端側で接続する前記第2ヒンジの更に先端側に、前記草刈部の重量に応じた錘が配設されているものである。
【0017】
このように、前記第2リンクの一端側で接続する前記第2ヒンジの更に先端側に、前記草刈部の重量に応じた錘が配設されているため、草刈部への荷重とリンク機構のバランスを適度に保つことができ、効果的に除草作業を行うことができるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、前記錘が前記草刈機を駆動させるための電力が蓄電されたバッテリとするものである。
【0019】
このように、前記錘が前記草刈機を駆動させるための電力が蓄電されたバッテリであるため、錘とバッテリとを別体として必要以上に重量を増やすことなく、バッテリの重量を利用してリンク機構のバランス及び草刈部への適度な荷重を実現することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る草刈機は必要に応じて、前記草刈部を固定するアンカー部を備えるものである。
【0021】
このように、草刈部を固定するアンカー部を備えるため、草刈部の位置が安定し周囲の草を確実に刈り取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る草刈機が刈払い作業中の状態を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る草刈機が離着陸を行う状態を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る草刈機における草刈部の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る草刈機における草刈部の側面を示した模式図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る草刈機が刈払い作業中の状態を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る草刈機が離着陸を行う状態を示す図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る草刈機の接続部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0024】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る草刈機について、
図1ないし
図4を用いて説明する。本実施形態に係る草刈機は飛行体を用いて下刈りを行うものである。広場など通常の平地における草刈りの場合、車輪で走行する自走式又は人の操縦により走行する草刈機を用いることで、人手に頼らず効率的に草刈りを行うことが可能である。一方、山地や雑木林における下刈りの場合は、そのような車輪走行の草刈機を現地まで運搬するのが難しく、加えて木々の間を走行させるのはほぼ不可能な状態であることが多い。また、急斜面や崖などからの滑落、転倒、スズメバチや害獣などの危険性を伴う。そのため現状では、山地や雑木林の下刈り作業において、安全性を確保しながら人手により手間、時間及びコストを掛けて慎重に作業を行う必要がある。
【0025】
本実施形態に係る草刈機は、飛行体の下方に刈払機を接続し、当該飛行体が空中で移動するのに伴って地面の草木を刈払いするものである。本実施形態においては、飛行体と刈払機とがリンク機構で接続される構成について説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る草刈機が刈払い作業中の状態を示す図、
図2は、本実施形態に係る草刈機が離着陸を行う状態を示す図である。
図1において、草刈機1は、空中を自動又は手動にて自在に移動可能な飛行体としてのドローン2と、地面から生える草木を刈り取る草刈部3と、ドローン2と草刈部3とを接続する接続部4とを備える。
【0027】
ドローン2の構成及び機能については、一般的に既知のものであるため詳細な説明は省略する。ここでは、操作者の操作にしたがって又は予めプログラミングされた経路にしたがって、所定の高さを維持しながら空中を飛行する飛行体である。所定の高さについて、その制御方法は詳細を後述するが、草刈部3が地面の草木を根元あたりから刈り取れる程度の高さを維持するようにドローン2が飛行する。本実施形態におけるドローン2は、着陸している状態でドローン2の本体22を所定の高さで安定支持するために、2つの支持体23,24を備えている。
【0028】
一方の支持体23は、本体2の左右いずれか一方の底面側部あたりからテーパ状に延出する2本の起立部231と、当該2本の起立部231を底部で接続する底部232とからなり、同様の構成を有する支持部24(2本の起立部241と底部242とからなる)が、本体2の左右の他方側に左右対称となるように配設される。この2つの支持体23,24は、ドローン2が着陸している状態で底部232,242が地面に接地することでドローン2を安定支持する。なお、
図1及び
図2においては、手前側の支持体23のみを記載しているが、実際には図面の奥側にもう一つの支持体24を有しており、この2の支持体23,24により、地上においてドローン2を安定支持することが可能となっている。
【0029】
草刈部3は、3つの草刈刃31を有しており、それぞれの草刈刃31が高速回転運動を行うことで地面に生えた草木を刈払いする。ここで、草刈部3の構成について
図3及び
図4を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明においては、草刈部3が3つの草刈刃31を有する場合の構造について説明するが、草刈刃31は必ずしも3つである必要はなく、対象となる草刈の環境に応じてその数が決定されるようにしてもよい。
【0030】
図3は、本実施形態に係る草刈機における草刈部の構成を示す図である。草刈部30は、3つの草刈刃31(31a,31b,31c)を備えており、それぞれの草刈刃31は、草刈部30の基部32の中心部分から3方向に略均等な角度(120度)で延出する延出部33(33a,33b,33c)の先端側に付設されている。延出部33の先端側においては草刈刃31を高速回転するための駆動部であるモータ35(35a,35b,35c)が配設されており、当該モータ35の回転駆動に伴って草刈刃31が回転する。延出部33の基端側は、上下方向から基部32で挟み込まれるようにして軸受34(ベアリング)を介して第3リンク46に接続し、回動自在に軸支されている。
【0031】
各草刈刃31は、全て同じ方向に同じ回転数で回転駆動するように制御される。延出部33は第3リンク46に軸受34を介して回動自在に接続しているため、草刈刃31に負荷が掛かることで当該草刈刃31の回転方向Sとは逆の方向に反力が生じた場合であっても、軸受34が回転方向Sの逆方向Tに自在に回動することでその力を逃がすことができ、ドローン2に掛かる衝撃を最小限に抑えて安定した飛行が可能となる。
【0032】
なお、配設される草刈刃31の数が偶数の場合は、第3リンク46を中心として対向して配設される草刈刃31のペア(延出部33が延出する方向が180度(正反対)となっている1組の草刈刃31)で回転数が同じであれば、隣接する他のペアの回転数は異なるものとなってもよい。そうすることで、草刈刃31のペアごとに異なる回転数での草刈りが可能となり、様々な環境においても適正に草刈り作業を行うことが可能となる。
【0033】
また、軸受34に掛かるそれぞれの延出部33から遠心力が均等になるように設計されていれば、複数の草刈刃31ごとに回転数、延出部33の長さ、草刈刃31の径を異ならせるようにしてもよい。
【0034】
図4は、本実施形態に係る草刈機における草刈部の側面を示した模式図である。本実施形態においては、草刈刃31を金属系や樹脂系の刃、又は金属系や樹脂系のワイヤーで構成することができるが、好ましいのは耐久性が高くてフレキシブルな刃であり、ここではステンレス製のワイヤーを用いるものとする。各草刈刃31は
図4に示すように、回転軸Mを中心にモータ35により高速回転する。草刈刃31は、その回転軸Mが基部32の中心軸N(又は、第3リンク46の長手方向)と平行の関係にない角度で延出部33に付設されている。すなわち、
図4に示すように、地面を水平とした場合に、草刈刃31の回転面Kと地面Lとが平行の関係ではなく、回転面Kと地面Lとがなす角度θが90度未満となっている。仮に回転面Kと地面Lとが平行となるように草刈刃31が配設された場合は、刈り取る草が柔らかい場合に草が逃げて上手く刈り取ることができない場合がある。そのような場合には根本の部分を刈り取ることが理想的であるが、回転面Kと地面Lとが平行になっていると根本の部分を刈り取ることができない。すなわち、草刈刃31の回転軸Mに所定の傾斜を付けることで、ステンレス製のワイヤーにより地面Lを叩くように草木を根元から伐採することが可能となる。
【0035】
ここで、草刈刃31に金属刃のような硬質で可撓性がないものを用いた場合、地面Lを削るように草木を根元から伐採すると地面Lからの反力が大きく、草刈刃31に対して非常に大きい負荷が掛かってしまう。またドローン2の高さが低く、草刈刃31が地面Tに食い込んでしまうと草刈刃31の回転自体が停止してしまう可能性もある。そのため、上述したように、草刈刃31の回転軸Mに所定の傾斜を付けた場合は、草刈刃31に可撓性を有するフレキシブルなワイヤーを用いることが望ましく、特に耐久性が高く強度が強いステンレス製のワイヤーを用いるのが最適である。
【0036】
図1及び
図2に戻って、接続部4はリンク機構になっており、ドローン2の底部に第1ヒンジ41で第1リンク42の一端側が接続されている。第1リンク42の他端側には、第2ヒンジ43で第2リンク44の一端側が接続されている。第2リンク44の他端側には、第3ヒンジ45で第3リンク46が接続されている。第3リンク46には軸受34が設置されており、当該軸受34を介して草刈部3が接続されている。第2リンク44の途中の位置にはワイヤ固定部47が設置されており、当該ワイヤ固定部47に一端が固定されたワイヤ48をドローン2の底部に取り付けられたウインチ49で巻き上げ可能に接続されている。ウインチ49でワイヤ48を巻き上げた状態を
図2に示す。
【0037】
ワイヤ48が巻き上げられることで第2リンク44が次第にドローン2に引き寄せられる。それに伴い第1ヒンジ41、第2ヒンジ43及び第3ヒンジ46が回転し、第1リンク42及び第2リンク44が折り畳まれると共に、第3ヒンジ46により草刈部3が水平状態を保ったままドローン2に引き寄せられて
図2に示す状態となる。このとき、草刈部3の高さがドローン2の支持体23,24の底部232,242の高さよりも高い位置となるまでウインチ49によりワイヤ48が巻き取られる。すなわち、ドローン2の着陸時においては、支持体23,24の底部232,242のみが地面に接触した状態となる。もし支持体23,24の底部232,242よりも低い位置に草刈部3がある状態で着陸を行った場合、ドローン2は着陸が完了していないにも関わらず急激な重量減少により着陸が完了したものと見なしてうまく制御がされない可能性がある。そのため、
図2に示すように、着陸時には支持体23,24の底部232,242よりも高い位置に草刈部3がある状態が望ましい。
【0038】
第2リンク44の上方(第2ヒンジ43に接続する一端側の更に先端部分)には、草刈部3との重量バランスを取るための錘としてバッテリ50が配置されている。このバッテリ50が錘として配設されることで、リンク機構における第2リンク44を適度に傾斜させて重量バランスを保ち、草刈刃31に負荷が掛かった場合であっても草刈部3が必要以上に上下左右にブレてしまうことを防止して、安定した刈り取りを行うことが可能となる。バッテリ50は、ドローン2や草刈部3やウインチ49を駆動するための電源となるため、電源としての機能と錘としての機能を兼任することで、草刈機1の全体重量を必要以上に重くすることなく、効率よく駆動することが可能となっている。なお、この錘は必ずしもバッテリである必要はない。
【0039】
草刈部3の高さ制御は、主にドローン2の飛行高度により行われるが、作業環境や天候によってはウインチ49によるワイヤ48の巻き取りの長さで草刈部3の高さ制御を行うようにしてもよい。すなわち、木々が密集している場所や悪天候の場合は、ドローン2の飛行を安定することが極めて難しくなるが、ウインチ49によるワイヤ48の巻き取り制御であればそれらの状況に関わらず安定して動作することが可能となる。なお、ドローン2の飛行制御及びウインチ49によるワイヤ48の巻き取り制御は、ドローン2の制御部(図示しない)やウインチ49の制御部(図示しない)が自動で行うようにしてもよいし、作業者が無線通信可能なコントローラー(図示しない)で手動で行うようにしてもよい。
【0040】
このように、本実施形態に係る草刈機においては、複数の草刈刃31が接続部4の垂直方向の軸に対して軸受34を介して回動自在に接続しているため、複数の草刈刃31で効率よく草刈りをおこないつつ、草刈刃31に必要以上の負荷が掛かった場合であっても、回動自在に接続される軸受34によりその負荷が吸収されてドローン2を安定することができる。
【0041】
また、草刈刃31がワイヤーであり、当該草刈刃31の回転軸が接続部4の軸と平行ではない角度で設置されるため、草刈刃31であるワイヤーが地面に対して平行ではなく所定の角度で叩き付けるように草を根元から刈ることができ、非常に効率よく除草することができる。また、根元付近を刈ることで葉が軟らかい植物に対しても確実に除草することが可能となる。さらに、草刈刃31がワイヤーであるため必要以上の負荷を掛けることなく地面を叩き付けながら回転することで効率よく作業を進めることができる。
【0042】
さらに、接続部4がリンク機構であるため、草刈部3の高さ制御やドローン2の離着陸における伸縮などを自在に行うことができ、ドローン2の制御が複雑になることを防止することができる。
【0043】
さらにまた、接続部4が、ドローン2の底部に第1ヒンジ41を介して一端側が固定される第1リンク42と、第1リンク42の他端側に第2ヒンジ43を介して一端側が接続する第2リンク44と、第2リンク44の他端側に第3ヒンジ45を介して一端側が接続し、他端側に草刈部3が接続するための軸受34が設置される第3リンク46と、ドローン2の底部に固定され、第2リンク44を巻き上げるウインチ49とを備えるため、複数のリンクとヒンジにより伸縮自在に構成することができると共に、伸縮制御をウインチ49の駆動のみで簡単に行うことができる。
【0044】
さらにまた、第2リンク44の一端側で接続する第2ヒンジ43の更に先端側に、草刈部3の重量に応じた錘が配設されているため、草刈部3への荷重とリンク機構のバランスを適度に保つことができ、効果的に除草作業を行うことができる。
【0045】
さらにまた、錘が草刈機1を駆動させるための電力が蓄電されたバッテリ50であるため、錘とバッテリ50とを別体として必要以上に重量を増やすことなく、バッテリ50の重量を利用してリンク機構のバランス及び草刈部3への適度な荷重を実現することができる。
【0046】
なお、ここでは山地や雑木林における下刈りについて説明したが、本実施形態に係る草刈機1はこれに限らず、例えば崖に生えている草や建物の壁面などに沿って生えている草など人手による作業が難しい場所の草刈りに対応することが可能である。
【0047】
また、本実施形態においては草刈刃31としてステンレス製のワイヤーを用いる場合を主に説明したが、これ以外に金属性回転刃、金属性平板、金属性棒状体、金属性チェーン状体、樹脂性回転刃、樹脂性ワイヤー、ピアノ線などが用いられてもよい。
【0048】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る草刈機について、
図5及び
図6を用いて説明する。本実施形態に係る草刈機は、前記第1の実施形態に係る草刈機の接続部がリンク機構ではなく、長さ調整が可能な伸縮式アームとなっているものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0049】
図5は、本実施形態に係る草刈機が刈払い作業中の状態を示す図、
図6は、本実施形態に係る草刈機が離着陸を行う状態を示す図、
図7は、本実施形態に係る草刈機の接続部の構造を示す図である。本実施形態において、第1の実施形態における草刈機1の構成と異なるのは、接続部4がリンク機構ではなく伸縮式アームとなっていることである。すなわち、垂直方向(高さ方向)に伸縮自在に動作することが可能となっている。
【0050】
図7において、
図7(A)は接続部4が収縮した状態、
図7(B)は接続部4が伸長した状態を示している。
図7に示すように、接続部4は、異なる径を有する3つの筒状接続体(第1筒状接続体410,第2筒状接続体420,第3筒状接続体430)が摺動可能な状態で連接されており、最伸部となる筒状接続体に固定されたワイヤ48をウインチ49の駆動で巻き取り/引き出しすることで接続部4の伸縮が行われる。より具体的には、
図7に示すように、断面径が最も大きい第1筒状接続体410の中に、当該第1筒状接続体410の内径よりも小さい外径を有する第2筒状接続体420が摺動可能な状態で内包され、当該第2筒状接続体420の中に当該第2筒状接続体420の内径よりも小さい外径を有する第3筒状接続体430が摺動可能な状態で内包されており、更に第3筒状接続体430の先端部(接続部4の最伸部)にウインチ49から伸びるワイヤ48が固定されている。ウインチ49がワイヤ48を巻き取ったり引き出したりすることで、それぞれの筒状接続体が摺動して接続部4が伸縮する。
【0051】
第1の実施形態の場合と同様に、草刈機1が離着陸する際には、
図6に示すように接続部4が収縮した状態となる。一方で、離陸後の作業状態においては、
図5に示すように接続部4が伸長した状態となる。作業中の高さ調整はドローン2の制御により行われてもよいし、ウインチ49によるワイヤ48の巻き取りにより行われてもよい。また、環境に応じていずれかが選択的に行われるようにしてもよい。例えば、強風でドローン2の空中制御が難しい環境下であれば、草刈部3の最適な位置(高さ)をウインチ49で制御し、ドローン2の空中制御が容易な環境であれば、草刈部3の最適な位置(高さ)をドローン2による制御で行うようにしてもよい。
【0052】
なお、前記各実施形態において、草刈部3の中心部分から下方に向かって延在、又は伸縮するアンカー部を備える構成としてもよい。草刈部3が地面に対して浮遊している状態では草刈部3の位置が安定せずに、刈り取る草の種類や環境によっては草が逃げてしまったりなどで刈り取りがうまくできない場合があり得る。また、上述したように草刈刃31で地面を叩くように刈り取りを行った場合は、地面からの反動により必要以上に草刈部3やドローン2が影響を受け、不安定になったり位置制御が困難になる可能性があり得る。そのため、例えばドローン2を急速で下降することでその自重により地面に食い込んだり、伸縮により地面に食い込むことが可能なアンカー部を有することで、当該アンカー部を地面に食い込ませて草刈部3の位置を固定し、周囲の草刈を安定して行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 草刈機
2 ドローン
3 草刈部
4 接続部
22 本体
23,24 支持体
31 草刈刃
32 基部
33 延出部
34 軸受
35 モーター
41 第1ヒンジ
42 第1リンク
43 第2ヒンジ
44 第2リンク
45 第3ヒンジ
46 第3リンク
47 ワイヤ固定部
48 ワイヤ
49 ウインチ
50 バッテリ
231,241 起立部
232,242 底部
410 第1筒状接続体
420 第2筒状接続体
430 第3筒状接続体