(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000361
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】横架材及び骨組構造
(51)【国際特許分類】
E04C 3/07 20060101AFI20231225BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20231225BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
E04C3/07
E04B1/58 508R
E04B1/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099106
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 光彦
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 祐希
(72)【発明者】
【氏名】白崎 由香
【テーマコード(参考)】
2E125
2E163
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB16
2E125AC15
2E125AC16
2E125AG03
2E125BB16
2E125CA02
2E125CA03
2E125CA77
2E163FA02
2E163FA12
2E163FB07
2E163FB09
2E163FB43
2E163FB44
2E163FB49
(57)【要約】
【課題】施工にかかる手間を軽減することができる横架材を提供する。
【解決手段】横架材100は、柱200に固定される固定部10と、固定部10の側面11に突設される載置部12と、を備える。固定部10は、上下方向と直交する一方向に延びて形成され、柱200の上端に載せられる上片101を有している。載置部12は、固定部10の側面11から、固定部10の延びる一方向と上下方向との両方向に対して直交する方向に突出している。柱200の上端に上片101を載せて横架材100を仮保持することができ、横架材100を柱200に固定する前に、柱200に横架材100を固定するための部材を取り付ける必要がない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱に固定される固定部と、
前記固定部の側面に突設される載置部と、を備え、
前記固定部は、上下方向と直交する一方向に延びて形成され、前記柱の上端に載せられる上片を有し、
前記載置部は、前記固定部の前記側面から、前記一方向と上下方向との両方向に対して直交する方向に突出している、
横架材。
【請求項2】
前記載置部は、前記固定部の片方の前記側面に突設されている、
請求項1に記載の横架材。
【請求項3】
前記載置部は、前記固定部の両方の前記側面に突設されている、
請求項1に記載の横架材。
【請求項4】
前記固定部は、前記上片から下方に向かって突出する側片を備え、
前記側片が前記側面を有している、
請求項1に記載の横架材。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の横架材からなる第一の梁材と、
前記第一の梁材とは別体の第二の梁材と、を備え、
前記第二の梁材の端部が、前記第一の梁材の前記載置部に載置されている、
骨組構造。
【請求項6】
前記第二の梁材が、請求項1~4のいずれか1項に記載の横架材からなり、
前記第一の梁材の前記載置部と前記第二の梁材の前記載置部とが接合されている、
請求項5に記載の骨組構造。
【請求項7】
前記第一の梁材の前記固定部が固定される柱と、
第一の固定片及び第二の固定片を有する連結具と、をさらに備え、
前記第一の固定片が前記第一の梁材及び前記柱に固定され、
前記第二の固定片が前記第二の梁材に固定されている、
請求項5に記載の骨組構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、横架材及び骨組構造に関する。より詳細には、柱及び横架材を備える骨組構造及びこれに使用される横架材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、柱と梁との連結構造が開示されている。この連結構造では、柱と梁とを連結具で接続するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の連結構造では、柱に連結具を取り付けた後、この連結具に梁を取り付けるようにしており、梁を施工する前に、予め、柱に連結具を取り付ける作業が必要であり、施工に手間がかかる、という問題があった。
【0005】
本開示は、施工にかかる手間を軽減することができる横架材及び骨組構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る横架材は、柱に固定される固定部と、前記固定部の側面に突設される載置部と、を備える。前記固定部は、上下方向と直交する一方向に延びて形成される。また、前記固定部は、前記柱の上端に載せられる上片を有している。前記載置部は、前記固定部の前記側面から、前記一方向と上下方向との両方向に対して直交する方向に突出している。
【0007】
本開示の一態様に係る骨組構造は、前記横架材からなる第一の梁材と、前記第一の梁材とは別体の第二の梁材と、を備える。前記第二の梁材の端部が、前記第一の梁材の前記載置部に載置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、柱の上端に上片を載せて横架材を仮保持することができ、横架材を柱に固定する前に、柱に横架材を固定するための部材を取り付ける必要がなく、施工にかかる手間を軽減することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本開示に係る横架材の実施形態のうち、第一横架材を示す一部の斜視図である。
図1Bは、本開示に係る横架材の実施形態のうち、第二横架材を示す一部の斜視図である。
図1Cは、本開示に係る横架材の実施形態のうち、第三横架材を示す一部の斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る骨組構造の実施形態の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る骨組構造の実施形態の他の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る骨組構造の実施形態の他の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示に係る骨組構造の実施形態の他の一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6Aは、本開示に係る骨組構造の実施形態の一例を示す平面図である。
図6Bは、同上の正面図である。
図6Cは、同上の側面図である。
【
図7】
図7Aは、本開示に係る骨組構造の実施形態の一例を示す平面図である。
図7Bは、同上の正面図である。
図7Cは、同上の側面図である。
【
図8】
図8A~Fは、本開示に係る骨組構造の実施形態の他例を示す平面図である。
【
図24】
図24は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材として第一横架材が使用され、第二の梁材として角形鋼管が使用された場合を示す斜視図である。
【
図25】
図25は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材として第二横架材が使用され、第二の梁材として角形鋼管が使用された場合を示す斜視図である。
【
図26】
図26は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材及び第二の梁材として第一横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【
図27】
図27は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材として第一横架材が使用され、第二の梁材として第二横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【
図28】
図28は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材及び第二の梁材として第三横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【
図29】
図29は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材として第三横架材が使用され、第二の梁材として第二横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【
図30】
図30は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材として第二横架材が使用され、第二の梁材として第一横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【
図31】
図31は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材及び第二の梁材として第二横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【
図32】
図32は、本開示に係る骨組構造の実施形態において、第一の梁材として第二横架材が使用され、第二の梁材として第三横架材が使用された場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態に係る骨組構造300は、第一の梁材301と、第一の梁材301とは別体の第二の梁材302と、を備えている。第二の梁材302の端部は、第一の梁材301の載置部12に載置されている。
【0011】
第一の梁材301は、本実施形態に係る横架材100で構成されている。横架材100は、柱200に固定される固定部10と、固定部10の側面11に突設される載置部12と、を備えている。固定部10は、柱200の長手方向(上下方向)と直交する方向に延びるように形成され、柱200の上端に載せられる上片101を有している。載置部12は、柱200の長手方向と固定部10の延びる一方向との両方向に対して直交する方向に、固定部10の側面11から突出している。
【0012】
本実施形態の横架材100は、柱200の上端に上片101を載せて仮保持した状態で固定部10を柱200に固定することができる。従って、横架材100を柱200に固定する前に、予め、横架材100を柱200に固定するための部材を柱200に設ける必要がなく、施工にかかる手間を軽減することができる。
【0013】
(2)詳細
<横架材>
本実施形態に係る横架材100は、一定の断面形状に形成された鋼材で形成されている。横架材100は、断面形状が異なる3種類の第一横架材100a、第二横架材100b及び第三横架材100cを含んでいる。
【0014】
図1A~Cに示すように、第一横架材100a、第二横架材100b及び第三横架材100cは、いずれも固定部10と載置部12とを有するが、第一横架材100a及び第三横架材100cが載置部12を一つ有するのに対して、第二横架材100bは二つの載置部12を有する点で異なる。
【0015】
横架材100は、固定部10と載置部12とを有している。固定部10は、施工の際に柱200に固定される部分である。載置部12は、固定部10の側面11に突設されている。
【0016】
固定部10は、上下方向と直交する一方向に延びて長尺に形成されている。固定部10の長手方向は、横架材100の長手方向と同じである。本実施形態では、固定部10が延びる一方向は、横架材100を施工した際に、前後方向又は左右方向となる方向である。
【0017】
載置部12は、平板状に形成され、固定部10と同方向に延びて長尺に形成されている。すなわち、載置部12は、上下方向と直交する一方向に延びて長尺に形成されている。載置部12の長手方向は、横架材100の長手方向と同じである。本実施形態では、載置部12が延びる一方向は、横架材100を施工した際に、前後方向又は左右方向となる方向である。
【0018】
固定部10は、上片101と側片102とを備えている。上片101は、平板状に形成され、固定部10の全長にわたって連続して形成されている。側片102は、平板状に形成され、上片101の長手方向の端部から下方に向かって突出するように形成されている。側片102は、固定部10の全長にわたって連続して形成されている。側片102は、固定部10の側面11を構成している。載置部12は、側面11から固定部10の延びる一方向と上下方向との両方向に対して直交する方向に突出している。すなわち、載置部12は、側面11から、横架材100の長手方向と上下方向との両方に対して直交する方向に突出している。なお、本開示において、「直交」は、厳密な意味での直角に交わる状態だけでなく、ほぼ直角に交わる状態も含む概念である。横架材100は、断面形状において、上片101と側片102との間の角度が直角であり、側片102と載置部12との間の角度が直角である。なお、本開示において、「直角」は、厳密な意味で90°の状態だけでなく、ほぼ90°の状態も含む概念である。
【0019】
そして、
図1Aに示すように、第一横架材100aは、一つの上片101と、一つの側片102と、一つの載置部12とを備えて形成されている。従って、第一横架材100aの固定部10は、断面L字状に形成されている。第一横架材100aは、上片101の左右いずれか一方の長手方向の端部から下方に向かって側片102が延出されている。また、第一横架材100aは、載置部12が固定部10の片方の側面11に突設されている。この場合、上片101と載置部12とは、側片102から見て反対向きに突出しており、上片101と載置部12とは、対向していない。従って、第一横架材100aは、断面略Z字状に形成されている。
【0020】
また、
図1Bに示すように、第二横架材100bは、一つの上片101と、二つの側片102と、二つの載置部12とを備えて形成されている。二つの側片102は、左右方向で対向して配置されている。従って、第二横架材100bの固定部10は、下向きに開口する断面コ字状に形成されている。また、二つの載置部12のうちの一方は、左側の側片102の外面から左方向に向かって突出し、他方の載置部12は右側の側片102の外面から右方向に向かって突出している。すなわち、第二横架材100bは、載置部12が固定部10の両方の側面11に突設されている。従って、二つの載置部12は、それぞれ、上片101とは対向せず、第二横架材100bは、断面略ハット状に形成されている。
【0021】
また、
図1Cに示すように、第三横架材100cは、一つの上片101と、二つの側片102と、一つの載置部12とを備えて形成されている。二つの側片102は、左右方向で対向して配置されている。従って、第三横架材100cの固定部10は、下向きに開口する断面コ字状に形成されている。また、一つの載置部12は、左側の側片102の外面から左方向に向かって突出しているか、又は、右側の側片102の外面から右方向に向かって突出している。すなわち、第二横架材100bは、載置部12が固定部10の一方の側面11に突設されている。従って、一つの載置部12は、上片101とは対向せず、第三横架材100cは、断面略キャップ状に形成されている。
【0022】
<骨組構造の概要>
図2~5に示すように、本実施形態に係る骨組構造300は、柱200と第一の梁材301と第二の梁材302とを備えている。骨組構造300は、建物の躯体を構成するものである。建物としては、通常の家屋、工場、体育館、植物工場、コンビニエンスストアなどが例示される。本実施形態の骨組構造300は、特に、中規模の建物に好適に使用される。
【0023】
骨組構造300は、複数の柱200を備えている。各柱200は、例えば、断面四角形の角形鋼管を使用することができる。各柱200は、その長手方向(材軸方向)が上下方向と平行であり、例えば、地上から垂直に立てられている。複数の柱200は、所定の間隔を介して前後方向及び左右方向に並んでいる。なお、本開示において、「平行」とは、厳密な意味での平行状態だけでなく、ほぼ平行な状態も含む概念である。
【0024】
骨組構造300は、複数の第一の梁材301を備えている。本開示において、第一の梁材301は、柱200に固定される梁材である。骨組構造300は、複数の第二の梁材302を備えている。本開示において、第二の梁材302は、対向する第一の梁材301の間に架け渡される梁材である。
【0025】
第一の梁材301及び第二の梁材302としては、それぞれ、本実施形態の横架材100を使用することができる。また、第二の梁材302としては、本実施形態の横架材100の他に、各種の鋼管を使用することができ、例えば、断面四角形の角形鋼管を使用することができる。なお、本実施形態の骨組構造300では、外周部における横架材100としては、
図1Aに示す第一横架材100a又は
図1Cに示す第三横架材100cを使用することが好ましい。
【0026】
図2に示す骨組構造300では、前後方向に長い4本の第一の梁材301のうち、左右両端に配置された2本の第一の梁材301として、
図1Aに示す第一横架材100aが使用され、真ん中に配置された2本の第一の梁材301として、
図1Bに示す第二横架材100bが使用されている。また、左右方向に長い6本の第二の梁材302としては、角形鋼管が使用されている。
【0027】
図3に示す骨組構造300では、前後方向に長い4本の第一の梁材301のうち、左右両端に配置された2本の第一の梁材301として、
図1Cに示す第三横架材100cが使用され、真ん中に配置された2本の第一の梁材301として、
図1Bに示す第二横架材100bが使用されている。また、左右方向に長い6本の第二の梁材302としては、角形鋼管が使用されている。
【0028】
図4に示す骨組構造300では、左右方向に長い3本の第一の梁材301のうち、前後両端に配置された2本の第一の梁材301として、
図1Aに示す第一横架材100aが使用され、真ん中に配置された1本の第一の梁材301として、
図1Bに示す第二横架材100bが使用されている。また、前後方向に長い8本の第二の梁材302のうち、左右両端に配置された4本の第二の梁材302として、
図1Aに示す第一横架材100aが使用され、真ん中に配置された4本の第二の梁材302として、
図1Bに示す第二横架材100bが使用されている。
【0029】
図5に示す骨組構造300では、左右方向に長い3本の第一の梁材301のうち、前後両端に配置された2本の第一の梁材301として、
図1Cに示す第三横架材100cが使用され、真ん中に配置された1本の第一の梁材301として、
図1Bに示す第二横架材100bが使用されている。また、前後方向に長い8本の第二の梁材302のうち、左右両端に配置された4本の第二の梁材302として、
図1Cに示す第三横架材100cが使用され、真ん中に配置された4本の第二の梁材302として、
図1Bに示す第二横架材100bが使用されている。
【0030】
図6Aは、
図2に示す骨組構造300に対応する平面図、
図6Bは、
図2に示す骨組構造300に対応する正面図、
図6Cは、
図2に示す骨組構造300に対応する側面図である。
【0031】
図7Aは、
図4又は5に示す骨組構造300に対応する平面図、
図7Bは、
図4又は5に示す骨組構造300に対応する正面図、
図7Cは、
図4又は5に示す骨組構造300に対応する側面図である。
【0032】
本実施形態の骨組構造300は、各種の建物の骨組構造として使用することができる。例えば、
図8A、Bは、比較的小規模の建物の骨組構造300の平面図を示している。
図8C、Dは、複数スパンの建物の骨組構造300の平面図を示している。
図8E、Fは、平面視で矩形でない建物の骨組構造300の平面図を示している。
【0033】
骨組構造300は、更に、連結具400を備えていてもよい。連結具400は、柱200と第一の梁材301と第二の梁材302とを連結するために使用される。
【0034】
<骨組構造の施工方法>
本実施形態の骨組構造300を施工するにあたっては、以下のようにして行う。
【0035】
まず、複数の柱200を立てる。複数の柱200は、前後方向及び左右方向に所定の間隔を介して並べて立てられる。次に、複数の柱200に第一の梁材301を架け渡すようにして配置する。次に、対向する複数の第一の梁材301に第二の梁材302を架け渡すようにして配置する。
【0036】
図2及び
図6に示す骨組構造300の詳細を
図9~13に示す。この骨組構造300では、第一の梁材301として第一横架材100aが使用され、第二の梁材302として角形鋼管が使用されている。
【0037】
図9、10に示すように、第一横架材100aは、前後方向で対向する柱200の間に架け渡して配置される。このとき、第一横架材100aの上片101が柱200の上端に載せられる。すなわち、第一横架材100aの上片101の長手方向の一端部(前端部)が、一方(前側)の柱200の上端に載せられ、第一横架材100aの上片101の長手方向の他端部(後端部)が、他方(後側)の柱200の上端に載せられる。これにより、第一横架材100aは、前後方向で対向する柱200の間に架け渡された状態で、仮保持される。すなわち、第一横架材100aは、連結具400及び固定具500により柱200に固定(本固定)されるが、この固定よりも前に、第一横架材100aは、柱200に仮保持される。仮保持は、第一横架材100aが柱200に対して位置ずれしたり脱落したりしない程度に保持されていればよい。本実施形態では、第一横架材100aは、柱200の上端に載せるだけで、自重により、仮保持される。また、第一横架材100aの載置部12は、骨組構造300の内側に向いて固定部10から突出する。すなわち、左端に配置される第一横架材100aの載置部12は、固定部10から右方向(第二横架材100bの方)に向いて突出している。これにより、左端に配置される柱200の外側(左側)には、載置部12は突出していない状態となる。
【0038】
図11に示すように、骨組構造300の右端に配置される第一横架材100aも、同様に、右端において前後方向で対向する柱200の間に架け渡して配置される。このとき、第一横架材100aは、上片101が柱200の上端に載せられて仮保持される。また、第一横架材100aの載置部12は、骨組構造300の内側に向いて固定部10から突出する。すなわち、右端に配置される第一横架材100aの載置部12は、固定部10から左方向(第二横架材100bの方)に向いて突出している。これにより、右端に配置される柱200の外側(右側)には、載置部12は突出していない状態となる。
【0039】
図12、13は、骨組構造300の中央部に配置される第二横架材100bの固定構造を示している。第二横架材100bは、前後方向で対向する柱200の間に架け渡して配置される。このとき、第二横架材100bの上片101が柱200の上端に載せられる。すなわち、第二横架材100bの上片101の長手方向の一端部(前端部)が、一方(前側)の柱200の上端に載せられ、第二横架材100bの上片101の長手方向の他端部(後端部)が、後側の柱200の上端に載せられる。これにより、第二横架材100bは、前後方向で対向する柱200の間に架け渡された状態で、仮保持される。すなわち、第二横架材100bは、連結具400及び固定具500により柱200に固定(本固定)されるが、この固定よりも前に、第二横架材100bは、柱200に仮保持される。仮保持は、第二横架材100bが柱200に対して位置ずれしたり脱落したりしない程度に保持されていればよい。本実施形態では、第二横架材100bは、柱200の上端に載せるだけで、自重により、仮保持される。また、第二横架材100bの二つの載置部12は、一方(左側)の載置部12が左方向に向いて固定部10から突出し、他方(右側)の載置部12が右方向に向いて固定部10から突出する。すなわち、第二横架材100bは、二つの載置部12がそれぞれ左方向と右方向に向いて突出している。
【0040】
次に、左右方向で隣り合う柱200の間に第二の梁材302を架け渡して配置する。第二の梁材302は、長手方向の端部が載置部12に載せられる。すなわち、第二の梁材302の長手方向の一端部(右端部又は左端部)は、第一横架材100a又は第二横架材100bの載置部12に載せられ、第二の梁材302の長手方向の他端部(右端部又は左端部)も、別の第一横架材100a又は第二横架材100bの載置部12に載せられる。第二の梁材302は、左右方向で対向する第一横架材100a又は第二横架材100bの間に架け渡された状態で、仮保持される。すなわち、第二の梁材302は、連結具400及び固定具500により柱200に固定(本固定)されるが、この固定よりも前に、第二の梁材302は、第一横架材100a又は第二横架材100bに仮保持される。仮保持は、第二の梁材302が第一横架材100a又は第二横架材100bに対して位置ずれしたり脱落したりしない程度に保持されていればよい。本実施形態では、第二の梁材302は、載置部12に載せるだけで、自重により、仮保持される。
【0041】
次に、連結具400及び固定具500を使用して、柱200と第一の梁材301(第一横架材100a及び第二横架材100b)と第二の梁材302とが固定(本固定)される。連結具400は、第一の固定片401及び第二の固定片402を有している。第一の固定片401及び第二の固定片402は、それぞれ、平板状に形成されている。また、第一の固定片401と第二の固定片402の間の角度は直角である。連結具400としては、L型アングル等の金具を使用することができる。固定具500は、ビスなどを使用することができる。
【0042】
そして、連結具400の第一の固定片401を第一の梁材301の左面又は右面(第一横架材100a及び第二横架材100bの側面11)に沿って配置し、第一の固定片401と側片102とを貫通するように固定具500を柱200にねじ込む。また、連結具400の第二の固定片402を第二の梁材302の内側面(前面又は後面)に沿って配置し、第二の固定片402を貫通するように固定具500を第二の梁材302にねじ込む。このようにして第一の梁材301及び第二の梁材302は、仮保持した状態で、連結具400と固定具500により、柱200に固定することができる。
【0043】
本実施形態の横架材100では、仮保持した状態で、柱200に固定することができ、施工がしやすくなる。また、横架材100を仮保持するにあたって、柱200に予め仮保持に必要な部材を設ける必要がなく、施工の手間を軽減することができる。
【0044】
本実施形態の骨組構造300では、外周部分に載置部12が突出していないので、骨組構造300の外側に壁パネルを配置しやすくなる。
【0045】
図4及び
図7に示す骨組構造300の詳細を
図14~18に示す。この骨組構造300では、第一の梁材301として第一横架材100a又は第二横架材100bが使用され、第二の梁材302として第一横架材100a又は第二横架材100bが使用されている。
【0046】
図16、17に示すように、第一の梁材301である第一横架材100aは、骨組構造300の前端と後端において、左右方向で並ぶ柱200の間に架け渡して配置される。また、第一の梁材301である第二横架材100bは、骨組構造300の中央において、左右方向で並ぶ柱200の間に架け渡して配置される。このとき、第一横架材100a及び第二横架材100bの上片101が柱200の上端に載せられる。すなわち、第一横架材100a及び第二横架材100bの上片101の長手方向の一端部(左端部)が、一方(左側)の柱200の上端に載せられ、第一横架材100a及び第二横架材100bの上片101の長手方向の他端部(右端部)が、他方(右側)の柱200の上端に載せられる。さらに、第一横架材100a及び第二横架材100bの上片101の長手方向の中央部が、中央位置にある2つの柱200の上端に載せられる。これにより、第一横架材100a及び第二横架材100bは、左右方向で並ぶ複数の柱200の間に架け渡された状態で、仮保持される。すなわち、第一横架材100a及び第二横架材100bは、固定具500により柱200に固定(本固定)されるが、この固定よりも前に、第一横架材100a及び第二横架材100bは、柱200に仮保持される。仮保持は、第一横架材100a及び第二横架材100bが柱200に対して位置ずれしたり脱落したりしない程度に保持されていればよい。本実施形態では、第一横架材100a及び第二横架材100bは、柱200の上端に載せるだけで、自重により、仮保持される。
【0047】
また、第一横架材100aの載置部12は、骨組構造300の内側に向いて固定部10から突出する。すなわち、前端に配置される第一横架材100aの載置部12は、固定部10から後方に向いて突出している。これにより、前端に配置される柱200の外側(前側)には、載置部12は突出していない状態となる。また、
図16に示すように、後端に配置される第一横架材100aの載置部12は、固定部10から前方に向いて突出している。これにより、後端に配置される柱200の外側(後側)には、載置部12は突出していない状態となる。また、第二横架材100bの二つの載置部12は、それぞれ、固定部10から前方と後方に向かって突出する。
【0048】
この後、第一横架材100a及び第二横架材100bの側片102を柱200の側部にビスなどの固定具500で固定(本固定)する。
【0049】
第二の梁材302である第一横架材100a及び第二横架材100bは、前後方向で対向する第一の梁材301に架け渡して配置される。このとき、第一の梁材301である第一横架材100a及び第二横架材100bの載置部12に、第二の梁材302である第一横架材100a及び第二横架材100bの前端部又は後端部が載置される。そして、上下に重なる載置部12同士をビス等の固定具で結合することにより、第二の梁材302である第一横架材100a及び第二横架材100bが、第一の梁材301である第一横架材100a及び第二横架材100bに接合されて固定される。
【0050】
図5及び
図7に示す骨組構造300の詳細を
図19~23に示す。この骨組構造300では、第一の梁材301として第二横架材100b又は第三横架材100cが使用され、第二の梁材302として第二横架材100b又は第三横架材100cが使用されている。すなわち、
図19~23に示す骨組構造300は、
図14~18の骨組構造300において、第一横架材100aの替わりに、第三横架材100cを使用したものである。従って、
図14~18の骨組構造300の施工方法において、第一横架材100aの替わりに、第三横架材100cを使用することで、
図19~23に示す骨組構造300が形成される。
【0051】
なお、第一横架材100aは、側片102が柱200の一つの側面に沿って配置されるが、第二横架材100b及び第三横架材100cは、二つの側片102が柱200の二つの側面に沿って配置される。すなわち、第二横架材100b及び第三横架材100cは、対向する二つの側片102の間に柱200が位置する状態で、柱200に固定される。
【0052】
図24に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第一横架材100aが使用され、第二の梁材302として角形鋼管が使用されている。
【0053】
図25に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第二横架材100bが使用され、第二の梁材302として角形鋼管が使用されている。
【0054】
図26に示す骨組構造300は、第一の梁材301及び第二の梁材302として第一横架材100aが使用されている。
【0055】
図27に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第一横架材100aが使用され、第二の梁材302として第二横架材100bが使用されている。
【0056】
図28に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第三横架材100cが使用され、第二の梁材302として第三横架材100cが使用されている。
【0057】
図29に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第三横架材100cが使用され、第二の梁材302として第二横架材100bが使用されている。
【0058】
図30に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第二横架材100bが使用され、第二の梁材302として第一横架材100aが使用されている。
【0059】
図31に示す骨組構造300は、第一の梁材301及び第二の梁材302として第二横架材100bが使用されている。
【0060】
図32に示す骨組構造300は、第一の梁材301として第二横架材100bが使用され、第二の梁材302として第三横架材100cが使用されている。
【0061】
(変形例)
横架材100は、梁として使用できるだけでなく、桁、棟木、母屋、胴差などとしても使用可能である。
【0062】
柱200としては、角形鋼管だけでなく、H形鋼やL形鋼などの各種断面形状の鋼材を使用することができる。また、第二の梁材302も同様に、H形鋼やL形鋼などの各種断面形状の鋼材を使用することができる。また、第二の梁材302は第一横架材100aを使用してもよく、この場合、前後方向で対向する第二の梁材302のうち、前側の第二の梁材302では、第一横架材100aの載置部12が後方に向いて突出するように配置し、後側の第二の梁材302では、第一横架材100aの載置部12が前方に向いて突出するように配置する。
【0063】
固定具500は、ビスだけでなく、釘やボルトなどを使用することができる。
【0064】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る横架材(100)は、柱(200)に固定される固定部(10)と、固定部(10)の側面(11)に突設される載置部(12)と、を備える。固定部(10)は、上下方向と直交する一方向に延びて形成され、柱(200)の上端に載せられる上片(101)を有している。載置部(12)は、固定部(10)の側面(11)から、前記一方向と上下方向との両方向に対して直交する方向に突出している。
【0065】
第1の態様によれば、柱(200)の上端に上片(101)を載せて横架材(100)を仮保持することができ、横架材(100)を柱(200)に固定する前に、柱(200)に横架材(100)を固定するための部材を取り付ける必要がなく、施工にかかる手間を軽減することができる、という利点がある。
【0066】
第2の態様は、第1の態様に係る横架材(100)であって、載置部(12)は、固定部(10)の片方の側面(11)に突設されている。
【0067】
第2の態様によれば、横架材(100)の片方のみに載置部(12)が突出し、もう一方の片方には載置部(12)が突出しないようにすることができ、載置部(12)が突出していない方では、壁パネル等の他の部材の取り付けの際に載置部(12)が邪魔になりにくい、という利点がある。
【0068】
第3の態様は、第1の態様に係る横架材(100)であって、載置部(12)は、固定部(10)の両方の側面(11)に突設されている。
【0069】
第3の態様によれば、横架材(100)の両側において、載置部(12)を利用した他の部材の設置等を行うことができる、という利点がある。
【0070】
第4の態様は、第1~3のいずれか1つの態様に係る横架材(100)であって、固定部(10)は、上片(101)から下方に向かって突出する側片(102)を備える。前記側片(102)が側面(11)を有する。
【0071】
第4の態様によれば、柱(200)の上端に上片(101)を載せて横架材(100)を仮保持することができ、横架材(100)を柱(200)に固定する前に、柱(200)に横架材(100)を固定するための部材を取り付ける必要がなく、施工にかかる手間を軽減することができる、という利点がある。
【0072】
第5の態様に係る骨組構造(300)は、第1~4の態様のいずれか1つの横架材(100)からなる第一の梁材(301)と、第一の梁材(301)とは別体の第二の梁材(302)と、を備える。第二の梁材(302)の端部が、第一の梁材(301)の載置部(12)に載置されている。
【0073】
第5の態様によれば、第二の梁材(302)の設置に際して、載置部(12)を利用することができ、施工が行いやすい、という利点がある。
【0074】
第6の態様に係る骨組構造(300)は、第5の態様に係る骨組構造(300)であって、第二の梁材(302)が第1~4の態様のいずれか1つの横架材(100)からなる。第一の梁材(301)の載置部(12)と第二の梁材(302)の載置部(12)とが接合されている。
【0075】
第6の態様によれば、第二の梁材(302)の設置に際して、載置部(12)を利用することができ、施工が行いやすい、という利点がある。
【0076】
第7の態様は、第5又は6の態様に係る骨組構造(300)であって、第一の梁材(301)の固定部(10)が固定される柱(200)と、第一の固定片(401)及び第二の固定片(402)を有する連結具(400)と、をさらに備える。第一の固定片(401)が第一の梁材(301)及び柱(200)に固定される。第二の固定片(402)が第二の梁材(302)に固定されている。
【0077】
第7の態様によれば、第一の梁材(301)と第二の梁材(302)と柱(200)とを連結具(400)で強固に固定することができる、という利点がある。
【符号の説明】
【0078】
10 固定部
11 側面
12 載置部
100 横架材
101 上片
200 柱
300 骨組構造
301 第一の梁材
302 第二の梁材
400 連結具
401 第一の固定片
402 第二の固定片