(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003610
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】青果物入り包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240105BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240105BHJP
B65D 30/08 20060101ALI20240105BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B65D85/50 120
B65D77/04 F
B65D30/08
B65D81/05 400
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102861
(22)【出願日】2022-06-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】592148214
【氏名又は名称】株式会社精工
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正哉
(72)【発明者】
【氏名】尾川 景子
(72)【発明者】
【氏名】泉 文規
【テーマコード(参考)】
3E035
3E064
3E066
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA11
3E035AA12
3E035BA08
3E035BC02
3E035BD03
3E035CA07
3E064AA08
3E064BA30
3E064BB04
3E064BC18
3E064EA18
3E064FA01
3E064HN05
3E064HU03
3E066AA53
3E066BA03
3E066CA01
3E066CB04
3E066HA04
3E066JA21
3E066KA20
3E066LA02
3E066MA09
3E066NA54
3E067AA11
3E067AB08
3E067AC03
3E067BA12B
3E067BA12C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067CA03
3E067EA06
3E067FA04
3E067FC01
3E067GB05
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】ノントレーの包装体であっても、外部からの衝撃から青果物を保護することが可能で、かつ、青果物の鮮度をより長く保つことが可能な青果物用包装体を提供する。
【解決手段】包装体100は、フィルム11を含む内袋10と、フィルム21を含む外袋20と、内袋10と外袋20との間を充たす酸素を含む気体により形成されたクッション層22と、を備える。外袋20は、内袋10と一体的にシールされたシール部31を含む。クッション層22の体積は、内袋10内における青果物P以外の体積の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を内部に収容する内袋であって、可撓性を有する第1フィルムを含む内袋と、
前記内袋の外側に配置され、可撓性を有する第2フィルムを含む外袋と、
前記内袋と前記外袋との間を充たす酸素を含む気体により形成されたクッション層と、を備え、
前記内袋は、前記第1フィルムの両側端部が合掌状にシールされている内袋第1シール部と、当該内袋第1シール部の長手方向における前記第1フィルムの一方端及び前記第1フィルムの他方端の各々がシールされている内袋第2シール部と、を含み、
前記外袋は、前記第2フィルムの両側端部が合掌状に前記内袋第1シール部と一体的にシールされている外袋第1シール部と、前記長手方向における前記第2フィルムの一方端及び前記第2フィルムの他方端の各々が前記内袋第2シール部と一体的にシールされている外袋第2シール部と、を含み、
前記クッション層の体積は、前記内袋内における前記青果物以外の体積の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内である、青果物用包装体。
【請求項2】
前記第1フィルムの酸素透過率は、2394[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値であり、
前記第2フィルムの酸素透過率は、1900[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値である、請求項1に記載の青果物用包装体。
【請求項3】
前記第1フィルムの水蒸気透過率及び前記第2フィルムの水蒸気透過率は、5.7[g/(m2・day)]以上で、かつ、10.1[g/(m2・day)]以下の範囲内の値である、請求項2に記載の青果物用包装体。
【請求項4】
前記クッション層の体積は、前記青果物の体積の1.76倍以上で、かつ、前記内袋内における前記青果物以外の体積の1.91倍以下の範囲内であり、
前記内袋内における前記青果物以外の体積は、前記青果物の体積よりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物用包装体。
【請求項5】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムの少なくとも一方は、二軸延伸ポリプロピレンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物用包装体。
【請求項6】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムの少なくとも一方は、バイオマス系材料を含む二軸延伸ポリプロピレンを含む、請求項5に記載の青果物用包装体。
【請求項7】
前記青果物は、きのこである、請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物用包装体。
【請求項8】
前記きのこは、椎茸である、請求項7に記載の青果物用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、青果物用包装体が知られている。例えば、特許文献1には、傘部が下に向けられた状態の椎茸が配置されたトレーと、密封包装するフィルムと、を備えた包装体が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、内側フィルムからなる内袋部と外側フィルムからなる外袋部とを含む包装袋が開示されている。内袋部及び外袋部は、内側フィルムと外側フィルムとの各端部が一体に熱接合されて形成されている。また、内袋部と外袋部との間には空気層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の包装体では、トレーが用いられているが、近年の地球環境保護の観点から、上記特許文献2に記載されているような、トレーを用いない内袋と外袋とを含む包装体(ノントレーの包装体)が開発されている。しかしながら、上記特許文献2の包装体のように、内袋部と外袋部との間に単に空気層が設けられているだけでは、外部から強い衝撃が加わった際に青果物を保護するには必ずしも十分ではないという問題点がある。また、青果物包装体は、青果物の鮮度をより長く保てることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記の課題を鑑み、ノントレーの包装体であっても、外部からの衝撃から青果物を保護することが可能で、かつ、青果物の鮮度をより長く保つことが可能な青果物用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、
青果物を内部に収容する内袋であって、可撓性を有する第1フィルムを含む内袋と、
前記内袋の外側に配置され、可撓性を有する第2フィルムを含む外袋と、
前記内袋と前記外袋との間を充たす酸素を含む気体により形成されたクッション層と、を備え、
前記内袋は、前記第1フィルムの両側端部が合掌状にシールされている内袋第1シール部と、当該内袋第1シール部の長手方向における前記第1フィルムの一方端及び前記第1フィルムの他方端の各々がシールされている内袋第2シール部と、を含み、
前記外袋は、前記第2フィルムの両側端部が合掌状に前記内袋第1シール部と一体的にシールされている外袋第1シール部と、前記長手方向における前記第2フィルムの一方端及び前記第2フィルムの他方端の各々が前記内袋第2シール部と一体的にシールされている外袋第2シール部と、を含み、
前記クッション層の体積は、前記内袋内における前記青果物以外の体積の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内である、青果物包装体の構成を見出した。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、クッション層の体積が青果物を保護するために適切な体積となるので、ノントレーの包装体であっても、外部からの衝撃から青果物を保護することができる。そして、クッション層の体積(酸素の量)が青果物の鮮度保持に適切な大きさとなるので、青果物の鮮度をより長く保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態にかかる青果物用包装体100の構造を模式的に示した断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態にかかる包装体100の平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態にかかる包装体100の製造装置40の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の一実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、図示した構成における各部材の寸法及び部材間の寸法比率は、必ずしも実際の寸法及び寸法比率を表すものではない。
【0012】
[青果物用包装体の構造]
図1は、本実施形態にかかる青果物用包装体100(以下、「包装体100」という)の構造を模式的に示した断面図である。
図2は、本実施形態にかかる包装体100の平面図である。
【0013】
ここで、「青果物」には、野菜、及び果実が含まれる。以下では、「青果物」の例として、「野菜」の「きのこ」のうちの特に「椎茸」(例えば、「生椎茸」)を用いて説明するが、本開示は、「椎茸」以外の「舞茸」又は「エリンギ」等の「きのこ」を用いてもよいし、「きのこ」以外の「野菜」を用いてもよいし、「果実」を用いてもよい。
【0014】
図1に示すように、包装体100は、内袋10と外袋20とを有する2重包装体である。内袋10は、青果物Pを内部に収容する。例えば、
図1に示すように、Y方向に2列、
図2に示すように、X方向に3行の計6つの青果物Pが内袋10に収容される。また、内袋10は、可撓性を有するフィルム11からなる。また、外袋20は、可撓性を有するフィルム21からなる。そして、外袋20は、内袋10の外側に配置されている。詳細には、外袋20は、内袋10の外周を覆うように形成されている。また、包装体100は、内袋10と外袋20との間を充たす酸素を含む気体(例えば、空気)により形成されたクッション層22と、を備える。また、内袋10内には、青果物Pに加えて空気が封入されている。
【0015】
図2に示すように、包装体100は、ピロータイプの包装体である。詳細には、包装体100は、シール部31、32a及び32bを含む。シール部31、32a及び32bは、例えば、それぞれ、フィルム11及び21が熱溶着された部分であり、フィルム11及び21が溶着又は接着している部分である。
図1に示すように、シール部31は、フィルム11の両側端部11a及び11bが合掌状にシールされている部分であり、かつ、フィルム21の両側端部21a及び21bが合掌状にシールされている部分である。すなわち、フィルム11の両側端部11a及び11bとフィルム21の両側端部21a及び21bとが一体的にシールされている。
【0016】
また、
図2に示すように、シール部32aは、シール部31の長手方向(例えば、機械方向でありフィルム11が搬送される方向:X1方向)におけるフィルム11の一方端11c及びフィルム21の一方端21cがシールされている部分である。すなわち、フィルム11の一方端11cとフィルム21の一方端21cとが一体的にシールされている。シール部32bは、シール部31の長手方向におけるフィルム11の他方端11d(X2方向の端部)及びフィルム21の他方端21dがシールされている部分である。すなわち、フィルム11の他方端11dとフィルム21の他方端21dとが一体的にシールされている。
【0017】
また、
図1及び
図2に示すように、内袋10と外袋20とは、シール部31、32a及び32b以外の箇所では、熱融着されていない。
【0018】
フィルム11及び21は、それぞれ、例えば、可撓性を有する二軸延伸ポリプロピレン(OPP:Oriented Polypropylene)からなるが、これ以外の材料を用いてもよい。本実施形態では、フィルム11及び21は、バイオマス系材料を含むフィルムであってもよい。例えば、フィルム11及び21は、一般社団法人日本有機資源協会により規定されたバイオマスマーク「バイオマス10」を表示することが可能なフィルムであり、フィルム11及び21は、それぞれ、バイオマス系材料を10%以上含有する。バイオマス系材料とは、植物由来の原料を意味する。また、以下の説明では、バイオマス系材料を10%以上含有するOPPを「グリーンOPP」と称する。なお、フィルム11及び21は、「バイオマス10」を表示することが可能なフィルム以外のバイオマス系材料を含むフィルム(バイオマス系材料を10%未満含有するフィルム)であってもよく、バイオマス系材料を含まないフィルムであってもよい。
【0019】
また、フィルム11の酸素透過率は、例えば、2394[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値であるが、この範囲内の値に限られない。フィルム21の酸素透過率は、例えば、1900[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値であるが、この範囲内の値に限られない。
【0020】
また、フィルム11及び22の水蒸気透過率は、例えば、5.7[g/(m2・day)]以上で、かつ、10.1[g/(m2・day)]以下の範囲内の値であるが、この範囲内の値に限られない。
【0021】
また、本実施形態では、クッション層22の体積V2は、内袋10内における青果物P以外の体積V1の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内である。また、本実施形態では、クッション層22の体積V2は、青果物Pの体積V3の1.76倍以上で、かつ、体積V1の1.91倍以下の範囲内である。また、体積V1は、体積V3よりも大きい。体積V1~V3は、例えば、常温の水中に内袋10、外袋20、及び青果物Pがそれぞれ沈められた状態で測定されたものである。例えば、水が入った容器の水位の上昇の幅、又は、容器からあふれ出た水の量が測定され、当該幅又は水の量から、体積V1~V3が算出される。
【0022】
上記の構成によれば、クッション層22の体積V2が青果物Pを保護するために適切な体積となるので、ノントレーの包装体100であっても、外部からの衝撃から青果物Pを保護することができる。そして、クッション層22の体積V2(酸素の量)が青果物Pの鮮度保持に適切な大きさとなるので、青果物Pが変色すること又は青果物Pから異臭が生じることを防止することができる。
【0023】
図3を参照して、包装体100の製造装置40の構成を説明する。
図3は、一実施形態にかかる包装体100の製造装置40の構成を模式的に示す斜視図である。
図3に示すように、製造装置40は、内袋用ローラー41と、外袋用ローラー42と、第1シール機43と、2つのノズル44と、第2シール機45とを、含む。
【0024】
内袋用ローラー41は、フィルム11が巻き付けられており、X1方向に帯状のフィルム11を供給する。外袋用ローラー42は、内袋用ローラー41よりもZ2方向の位置に配置されている。外袋用ローラー42は、フィルム21が巻き付けられており、X1方向に帯状のフィルム21を供給する。第1シール機43は、フィルム11の両側端部11a及び11b、及び、フィルム21の両側端部21a及び21bを加熱して、互いに熱溶着させる。2つのノズル44は、所定の時間、空気を封入する。これにより、クッション層22の体積V2が、内袋10内における青果物P以外の体積V1(以下、「内部体積V1という」)の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内となる。また、クッション層22の体積V2が、青果物Pの体積V3の1.76倍以上で、かつ、体積V1の1.91倍以下の範囲内となる。また、ノズル44の先端部44a(吹き出し口)は、例えば、第2シール機45の近傍(第1シール機43よりもX1方向の位置)に配置されている。これにより、X2方向に空気が漏れてもクッション層22を形成し、クッション層22の体積V2を体積V1の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内にすることができる。
【0025】
第2シール機45は、フィルム11の一方端11c及びフィルム21の一方端21cを熱溶着させてシール部32aを形成する。また、第2シール機45は、フィルム11の他方端11d及びフィルム21の他方端21dを熱溶着させてシール部32bを形成する。また、第2シール機45は、シール部32bを形成した後、帯状のフィルム11及び21から、シール部32bを切り離し、包装体100が完成される。
【0026】
次に、本実施形態による実施例について表1~表9を参照して説明する。
【0027】
【0028】
〈実施例1-1〉
内部体積V1が「584ml」、クッション層体積V2が「736ml」、及び青果物Pの体積V3が「419ml」の実施例1-1を得た。
【0029】
〈実施例1-2〉
内部体積V1が「472ml」、クッション層体積V2が「878ml」、及び青果物Pの体積V3が「407ml」の実施例1-2を得た。
【0030】
〈実施例1-3〉
内部体積V1が「470ml」、クッション層体積V2が「896ml」、及び青果物Pの体積V3が「381ml」の実施例1-3を得た。
【0031】
〈比較例1-1〉
内部体積V1が「347ml」、クッション層体積V2が「693ml」、及び青果物Pの体積V3が「419ml」の比較例1-1を得た。
【0032】
〈比較例1-2〉
内部体積V1が「569ml」、クッション層体積V2が「253ml」、及び青果物Pの体積V3が「445ml」の比較例1-2を得た。
【0033】
(形状保持評価)
まず、出願人の茨城県つくば工場から上記実施例1-1~1-3、上記比較例1-1及び1-2を、それぞれ、段ボール箱に入れた状態で発送し、当該段ボール箱は、つくば工場発送日から3日後に長野県の事業所に到着した。そして、その段ボール箱をその日(つくば工場発送日から3日後)に長野県の事業所から茨城県つくば工場に発送し、その翌日(つくば工場発送日から4日後)に茨城県つくば工場に到着した。茨城県つくば工場に到着した生椎茸(青果物P)をそれぞれ写真撮影し、形状保持の有無を下記の基準にて視覚的に評価した。
〇 ・・・ 袋内での青果物Pの並び方の変化が見られず、袋内から袋外への空気の漏れが少ない
× ・・・ 袋内での青果物Pの並び方の変化があるか、又は、袋内から袋外への空気の漏れが多い
【0034】
表1に示すように、比較例1-1及び比較例1-2のいずれも「×」となった。比較例1-1は、輸送中の振動で袋内から袋外に空気が抜け、クッション層内の空気が大きく減少していた。空気を多く入れると、空気の圧が増し、シール部の僅かな隙間より空気が出やすくなったのではないかと考えられる。また、茨城県と長野県との標高差による袋の膨張による影響も考えられる。比較例1-1のように空気が抜けた場合、段ボール内に隙間が多くなり、袋が散乱してしまう。比較例1-2は、クッション層内の空気が少ないため、内側のフィルムが締め上げられず、青果物Pが固定できない。輸送後の状態を見ると、輸送中の振動により袋内で椎茸の並びが乱れていた。
【0035】
これに対して、表1に示すように、実施例1-1~実施例1~3のいずれも、「〇」となった。従って、V2/V1が1.26以上1.91以下の範囲内で、袋内での青果物Pの並び方の変化が見られず、袋内から袋外への空気の漏れが少ないことが判明した。また、クッション層22の体積V2は、青果物Pの体積V3の1.76倍以上で、かつ、体積V1の1.91倍以下の範囲内で、袋内での青果物Pの並び方の変化が見られず、袋内から袋外への空気の漏れが少ないことが判明した。
【0036】
(鮮度保持評価)
上記形状保持評価による輸送後に、上記実施例1-1~実施例1~3、比較例1-1及び比較例1-2の各々の生椎茸(青果物P)を写真撮影し、鮮度保持の有無を下記の基準にて視覚的に評価した。
〇 ・・・ 変色が見られない。
× ・・・ 変色が見られる。
【0037】
表1に示すように、比較例1-2は、「×」となった。比較例1-2では、輸送後の青果物P(生椎茸)の軸部分に変色が見られた。
【0038】
表1に示すように、実施例1-1~実施例1~3のいずれも、「〇」となった。従って、V2/V1が1.26以上1.91以下の範囲内で、少なくとも青果物Pの鮮度が保持された。また、V3/V1が1.76以上2.35以下の範囲内で、少なくとも青果物Pの鮮度が保持された。なお、比較例1-1も、「〇」となった。従って、クッション層の体積V2が大きい程、鮮度保持されることが判明した。
【0039】
【0040】
【0041】
実施例による包装体を構成するために、表2に示すNo.1~No.4のフィルムを得た。No.1のフィルムは、酸素透過率が3610[cm3/(m2/24h/atm)]、水蒸気透過率が10.1[g/(m2・day)]、厚みが18μmであり、バイオマス系材料を10%以上含有する。No.2のフィルムは、酸素透過率が2394以上3218以下の範囲内の値[cm3/(m2/24h/atm)]、水蒸気透過率が5.7以上8.1以下の範囲内の値[g/(m2・day)]、厚みが23μmであり、バイオマス系材料を10%以上含有する。No.3のフィルムは、酸素透過率が2440[cm3/(m2/24h/atm)]、水蒸気透過率が8.0[g/(m2・day)]、厚みが15μmである。No.4のフィルムは、酸素透過率が1900[cm3/(m2/24h/atm)]、水蒸気透過率が6.6[g/(m2・day)]、厚みが25μmである。なお、水蒸気透過率は、気温40℃、湿度90%の状態で測定したものである。
【0042】
表3に示す実施例2-1~実施例2-5は、いずれも、V2/V1が1.26以上1.91以下の範囲内で、かつ、V3/V1が1.76以上2.35以下の範囲内のものであるとする。また、包装される青果物Pは、6個の「生椎茸」である。
【0043】
〈実施例2-1〉
内袋10を構成するフィルム11にNо.3のフィルムを用い、外袋20を構成するフィルム21にNo.4のフィルムを用いて、実施例2-1を得た。
【0044】
〈実施例2-2〉
内袋10を構成するフィルム11にNo.1のフィルムを用い、外袋20を構成するフィルム21にNo.2のフィルムを用いて、実施例2-2を得た。
【0045】
〈実施例2-3〉
内袋10を構成するフィルム11にNo.1のフィルムを用い、外袋20を構成するフィルム21にNo.1のフィルムを用いて、実施例2-3を得た。
【0046】
〈実施例2-4〉
内袋10を構成するフィルム11にNo.2のフィルムを用い、外袋20を構成するフィルム21にNo.4のフィルムを用いて、実施例2-4を得た。
【0047】
〈実施例2-5〉
内袋10を構成するフィルム11にNо.3のフィルムを用い、外袋20を構成するフィルム21にNo.1のフィルムを用いて、実施例2-5を得た。
【0048】
〈比較例〉
内側に二軸延伸ポリスチレンからなるトレーを配置し、当該トレー上に6個の生椎茸を配置した状態で、ポリオレフィンからなるラップにより包装し、比較例を得た。
【0049】
【0050】
(変色評価)
10℃の下で10日間保存し、生椎茸(青果物P)を写真撮影し、青果物Pの変色の有無を下記の基準にて視覚的に評価した。特に、生椎茸の傘部分及び軸部分の変色を評価した。
◎ ・・・ ほとんど変色なし
〇 ・・・ 少し変色あり
× ・・・ 変色あり
【0051】
表4に示すように、実施例2-1~実施例2~5のいずれも、10日後の時点で「〇」となった。他方、比較例では、7日後以降「×」となった。従って、実施例2-1~実施例2~5は、比較例に比べて変色が少ないことが判明した。
【0052】
【0053】
(萎れ評価)
10℃の下で10日間保存し、生椎茸(青果物P)を写真撮影し、青果物Pの萎れの有無を下記の基準にて視覚的に評価した。特に、生椎茸の傘部分及び軸部分の萎れ具合を評価した。
◎ ・・・ 萎れなし
〇 ・・・ 部分的な萎れあり
× ・・・ 大部分において萎れあり
【0054】
表5に示すように、実施例2-1~実施例2~5のいずれも、10日後の時点で「〇」又は「◎」となった。特に、実施例2-3及び実施例2-4は、10日後の時点で「◎」となった。他方、比較例では、7日後以降「×」となった。従って、実施例2-1~実施例2~5は、比較例に比べて萎れが少ないことが判明した。
【0055】
【0056】
(臭い評価)
10℃の下で10日間保存し、実施例2-1~2-5においてはクッション層22における臭いの有無を、比較例においてはラップ内の臭いの有無を、下記の基準にて評価した。
◎ ・・・ 異臭なし
〇 ・・・ 弱い異臭あり
× ・・・ 強い異臭あり
【0057】
表6に示すように、実施例2-1~実施例2~5では、7日後の時点で「〇」又は「◎」となった。他方、比較例では、初日後以降「×」となった。また、実施例2-2~実施例2~5では、10日後の時点でも「〇」又は「◎」となった。また、実施例2-2~実施例2~4では、10日後の時点で「◎」となった。従って、実施例2-1~実施例2~5は、比較例に比べて異臭が少ないことが判明した。
【0058】
【0059】
(臭い評価)
10℃の下で10日間保存し、6つの青果物Pのうちの3つの青果物Pに、菌糸の発生の有無を確認した。
〇 ・・・ 菌糸の発生なし
△ ・・・ 1つの青果物Pに菌糸の発生あり
× ・・・ 2つ以上の青果物Pに菌糸の発生あり
【0060】
表7に示すように、実施例2-1~実施例2~5では、10日後の時点で「〇」となった。他方、比較例では、6日後の時点で「△」となり、7日後以降「×」となった。従って、実施例2-1~実施例2~5は、比較例に比べて菌糸の発生が防止されていることが判明した。
【0061】
【0062】
(重量評価)
10℃の下で10日間保存し、10日後時点の保存開始時点に対する青果物Pの重量の変化率を測定した。
【0063】
表8に示すように、実施例2-1~実施例2~5では、10日後の時点で重量変化率が「-0.5%」となった。他方、比較例では、10日後の時点で重量変化率が「-2.0%」となった。従って、実施例2-1~実施例2~5は、比較例に比べて重量変化が小さいことが判明した。
【0064】
【0065】
(酸素濃度評価)
10℃の下で10日間保存し、実施例2-1~2-5においてはクッション層22における酸素濃度を、比較例においてはラップ内の酸素濃度を測定した。
の変化率を測定した。
【0066】
表9に示すように、実施例2-1~実施例2~5では、10日後の時点で酸素濃度が「11.1%」以上となった。他方、比較例では、少なくとも3日後時点で酸素濃度が「0.2%」以下となった。従って、実施例2-1~実施例2~5は、比較例に比べて酸素濃度が維持されることが判明した。
【0067】
[変形例]
上記実施形態に例示した具体例は、あくまでも一例であって、本開示をこれに限定する趣旨ではない。
【0068】
(1)上記実施形態では、
図1~
図3に示すように、6つの青果物が包装体に収容される例を示したが、青果物の数は、5つ未満であってもよいし、7つ以上であってもよい。
【0069】
なお、本開示は以下のように説明することもできる。
【0070】
[第1の構成]
第1の構成に係る青果物用包装体は、
青果物を内部に収容する内袋であって、可撓性を有する第1フィルムを含む内袋と、
前記内袋の外側に配置され、可撓性を有する第2フィルムを含む外袋と、
前記内袋と前記外袋との間を充たす酸素を含む気体により形成されたクッション層と、を備え、
前記内袋は、前記第1フィルムの両側端部が合掌状にシールされている内袋第1シール部と、当該内袋第1シール部の長手方向における前記第1フィルムの一方端及び前記第1フィルムの他方端の各々がシールされている内袋第2シール部と、を含み、
前記外袋は、前記第2フィルムの両側端部が合掌状に前記内袋第1シール部と一体的にシールされている外袋第1シール部と、前記長手方向における前記第2フィルムの一方端及び前記第2フィルムの他方端の各々が前記内袋第2シール部と一体的にシールされている外袋第2シール部と、を含み、
前記クッション層の体積は、前記内袋内における前記青果物以外の体積の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内である。
【0071】
上記第1の構成によれば、クッション層の体積が青果物を保護するために適切な体積となるので、ノントレーの包装体であっても、外部からの衝撃から青果物を保護することができる。そして、クッション層の体積(酸素の量)が青果物の鮮度保持に適切な大きさとなるので、青果物の鮮度をより長く保つことができる。
【0072】
[第2の構成]
第1の構成において、第1フィルムの酸素透過率は、2394[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値であってもよく、第2フィルムの酸素透過率は、1900[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値であってもよい。
【0073】
上記第2の構成によれば、青果物に酸素が供給されるので、鮮度を保持することができる。また、酸素透過率が大き過ぎると、フィルムの強度が低下し、透明性が低下するが、上記第2の構成によれば、フィルムの強度及び透明性を維持しながら、青果物の鮮度を保持することができる。
【0074】
[第3の構成]
第1又は第2の構成において、第1フィルムの水蒸気透過率及び第2フィルムの水蒸気透過率は、5.7[g/(m2・day)]以上で、かつ、10.1[g/(m2・day)]以下の範囲内の値であってもよい。
【0075】
上記第3の構成によれば、青果物の鮮度を保持することができる。
【0076】
[第4の構成]
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、クッション層の体積は、青果物の体積の1.76倍以上で2.35倍以下の範囲内に設定されてもよい。
【0077】
上記第4の構成によれば、青果物の体積に対して、クッション層の体積を十分な大きさに確保することができるので、外部からの衝撃から青果物を保護することができる。
【0078】
[第5の構成]
第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、第1フィルム及び第2フィルムの少なくとも一方は、二軸延伸ポリプロピレンを含んでもよい。
[第6の構成]
第5の構成において、第1フィルム及び第2フィルムは、それぞれ、バイオマス系材料を含む二軸延伸ポリプロピレンを含んでもよい。
【0079】
上記第6の構成によれば、異臭の発生を抑制することができる。
【0080】
[第7の構成]
第1~第6の構成のいずれか1つにおいて、青果物は、きのこであってもよい。
【0081】
上記第7の構成によれば、ノントレーの包装体でかつ、外部からの衝撃からきのこを保護することが可能な包装体を提供することができる。
【0082】
[第8の構成]
第7の構成において、きのこは、椎茸であってもよい。
【0083】
上記第8の構成によれば、ノントレーの包装体でかつ、外部からの衝撃から椎茸を保護することが可能な包装体を提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
10…内袋、11…フィルム、11a…側端部、11c…一方端、11d…他方端、20…外袋、21…フィルム、21a…側端部、21c…一方端、21d…他方端、22…クッション層、31…シール部、32a…シール部、32b…シール部、100…青果物用包装体
【手続補正書】
【提出日】2022-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物と、
前記青果物を内部に収容する内袋であって、可撓性を有する第1フィルムを含む内袋と、
前記内袋の外側に配置され、可撓性を有する第2フィルムを含む外袋と、
前記内袋と前記外袋との間を充たす酸素を含む気体により形成されたクッション層と、を備え、
前記内袋は、前記第1フィルムの両側端部が合掌状にシールされている内袋第1シール部と、当該内袋第1シール部の長手方向における前記第1フィルムの一方端及び前記第1フィルムの他方端の各々がシールされている内袋第2シール部と、を含み、
前記外袋は、前記第2フィルムの両側端部が合掌状に前記内袋第1シール部と一体的にシールされている外袋第1シール部と、前記長手方向における前記第2フィルムの一方端及び前記第2フィルムの他方端の各々が前記内袋第2シール部と一体的にシールされている外袋第2シール部と、を含み、
前記クッション層の体積は、前記内袋内における前記青果物以外の体積の1.26倍以上で1.91倍以下の範囲内である、青果物入り包装体。
【請求項2】
前記第1フィルムの酸素透過率は、2394[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値であり、
前記第2フィルムの酸素透過率は、1900[cm3/(m2/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm3/(m2/24h/atm)]以下の範囲内の値である、請求項1に記載の青果物入り包装体。
【請求項3】
前記第1フィルムの水蒸気透過率は、5.7[g/(m
2
・day)]以上で、かつ、8.1[g/(m
2
・day)]以下の範囲内の値か、又は、10.1[g/(m
2
・day)]であり、
前記第2フィルムの水蒸気透過率は、5.7[g/(m2・day)]以上で、かつ、10.1[g/(m2・day)]以下の範囲内の値である、請求項2に記載の青果物入り包装体。
【請求項4】
前記クッション層の体積は、前記青果物の体積の1.76倍以上で、かつ、前記内袋内における前記青果物以外の体積の1.91倍以下の範囲内であり、
前記内袋内における前記青果物以外の体積は、前記青果物の体積よりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物入り包装体。
【請求項5】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムの少なくとも一方は、二軸延伸ポリプロピレンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物入り包装体。
【請求項6】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、バイオマス系材料を含む二軸延伸ポリプロピレンを含み、
前記第1フィルムの厚み及び前記第2フィルムの厚みは、18μm以上23μm以下の範囲内であり、
前記第1フィルムの酸素透過率及び前記第2フィルムの酸素透過率は、2394[cm
3
/(m
2
/24h/atm)]以上で、かつ、3610[cm
3
/(m
2
/24h/atm)]以下の範囲内の値である、請求項5に記載の青果物入り包装体。
【請求項7】
前記青果物は、きのこである、請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物入り包装体。
【請求項8】
前記きのこは、椎茸である、請求項7に記載の青果物入り包装体。