(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036102
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構
(51)【国際特許分類】
F03B 13/08 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
F03B13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140829
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河本 一博
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA12
3H074BB10
3H074BB30
3H074CC28
3H074CC32
3H074CC50
(57)【要約】
【課題】本発明は、所定の冷却水配管系統を通る水の水質が劣化しても、所定の冷却水減圧装置の圧力調整機構が有するストレーナの不具合の発生を防止した複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構を提供する。
【解決手段】冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70の圧力調整管71から分岐した分岐管80が、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60の圧力調整管61に、ストレーナ62よりも上流側にて接続され、分岐管80の開閉弁81を開にし、第1の圧力調整機構60の圧力調整管61と分岐管80との接続部に配置した切替装置82を、圧力調整管61への水の供給元が、第1の圧力調整機構60の圧力調整管61の上流側端側から分岐管80側になるように切り替えて、第2の圧力調整機構70の圧力調整管71から分岐管80を介して第1の圧力調整機構60の圧力調整管61のストレーナ62よりも上流側に送水されるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水車発電機の運転で冷却を必要とする被冷却機器に供給される冷却水を当該被冷却機器への供給前に減圧するために用いられる複数の冷却水減圧装置において、
前記複数の冷却水減圧装置の一方となる第1の冷却水減圧装置は、第1の取水口から第1の水車発電機用に取水された水を冷却水とする第1の冷却水配管系統に設けられており、減圧機構を収納するハウジングと、前記ハウジングの減圧機構よりも上流側の通孔に一端が接続され、前記ハウジングの減圧機構よりも下流側の通孔に他端が接続された圧力調整管、前記圧力調整管に設けられた圧力調整装置、及び前記圧力調整装置への流入前に水中の異物を除去するストレーナを有して成る第1の圧力調整機構とを有し、
前記複数の冷却水減圧装置の他方となる第2の冷却水減圧装置は、第2の取水口から第2の水車発電機用に取水された水を冷却水とする第2の冷却水配管系統に設けられており、減圧機構を収納するハウジングと、前記ハウジングの減圧機構よりも上流側の通孔に一端が接続され、前記ハウジングの減圧機構よりも下流側の通孔に他端が接続された圧力調整管、前記圧力調整管に設けられた圧力調整装置、及び前記圧力調整装置への流入前に水中の異物を除去するストレーナを有して成る第2の圧力調整機構とを有し、
前記第2の冷却水減圧装置の前記第2の圧力調整機構の圧力調整管から分岐した分岐管が、前記第1の冷却水減圧装置の前記第1の圧力調整機構の圧力調整管に、前記ストレーナよりも上流側にて接続され、所定の条件で、前記第2の冷却水配管系統を通る水が、前記第2の圧力調整機構の前記圧力調整管から前記分岐管を介して前記第1の圧力調整機構の圧力調整管の前記ストレーナよりも上流側に送られるようにしたことを特徴とする複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構。
【請求項2】
前記分岐管の一方は、前記第2の圧力調整機構の前記圧力調整管のうちの当該圧力調整管の前記一端と前記ストレーナとの間から分岐し、
前記分岐管に、前記圧力調整管の一端から送られてきた水の流路を開閉する開閉装置が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構。
【請求項3】
前記分岐管の他方は、前記第1の圧力調整機構の前記圧力調整管のうちの当該圧力調整管の一端と前記ストレーナとの間で接続され、
前記第1の圧力調整機構の前記圧力調整管と前記分岐管との接続部に、前記ストレーナ側に送られる水の供給元を、前記圧力調整管の一端側と前記分岐管側とで切り替える切替装置が配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水車発電機の運転時に冷却を必要とする被冷却機器に供給される冷却水を当該被冷却機器への供給前に減圧するために用いられる複数の冷却水減圧装置の間で、所望の冷却水配管系統の冷却水を共用可能にした機構に関する。
【背景技術】
【0002】
水車発電機の運転を行うにあたり、温度が上昇する所定の機器、例えば、水車メタル(メタルは軸受等とも称する。以下同じ。)、推力メタル、クーラー、集油槽、シーリング等。以下、被冷却機器と称する。)に冷却水を供給して冷却する必要があり、この冷却水として、特許文献1に示されるように、所定の取水口から導水管を経て水圧鉄管まで送られてきた水の一部が、水圧鉄管の途中から冷却水配管系統に分岐されて用いられる場合がある。
【0003】
もっとも、取水口から水圧鉄管を通ってきた水は、水車発電機の水車を回すために必要な圧力(例えば、0.9MPa)が加わっているので、この高水圧のまま被冷却機器に冷却水として送られると、被冷却機器が冷却水の水圧により損傷する等の不具合を生じさせるおそれがある。
【0004】
このため、冷却水配管系統の水圧鉄管との接続側(上流側)から被冷却機器側(下流側)までの途中に、特許文献1に示されるように、冷却水減圧装置が配置され、この冷却水減圧装置により所定の圧力(例えば、0.5MPa)まで減圧されてから、被冷却機器に冷却水として送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される冷却水減圧装置は、ストレーナを有するところ、取水が冷却水として冷却水配管系統に導入される取水口の位置が特定されておらず、ダムの河川流入点から取水された水が直ぐに導入されるようになっていると、豪雨時等には、河川からの濁水がほとんどそのまま冷却水配管系統に導入されて、冷却水減圧装置に送られるおそれがある。このため、冷却水減圧装置に設けられたストレーナが目詰まりしないように、豪雨が予想される前、豪雨の最中、豪雨の後にわたって、ストレーナの清掃を頻繁に行うことで対応する必要が生じ、冷却水減圧装置の減圧機能を確保するために多大な労力、多くの人員を要するという不具合が生ずるおそれがある。
【0007】
そして、水車発電機の運転時に被冷却機器に供給される冷却水を減圧する冷却水減圧装置にあっては、本件の
図6に示されるように、ダイヤフラム、弁棒等の減圧機構を収納するハウジング500と、このハウジング500の減圧機構よりも上流側の内部空間と連通する通孔501に一端が接続され、ハウジング500の減圧機構よりも下流側の内部空間と連通する通孔502に他端が接続された圧力調整管601、この圧力調整管601に設けられた圧力調整装置602、及びこの圧力調整装置602への流入前に水中の異物を除去するストレーナ603、603を有して成る圧力調整機構600とを有する構成のものも考えられる。このような冷却水減圧装置にあっても、圧力調整機構600がストレーナ603を有するので、特許文献1と同様に、濁水によりストレーナ603が目詰まりしな
いようにするための対策が求められる場合がある。
【0008】
一方で、取水口、水圧鉄管、及び冷却水配管系統は、水車発電機の数に応じて複数存在する場合があり、その場合には冷却水減圧装置は各冷却水配管系統に配置されている。取水が冷却水配管系統に導入される取水口の位置も、冷却水配管系統によって異なった位置にすることができる。これに伴い、複数の冷却水減圧装置のうち一方の冷却水減圧装置が設けられた配管系統にあっては、他方の冷却水減圧装置が設けられた配管系統よりも、取水口の位置が、ダムの河川流入点から比較的離れた個所に設けられることで、豪雨時でも河川からの濁水の取水が抑制されることが考えられる。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みたもので、取水口からの取水を冷却水とするために減圧する複数の冷却水減圧装置が複数の冷却水配管系統にそれぞれ設けられる場合にあって、一方の冷却水減圧装置に送られる冷却水を、他方の冷却水減圧装置の圧力調整機構にも送られるようにして、取水口から他方の冷却水減圧装置に送られる取水の水質が劣化しても、他方の冷却水減圧装置の圧力調整機構で不具合が発生するのを防止した複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するために、本発明の複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構は、水車発電機の運転で冷却を必要とする被冷却機器に供給される冷却水を当該被冷却機器への供給前に減圧するために用いられる複数の冷却水減圧装置において、前記複数の冷却水減圧装置の一方となる第1の冷却水減圧装置は、第1の取水口から第1の水車発電機用に取水された水を冷却水とする第1の冷却水配管系統に設けられており、減圧機構を収納するハウジングと、前記ハウジングの減圧機構よりも上流側の通孔に一端が接続され、前記ハウジングの減圧機構よりも下流側の通孔に他端が接続された圧力調整管、前記圧力調整管に設けられた圧力調整装置、及び前記圧力調整装置への流入前に水中の異物を除去するストレーナを有して成る第1の圧力調整機構とを有し、前記複数の冷却水減圧装置の他方となる第2の冷却水減圧装置は、第2の取水口から第2の水車発電機用に取水された水を冷却水とする第2の冷却水配管系統に設けられており、減圧機構を収納するハウジングと、前記ハウジングの減圧機構よりも上流側の通孔に一端が接続され、前記ハウジングの減圧機構よりも下流側の通孔に他端が接続された圧力調整管、前記圧力調整管に設けられた圧力調整装置、及び前記圧力調整装置への流入前に水中の異物を除去するストレーナを有して成る第2の圧力調整機構とを有し、前記第2の冷却水減圧装置の前記第2の圧力調整機構の圧力調整管から分岐した分岐管が、前記第1の冷却水減圧装置の前記第1の圧力調整機構の圧力調整管に、前記ストレーナよりも上流側にて接続され、所定の条件で、前記第2の冷却水配管系統を通る水が、前記第2の圧力調整機構の前記圧力調整管から前記分岐管を介して前記第1の圧力調整機構の圧力調整管の前記ストレーナよりも上流側に送られるようにしたことを特徴としている。冷却水減圧装置は、例えば自動減圧弁である。圧力調整装置は、例えば圧力調整用減圧弁である。
【0011】
これにより、第1の冷却水配管系統について、第2の冷却水配管系統に取水を導入する第2の取水口よりもダムの河川流入点に近い個所に設けられた第1の取水口から取水された水が導入されるようになっている場合に、第1の冷却水減圧装置の第1の圧力調整機構に対して、通常時には第1の冷却水配管系統を通る冷却水が供給されるが、第1の冷却水配管系統を通る冷却水が、第2の取水口から取水されて第2の冷却水配管系統を通る冷却水よりも、豪雨等により汚水化が進む等の各種状況の下で劣化したと判断され、若しくはかかる劣化が予想される場合には、第2の取水口から取水されて第2の冷却水配管系統を通る冷却水が供給されるようにすることが可能である。
【0012】
そして、本発明の複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構において、前記分岐管の一
方は、前記第2の圧力調整機構の前記圧力調整管のうちの当該圧力調整管の前記一端と前記ストレーナとの間から分岐し、前記分岐管に、前記圧力調整管の一端から送られてきた水の流路を開閉する開閉装置が配置されていることを特徴としている。開閉装置は例えば開閉弁である。
【0013】
これにより、分岐管に配置された開閉装置を開にすることで、第2の冷却水減圧装置の第2の圧力調整機構の圧力調整管に送られてきた第2の冷却水配管系統を通る水を、分岐管に送ることが可能となる。
【0014】
また、本発明の複数の冷却水減圧装置間の冷却水共用機構において、前記分岐管の他方は、前記第1の圧力調整機構の前記圧力調整管のうちの当該圧力調整管の一端と前記ストレーナとの間で接続され、前記第1の圧力調整機構の前記圧力調整管と前記分岐管との接続部に、前記ストレーナ側に送られる水の供給元を、前記圧力調整管の一端側と前記分岐管側とで切り替える切替装置が配置されていることを特徴としている。切替装置は、例えば三方弁である。
【0015】
これにより、通常時では、第1の冷却水減圧装置に対し、第1の圧力調整機構の圧力調整管の一端から第1の冷却水配管系統を通る水が流れてストレーナで異物の除去が行われてから圧力調整装置に送られるようにすることが可能である。そして、濁水化するなど、第2の冷却水配管系統を通る水よりも第1の冷却水配管系統を通る水が劣化し、劣化することが予想される場合には、第1の圧力調整機構の圧力調整管の一端からの流入を止め、第2の冷却水配管系統を通る水が第2の冷却水減圧装置の圧力調整管、分岐管を経て第1の圧力調整機構の圧力調整管を通るようにすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
以上に述べたように、本発明の複数の冷却水減圧弁間の冷却水共用機構によれば、第1の冷却水配管系統について、第2の冷却水配管系統に取水を導入する第2の取水口よりもダムの河川流入点に近い個所に設けられた第1の取水口から取水された水が導入されるようになっている場合に、第1の冷却水減圧装置の第1の圧力調整機構に対して、通常時には第1の冷却水配管系統を通る冷却水が供給されるが、第1の冷却水配管系統を通る冷却水が、第2の冷却水配管系統を通る冷却水よりも、豪雨等により汚濁化が進む等の各種状況の下で劣化したと判断され、若しくは劣化することが予想されるときには、第2の冷却水配管系統を通る冷却水が供給されるようにして、ストレーナが目詰まりする恐れを抑制することが可能である。
【0017】
特に、請求項2に記載の本発明の複数の冷却水減圧弁間の冷却水共用機構によれば、分岐管に配置された開閉装置を閉から開とするだけで、第2の冷却水減圧装置の第2の圧力調整機構の圧力調整管に送られてきた第2の冷却水配管系統を通る水を、分岐管に送ることが可能となる。
【0018】
特に、請求項3に記載の複数の冷却水減圧弁間の冷却水共用機構によれば、通常時では、第1の冷却水減圧装置に対し、第1の圧力調整機構の圧力調整管の一端から第1の冷却水配管系統を通る水が流れてストレーナで異物の除去が行われてから圧力調整装置に送られるようすることが可能である。そして、濁水化するなど、第2の冷却水配管系統を通る水よりも第1の冷却水配管系統を通る水が劣化し、劣化することが予想される場合には、第1の圧力調整機構の圧力調整管の一端からの流入を止め、第2の冷却水配管系統を通る水が第2の冷却水減圧装置の圧力調整管、分岐管を経て第1の圧力調整機構の圧力調整管を通るようにすることが可能である。これにより、第2の冷却水配管系統を通る水よりも第1の冷却水配管系統を通る水が劣化しても、ストレーナが目詰まりする恐れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明が適用された第1の冷却水配管系統、第2の冷却水配管系統並びに、ダムの取水口、水圧鉄管等を概略的に示した説明図である。
【
図2】この発明を適用することが可能な冷却水減圧装置の一例について、圧力調整機構を外した状態の外観を示した説明図である。
【
図3】
図2に示される冷却水減圧装置の一例の断面図である。
【
図4】この発明が適用された冷却水減圧装置のうち第2の冷却水減圧装置の一例について、その圧力調整機構と共に概略的に示した説明図である。
【
図5】この発明が適用された冷却水減圧装置のうち第1の冷却水減圧装置の一例について、その圧力調整機構と共に概略的に示した説明図である。
【
図6】この発明が適用されていない冷却水減圧装置の一例について、その圧力調整機構と共に概略的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1において、本発明に関連する施設や機器等として、ダム100、水車発電機105、水車発電機110、及び、第1の冷却水配管系統R1、第2の冷却水配管系統R2、並びに被冷却機器120、130が概略的に示されている。なお、本発明に関連しないか、関連性が低い施設や機器等は、
図1において省略されている。
【0022】
図1に示されるように、ダム100の貯水池101から取水口102を経て取水された水は、水圧鉄管103を通ることで高低差により所定の圧力が付加された後、水車発電機105に送られて、水車発電機105の水車106を回し、その動力で発電機107を回転させて発電するようになっている。また、
図1に示されるように、ダム100の貯水池101から取水口102´を経て取水された水は、水圧鉄管103´を通ることで高低差により所定の圧力が付加された後、水車発電機110に送られて、水車発電機110の水車111を回し、その動力で発電機112を回転させて発電するようになっている。すなわち、水車発電機105、110ごとに、取水口102、102´や水圧鉄管103、103´がある。取水口102´は、この実施形態では、取水口102よりもダム100の河川流入点から比較的離れた個所に設けられている。
【0023】
そして、水圧鉄管103を通る水の一部を、被冷却機器120の冷却水とするために、水圧鉄管103から第1の冷却水配管系統R1が分岐し、第1の冷却水配管系統R1の最下流側は被冷却機器120と接続している。また、水圧鉄管103´を通る水の一部を、被冷却機器130の冷却水とするために、水圧鉄管103´から第2の冷却水配管系統R2が分岐し、第2の冷却水配管系統R2の最下流側は被冷却機器130と接続している。第1の冷却水配管系統R1、第2の冷却水配管系統R2については後でも説明する。
【0024】
被冷却機器120は、この実施形態では、例えば、クーラー121、推力メタル122、水車メタル123、集油槽124、シーリング125である。そして、後述する冷却水減圧装置1から延びる配管P1が配管P11、P12、P13、P14、P15に分岐して、このうち分岐した配管P11、P12、P13、P14に開閉弁126a若しくは126dを配置した配管構成を有し、開閉弁126a若しくは126dの開により供給された冷却水が、クーラー121、推力メタル122、水車メタル123、集油槽124側に送られて、クーラー121、推力メタル122、水車メタル123、集油槽124の各々を冷却するための手段として機能する。また、前記分岐した配管P15が更に配管P15a、P15bに分岐し、配管P15a、P15bに開閉弁126e、126fを配置し、これらの配管P15a、P15bが1つの配管P15cに集約され、配管15cに開閉弁
126gを配置した配管構成を有し、これら配管P15の開閉弁126e又は126f及び開閉弁126gの開により供給された冷却水が、シーリング125側に送られて、シーリング125を冷却するための手段として機能する。
【0025】
被冷却機器130は、この実施形態では、被冷却機器120と同様となっている。すなわち、例えば、クーラー131、推力メタル132、水車メタル133、集油槽134、シーリング135である。そして、そして、後述する冷却水減圧装置2から延びる配管P2が配管P21、P22、P23、P24、P25に分岐して、このうち分岐した配管P21、P22、P23、P24に開閉弁136a若しくは136dを配置した配管構成を有し、開閉弁136a若しくは136dの開により供給された冷却水が、クーラー131、推力メタル132、水車メタル133、集油槽134側に送られて、クーラー131、推力メタル132、水車メタル133、集油槽134の各々を冷却するための手段として機能する。また、前記分岐した配管P25が更に配管P25a、P25bに分岐し、配管P25a、P25bに開閉弁136e、136fを配置し、これらの配管P25a、P25bが1つの配管P25cに集約され、配管P25cに開閉弁136gを配置した配管構成を有し、これら配管P25の開閉弁136e又は136f及び開閉弁136gの開により供給された冷却水が、シーリング135側に送られて、シーリング135を冷却するための手段として機能する。
【0026】
第1の冷却水配管系統R1は、水圧鉄管103の下流側(水車発電機105に近い側)に一方端が接続されているもので、この実施形態においては、冷却水減圧装置1に至るルートでは、冷却水減圧装置1よりも上流側に2つの開閉弁3、4、STR装置5、開閉弁6が順次配置されている。なお、
図1で示される第1の冷却水配管系統R1は、冷却水減圧装置1に至るルート以外を省略している。これに対し、第2の冷却水配管系統R2は、水圧鉄管103´の下流側(水車発電機110に近い側)に一方端が接続されているもので、この実施形態においては、冷却水減圧装置2に至るルートでは、冷却水減圧装置2よりも上流側に2つの開閉弁7、8、STR装置9、開閉弁10が順次配置されている。なお、
図1で示される第2の冷却水配管系統R2も、冷却水減圧装置2に至るルート以外を省略している。
【0027】
冷却水減圧装置1と冷却水減圧装置2とは、この実施形態では、その一例として、自動減圧弁が用いられているもので、下記する圧力調整機構60、70を除いて、その基本的な構成は同様のものとなっている。このため、圧力調整機構60、70が外された状態の
図2の外観図及び
図3の断面図を用いて、冷却水減圧装置1と冷却水減圧装置2とについて、まとめて説明する。
【0028】
冷却水減圧装置1、2は、
図2、
図3に示されるように、弁箱32と蓋体33とを有して構成されたハウジング31を備える。
【0029】
弁箱32は、ハウジング31の左右方向の一方側に冷却水配管系統R1、R2と接続するためのフランジ部32aを配管接続口34の周囲に有し、ハウジング31の左右方向の他方側に配管P1、P2と接続するためのフランジ部32bを配管接続口35の周囲に有している。弁箱32の内部には、配管接続口34からハウジング31内を下記する減圧機構41に向けて略左右方向に延びる上流側流水路36と、配管接続口35からハウジング31内を下記する減圧機構41に向けて略左右方向に延びる下流側流水路37とが形成されている。上流側流水路36と下流側流水路37とは、ハウジング31内に形成された内部仕切り壁38により仕切られていると共に、内部仕切り壁38には下記する減圧機構41が装着される開口部38aが開口している。
【0030】
蓋体33は、上方に突出した突出部33aを有し、この突出部33aの頂部に空気抜き
弁39が設けられている。蓋体33内には、流体室40が形成されている。
【0031】
減圧機構41は、この実施形態では、シート部材42と、ダイヤフラム受43と、ダイヤフラム押さえ44と、ダイヤフラム45と、弁体押さえ47と、弁棒48と、圧縮コイルバネ51とで基本的に構成されている。
【0032】
シート部材42は、円筒状をなし、内部仕切り壁38の開口部38a内に装着され、円環形状の弁座42aが下流側流水路37側端に設けられている。上流側流水路36と下流側流水路37とは、シート部材42の内周側にある中空部42bを介して連通している。すなわち、シート部材42の軸方向の一方端側は上流側流水路36内に開口し、シート部材42の軸方向の他方端側は下流側流水路37内に開口している。
【0033】
ダイヤフラム受43は、シート部材42の上方に配置され、弁座42aに着座する円環形状の弁体43aが取り付けられている。ダイヤフラム押さえ44は、ダイヤフラム受43よりも上方に配置されており、このダイヤフラム受43とで、薄肉の円板状のダイヤフラム45の中央部位が挟まれている。ダイヤフラム45の周縁部位は、弁箱32と蓋体33とで挟まれ、且つ固定具46により、弁箱32と蓋体33とに固定されている。弁体押さえ47は、シート部材42と下記する弁棒48の拡径部48aとで挟まれたかたちで配置されている。
【0034】
弁棒48は、ダイヤフラム押さえ44、ダイヤフラム45、ダイヤフラム受43を順次貫通しているもので、一方端側が軸受部49に軸支され、他方端側がブッシュ50を介して蓋体33に軸支されている。蓋体33のブッシュ50側内面とダイヤフラム押さえ44との間には、圧縮コイルバネ51が弁棒48に外装しつつ配置されている。
【0035】
次に、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60と冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70との共通する構成について説明する。なお、第1の圧力調整機構60、第2の圧力調整機構70の蓋体33内の流体室40と圧力調整管61、71の圧力調整装置64、74よりも上流側とに接続する配管経路は省略している。
図2及び
図3に示されるように、冷却水減圧装置1、冷却水減圧装置2は、弁箱32の側面のうち上流側流水路36と連通する位置に通孔321が開口し、弁箱32の側面のうち下流側流水路37と連通する位置に通孔322が開口している。
【0036】
冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60では、圧力調整管61の一端(上流側端)が通孔321に接続し、冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70では、圧力調整管71の一端(上流側端)が通孔321に接続している。また、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60では、圧力調整管61の他端(下流側端)が通孔322に接続し、冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70では、圧力調整管71の他端(下流側端)が通孔322に接続している。
【0037】
そして、第1の圧力調整機構60は、圧力調整管61が途中から2つの配管部分61a、61bに分かれており、各配管部分61a、61bの冷却水の流路上にストレーナ62が配置されている。このような構成としたのは、配管部分61a、61b及びかかる配管部分61a、61bに設けたストレーナ62の一方を主として用い、他方を補助(バックアップ)として用いるためである。配管部分61a、61bのストレーナ62よりも上流側と下流側とに開閉弁65、66が配置されている。これにより、例えば配管部分61aのストレーナ62をメンテナンスする場合には、配管部分61aの開閉弁65,66を閉じて、配管部分61bの開閉弁65,66を開いたままとすることで、配管部分61bのストレーナ62を利用できるので、冷却水減圧装置1,2全体を止める必要がない。なお、図上では開閉弁65、66のハンドルのみが図示されている。配管部分61a、61bは、ストレーナ62よりも下流側で再び1つの配管部分61cに集束されており、この配管部分61cの冷却水の流路上に圧力調整装置64が配置されている。ストレーナ62、圧力調整装置64は公知のものでも良いので、その構成等について詳述しない。この点は、下記のストレーナ72、圧力調整装置74も同様である。なお、圧力調整装置は、この実施形態では、例えば圧力調整用減圧弁が用いられる。
【0038】
第2の圧力調整機構70も、圧力調整管71について、一方を主、他方を補助(バックアップ)として用いるために、途中から2つの配管部分71a、71bに分かれて、各配管部分71a、71bの冷却水の流路上にストレーナ72が配置されている。配管部分71a、71bのストレーナ72よりも上流側と下流側とに開閉弁75、76が配置されている構成や、開閉弁75、76のハンドルのみが図示されている点も、第1の圧力調整機構60と同様である。更には、配管部分71a、71bについて、ストレーナ72よりも下流側で再び1つの配管部分71cに集束され、この配管部分71cの冷却水の流路上に圧力調整装置74が配置されている構成も、第1の圧力調整機構60と同様となっている。
【0039】
これにより、冷却水減圧装置1、冷却水減圧装置2の上流側圧力と下流側圧力との差圧を圧力調整装置64、74で検出し、検出された差圧を減圧機構41へ与え、圧縮コイルバネ51とのバランスにより、減圧機構41の間き具合を調整する。これに伴い、上流側流水路36では所定の高圧(例えば、0.9MPa)の冷却水が、減圧機構41を通った後、下流側流水路37に至ったときには、所望の圧力(例えば、0.5MPa)まで減圧される。
【0040】
ところで、本発明では、
図1、
図4及び
図5に示されるように、冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70の圧力調整管71から分岐した分岐管80が、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60の圧力調整管61に、ストレーナ62よりも上流側にて接続されている。分岐管80は、図示しないが、例えば、冷却水減圧装置2が設置された位置から建物の立壁に向かい、建物の立壁に沿って引き回された後、建物の立壁から冷却水減圧装置1が設置された位置まで導かれる配置となっている。
【0041】
分岐管80の一方は、
図4に示されるように、この実施形態では、第2の圧力調整機構70の圧力調整管71のうちの当該圧力調整管71の一端として通孔321よりハウジング31外に出た部位から直ぐに分岐しており、分岐管80の圧力調整管71から分岐して直ぐの箇所に、通孔321より圧力調整管71の一端を経て送られてきた水の流路を開閉する開閉装置81が配置されている。なお、この実施形態では、圧力調整管71は、配管部分71aと配管部分71bとに分かれる前の部位において開閉弁77が配置されている。開閉弁77もそのハンドルのみが図示されている。
【0042】
第1の圧力調整機構60の圧力調整管61のうちの当該圧力調整管61の一端として通孔321よりハウジング31外に出て直ぐの部位と分岐管80の他方との接続部に三方弁82が配置されている。すなわち、三方弁82は、上流側として圧力調整管61の通孔321寄り、並びに分岐管80の他方と接続し、下流側として圧力調整管61のストレーナ62、圧力調整装置64に連なる下流側と接続している。よって、圧力調整管61のストレーナ62側に送られる水の供給元を、圧力調整管61の通孔321に連なる一端側と分岐管80側とで切り替えることができる。
【0043】
以上のような構成とし、機器を有することにより、第1の冷却水配管系統R1が第2の冷却水配管系統R2よりもダム100の河川流入点に近い個所に設けられた位置から取水された水が導入されるようになっている場合には、豪雨時等において、第2の冷却水配管系統R2には濁水が流入しないが、第1の冷却水配管系統R1へは濁水が流入しやすい状
況となるところ、第1の冷却水配管系統R1に濁水が流入しないときと、第1の冷却水配管系統R1に濁水が流入し、或いは濁水の流入が予想されるときとで、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60と、冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70とで、以下のような取り扱いをすることが可能となる。
【0044】
(第1の冷却水配管系統R1に濁水が流入しないとき)
冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70においては、開閉装置81を閉じることで、冷却水減圧装置2のハウジング31内の上流側流水路36から通孔321を介して圧力調整管71に流入した冷却水について、
図4に示される太線の矢印に示される分岐管80を流れる流路が形成されないようにする。そして、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60においては、三方弁82の流入方向を調整して、
図5の白抜き矢印及び細線の矢印に示されるように、第1の冷却水減圧装置1のハウジング31内の上流側流水路36から通孔321を介して圧力調整管61の一端側(上流側)に流入した冷却水が、ストレーナ62及び圧力調整装置64側に供給されるようにする。
【0045】
(第1の冷却水配管系統R1へ濁水が流入し若しくは濁水の流入が予想されるとき)
冷却水減圧装置2の第2の圧力調整機構70においては、開閉装置81を開いて、冷却水減圧装置2のハウジング31内の上流側流水路36から通孔321を介して圧力調整管71に流入した冷却水について、
図4に示される太線の矢印の流れが形成されるようにする。この場合、開閉弁77を閉じない限り、圧力調整管71に流入した冷却水は、
図4の白抜き矢印に示されるように、ストレーナ72及び圧力調整装置74側にも送られる。そして、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60においては、三方弁82の流入方向を調整して、第1の冷却水減圧装置1のハウジング31内の上流側流水路36から通孔321を介して圧力調整管61の一端側(上流側)に流入した冷却水のストレーナ62及び圧力調整装置64側への供給は停止され、
図5の太線の矢印及び細線の矢印に示されるように、分岐管80を流れてきた冷却水が圧力調整管61を流れてストレーナ62及び圧力調整装置64側への供給されるようにする。
【0046】
よって、本発明では、これにより、第1の冷却水配管系統R1に流入した濁水が、圧力調整管61を三方弁82よりも下流側まで流れて、冷却水減圧装置1の第1の圧力調整機構60のストレーナ62に送られてしまうのを防止することが可能となる。しかも、第1の圧力調整機構60や第2の圧力調整機構70を変更するのみで足り、冷却水減圧装置1、2の本体の方は変更する必要がないので、既設の冷却水減圧装置1、2にも用いることができ、本発明を適用するための費用を抑制することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 冷却水減圧装置(第1の冷却水減圧装置)
2 冷却水減圧装置(第2の冷却水減圧装置)
31 ハウジング
41 減圧機構
321、322 通孔
60 第1の圧力調整機構
70 第2の圧力調整機構
61、71 圧力調整管
62、72 ストレーナ
64、74 圧力調整装置
80 分岐管
81 開閉弁(開閉装置)
82 三方弁(切替装置)
102 取水口(第1の取水口)
102´ 取水口(第2の取水口)
105 水車発電機(第1の水車発電機)
110 水車発電機(第2の水車発電機)
120、130 被冷却機器
R1 第1の冷却水配管系統
R2 第2の冷却水配管系統