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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036110
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240308BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140842
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】595140170
【氏名又は名称】東京海上日動火災保険株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】廣田 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 佳世
(72)【発明者】
【氏名】江添 奏重
(72)【発明者】
【氏名】野田 美友紀
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC17
(57)【要約】
【課題】熟練度の高いユーザに対して案内を通知する案件を適正化することの可能な情報処理装置を提供することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、案件に関する案件情報に、複数のユーザのうちの少なくともいずれかの第1ユーザを対応付けて記憶する記憶部と、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する第1判定部と、案件情報が、案件コストが所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、第1判定部による第1判定結果と第2判定部による第2判定結果とに基づいて、第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して案件に関する案内を通知するか否かを判定する第3判定部と、第3判定部による第3判定結果に応じて、案内を通知する通知部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案件に関する案件情報に、複数のユーザのうちの少なくともいずれかの第1ユーザを対応付けて記憶する記憶部と、
前記案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する第1判定部と、
前記案件情報が、前記案件コストが前記所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、
前記第1判定部による第1判定結果と前記第2判定部による第2判定結果とに基づいて、前記第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して前記案件に関する案内を通知するか否かを判定する第3判定部と、
前記第3判定部による第3判定結果に応じて、前記案内を通知する通知部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記案件コストは、前記案件に要する時間に基づいた指標である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記指標は、前記案件が長期化するリスクを示す、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの案件情報条件は、前記案件コストが前記所定の閾値以上である場合の第1案件情報条件と、前記案件コストが前記所定の閾値未満である場合の第2案件情報条件とを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記案件コストが前記所定の閾値以上であり、且つ前記第1案件情報条件が満たされると前記第3判定部が判定した場合、前記案内を通知しない、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記案件コストが前記所定の閾値未満であり、且つ前記第2案件情報条件が満たされると前記第3判定部が判定した場合、前記案内を通知する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第3判定部による前記第3判定結果に応じて、前記記憶部に対して前記案件情報に前記第2ユーザを対応付けて記憶させる割当部、を更に備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記通知部により通知される前記案内は、前記案件情報、前記案件への関与を促すメッセージ、及び前記案件のアクティビティの少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1判定部は、前記複数のユーザに関する状況に基づいて、前記所定の閾値の通知を変更する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記状況は、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの少なくとも一方のユーザの状況を含む、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
案件に関する案件情報に、複数のユーザのうちの少なくともいずれかの第1ユーザを対応付けて記憶する記憶部にアクセス可能な1つ又は複数のコンピュータが、
前記案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する第1判定ステップと、
前記案件情報が、前記案件コストが前記所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かを判定する第2判定ステップと、
前記第1判定ステップによる第1判定結果と前記第2判定ステップによる第2判定結果とに基づいて、前記第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して前記案件情報に関する案内を通知するか否かを判定する第3判定ステップと、
前記第3判定ステップによる第3判定結果に応じて、前記案内を通知する案内通知ステップと、
を実行する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コールセンタにおいて、カスタマ等からの問い合わせ、照会、又は要求に対し従業員(以下、オペレータと記す)が対応している。例えば、特許文献1には、コールセンタにおける案件の進捗状況を管理するためのシステムが記載されている。当該システムでは、オペレータが、案件の処理の進捗状況をシステムに入力することによって、他のオペレータが、当該案件を引き継いだ場合であっても、他のオペレータが残りの処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-8722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コールセンタにおける応対業務では、多種多様なカスタマや案件に対処するために高度なスキルが求められるが、オペレータによって応対業務に対する熟練度にはバラツキがある。この点、案件の適切な管理やオペレータの評価等の目的のために、熟練度の高い「キーパーソン(KP)」などと称される従業員が、担当オペレータに代わって案件情報を確認する場合や、担当オペレータに代わって案件を新たに担当する場合がある。しかしながら、熟練度の高い従業員数には限りがあることも多いため、熟練度の高い従業員が関与すべき案件を適正化することが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、熟練度の高いユーザに対して案内を通知する案件を適正化することの可能な情報処理装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、案件に関する案件情報に、複数のユーザのうちの少なくともいずれかの第1ユーザを対応付けて記憶する記憶部と、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する第1判定部と、案件情報が、案件コストが所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、第1判定部による第1判定結果と第2判定部による第2判定結果とに基づいて、第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して案件に関する案内を通知するか否かを判定する第3判定部と、第3判定部による第3判定結果に応じて、案内を通知する通知部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かと、案件情報が、案件コストが所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かとに基づいて、第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して案件に関する案内を通知するか否かが判定され、当該判定結果に応じて案内が通知される。したがって、熟練度の高いユーザに対して案内を通知する案件を適正化することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、熟練度の高いユーザに対して案内を通知する案件を適正化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る案件管理システム1のブロック図である。
図2】オペレータ情報DB311のデータ構造の一例を示す図である。
図3】案件情報DB312のデータ構造の一例を示す図である。
図4】案件管理システム1に含まれるカスタマ端末10、オペレータ端末20、及び管理装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】管理装置30が実行する動作処理の一例を示す動作フロー図である。
図6】案件に関する案内の表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0011】
(1)管理システム1の概要
図1は、本発明の一実施形態に係る案件管理システム1のブロック図である。案件管理システム1は、例えば、保険に関するコールセンタ等における応対業務に用いられる。なお、案件管理システム1は、保険に関するコールセンタ業務に限らず、銀行業務や販売業務その他の任意の業務に適用することができる。
【0012】
案件管理システム1は、例えば、カスタマが利用するカスタマ端末10と、カスタマに対して応対を行うオペレータが利用するオペレータ端末20と、管理装置30とを有する。カスタマ端末10、オペレータ端末20、及び管理装置30は、インターネットやPSTN(Public Switched Telephone Networks)等のような公衆網、無線ネットワーク等の通信網Nに接続されている。ここで、カスタマは、オペレータから応対を受けるユーザの一例である。応対を受けるユーザは、カスタマに限らず、例えば、カスタマの関係者(家族、友人、知人)、カスタマが関与した事故の相手方、当該相手方が加入している保険契約の保険会社の従業員、カスタマが関与した事故において損害を受けた自動車等の修理を行う修理業者、代車の手配等を行うレンタカー業者、整形外科や接骨院等における医療従事者等、当該保険に関連する任意の者であってよい。また、オペレータは、カスタマに対して応対を行う任意のユーザであってよい。
【0013】
カスタマ端末10とオペレータ端末20とは、例えば通信網Nを介して、音声通話可能に接続されてもよい。これにより、カスタマ端末10を利用するカスタマと、オペレータ端末20を利用するオペレータとが、これら端末を介して音声通話を行うことが可能となる。オペレータ端末20は、カスタマ端末10との間の音声通話に基づいて通話音声データを生成し、管理装置30に送信してもよい。通話音声データには、通話開始時間、通話終了時間、通話開始を示すタグ及び通話終了開始を示すタグや、通話音声データを区別するための識別情報が付与されてもよい。なお、通話音声データの生成や管理装置30への送信は、カスタマ端末10が実行してもよい。
【0014】
カスタマ端末10とオペレータ端末20とは、例えば通信網Nを介して、チャット機能等においてテキスト情報を送受信可能に接続されてもよい。これにより、カスタマ端末10を利用するカスタマと、オペレータ端末20を利用するオペレータとが、これら端末を介してテキスト情報のやり取りを行うことが可能となる。オペレータ端末20は、カスタマ端末10との間で送受信されるテキスト情報を、管理装置30に送信してもよい。なお、テキスト情報の管理装置30への送信は、カスタマ端末10が実行してもよい。
【0015】
管理装置30は、案件に関する案件情報を管理するための案件管理アプリケーションの機能を、オペレータ端末20に提供する。オペレータは、オペレータ端末20を介して案件管理アプリケーションの機能を利用することが可能である。案件管理アプリケーションでは、例えば、案件毎に当該案件を担当するオペレータに対応付けて登録されてもよい。担当のオペレータは、カスタマに対して応対を行う際に、案件管理アプリケーションに登録された案件情報を閲覧することが可能であってよい。更に、担当のオペレータは、応対中や応対後の任意のタイミングにおいて、案件情報の追加、削除、及び変更等の編集を行うことが可能であってもよい。なお、案件管理アプリケーションにおいては、担当のオペレータ以外のオペレータが案件情報を閲覧や編集等することが可能であってもよい。
【0016】
オペレータには、オペレータの応対に関する熟練の度合を示す定性的・定量的な指標である熟練度が設定されていてもよい。そして、管理装置30は、各オペレータを熟練度に応じた熟練度クラスに対応付けて管理してもよい。特に、管理装置30は、案件情報にあるオペレータ(第1ユーザの一例)が対応付けられている場合、所定条件下において、当該オペレータよりも熟練度クラスが高い他のオペレータ(第2ユーザの一例)に対して、当該案件への関与を促す案内を通知してもよい。当該所定条件が満たされるか否かは、例えば、案件情報に基づいて算出された案件コストに関する第1判定結果と、案件情報に関する第2判定結果とに基づいて判定されてもよい。第1判定結果は、案件コストが所定の閾値以上であるか否かについての判定結果であってよい。ここで、案件コストは、案件に要する時間に基づいた指標であってよい。また、第2判定結果は、案件コストが当該所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの条件を案件情報が満たすか否かについての判定結果であってよい。
【0017】
これにより、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かと、案件情報が、案件コストが所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かとに基づいて、第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して案件に関する案内を通知するか否かが判定され、当該判定結果に応じて案内が通知される。したがって、熟練度の高いユーザに対して案内を通知する案件を適正化することが可能となる。
【0018】
(2)管理装置30の構成
(2-1)機能構成
図1を参照して、管理装置30の機能構成について説明する。図1に示すとおり、管理装置30は、記憶部31と、制御部32とを備える。記憶部31は、例えば、後述するメモリ102及びストレージ103により実現される。制御部32は、例えば、後述するプロセッサ101により実現される。
【0019】
<記憶部31>
記憶部31は、オペレータ情報DB311と、案件情報DB312と、機械学習モデル313とを記憶する。
【0020】
図2は、オペレータ情報DB311のデータ構造の一例を示す図である。オペレータ情報DB311は、オペレータに関する情報を記憶するためのDBである。オペレータ情報DB311は、例えば、オペレータ毎に、「熟練度クラス」、「上長オペレータ」、「割当済作業」、及び「通知済作業」等が対応付けて記憶される。
【0021】
「熟練度クラス」は、オペレータの熟練度に応じて設定された階級である。オペレータには、オペレータの熟練の度合を示す定性的・定量的な指標である熟練度が設定されているものとする。熟練度は、所定のアルゴリズムによって算出されてもよいし、上長や管理者等による評価に基づいて算出されてもよい。熟練度の算出において考慮される事項は特に限定されないが、例えば、オペレータの勤続年数、職務・職責、作業量(通算や所定期間における案件の処理量等)、人事評価等の評価結果、成績等を含んでもよい。オペレータ情報DB311には、熟練度がオペレータに対応付けて記憶されてもよい。
【0022】
「熟練度クラス」は、熟練度に基づいて設定されてもよい。図2では、一例として、「KP」(キーパーソン)、及び「担当者」の2つの熟練度クラスが設定されている。ここで、「KP」は「担当者」よりも熟練度が高い熟練度クラスであるものとする。例えば、「KP」は、熟練度が所定閾値以上のオペレータに対応し、「担当者」は、熟練度が当該所定閾値未満のオペレータに対応してもよい。図2に示す例では、オペレータA及びオペレータBの熟練度クラスは「KP」であり、オペレータC、オペレータD、及びオペレータEの熟練度クラスは「担当者」である。なお、熟練度クラスの数は2つに限らず、3つ以上の任意の数に設定可能であってよい。
【0023】
「上長オペレータ」は、当該オペレータを監督等する立場にあるオペレータであってよい。「上長オペレータ」は、当該オペレータよりも熟練度クラスが上位であるオペレータから選択されたオペレータであってもよい。図2に示す例では、オペレータC及びオペレータEそれぞれの「上長オペレータ」として、オペレータAが登録されている。このように、複数のオペレータに対して、同一のオペレータが「上長オペレータ」として登録されてもよい。あるオペレータについて、他のオペレータについての「上長オペレータ」として登録可能な数は、当該オペレータの熟練度や熟練度クラス、その他のパラメータに応じて設定可能であってもよく、また、管理者等により任意に設定可能であってもよい。
【0024】
割当済案件は、当該オペレータに割り当てられている案件を示す情報である。例えば、後述する割当部326が任意の作業をオペレータに割り当てると、オペレータ情報DB311において、当該オペレータの割当済作業として登録される。オペレータに割り当てられた作業は、当該オペレータが応対を行うべき作業として設定される。案件を割り当てられているオペレータは、オペレータ端末20を介して利用される案件管理アプリケーションにおいて、当該案件に関する案件情報を閲覧や編集等することが可能であってよい。例えば、オペレータは、案件情報を閲覧しながらカスタマに対する応対を行った上で、適宜案件情報を入力してもよい。
【0025】
通知済案件は、当該オペレータに対して案件に関する案内が通知された場合における、当該案件を示す情報である。後述する通知部325が任意の案件に関する案内をオペレータに対して通知(オペレータが利用するオペレータ端末20に通知)すると、オペレータ情報DB311において、当該オペレータの通知済作業として登録される。オペレータに通知された作業は、当該オペレータが応対を行うべき作業として設定されるものに限らない。
【0026】
図3は、案件情報DB312のデータ構造の一例を示す図である。案件情報DB312は、案件管理アプリケーションに登録される案件情報を記憶するためのDBである。案件情報DB312には、例えば、案件毎に、「進捗」、「経過時間/所要時間」、「担当オペレータ」、「カスタマ」、「通知状態」、「車両情報」、「事故詳細」、「入庫先」、「交渉情報」、「責任割合情報」、「請求意向」、「応対情報」、及び「作業情報」等が対応付けて記憶される。
【0027】
「進捗」は、案件の進捗を示す情報である。例えば、「進捗」は、オペレータ等が任意に入力した内容であってもよいし、予め設定された応対の段階を示す情報であってもよい。予め設定された応対の段階を示す情報は、特に限定されないが、例えば、保険に関する応対の案件の場合、カスタマに対してオペレータによる応対と自動システムによる応対とのいずれを提供すべきかを決定する段階(自動化トリアージ)、案件発生時における初期的な応対の段階、発生した損害を確認する段階、示談交渉の段階、保険金を算出する段階、保険金支払いの稟議の段階、保険金支払の承認の段階、及び保険金の支払の実行の段階等を含んでもよい。また、例えば、「進捗」は、案件が完了したか否かを示す情報を含んでもよい。
【0028】
「経過時間/所要時間」は、「進捗」が未完了である案件についての基準日時からの経過時間を示す情報(経過時間)、又は「進捗」が完了である案件についての基準日時から完了までの時間(所要時間)を含んでもよい。基準日時は、任意に設定可能であってよく、例えば、事故等の事項が発生した日時、カスタマがコールセンタ等に通話やチャットによって問合せを行った日時、オペレータが所定の開始操作を行った日時、保険契約によって規定された日時等であってよい。経過時間及び所要時間の単位は、任意に設定可能であってよく、例えば、日にちや時間(時分等)であってよい。
【0029】
「担当オペレータ」は、案件の担当者として登録されているオペレータを示す情報であって、例えば、割当部326によって割り当てられたオペレータが表示される。「担当オペレータ」に登録されるオペレータは、割当部326等の割当処理や任意のユーザによる操作によって他のオペレータに変更が可能であってよい。「カスタマ」は、案件においてオペレータの応対を受けるカスタマを示す情報である。
【0030】
「通知状態」は、案件について、通知部325によって、担当オペレータよりも熟練度クラスの高いオペレータへの通知が行われたか否かを示す情報である。当該情報には、通知の対象となったオペレータ(担当オペレータよりも熟練度クラスの高いオペレータ)を示す情報が含まれてもよい。
【0031】
「車両情報」は、保険契約の対象となっている車両に関する任意の情報である。当該情報は、車種や仕様の他、カーナンバー等の登録内容や車検の状況等を含んでもよい。「事故詳細」は、事故の詳細に関する情報であって、例えば、事故の発生日時及び場所、事故状況、車両やその他の物の損害の程度等を含んでもよい。「入庫先」は、損害を受けた車両の修理を行う修理工場等を示す情報である。
【0032】
「交渉情報」は、カスタマと事故の相手方(相手方)との間の交渉に関する情報であって、例えば、過失の認否・認定、弁護士の情報、事故車両の入庫の有無等を含んでもよい。
【0033】
「責任割合情報」は、カスタマ及び相手方等による、事故の責任割合の主張に関する情報であって、例えば、カスタマや事故の相手方による事故の責任割合の大きさ(責任なしを含む)や、カスタマ及び相手方等が事故の責任割合について了承があったか否か或いは見解が相違するか否か、等の情報を含んでもよい。「請求意向」は、カスタマによる保険金の請求の意向を示す情報であって、例えば、保険金の請求をする意向があるか否かを示す情報等を含む。
【0034】
「応対情報」は、通話による応対の場合、カスタマとオペレータとの間の通話に基づく通話音声データを音声認識することにより生成されるテキスト情報であってもよいし、チャットによる応対の場合、カスタマやオペレータが各々の端末に対して入力したテキスト情報であってもよい。また、「応対情報」は、発話や入力の内容に対応するものとして選択等された定型文を示す情報であってもよい。また、「応対情報」は、オペレータが任意に入力したメモや、例えば保険契約に関する種々のチェック項目についてのオペレータによるチェック結果等を含んでもよい。
【0035】
「作業情報」は、担当オペレータが行うべき確認や入力の作業に関する情報であって、例えば、確認や入力を行うべき項目を示す情報や、確認や入力が完了したか否かの情報を含んでもよい。また、「作業情報」は、オペレータが入力した数値やテキスト等の情報を含んでもよい。
【0036】
<学習実行部321>
学習実行部321は、案件情報を含む学習データによって機械学習を実行することにより、未完了の案件に関する案件情報を入力とし、当該案件に要するコスト(案件コスト)を出力とする機械学習モデル313を生成する。
【0037】
学習実行部321は、例えば、案件管理アプリケーションに登録されている案件情報(案件情報DB312に登録されている案件情報)のうち、完了した案件の(「進捗」が完了を示す)案件情報を含む学習データに基づいて、機械学習モデル313を生成してもよい。特に、学習実行部321は、所要時間が所定値(例えば、90日や120日等)以上である案件情報のみを含む学習データに基づいて、機械学習モデル313を生成してもよい。機械学習モデル313の生成においては、機械学習モデル313の設計に応じて、案件情報に含まれる事項の全てに限らず、案件情報に含まれる事項の一部のみを学習データに含めてもよい。例えば、案件情報DB312に登録されている「経過時間/所要時間」及び「応対情報」のみを学習データに含めてもよい。更に、「応対情報」のうち、カスタマやオペレータによる発話や入力に基づくテキスト情報のみや、選択された定型文のみを、学習データに含めてもよい。
【0038】
機械学習モデル313の出力である案件コストは、案件に要する時間に基づいた指標であってよく、例えば、案件に要する時間(所要時間)の推定値や、案件に要することが見込まれる工数等を含んでもよい。工数の次元は、例えば、時間であってもよいし、時間と人員との積算値等であってもよい。また、案件コストは、案件が長期化するリスクを示す指標であってもよく、当該リスクは長期化する確率等であってもよい。
【0039】
機械学習モデル313の生成における機械学習のアルゴリズムは、特に限定されないが、例えば、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、及びナイーブベイズ等を含んでもよい。なお、学習実行部321は、記憶部31等に記憶された案件情報に基づいて、所定の期間毎に再学習を行い、機械学習モデル313を更新してもよい。
【0040】
<案件コスト条件判定部322(第1判定部)>
案件コスト条件判定部322(第1判定部の一例)は、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上である(案件コスト条件)か否かを判定する。例えば、案件コスト条件判定部322は、機械学習モデル313に案件情報を入力することにより、当該機械学習モデル313の出力としての案件コストを取得した上で、案件コスト条件が満たされるか否か、すなわち案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する。案件コスト条件の判定結果は、後述するように、案件を担当するオペレータ(第1ユーザの一例)よりも熟練度クラスが高いオペレータ(第2ユーザの一例)に対して案件への関与を促す案内を通知するか否かを通知判定部324が判定する際に用いられる。これにより、熟練度クラスが高いオペレータへの案内通知の要否の判定において、案件コストの大きさが考慮される。
【0041】
案件コスト条件において案件コストと比較される所定の閾値は、任意に設定可能であってよいし、案件コスト条件判定部322等が当該閾値の設定を変更してもよい。例えば、案件コスト条件判定部322等は、オペレータに関する状況に基づいて当該閾値の設定を変更してもよい。ここで、オペレータに関する状況は、コールセンタ業務におけるリソースとしての少なくとも1人のオペレータの全体の状況を含んでもよく、具体的には、オペレータの人数、空き状況、繁忙度、ワークロード等であってよい。また、オペレータに関する状況は、特定の熟練度クラスであるオペレータ(第1ユーザ及び第2ユーザの少なくとも一方)に関する状況であってもよい。
【0042】
<案件情報条件判定部323(第2判定部)>
案件情報条件判定部323(第2判定部の一例)は、案件情報が満たすべきものとして設定された、少なくとも1つの条件(案件情報条件)を満たすか否かを判定する。ここで、案件情報条件は、熟練度クラスが高いオペレータへの通知の要否を案件情報の内容の観点から判定するための条件である。また、案件情報条件は、上述した案件コスト条件の判定結果に応じて(案件コストが上述した所定の閾値以上であるか否かに応じて)、異なる内容となるように設定されていてもよい。
【0043】
例えば、案件情報条件は、案件コストが上述した所定の閾値以上である場合における第1案件情報条件を含んでもよい。ここで、第1案件情報条件は、案件コスト条件が満たされていても(案件コストが所定の閾値以上であっても)、案件情報の内容の観点に基づいて、熟練度クラスが高いオペレータへの案内通知は不要であると判定するための条件である。すなわち、後述するように、案件コスト条件が満たされていても(案件コストが所定の閾値以上であっても)、第1案件情報条件が満たされる場合は、通知部325による通知は実行されなくてもよい。
【0044】
第1案件情報条件は、案件情報に基づいて設定される条件であれば特に限定されないが、例えば、案件情報DB312に登録される項目に基づいて設定されてもよい。より具体的には、第1案件情報条件は、これらに限定されるものではないが、例えば以下の条件を含んでもよい。
・事故がカスタマにとってのもらい事故であること
・責任割合が確定していること
【0045】
例えば、案件情報条件は、案件コストが前記所定の閾値未満である場合における第2案件情報条件を含んでもよい。ここで、第2案件情報条件は、案件コスト条件が満たされていなくても(案件コストが所定の閾値未満であっても)、案件情報の内容の観点に基づいて、熟練度クラスが高いオペレータへの案内通知が必要であると判定するための条件である。すなわち、後述するように、案件コスト条件が満たされていなくても(案件コストが所定の閾値未満であっても)、第2案件情報条件が満たされる場合は、通知部325による通知が実行されてもよい。
【0046】
第2案件情報条件は、案件情報に基づいて設定される条件であれば特に限定されないが、例えば、案件情報DB312に登録される項目に基づいて設定されてもよい。より具体的には、第2案件情報条件は、これらに限定されるものではないが、例えば以下の条件を含んでもよい。
・カスタマ及び相手方の少なくとも一方が、責任割合が無いことを主張していること
・案件情報のある項目(例えば、事故の状況)と他の項目(例えば、車両の損害の状況)とに整合性がないこと
【0047】
案件情報条件(第1案件情報条件、及び/又は第2案件情報条件)は、任意に設定可能であってよいし、案件情報条件判定部323等が案件情報条件の内容を変更してもよい。例えば、案件情報条件判定部323等は、オペレータに関する状況に基づいて案件情報条件の内容を変更してもよい。ここで、オペレータに関する状況は、コールセンタ業務におけるリソースとしての少なくとも1人のオペレータの全体の状況を含んでもよく、具体的には、オペレータの人数、空き状況、繁忙度、ワークロード等であってよい。また、オペレータに関する状況は、特定の熟練度クラスであるオペレータ(第1ユーザ及び第2ユーザの少なくとも一方)に関する状況であってもよい。
【0048】
<通知判定部324(第3判定部)>
通知判定部324(第3判定部の一例)は、案件コスト条件判定部322による判定結果(第1判定結果の一例)と、案件情報条件判定部323による判定結果(第2判定結果の一例)とに基づいて、案件を担当するオペレータ(第1ユーザの一例)よりも熟練度クラスが高いオペレータ(第2ユーザの一例)に対して案件に関する案内を通知するか否かを判定する。
【0049】
例えば、案件コストが所定の閾値以上であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第1案件情報条件(案件コストが所定の閾値以上である場合について設定された条件)が満たされると案件情報条件判定部323によって判定された場合、通知判定部324は、案内の通知を実行しないと判定してもよい。また、例えば、案件コストが所定の閾値以上であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第1案件情報条件が満たされないと案件情報条件判定部323によって判定された場合、通知判定部324は、案内の通知を実行すると判定してもよい。また、例えば、案件コストが所定の閾値未満であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第2案件情報条件(案件コストが所定の閾値未満である場合について設定された条件)が満たされると案件情報条件判定部323によって判定された場合、通知判定部324は、案内の通知を実行すると判定してもよい。また、例えば、案件コストが所定の閾値未満であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第2案件情報条件が満たされないと案件情報条件判定部323によって判定された場合、通知判定部324は、案内の通知を実行しないと判定してもよい。
【0050】
<通知部325>
通知部325は、通知判定部324による判定結果に応じて、案件を担当するオペレータ(第1ユーザの一例)よりも熟練度クラスが高いオペレータ(第2ユーザの一例)に対して案件に関する案内を通知する。ここで、案内を通知することは、案内を受けるオペレータが利用するオペレータ端末20に対して、プッシュ通知等によって案内を送信することに限らず、オペレータが閲覧可能な状態に当該案内を設定することを含んでもよい。案件に関する案内の内容は、例えば、案件情報を含んでもよいし、案件への関与を促すメッセージを含んでもよいし、案件のアクティビティを含んでもよい。案内の内容については、更に後述する。
【0051】
<割当部326>
割当部326は、案件に対してオペレータを割り当てる。具体的には、割当部326は、案件情報DB312における「担当オペレータ」として任意のオペレータを登録することにより、案件に対してオペレータを割り当てる。
【0052】
特に、割当部326は、通知判定部324による判定結果に応じて、案件に対して、現在の担当オペレータよりも熟練度クラスが高いオペレータを、新たな担当オペレータとして登録してもよい。新たな担当オペレータは、例えば、オペレータ情報DB311において、現在の担当オペレータについての「上長オペレータ」として登録されているオペレータであってもよい。
【0053】
例えば、案件コストが所定の閾値以上であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第1案件情報条件(案件コストが所定の閾値以上である場合について設定された条件)が満たされると案件情報条件判定部323によって判定された場合、割当部326は、案件に対して新たな担当オペレータを割り当てなくてもよい。また、例えば、案件コストが所定の閾値以上であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第1案件情報条件が満たされないと案件情報条件判定部323によって判定された場合、割当部326は、案件に対して新たな担当オペレータを割り当ててもよい。また、例えば、案件コストが所定の閾値未満であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第2案件情報条件(案件コストが所定の閾値未満である場合について設定された条件)が満たされると案件情報条件判定部323によって判定された場合、割当部326は、案件に対して新たな担当オペレータを割り当ててもよい。また、例えば、案件コストが所定の閾値未満であると案件コスト条件判定部322によって判定され、且つ第2案件情報条件が満たされないと案件情報条件判定部323によって判定された場合、割当部326は、案件に対して新たな担当オペレータを割り当てなくてもよい。
【0054】
(2-2)ハードウェア構成
図4は、実施形態に係る案件管理システム1に含まれるカスタマ端末10、オペレータ端末20、及び管理装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。以下では、カスタマ端末10、オペレータ端末20、及び管理装置30を区別せず情報処理装置100と称する。
【0055】
情報処理装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、入出力インターフェース(入出力I/F)104と、通信インターフェース(通信I/F)105とを含む。情報処理装置100のハードウェアの各構成要素は、限定でなく例として、バスBを介して相互に接続される。
【0056】
情報処理装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、入出力I/F104と、通信I/F105との協働により、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現する。
【0057】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されるプログラムに含まれるコードまたは命令によって実現する機能、および/または、方法を実行する。プロセッサ101は、限定でなく例として、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(Micro Processor)、プロセッサコア(Processor Core)、マルチプロセッサ(Multiprocessor)、ASIC(Application―Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1つまたは複数の集積回路により実現されてよく、実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0058】
メモリ102は、ストレージ103からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ101に対して作業領域を提供する。メモリ102には、プロセッサ101がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ102は、限定でなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含む。
【0059】
ストレージ103は、プログラムを記憶する。ストレージ103は、限定でなく例として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどを含む。
【0060】
入出力I/F104は、情報処理装置100に対する各種操作を入力する入力装置、および、情報処理装置100で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。入出力I/F104は、入力装置と出力装置が一体化していてもよいし、入力装置と出力装置とに分離していてもよい。
【0061】
入力装置は、ユーザからの入力を受け付けて、当該入力に係る情報をプロセッサ101に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。入力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。
【0062】
出力装置は、プロセッサ101で処理された処理結果を出力することができる全ての種類の装置のいずれか、または、その組み合わせにより実現される。当該処理結果を映像、および/または、動画像として出力する場合、出力装置は、フレームバッファに書き込まれた表示データ(画面情報)に従って、当該表示データを表示することができる全ての種類の装置のいずれかまたはその組み合わせにより実現される。出力装置は、限定でなく例として、タッチパネル、タッチディスプレイ、モニタ(限定でなく例として、液晶ディスプレイ、OELD(Organic Electroluminescence Display)など)、ヘッドマウントディスプレイ(HDM:Head Mounted Display)、プロジェクションマッピング、ホログラム、空気中など(真空であってもよい)に画像やテキスト情報等を表示可能な装置、スピーカ(音声出力)、プリンターなどを含む。なお、これらの出力装置は、3Dで表示データを表示可能であってもよい。
【0063】
通信I/F105は、通信網Nを介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F105は、通信網Nを介して、他の情報処理装置との通信を実行する機能を有する。通信I/F105は、各種データをプロセッサ101からの指示に従って、他の情報処理装置に送信する。また、通信I/F105は、他の情報処理装置から送信された各種データを受信し、プロセッサ101に伝達する。
【0064】
本開示の実施形態のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。プログラムは、限定でなく例として、ソフトウェアプログラムやコンピュータプログラムを含む。
【0065】
記憶媒体は適切な場合、1つまたは複数の半導体ベースの、または他の集積回路(IC)(限定でなく例として、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)など)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、またはこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、または揮発性と不揮発性の組合せでよい。
【0066】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(ネットワークや放送波等)を介して、情報処理装置100に提供されてもよい。
【0067】
また、本開示の実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0068】
なお、本開示のプログラムは、限定でなく例として、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装される。
【0069】
情報処理装置100における処理の少なくとも一部は、1つ以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。
【0070】
情報処理装置100における処理の少なくとも一部を、他の情報処理装置により行う構成としてもよい。この場合、プロセッサ101により実現される各機能部の処理のうち少なくとも一部の処理を、他の情報処理装置で行う構成としてもよい。
【0071】
(3)管理装置30の動作フロー
図5は、管理装置30が実行する動作処理の一例を示す動作フロー図である。
【0072】
(S11)
まず、案件コスト条件判定部322は、案件情報DB312から、対象となる案件(対象案件)の案件情報を取得する。対象案件は、未完了の任意の案件であってよい。当該案件情報の取得処理が実行されるタイミングは、特に限定されないが、例えば、予め設定された周期的・非周期的な時刻が到来したときであってもよいし、管理者による操作が受け付けられたときであってもよいし、その他の条件が満たされた場合であってもよい。また、当該案件情報の取得処理が実行されるタイミングは、例えば、案件情報DB312に含まれる「経過時間/所要時間」が所定の閾値(例えば、14日等)以上となった場合であってもよい。
【0073】
(S12)
次に、案件コスト条件判定部322は、取得された対象案件の案件情報から、機械学習モデル313に応じた少なくとも一部の事項を抽出し、当該事項を機械学習モデル313に入力する。これにより、機械学習モデル313は、対象案件の案件コストを出力する。
【0074】
(S13)
次に、案件コスト条件判定部322は、算出された対象案件の案件コストが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。対象案件の案件コストが所定の閾値以上であると判定された場合、処理はステップS14に進む。対象案件の案件コストが所定の閾値未満であると判定された場合、処理はステップS15に進む。
【0075】
(S14)
算出された対象案件の案件コストが所定の閾値以上であると判定された場合(S13;Yes)、案件情報条件判定部323は、対象案件の案件情報が第1案件情報条件を満たすか否かを判定する。第1案件情報条件は、案件コスト条件が満たされていても(対象案件の案件コストが所定の閾値以上であっても)、案件情報の内容の観点に基づいて、熟練度クラスが高いオペレータへの案件に関する案内の通知は不要であると判定するための条件である。具体的には、第1案件情報条件は、例えば、「事故がカスタマにとってのもらい事故であること」や、「責任割合が確定していること」等であってもよい。
【0076】
対象案件の案件情報が第1案件情報条件を満たすと判定された場合(S14;Yes)、熟練度クラスが高いオペレータへの案件に関する案内の通知は不要であるものとみなされ、処理は終了する。この場合、通知部325による熟練度クラスの高いオペレータへの案内の通知や、割当部326による当該オペレータの割り当ては、実行されなくてよい。
【0077】
一方、対象案件の案件情報が第1案件情報条件を満たさないと判定された場合(S14;No)、熟練度クラスが高いオペレータへの案件に関する案内の通知は必要であるものとみなされ、処理はステップS16に進む。
【0078】
(S15)
算出された対象案件の案件コストが所定の閾値未満であると判定された場合(S13;No)、案件情報条件判定部323は、対象案件の案件情報が第2案件情報条件を満たすか否かを判定する。第2案件情報条件は、案件情報の内容の観点に基づいて、案件コスト条件が満たされていなくても(対象案件の案件コストが所定の閾値未満であっても)、熟練度クラスが高いオペレータへの案件に関する案内の通知が必要であると判定するための条件である。具体的には、第2案件情報条件は、例えば、「カスタマ及び相手方の少なくとも一方が、責任割合が無いことを主張していること」や、「案件情報のある項目(例えば、事故の状況)と他の項目(例えば、車両の損害の状況)とに整合性がないこと」等であってもよい。
【0079】
対象案件の案件情報が第2案件情報条件を満たさないと判定された場合(S15;No)、熟練度クラスが高いオペレータへの案件に関する案内の通知は不要であるものとみなされ、処理は終了する。この場合、通知部325による熟練度クラスの高いオペレータへの案件に関する案内の通知や、割当部326による当該オペレータの割り当ては、実行されない。
【0080】
一方、対象案件の案件情報が第2案件情報条件を満たすと判定された場合(S15;Yes)、熟練度クラスが高いオペレータへの案件に関する案内の通知は必要であるものとみなされ、処理はステップS16に進む。
【0081】
(S16)
対象案件の案件情報が第1案件情報条件を満たさないと判定された場合(S14;No)、又は対象案件の案件情報が第2案件情報条件を満たすと判定された場合(S15;Yes)、通知部325は、対象案件に関する案内を、案件の担当オペレータよりも熟練度クラスの高いオペレータに通知する。
【0082】
例えば、通知部325は、案件情報DB312において対象案件の「担当オペレータ」として登録されているオペレータ(担当オペレータ)を特定した上で、更にオペレータ情報DB311を参照して、当該担当オペレータについて「上長オペレータ」として対応付けられた他のオペレータ(担当オペレータよりも熟練度クラスが高い「上長オペレータ」)を特定し、当該他のオペレータ(上長オペレータ)に対して対象案件に関する案内を通知する。通知部325は、当該他のオペレータが利用するオペレータ端末20に対して案件に関する案内を送信してもよいし、当該案内を当該他のオペレータが閲覧可能な状態となるように設定してもよい。これにより、当該他のオペレータが利用するオペレータ端末20等が、案件に関する案内を表示することが可能となるため、担当オペレータよりも熟練度クラスの高い当該他のオペレータに対して、対象案件への関与を促すことが可能となる。以上で、動作処理が終了する。
【0083】
なお、上述したステップS16では、更に、割当部326は、対象案件に対して、現在の担当オペレータよりも熟練度クラスが高いオペレータを、新たな担当オペレータとして登録してもよい。新たな担当オペレータは、例えば、オペレータ情報DB311において、現在の担当オペレータについての「上長オペレータ」として登録されているオペレータであってもよい。これにより、担当オペレータよりも熟練度クラスの高いオペレータ当該他のオペレータに対象案件の処理を担当させることが可能となるため、案件をより適切に処理することが可能となる。
【0084】
(4)案内表示画面
図6は、案件に関する案内の表示画面の一例である。当該表示画面は、例えば、上述したステップS16において通知部325が通知する案内を表示するための画面であり、オペレータ端末20等に表示される。図6に示すとおり、当該表示画面は、例えば、領域41~46を含む。
【0085】
「案件アラート」と題された領域41には、例えば、案件への関与を促すメッセージが含まれてもよい。図6に示す例では、当該メッセージの一例として、「以下のアクティビティを行ってください。」とのメッセージ41Aが表示されている。案件への関与を促すメッセージの内容は、特定のアクティビティ(作業)を促す内容に限らず、案件に関連していれば任意の内容であってよく、明示的に作業を依頼する内容に限らず、案件情報の少なくとも一部を含むだけの内容であってもよいし、或いは当該案件について何らかの関与が必要であることが示唆される内容であってもよい。
【0086】
メッセージ41Aの下部には、「リマインダ」とのアクティビティ41Bが表示されている。「以下のアクティビティを行ってください。」とのメッセージ41Aにおいて明示されているように、当該表示は、当該案件において、当該アクティビティ41B(リマインダ)の実行が必要とされていることを示している。これにより、当該表示を確認したオペレータ端末20を利用するオペレータ(上長オペレータ等)に対して、当該アクティビティ41Bに示された作業を促すことが可能となる。アクティビティ41Bの内容は、特に限定されず、案件管理アプリケーションにより管理される作業(例えば、案件情報DB312に含まれる「作業情報」)を含んでもよい。
【0087】
アクティビティ41Bの下部には、関与推奨理由41Cが表示されている。関与推奨理由41Cには、担当オペレータよりも熟練度クラスの高いオペレータ等による関与が推奨される理由が表示されてもよい。通知を受けたオペレータ(上長オペレータ等)は、関与推奨理由41Cを確認することにより、対象案件についてより適切な対応を行うことが可能となる。
【0088】
例えば、対象案件の案件コストが所定の閾値以上であると判定された上で(S13;Yes)、対象案件の案内が通知される場合(S16)、関与推奨理由41Cには、当該関与が推奨される理由として、対象案件の案件コストが所定の閾値以上であることが表示されてもよい。図6には、このような表示の一例である「長期化リスクあり」とのテキストが示されている。ここで、「長期化リスク」は、案件が長期化するリスクを示す指標であって、当該指標は、案件コストの一例(案件に要する時間に基づいた指標)である。
【0089】
例えば、対象案件の案件コストが所定の閾値未満であると判定され(S13;No)、更に対象案件の案件情報が第2案件情報条件を満たすと判定された上で(S15;Yes)、対象案件の案内が通知される場合(S16)、関与推奨理由41Cには、当該関与が推奨される理由として、対象案件の案件情報が所定の条件(第2案件情報条件)を満たすことが表示されてもよい。具体的には、図6に示す関与推奨理由41Cには、例えば、カスタマ及び相手方の少なくとも一方が、責任割合が無いことを主張していることや、案件情報のある項目(例えば、事故の状況)と他の項目(例えば、車両の損害の状況)とに整合性がないことなどの、第2案件情報条件が満たされることが表示されてもよい。
【0090】
「案件情報」と題された領域42には、案件情報が表示され、「段階情報」と題された領域43には、段階情報が表示されてもよい。具体的には、領域42には、案件管理アプリケーションに登録される任意の案件情報について、項目42A及びその登録内容42Bが表示されてもよい。また、領域43には、現時点での案件の段階を示す段階情報43Aが表示されてもよい。図6に示す画面例では、現時点での「終結段階」43Aが太字として強調して表示されている。図6に示すとおり、領域43には、現時点での段階以外の段階情報43A(「自動化トリアージ」や「お客様初期対応」等)が表示されてもよい。なお、これら段階情報43Aを選択することにより、選択された段階についての案件情報が、領域42等において表示されてもよい。このように、通知される案内において案件情報や段階情報が表示されることにより、通知を受けたオペレータ(上長オペレータ等)は、対象案件についてのこれら情報を把握すること可能となり、対象案件についてより適切な対応を行うことが可能となる。
【0091】
「通話テキスト」と題された領域44には、カスタマの発話や入力によるメッセージ情報44Aと、オペレータの発話や入力によるメッセージ情報44Bとの少なくとも一部が表示されてもよい。図6に示す画面例では、カスタマやオペレータの発話や入力による最新のメッセージ情報が順次、領域44内の上方に表示される。領域44においては、スクロール操作等によって過去のメッセージ情報から最新のメッセージ情報までを選択的に表示させることが可能であってよい。
【0092】
「推奨定型文」と題された領域45には、管理装置30等によるメッセージ情報の解析によって生成された、メッセージ情報に対応する定型文の少なくとも1つの候補が表示されてもよい。図6に示す画面例では、領域45内に候補としての2つの定型文45Aが、メッセージ情報との関連性を示す指標である関連度45Bとともに表示される。候補の定型文45Aは、関連度45Bが一番高いものから選択された2つの候補の定型文である。関連度45Bは、例えば、各候補についてのメッセージ情報との類似度(ルールベースに基づく候補抽出処理の場合)であってもよいし、発生確率(機械学習モデルを利用した候補抽出処理の場合)であってもよい。なお、表示画面に表示される定型文の数は特に限定されず、スクロールやページ切り替えにより新たな候補の定型文45Aや関連度45Bが表示されてもよい。
【0093】
「確定定型文」と題された領域46には、オペレータにより選択された確定済みの定型文46Aが表示されている。オペレータにより選択された確定済みの定型文46Aは、応対情報として案件情報DB312に登録されてもよい。
【0094】
(5)変形例
上述した実施形態において、案件コスト(長期化リスク等)が所定の閾値以上であると判定された(S13;Yes)、且つ第1案件情報条件を満たすと判定された(S14;Yes)案件は、最終的には熟練度クラスの高いオペレータに対する案内は通知されない。しかしながら、このような案件であっても、案件コスト(長期化リスク等)が所定の閾値以上であると判定されているため、熟練度クラスの高いオペレータによる関与を必要とする度合は相対的に高いと言える。それにも関わらず、第1案件情報条件を満たすものとして案内の通知が実行されないことは、担当オペレータによる応対が適切であるためである可能性が考えられる。そこで、管理装置30は、このような案件を褒め事案として捉え、当該褒め事案案件に基づいて担当オペレータに対する評価を行ってもよい。
【0095】
例えば、管理装置30は、所定の期間に、案件コスト(長期化リスク等)が所定の閾値以上であると判定され(S13;Yes)、且つ第1案件情報条件を満たすと判定された(S14;Yes)案件(褒め事案案件)の数をカウントしてもよい。その上で、管理装置30は、褒め事案案件の数に基づいて、担当オペレータに対する所定の評価値を増加させてもよい。所定の評価値は、人事評価等に用いられる任意の評価値であってよいし、オペレータの熟練度を含んでもよい。これにより、オペレータに対して褒め事案案件に基づく評価を行うことが可能となる。
【0096】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置30は、案件に関する案件情報に、複数のユーザのうちの少なくともいずれかの第1ユーザを対応付けて記憶する記憶部31と、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する第1判定部322と、案件情報が、案件コストが所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かを判定する第2判定部323と、第1判定部322による第1判定結果と第2判定部323による第2判定結果とに基づいて、第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して案件に関する案内を通知するか否かを判定する第3判定部324と、第3判定部324による第3判定結果に応じて、案内を通知する通知部325と、を備える。
【0097】
上記態様において、案件コストは、案件に要する時間に基づいた指標であってもよい。
【0098】
上記態様において、指標は、案件が長期化するリスクを示すものであってもよい。
【0099】
上記態様において、少なくとも1つの案件情報条件は、案件コストが所定の閾値以上である場合の第1案件情報条件と、案件コストが所定の閾値未満である場合の第2案件情報条件とを含んでもよい。
【0100】
上記態様において、通知部325は、案件コストが所定の閾値以上であり、且つ第1案件情報条件が満たされると第3判定部324が判定した場合、案内を通知しなくてもよい。
【0101】
上記態様において、通知部325は、案件コストが所定の閾値未満であり、且つ第2案件情報条件が満たされると第3判定部324が判定した場合、案内を通知してもよい。
【0102】
上記態様において、情報処理装置30は、第3判定部324による第3判定結果に応じて、記憶部31に対して案件情報に第2ユーザを対応付けて記憶させる割当部326、を更に備えてもよい。
【0103】
上記態様において、通知部325により通知される案内は、案件情報、案件への関与を促すメッセージ、及び案件のアクティビティの少なくともいずれかを含んでもよい。
【0104】
上記態様において、第1判定部322は、複数のユーザに関する状況に基づいて、所定の閾値の通知を変更してもよい。
【0105】
上記態様において、状況は、第1ユーザ及び第2ユーザの少なくとも一方のユーザの状況を含んでもよい。
【0106】
本発明の他の一実施形態に係る情報処理方法は、案件に関する案件情報に、複数のユーザのうちの少なくともいずれかの第1ユーザを対応付けて記憶する記憶部にアクセス可能な1つ又は複数のコンピュータが、案件情報に基づいて算出された案件コストが所定の閾値以上であるか否かを判定する第1判定ステップと、案件情報が、案件コストが所定の閾値以上であるか否かに応じて設定された少なくとも1つの案件情報条件を満たすか否かを判定する第2判定ステップと、第1判定ステップによる第1判定結果と第2判定ステップによる第2判定結果とに基づいて、第1ユーザよりも熟練度クラスが高い第2ユーザに対して案件情報に関する案内を通知するか否かを判定する第3判定ステップと、第3判定ステップによる第3判定結果に応じて、案内を通知する案内通知ステップと、を実行してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…案件管理システム、10…カスタマ端末、20…オペレータ端末、30…管理装置、100…情報処理装置、101…プロセッサ、102…メモリ、103…ストレージ、104…入出力I/F、105…通信I/F、31…記憶部、311…オペレータ情報DB、312…案件情報DB、313…機械学習モデル、32…制御部、321…学習実行部、322…案件コスト条件判定部、323…案件情報条件判定部、324…通知判定部、325…通知部、326…割当部
図1
図2
図3
図4
図5
図6