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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036114
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ソール及びシューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20240308BHJP
   A43B 5/06 20220101ALI20240308BHJP
   A43B 5/04 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A43B13/14 Z
A43B5/06
A43B5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140847
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立野 謙太
(72)【発明者】
【氏名】阪口 正律
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕彰
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA02
4F050BA33
4F050BA40
4F050HA20
4F050HA22
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA58
4F050HA59
4F050HA60
4F050HA63
4F050HA67
4F050HA73
4F050HA82
4F050HA85
4F050JA09
(57)【要約】
【課題】着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化を小さくすることが可能なソール及びシューズを提供することを提供すること。
【解決手段】ソール10は、ミッドソール100を備える。ミッドソール100は、着用者の足のMP関節の前方の部位を支持する第1支持部110と、第1支持部110から足長方向における後方に向かって延びる形状を有し、着用者の足のMP関節の後方の部位を支持する第2支持部120と、を含む。第1支持部110は、第2支持部120の弾性率よりも低い弾性率を有する。ミッドソール100は、第1部位と第2部位と第3部位と第4部位とで囲まれる母指球領域R1を有する。第1支持部110と第2支持部120との境界部115は、母指球領域R1を通る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズの一部を構成するソールであって、
アッパーが接続されるアッパー接続面を含み、着用者の足を支持するミッドソールを備え、
前記ミッドソールは、
前記着用者の足のMP関節の前方の部位を支持する第1支持部と、
前記第1支持部から前記ソールの足長方向における後方に向かって延びる形状を有し、前記着用者の足のMP関節の後方の部位を支持する第2支持部と、を含み、
前記第1支持部は、前記第2支持部の弾性率よりも低い弾性率を有し、
前記ミッドソールは、シューズセンター上に位置しかつ前記足長方向における当該ミッドソールの前端部から後方に向かって前記アッパー接続面の全長の15%の長さの位置に位置する第1部位と、前記シューズセンター上に位置しかつ前記足長方向における前記前端部から後方に向かって前記アッパー接続面の全長の35%の長さの位置に位置する第2部位と、前記シューズセンターと直交しかつ前記第1部位を通る直線と前記ソールの足幅方向における前記ミッドソールの内足側の端部との交点である第3部位と、前記シューズセンターと直交しかつ前記第2部位を通る直線と前記足幅方向における前記ミッドソールの内足側の端部との交点である第4部位と、で囲まれる母指球領域を有し、
前記第1支持部と前記第2支持部との境界部は、前記母指球領域を通る、ソール。
【請求項2】
前記境界部は、前記ソールの厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に前記足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有する、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記境界部は、前記ソールの厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に前記足長方向における後方に向かうように傾斜する形状を有する、請求項1に記載のソール。
【請求項4】
前記境界部は、前記足長方向と前記ソールの厚み方向とを含む平面と平行な平面での断面において、少なくとも1つの変曲点又は頂点を含む形状を有する、請求項1に記載のソール。
【請求項5】
前記境界部は、
前記足幅方向における中央に形成された中央境界部と、
前記足幅方向における端部に形成された端部境界部と、を有し、
前記中央境界部は、前記足長方向と前記ソールの厚み方向とを含む平面と平行な平面での断面において、少なくとも1つの変曲点又は頂点を含む形状を有し、
前記端部境界部は、前記ソールの厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に前記足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有する、請求項1に記載のソール。
【請求項6】
前記第1支持部及び前記第2支持部の上方又は下方に配置された緩衝層をさらに備え、
前記緩衝層は、前記境界部を跨ぐように前記足長方向に延びる形状を有する、請求項1に記載のソール。
【請求項7】
前記緩衝層は、前記ソールの厚み方向に前記境界部と重なる重なり部を有し、
前記シューズセンターを通りかつ前記厚み方向と平行な平面での前記ソールの断面において、前記重なり部の厚みは、前記境界部の厚みよりも小さい、請求項6に記載のソール。
【請求項8】
前記第1支持部の曲げ剛性及び前記第2支持部の曲げ剛性よりも大きな曲げ剛性を有するプレートをさらに備え、
前記プレートは、前記第1支持部及び前記第2支持部の上面又は下面に接するように配置されているとともに、前記境界部を跨ぐように前記足長方向に延びる形状を有する、請求項1に記載のソール。
【請求項9】
前記プレートは、前記第1支持部及び前記第2支持部の上面に接するように配置されている、請求項8に記載のソール。
【請求項10】
前記第1支持部は、三次元メッシュ構造体からなり、
前記第2支持部は、樹脂発泡体からなる、請求項1に記載のソール。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のソールと、
前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備えるシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ソール及びシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ等で着用されるシューズには、走行時や運動時における足の疲労を低減すること等が求められている。例えば、国際公開第2020/136916号には、足首関節の負担を軽減可能な靴が開示されている。この靴の靴底は、平らな仮想面に載置したときに仮想面に接触する後底面部と、後底面部における厚み寸法に対して、仮想面からの高さが170%以上250%以下となるつま先部と、後底面部の前部に連続し、つま先部まで湾曲して延び、仮想面から離間する前底面部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/136916号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際公開第2020/136916号に記載されるようなシューズでは、着地時から蹴り出し時に至る間の足首関節の動きを抑えることによって足の負担をより軽減することが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化を小さくすることが可能なソール及びシューズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一局面に従ったソールは、シューズの一部を構成するソールであって、アッパーが接続されるアッパー接続面を含み、着用者の足を支持するミッドソールを備え、前記ミッドソールは、前記着用者の足のMP関節の前方の部位を支持する第1支持部と、前記第1支持部から前記ソールの足長方向における後方に向かって延びる形状を有し、前記着用者の足のMP関節の後方の部位を支持する第2支持部と、を含み、前記第1支持部は、前記第2支持部の弾性率よりも低い弾性率を有し、前記ミッドソールは、シューズセンター上に位置しかつ前記足長方向における当該ミッドソールの前端部から後方に向かって前記アッパー接続面の全長の15%の長さの位置に位置する第1部位と、前記シューズセンター上に位置しかつ前記足長方向における前記前端部から後方に向かって前記アッパー接続面の全長の35%の長さの位置に位置する第2部位と、前記シューズセンターと直交しかつ前記第1部位を通る直線と前記ソールの足幅方向における前記ミッドソールの内足側の端部との交点である第3部位と、前記シューズセンターと直交しかつ前記第2部位を通る直線と前記足幅方向における前記ミッドソールの内足側の端部との交点である第4部位と、で囲まれる母指球領域を有し、前記第1支持部と前記第2支持部との境界部は、前記母指球領域を通る。
【0007】
また、この開示の一局面に従ったシューズは、前記ソールと、前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この開示によれば、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化を小さくすることが可能なソール及びシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態におけるシューズを概略的に示す断面図である。
図2】ソールの平面図である。
図3】着地から蹴り出しに至る過程を概略的に示す図である。
図4】ソールの変形例を概略的に示す断面図である。
図5】ソールの変形例を概略的に示す断面図である。
図6】ソールの変形例を概略的に示す断面図である。
図7】境界部の変形例を概略的に示す断面図である。
図8】境界部の変形例を概略的に示す断面図である。
図9】境界部の変形例を概略的に示す断面図である。
図10図9に示される境界部を概略的に示す斜視図である。
図11】第1支持部の変形例を説明するための模式図である。
図12】第1支持部の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。以下の説明では、足長方向、足幅方向、前方、後方等の用語が用いられる。これら方向を示す用語は、地面等の平坦面P(図1を参照)に置かれたシューズ1を着用した着用者の視点から見た方向を示す。例えば、前方は、つま先側を指し、後方は、踵側を指す。また、内側又は内足側は、足幅方向における足の第1趾(母指)側を指し、外側又は外足側は、足幅方向における足の第5趾側を指す。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態におけるシューズを概略的に示す断面図である。図2は、ソールの平面図である。なお、図2には、右足用のソール10が示されているが、このソール10は、左足にも適用可能である。この場合、左足用のソールは、右足用のソールと左右対称な形状、あるいは、概ねそれに準じる形状に形成される。
【0012】
本実施形態におけるシューズ1は、例えば、ランニング用に好適であるが、他のスポーツシューズやウォーキングシューズとしても適用可能であり、シューズ1の用途は問わない。
【0013】
図1に示されるように、シューズ1は、ソール10と、アッパー20と、を備えている。
【0014】
アッパー20は、ソール10に接続されている。アッパー20は、ソール10とともに着用者の足の収容空間を形成する。アッパー20は、着用者の足の上面を被覆する。
【0015】
ソール10は、シューズ1の一部を構成している。ソール10は、アッパー20の下部に接続されている。ソール10は、例えば、接着によってアッパー20に接続されている。図1に示されるように、ソール10は、ミッドソール100と、アウトソール200と、プレート300と、を備えている。
【0016】
ミッドソール100は、着地時における緩衝機能や蹴り出し時における反発機能等を備えている。ミッドソール100は、適度な強度を有しつつ緩衝性に優れる樹脂又はゴム等により形成されることが好ましい。ミッドソール100は、アッパー20が接続されるアッパー接続面100Sを有している。図1に示されるように、ミッドソール100は、第1支持部110と、第2支持部120と、緩衝層130と、を有している。
【0017】
第1支持部110は、着用者の足のMP関節の前方の部位を支持する。図1に示されるように、第1支持部110の前端部の表面は、アッパー接続面100Sの一部を構成している。第1支持部110は、例えば、樹脂発泡体からなる。第1支持部110を構成する樹脂として、例えば、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。
【0018】
第2支持部120は、第1支持部110からソール10の足長方向(図2における上下方向)における後方に向かって延びる形状を有している。第2支持部120は、着用者の足のMP関節の後方の部位を支持する。第2支持部120は、例えば、樹脂発泡体からなる。第2支持部120を構成する樹脂として、例えば、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。
【0019】
なお、足長方向は、シューズセンターSC(図2を参照)と平行な方向である。シューズセンターSCは、シューズ1の中心線に限らず、シューズ1の標準的な着用者の踵骨の中心と第1趾及び第2趾間とを通る直線とソール10の厚み方向に重なる線としてもよい。
【0020】
第1支持部110は、第2支持部120の弾性率よりも低い弾性率を有している。第2支持部120の弾性率に対する第1支持部110の弾性率の比は、0.3倍以上1倍未満に設定されることが好ましく、0.3倍以上0.75倍未満に設定されることがより好ましい。具体的に、第1支持部110の弾性率は、0.25MPa以上0.9MPa以下に設定されることが好ましく、0.25MPa以上0.5MPa以下に設定されることがより好ましい。
【0021】
第1支持部110の弾性率は、例えば次のようにして測定される。すなわち、第1支持部110から所定形状(例えば柱状)の試験片が切り出され、その試験片が、ソールの厚み方向と対応する方向における両側から圧縮されることにより測定される。第2支持部120の弾性率についても同様に測定される。あるいは、弾性率は、着用時に荷重が加わると想定される方向に沿って当該方向における両側から試験片が圧縮されることにより測定されることもできる。弾性率は、上記測定により得られた応力―歪み曲線のうち、歪みが5%に至るまでの初期勾配として算出される。
【0022】
第1支持部110及び第2支持部120の境界部115(図1を参照)は、少なくとも母指球領域R1(図1及び図2を参照)を通る。母指球領域R1は、シューズ1の標準的な着用者の足の母指MP関節と厚み方向に重なる領域である。母指球領域R1は、第1部位P1と、第2部位P2と、第3部位P3と、第4部位P4と、で囲まれる領域である。なお、図1及び図2では、母指球領域R1がドット模様で示されている。
【0023】
第1部位P1は、シューズセンターSC上に位置しかつ足長方向におけるミッドソール100の前端部から後方に向かって第1長さL11の位置に位置している。第1長さL11は、アッパー接続面100Sの全長L10の15%の長さである。
【0024】
第2部位P2は、シューズセンターSC上に位置しかつ足長方向における前端部から後方に向かって第2長さL12の位置に位置している。第2長さL12は、アッパー接続面100Sの全長L10の35%の長さである。
【0025】
第3部位P3は、シューズセンターSCと直交しかつ第1部位P1を通る直線と、ソール10の足幅方向(図2における左右方向)におけるミッドソール100の内足側の端部との交点である。
【0026】
第4部位P4は、シューズセンターSCと直交しかつ第2部位P2を通る直線と、足幅方向におけるミッドソール100の内足側の端部との交点である。
【0027】
境界部115のうち足幅方向における内側(母指側)の部位は、厚み方向における全域が母指球領域R1を通っている。本実施形態では、境界部115は、その上端から下端に至る全域にわたって、着用者の足の全MP関節と厚み方向に実質的に重なる位置に形成されている。なお、「実質的に重なる位置」とは、厚み方向にMP関節と完全に重なる位置のみならず、その位置から足長方向に所定長さだけずれた位置も含む。
【0028】
緩衝層130は、第1支持部110及び第2支持部120の上方に配置されている。緩衝層130は、第1支持部110と第2支持部120との境界部115を跨ぐように足長方向に延びる形状を有している。緩衝層130の表面は、第1支持部110の前端部の表面とともにアッパー接続面100Sを構成している。緩衝層130は、樹脂発泡体等からなる。緩衝層130を構成する樹脂として、例えば、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。緩衝層130の弾性率は、第2支持部120の弾性率と同じかそれよりも小さく形成されてもよい。第2支持部120の弾性率に対する緩衝層130の弾性率の比は、0.25倍以上1倍以下に設定されることが好ましく、0.25倍以上0.75倍以下に設定されることがより好ましい。
【0029】
図1に示されるように、緩衝層130は、ソール10の厚み方向に着用者の足のMP関節と重なる重なり部132を有している。シューズセンターSCを通りかつ厚み方向と平行な平面でのソール10の断面における重なり部132の厚みは、境界部115の厚みよりも小さい。本実施形態では、図1に示されるように、ソール10の前記断面における緩衝層130の厚みは、緩衝層130の前端から後端の全域にわたって第1支持部110及び第2支持部120の厚みよりも小さい。
【0030】
アウトソール200は、ミッドソール100の下面に接続されている。アウトソール200は、ゴム、樹脂等からなる。アウトソール200は、境界部115を跨ぐように足長方向に延びる形状を有している。アウトソール200は、ミッドソール100の下面の全域を被覆していてもよいし、図1に示されるように、ミッドソール100の一部のみを被覆していてもよい。
【0031】
プレート300は、第1支持部110及び第2支持部120の上面に接続されている。プレート300は、境界部115を跨ぐように足長方向に延びる形状を有している。図1に示されるように、プレート300は、第1支持部110及び第2支持部120と緩衝層130とによって挟持されている。プレート300は、第1支持部110の曲げ剛性及び第2支持部120の曲げ剛性よりも大きな曲げ剛性を有している。プレート300は、緩衝層130の曲げ剛性よりも大きな曲げ剛性を有している。プレート300は、ソール10の曲げ剛性を高める機能や、ミッドソール100のうちプレート300の下方に位置する部位(本実施形態では第1支持部110及び第2支持部120)に均一に荷重を作用させる機能等を有している。プレート300は、繊維強化樹脂や非繊維強化樹脂からなる。この繊維強化樹脂に含まれる繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ダイニーマ繊維(登録商標)、ザイロン繊維(登録商標)、ボロン繊維等が挙げられる。本実施形態では、前記繊維としてカーボン繊維が用いられている。プレート300の厚みは、第1支持部110の厚み、第2支持部120の厚み及び緩衝層130の厚みよりも小さい。
【0032】
次に、図3を参照しながら、着地時から蹴り出し時に至る間における第1支持部110及び第2支持部120の形状の変化について説明する。
【0033】
着地時から蹴り出し前においては、着用者の足のMP関節から第1支持部110と第2支持部120との境界部115にはそれほど大きな荷重は作用しない。一方、蹴り出し時には、着用者の足のMP関節から境界部115に大きな荷重が作用する。このため、境界部115の近傍の部位、すなわち、第2支持部120の前部と第1支持部110の後部に特に大きな圧縮荷重が作用する。
【0034】
本実施形態では、第1支持部110の弾性率が第2支持部120の弾性率よりも低いため、第2支持部120の圧縮変形量よりも第1支持部110の圧縮変形量の方が大きくなる。すなわち、蹴り出し時において、着用者の足のうちMP関節より前の部位における沈み込み量が比較的大きくなる。
【0035】
これにより、蹴り出し時に着用者の足首関節の角度が小さくなることが抑制されるため、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化が小さくなる。よって、走行時等における足の負担が軽減される。
【0036】
特に蹴り出し時において、プレート300の下に位置する第1支持部110及び第2支持部120に作用する荷重が均一化されることで、プレート300を有しない場合と比べて、第1支持部110及び第2支持部120の変形範囲が大きくなる。また、ソール10に対して大きな荷重が作用した場合においても、着用者が感じる底付き感が低減される。プレート300によって着地時及び蹴り出し時における足部の安定性が向上し、また、プレート300が境界部115を跨いでいるため、境界部115周辺における局所的な硬度変化を着用者が感じることが緩和される。
【0037】
さらに、上記実施形態では、ソール10の前記断面における緩衝層130の厚みは、緩衝層130の前端から後端の全域にわたって第1支持部110及び第2支持部120の厚みよりも小さい。これにより、第1支持部110の変形量を大きくすることができ、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化が小さくなるという効果を大きく受けることができる。
【0038】
以下、図4から図12を参照しながら、上記実施形態における変形例について説明する。
【0039】
(第1変形例)
図4に示されるように、プレート300は、省略されてもよい。プレート300を有しないことにより、ソール10に作用させる荷重が比較的小さな着用者であっても、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化が小さくなるという効果を体感しやすくなる。また、プレート300を有しないことによってソール10の軽量性が向上する。
【0040】
(第2変形例)
図5に示されるように、プレート300及び緩衝層130は、省略されてもよい。プレート300及び緩衝層130を有しないことにより、ソール10に作用させる荷重が比較的小さな着用者であっても、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化が小さくなるという効果を体感しやすくなる。
【0041】
(第3変形例)
図6に示されるように、緩衝層130は、第1支持部110及び第2支持部120の下方に配置されてもよい。この場合、プレート300は、第1支持部110及び第2支持部120の下面に接するように配置される。これによって、前足部から踵部にかけて緩衝層130とプレート300との接続面が傾斜をもつことができ、蹴り出し時において中足部から踵部の落ち込みが抑制される。なお、この例において、プレート300は省略されてもよい。
【0042】
(第4変形例)
図7に示されるように、境界部115は、ソール10の厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有していてもよい。この例では、境界部115の上端は、上記実施形態における境界部115の上端と同じ位置に形成されている。なお、図7では、上記実施形態における境界部115が一点鎖線で示されている。
【0043】
この態様では、蹴り出し時においてソール10全体が前傾したときに境界部115が着地面に対して垂直な方向に近づくため、蹴り出し時における第2支持部120の前部の圧縮変形量が大きくなる。よって、第2支持部120からの反発力が大きく確保される。このことは、蹴り出し角度の大きな着用者に特に顕著となる。
【0044】
(第5変形例)
図8に示されるように、境界部115は、ソール10の厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に足長方向における後方に向かうように傾斜する形状を有していてもよい。この例においても、境界部115の上端は、上記実施形態における境界部115の上端と同じ位置に形成されている。なお、図8では、上記実施形態における境界部115が一点鎖線で示されている。
【0045】
この態様では、ソール10の着地面付近において境界部115が着地ポイントに近づくため、着地時における衝撃緩衝性が高まる。
【0046】
(第6変形例)
図9に示されるように、境界部115は、足長方向と厚み方向とを含む平面と平行な平面での断面において、少なくとも1つの変曲点又は頂点を含む形状を有していてもよい。この例では、境界部115は、上側面115aと、中間面115bと、下側面115cと、を有している。
【0047】
上側面115aは、境界部115における上端を含み、厚み方向と平行に形成されている。
【0048】
中間面115bは、上側面115aと交差している。中間面115bは、上側面115aと直交していてもよい。中間面115bは、上側面115aから後方に向かって延びている。中間面115bと上側面115aとの境界は、湾曲面で構成されている。
【0049】
下側面115cは、中間面115bと交差している。下側面115cは、中間面115bの後端から下方に向かって延びている。下側面115cは、ソール10の厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有している。下側面115cと中間面115bとの境界は、角部で構成されている。なお、下側面115cは、厚み方向と平行に形成されてもよい。
【0050】
この態様では、境界部115の面積が確保されるため、第1支持部110及び第2支持部120が互いに離間することが抑制される。
【0051】
(第7変形例)
図10に示されるように、境界部115は、中央境界部115Aと、端部境界部115Bと、を有していてもよい。
【0052】
中央境界部115Aは、足幅方向における中央に形成されている。中央境界部115Aは、第6変形例におけるそれと同じ形状を有している。
【0053】
端部境界部115Bは、足幅方向における端部に形成されている。端部境界部115Bは、第4変形例のように、ソール10の厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有している。なお、端部境界部115Bは、第5変形例のように、ソール10の厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に足長方向における後方に向かうように傾斜する形状を有していてもよい。
【0054】
この態様では、第1支持部110と第2支持部120との接合がより強固となり、製造時の接着特性が向上する。
【0055】
(第8変形例)
第1支持部110は、図11又は図12に示される三次元メッシュ構造体3A,3Bで構成されてもよい。この三次元メッシュ構造体は、例えば、光造形方式の三次元積層造形法にて製作される。図11は、第1支持部110が有する立体格子構造を説明するための模式図である。図12は、図11に示す構造に準じた立体格子構造を説明するための模式図である。
【0056】
図11に示される三次元メッシュ構造体3Aは、繰り返し並ぶように配列された複数の単位構造4Aを有している。各単位構造4Aは、立体格子構造からなる。複数の単位構造4Aは、幅方向(図11におけるX方向)、奥行き方向(図11におけるY方向)及び高さ方向(図11におけるZ方向)の各々に沿って規則的にかつ連続的に繰り返し配列されている。図11には、幅方向、奥行き方向及び高さ方向においてそれぞれ隣接する幾つかの単位構造4Aのみが示されている。
【0057】
立体格子構造からなる単位構造4Aは、所定方向に沿って延在する複数の柱状部6が相互に接続されてなる立体的形状を有している。これら複数の柱状部6は、隣接する柱状部6とその延在方向が交差するように構成されており、これによって立体格子構造が形作られている。図11に示される単位構造4Aは、フローライト型格子と呼ばれるものである。なお、単位構造4Aが占有する単位空間5Aは、多面体形状を有しており、図11に示される単位構造4Aにあっては、これが六面体形状である。
【0058】
図11に示される三次元メッシュ構造体3Aにおいては、複数の柱状部6の各々が、略円柱状の外形を有するように構成されている。そのため、複数の柱状部6の各々の延在方向と直交する断面形状は、略円形である。また、図11に示される三次元メッシュ構造体3Aにおいては、複数の柱状部6の各々の太さが、その延在方向に沿って連続的に変化するように構成されている。具体的には、各柱状部6は、当該柱状部6に隣接する柱状部6との接続部においてその太さが大きく、当該接続部から離れるにしたがってその太さが小さくなる形状を有している。この構成によれば、柔軟性を保ちながらその耐久性を高めることが可能になる。
【0059】
図12に示される三次元メッシュ構造体3Bは、図11に示される構造に準じた構成を有する立体構造を有しており、単位構造4Bがフローライト型格子であるとともに、当該単位構造4Bが占有する単位空間5Bが六面体形状のものである。ただし、三次元メッシュ構造体3Bにおいては、図11に示される構造とは異なり、複数の柱状部6の各々の太さがその延在方向に沿って一様に構成されている。
【0060】
なお、単位構造4A,4Bとしては、図11及び図12に示される構造の他にも様々な構造が採用可能であり、例えば、直方体格子、ダイヤモンド格子、八面体格子、ダブルピラミッド格子、あるいは、これら格子に各種のサポートが付加されたもの等、各種の構造の適用が可能である。
【0061】
以上のような三次元メッシュ構造体は、樹脂発泡体(フォーム材)に比べて占積率を容易に調整することができるため、第1支持部110の弾性率と第2支持部120の弾性率との差を容易に設計することが可能となる。
【0062】
三次元メッシュ構造体3A、3Bは、ポリマー組成物にて構成することもできる。その場合にポリマー組成物に含有させるポリマーとしては、たとえばオレフィン系エラストマーやオレフィン系樹脂等のオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーとしては、たとえばポリエチレン(たとえば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-4-メチル-ペンテン、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、プロピレン-メタクリル酸共重合体、プロピレン-メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、プロピレン-酢酸ビニル共重合体のポリオレフィン等が挙げられる。
【0063】
また、上記ポリマーは、たとえばアミド系エラストマーやアミド系樹脂等のアミド系ポリマーであってもよい。アミド系ポリマーとしては、たとえばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610等が挙げられる。
【0064】
また、上記ポリマーは、たとえばエステル系エラストマーやエステル系樹脂等のエステル系ポリマーであってもよい。エステル系ポリマーとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0065】
また、上記ポリマーは、たとえばウレタン系エラストマーやウレタン系樹脂等のウレタン系ポリマーであってもよい。ウレタン系ポリマーとしては、たとえばポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等が挙げられ、特にウレタンアクリレートが好適に使用できる。
【0066】
また、上記ポリマーは、たとえばスチレン系エラストマーやスチレン系樹脂等のスチレン系ポリマーであってもよい。スチレン系エラストマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS))、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS))、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン(SBSB)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン-スチレン(SBSBS)等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、たとえばポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
【0067】
また、上記ポリマーは、たとえばポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマー、ウレタン系アクリルポリマー、ポリエステル系アクリルポリマー、ポリエーテル系アクリルポリマー、ポリカーボネート系アクリルポリマー、エポキシ系アクリルポリマー、共役ジエン重合体系アクリルポリマーならびにその水素添加物、ウレタン系メタクリルポリマー、ポリエステル系メタクリルポリマー、ポリエーテル系メタクリルポリマー、ポリカーボネート系メタクリルポリマー、エポキシ系メタクリルポリマー、共役ジエン重合体系メタクリルポリマーならびにその水素添加物、ポリ塩化ビニル系樹脂、シリコーン系エラストマー、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレン(CR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等であってもよい。
【0068】
上述した例示的な実施形態は、以下に記載される態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0069】
[態様1]
シューズの一部を構成するソールであって、
アッパーが接続されるアッパー接続面を含み、着用者の足を支持するミッドソールを備え、
前記ミッドソールは、
前記着用者の足のMP関節の前方の部位を支持する第1支持部と、
前記第1支持部から前記ソールの足長方向における後方に向かって延びる形状を有し、前記着用者の足のMP関節の後方の部位を支持する第2支持部と、を含み、
前記第1支持部は、前記第2支持部の弾性率よりも低い弾性率を有し、
前記ミッドソールは、シューズセンター上に位置しかつ前記足長方向における当該ミッドソールの前端部から後方に向かって前記アッパー接続面の全長の15%の長さの位置に位置する第1部位と、前記シューズセンター上に位置しかつ前記足長方向における前記前端部から後方に向かって前記アッパー接続面の全長の35%の長さの位置に位置する第2部位と、前記シューズセンターと直交しかつ前記第1部位を通る直線と前記ソールの足幅方向における前記ミッドソールの内足側の端部との交点である第3部位と、前記シューズセンターと直交しかつ前記第2部位を通る直線と前記足幅方向における前記ミッドソールの内足側の端部との交点である第4部位と、で囲まれる母指球領域を有し、
前記第1支持部と前記第2支持部との境界部は、前記母指球領域を通る、ソール。
【0070】
一般に、ランニング動作等における蹴り出し時には、着用者の足のうちMP関節の前方の部位からソールに大きな荷重が作用する。このソールでは、第1支持部の弾性率が第2支持部の弾性率よりも低く、かつ、第1支持部と第2支持部との境界部が標準的な着用者の足の母指球と重なる領域である母指球領域を通るため、蹴り出し時において第1支持部が比較的大きく圧縮変形する。これにより、蹴り出し時に着用者の足首関節の角度が小さくなることが抑制されるため、着地時から蹴り出し時に至る間の足首関節の角度変化が小さくなる。よって、走行時等における足の負担が軽減される。
【0071】
[態様2]
前記境界部は、前記ソールの厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に前記足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有する、態様1に記載のソール。
【0072】
この態様では、蹴り出し時においてソール全体が前傾したときに境界部が着地面に対して垂直な方向に近づくため、蹴り出し時における第2支持部の前部の圧縮変形量が大きくなる。よって、第2支持部からの反発力が大きく確保される。このことは、蹴り出し角度の大きな着用者に特に顕著となる。
【0073】
[態様3]
前記境界部は、前記ソールの厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に前記足長方向における後方に向かうように傾斜する形状を有する、態様1に記載のソール。
【0074】
この態様では、ソールの着地面付近において境界部が着地ポイントに近づくため、着地時における衝撃緩衝性が高まる。
【0075】
[態様4]
前記境界部は、前記足長方向と前記ソールの厚み方向とを含む平面と平行な平面での断面において、少なくとも1つの変曲点又は頂点を含む形状を有する、態様1に記載のソール。
【0076】
この態様では、境界部の面積が確保されるため、第1支持部及び第2支持部が互いに離間することが抑制される。
【0077】
[態様5]
前記境界部は、
前記足幅方向における中央に形成された中央境界部と、
前記足幅方向における端部に形成された端部境界部と、を有し、
前記中央境界部は、前記足長方向と前記ソールの厚み方向とを含む平面と平行な平面での断面において、少なくとも1つの変曲点又は頂点を含む形状を有し、
前記端部境界部は、前記ソールの厚み方向における下方に向かうにしたがって次第に前記足長方向における前方に向かうように傾斜する形状を有する、態様1に記載のソール。
【0078】
この態様では、中央境界部において第1支持部及び第2支持部が互いに離間することが抑制され、端部境界部において、蹴り出し時における第2支持層の前部からの反発力が高まる。
【0079】
[態様6]
前記第1支持部及び前記第2支持部の上方又は下方に配置された緩衝層をさらに備え、
前記緩衝層は、前記境界部を跨ぐように前記足長方向に延びる形状を有する、態様1から5のいずれかに記載のソール。
【0080】
この態様では、着地時における緩衝性が向上し、また、緩衝層が境界部を跨くように配置されているため、境界部周辺における局所的な硬度変化を着用者が感じることが緩和される。
【0081】
[態様7]
前記緩衝層は、前記ソールの厚み方向に前記境界部と重なる重なり部を有し、
前記シューズセンターを通りかつ前記厚み方向と平行な平面での前記ソールの断面において、前記重なり部の厚みは、前記境界部の厚みよりも小さい、態様6に記載のソール。
【0082】
この態様では、足部直下の緩衝効果を高めるとともに、第1支持部の変形量を大きくすることができ、着地時から蹴り出し時に至る間における足首関節の角度変化を小さくする効果を高めることができる。
【0083】
[態様8]
前記第1支持部の曲げ剛性及び前記第2支持部の曲げ剛性よりも大きな曲げ剛性を有するプレートをさらに備え、
前記プレートは、前記第1支持部及び前記第2支持部の上面又は下面に接するように配置されているとともに、前記境界部を跨ぐように前記足長方向に延びる形状を有する、態様1から7のいずれかに記載のソール。
【0084】
この態様では、プレートによって着地時及び蹴り出し時における足部の安定性が向上し、また、プレートが境界部を跨いでいるため、境界部周辺における局所的な硬度変化を着用者が感じることが緩和される。
【0085】
[態様9]
前記プレートは、前記第1支持部及び前記第2支持部の上面に接するように配置されている、態様8に記載のソール。
【0086】
この態様では、特に蹴り出し時において、第1支持部及び第2支持部に作用する荷重が均一化される。
【0087】
[態様10]
前記第1支持部は、三次元メッシュ構造体からなり、
前記第2支持部は、樹脂発泡体からなる、態様1から9のいずれかに記載のソール。
【0088】
三次元メッシュ構造体は、樹脂発泡体に比べて占積率を容易に調整することができるため、この様態では、第1支持部の弾性率と第2支持部の弾性率との差を容易に設計することが可能となる。
【0089】
[態様11]
態様1から10のいずれかに記載のソールと、
前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備えるシューズ。
【0090】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 シューズ、10 ソール、20 アッパー、100 ミッドソール、100S アッパー接続面、110 第1支持部、115 境界部、115A 中央境界部、115a 上側面、115B 端部境界部、115b 中間面、115c 下側面、120 第2支持部、130 緩衝層、132 重なり部、200 アウトソール、300 プレート、R1 母指球領域、SC シューズセンター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12