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特開2024-361204値PAM(パルス振幅変調)信号の受信回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036120
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】4値PAM(パルス振幅変調)信号の受信回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/033 20060101AFI20240308BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20240308BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H04L7/033 100
H04L25/02 R
H04L25/49 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140856
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 晋一
【テーマコード(参考)】
5K029
5K047
【Fターム(参考)】
5K029HH08
5K029HH11
5K029HH14
5K047FF11
5K047GG24
5K047GG28
(57)【要約】
【課題】4値PAM信号を正確に受信可能な受信回路を提供する。
【解決手段】第1コンパレータCp1は、4値PAM信号を、シンボル00とシンボル01の境界に対応する第1しきい値Ref11と比較する。第2コンパレータCp2は、4値PAM信号を、シンボル01とシンボル10の境界に対応する第2しきい値Ref12と比較する。第3コンパレータCp3は、4値PAM信号を、シンボル10とシンボル11の境界に対応する第3しきい値Ref13と比較する。ラッチ群332は、第1コンパレータCp1~第3コンパレータCp3それぞれの出力を、4相クロックCK0~CK3の4個のエッジを利用してラッチする。ロジック回路334は、ラッチ群332の出力にもとづいて、4値PAM信号のシンボルを判定し、アップ信号UPおよびダウン信号DNを生成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4値PAM(Pulse Amplitude Modulation)信号の周波数の1/2倍の周波数を有する4相クロックを生成するとともに、アップ信号およびダウン信号に応答して、前記4相クロックの周波数が制御可能であるクロック発生器と、
前記4値PAM信号を、シンボル00とシンボル01の境界に対応する第1しきい値と比較する第1コンパレータと、
前記4値PAM信号を、シンボル01とシンボル10の境界に対応する第2しきい値と比較する第2コンパレータと、
前記4値PAM信号を、シンボル10とシンボル11の境界に対応する第3しきい値と比較する第3コンパレータと、
前記第1コンパレータ、前記第2コンパレータ、前記第3コンパレータそれぞれの出力を、前記4相クロックの4個のエッジを利用してラッチするラッチ群と、
前記ラッチ群の出力にもとづいて、前記4値PAM信号のシンボルを判定し、かつ前記アップ信号および前記ダウン信号を生成するロジック回路と、
を備え、
第iコンパレータ(i=1,2,…)の出力を、前記4相クロックの第j相(j=0,1,2,3)のエッジでラッチした値をQijと書くとき、
前記ロジック回路は、
Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(i-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q11が1のときアップ信号を生成し、Q11が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(i-d)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q11が1のときダウン信号を生成し、Q11が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(ii-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(ii-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(iii-u)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q31が1のときアップ信号を生成し、Q31が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iii-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q31が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、前記アップ信号を生成する、受信回路。
【請求項2】
前記ロジック回路は、さらに、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(i-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q13が1のときアップ信号を生成し、Q13が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(i-d)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q13が1のときダウン信号を生成し、Q13が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(ii-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q23が1のときアップ信号を生成し、Q23が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(ii-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q23が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(iii-u)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q33が1のときアップ信号を生成し、Q33が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iii-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q33が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、前記アップ信号を生成する、請求項1に記載の受信回路。
【請求項3】
前記ロジック回路は、
(iv-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iv-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、前記アップ信号を生成する、請求項1に記載の受信回路。
【請求項4】
前記ロジック回路は、
(iv-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q23が1のときアップ信号を生成し、Q23が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iv-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q23が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、前記アップ信号を生成する、請求項2に記載の受信回路。
【請求項5】
前記4値PAM信号を、前記第1しきい値と前記第2しきい値の中央の第4しきい値と比較する第4コンパレータと、
前記4値PAM信号を、前記第2しきい値と前記第3しきい値の中央の第5しきい値と比較する第5コンパレータと、
をさらに備え、
前記ラッチ群は、さらに、前記第4コンパレータ、前記第5コンパレータそれぞれの出力を、前記4相クロックの4個のエッジを利用してラッチし、
前記ロジック回路は、
Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(v-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q41が1のときアップ信号を生成し、Q41が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(v-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q41が1のときダウン信号を生成し、Q41が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(vi-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q51が1のときアップ信号を生成し、Q51が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(vi-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q51が1のときダウン信号を生成し、Q51が0のときに、前記アップ信号を生成する、請求項1または2に記載の受信回路。
【請求項6】
前記ロジック回路は、さらに、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
次のQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(v-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q43が1のときアップ信号を生成し、Q43が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(v-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q43が1のときダウン信号を生成し、Q43が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(vi-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q53が1のときアップ信号を生成し、Q53が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(vi-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q53が1のときダウン信号を生成し、Q53が0のときに、前記アップ信号を生成する、請求項5に記載の受信回路。
【請求項7】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1または2に記載の受信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、4値PAM信号の伝送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシリアルデータ伝送は、NRZ(Non Return to Zero)方式が主流であったが、より高い伝送レートが求められる用途では、PAM(Pulse Amplitude Modulation)4などの多値PAM方式が採用されている。
【0003】
高速シリアルデータ伝送では、クロック信号がデータ信号に埋め込まれており、受信側では、受信信号の取り込みと、その取込のためのサンプリングクロックの再生のために、位相比較器が用いられる。
【0004】
従来のNRZ伝送では、CDR回路において、アレキサンダー型の位相比較器が広く用いられている。アレキサンダー型の位相比較器は、受信信号と周波数が等しいフルレートの相補的なクロック信号のペアが利用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】2018 IEEE International Solid-State Circuits Conference - (ISSCC), 108-110 - February 2018, "6.4: A Fully Adaptive 19-to56Gb/s PAM4 Wireline Transceiver with Configurable ADC in 16nm FinFET"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アレキサンダー型の位相比較器は、カスケードに接続される2段のフリップフロップを含む。そのため、フリップフロップの動作周波数が、受信可能な信号の周波数を制約する。また、アップ信号とダウン信号を発生するために使用される複数のデータが、共通のクロック信号のエッジのタイミングで一斉に変化するため、アップ信号とダウン信号にグリッジが発生しやすいという問題がある。さらに、2段のフリップフロップがカスケードに接続されるため、遅延が大きく、アップ信号/ダウン信号にもとづくクロック信号の周波数制御の追従性が低下するという問題がある。
【0007】
本開示は係る状況に応じてなされたものであり、高速伝送に適した受信回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある態様は、4値PAM(Pulse Amplitude Modulation)信号の受信回路に関する。受信回路は、4値PAM信号の周波数の1/2倍の周波数を有する4相クロックを生成するとともに、アップ信号およびダウン信号に応答して、4相クロックの周波数が制御可能であるクロック発生器と、4値PAM信号を、シンボル00とシンボル01の境界に対応する第1しきい値と比較する第1コンパレータと、4値PAM信号を、シンボル01とシンボル10の境界に対応する第2しきい値と比較する第2コンパレータと、4値PAM信号を、シンボル10とシンボル11の境界に対応する第3しきい値と比較する第3コンパレータと、第1コンパレータ、第2コンパレータ、第3コンパレータそれぞれの出力を、4相クロックの4個のエッジを利用してラッチするラッチ群と、ラッチ群の出力にもとづいて、4値PAM信号のシンボルを判定し、かつアップ信号およびダウン信号を生成するロジック回路と、を備える。第iコンパレータ(i=1,2,…)の出力を、4相クロックの第j相(j=0,1,2,3)のエッジでラッチした値をQijと書くとする。ロジック回路は、Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定する。ロジック回路は、(i-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q11が1のときアップ信号を生成し、Q11が0のときに、ダウン信号を生成し、(i-d)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q11が1のときダウン信号を生成し、Q11が0のときに、アップ信号を生成する。ロジック回路は、(ii-u)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、ダウン信号を生成し、(ii-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、アップ信号を生成する。ロジック回路は、(iii-u)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q31が1のときアップ信号を生成し、Q31が0のときに、ダウン信号を生成し、(iii-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q31が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、アップ信号を生成する。
【0009】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示のある態様によれば、高速な4値PAM信号を正確に受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るN値PAM(PAM-N)信号の伝送システムのブロック図である。
図2図2は、A/Dコンバータおよびその周辺のブロック図である。
図3図3は、PAM4信号と基準レベルの関係を示すレベルダイアグラムである。
図4図4は、PAM4シグナリングで発生する遷移を示す波形図である。
図5図5は、PAM4信号のアイパターンを示す図である。
図6図6は、実施形態に係るPAM位相比較器およびその周辺回路のブロック図である。
図7図7は、4相クロックCK0~CK3と、ラッチ群の出力Qijの関係を示すタイムチャートである。
図8図8は、シンボル00と01の間の遷移が発生したときの動作の一例を示す波形図である。
図9図9は、シンボル00と01の間の遷移が発生したときの動作の別の一例を示す波形図である。
図10図10は、シンボル00と11の間の遷移が発生したときの動作の一例を示す波形図である。
図11図11は、シンボル00と11の間の遷移が発生したときの動作の別の一例を示す波形図である。
図12図12は、シンボル00と10の間の遷移が発生したときの動作の一例を示す波形図である。
図13図13は、シンボル00と10の間の遷移が発生したときの動作の別の一例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0013】
一実施形態に係る受信回路は、4値PAM(Pulse Amplitude Modulation)信号の周波数の1/2倍の周波数を有する4相クロックを生成するとともに、アップ信号およびダウン信号に応答して、4相クロックの周波数が制御可能であるクロック発生器と、4値PAM信号を、シンボル00とシンボル01の境界に対応する第1しきい値と比較する第1コンパレータと、4値PAM信号を、シンボル01とシンボル10の境界に対応する第2しきい値と比較する第2コンパレータと、4値PAM信号を、シンボル10とシンボル11の境界に対応する第3しきい値と比較する第3コンパレータと、第1コンパレータ、第2コンパレータ、第3コンパレータそれぞれの出力を、4相クロックの4個のエッジを利用してラッチするラッチ群と、ラッチ群の出力にもとづいて、4値PAM信号のシンボルを判定し、かつアップ信号およびダウン信号を生成するロジック回路と、を備える。第iコンパレータ(i=1,2,…)の出力を、4相クロックの第j相(j=0,1,2,3)のエッジでラッチした値をQijと書くとする。ロジック回路は、Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定し、(i-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q11が1のときアップ信号を生成し、Q11が0のときに、ダウン信号を生成し、(i-d)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q11が1のときダウン信号を生成し、Q11が0のときに、アップ信号を生成する。ロジック回路は、(ii-u)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、ダウン信号を生成し、(ii-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、アップ信号を生成する。ロジック回路は、(iii-u)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q31が1のときアップ信号を生成し、Q31が0のときに、ダウン信号を生成し、(iii-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q31が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、アップ信号を生成する。
【0014】
この構成では、遷移前シンボルと遷移後シンボルの組み合わせにもとづいて、ラッチ群の中から、位相比較のために参照すべきラッチを選択し、そのラッチの出力の値にもとづいて、アップ信号/ダウン信号を生成する。具体的には、信号レベルが隣接する2つのシンボル間で遷移が発生した場合に、2つのシンボルの境界に対応するコンパレータの出力を参照し、アップ信号およびダウン信号を生成する。
【0015】
この方式では、ハーフレートのクロックを用いているため、フルレート動作するアレクサンダー型の位相比較器に比べて、動作周波数を高めることができる。また、2段のフリップフロップをカスケードに接続したハーフレートの位相比較器に比べて、遅延が小さいため、4相クロックの位相制御の追従性を高めることができる。また、アレクサンダー型ではアップ信号、ダウン信号の生成のために参照する3つのデータが同じタイミングで遷移するため、アップ信号、ダウン信号にグリッジが発生しやすいのに対して、上記構成では、3つのデータのうち、2つは確定した状態で、アップ信号、ダウン信号を生成できるため、グリッジを抑制できる。
【0016】
一実施形態において、ロジック回路は、さらに、Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定してもよい。ロジック回路は、(i-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q13が1のときアップ信号を生成し、Q13が0のときに、ダウン信号を生成し、(i-d)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q13が1のときダウン信号を生成し、Q13が0のときに、アップ信号を生成してもよい。ロジック回路は、(ii-u)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q23が1のときアップ信号を生成し、Q23が0のときに、ダウン信号を生成し、(ii-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q23が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、アップ信号を生成してもよい。ロジック回路は、(iii-u)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q33が1のときアップ信号を生成し、Q33が0のときに、ダウン信号を生成し、(iii-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q33が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、アップ信号を生成してもよい。この構成では、奇数番目の遷移と偶数番目の遷移についてインタリーブ動作を行うことができる。
【0017】
一実施形態において、ロジック回路は、(iv-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、ダウン信号を生成し、(iv-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、アップ信号を生成してもよい。
【0018】
信号レベルが3つ離れている2つのシンボル間で遷移が発生した場合に、2つの信号レベルの中央に対応する第2コンパレータの出力を参照することで、アップ信号およびダウン信号を生成することができる。
【0019】
一実施形態において、ロジック回路は、(iv-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q23が1のときアップ信号を生成し、Q23が0のときに、ダウン信号を生成し、(iv-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q23が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、アップ信号を生成してもよい。
【0020】
一実施形態において、受信回路は、4値PAM信号を、第1しきい値と第2しきい値の中央の第4しきい値と比較する第4コンパレータと、4値PAM信号を、第2しきい値と第3しきい値の中央の第5しきい値と比較する第5コンパレータと、をさらに備えてもよい。ラッチ群は、さらに、第4コンパレータ、第5コンパレータそれぞれの出力を、4相クロックの4個のエッジを利用してラッチしてもよい。ロジック回路は、Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定してもよい。ロジック回路は、(v-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q41が1のときアップ信号を生成し、Q41が0のときに、ダウン信号を生成してもよい。ロジック回路は、(v-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q41が1のときダウン信号を生成し、Q41が0のときに、アップ信号を生成してもよい。ロジック回路は、(vi-u)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q51が1のときアップ信号を生成し、Q51が0のときに、ダウン信号を生成し、(vi-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q51が1のときダウン信号を生成し、Q51が0のときに、アップ信号を生成してもよい。
【0021】
信号レベルが2つ離れている2つのシンボル間で遷移が発生した場合には、第4コンパレータまたは第5コンパレータのうち、2つの信号レベルの中央に対応するの出力を参照し、アップ信号およびダウン信号を生成することができる。
【0022】
一実施形態において、ロジック回路は、さらに、Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、次のQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定してもよい。ロジック回路は、(v-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q43が1のときアップ信号を生成し、Q43が0のときに、ダウン信号を生成し、(v-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q43が1のときダウン信号を生成し、Q43が0のときに、アップ信号を生成してもよい。ロジック回路は、(vi-u)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q53が1のときアップ信号を生成し、Q53が0のときに、ダウン信号を生成し、(vi-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q53が1のときダウン信号を生成し、Q53が0のときに、アップ信号を生成してもよい。
【0023】
一実施形態において、受信回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0024】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0026】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0028】
図1は、実施形態に係るN値PAM(PAM-N)信号の伝送システム100のブロック図である。伝送システム100は、送信回路200、受信回路(デシリアライザ)300を備える。送信回路200と受信回路300の間は、伝送ケーブル102を介して接続される。
【0029】
(送信回路)
送信回路200は、図示しない外部回路から、受信回路300に送信すべきデータS1を受信し、N値のPAM信号S2に変換して受信回路300に送信するシリアライザIC(Integrated Circuit)である。パラレルデータS1の種類は限定されないが、たとえば大容量を高速伝送する必要がある画像データなどが例示される。
【0030】
(受信回路)
受信回路300は、送信回路200からPAM-N信号S2を受信し、受信したデータS3を、図示しない別の外部回路に出力するデシリアライザICである。送信回路200と受信回路300の間の信号伝送は、差動信号が利用される。
【0031】
ここではPAM-N信号として、4値(N=4)のPAM(PAM4)を例とするが、PAM信号の階調数は限定されず、8値や16値、64値にも本開示は適用可能である。
【0032】
はじめに送信回路200の構成を説明する。PAMエンコーダ210は、データS1aをPAM形式のデータS1bに変換する。PAMエンコーダ210において、データS1bにクロック信号が埋め込まれる。PAMエンコーダ210におけるエンコード方式は特に限定されないが、8b10b、10b12b、64b66bなどのDCバランスエンコード方式を用いることができる。
【0033】
P/S変換器220は、PAMエンコーダ210が生成したデータS1bをシリアルデータS1cに変換する。PAMドライバ230は、シリアルデータS1cを、アナログのPAM-N信号S2に変換して出力する。
【0034】
続いて受信回路300の構成を説明する。受信回路300は、波形整形回路310、A/Dコンバータ320、PAM位相比較器330、クロックリカバリ回路340、S/P変換器350、PAMデコーダ360を備える。
【0035】
PAM-N信号S2が伝送ケーブル102を伝送する間に、PAM-N信号S2の波形は歪む。この波形歪みを改善するために波形整形回路310が設けられる。波形歪みは、伝送ロスによる減衰や、伝送ケーブル102のローパス作用による波形歪みなどが例示される。波形整形回路310は、理想的なPAM信号に近づくように、PAM-N信号S2を波形整形する。
【0036】
波形整形回路310は、PAM-N信号S2を可変ゲインで増幅し、PAM-N信号S2の直流(DC)振幅を調節するVGA(Variable Gain Amplification)機能と、PAM-N信号S2の周波数特性を補正するイコライジング(EQ)機能を備えてもよい。
【0037】
A/Dコンバータ320は、波形整形回路310によって波形整形後のPAM-N信号S2aを量子化して、比較信号S2bに変換する。
【0038】
図2は、A/Dコンバータ320およびその周辺のブロック図である。A/Dコンバータ320は、シンボル判定部322と、振幅判定部324を含む。
【0039】
シンボル判定部322は、スライサと呼ばれる低い分解能を有するフラッシュ型のA/Dコンバータであり、PAM-N信号S2aを、複数の基準レベル(しきい値)Ref11,Ref12,Ref13と比較する。N値のPAM信号に対して、基準レベルの個数は(N-1)である。
【0040】
具体的には、シンボル判定部322は、複数のレベル判定用コンパレータ(以下、単にコンパレータという)COMP11~COMP13を含む。各コンパレータCOMP1i(i=1,2,3)は、PAM-N信号S2aを、対応する基準レベルRef2iと比較する。なおPAM4信号は実際には差動信号であるから、コンパレータはCOMP11~COMP13は差動コンパレータであり、差動PAM4信号の差動成分を基準レベルRef11~Ref13と比較し、比較結果を示すビットb1~b3を出力する。
【0041】
図3は、PAM4信号と基準レベルの関係を示すレベルダイアグラムである。図3には、PAM4信号の差動成分(もしくはP成分)Dが示される。シンボルと信号の関係は以下の通りである。
D<Ref11 …シンボル00
Ref11<D<Ref12 …シンボル01
Ref12<D<Ref13 …シンボル10
Ref13<D …シンボル11
【0042】
複数のコンパレータCOMP11~COMP13の出力は、COMP11の出力b1を最下位ビット、COMP13の出力b3を最上位ビットとするサーモメータコードTCと把握できる。コンパレータCOMP1iは、D>Ref1iのとき1、D<Ref1iのとき0を出力する場合の、サーモメータコードTCとシンボルの関係は以下の通りである。
TC=[000] …シンボル00
TC=[001] …シンボル01
TC=[011] …シンボル10
TC=[111] …シンボル11
【0043】
このサーモメータコードTCが、比較信号S2bとしてPAM位相比較器330に供給される。
【0044】
PAM位相比較器330は、比較信号S2b(サーモメータコードTC)を受け、クロックリカバリ回路(クロック発生器)340が生成するクロック信号CLK(データストローブ信号)と同期して、比較信号S2bを構成する複数のビットb1~b3をラッチする。PAM位相比較器330は、クロック信号CLKでラッチした比較信号S2bを、サーモメータコードから2ビットのバイナリコード(シンボルデータ)S2cに変換する。
【0045】
図1に戻る。S/P変換器350は、バイナリコードS2cを、パラレルデータS2eに変換する。PAMデコーダ360は、送信回路200のPAMエンコーダ210と逆処理を行い、DCバランスエンコードされたパラレルデータS2eをデコードし、データS3を出力する。
【0046】
再び図2を参照する。振幅判定部324は、M個の中間レベル判定コンパレータCOMP21~COMP2Mを含む。ただし、2≦M≦N-2であり、この例ではM=2となっている。
【0047】
中間レベル判定コンパレータCOMP21は、PAM-N信号S2aの差動成分を、第1中間基準値Ref21と比較し、比較結果を示す信号c1を出力する。同様に、中間レベル判定コンパレータCOMP22は、PAM-N信号S2aの差動成分を、第2中間基準値Ref22と比較し、比較結果を示す信号c2を出力する。第1中間基準値Ref21は、理想状態において、PAM-N信号S2がとる中間レベルのひとつであり、この例では、図3に示すようにシンボル01に対応する信号レベルである。第2中間基準値Ref22も同様であり、シンボル10に対応する信号レベルである。第1中間基準値Ref21は、Ref11とRef12の中央に定められ、第2中間基準値Ref22は、Ref12とRef13の中央に定められる。
【0048】
振幅判定部324において生成される2つの信号c1,c2は、2ビットの比較信号S2dとしてPAM位相比較器330に供給される。この2ビットの比較信号S2dは、比較信号S2bとともに、クロックリカバリ回路340が生成するクロック信号CLKの周波数あるいは位相の調節に用いられる。
【0049】
図4は、PAM4シグナリングで発生する遷移を示す波形図である。PAM4シグナリングでは、12通りのレベル遷移が発生する。
【0050】
図5は、PAM4信号のアイパターンを示す図である。図5には、クロックリカバリ回路340が生成するクロック信号CLKが示される。図5を参照して、PAM位相比較器330およびクロックリカバリ回路340の動作を説明する。
【0051】
この例では、クロック信号CLKの一方のエッジ(ポジティブエッジ)がデータストローブに使用される。PAM位相比較器330は、クロック信号CLKのポジティブエッジのタイミングで、比較信号S2bをラッチし、2ビットのバイナリコード(シンボルデータ)S2cを生成する。
【0052】
またPAM位相比較器330は、2ビットの比較信号S2d(c1,c2)を、クロック信号CLKのポジティブエッジ(データストローブタイミング)においてラッチし、信号S2fを生成する。この信号S2fは、S/P変換器350によりパラレルデータS2gに変換される。
【0053】
また、クロック信号CLKの他方のエッジ(ネガティブエッジ)が、クロック信号CLKのタイミング制御および/または周波数制御に使用される。12通りのいずれかの遷移が発生すると、PAM4信号は、複数の基準レベルRef11,Ref21,Ref12,Ref22,Ref13のいずれかとクロスするため、複数の比較信号S2bおよびS2d(図2のb1~b3,c1,c2)のいずれかが変化する。
【0054】
PAM位相比較器330は、複数の比較信号b1~b3,c1,c2のひとつが変化するタイミングと、クロック信号CLKのネガティブエッジのタイミングを比較し(位相比較)、2つのタイミングの前後関係にもとづいて、クロックリカバリ回路340の周波数あるいは位相を調節する。この調節により、クロック信号CLKの周波数および位相が、最適化される。
【0055】
続いて、PAM位相比較器330の構成を説明する。
【0056】
図6は、実施形態に係るPAM位相比較器330およびその周辺回路のブロック図である。
【0057】
クロックリカバリ回路340は、PAM4信号S2の周波数の1/2倍の周波数(ハーフレート)を有する4相クロックCK0~CK4を生成するクロック発生器であり、PAM位相比較器330が生成するアップ信号UPおよびダウン信号DNに応答して、4相クロックCK0~CK3の周波数が制御可能である。4相クロックCK0~CK3の周波数は、アップ信号UPに応答して上昇し、ダウン信号DNに応答して下降する。
【0058】
A/Dコンバータ320は、上述のように、5個のコンパレータCOMP11、COMP12,COMP13,COMP21,COMP22を含む。COMP11,COMP12、COMP13を、第1コンパレータCp1、第2コンパレータCp2、第3コンパレータCp3と称する。またCOMP21、COMP22を、第4コンパレータCp4、第5コンパレータCp5と称する。また、各コンパレータCp1~Cp5の出力を、D1~D5と表記する。
【0059】
第1コンパレータCp1は、PAM4信号S2aを、シンボル00とシンボル01の境界に対応する第1しきい値Ref11と比較する。第2コンパレータCp2は、PAM4信号S2aを、シンボル01とシンボル10の境界に対応する第2しきい値Ref12と比較する。第3コンパレータCp3は、PAM4信号S2aを、シンボル10とシンボル11の境界に対応する第3しきい値Ref13と比較する。
【0060】
第4コンパレータCp4は、PAM4信号S2aを、第1しきい値Ref11と第2しきい値Ref12の中央の第4しきい値Ref21と比較する。第5コンパレータCp5は、PAM4信号S2aを、第2しきい値Ref12と第3しきい値Ref13の中央の第5しきい値Ref22と比較する。
【0061】
PAM位相比較器330は、ラッチ群332およびロジック回路334を備える。
【0062】
ラッチ群332は、第1コンパレータCp1、第2コンパレータCp2、第3コンパレータCp3それぞれの出力D1,D2,D3を、4相クロックCK0,CK1,CK2,CK3のエッジを利用してラッチする。
【0063】
またラッチ群332は、第4コンパレータCp4、第5コンパレータCp5それぞれの出力D4,D5を、4相クロックCK0,CK1,CK2,CK3のエッジを利用してラッチする。
【0064】
第iコンパレータ(i=1,2,…)の出力Diを、4相クロックの第j相(j=0,1,2,3)CKjのエッジでラッチした値をQijと表記する。
【0065】
ロジック回路334は、ラッチ群332の出力にもとづいて、PAM4信号のシンボルを判定する。さらにロジック回路334は、ラッチ群332の出力にもとづいた信号に対して、クロックCK0,CK2のハイ区間をもとにした2つのマスク信号でタイミング調節することにより、アップ信号UPおよびダウン信号DNを生成する。
【0066】
図7は、4相クロックCK0~CK3と、ラッチ群332の出力Qijの関係を示すタイムチャートである。N-1,N,N+1,N+2は、PAM4信号のサイクルを表す。
【0067】
奇数番目のサイクルN-1,N+1,…のコンパレータCpiの出力Diは、第0相クロックCK0によってラッチされ、偶数番目のサイクルN,N+2,…のコンパレータCpiの出力Diは、第2相クロックCK2によってラッチされる。
【0068】
また第1相クロックCK1、第3相クロックCK3によって、サイクルの切り替わりのタイミングにおけるコンパレータCpiの出力Diが、エッジデータEiとしてラッチされる。
【0069】
続いてロジック回路334によるアップ信号UP、ダウン信号DNの生成について説明する。
【0070】
ロジック回路334は、Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定する。またQ12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定する。
【0071】
ロジック回路334は、信号レベルが異なる2つのシンボル間の遷移が発生すると、遷移前後の2つのシンボルの信号レベルの中央に基準レベルをもつコンパレータの出力を参照して、このコンパレータの出力をラッチした値にもとづいて、アップ信号UP,ダウン信号DNを生成する。具体的には、信号レベルが異なる2つのシンボル間で遷移が発生した場合に、第1相クロックCK1または第3相クロックCK3のエッジのタイミングにおいて、PAM4信号が、2つの信号レベルの中点を通過しているか否かに応じて、アップ信号UP,ダウン信号DNを発生する。
【0072】
(A) はじめに、信号レベルが隣接する2つのシンボル間の遷移を説明する。信号レベルが隣接する2つのシンボル間の遷移が発生した場合、それらの2つのシンボルの境界に対応するコンパレータの出力にもとづくラッチデータが参照される。
【0073】
(1)00と01間の遷移が生じた場合
この場合、00と01の境界Ref11に対応するコンパレータCp1に対応する値Q1jにもとづいて、アップ信号UP,ダウン信号DNが生成される。
【0074】
(i-u)ロジック回路334は、遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが01である場合、つまり信号レベルが上昇する遷移が発生した場合、Q11が1のときアップ信号UPを生成し、Q11が0のときに、ダウン信号DNを生成する。
【0075】
また(i-d)ロジック回路334は、遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが00である場合、つまり信号レベルが下降する遷移が発生した場合、Q11が1のときダウン信号DNを生成し、Q11が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0076】
(2)01と10間の遷移が生じた場合
この場合、01と10の境界Ref12に対応するコンパレータCp2に対応する値Q2jにもとづいて、アップ信号UP,ダウン信号DNが生成される。
【0077】
ロジック回路334は、(ii-u)遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q21が1のときアップ信号UPを生成し、Q21が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(ii-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが01である場合には、Q21が1のときダウン信号DNを生成し、Q21が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0078】
(3)10と11間の遷移が生じた場合
この場合、10と11の境界Ref13に対応するコンパレータCp3に対応する値Q3jにもとづいて、アップ信号UP,ダウン信号DNが生成される。
【0079】
ロジック回路334は、(iii-u)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q31が1のときアップ信号UPを生成し、Q31が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(iii-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが10である場合には、Q31が1のときダウン信号DNを生成し、Q21が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0080】
ロジック回路334は、インタリーブ動作を行う。ロジック回路334は、Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定する。
【0081】
(i-u)ロジック回路334は、Q12、Q22,Q32にもとづく遷移前シンボルが00であり、次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづく遷移後シンボルが01である場合に、Q13が1のときアップ信号UPを生成し、Q13が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に(i-d)ロジック回路334は、遷移前シンボルが01であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q13が1のときダウン信号DNを生成し、Q13が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0082】
(ii-u)ロジック回路334は、Q12、Q22,Q32にもとづく遷移前シンボルが01であり、次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづく遷移後シンボルが10である場合に、Q23が1のときアップ信号UPを生成し、Q23が0のときに、前記ダウン信号DNを生成する。反対にロジック回路334は、(ii-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q23が1のときダウン信号DNを生成し、Q23が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0083】
(iii-u)ロジック回路334は、Q12、Q22,Q32にもとづく遷移前シンボルが10であり、次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづく遷移後シンボルが11である場合に、Q33が1のときアップ信号UPを生成し、Q33が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、ロジック回路334は、(iii-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが10である場合に、Q33が1のときダウン信号DNを生成し、Q23が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0084】
図8は、シンボル00と01の間の遷移が発生したときの動作の一例を示す波形図である。クロックCK2のエッジのタイミングで、シンボルが01と確定すると、シンボル00から01への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef11に対応するコンパレータCp1の出力D1をクロックCK1のエッジでラッチした値Q11が参照される。この例ではQ11=1であり、クロックCK2のハイ区間でマスクすることでアップ信号UP1が発生する。
【0085】
またクロックCK0のエッジのタイミングで、シンボルが00と確定すると、01から00への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef11に対応するコンパレータCp1の出力D1をクロックCK3のエッジでラッチした値Q13が参照される。この例ではQ13=0であり、クロックCK0のハイ区間でマスクすることで、アップ信号UP3が発生する。
【0086】
図9は、シンボル00と01の間の遷移が発生したときの動作の別の一例を示す波形図である。クロックCK2のエッジのタイミングで、シンボルが01と確定すると、シンボル00から01への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef11に対応するコンパレータCp1の出力D1をクロックCK1のエッジでラッチした値Q11が参照される。この例ではQ11=0であり、クロックCK2のハイ区間でマスクすることでダウン信号DN1が発生する。
【0087】
またクロックCK0のエッジのタイミングで、シンボルが00と確定すると、01から00への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef11に対応するコンパレータCp1の出力D1をクロックCK3のエッジでラッチした値Q13が参照される。この例ではQ13=1であり、クロックCK0のハイ区間でマスクすることで、ダウン信号DN3が発生する。
【0088】
(B) 次に、信号レベルが3つ異なる2つのシンボル00と11の間の遷移を説明する。この場合、2つのシンボルの信号レベルの中央に基準レベルRef12にもつ第2コンパレータCp2に対応する値Q2jにもとづいて、アップ信号UP、ダウン信号DNが生成される。
【0089】
ロジック回路334は、(iv-u)遷移前シンボルが00であり、遷移後シンボルが11である場合に、Q21が1のときアップ信号UPを生成し、Q21が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(iv-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q21が1のときダウン信号DNを生成し、Q21が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0090】
ロジック回路334は、Q12、Q22,Q32にもとづく遷移前シンボルが00であり、次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづく遷移後シンボルが11である場合に、Q23が1のときアップ信号UPを生成し、Q23が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(iv-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q23が1のときダウン信号DNを生成し、Q23が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0091】
図10は、シンボル00と11の間の遷移が発生したときの動作の一例を示す波形図である。シンボル00と11の間の遷移が発生する場合、基準レベルRef12に対応するコンパレータCp2の出力D2にもとづく値Q21,Q23が参照される。
【0092】
クロックCK2のエッジのタイミングで、シンボルが11と確定すると、シンボル00から11への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef12に対応するコンパレータCp2の出力D2をクロックCK1のエッジでラッチした値Q21が参照される。この例ではQ21=1であり、クロックCK2のハイ区間でマスクすることでアップ信号UP1が発生する。
【0093】
またクロックCK0のエッジのタイミングで、シンボルが00と確定すると、11から00への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef12に対応するコンパレータCp2の出力D2をクロックCK3のエッジでラッチした値Q23が参照される。この例ではQ23=0であり、クロックCK0のハイ区間でマスクすることで、アップ信号UP3が発生する。
【0094】
図11は、シンボル00と11の間の遷移が発生したときの動作の別の一例を示す波形図である。
【0095】
クロックCK2のエッジのタイミングで、シンボルが11と確定すると、シンボル00から11への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef12に対応するコンパレータCp2の出力D2をクロックCK1のエッジでラッチした値Q21が参照される。この例ではQ21=0であり、クロックCK2のハイ区間でマスクすることでダウン信号DN1が発生する。
【0096】
またクロックCK0のエッジのタイミングで、シンボルが00と確定すると、11から00への遷移が発生したと判定される。この場合、基準レベルRef12に対応するコンパレータCp2の出力D2をクロックCK3のエッジでラッチした値Q23が参照される。この例ではQ23=1であり、クロックCK0のハイ区間でマスクすることで、ダウン信号DN3が発生する。
【0097】
(C) 次に、信号レベルが2つ異なる2つのシンボルの間の遷移を説明する。この場合、第4コンパレータCp4、第5コンパレータCp5のうち、遷移前後の2つのシンボルの信号レベルの中央を基準レベルにもつコンパレータに対応する値Q4j、Q5jにもとづいて、アップ信号UP、ダウン信号DNが生成される。
【0098】
(1)00と10間の遷移が生じた場合
ロジック回路334は、(v-u)Q10、Q20,Q30にもとづく遷移前シンボルが00であり、Q12、Q22,Q32にもとづく遷移後シンボルが10である場合に、Q41が1のときアップ信号UPを生成し、Q41が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対にロジック回路334は、(v-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q41が1のときダウン信号DNを生成し、Q41が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0099】
ロジック回路334は、(v-u)Q12、Q22,Q32にもとづく遷移前シンボルが00であり、次のQ10、Q20,Q30にもとづく遷移後シンボルが10である場合に、Q43が1のときアップ信号UPを生成し、Q43が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(v-d)遷移前シンボルが10であり、遷移後シンボルが00である場合に、Q43が1のときダウン信号DNを生成し、Q43が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0100】
図12は、シンボル00と10の間の遷移が発生したときの動作の一例を示す波形図である。シンボル00と10の間の遷移が発生する場合、基準レベルRef21に対応するコンパレータCp4の出力D4にもとづく値Q41,Q43が参照される。この例では、Q41=1に応答してアップ信号UP1が生成され、Q43=0に応答してアップ信号UP3が生成される。
【0101】
図13は、シンボル00と10の間の遷移が発生したときの動作の別の一例を示す波形図である。この例では、Q41=0に応答してダウン信号DN1が生成され、Q43=0に応答してダウン信号DN3が生成される。
【0102】
(2)01と11間の遷移が生じた場合
ロジック回路334は、(vi-u)Q10、Q20,Q30にもとづく遷移前シンボルが01であり、Q12、Q22,Q32にもとづく遷移後シンボルが11である場合に、Q51が1のときアップ信号UPを生成し、Q51が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(vi-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q51が1のときダウン信号DNを生成し、Q51が0のときに、アップ信号UPを生成する。
【0103】
ロジック回路334は、(vi-u)Q12、Q22,Q32にもとづく遷移前シンボルが01であり、次のQ10、Q20,Q30にもとづく遷移後シンボルが11である場合に、Q53が1のときアップ信号UPを生成し、Q53が0のときに、ダウン信号DNを生成する。反対に、(vi-d)遷移前シンボルが11であり、遷移後シンボルが01である場合に、Q53が1のときダウン信号DNを生成し、Q53が0のときに、アップ信号UPを生成してもよい。
【0104】
以上がロジック回路334の動作である。このロジック回路334によれば、信号レベルが異なる2つのシンボル間で遷移が発生した場合に、第1相クロックCK1または第3相クロックCK3のエッジのタイミングにおいて、PAM4信号が、2つの信号レベルの中点を通過し終わっている場合には、アップ信号UPを生成し、PAM4信号が、中点を通過する前である場合には、ダウン信号DNを生成する。これにより、4相クロックCK0~CK3の周波数および位相が最適化される。
【0105】
実施形態に係るPAM位相比較器330の利点を説明する。
【0106】
この方式では、ハーフレートのクロックを用いているため、フルレート動作するアレクサンダー型の位相比較器に比べて、動作周波数を高めることができる。
【0107】
また、2段のフリップフロップをカスケードに接続したハーフレートの位相比較器に比べて、遅延が小さいため、4相クロックの位相制御の追従性を高めることができる。
【0108】
また、アレクサンダー型ではアップ信号UP、ダウン信号DNの生成のために参照する3つのデータが同じタイミングで遷移するため、アップ信号UP、ダウン信号DNにグリッジが発生しやすい。これに対して、実施形態に係るPAM位相比較器330では、3つのデータのうち、2つは確定した状態で、アップ信号UP、ダウン信号DNを生成できるため、グリッジを抑制できる。
【0109】
(変形例)
実施形態では、アップ信号UP、ダウン信号DNの生成に、第4コンパレータCp4、第5コンパレータCp5の遷移を利用したがその限りでない。信号レベルが隣接する遷移が発生した場合だけ、4相クロック信号の位相制御を行う場合、第4コンパレータCp4,第5コンパレータCp5の出力は参照しなくてもよい。
【0110】
(付記)
本明細書に開示される技術は、一側面において以下のように把握できる。
【0111】
(項目1)
4値PAM(Pulse Amplitude Modulation)信号の周波数の1/2倍の周波数を有する4相クロックを生成するとともに、アップ信号およびダウン信号に応答して、前記4相クロックの周波数が制御可能であるクロック発生器と、
前記4値PAM信号を、シンボル00とシンボル01の境界に対応する第1しきい値と比較する第1コンパレータと、
前記4値PAM信号を、シンボル01とシンボル10の境界に対応する第2しきい値と比較する第2コンパレータと、
前記4値PAM信号を、シンボル10とシンボル11の境界に対応する第3しきい値と比較する第3コンパレータと、
前記第1コンパレータ、前記第2コンパレータ、前記第3コンパレータそれぞれの出力を、前記4相クロックの4個のエッジを利用してラッチするラッチ群と、
前記ラッチ群の出力にもとづいて、前記4値PAM信号のシンボルを判定し、かつ前記アップ信号および前記ダウン信号を生成するロジック回路と、
を備え、
第iコンパレータ(i=1,2,…)の出力を、前記4相クロックの第j相(j=0,1,2,3)のエッジでラッチした値をQijと書くとき、
前記ロジック回路は、
Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(i-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q11が1のときアップ信号を生成し、Q11が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(i-d)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q11が1のときダウン信号を生成し、Q11が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(ii-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(ii-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(iii-u)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q31が1のときアップ信号を生成し、Q31が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iii-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q31が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、前記アップ信号を生成する、受信回路。
【0112】
(項目2)
前記ロジック回路は、さらに、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
次のサイクルのQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(i-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q13が1のときアップ信号を生成し、Q13が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(i-d)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q13が1のときダウン信号を生成し、Q13が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(ii-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q23が1のときアップ信号を生成し、Q23が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(ii-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q23が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(iii-u)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q33が1のときアップ信号を生成し、Q33が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iii-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q33が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、前記アップ信号を生成する、項目1に記載の受信回路。
【0113】
(項目3)
前記ロジック回路は、
(iv-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q21が1のときアップ信号を生成し、Q21が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iv-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q21が1のときダウン信号を生成し、Q21が0のときに、前記アップ信号を生成する、項目1に記載の受信回路。
【0114】
(項目4)
前記ロジック回路は、
(iv-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q23が1のときアップ信号を生成し、Q23が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(iv-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q23が1のときダウン信号を生成し、Q23が0のときに、前記アップ信号を生成する、項目2に記載の受信回路。
【0115】
(項目5)
前記4値PAM信号を、前記第1しきい値と前記第2しきい値の中央の第4しきい値と比較する第4コンパレータと、
前記4値PAM信号を、前記第2しきい値と前記第3しきい値の中央の第5しきい値と比較する第5コンパレータと、
をさらに備え、
前記ラッチ群は、さらに、前記第4コンパレータ、前記第5コンパレータそれぞれの出力を、前記4相クロックの4個のエッジを利用してラッチし、
前記ロジック回路は、
Q10、Q20,Q30にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(v-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q41が1のときアップ信号を生成し、Q41が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(v-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q41が1のときダウン信号を生成し、Q41が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(vi-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q51が1のときアップ信号を生成し、Q51が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(vi-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q51が1のときダウン信号を生成し、Q51が0のときに、前記アップ信号を生成する、項目1または2に記載の受信回路。
【0116】
(項目6)
前記ロジック回路は、さらに、
Q12、Q22,Q32にもとづいて遷移前シンボルを判定し、
次のQ10、Q20,Q30にもとづいて遷移後シンボルを判定し、
(v-u)前記遷移前シンボルが00であり、前記遷移後シンボルが10である場合に、Q43が1のときアップ信号を生成し、Q43が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(v-d)前記遷移前シンボルが10であり、前記遷移後シンボルが00である場合に、Q43が1のときダウン信号を生成し、Q43が0のときに、前記アップ信号を生成し、
(vi-u)前記遷移前シンボルが01であり、前記遷移後シンボルが11である場合に、Q53が1のときアップ信号を生成し、Q53が0のときに、前記ダウン信号を生成し、
(vi-d)前記遷移前シンボルが11であり、前記遷移後シンボルが01である場合に、Q53が1のときダウン信号を生成し、Q53が0のときに、前記アップ信号を生成する、項目5に記載の受信回路。
【0117】
(項目7)
ひとつの半導体基板に一体集積化される、項目1から6のいずれかに記載の受信回路。
【0118】
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものであり、したがって、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
100 伝送システム
102 伝送ケーブル
200 送信回路
210 PAMエンコーダ
220 P/S変換器
230 PAMドライバ
300 受信回路
310 波形整形回路
320 A/Dコンバータ
Cp1 第1コンパレータ
Cp2 第2コンパレータ
Cp3 第3コンパレータ
Cp4 第4コンパレータ
Cp5 第5コンパレータ
322 シンボル判定部
324 振幅判定部
330 PAM位相比較器
332 ラッチ群
334 ロジック回路
340 クロックリカバリ回路
350 S/P変換器
360 PAMデコーダ
370 自動調節部
S2 PAM信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13