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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036121
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/08 20060101AFI20240308BHJP
   B66F 7/28 20060101ALI20240308BHJP
   B62B 3/06 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
B66F7/08 F
B66F7/28 E
B62B3/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140857
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】594016768
【氏名又は名称】オールセーフ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593172544
【氏名又は名称】株式会社ティーディーエスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】清野 泰正
(72)【発明者】
【氏名】沼辺 淳志
(72)【発明者】
【氏名】加鹿 史彦
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB22
3D050BB25
3D050FF04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重い荷物が積まれた車輪付きの荷物を作業者の負担を軽減しながら安全に荷台又は荷室に対し積み降ろしできる昇降装置を提供する。
【解決手段】荷台又は荷室3の床面3Aと作業面6との間で車輪付きの荷物を昇降する昇降装置1であって、リフト装置10を有する第1部分12と、リフト装置によって第1部分が昇降される際に第1部分に支持される第2部分20と、第1部分に対し第2部分を水平方向にスライド可能に支持するスライド支持機構5と、リフト装置によって第1部分および第2部分を昇降する際に荷物の車輪が載る車輪支持部23と、第1部分に揺動軸線周りに上下方向に揺動可能に基端側が連結された揺動部材30と、揺動部材を、基端側と反対側の先端側が揺動軸線の下方又は真下に配置される下側揺動位置において揺動規制する揺動規制機構50と、揺動部材に設けられ荷物の車輪が載せられ転動できる走行面とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台又は荷室の床面とそれより低い作業面との間で車輪付きの荷物を昇降する昇降装置であって、
リフト装置を有する第1部分と、
前記リフト装置によって前記第1部分が昇降される際に前記第1部分に支持される第2部分と、
前記第1部分に対し前記第2部分を水平方向にスライド可能に支持するスライド支持機構と、
前記第1部分又は前記第2部分に設けられ、前記リフト装置によって前記第1部分および前記第2部分を昇降する際に前記荷物の前記車輪が載る車輪支持部と、
前記第1部分に揺動軸線周りに上下方向に揺動可能に基端側が連結された揺動部材と、
前記揺動部材を、前記基端側と反対側の先端側が前記揺動軸線の下方又は真下に配置される下側揺動位置において揺動規制する揺動規制機構と、
前記揺動部材に前記基端側から前記先端側に延在するように設けられ、前記荷物の前記車輪が載せられ転動できる走行面と、
前記リフト装置によって前記車輪支持部が前記床面に対応した第1の高さに配置された状態で、前記車輪支持部と前記床面との間で前記荷物を移動させるために、前記荷物の前記車輪が載せられ転動できる床面側走行面と、を備え、
前記リフト装置によって前記第1の高さよりも低い第2の高さに前記車輪支持部が配置された状態で、前記揺動部材は、前記走行面を用いて前記車輪支持部と前記作業面との間で前記荷物を移動するための積み降ろし位置に揺動可能である、昇降装置。
【請求項2】
前記揺動部材の前記先端側には先端側車輪が設けられ、
前記車輪支持部が前記第1の高さよりも高い第3の高さに配置され、また、前記第2部分が前記スライド支持機構によって前記第1部分に対して前記水平方向且つ前記第1部分から離れる方向に移動しこれにより前記第2部分が前記床面上に配置され、また、前記揺動部材が前記下側揺動位置において前記揺動規制機構によって揺動規制された状態で、前記スライド支持機構および前記先端側車輪は前記第1部分を前記第2部分側に移動するために用いられる、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記第1部分又は前記第2部分にはゲート用揺動軸線周りに上下方向に揺動可能に基端側が連結されたゲート部材を備え、
前記ゲート部材に前記床面側走行面が設けられている、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記ゲート部材の先端側が前記ゲート用揺動軸線の上方又は真上に配置される上側揺動位置で前記ゲート部材を揺動規制する揺動規制機構を備える、請求項3に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記揺動部材の前記先端側には、前記揺動部材の前記基端側から前記先端側に向かって互いの間隔が広がるガイド壁であって、前記車輪を前記作業面から前記走行面に載せる際のガイドとして機能するガイド壁を備える、請求項1に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記揺動規制機構は、前記先端側が前記揺動軸線よりも上方に配置される上側揺動位置において前記揺動部材を揺動規制できる、請求項1~5の何れかに記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輪が付いた荷物の昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物の積み降ろしの容易化、荷室内の整理の容易化等のために、例えばトラックの荷室の後端にテールゲートリフト等と称される昇降装置が取付けられる場合がある。例えば特許文献1を参照されたい。
また、荷物を乗用車の後部荷室に容易に積み込むための台車であって、台車の車輪に対して台車の荷物載置面をリフト装置によって昇降できるものが知られている。例えば特許文献2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-177721号公報
【特許文献2】欧州特許第3341319号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記テールゲートリフトは大型である。このため、テールゲートリフトがトラックの後端に取付けられると、それを取外すことは容易ではない。一方、特に中型又は小型トラックの運送会社において、テールゲートリフトを必要とする仕事と必要としない仕事が混在している場合がある。つまり、重い荷物が積まれたカゴ台車等の車輪付きの台車を荷室に対し積み降ろしする仕事の際はテールゲートリフトが必要となり、住宅街で段ボール箱等の箱荷物を荷室に対し積み降ろしする仕事の際はテールゲートリフトが必要となくなる。特に、道幅が狭い住宅街でテールゲートリフトを展開できない場合もある。テールゲートリフト装置付きのトラックの場合、テールゲートリフトを展開しないと荷室に対し荷物の積み降ろしができない場合も多い。
【0005】
また、テールゲートリフトを装着できない又はしていない小型のトラック等の荷台又は荷室に対し、前記台車に積まれた荷物を積み降ろしする場合も生じている。この場合、例えば、作業者は手等によって台車から荷台又は荷室の床面に複数の荷物を移動する。また、作業者が軽くなった台車を前記床面に移動し、その後に作業者が前記床面上で複数の荷物を台車に再び載せる作業が行われる場合もある。
【0006】
前記のリフト装置付き台車のように、車輪に対して台車の荷物載置面がリフト装置によって昇降する場合は、作業者の負担が軽減される。しかし、前記のリフト装置付き台車は、作業者が当該リフト装置付き台車を持ち上げて地面から荷室の床面に移動する必要がある。こうしなければ、作業者は当該リフト装置付き台車を各作業現場で使うことができない。このため、軽量で小型のリフト装置が前程となっており、前述のように重い荷物が積まれたカゴ台車を安全且つ容易に積み降ろしできる仕様とはなっていない。なお、全てのカゴ台車の下面に前記リフト装置を取付けることは現実的ではない。
【0007】
このように、各作業現場において、テールゲートリフトが無くても、重い荷物が積まれたカゴ台車等の車輪付きの荷物を作業者の負担を軽減しながら安全に荷台又は荷室に対し積み降ろしできる昇降装置が望まれる状況がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、荷台又は荷室の床面とそれより低い作業面との間で車輪付きの荷物を昇降する昇降装置であって、リフト装置を有する第1部分と、前記リフト装置によって前記第1部分が昇降される際に前記第1部分に支持される第2部分と、前記第1部分に対し前記第2部分を水平方向にスライド可能に支持するスライド支持機構と、前記第1部分又は前記第2部分に設けられ、前記リフト装置によって前記第1部分および前記第2部分を昇降する際に前記荷物の前記車輪が載る車輪支持部と、前記第1部分に揺動軸線周りに上下方向に揺動可能に基端側が連結された揺動部材と、前記揺動部材を、前記基端側と反対側の先端側が前記揺動軸線の下方又は真下に配置される下側揺動位置において揺動規制する揺動規制機構と、前記揺動部材に前記基端側から前記先端側に延在するように設けられ、前記荷物の前記車輪が載せられ転動できる走行面と、前記リフト装置によって前記車輪支持部が前記床面に対応した第1の高さに配置された状態で、前記車輪支持部と前記床面との間で前記荷物を移動させるために、前記荷物の前記車輪が載せられ転動できる床面側走行面と、を備え、前記リフト装置によって前記第1の高さよりも低い第2の高さに前記車輪支持部が配置された状態で、前記揺動部材は、前記走行面を用いて前記車輪支持部と前記作業面との間で前記荷物を移動するための積み降ろし位置に揺動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態の昇降装置の斜視図である。
図2】本実施形態の昇降装置の側面図である。
図3】本実施形態の昇降装置の使用状態の斜視図である。
図4】本実施形態の昇降装置の使用状態の平面図である。
図5】本実施形態の昇降装置の使用状態の斜視図である。
図6】本実施形態の昇降装置の使用状態の平面図である。
図7】本実施形態の昇降装置の使用状態の側面図である。
図8】本実施形態の昇降装置の側面図である。
図9】本実施形態の昇降装置の後端部分の側面図である。
図10】本実施形態の昇降装置の使用状態の側面図である。
図11】本実施形態の昇降装置の使用状態の側面図である。
図12】本実施形態の昇降装置の使用状態の側面図である。
図13】本実施形態の昇降装置の第1変形例の使用状態の平面図である。
図14】本実施形態の昇降装置の第2変形例の使用状態の平面図である。
図15】本実施形態の昇降装置の第3変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態に係る昇降装置1が、図面を参照しながら以下説明される。
本実施形態の昇降装置1は、図1図8に示すように、リフト装置10を有する第1部分12と、第1部分12を移動するための台車(第2部分)20と、を備える。また、昇降装置1は、第1部分12を支持する台車20を作業者が押す時に用いられる揺動部材30を備える。
【0011】
本実施形態では、台車20に設けられたフレーム21の延在方向が台車20の前後方向であり、図1では台車20の前後方向と典型的にはトラックである車両の前後方向とが一致している。車両は荷台又は荷室3を有する。また、揺動部材30は第1部分12の後端側に取付けられ、その反対側が第1部分12の前端側である。図1では第1部分12の前後方向も台車20の前後方向と一致している。以下の説明では前後方向は上記の前後方向に応じた方向であり、幅方向は上記の前後方向に直交する水平方向である。
【0012】
昇降装置1は、台車20又は第1部分12の前端側に取付けられたゲート部材40も備える。以下はゲート部材40が台車20に取付けられている場合が説明されているが、ゲート部材40を第1部分12に取付けることも可能である。
【0013】
リフト装置10は、それぞれ複数のリンク11Aを有する一対のリンク部11と、一対のリンク部11によって支持されたリフト装置10の上部分である第1部分12と、一対のリンク部11を支持するリフト装置10の下部分13と、を有する。本実施形態では第1部分12はリフト装置10の上部分であるが、第1部分12はリフト装置10の上部分と別の部材、別のユニット等であってもよい。リンク11Aはアルミニウム、鉄等の金属製である。リンク11Aは強度が高い材料から形成されていることが好ましい。リンク部11は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0014】
本実施形態では、各リンク部11は複数のクロスリンク11Bを有し、クロスリンク11Bは2本のリンク11Aによって形成されている。より具体的に、2本のリンク11Aがその長手方向の中間領域又は略中央に設けられた連結部で互いに連結され、2本のリンク11Aは互いに対し連結部周りに上下方向に揺動可能である。複数のクロスリンク11Bは互いに上下方向に連結され、その連結部において複数のクロスリンク11Bのリンク11Aは互いに対し上下方向に揺動可能である。本実施形態ではクロスリンク11Bが採用されているが、他の公知のリンク構造が採用されてもよい。
【0015】
第1部分12は、板部材、フレーム部材等から成る第1部分本体12Aを有し、第1部分本体12Aは、その幅方向の両側にそれぞれ配置された一対のサイドフレーム12Bを有する。第1部分本体12A又はサイドフレーム12Bには前後方向に延びるレール部材12Cが固定されている。第1部分本体12A、サイドフレーム12B、およびレール部材12Cはアルミニウム、鉄等の金属製である。
【0016】
下部分13は、例えば、下側ベース13Aを有し、下側ベース13Aは、その幅方向の両側にそれぞれ配置された一対のサイドフレーム13Bと、一対のサイドフレーム13B同士を互いに連結する連結フレーム13Cと、を有する。各サイドフレーム13Bには前後方向に延びるリンク用溝11Cが形成されている。図2に示すように第1部分12の例えば各サイドフレーム12Bにも前後方向に延びるリンク用溝11Dが形成されている。下側ベース13A、サイドフレーム13B、および連結フレーム13Cはアルミニウム、鉄等の金属製である。
【0017】
各リンク部11の下側のクロスリンク11Bの下端は対応するサイドフレーム13Bによって支持されている。より具体的に、下側のクロスリンク11Bの一方のリンク11Aの下端がサイドフレーム13Bに上下方向に揺動可能に連結されている。また、下側のクロスリンク11Bの他方のリンク11Aの下端がリンク用溝11Cに上下方向に揺動可能に連結されている。他方のリンク11Aの下端はリンク用溝11Cに沿って前後方向に移動可能である。
【0018】
また、各リンク部11の上側のクロスリンク11Bの上端は対応するサイドフレーム12Bを支持している。より具体的に、上側のクロスリンク11Bの一方のリンク11Aの上端がサイドフレーム12Bに上下方向に揺動可能に連結されている。また、上側のクロスリンク11Bの他方のリンク11Aの上端がリンク用溝11Dに上下方向に揺動可能に連結されている。他方のリンク11Aの上端はリンク用溝11Dに沿って前後方向に移動可能である。
【0019】
本実施形態では、一対のリンク部11は例えば横リンク11Eによって互いに幅方向に連結されている。
リフト装置10は、一対のリンク部11を駆動して下部分13に対して第1部分12を昇降する駆動装置14を有する。駆動装置14として、電動シリンダ、油圧シリンダ、エアシリンダ、モータ等の公知の駆動装置を用いることができる。駆動装置14には有線又は無線によってコントローラ14Aが接続され、作業者はコントローラ14Aによって駆動装置14を操作する。
【0020】
本実施形態では、電動シリンダである駆動装置14の一端が第1の横リンク11Eに上下方向に揺動可能に連結され、駆動装置14の他端が第2の横リンク11Eに上下方向に揺動可能に連結されている。
【0021】
また、駆動装置14の一端がリンク部11に連結されて、駆動装置14の他端が第1部分12又は下部分13に連結されてもよい。第1部分12が下部分13に対し駆動装置14によって昇降されるのであれば、リフト装置10として他の構造が採用されてもよい。例えば、一対のリンク部11を設けない代わりに、単一又は複数のシリンダが設けられてもよい。単一又は複数のシリンダは第1部分12を支持し、第1部分12を昇降させる。下部分13が設けられない場合もあり得る。
【0022】
台車20は一対のフレーム21を有し、一対のフレーム21は前後方向に延びている。各フレーム21にはレール部材12Cと前後方向に移動可能に係合する係合部21Aが設けられ、本実施形態では係合部21Aはレール部材12Cに係合する溝、複数の金属ローラ、金属球等を備えるスライド部材、公知のスライダを備えるスライド部材等である。複数のローラの場合、複数のローラは前後方向に間隔をおいて配置される。また、レール部材12Cおよび係合部21Aが公知のスライドレール、リニアガイド等であってもよい。なお、フレーム21にレール部材12Cが設けられ、第1部分本体12Aに係合部21Aが設けられてもよい。レール部材12Cおよび係合部21Aは、台車20に対し第1部分12を前後方向に移動可能に支持するスライド支持機構5として機能する。スライド支持機構5として、台車20に対し第1部分12を前後方向に移動可能に支持する他の構造が採用されてもよい。
【0023】
台車20は、一対のフレーム21を互いに連結する前端側フレーム22を有する。フレーム21および前端側フレーム22はアルミニウム、鉄等の金属製である。
本実施形態では、図1図3図4図5等に示すように、台車20には、車輪付き荷物4の車輪4Aが載置され転動できる一対の車輪支持部23が設けられている。一対の車輪支持部23は互いに幅方向に間隔をおいて配置される。当該構成を採用すると車輪支持部23上の荷物4の位置が安定し易いが、台車20に単一の広い車輪支持部が設けられてもよい。この場合は単一の車輪支持部が荷物4の全ての車輪4Aを支持する。
【0024】
各車輪支持部23は例えば各フレーム21の上面によって形成されている。図1図4等に示すように、車輪支持部23の幅方向の両側にはそれぞれ脱落防止壁24,25が設けられている。脱落防止壁24,25は車輪支持部23から上に向かって延びている。脱落防止壁24,25の車輪支持部23からの平均高さは例えば0.5cm以上である。様々な種類の荷物4に適切に対応するために、当該平均高さは10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましく、3cm以下であることがより更に好ましい。上記の説明は、本開示の脱落防止壁24,25の車輪支持部23からの平均高さを10cm以下に限定するものではない。平均高さは、例えば、脱落防止壁24,25の高さ寸法を前後方向の3箇所以上で測定した結果を平均したものである。以下説明する平均高さも同様である。
【0025】
脱落防止壁24は、荷物4の車輪4Aが車輪支持部23から台車20の幅方向外側に脱落することを防止するためのものである。また、脱落防止壁25は、荷物4の車輪4Aが車輪支持部23から台車20の幅方向内側に脱落することを防止するためのものである。
本実施形態では台車20に車輪支持部23が設けられているが、第1部分12に車輪支持部23が設けられる場合もある。この場合、例えば、車輪支持部23が一対のサイドフレーム12Bの上面によって形成される。
なお、脱落防止壁24および脱落防止壁25の一方が設けられない場合もある。
【0026】
台車20は複数の車輪26を有する。複数の車輪26は、第1部分12を支持している台車20を移動するために用いられ、また、第1部分12に対し台車20を移動するために用いられる。本実施形態では台車20は3対の車輪26を有する。各対の車輪26は幅方向に間隔をおいて並んでいる。3対の車輪26のうち第1の対は台車20の前端側に取付けられ、3対の車輪26のうち第2の対は台車20の後端側に取付けられている。3対の車輪26のうち第3の対は第1の対と第2の対の間において台車20に取付けられている。本実施形態では、第3の対は第1の対よりも第2の対に近い位置に配置されている。
【0027】
本実施形態では、各車輪26はキャスター車輪であるが、ローラ、全方向移動車輪等の他の車輪が用いられてもよい。
また、複数の車輪26のうち一部又は全部の車輪にブレーキ26Aが設けられている。ブレーキ26Aはキャスター車輪用の公知の構造を有する。
【0028】
揺動部材30は、その基端側が第1部分12の後端側に揺動軸線30A周りに上下方向に揺動可能に取付けられている(図8)。本実施形態では揺動軸線30Aは幅方向に延びている。より具体的に、揺動部材30は、互いに幅方向に間隔をおいて配置された1対の走行面部材31と、1対の走行面部材31を互いに連結する単一又は複数の連結部材32と、を有する。走行面部材31および連結部材32はアルミニウム、鉄等の金属製である。揺動部材30の基端側である各走行面部材31の一端側は第1部分12の後端側に上下方向に揺動可能に連結されている。
【0029】
図1図5等に示すように、揺動部材30は、基端側の反対側である先端側が揺動軸線30Aの上方又は真上に配置される位置(上側揺動位置)、先端側が基端側の下方又は真下に配置される位置(下側揺動位置)に揺動可能である。また、揺動部材30は、図3および図4に示すように、後述の作業面6と車輪支持部23との間で荷物4を移動するための位置(積み降ろし位置)に揺動可能である。積み降ろし位置では、揺動部材30の先端側が基端側と同等又は同じ高さとなることが好ましい。本実施形態において、先端側が基端側の高さの差が20cm以下の場合に、互いの高さが同等であると言える。
【0030】
揺動部材30は、揺動規制機構50によって、所定の揺動位置において揺動が規制される。揺動規制機構50は、図9に示すように、第1部分12の後端側に設けられた孔51と、孔51に係合する揺動規制部材52と、揺動部材30に形成された第1規制孔53および第2規制孔54と、を有する。本実施形態では、揺動規制部材52は金属製のシャフト、ピン等であり、規制孔53,54は1対の走行面部材31の一方に設けられている。一例では、規制孔53,54は走行面部材31の長さ方向に間隔をおいて配置され、規制孔53,54の間に揺動部材30の揺動軸線30Aが配置される。揺動規制機構50が他の公知の構造によって揺動部材30の揺動を所定の揺動位置において規制してもよい。
【0031】
図9に示すように、上側揺動位置(所定の揺動位置)に揺動部材30が配置された状態で、第1規制孔53と孔51の位置が一致する。このため、作業者が揺動規制部材52を第1規制孔53および孔51に挿入することにより、当該揺動位置で揺動部材30の揺動が規制される。
【0032】
また、下側揺動位置(所定の揺動位置)に揺動部材30が配置された状態で、第2規制孔54と孔51の位置が一致する。このため、作業者が揺動規制部材52を第2規制孔54および孔51に挿入することにより、当該揺動位置で揺動部材30の揺動が規制される。
【0033】
図3図4等に示すように、揺動部材30には、荷物4の車輪4Aが載置され転動できる1対の走行面33が設けられている。1対の走行面33は互いに幅方向に間隔をおいて配置される。
各走行面33は例えば各走行面部材31の面によって形成されている。図3等に示すように、走行面33となる面は、走行面部材31がその他端側と一端側とが同等又は同じ高さとなる位置に揺動した時の走行面部材31の上面である。当該揺動位置において、図3等に示すように、走行面33の幅方向の両側からそれぞれ脱落防止壁34,35が上に向かって延びている。
【0034】
脱落防止壁34,35の走行面33から見た平均高さは例えば0.5cm以上10cm以下であるが、様々な荷物4に適切に対応するために当該平均高さは4cm以下であることが好ましく、2.5cm以下であることがより好ましい。なお、走行面33から見た平均高さは、例えば走行面33に垂直な方向が高さ方向であると見なして測定される。
【0035】
脱落防止壁34は、荷物4の車輪4Aが走行面33から揺動部材30の幅方向外側に脱落することを防止するためのものである。また、脱落防止壁35は、荷物4の車輪4Aが走行面33から揺動部材30の幅方向内側に脱落することを防止するためのものである。
脱落防止壁34および脱落防止壁35の一方が設けられない場合もあるが、様々な種類の荷物4およびその車輪4Aに適切に対応するために、脱落防止壁34および脱落防止壁35の両方が設けられていることがより好ましい。
【0036】
荷物4は典型的には図3等に示されるカゴ台車である。カゴ台車は車輪4Aを有し、金属性のフレームによって形成されたカゴの中に箱、バッグ等の荷物本体が積まれる。ここで、カゴ台車の車輪4Aの間隔はカゴ台車の種類によって僅かに異なっている。また、カゴ台車の車輪4Aの一部又は全部はキャスター車輪であることが多い。このため、走行面33の平均幅寸法は5cm以上、より好ましくは10cm以上であることが好ましい。また、本実施形態のように1対の走行面33を採用する場合、各走行面33の平均幅寸法は15cm未満であることが好ましい。荷物4の車輪4Aがキャスター車輪である場合、走行面33の平均幅寸法が大き過ぎると、走行面33上の荷物4の移動又は位置決めがスムーズでなくなる場合もあり得る。このため、走行面33の平均寸法は7cm以上13cm以下であることが更に好ましい。なお、本開示の走行面33の平均幅寸法はこれらの好ましい寸法に限定されない。平均幅寸法は、例えば、走行面33の幅寸法を前後方向の3箇所以上で測定した結果を平均したものである。以下説明する平均幅寸法も同様である。走行面33の幅寸法は、本実施形態では、脱落防止壁34と脱落防止壁35との間隔である。
【0037】
本実施形態では、揺動部材30の先端側に走行面33の幅寸法が徐々に広くなる幅広走行部36が設けられている。幅広走行部36は、揺動部材30の基端側から先端側に向かって徐々に広くなり、幅広走行部36において走行面33の幅寸法は最も狭い部分と比べて好ましくは1.25倍以上に広がる。
【0038】
幅広走行部36に対応した位置において、脱落防止壁34と脱落防止壁35との間隔も広くなる。つまり、幅広走行部36に対応した位置において、脱落防止壁34と脱落防止壁35との間隔が揺動部材30の基端側から先端側に向かって徐々に広くなっており、幅広走行部36において前記間隔は最も狭い部分と比べて好ましくは1.25倍以上に広がる。幅広走行部36に対応する位置において、脱落防止壁34および脱落防止壁35の一部は、揺動部材30の基端側から先端側に向かって互いの間隔が徐々に広くなるガイド壁34A,35Aとなっている。ガイド壁34A,35Aは、車輪4Aを作業面6から走行面33に載せる際のガイドとして機能する。
【0039】
揺動部材30の先端には単一又は複数の先端側車輪37が取付けられている。本実施形態では、各走行面部材31の端に1対の先端側車輪37が取付けられ、1対の先端側車輪37の間にガイド壁34A,35Aの少なくとも一部が配置されている。当該構成は、1対の先端側車輪37が作業面6に接地すると共に重量物が走行面33に載る時の走行面33の姿勢の安定化に寄与する。
好ましくは先端側車輪37は前後方向にのみ走行するローラ等の車輪である。これにより、後述のように台車20および先端側車輪37によって第1部分12を支持する場合に、先端側車輪37の幅方向への意図せぬ移動が防止される。
【0040】
ゲート部材40は、その基端側が台車20の前端側にゲート用揺動軸線40A周りに上下方向に揺動可能に取付けられている(図8)。本実施形態ではゲート用揺動軸線40Aは幅方向に延びている。より具体的に、ゲート部材40は、1対の走行面部材41と、1対の走行面部材41を互いに連結する単一又は複数の横部材42と、を有する。走行面部材41および横部材42はアルミニウム、鉄等の金属製である。各走行面部材41の一端側は台車20の前端側に上下方向に揺動可能に連結されている。ゲート部材40は、基端側と反対側である先端側が基端側の上方又は真上に配置される揺動位置(上側揺動位置)および先端側が基端側と同等又は同じ高さとなる揺動位置(積み降ろし位置)に揺動可能である。
【0041】
ゲート部材40は、揺動規制機構60によって、上側揺動位置(所定の揺動位置)においてその揺動が規制される。揺動規制機構60は、図8に示すように、台車20の前端側に設けられた孔61と、孔61に係合する揺動規制部材62と、ゲート部材40に形成された規制孔63と、を有する。本実施形態では、揺動規制部材62は金属製のシャフト、ピン等であり、規制孔63は1対の走行面部材41の一方に設けられている。揺動規制機構60が他の公知の構造でゲート部材40の揺動を所定の揺動位置において規制してもよい。
【0042】
図8に示すように、ゲート部材40が上側揺動位置に配置された状態で、規制孔63と孔61の位置が一致する。このため、作業者が揺動規制部材62を規制孔63および孔61に挿入することにより、当該揺動位置でゲート部材40の揺動が規制される。
【0043】
図5等に示すように、ゲート部材40には、荷物4の車輪4Aが載置され転動できる1対の床面側走行面43が設けられている。1対の床面側走行面43は互いに幅方向に間隔をおいて配置されている。
各床面側走行面43は例えば各走行面部材41の面によって形成されている。図5等に示すように、床面側走行面43となる面は、走行面部材41がその他端側と一端側とが同等又は同じ高さとなる位置に揺動した時の走行面部材41の上面である。当該揺動位置において、図5等に示すように、床面側走行面43の幅方向の両側からそれぞれ脱落防止壁44,45が上に向かって延びている。
【0044】
脱落防止壁44,45の床面側走行面43から見た平均高さは例えば0.5cm以上10cm以下であるが、様々な荷物4に適切に対応するために当該平均高さは4cm以下であることが好ましく、2.5cm以下であることがより好ましい。なお、床面側走行面43から見た平均高さは、例えば床面側走行面43に垂直な方向が高さ方向であると見なして測定される。
【0045】
脱落防止壁44は、荷物4の車輪4Aが床面側走行面43からゲート部材40の幅方向外側に脱落することを防止するためのものである。また、脱落防止壁45は、荷物4の車輪4Aが床面側走行面43からゲート部材40の幅方向内側に脱落することを防止するためのものである。
また、脱落防止壁44および脱落防止壁45の一方が設けられない場合もあるが、様々な種類の荷物4およびその車輪4Aに適切に対応するために、脱落防止壁44および脱落防止壁45の両方が設けられていることがより好ましい。
【0046】
荷物4の例であるカゴ台車の車輪4Aの間隔はカゴ台車の種類によって僅かに異なっている。このため、床面側走行面43の平均幅寸法は5cm以上、より好ましくは10cm以上であることが好ましい。また、本実施形態のように1対の床面側走行面43を採用する場合、各床面側走行面43の平均幅寸法は15cm未満であることが好ましい。荷物4の車輪4Aがキャスター車輪である場合、床面側走行面43の平均幅寸法が大き過ぎると、床面側走行面43上の荷物4の移動又は位置決めがスムーズでなくなる場合もあり得る。このため、床面側走行面43の平均寸法は7cm以上13cm以下であることが更に好ましい。なお、本開示の床面側走行面43の平均幅寸法はこれらの好ましい寸法に限定されない。床面側走行面43の幅寸法は、一例では、脱落防止壁44と脱落防止壁45との間隔である。
【0047】
本実施形態では、各走行面部材41の他端側に、床面側走行面43の幅寸法が徐々に広くなる幅広走行部46が設けられている(図5および図6)。幅広走行部46では、脱落防止壁44と脱落防止壁45との間隔が走行面部材41の一端から他端に向かって徐々に広くなっており、幅広走行部46において前記間隔は最も狭い部分と比べて好ましくは1.25倍以上に広がる。幅広走行部46において、脱落防止壁44および脱落防止壁45の一部は、ゲート部材40の基端側から先端側に向かって互いの間隔が徐々に広くなるガイド壁44A,45Aとなっている。ガイド壁44A,45Aは車輪4Aを床面3Aから床面側走行面43に載せる際のガイドとして機能する。
【0048】
幅広走行部46に対応した位置において、床面側走行面43がゲート部材40の基端側から先端側に向かって徐々に広くなっていてもよい。この場合、幅広走行部46において床面側走行面43の幅寸法は最も狭い部分と比べて好ましくは1.25倍以上に広がる。
【0049】
前述のように構成された昇降装置1を用いて荷物4を昇降すると共に移動する方法が以下説明される。
先ず、例えば図8に示す状態で、昇降装置1が荷室3の床面(第1レベルの面)3Aに載置されている。図8に示す状態は、各リンク部11が縮められた状態のリフト装置10および第1部分12が台車20によって支持されている。つまり、リフト装置10の下部分13の下面が台車20の車輪26の下面よりも上方に配置されている。または、作業者は、駆動装置14によってリフト装置10の下部分13の下面を台車20の車輪26の下面よりも少し下方に配置してもよい。この場合、リフト装置10によって台車20が支持され、荷室3内における昇降装置1の意図せぬ移動が効果的に防止される。
【0050】
続いて、作業者は、車輪26を用いて荷室3の床面3A上で昇降装置1を図10に示す位置まで移動させる。この時、揺動部材30は上側揺動位置における揺動規制がされており、作業者は揺動部材30に力を加えることによって昇降装置1を移動できる。また、3対の車輪26が前後方向に間隔をおいて設けられているので、最後尾の対の車輪26が床面3Aに接地しなくなっても、台車20の意図せぬ傾き、落下等が防止される。好ましくは、3対の車輪26のうち中央の対の車輪26は、図10に示す状態の昇降装置1の重心よりも台車後方に配置されている。なお、図10の位置において最後尾の対の車輪26が床面3Aに接地する仕様である場合や、図10の位置において昇降装置1の意図せぬ傾き、落下等を防止する他の構造が採用されている場合は、中央の対の車輪26を省くことが可能である。
【0051】
作業者は、移動後の位置において車輪26のブレーキ26Aを用いて昇降装置1の移動を規制する。作業者はブレーキ26Aの代わりに輪留め等の公知の部材を用いて昇降装置1の移動を規制してもよい。また、駆動装置14によってリフト装置10の下部分13の下面を台車20の車輪26の下面よりも少し下方に配置することによって、昇降装置1の移動が規制されてもよい。
【0052】
この状態で、作業者は揺動規制機構50による揺動規制を解除し、図11に示すように揺動部材30を下側揺動位置まで揺動させる。また、作業者は揺動規制機構50によって下側揺動位置にある揺動部材30の揺動規制を行う。これにより、揺動部材30の他端の先端側車輪37が床面3Aよりも低い作業面(第2レベルの面)6に接地する。なお、典型的には、床面3Aは作業面6よりも90cm以上高く、1m以上高い場合も多い。
【0053】
作業面6は凹凸、段差等があってもよい。例えば、作業面6が、ある高さの面と、ある高さの面とは異なる高さの面と、ある高さの面と異なる高さの面との間の段差とを有する場合もある。このように、作業面6は完全に平坦である必要はない。
【0054】
続いて、作業者は、台車20に対する第1部分12およびリフト装置10の台車後方への移動を行う。この時、第1部分12は台車20にスライド支持機構5によって支持されている。また、第1部分12の後端側は揺動部材30によって支持され、揺動部材30の先端側車輪37は作業面6に接地している。このため、作業者は比較的重い第1部分12およびリフト装置10を安全且つスムーズに移動できる。また、作業者は、コントローラ14Aによって駆動装置14を操作し、リフト装置10の下部分13を作業面6に接地させる(図1および図2)。この状態において、第1部分12の車輪支持部23はリフト装置10によって第3の高さに支持される。前記後方への移動は、リフト装置10の下部分13を作業面6に接地させることができる位置までリフト装置10を移動させればよい。
【0055】
続いて、作業者は、第1部分12に対する台車20の台車後方への移動を行う(図12)。スライド支持機構5および車輪26によって、作業者は安全且つスムーズに当該移動を行える。
また、作業者は、揺動規制機構50による揺動規制を解除し、揺動部材30を下側揺動位置から上側揺動位置に移動させ、上側揺動位置で揺動規制機構50による揺動規制を行う(図12)。
【0056】
続いて、作業者は、コントローラ14Aによって駆動装置14を操作し、図3に示すようにリフト装置10の各リンク部11を収縮した状態とする。荷物4の車輪支持部23への後述の移動を容易にするために、各リンク部11は十分に収縮している方がよい。この状態において、第1部分12の車輪支持部23はリフト装置10によって第2の高さに支持される。
【0057】
また、作業者は、図3および図4に示すように、揺動規制機構50による揺動規制を解除し、揺動部材30を下方に揺動させ、揺動部材30の先端側を作業面6に接地させる。例えば、揺動部材30の先端側が作業面6に接地する。典型的には、走行面33は台車後方に向かって下り傾斜を成す。この時、揺動部材30の先端側における走行面33と作業面6との段差(高さ位置の差)は小さい方が好ましい。当該高さ位置の差は2cm以下であることが好ましく、1cm以下であることがより好ましい。また、揺動部材30の基端側における走行面33と車輪支持部23との段差も小さい方がよく、当該段差は1cm以下であることが好ましい。なお、揺動部材30の先端側が作業面6の近傍に配置され、当該先端側が作業面6に完全に接触しない場合もあり得るが、これでも後述の作業は可能である。
【0058】
また、揺動部材30が前記下り傾斜を成すと共に作業面6に接地する時、好ましくは先端側車輪37だけが作業面6に接地する。例えば、上記の状態で、先端側車輪37の下面が走行面部材31よりも下方に配置される。これにより、走行面部材31の先端側の削れ、傷等が防止され、これは走行面部材31の先端側の錆等の発生防止にも繋がる。
【0059】
続いて、作業者は、走行面33を経由して荷物4を車輪支持部23に移動させる(図3および図4)。この時、幅広走行部36があることによって、作業者は荷物4の車輪4Aをスムーズに走行面33に載せることができる。好ましくは走行面33の長さは50cm以上であり、より好ましくは70cm以上である。これにより、作業者は荷物4の車輪4Aをよりスムーズに走行面33に載せることができる。
【0060】
続いて、作業者は、揺動部材30を上側揺動位置に移動させ、揺動規制機構50による揺動規制を行う。これにより、後述の荷物4のリフトアップおよび移動時における荷物4の後方への落下、傾き等が防止される。走行面33の長さが50cm以上であり、より好ましくは70cm以上であると、当該落下および傾きもより効果的に防止される。なお、本開示の前記距離はこれらの好ましい寸法に限定されない。
【0061】
続いて、作業者は、コントローラ14Aによって駆動装置14を操作し、図5図7等に示すようにリフト装置10によって第1部分12、台車20、および荷物4をリフトアップする。当該リフトアップによって、車輪支持部23の前端の高さ位置と床面3Aの後端の高さ位置との差が5cm以下になることが好ましく、3cm以下になることがより好ましい。この状態において、第1部分12の車輪支持部23はリフト装置10によって第1の高さに支持される。
【0062】
好ましくは、コントローラ14Aおよび駆動装置14の少なくとも一方が前記第2の高さを記憶する位置記憶部と、記憶された位置までリフトアップされた時のリフトアップの自動停止機能、所定の報知機能等を備えている。
【0063】
また、作業者は、揺動規制機構60による揺動規制を解除し、ゲート部材40を上側揺動位置から下方に揺動させ、ゲート部材40の先端側である走行面部材41の他端側を床面3Aに接地させる(図5図7)。この時、走行面部材41の他端側における床面側走行面43と床面3Aとの段差(高さ位置の差)は小さい方が好ましい。当該高さ位置の差は2cm以下であることが好ましく、1cm以下であることがより好ましい。また、ゲート部材40の基端側における床面側走行面43と車輪支持部23との段差も小さい方がよく、当該段差は1cm以下であることが好ましい。
【0064】
続いて、作業者は、床面側走行面43を経由して車輪支持部23上の荷物4を床面3Aに移動させる。さらに積み込む荷物4がある場合、作業者は、ゲート部材40を上側揺動位置で揺動規制し、第1部分12および台車20をリフトダウンし、揺動部材30の先端側を作業面6に接地させる。
【0065】
荷物4を荷室3から降ろす時、昇降装置1は図5図7に示す状態とされ、作業者は床面側走行面43を経由して車輪支持部23に荷物4を移動する。この時、ガイド壁44A,45Aがあることによって、作業者は車輪4Aを床面側走行面43にスムーズに移動できる。好ましくは床面側走行面43の長さは30cm以上であり、より好ましくは40cm以上である。これにより、作業者は荷物4の車輪4Aをよりスムーズに床面側走行面43に載せることができる。なお、本開示の前記距離はこれらの好ましい寸法に限定されない。
【0066】
続いて、作業者は、ゲート部材40を上側揺動位置に移動させ、揺動規制機構60による揺動規制を行う。これにより、後述の荷物4のリフトダウンおよび移動時における荷物4の落下、傾き等が防止される。床面側走行面43の長さが30cm以上であり、より好ましくは40cm以上であると、当該落下および傾きもより効果的に防止される。
続いて、作業者は、コントローラ14Aによって駆動装置14を操作し、リフト装置10によって第1部分12、台車20、および荷物4を第2の高さにリフトダウンする。
【0067】
また、作業者は、揺動規制機構50による揺動規制を解除し、揺動部材30を下方に揺動させ、揺動部材30の先端側を作業面6に接地させる。また、作業者は、走行面33を介して荷物4を作業面6に移動させる。
【0068】
荷物4の積み降ろし作業が終わった後、作業者は、コントローラ14Aによって駆動装置14を操作し、図2に示す高さ(第3の高さ)まで第1部分12および台車20をリフトアップし、第1部分12に対する台車20の台車前方への移動を行う。これにより、台車20の車輪26の2対以上が床面3Aに接地する。また、作業者は、揺動部材30を下側揺動位置に揺動させ、揺動規制機構50による揺動規制を行う。
【0069】
続いて、作業者は、コントローラ14Aによって駆動装置14を操作して各リンク部11を収縮した状態とし、これにより下部分13が上方に移動する。そして、作業者は、台車20に対する第1部分12の台車前方への移動を行う。この時、作業者はスライド支持機構5および先端側車輪37を用いて当該移動を行える。また、作業者は、第1部分12およびリフト装置10がしっかりと台車20に支持される状態まで第1部分12が台車前方に移動すると、揺動部材30を上側揺動位置まで揺動させ、揺動規制機構50による揺動規制を行う。この後、作業者は、車輪26を用いて昇降装置1を床面3A上の任意の位置に配置し、ブレーキ26A、輪留め、下部分13等を用いて昇降装置1の意図しない移動を防止する。
【0070】
このように、本実施形態の昇降装置1はリフトアップおよびリフトダウン時に荷物4の傾きや落下を防止する揺動部材30が走行面部材31を有し、作業者は走行面部材31の走行面33を介して車輪支持部23に荷物4の車輪4Aを移動する。この時、揺動部材30の揺動角度は作業面6の高さ位置に応じて可変である。このため、作業者は荷物4を安全且つスムーズに移動できる。
【0071】
また、駆動装置14がリフトアップを行う時に、揺動部材30は上側揺動位置で揺動規制される。これにより、荷物4の傾き、落下等が揺動部材30によって防止され、これは作業者による安全且つスムーズな作業に寄与する。
また、作業者は、上側揺動位置において揺動規制された揺動部材30に力を加えながら、例えば荷室3内の昇降装置1を移動することができる。これも、作業者による安全且つスムーズな作業に寄与する。
【0072】
また、本実施形態では、互いに間隔をおいて配置された1対の走行面部材31にそれぞれ走行面33が設けられている。このため、揺動部材30の軽量化を図りつつ、走行面33の強度確保、走行面33上の車輪26のスムーズな走行等を達成でき、さらに、作業者は1対の走行面部材31の間から荷物4の状態をチェックし易い。
【0073】
また、本実施形態では、互いに間隔をおいて配置された1対の走行面部材41にそれぞれ床面側走行面43が設けられている。このため、ゲート部材40の軽量化を図りつつ、床面側走行面43の強度確保、床面側走行面43上の車輪26のスムーズな走行等を達成でき、さらに、作業者は1対の走行面部材41の間から荷物4の状態をチェックし易い。
【0074】
なお、図13および図14に示すように、揺動部材30に単一の走行面部材31が設けられ、ゲート部材40に単一の走行面部材41が設けられてもよい。
また、前記第3の対の車輪26の代わりに、図15のように前記第2の対の車輪26が床面3Aに接地しなくなった際に床面3Aに接地し、これにより台車20の姿勢が大きく傾くことを防止する当接部材27が設けられてもよい。
【0075】
前記第1の対の車輪26および前記第2の対の車輪26が床面3Aによって支持されている場合は、当接部材27は床面3Aに接触しない、又は、床面3Aに大きな力をかけない。また、図15のように前記第2の対の車輪26が床面3Aに接地しなくなった際に、当接部材27は床面3Aに当たり接触した状態となる。
【0076】
また、台車20の全ての車輪26の代わりに当接部材27が設けられてもよい。さらに、当接部材27も設けられずに、台車20のフレーム21等が床面3Aに接地してもよい。これらの場合、台車20は車輪26が無いのでベース(第2部分)等として機能する。これらの場合、昇降装置1が荷室3内に収容されている時に、第1部分12を支持したベース(第2部分)は例えば荷室3の後端付近の床面3Aに置かれる。
【0077】
荷物4の積み降ろしの際、作業者は、ベース(第2部分)を床面3A上で少し後方に移動させ、ベース(第2部分)を図10と同様の位置に配置できれば、台車20を用いる場合と同様に上記の積み下ろし作業を行うことができる。なお、本実施形態では図10のような側面視で揺動軸線30Aが揺動部材30と重なった位置に配置されているが、当該構成に限られない。つまり、揺動軸線30Aが例えば図10のような側面視で揺動部材30よりも後方に配置される場合がある。この場合、ベース(第2部分)を床面3A上で後方に移動させることを要せずに、作業者は揺動部材30を揺動して先端側車輪37を作業面6に接地できる。
【0078】
この場合、作業者は、ベース(第2部分)を床面3A上で後方に移動させることを要せずに、先端側車輪37およびスライド支持機構5を用いて第1部分12を後方に移動すると共にリフト装置10を作業面6に接地させ、これにより図1と同様の状態が得られる。この状態で、スライド支持機構5が十分な強度、十分なスライド性能等を有する場合は、リフト装置10によって第1部分12およびベース(第2部分)を上昇させ、ベース(第2部分)を床面3Aから浮かせることができる。これにより、作業者は比較的容易にベース(第2部分)を後方に移動して図12と同様の状態を得ることが可能となる。
【0079】
上記各実施形態の昇降装置1は、第1部分12又は第2部分20に車輪支持部23が設けられ、揺動部材30にその基端側から先端側に延在するように走行面33が設けられ、走行面33は荷物4の車輪4Aが載せられ転動できる。そして、リフト装置10によって作業面6に近い第2の高さに車輪支持部23が配置された状態で、揺動部材30は走行面33を用いて車輪支持部23と作業面6との間で荷物4を移動するための積み降ろし位置に揺動可能である。このため、荷物4に200kg、300kg等の荷物本体が載せられていても、作業者の負担を軽減しながら安全に荷物4が移動される。
【0080】
また、上記各実施形態の昇降装置1は床面側走行面43を有する。床面側走行面43は、リフト装置10によって車輪支持部23が床面3Aに対応した第1の高さに配置された状態で、荷物4の車輪4Aが載せられ転動するものである。作業者は、車輪支持部23と床面3Aとの間で床面側走行面43を介して荷物4を移動できる。当該構成は、車輪支持部23と床面3Aとの間で作業者の負担を軽減しながら安全に荷物4が移動するために有用である。
【0081】
また、上記各実施形態の昇降装置1を用いて、作業者は、リフト装置10によって、第1部分12および第2部分20と共に、荷物4の車輪4Aが載せられた車輪支持部23を昇降できる。当該構成は、作業者の負担を軽減しながら安全に荷物4を移動するために有用である。
【0082】
ここで、このように重い荷物4を昇降できるリフト装置10は決して小さなものではない。このような床面3Aの作業面6からの高さは80cm以上であることが多く、90cm以上又は100cm以上であることも多い。このような床面3Aに対応した第1高さまで荷物4の車輪4Aが載せられた車輪支持部23を上昇させると、作業者の手は荷物4の高さ方向の中央や上端に届かなくなる。
【0083】
この状態でリフト装置10にぐらつき等が発生すると作業者は安心して作業できない。このため、リフト装置10の上部分である第1部分12を支持するリンク部11等の支持部の強度は重要であり、下部分13の大きさおよび強度も重要である。また、第1部分12の強度も重要である。また、駆動装置14も決して小さくはない。つまり、上記の安全を確保しながらリフト装置10自体の重量が50kg以下にすることは容易ではなく、リフト装置10自体の重量が80kg以上になることも多い。
【0084】
上記各実施形態の昇降装置1の揺動部材30は、先端側が揺動軸線30Aの下方又は真下に配置される下側揺動位置において、揺動規制機構50によって揺動規制される。例えば図11に示すように第2部分20が床面3A上にある状態で、作業者が揺動部材30を下側揺動位置に揺動させると共に揺動規制機構50による揺動規制を行う。本実施形態では揺動部材30の先端側車輪37が作業面6に接地する。
【0085】
このため、作業者は先端側車輪37とスライド支持機構5を用いて第2部分20に対して第1部分12を水平方向に移動できる(図2図11等)。先端側車輪37が設けられていない場合、下側揺動位置に揺動した揺動部材30の先端が別体で設けられた図示しない低い台車等に載せられる。この場合でも、作業者は先端側車輪37と低い台車を用いて第2部分20に対して第1部分12を水平方向に移動でき、低い台車を外した後も揺動部材30によって第1部分12を支持できる。当該構成があることによって、作業者は、トラックで様々な作業現場に行き、各作業現場で昇降装置1を用いることができ、この時の作業者の負担も軽減することができる。
【0086】
上記各実施形態の昇降装置1の揺動部材30は、揺動によってその先端側が作業面6に接地する位置に配置される。揺動部材30もリフト装置10等を支持するために決して軽いものではない。このため、作業者の手が滑り揺動部材30が落下する場合、揺動であることからその速度は急に上がり難い。従って、手が滑って落ち始めた揺動部材30を作業者が再び支持できる場合も多い。これに対し、揺動部材30が第1部分12に垂直方向に移動可能に取付けられている場合も考えられる。この場合、手が滑って落ち始めた揺動部材30を作業者が再び支持できる可能性が低くなる。
【0087】
また、上記各実施形態では、リフト装置10によって車輪支持部23が図2等に示すように第3の高さに配置される。また、第2部分20がスライド支持機構5によって第1部分12に対して水平方向且つ第1部分12から離れる方向に移動し、これにより第2部分20が床面3A上に配置される。また、揺動部材30が下側揺動位置において揺動規制された状態で、スライド支持機構5および先端側車輪37は第1部分12を第2部分20側に移動するために用いられる。このため、昇降装置1を床面3A上に移動する際の作業者の負担が軽減される。
【0088】
また、上記各実施形態では、上下方向に揺動可能なゲート部材40に床面側走行面43が設けられている。このため、リフト装置10によって車輪支持部23を昇降する際に、作業者はゲート部材40を荷室3等に接触しない位置に配置できる。また、作業者が車輪支持部23を第2の高さ位置に配置すると共にゲート部材40を下方に揺動させると、床面側走行面43が積み降ろしのための位置に配置される。
【0089】
また、上記各実施形態では、ゲート部材40の先端側がゲート用揺動軸線40Aの上方又は真上に配置される上側揺動位置でゲート部材40が揺動規制される。当該構成は、車輪4Aが載置された車輪支持部23をリフト装置10によって昇降する際に、荷物4やその上の荷物本体の台車前方への意図せぬ移動を防止するために有用である。
【0090】
また、上記各実施形態では、揺動部材30の先端側が揺動軸線30Aの上方又は真上に配置される上側揺動位置で揺動部材30が揺動規制される。当該構成は、車輪4Aが載置された車輪支持部23をリフト装置10によって昇降する際に、荷物4やその上の荷物本体の台車後方への意図せぬ移動を防止するために有用である。
【0091】
また、上記各実施形態では、揺動部材30の先端側には、揺動部材30の基端側から先端側に向かって互いの間隔が広がるガイド壁34A,35Aが設けられている。ガイド壁34A,35Aは車輪4Aを作業面6から走行面33に載せる際のガイドとして機能する。カゴ台車等の台車である荷物4の車輪はキャスター車輪のように様々な方向を向く車輪であることが多い。このため、走行面33の直前で荷物4の位置を走行面33に合わせる時に、車輪4Aの方向が変わる場合がある。このような場合にガイド壁34A,35Aは作業者によるスムーズな作業に貢献する。
【0092】
本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、または、特許請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される発明の思想および趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序の変更、各処理の順序の変更、条件に応じた一部の動作の省略又は追加は、上記の例に拘泥することなく可能である。また、上記実施形態の説明に数値が用いられている場合も同様である。
【符号の説明】
【0093】
1 昇降装置
3 荷室
3a 床面
4 荷物
4A 車輪
5 スライド支持機構
6 作業面
10 リフト装置
12 第1部分
12C レール部材
14 駆動装置
14A コントローラ
20 台車(第2部分)
21A 係合部
23 車輪支持部
24 脱落防止壁
25 脱落防止壁
26 車輪
26A ブレーキ
30 揺動部材
30A 揺動軸線
31 走行面部材
33 走行面
34 脱落防止壁
34A ガイド壁
35 脱落防止壁
35A ガイド壁
36 幅広走行部
37 車輪
40 ゲート部材
40A 揺動軸線
41 走行面部材
43 床面側走行面
44 脱落防止壁
44A ガイド壁
45 脱落防止壁
45A ガイド壁
46 幅広走行部
50 揺動規制機構
52 揺動規制部材
60 揺動規制機構
62 揺動規制部材
図1
図2
図3
図4
図5
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