(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036129
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】硬質表面用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/94 20060101AFI20240308BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20240308BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/40 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/42 20060101ALI20240308BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240308BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C11D1/94
C11D1/75
C11D3/48
C11D1/62
C11D1/90
C11D1/40
C11D1/42
C11D3/20
C11D3/37
C11D1/66
C11D1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140866
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】野田 恵
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB01
4H003AC05
4H003AC14
4H003AD04
4H003AE02
4H003AE04
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA06
4H003DA08
4H003DA17
4H003DB02
4H003DC02
4H003EA12
4H003EB06
4H003EB33
4H003EB42
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA12
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】除菌性能を有し、洗浄力が高く、防汚性及び仕上がり性に優れる硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法を提供する。
【解決手段】(a)両性界面活性剤、(b)殺菌剤〔以下、(b)成分という〕、(c)アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を1種以上有する重合体〔以下、(c)成分という〕、並びに水を含有し、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)が1を超える、硬質表面用洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)両性界面活性剤〔以下、(a)成分という〕、(b)殺菌剤〔以下、(b)成分という〕、(c)アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を1種以上有する重合体〔以下、(c)成分という〕、並びに水を含有し、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)が1を超える、硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)成分が、アミンオキシドである、請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a)成分を、0.1質量%以上3質量%以下含有する、請求項1又は2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項4】
(b)成分が、カチオン界面活性剤及びビグアナイド系化合物から選ばれる1種以上の化合物である、請求項1~3の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項5】
(c)成分が、下記一般式(c1)で表される単量体(c1)及び下記一般式(c2)で表される単量体(c2)から選ばれる1種以上の単量体Aに由来する構成単位Aを含む重合体である、請求項1~4の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【化1】
〔式中、R
1c、R
2c、R
3c、R
7c、R
8c、R
9cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。X
1c、Y
1cは、それぞれ独立して、炭素数1以上12以下のアルキレン基、-COOR
12c-、-CONHR
12c-、-OCOR
12c-、-R
13c-OCO-R
12c-から選ばれる基である。ここでR
12c、R
13cは、それぞれ独立して、炭素数1以上5以下のアルキレン基である。R
4cは炭素数1以上3以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR
1cR
2cC=C(R
3c)-X
1c-である。R
5cは炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基であり、R
6cはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸エステル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基、又はベンジル基であり、R
6cがアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基の場合は、Z
-は陰イオンを示す。R
6cがカルボキシ基、スルホン酸基、硫酸エステル基を含む場合、Z
-は存在せず、R
6c中のこれらの基は陰イオンとなる。R
10cは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR
7cR
8cC=C(R
9c)-Y
1c-である。R
11cは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【請求項6】
(c)成分は、カチオン変性ポリビニルアルコール及びカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる1種以上である、請求項1~5の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項7】
(c)成分は、下記一般式(c3)で表される構成単位を有する、請求項1~6の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【化2】
〔式中、
R
14c~R
16c:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基
R
17c:炭素数1以上4以下のアルキレン基、又は-Y
2c-OPO
3
--Y
3c-
Y
2c、Y
3c:同一又は異なって、炭素数1以上4以下のアルキレン基
R
18c、R
19c:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
X
2c:O又はNR
20cであり、R
20cは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
X
3c:水素原子、炭素数1以上4以下の炭化水素基、R
21cSO
3
-、又はR
21cCOO
-を示す。ただし、R
17cが炭素数1以上4以下のアルキレン基のとき、X
3cはR
21cSO
3
-、又はR
21cCOO
-、R
21cは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R
17cが-Y
2c-OPO
3
--Y
3c-のとき、X
3cは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基である。〕
【請求項8】
下記一般式(c3)中、X3cが、R21cSO3
-である、請求項7に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項9】
(c)成分は、N, N-ジ (ω-アルケニル(炭素数2~10))-N ,N-ジアルキル(炭素数1~3)4級アンモニウム塩由来の構成単位を有する、請求項1~8の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項10】
(c)成分中、アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を有する単量体由来の構成単位は、全構成単位に対して10モル%以上100モル%以下である、請求項1~9の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項11】
(c)成分の重量平均分子量は、1,000以上20万以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項12】
更に、(d)ノニオン界面活性剤〔以下、(d)成分という〕を含有する、請求項1~11の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項13】
(d)成分は、親水基が糖骨格又はグリセリン骨格を有する、請求項12に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項14】
更に、(e)アニオン界面活性剤〔以下、(e)成分という〕を含有し、(e)成分の含有量と(c)成分の含有量の質量比(e)/(c)が1以下である、請求項1~13の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項15】
キッチン、トイレ、バス及びリビングから選ばれる1以上に備えられる物品の硬質表面用である、請求項1~14の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項16】
硬質表面がシンクの表面である、請求項1~15の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項17】
硬質表面がステンレスである、請求項1~16の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項18】
硬質表面拭き取り用である、請求項1~17の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項19】
請求項1~18の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法。
【請求項20】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、泡の状態で硬質表面と接触させる、請求項19に記載の硬質表面の洗浄方法。
【請求項21】
前記硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させ、接触させた組成物を拭き取る、請求項19又は20に記載の硬質表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器や野菜等の洗浄に使用するシンク内やカウンタートップ、ガスレンジ等のキッチンまわりにはケイ素やカルシウムを主成分とした無機質汚れ、調理時や食器類からの油汚れ、あるいはそれらの複合汚れが付着している。特に調理機器周辺に生じる汚れは、調理由来の油を中心とする汚れであり、熱源が近いことから油が変質し易く、非常に除去することが困難である。従来、このような汚れに対しては研磨剤を配合した粉末又は液体クレンザーや強アルカリ性の洗浄剤等が用いられている。しかしながら、前者の場合は汚れに対して優れた洗浄性を発揮するものの、ゴシゴシと擦る労力や、すすぎ及び拭き取りが必要になる煩雑性に課題があった。また後者では無機質汚れに対する洗浄力不足やアルカリによる手荒れ等の欠点があり、より簡便で安心な洗浄方法が望まれていた。
【0003】
特許文献1には、スルホベタイン基を有するポリマーを用い、浴室、台所、トイレ等の疎水性硬質表面を親水化することで、防汚性を付与した硬質表面用処理剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、アニオン性基/カチオン性基/ノニオン性基の各ビニル系単量体を特定のモル比及び質量比で組み合わせた重合体と、特定の好適な配合剤を併用することで、汚れの付着防止効果を併せ持ち、特に浴室、キッチンシンクの洗浄、防汚に、好適に使用される硬表面用防汚洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献3には、分子中に、アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を1種以上有するモノマー単位Aと、-SO2-で表されるモノマー単位Bとを有し、モノマー単位Aを全モノマー単位に対して10~99モル%含み、且つモノマー単位B/モノマー単位Aのモル比が0.01~1である重合体を含有する硬質表面用防汚洗浄剤が開示されている。
特許文献4には、トリガー式のスプレー容器と、該スプレー容器内に収容されている硬質表面処理用液体組成物とを含んで構成される硬質表面処理用物品であって、スプレー容器は、硬質表面処理用液体組成物を泡にしてスプレー可能であり、硬質表面処理用液体組成物が、ベタイン構造を有するポリマー及び所定の界面活性剤を含有し、スプレーされた泡の泡比容が5ml/g以上である、硬質表面処理用物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-105311号公報
【特許文献2】特開2001-271094号公報
【特許文献3】特開2003-313600号公報
【特許文献4】特開2018-199771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、時間が経過してキッチンの汚れが落ち難くなる前に、デイリーに予防ケアする人が若年層を中心に増加しており、家事の簡便化や時間短縮を最優先に捉え、清浄性の維持に手間暇をかけないことが望まれている。
このようなニーズに応えるため、一度の操作で洗浄や除菌を簡便に行うと同時に、汚れが付いてもその汚れを落とし易くする防汚機能を併せ持つことが有用である。特に、シンク内は最も清浄性を必要とする場所にもかかわらず、汚れと水分の接触頻度が高いために汚染され易いことから、持続的な防汚効果や表面の光沢感の維持が望まれていた。
本発明は、除菌性能を有し、洗浄力が高く、防汚性及び仕上がり性に優れる硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(a)両性界面活性剤〔以下、(a)成分という〕、(b)殺菌剤〔以下、(b)成分という〕、(c)アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を1種以上有する重合体〔以下、(c)成分という〕、並びに水を含有し、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)が1を超える、硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、上記の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触する、硬質表面の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、除菌性能を有し、洗浄力が高く、防汚性及び仕上がり性に優れる硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物が、除菌性能を有し、洗浄力が高く、防汚性及び仕上がり性に優れる理由は必ずしも定かではないが以下のように推察される。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を用いることで、(b)成分と(c)成分の溶存状態に悪影響を及ぼすことなく、洗浄性、適度な泡立ち、そして除菌性能や仕上がり性の両立を可能にしたと推察される。
また、(b)成分と(c)とを所定の比率で用いることで、重合体の硬質表面への吸着を阻害することなく、除菌性能と硬質表面の改質効果を満足できたと推察される。硬質表面の改質効果により光沢性、防汚性を向上することができる。
なお、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法は、上記の作用機構になんら限定されるものではない。
また、本発明において、殺菌剤とは、除菌、殺菌及び抗菌から選ばれる1以上の効果を有する剤であってよい。すなわち、殺菌剤は、除菌剤、抗菌剤であってよい。
【0010】
<硬質表面用洗浄剤組成物>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)両性界面活性剤〔以下、(a)成分という〕、(b)殺菌剤〔以下、(b)成分という〕、(c)アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を1種以上有する重合体〔以下、(c)成分という〕、並びに水を含有する。
【0011】
<(a)成分>
(a)成分は、両性界面活性剤である。両性界面活性剤としては、洗浄性能や泡立ち、清拭時の外観の観点から、アミンオキシド型両性界面活性剤及びベタイン型両性界面活性剤から選ばれる1種以上の両性界面活性剤が好ましく、アミンオキシド、スルホベタイン及びカルボベタインから選ばれる1種以上の両性界面活性剤がより好ましく、アミンオキシドが更に好ましい。
【0012】
アミンオキシドとしては、下記一般式(a1)で表される化合物〔以下、(a1)成分という〕が好適である。
【0013】
【0014】
〔式中、R1aは炭素数6以上22以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基を示し、R2a及びR3aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。Dは-NHC(=O)-基又は-C(=O)NH-基を示し、Eは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。q及びpは、q=0かつp=0又はq=1かつp=1を示す。〕
【0015】
上記一般式(a1)において、q=1かつp=1の場合には、R1aは、洗浄性、溶解性及び起泡性の観点から、好ましくは炭素数7以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは21以下、より好ましくは17以下、更に好ましくは15以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
また、q=0かつp=0の場合には、R1aは、洗浄性、溶解性及び起泡性の観点から、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下の炭化水素基、好ましくはアルキル基又はアルケニル基、より好ましくはアルキル基である。
本発明ではq=0かつp=0が好ましい。R2a及びR3aは、洗浄性や溶解性の観点から、好ましくは炭素数1のメチル基である。
【0016】
(a1)成分の好ましい具体例としては、
(1)アルキル(炭素数6以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキシド:カプリルジメチルアミンオキシド、カプリンジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、パルミチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド等、
(2)アミド基含有型アミンオキシド(一般式(a1)中、q=1かつp=1の化合物):カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等
が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
洗浄性及び仕上がり性の両立の観点から(1)アルキル(炭素数6以上22以下)ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミンオキシドがより好ましい。
【0017】
ベタイン型両性界面活性剤としては、下記一般式(a2)で表される化合物が好ましい。
【0018】
【0019】
〔式中、R4aは炭素数7以上18以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R5aは炭素数1以上6以下のアルキレン基である。Aは-COO-、-CONH-、-OCO-、-NHCO-、-O-から選ばれる基であり、rは0又は1の数である。R6a、R7aは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R8aはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1以上5以下のアルキレン基である。Bは、-SO3
-、-OSO3
-、-COO-から選ばれる基である。〕
【0020】
一般式(a2)において、R4aは、低基材損傷性の観点から、炭素数7以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基である。
Aは、低基材損傷性の観点から、好ましくは-COO-又は-CONH-であり、より好ましくは-CONH-である。
R5aの炭素数は好ましくは2又は3である。
R6a、R7aは好ましくはメチル基である。
Bは、低基材損傷性の観点から、好ましくは-SO3
-又は-COO-であり、より好ましくは-COO-である。
rは、Bが-SO3
-の時は、好ましくは0であり、Bが-COO-の時は、好ましくは1である。
R8aの炭素数は、Bが-SO3
-の時は、好ましくは3であり、Bが-COO-の時は、好ましくは1である。
【0021】
ベタイン型両性界面活性剤としては、具体的には、アルキルカルボキシベタイン、アルキルアミドカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン及びアルキルアミノ脂肪酸塩から選ばれる1種以上が挙げられ、低基材損傷性の観点から、好ましくはアルキルアミドプロピル-N,N-ジメチルカルボキシベタイン、アルキル-N,N-ジメチル酢酸ベタイン、N-アルキル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、アルキル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-スルホプロピルアンモニウムスルホベタイン、N-アルカノイルアミノプロピル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシスルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、及びN-アルキル-N,N-ジメチル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタインから選ばれる1種以上であり、より好ましくはアルキルアミドプロピル-N,N-ジメチルカルボキシベタイン、及びアルキル-N,N-ジメチル酢酸ベタインから選ばれる1種以上である。これらのアルキル基は炭素数7以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。
【0022】
<(b)成分>
(b)成分は、殺菌剤である。(b)成分は、カチオン界面活性剤及びビグアナイド系化合物から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。カチオン界面活性剤としては、4級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。
ビグアナイド系化合物としては、クロルヘキシジンジグルコネート(CHG)、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジンジヒドロクロリド、クロルヘキシジンジホスファニレート、ポリ(ヘキサメチレンビグアナイド)塩酸塩(PHMB)、クロルヘキシジン・2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合物、等が例示される。
【0023】
(b)成分の4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、下記一般式(b1)で表される化合物、及び下記一般式(b2)で表される化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
【0024】
【0025】
〔式中、R1b及びR2bから選ばれる少なくとも一つは、炭素数8以上18以下のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基を示し、残余は、炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、R3b及びR4bは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、X-は陰イオンである。〕
【0026】
【0027】
〔式中、R5bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基であり、R6b及びR7bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基であり、X-は陰イオンである。〕
【0028】
一般式(b1)において、モノ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩である場合、好ましくは、R1bは、炭素数8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、そして、18以下、好ましくは16以下のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基であり、R2b、R3b及びR4bは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数10以下のポリオキシエチレン基である。
一般式(b1)において、ジ長鎖アルキル型第4級アンモニウム塩である場合、好ましくは、R1b及びR2bは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数8以上、そして、16以下、好ましくは14以下のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基であり、R3b及びR4bは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基又は平均付加モル数10以下のポリオキシエチレン基である。
【0029】
一般式(b1)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、例えば、塩化物イオン、臭素イオン及びヨウ素イオンが挙げられる。また、X-の陰イオンとしては、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0030】
一般式(b1)の化合物の好ましい化合物としては、アルキル基の炭素数が12以上18以下であるN-アルキル-N,N,N-トリメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数が8以上14以下であるN,N-ジアルキル-N,N-ジメチル-アンモニウム塩、及びアルキル基の炭素数が12以上16以下であるN-アルキル-N,N-ジメチル-N-エチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0031】
一般式(b2)において、R5bは、炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素基である。R5bの炭素数は、洗浄力の観点から、好ましくは8以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。R5bは、アルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基が好ましい。
【0032】
一般式(b2)において、R6b及びR7bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基及び炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基から選ばれる基である。R6b及びR7bは、それぞれ独立に、炭素数1以上3以下のアルキル基から選ばれる基であることが好ましい。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられる。炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
【0033】
一般式(b2)において、X-は陰イオンである。陰イオンとしては、ハロゲンイオン、例えば、塩化物イオン、臭素イオン及びヨウ素イオンが挙げられる。また、X-の陰イオンとしては、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン及びプロピル硫酸イオンが挙げられる。
【0034】
一般式(b2)の化合物の具体例としては、N-ドデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジエチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ドデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-トリデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-テトラデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩、N-ペンタデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩及びN-ヘキサデシル-N-メチル-N-エチル-N-ベンジルアンモニウム塩から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0035】
(b)成分のビグアナイド系化合物としては、例えば、下記一般式(b3)で表される構造単位を有するポリビグアナイド化合物又はその塩を用いることができる。
【0036】
【0037】
(b)成分のビグアナイド系化合物は、好ましくは下記一般式(b3-1)で表されるポリアルキレンビグアナイド化合物である。
【0038】
【0039】
〔式中、R8bは炭素数2以上8以下のアルキレン基、好ましくは4以上8以下のアルキレン基、特にヘキサメチレン基、nは2以上14以下、好ましくは10以上14以下、より好ましくは11以上13以下、特に12が最も好ましい。HYは有機酸又は無機酸を示し、好ましくは塩酸、グルコン酸、酢酸が好適であり、特に塩酸が最も好ましい。〕
【0040】
一般式(b3-1)のビグアナイド系化合物は、市販のものを用いてもよいが、公知の方法、例えば英国特許第702268号等に記載の方法を用いて製造することができる。
【0041】
(b)成分のビグアナイド系化合物としては、一般式(b3)、更に一般式(b3-1)の化合物以外にビス-ビグアニド化合物を用いることもできる。具体的には、1,2-ビス-(N5-p-クロロフェニル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-ニトロフェニル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-ヒドロキシフェニル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-クロロベンジル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-ブロモフェニル-N5-ヘキシル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-クロロフェニル-N5-2-エチルフェニル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-クロロフェニル-N5-エチル-N1-ビグアニド)-エタン、1,2-ビス-(N5-p-メトキシフェニル-N1-ビグアニド)-エタンなどを用いることができる。
【0042】
(b)成分のビグアナイド系化合物としては、低濃度における殺菌活性の点から一般式(b3-1)においてR8bがヘキサメチレン基であり、nが10以上14以下、更には11以上13以下のポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩が最も好適である。
【0043】
<(c)成分>
(c)成分は、アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を1種以上有する重合体である。(c)成分としては、アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を1種以上有する単量体に由来する構成単位を含む重合体が挙げられる。
【0044】
(c)成分は、下記一般式(c1)で表される単量体(c1)及び下記一般式(c2)で表される単量体(c2)から選ばれる1種以上の単量体Aに由来する構成単位Aを含む重合体が好ましい。
【0045】
【0046】
〔式中、R1c、R2c、R3c、R7c、R8c、R9cは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1以上3以下のアルキル基である。X1c、Y1cは、それぞれ独立して、炭素数1以上12以下のアルキレン基、-COOR12c-、-CONHR12c-、-OCOR12c-、-R13c-OCO-R12c-から選ばれる基である。ここでR12c、R13cは、それぞれ独立して、炭素数1以上5以下のアルキレン基である。R4cは炭素数1以上3以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR1cR2cC=C(R3c)-X1c-である。R5cは炭素数1以上3以下のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基であり、R6cはヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸エステル基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下のアルキル基、又はベンジル基であり、R6cがアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基の場合は、Z-は陰イオンを示す。R6cがカルボキシ基、スルホン酸基、硫酸エステル基を含む場合、Z-は存在せず、R6c中のこれらの基は陰イオンとなる。Z-の陰イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換されていてもよい芳香族スルホン酸イオン、ヒドロキシイオンを挙げることができる。R10cは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又はR7cR8cC=C(R9c)-Y1c-である。R11cは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基である。〕
【0047】
単量体(c1)として具体的に好ましいものはアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(炭素数1以上5以下)-N,N,N-トリアルキル(炭素数1以上3以下)4級アンモニウム塩、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(炭素数1以上5以下)-N,N,N-トリアルキル(炭素数1以上3以下)4級アンモニウム塩、N-(ω-アルケニル(炭素数2以上10以下))-N,N,N-トリアルキル(炭素数1以上3以下)4級アンモニウム塩、N,N-ジ(ω-アルケニル(炭素数2以上10以下))-N,N-ジアルキル(炭素数1以上3以下)4級アンモニウム塩が好適であり、特にジアリルジメチルアンモニウム塩が良好である。
【0048】
単量体(c2)として具体的に好ましいものはアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(炭素数1以上5以下)-N,N-ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(炭素数1以上5以下)-N,N-ジアルキル(炭素数1~3)アミン、N-(ω-アルケニル(炭素数2以上10以下))-N,N-ジアルキル(炭素数1以上3以下)アミン、N,N-ジ(ω-アルケニル(炭素数2以上10以下))-N-アルキル(炭素数1以上3以下)アミン、アリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミンが好適であり、特に、アリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)アミノプロピル-N,N-ジメチルアミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシエチル-N,N-ジメチルアミンが良好である。
(c)成分が構成単位Aを含む場合、単量体Aに由来する構成単位Aは(c)成分の全構成単位に対して、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは99モル%以下、更に好ましくは90モル%以下の割合で含まれる。
【0049】
(c)成分は、-SO2-で示される構成単位Bを含む重合体が好ましい。このような構成単位Bを重合体に導入する方法としては、所定量のSO2ガスを一般式(c1)の単量体(c1)及び/又は一般式(c2)の単量体(c2)を含有する溶液に吹き込み、過酸化ベンゾイル、t-ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレルニトリロ、2、2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸、過硫酸塩、過酸化水素から選ばれる重合開始剤を用いて重合することで得られる。重合時には溶媒を用いることができ、具体的には水、メタノール、エタノール、プロパノールから選ばれるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンから選ばれるケトン類、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルイミダゾリジノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサンを用いることが可能である。重合温度は溶媒や開始剤の組み合わせにより異なり、好ましくは-20℃以上200℃以下、より好ましくは-10℃以上100℃以下である。また、本発明では光や放射線によっても重合することが可能であり、特に300nm以上450nm以下の波長の光を照射することで効率良く重合することができる。
【0050】
(c)成分が構成単位Bを含むことにより、重合体の濃度が低い場合でも硬質表面に対する十分な付着性を示し、また陽イオン界面活性剤との併用による影響も受け難くなる。
(c)成分が構成単位Aと構成単位Bを含む場合、(c)成分において、単量体Bに由来する構成単位Bと単量体Aに由来する構成単位Aのモル比(構成単位B)/(構成単位A)は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.05以上、そして、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.5以下、より更に好ましくは0.3以下である。
【0051】
本発明では、更に防汚効果を向上させる目的から、(c)成分が、下記(i)~(iv)から選ばれる単量体に由来する構成単位Cを含有することが好適である。
【0052】
(i)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩、スルホプロピルメタクリレート、リン酸モノ-ω-メタクリロイルオキシアルキル(炭素数1以上12以下)
【0053】
(ii)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N-ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N-ジメチルアミノメチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-2-ピロリドンから選ばれるアミド基含有化合物
【0054】
(iii)アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1以上5以下)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2-ヒドロキシエチル、アクリル酸(又はメタクリル酸)-N,N-ジメチルアミノアルキル(炭素数1以上5以下)、酢酸ビニルから選ばれるエステル基含有化合物
【0055】
(iv)エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、n-ペンテン、イソプレン、2-メチル-1-ブテン、n-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ブテン、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンから選ばれるオレフィン系化合物
【0056】
これらの中でも特に防汚効果の点から(i)又は(ii)の単量体由来の構成単位が好ましく、中でも(i)の単量体由来の構成単位が最も好ましく、これらの中でもアクリル酸又はそのナトリウム塩若しくはカリウム塩、メタクリル酸又はそのナトリウム塩若しくはカリウム塩、マレイン酸又はそのナトリウム塩若しくはカリウム塩が好ましい。ここで(i)の単量体由来の構成単位の対イオンは、含有する重合体のカチオン基部分であっても良い。
【0057】
(c)成分が構成単位Cを有する場合、(c)成分を構成する構成単位において、単量体Cに由来する構成単位Cと単量体Aに由来する構成単位Aのモル比(構成単位C)/(構成単位A)は、防汚効果の点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、そして、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.5以下である。
【0058】
(c)成分は、構成単位A、構成単位B及び好ましくは構成単位Cが、重合体中の主鎖又は側鎖のいずれに存在していても構わない。これらはランダム重合したもの、ブロック重合したものでも、グラフト重合したものなどでも構わない。本発明では構成単位A、構成単位B及び構成単位Cのみから構成される重合体を用いることが好ましい。
【0059】
また、(c)成分は、ヒドロキシエチルセルロース、及び可溶性澱粉等の半合成水溶性高分子に対してカチオン性基を有する化合物を反応させることにより製造することもできる。
(c)成分は、重合体の濃度が低い場合でも硬質表面に対する十分な付着性を示すことによる防汚効果と、入手容易性の観点から、酢酸ビニルと前記単量体Aとを重合して製造したカチオン変性ポリビニルアルコール、及びヒドロキシエチルセルロースとカチオン性基を有する化合物とを反応させたカチオン変性ヒドロキシルエチルセルロースが好ましい。このカチオン性基としては、例えば、前記単量体Aが有するカチオン性基が挙げられる。
【0060】
(カチオン変性ポリビニルアルコール)
カチオン変性ポリビニルアルコールは、前記単量体Aのカチオン性基を主鎖あるいは側鎖に有するポリビニルアルコールのことである。前記カチオン変性ポリビニルアルコールは、原料の酢酸ビニルを重合する際に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド等と酢酸ビニルとを共重合し、得られたコポリマーを常法によりケン化することにより得られる。
また、酢酸ビニルと他の反応性基を有するモノマーとを共重合しておき、ケン化後前記反応性基を利用して、前記カチオン性基を含有する化合物を反応させてポリビニルアルコールをカチオン化してもよい。
【0061】
(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース)
カチオン変性ヒドロキシルエチルセルロースは、例えば、原料セルロースとエチレンオキシドとを反応させてヒドロキシエチルセルロースを得た後、このヒドロキシエチルセルロースをカチオン化剤と反応させてカチオン化する方法により得ることができる。
【0062】
原料セルロースとして用いられるセルロースとしては、化学的に純粋なセルロースの他、各種木材チップ等の木材類;木材から製造される木材パルプ等のパルプ類;新聞紙、段ボール等の紙類;稲わら、とうもろこし茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等、種々のセルロース含有原料を用いることができる。
【0063】
カチオン化剤としては、入手性の観点から、グリシジルトリメチルアンモニウム又はグリシジルトリエチルアンモニウムの塩化物又は臭化物、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム等の塩化物、3-ブロモ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、3-ブロモ-2-ヒドロキシプロピルトリエチルアンモニウム等の臭化物が好ましく、グリシジルトリメチルアンモニウム塩化物又は3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物がより好ましく、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物が更に好ましい。これらのカチオン化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
(c)成分のカチオン化度は、防汚性の観点から、好ましくは0.25mol%以上、より好ましくは0.35mol%以上、更に好ましくは0.45mol%以上、より更に好ましくは0.6mol%以上、より更に好ましくは0.8mol%以上であり、そして、防汚性の観点から、好ましくは5mol%以下、より好ましくは4mol%以下、更に好ましくは3mol%以下、より更に好ましくは2mol%以下である。
なお、カチオン化度は、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)を用いたコロイド滴定により求めることができる。
【0065】
(c)成分は、ベタイン基を有する単量体に由来する構成単位を含むことができる。ベタイン構造を有する単量体としては、例えば、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、N-(3-スルホプロピル)-N-(メタ)アクリロイルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、N-(3-カルボキシメチル)-N-(メタ)アクリロイルアミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、N-カルボキシメチル-N-(メタ)アクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン等が挙げられる。
【0066】
(c)成分は、下記一般式(c3)で表される構成単位Dを有する重合体が好ましく、(a)下記一般式(c3)で表される構成単位D及び下記一般式(c4)で表される構成単位Eを含む共重合体がより好ましい。
【0067】
【0068】
〔式中、
R14c~R16c:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基
R17c:炭素数1以上4以下のアルキレン基、又は-Y2c-OPO3
--Y3c-
Y2c、Y3c:同一又は異なって、炭素数1以上4以下のアルキレン基
R18c、R19c:同一又は異なって、炭素数1以上4以下の炭化水素基
X2c:O又はNR20cであり、R20cは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基
X3c:水素原子、炭素数1以上4以下の炭化水素基、R21cSO3
-、又はR21cCOO-を示す。ただし、R17cが炭素数1以上4以下のアルキレン基のとき、X3cはR21cSO3
-、又はR21cCOO-、R21cは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R17cが-Y2c-OPO3
--Y3c-のとき、X3cは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基である。〕
【0069】
【0070】
〔式中、
R22c~R24c:同一又は異なって、水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基
X4c:O又はNH基
R25c:炭素数1以上4以下のアルキレン基
X5c:N+R26cR27cR28cX6c又はNR29cR30cであり、R26c~R30cは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基、X6cは陰イオン
を示す。〕
【0071】
[構成単位D]
一般式(c3)において、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、R14c及びR15cは、それぞれ、水素原子が好ましい。
一般式(c3)において、R16cは、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(c3)において、X2cは、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、Oが好ましい。
一般式(c3)において、R17cは、防汚性能を高める観点から、炭素数1以上4以下のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
一般式(c3)において、Y2c、Y3cは、それぞれ、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
一般式(c3)において、R18c、R19cは、同不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、それぞれ、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(c3)において、X3cは、水素原子、炭素数1以上4以下の炭化水素基、R21cSO3
-、又はR21cCOO-であるが、R17cが炭素数1以上4以下のアルキレン基のとき、X3cはR21cSO3
-、又はR21cCOO-であり、R17cが-Y2c-OPO3
--Y3c-のとき、X3cは水素原子又は炭素数1以上4以下の炭化水素基である。R17cが-Y2c-OPO3
--Y3c-のとき、防汚性能を高める観点から、X3cは炭素数1以上4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。R17cが炭素数1以上4以下のアルキレン基のとき、同様の観点から、X3cはR21cSO3
-が好ましい。
また、R21cは,炭素数1以上3以下のアルキレン基が好ましく、炭素数2以上3以下のアルキレン基がより好ましい。
【0072】
(c)成分が構成単位Dを含む場合、(c)成分中の構成単位Dの含有量は、(c)成分の防汚性能を高める観点から、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、より更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは90モル%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは99モル%以下、より好ましくは98モル%以下、更に好ましくは95モル%以下である。
また、(c)成分が構成単位Dを含む場合、(c)成分中の構成単位Dの含有量は、(c)成分の防汚性能を高める観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
【0073】
[構成単位E]
一般式(c4)において、不飽和単量体の入手性の観点、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、R22c及びR23cは、それぞれ、水素原子が好ましい。
一般式(c4)において、R24cは、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(c4)において、X4cは、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、Oが好ましい。
一般式(c4)において、R25cは、単量体の重合性の観点及び(c)成分の防汚性能を高める観点から、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
一般式(c4)において、X5cは、(c)成分の防汚性能を高める観点及び4級化反応の容易性の観点から、N+R26cR27cR28cX6c又はNR29cR30cであり、N+R26cR27cR28cX6cが好ましく、R26c、R27c、R28cは、同様の観点から、それぞれ、メチル基、エチル基が好ましい。
一般式(c4)において、R29c、R30cは、(c)成分の防汚性能を高める観点及び4級化反応の容易性の観点から、メチル基、エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(c4)において、X6cは陰イオンであり、ハロゲンイオン又はC2H5SO4
-が好ましく、C2H5SO4
-がより好ましい。
【0074】
(c)成分が構成単位Eを含む場合、(c)成分中の構成単位Eの含有量は、防汚性能を高める観点から、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、更に好ましくは5モル%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは70モル%以下、より好ましくは50モル%以下、更に好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
【0075】
また、(c)成分が構成単位Eを含む場合、(c)成分中の構成単位Eの含有量は、防汚性能を高める観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、(c)成分の防汚性能を高める観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
【0076】
[構成単位Dと構成単位Eのモル比]
(c)成分が構成単位Dと構成単位Eを含む場合、(c)成分の構成単位Dと構成単位Eのモル比は、防汚性能の観点から、構成単位D/構成単位Eで、好ましくは30/70以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは55/45以上、更に好ましくは60/40以上、より更に好ましくは75/25以上、より更に好ましくは90/10以上であり、そして、(c)成分の防汚性能を高める観点から、好ましくは99.9/0.1以下、より好ましくは98/2以下、更に好ましくは96/4以下である。
【0077】
[構成単位D及び構成単位E以外の構成単位]
(c)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、構成単位D及び構成単位E以外の構成単位を含有してもよい。構成単位D及び構成単位E以外の構成単位としては、スルホベタイン基を有する不飽和単量体以外の不飽和単量体に由来する構成単位が好ましく、スチレン等の疎水性不飽和単量体に由来する構成単位がより好ましい。
【0078】
(c)成分中の構成単位D及び構成単位E以外の構成単位の含有量は、防汚性の観点から、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.5モル%以下、より更に好ましくは0.1モル%以下である。(c)成分中の構成単位D及び構成単位E以外の構成単位の含有量は、0モル%であってもよい。
(c)成分中の構成単位D及び構成単位E以外の構成単位の含有量は、防汚性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。(c)成分中の構成単位D及び構成単位E以外の構成単位の含有量は、0質量%であってもよい。
【0079】
(c)成分が構成単位D及び構成単位Eを含む場合、(c)成分中の構成単位D及び構成単位Eの合計の含有量は、防汚性の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上、より更に好ましくは99.5モル%以上、より更に好ましくは99.9モル%以上である。(a)成分中の構成単位D及び構成単位Eの合計の含有量は、100モル%であってもよい。
(c)成分中の構成単位D及び構成単位Eの合計の含有量は、防汚性の観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上、より更に好ましくは99.5質量%以上、より更に好ましくは99.9質量%以上である。(c)成分中の構成単位D及び構成単位Eの合計の含有量は、100質量%であってもよい。
【0080】
ベタイン基を有する(c)成分を製造する方法としては、どのような方法を採っても良いが、具体的には以下の(i)、(ii)のような方法が挙げられる。原料の入手性と、製造の容易さの観点から、(ii)の方法が好ましい。
(i)ベタイン基とカチオン基を有する不飽和単量体を共重合して得る方法
(ii)アミノ基とカチオン基を有する不飽和単量体を共重合させたあとに、ベタイン化剤によって4級化を行って得る方法
【0081】
(c)成分中、アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を有する単量体由来の構成単位は、重合体の濃度が低い場合でも硬質表面に対する十分な付着性を示すことによる防汚効果の観点から、全構成単位に対して、アミノ基、4級アンモニウム基及びベタイン基から選ばれる基を有する単量体由来の構成単位の合計で、好ましくは10モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。
【0082】
(c)成分の重量平均分子量は、防汚性の観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは1万以上、より更に好ましくは3万以上、そして、防汚性と配合適性の観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは15万以下、更に好ましくは10万以下、より更に好ましくは8万以下である。
この重量平均分子量は、下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めたものである。
【0083】
*GPC条件
装置:GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)東ソー株式会社製
カラム:TSKgel α-M(2本直列に連結して使用)(東ソー株式会社製)
溶離液:0.15molNa2SO4/1%CH3COOH/水
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:プルラン標準品
【0084】
<組成、その他の成分等>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分を、洗浄性と仕上がり性の両立の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、そして、仕上がり性の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下含有する。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、上記の範囲で(a)成分を含むことで、硬質表面に対して、持続的な防汚効果や表面の光沢感を維持できるだけでなく、更に、拭きすじの発生が抑制でき、硬質表面の仕上がり性がより向上する。
【0085】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)成分を、除菌性の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.007質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、そして、防汚性と仕上がり性の観点から、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.05質量%以下含有する。
【0086】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(c)成分を、硬質表面の改質効果の効率性の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、そして、仕上がり性の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.3質量%以下含有する。
【0087】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物において、(b)成分と(c)成分の合計の含有量は、硬質表面の改質効果と仕上がり性の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0088】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物において、(c)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比(c)/(b)は、硬質表面の改質効果と除菌性の両立の観点から、1を超え、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
【0089】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、水を含有する。水は、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び下記の任意成分以外の残部となるように用いることができる。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物における、水の含有量は、硬質表面用洗浄剤組成物の安定性とコストの観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、そして、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
水は、イオン交換水、滅菌イオン交換水等を使用することが好ましい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、硬質表面用液体洗浄剤組成物であってよい。
【0090】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、25℃のpHが、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下である。pH調節剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、乳酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンやジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン塩など、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独若しくは複合して用いても構わない。また、これらの酸剤とアルカリ剤を組み合わせて緩衝剤系として用いても構わない。硬質表面用洗浄剤組成物の25℃のpHは、下記の方法で測定する。
【0091】
<pHの測定法>
pHメーター(東亜ディーケーケー製 pH/イオンメーターHM-42X)にpH測定用複合電極(東亜ディーケーケー製 GST-5841C)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH4.01→pH9.18の順に校正操作を行う。測定対象となる本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を25℃に調整し、前記のpHメーターの電極を本発明の硬質表面用洗浄剤組成物に浸漬し、1分後のpHを測定する。
【0092】
<界面活性剤>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、洗浄性や起泡性を高める観点から、(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤を含有することができる。
(a)成分及び(b)成分以外の界面活性剤としては、(d)ノニオン界面活性剤〔以下、(d)成分という〕及び(e)アニオン界面活性剤〔以下、(e)成分という〕から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、配合安定性の観点から、(d)成分を含むことが好ましい。
【0093】
<(d)成分>
(d)成分はノニオン界面活性剤である。(d)成分としては、洗浄力及び起泡力の観点から、(d1)モノアルキルグリセリルエーテル〔以下、(d1)成分という〕、(d2)ポリオキシアルキレンモノアルキル又はアルケニルエーテル〔以下、(d2)成分という〕、(d3)アルキルポリグリコシド(グリコシド型ノニオン界面活性剤)〔以下、(d3)成分という〕、(d4)ソルビタン系ノニオン界面活性剤〔以下、(d4)成分という〕、(d5)脂肪族アルカノールアミド〔以下、(d5)成分という〕、(d6)脂肪酸モノグリセライド〔以下、(d6)成分という〕、及び(d7)蔗糖脂肪酸エステル〔以下、(d7)成分という〕からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、これらは2種以上を用いても良い。
(d)成分は、洗浄性と配合安定性の観点から、親水基が糖骨格又はグリセリン骨格を有するノニオン界面活性剤が好ましく、例えば、(d1)成分、(d3)成分、(d6)成分及び(d7)成分からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0094】
(d1)成分は、モノアルキルグリセリルエーテルである。(d1)成分としては、具体的には下記一般式(d1)で表される化合物が好適である。
R1d-O-(Gly)r-H (d1)
〔式中、R1dは炭素数6以上18以下のアルキル基を示し、Glyはグリセリン由来の構成単位を示し、好ましくはグリセリンから1つの水酸基と1つの水素原子を除いた残基を示し、rは1以上4以下の数を示す。〕
【0095】
一般式(d1)において、R1dは、洗浄力の観点から、炭素数6以上、好ましくは炭素数7以上、より好ましくは炭素数8以上、そして、炭素数18以下、好ましくは炭素数12以下、より好ましくは炭素数10以下のアルキル基であり、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの直鎖アルキル基を用いることができるが、本発明では洗浄力の観点から、分岐鎖を有するアルキル基が好適であり、R1dの分岐鎖を有する具体的なアルキル基として、2-エチルヘキシル基、sec-オクチル基、イソノニル基及びイソデシル基から選ばれる基がより好ましく、2-エチルヘキシル基又はイソデシル基が更に好ましく、2-エチルヘキシル基が特に好ましい。
【0096】
一般式(d1)において、rは好ましくは1以上、そして、好ましくは2以下である。rが1の化合物がより好ましい。特に好ましい化合物は、R1dが2-エチルヘキシル基で、かつ、rが1の化合物である。
Glyで示される構造はグリセリンの1位と3位の水酸基が結合している-CH2CH(OH)CH2-で示される構造か、又はグリセリンの1位と2位の水酸基が結合している-CH(CH2OH)CH2-で示される構造であり、触媒や反応条件によって異なる。
【0097】
一般式(d1)の化合物を得るには、例えば、炭素数6~10のアルコールとしてR1d-OHで示されるアルキルアルコールを用い、エピハロヒドリンやグリシドールなどのエポキシ化合物とを、BF3などの酸触媒、あるいはアルミニウム触媒を用いて反応させて製造する方法を用いることができる。例えば、2-エチルヘキサノールを用いた場合、得られる2-エチルヘキシルモノグリセリルエーテルは、特開2001-49291号公報に記載されているように複数の生成物を含み得る混合物である。
【0098】
(d2)成分は、ポリオキシアルキレンモノアルキル又はアルケニルエーテルである。
(d2)成分のノニオン界面活性剤において、アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、洗浄力の観点から、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは12以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下である。
【0099】
(d2)成分のノニオン界面活性剤において、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、洗浄力の観点から、好ましくは0超、より好ましくは1以上、更に好ましくは3以上、そして、同様の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは20以下、より更に好ましくは10以下である。
オキシアルキレン基は、洗浄力の観点から、好ましくはオキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基から選ばれる1種以上であり、より好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上である。
【0100】
(d2)成分は、下記一般式(d2)で表される化合物から選ばれる1種以上を挙げることができる。
R2dO[(C2H4O)l/(C3H6O)j]H (d2)
〔式中、R2dは炭素数6以上22以下の炭化水素基を示す。l、jは平均付加モル数を示し、lは0以上30以下となる数を示し、jは0以上30以下となる数を示し、lとjが同時に0になることはない。“/”はオキシエチレン基及びオキシプロピレン基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
【0101】
上記一般式(d2)中のR2dの炭素数は、洗浄力の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
R2dは、洗浄力の観点から、好ましくはアルキル基又はアルケニル基であり、より好ましくはアルキル基、更に好ましくは第2級アルキル基である。ここで、第2級アルキル基とは、一般式(d2)中のR2dOにおいてOと結合するR2dの炭素原子が第2級炭素原子となっているアルキル基をいう。
アルキル基としては、具体的には、各種オクチル基(2-エチルヘキシル基を含む)、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基(ラウリル基)、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基を挙げることができる。
アルケニル基としては、各種オクタニル基、各種ノナニル基、各種デカニル基、各種ウンデカニル基、各種ドデカニル基、各種トリデカニル基、各種テトラデカニル基、各種ペンタデカニル基、各種ヘキサデカニル基、各種ヘプタデカニル基、各種オクタデカニル基(例えば、オレイル基、リノール基)を挙げることができる。なお、「各種」とは、n-、sec-、tert-、iso-を含む各種異性体を意味する。
【0102】
上記一般式(d2)中のl、jは、保存安定性の観点から、それぞれ独立に、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
【0103】
(d3)成分は、アルキルポリグリコシド(グリコシド型ノニオン界面活性剤)である。(d3)成分のノニオン界面活性剤は、下記一般式(d3)で表されるノニオン界面活性剤が好ましい。
R3d(OR4d)sGt (d3)
〔式中、R3dは、直鎖又は分岐鎖の炭素数8以上18以下、好ましくは12以上14以下のアルキル基、アルケニル基又はアルキルフェニル基、好ましくはアルキル基を示し、R4dは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基を示す。sは平均付加モル数を示し、0以上5以下の数である。tはその平均値が1以上5以下となる数を示す。〕
【0104】
一般式(d3)中、R3dは、洗浄力の観点から、好ましくは、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。
一般式(d3)中、sは、保存安定性の観点から、好ましくは0以上、そして、好ましくは2以下であり、より好ましくは0である。tは、保存安定性の観点から、好ましくは1.1以上、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下である。尚、tはプロトンNMR法による測定値である。
一般式(d3)中、Gは、それらの入手容易性及びコストの点から、グルコース及びフルクトースから選ばれる1種以上の単糖類に由来する残基が挙げられる。また、Gは、マルトース及びスクロースから選ばれる1種以上の多糖類に由来する残基が挙げられる。Gは、グルコースの単糖類に由来する残基が好ましい。
【0105】
(d4)ソルビタン系ノニオン界面活性剤、(d5)脂肪族アルカノールアミド、(d6)脂肪酸モノグリセライド、及び(d7)蔗糖脂肪酸エステルは、好ましくは炭素数8以上18以下、より好ましくは炭素数12以上14以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。
【0106】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(d)成分を、洗浄力向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、そして、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下含有することができる。
【0107】
<(e)成分>
(e)成分は、アニオン界面活性剤である。(e)成分は、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、スルホン酸基又はカルボキシ基を有するアニオン界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤が有する炭化水素基としては、洗浄力の観点から、炭素数が好ましくは5以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは7以上、より更に好ましくは8以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは12以上、そして、好ましくは21以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、アルキレン基又はアリール基が好ましい。
【0108】
(e)成分は、(e1)炭素数5以上18以下の炭化水素基を有する、スルホコハク酸エステル又はその塩〔以下、(e1)成分という〕、(e2)炭素数8以上21以下の炭化水素基と、硫酸エステル基又はスルホン酸基とを有するアニオン界面活性剤〔但し、(e1)成分を除く〕〔以下、(e2)成分という〕、(e3)炭素数8以上21以下の炭化水素基と、カルボキシ基とを有するアニオン界面活性剤〔以下、(e3)成分という〕、並びに(e4)炭素数8以上21以下の炭化水素基と、リン酸エスエル基とを有するアニオン界面活性剤〔以下、(e4)成分という〕からなる群から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。
【0109】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(e)成分として、洗浄力、起泡力の観点から、(e1)から(e4)成分からなる群から選ばれる1種以上を含むことができるが、配合安定性や防汚性を損なうおそれがあるため、実質的に(e)成分を含まないことが好ましい。
【0110】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(e)成分を、配合安定性と防汚性の観点から、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、そして、例えば0質量%を超えて含有することができるが、実質的に含まないことが望ましい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、配合安定性と防汚性の観点から、(e)成分の含有量が少ないほど好ましく、0質量%であってよい。
【0111】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物が(e)成分を含む場合、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物において、(e)成分の含有量と(c)成分の含有量との質量比(e)/(c)は、硬質表面の改質効果の観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.1以下、更に好ましくは0.01、そして、例えば0超であり、実質的に0であってもよい。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、硬質表面の改質効果の観点から、上記質量比(e)/(c)が小さいほど好ましく、0であってよい。
【0112】
本発明に用いられる硬質表面用洗浄剤組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、任意に、キレート剤;エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の溶剤;トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、尿素等の可溶化剤;粘土鉱物、粘度調整剤;方解石、珪石、リン酸カルシウム、ゼオライト、炭酸カルシウム、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレン等の水不溶性研磨剤;グリセリン、ソルビトール等の保湿剤;感触向上剤;炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム等のアルカリビルダー;亜硫酸ナトリウム等の腐食防止剤;酵素、色素、香料、防腐・防かび剤等を添加することができる。
【0113】
本発明では、硬質表面に本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を接触させる方法として、内容物を泡状にして塗布することができるトリガー式スプレー容器を用いることができ、泡を形成する機構(泡形成機構)を備えたトリガー式スプレー容器が好ましい。
本発明は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物が泡形成機構を備えたトリガー式スプレー容器に充填されてなる、トリガー式スプレー容器入り硬質表面洗浄用物品を提供する
【0114】
また、本発明において、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、噴出ノズルに発泡筒を装着し、吐出器の吐出操作によって噴出孔から噴出する内容液を、前記発泡筒の内壁面に衝突させて発泡した状態で吐出させる発泡吐出容器が好適である。その詳細な構造として、特開2007-167719号公報記載のものが参考にすることができる。ここで、発泡筒を構成する空気導入孔から入る空気量を調整することで、界面活性剤と混合する空気量を調整し、泡塗布時の泡比容を調整することができる。即ち、液体の硬質表面用洗浄剤組成物に対する空気導入量を多くすることで、泡比容の大きな泡とすることができる。
【0115】
泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器は、1回の操作で、好ましくは0.4mL以上、より好ましくは0.6mL以上、そして、好ましくは10mL以下、より好ましくは5mL以下、更に好ましくは3mL以下、より更に好ましくは1.5mL以下の組成物を噴霧する。
即ち、本発明のスプレー容器入り硬質表面洗浄用物品は、1回の操作で、好ましくは0.4g以上、より好ましくは0.6g以上、そして、好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、更に好ましくは3g以下、更に好ましくは1.5g以下の組成物を噴霧する。
【0116】
前記のトリガー式スプレー容器は、一般に使用されている容器を用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを原料として得られるものであり、ブロー成形などによって製造することができる。容器の肉厚は底面と側面と異なってもよく、0.01~2mmが好ましく、容器の容量は100~1000mLが好ましい。容器に充填される硬質表面用洗浄剤組成物の量は、取り扱い上、200~500mLが望ましい。また液の充填は、常識的な空隙を残して行われる。
【0117】
<硬質表面の洗浄方法>
本発明は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させる、硬質表面の洗浄方法を提供する。
本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触し、持続性のある光沢を付与する、硬質表面の洗浄方法であってよい。
また、本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、泡の状態で硬質表面と接触させる、硬質表面の洗浄方法であってよい。
また、本発明の硬質表面の洗浄方法は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させ、接触させた組成物を拭き取る、硬質表面の洗浄方法であってよい。
【0118】
本発明の硬質表面の洗浄方法において、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物と硬質表面とを接触させた後、硬質表面をスポンジやたわしなどの洗浄用器具で擦ること、硬質表面に接触させた硬質表面を水ですすぐこと、硬質表面に接触させた硬質表面用洗浄剤組成物を拭き取ること、から選ばれる1以上を行ってもよい。
硬質表面を拭き取る拭取用品としては、布、紙、スポンジなどが挙げられる。布は、織布でも不織布でもよい。なお、この拭取用品に予め本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を含ませておき、該組成物を含ませた拭取用品と硬質表面とを接触させることで、硬質表面に本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を接触させることができる。
【0119】
硬質表面は、特に制限はなく、ガラス、陶器、磁器、琺瑯、タイル、セラミックス;アルミニウム、ステンレス、真鍮等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、FRP等の合成樹脂などが挙げられる。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物及び本発明の硬質表面の洗浄方法を適用しうる硬質表面としては、親水性硬質表面が好ましい。ここで、硬質表面についての「親水性」とは、水に対する静止接触角が70°未満であることを意味する。
本発明で好適な硬質表面は、ガラス、陶器、磁器、プラスチック、ステンレス及びシリコンウエハーから選ばれる1種又は2種以上の硬質表面が挙げられる。
本発明の対象は、硬質表面、具体的には、硬質表面を有する物品である。硬質表面を有する物品としては、便器、浴槽、台所のシンク、窓ガラス、鏡、蛇口などが挙げられる。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、キッチン、トイレ、バス及びリビングから選ばれる1以上に備えられる物品の硬質表面用であってよく、好ましくはキッチン、トイレ及びバスから選ばれる1以上に備えられる物品の硬質表面用である。
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、光沢性を付与できる観点から、ステンレス製の物品、例えば、台所のシンクの洗浄に用いることが好ましい。
【0120】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記の物品により吐出させた本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の泡と硬質表面とを接触させることで行うことができる。
本発明では、防汚の効率性の観点から、泡比容が、好ましくは5mL/g以上、より好ましくは10mL/g以上であり、そして、経済性、使用性(消泡のし易さ)の観点から、好ましくは50mL/g以下、より好ましくは40mL/g以下、更に好ましくは30mL/g以下、より更に好ましくは20mL/g以下の泡を、硬質表面と接触させることが好ましい。
硬質表面にスプレー等で泡を吐出させた後、乾燥する方法が好ましい。必要に応じて、吐出した後、水ですすいでもよい。また、吐出した後、布、紙、スポンジなどの拭取用品を用いて硬質表面用洗浄剤組成物を拭き取ってもよい。
硬質表面に接触させる泡の量は、例えば、10cm2あたり、好ましくは0.001mL以上1mL以下、より好ましくは0.001mL以上0.1mL以下である。
【0121】
硬質表面を洗浄する際の温度は、防汚性能を高める観点、処理方法の容易性の観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは15℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
また、本発明の硬質表面の洗浄方法で洗浄された硬質表面は、防汚性能などを高める観点から、均一に処理されていることが好ましい。表面処理の均一性は、処理後の硬質表面を目視で観察することにより判断できる。
【実施例0122】
(c)成分のポリマーA及びポリマーBを、下記製造例1又は2に記載の方法で合成した。
<製造例1>
ポリマーAの製造は、特開平6-212597号と特公昭53-10539号を参考に組み合わせて所定のモル比になる様に合成した。
【0123】
<製造例2>
ポリマーBの製造は、下記工程1及び2に記載の方法で合成した。
(工程1)
内容量1000mLの4つ口フラスコにエタノール(和光純薬工業(株)製)を126.30g入れ、78℃に昇温して還流させた。ここにメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル(和光純薬工業(株)製)181.12g、メタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルジエチル硫酸塩(花王(株)製/90%水溶液)23.60g、エタノール53.20gを混合させた溶液と、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製)5.83g、エタノール10.00gを混合させた溶液をそれぞれ2時間かけて滴下した。4時間熟成させた後に冷却し、ポリマー溶液を得た。
【0124】
(工程2)
内容量1000mLの4つ口フラスコに、得られたポリマー溶液を94.70g、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.15g、水を150.00g添加し、50℃に昇温した。そこに1,3-プロパンスルトン(東京化成(株)製)38.70gを1時間かけて滴下して反応を行った。3時間熟成させた後に、90℃/20kPaで2時間減圧加熱することでエタノールを留去し、ポリマーBを含有する水溶液を得た。
【0125】
ポリマーBは、構成単位Dが、式(c3)中、以下の構造であり、構成単位Eが、式(c4)中、以下の構造であり、構成単位D/構成単位Eのモル比は95/5であった。
構成単位D:R14c=R15c=H、R16c=CH3、R17c=C2H4、R18c=R19c=CH3、X2c=O、X3c=R21cSO3
-、R21c=C3H6
構成単位E:R22c=R23c=H、R24c=CH3、X4c=O、R25c=C2H4、X5c=N+R26cR27cR28cX6c、R26c=R27c=CH3、R28c=C2H5、X6c=C2H5SO4
-
ポリマーBは、重量平均分子量が63,000であった。
【0126】
なお、ポリマーBの重量平均分子量は、以下の条件のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した。
カラム:TSKgel α-M(東ソー(株)製)を2本直列に連結して使用した。
カラム温度:40℃
溶離液:0.15molNa2SO4/1%CH3COOH/水
流量:1.0ml/分
検出器:示差屈折率計
標準物質:プルラン標準品
【0127】
また、ポリマーBの重量平均分子量は、SLS(静的光散乱法)により測定を行った。すなわち、光散乱光度計「DLS-7000」(大塚電子(株)製)を用いて、下記の条件で静的光散乱を測定し、Zimm-plotを作製することで算出した。また、分子量の算出に必要な屈折率増分は、示差屈折率計「DRM3000」(大塚電子(株)製)を用いて測定した。
波長:632.8nm(ヘリウム-ネオンレーザー)
散乱角:30°から150°まで10°おきに測定した。
温度:25℃
溶媒:トリフルオロエタノール
【0128】
<実施例1>
表1の各成分を用いて、表1に示す硬質表面用洗浄剤組成物を調製し、以下の項目について評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中の配合成分の質量%は、全て有効分に基づく数値である。
【0129】
<(a)成分>
・ラウリルジメチルアミンオキシド
・ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド
<(b)成分>
・塩化ベンザルコニウム(アルキル基の炭素数が8~16の混合物)
<(c)成分>
・ポリマーA:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/マレイン酸/SO2=70:25:5(モル比)、重量平均分子量30,000の共重合体
・ポリマーB: 前記製造例2で得られた共重合体
<(d)成分>
・アルキルポリグリコシド:アルキル(炭素数12~16)ポリグルコース(平均糖縮合度1~2)、製品名「AG124」、花王(株)製
・2-エチルヘキシルグリセリルエーテル
<その他成分>
・亜硫酸ナトリウム:神洲化学社製
・香料
・色素
【0130】
<除菌性能評価方法>
大腸菌(E. coli NBRC3972)をSCDLP寒天培地(Difco社製)上で1日培養し、更にSCDLP液体培地中で1日振盪培養した後、生理食塩水に懸濁させて、108~109CFU/mLの菌濃度に調製した。これを3%BSA水溶液と等量混合したものを試験菌液とした。
表1の実施例1-7の硬質表面用洗浄剤組成物100μLに対し試験菌液10μLを接種し、25℃で5分間接触させた後、10mLのSCDLP液体培地を加えて不活化した。
この不活化液1mLに対して適量のSCDLP寒天培地を流し入れて固めた後、37℃で24時間培養後の菌数をカウントした。この菌数を、「試験液の生菌数」とした。
また、表1の実施例1-7の硬質表面用洗浄剤組成物の代わりにイオン交換水を用いて同じ操作(水100μLに対して試験菌液10μLを接種し、5分間接触させた後に、10mLのSCDLP液体培地を加えて不活化)を行ったものを「ブランク(水)の生菌数」としてカウントし、下記式(1)から除菌活性値を求めた。除菌活性値の値が大きいほど除菌性能に優れることを意味する。
除菌活性値=Log(ブランク(水)の生菌数)-Log(試験液の生菌数) (1)
実施例1-7の除菌活性値は、2より大きく、十分な除菌性能を有していた。
また、実施例1-1~1-6の硬質表面用洗浄剤組成物は、実施例1-7の硬質表面用洗浄剤と同じ又はそれ以上の(b)成分を含んでおり、実施例1-7と同じ又はそれ以上の除菌性能を有する。
【0131】
<油汚れの洗浄性>
SUS基板(エンジニアリングテストサービス社製、10cm×10cm×1mm、アルカリ洗浄済み)に10mgの調理後揚げ物油を、片側全面塗布た。この油を塗布する前と塗布した後のSUS基板の質量を測定し、油を塗布する前後のSUS基板の質量増加量に基づいて、「初期油質量」を算出した。
市販のトリガー式スプレヤー(花王(株)社製バスマジックリンエアジェットトリガー(Lot.W0262011))を用いて、250cm2あたり1回の吐出量(約1mL)でSUS基板上の油に表1の硬質表面用洗浄剤組成物をスプレーし、すぐにSUS基板にキッチンペーパーを軽い力を加えて押し当て、SUS基板上を15往復させて、SUS基板上の硬質表面用洗浄剤組成物を拭き取った。前記の油を塗布する前のSUS基板の質量と、硬質表面用洗浄剤組成物を拭き取った後のSUS基板の質量との差に基づいて、「基板上に残留した油質量」を算出した。
下記式(2)から油汚れ除去率を求め、硬質表面用洗浄剤組成物の油汚れの洗浄性を評価した。油汚れ除去率が高いほど、硬質表面用洗浄剤組成物の油汚れの洗浄性が優れている。
油汚れ除去率(%)=〔1-(基板上に残留した油質量)/(初期油質量)〕×100 (2)
【0132】
<硬質表面の光沢(水膜保持性)>
SUS基板(エンジニアリングテストサービス社製、10cm×10cm×1mm、アルカリ洗浄済み)に表の硬質表面用洗浄剤組成物を2mL塗布し、スポンジで軽く塗り伸ばしながら1分間放置し、SUS基板上に前記組成物を片側全面塗布した。
次に、SUS基板を、該SUS基板の硬質表面用洗浄剤組成物塗布面を垂直にした状態で保持し、SUS基板表面を25℃のイオン交換水(流速2mL/秒)で5秒濯ぎ、濯ぎ後に、SUS基板に形成された水膜が完全に消失するまでの時間を計測した。水膜が完全に消失するとは、目視で、水が無くなることである。
なお、SUS基板上に水膜が形成されず、水滴となる場合は、水膜保持時間は0秒とした。
SUS基板上に水膜が形成されることで、SUS基板表面の防汚性が向上していることがわかる。また、SUS基板上に水膜が形成されることで、ウォータースポットの形成が抑制され、硬質表面の光沢性及び仕上がり性が向上する。更に、硬質表面における水膜保持時間が長いほど硬質表面の光沢性、防汚性及び仕上がり性が優れるといえる。
【0133】