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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036141
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】分別装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20240308BHJP
   B07B 4/08 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
B07B4/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140884
(22)【出願日】2022-09-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】390013457
【氏名又は名称】株式会社辰巳エヤーエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰廣
【テーマコード(参考)】
4D021
4F401
【Fターム(参考)】
4D021FA06
4D021GA02
4D021GA08
4D021GA13
4D021GA14
4D021GA29
4D021HA01
4F401AC20
4F401CA14
4F401CA29
4F401CA46
4F401CB35
4F401CB40
(57)【要約】
【課題】 繊維原材料に混在する樹脂粉粒体に遠心力を与えて放出させて繊維から分離し、樹脂粉粒体が混在しない繊維を得るようにする。
【解決手段】 樹脂粉粒体Kが混在する繊維原材料Hを取り入れるニップローラ3と、このニップローラ3に下方から近接していてニップローラ3で挟持搬送される繊維原材料Hの繊維Sを引っ掻きながら下方へ送るビータローラ4と、このビータローラ4の下方で樹脂粉粒体Kを分離する分離部5とを有する。前記分離部5は、ビータローラ4の外周を覆っていて繊維Sをビータローラ4の回転方向に案内するガイド面7aとビータローラ4からの樹脂粉粒体Kを遠心方向へ放出するグリッド隙間7bとをビータローラ4回転方向交互に複数配列したグリッド部材7と、このグリッド部材7の終端から繊維Sをビータローラ接線方向に放出する繊維シュート8とを設けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粉粒体(K)が混在する繊維原材料(H)を取り入れるニップローラ(3)と、このニップローラ(3)に下方から近接していてニップローラ(3)で挟持搬送される繊維原材料(H)の繊維(S)を引っ掻きながら下方へ送るビータローラ(4)と、このビータローラ(4)の下方で樹脂粉粒体(K)を分離する分離部(5)とを有しており、
前記分離部(5)は、ビータローラ(4)の外周を覆っていて繊維(S)をビータローラ(4)の回転方向に案内するガイド面(7a)とビータローラ(4)からの樹脂粉粒体(K)を遠心方向へ放出するグリッド隙間(7b)とをビータローラ回転方向交互に複数配列したグリッド部材(7)と、このグリッド部材(7)の終端から繊維(S)をビータローラ接線方向に放出する繊維シュート(8)とが設けられていることを特徴とする分別装置。
【請求項2】
前記分離部(5)の下方に、グリッド部材(7)の下方からグリッド隙間(7b)を通って繊維シュート(8)に至る空気の流れる空気流路(9)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
前記グリッド部材(7)は、一対の側板(7c)間にビータローラ回転方向にグリッド隙間(7b)をおいて断面略三角形のグリッドバー(7d)を複数併設しており、前記グリッドバー(7d)にガイド面(7a)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分別装置。
【請求項4】
前記ビータローラ(4)は、ローラ本体(4A)の外周に周方向間隔をおいて多数枚の鋸刃形状の掻き取り刃(11)が設けられており、隣り合う掻き取り刃(11)同士の刃の山(11)aがローラ軸(6)の軸心方向にずらされていることを特徴とする請求項1または2に記載の分別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維物に混在する粉粒体を分別(分離)する分別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防音材、フロアマット、カーペット等の樹脂固形部分に繊維層を接合した合成体は、粉砕機により樹脂固形部分を粉砕し、分離機により粉砕樹脂固形部分と繊維層とを分離し、、解繊機により繊維層を解繊し、粒状樹脂、解繊繊維として再生利用される。
【0003】
樹脂固形物と繊維物とを合体した合成体を粗破砕後にさらに分離回収する技術として、特許文献1に開示された分離回収装置がある。
【0004】
この分離回収装置は、粗破砕後に合成体を取り入れるニップローラと、このニップローラに下方から近接していてニップローラで挟持搬送される合成体を引っ掻きながら下方へ送るビータローラと、このビータローラの下方で合成体を樹脂固形物と繊維物とに分離する分離部とを有しており、前記分離部は、ビータローラのローラ軸の下方に位置してビータローラから送られる樹脂固形物を衝突させる当たり面と、この当たり面と対向する吸引口を有していてビータローラの下方から側方へ繊維物を吸引する吸引ダクトとが設けられている(請求項1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第7051178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来技術は、ビータローラから送られる樹脂固形物は当たり面に衝突してから落下し、吸引ダクトは側方から繊維物を吸引するので、落下する樹脂固形物には繊維物を吸引する空気流は影響を及ぼすことがなく、樹脂固形物の落下抵抗を減少でき、樹脂固形物と繊維物とを効率良く分離できる。
【0007】
しかしながら、前記従来技術は、樹脂固形物と繊維物とを重量比で空気分離しているため、樹脂固形物が比較的大きな粒子の場合は良好な分離ができるが、樹脂固形物が比較的小さな粒子である場合や、粒よりも小さな粉(粉末状)である場合は、重量比が小さくなって空気分離することが難しくなる。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした分別装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、繊維原材料に混在する樹脂粉粒体に遠心力を与えて放出させて繊維から分離し、樹脂粉粒体が混在しない繊維を得ることができるようにした分別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明における課題解決のための具体的手段は、樹脂粉粒体が混在する繊維原材料を取り入れるニップローラと、このニップローラに下方から近接していてニップローラで挟持搬送される繊維原材料の繊維を引っ掻きながら下方へ送るビータローラと、このビータローラの下方で樹脂粉粒体を分離する分離部とを有しており、
前記分離部は、ビータローラの外周を覆っていて繊維をビータローラの回転方向に案内するガイド面とビータローラからの樹脂粉粒体を遠心方向へ放出するグリッド隙間とをビータローラ回転方向交互に複数配列したグリッド部材と、このグリッド部材の終端から繊維をビータローラ接線方向に放出する繊維シュートとが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、繊維原材料に混在する樹脂粉粒体をビータローラの回転により遠心力を与えてグリッド隙間から放出させ、繊維から分離し、樹脂粉粒体が混在しない繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態を示す分別装置の全体正面図である。
図2】同要部の拡大正面図である。
図3】分離部の拡大正面図である。
図4】ニップルローラとビータローラの一部断面側面図である。
図5】分別装置の全体側面図である。
図6】分別装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1~6において、分別装置1は上下に連結された上ケーシング21及び下ケーシング22を架台20に取り付け、上ケーシング21の上部に原料供給ダクト23を接続しており、上ケーシング21内に、ニップローラ3と、ビータローラ4と、分離部5とを有し、下ケーシング22に粉粒体回収口26と空気取り入れ口29とが形成されている。
【0015】
前記分別装置1は、従来技術の分離回収装置もしくは他の分離装置に代えて、もしくは分離回収装置、分離装置の後処理用として、合成体再生利用システムの一部に適用される。従って、原料供給ダクト23には粉砕樹脂固形部分がおおまかに分離された繊維層(繊維原材料H、繊維、繊維塊)が供給される。
【0016】
原料供給ダクト23は上中下の3段ダクト31,32,33になっており、上段ダクト31は吸入ダクト部31aと空気排出ダクト部31bと下方案内ダクト部31cを有し、下方案内ダクト部31cの空気排出ダクト部31b側の当たり壁31dは吸入ダクト部31a側の壁より高く形成されていて、吸入ダクト部31aから吸引された繊維原材料Hを含有した空気が当たり壁31dに当たり、繊維原材料Hが下方案内ダクト部31c内に落下し、空気のみが空気排出ダクト部31bに逃げるようになっている。
【0017】
中段及び下段のダクト32,33は、上ケーシング21内に供給される繊維原材料Hの貯蓄用に使われ、側面には貯蓄量確認窓32a、33aが形成されている。なお、中段ダクト32及び下段ダクト33は同一形状に形成されており、一方のみを配置しておいてもよい。
【0018】
上ケーシング21内のニップローラ3は、下段ダクト33内に貯留されている繊維原材料Hを最初に取り入れる1対の取入ローラ3Aと、取り入れた繊維原材料Hを一方の取入ローラ3Aとともに挟持してビータローラ4に供給する第3ニップローラ3Cとを有している。
【0019】
前記ニップローラ3は架台20上の第1モータ27によって駆動され、ビータローラ4は第2モータ28によって駆動されている。
【0020】
1対の取入ローラ3Aは第3ニップローラ3Cより大径であり、繊維原材料Hを挟持することにより下方へ供給する。ビータローラ4はこの1対の取入ローラ3Aの挟持点の下方に配置することもできるが、取入ローラ3Aは比較的に大径であるが故に、1対の取入ローラ3Aの挟持点からビータローラ4までの距離が比較的に長くなる。この距離を縮めるために第3ニップローラ3Cが設けられている。
【0021】
前記第3ニップローラ3Cは、1対の取入ローラ3Aで取り入れた繊維原材料Hを、一方の取入ローラ3Aと相まって挟持してビータローラ4に供給するものであり、第3ニップローラ3Cは取入ローラ3Aより小径であるが故に、一方の取入ローラ3Aとの間の挟持点からビータローラ4までの距離が、前記1対の取入ローラ3Aの挟持点からビータローラ4までの距離より短くできる。
【0022】
第3ニップローラ3Cと一方の取入ローラ3Aとの間の挟持点からビータローラ4までの距離が短いことは、ビータローラ4で引っ掻くときに繊維原材料Hがより長く挟持されている、またはより小さな繊維原材料Hでも挟持しておける、ということになり、ビータローラ4による引っ掻き効率が向上する。
【0023】
図1~5において、前記ビータローラ4は、ローラ本体4Aがローラ軸6に装着され、ローラ本体4Aの外周に周方向等間隔に多数枚の掻き取り刃11が平行に設けられている。前記ローラ軸6は3本のニップローラ3と平行に上ケーシング21に回転自在に支持されている。
【0024】
掻き取り刃11は直線的な鋸刃形状であり、隣り合う掻き取り刃11同士の刃の山11aがローラ軸6の軸心方向に半山ピッチだけずらされている。隣り合う掻き取り刃11同士の刃の山11aは半山ピッチ以外のずれ量でもよく、ずれ量がなくても繊維原材料Hの引っ掻きは可能であるが、半山ピッチのずれにすることにより、刃の山11a間での繊維原材料Hの詰まりを減少できる。
【0025】
ビータローラ4は取入ローラ3Aよりも高速かつ強力に回転し、その外周の多数枚の掻き取り刃11の多数の刃の山11aで繊維原材料Hの繊維Sを、引っ掻き、引き離し、解し、繊維相互のずれ動きを生じさせることができる。
【0026】
分離回収装置等で分離された繊維原材料Hは、大粒の粒子より小さい樹脂粉粒体(プラスチック粒子、粉末)が分離排除されずに残留し、繊維Sの表面に付着していたり、塊、絡まりになった繊維S内に包含されていて、樹脂粉粒体Kが混在された繊維集合体となっていることがある。
【0027】
そのような繊維原材料Hを第3ニップローラ3Cと取入ローラ3Aとで挟持しかつ送り出しながらビータローラ4で引っ掻くと、ビータローラ4の刃の山11aが繊維Sの間に入って繊維Sの表面をこすり、塊、絡まりから1本ずつ引き出して包含していた樹脂粉粒体Kを開放する。
【0028】
掻き取り刃11によって掻き取られた繊維S及び樹脂粉粒体Kは、ビータローラ4の掻き取り刃11間の空間にばらけた(解放)された状態で収納され、ビータローラ4の回転によって遠心力を受けながら下方へ搬送される。
【0029】
一方の取入ローラ3A、第3ニップローラ3C及びビータローラ4の一側外面を覆うようにガイド板38が設けられ、このガイド板38の下部からビータローラ4の下半分を覆うように分離部5が形成されている。
【0030】
この分離部5は、ビータローラ4の下部外周を覆うグリッド部材7と、このグリッド部材7の終端からビータローラ接線方向に延びる繊維シュート8とを有する。
【0031】
グリッド部材7は、一対の側板7c間にビータローラ回転方向にグリッド隙間7bをおいて断面略三角形のグリッドバー7dを複数本併設しており、前記グリッドバー7dにガイド面7aが形成されている。前記グリッド隙間7b及びグリッドバー7dはビータローラ4の略全長に亘る長さになっている。
【0032】
グリッドバー7dは断面L字状のアングル材にL字の両端を連結する帯板を固着して断面中空三角形状に形成し、その長手方向両端を側板7cに形成した略三角形の孔に挿入して固定しており、ビータローラ4に面する面が繊維Sの放出を規制して繊維シュート8まで案内するガイド面7aとなり、間隔をおいて配置するその間隙が樹脂粉粒体Kを遠心方向へ放出するグリッド隙間7bとなる。
【0033】
ビータローラ4の掻き取り刃11間の空間にばらけた状態で収納された繊維S及び樹脂粉粒体Kは、ビータローラ4の回転搬送により遠心力と回転力とが付与されており、繊維Sより僅かに比重の大きい樹脂粉粒体Kは遠心力によりグリッド隙間7bから落下し、繊維Sから分別(分離)され、樹脂粉粒体Kより僅かに比重が小さくかつ細長形状の繊維Sはガイド面7aに当たってグリッド隙間7bからの落下が規制され、かつ回転力により繊維シュート8方向への搬送が確保される。
【0034】
グリッド部材7は、パンチングメタルを用いたり、フラットバーを間隔をおいて多数枚併設したりしても形成できるが、断面略三角形のグリッドバー7dにすることにより、繊維Sが跨って引っ掛かったりすることがなく、強度も向上する。
【0035】
繊維シュート8は始端開口8aがビータローラ4の外方に位置し、その始端開口8aからビータローラ接線方向(例えば、始端開口8aから仰角20~50度の上向き傾斜方向。)に延びているので、グリッド部材7のガイド面7aに案内されて回転してきた繊維Sは、その案内から解放されて遠心力及び回転力を受けて始端開口8aから繊維シュート8内に入ることができる。
【0036】
このビータローラ4から繊維シュート8への繊維Sの放出は、掻き取り刃11間の空気の流れを伴うものであるが、ビータローラ4の下方空間が密閉されていない限り、十分な空気量が確保できる。
【0037】
下ケーシング22は側面視略漏斗形状であり、その下部にグリッド隙間7bを通って落下してくる樹脂粉粒体Kを集合して取り出すための粉粒体回収口26が形成されており、その側面には外気を下ケーシング22内に取り入れる空気取り入れ口29が形成されている。
【0038】
前記空気取り入れ口29はビータローラ4の下方空間を密閉しないための開口であり、この空気取り入れ口29から入った空気は、グリッド部材7の下方に至り、グリッド隙間7bを通って掻き取り刃11間に入り、繊維Sとともに繊維シュート8へ放出されることになる。
【0039】
即ち、空気取り入れ口29を形成することにより、分離部5には、グリッド部材7の下方からグリッド隙間7bを通って繊維シュート8に至る空気の流れる空気流路9が形成されることになる。
【0040】
前記グリッド隙間7b内に入る空気は、力のある積極的な送風ではないので、グリッド隙間7bからの樹脂粉粒体Kの落下を阻害するものではなく、繊維Sを落下規制しながら繊維シュート8への案内を促進できる。
【0041】
前述した実施形態においては、樹脂粉粒体Kが混在する繊維原材料Hを取り入れるニップローラ3と、このニップローラ3に下方から近接していてニップローラ3で挟持搬送される繊維原材料Hの繊維Sを引っ掻きながら下方へ送るビータローラ4と、このビータローラ4の下方で樹脂粉粒体Kを分離する分離部5とを有しており、前記分離部5は、ビータローラ4の外周を覆っていて繊維Sをビータローラ4の回転方向に案内するガイド面7aとビータローラ4からの樹脂粉粒体Kを遠心方向へ放出するグリッド隙間7bとをビータローラ4回転方向交互に複数配列したグリッド部材7と、このグリッド部材7の終端から繊維Sをビータローラ接線方向に放出する繊維シュート8とが設けられている。
【0042】
この構成によって、繊維原材料Hに混在する樹脂粉粒体Kをビータローラ4の回転により遠心力を与えてグリッド隙間7bから放出させ、繊維Sから分離除去し、樹脂粉粒体Kが混在しない繊維Sを得ることができる。
【0043】
また、前記実施形態においては、分離部5の下方に、グリッド部材7の下方からグリッド隙間7bを通って繊維シュート8に至る空気の流れる空気流路9が形成されている。
【0044】
この構成によって、グリッド隙間7bに繊維シュート8に至る空気が流通するので、グリッド隙間7bから樹脂粉粒体Kとともに放出されようとする繊維Sの放出を規制でき、繊維Sを繊維シュート8へ確実に案内できる。
【0045】
さらに、前記実施形態においては、グリッド部材7は、一対の側板7c間にビータローラ回転方向にグリッド隙間7bをおいて断面略三角形のグリッドバー7dを複数併設しており、前記グリッドバー7dにガイド面7aが形成されている。
【0046】
この構成によって、グリッドバー7dを強固に形成できるとともに、グリッドバー7dへの繊維Sの跨がり、引っかかりを防止できる。
【0047】
さらにまた、前記実施形態においては、ビータローラ4は、ローラ本体4Aの外周に周方向間隔をおいて多数枚の鋸刃形状の掻き取り刃11が設けられており、隣り合う掻き取り刃11同士の刃の山11aがローラ軸6の軸心方向にずらされている。
【0048】
この構成によって、ビータローラ4の掻き取り刃11で繊維原材料Hを引っ掻き、繊維Sの表面をこすり、塊、絡まりを解体することができる。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0050】
例えば、グリッド部材7は、断面中空三角形状材の代わりに、断面中実三角形状材や、断面円形または断面楕円形の棒材またはパイプ材を用いてもよい。
【0051】
空気流路9を形成するための空気取り入れ口29は、上ケーシング21の下部または下ケーシング22の上部等に多数の小孔または隙間を設けることにより形成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 分別装置
3 ニップローラ
3A 取入ローラ
3C 第3ニップローラ
4 ビータローラ
4A ローラ本体
5 分離部
6 ローラ軸
7 グリッド部材
7a ガイド面
7b グリッド隙間
7c 側板
7d グリッドバー
8 繊維シュート
9 空気流路
11 掻き取り刃
11a 刃の山
20 架台
21 上ケーシング
22 下ケーシング
23 原料供給ダクト
26 粉粒体回収口
29 空気取り入れ口
31 上段ダクト
31a 吸入ダクト部
31b 空気排出ダクト部
31c 下方案内ダクト部
31d 当たり壁
32 中段ダクト
33 下段ダクト
38 ガイド板
H 繊維原材料
K 樹脂粉粒体
S 繊維
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粉粒体(K)が混在する繊維原材料(H)を取り入れるニップローラ(3)と、このニップローラ(3)に下方から近接していてニップローラ(3)で挟持搬送される繊維原材料(H)の繊維(S)を引っ掻きながら下方へ送るビータローラ(4)と、このビータローラ(4)の下方で樹脂粉粒体(K)を分離する分離部(5)とを有しており、
前記分離部(5)は、ビータローラ(4)の外周を覆っていて繊維(S)をビータローラ(4)の回転方向に案内するガイド面(7a)とビータローラ(4)からの樹脂粉粒体(K)を遠心方向へ放出するグリッド隙間(7b)とをビータローラ回転方向交互に複数配列したグリッド部材(7)と、このグリッド部材(7)の終端から繊維(S)をビータローラ接線方向に放出する繊維シュート(8)とが設けられており、
前記分離部(5)の下方に、グリッド部材(7)の下方からグリッド隙間(7b)を通って繊維シュート(8)に至る空気の流れる空気流路(9)が形成されていることを特徴とする分別装置。
【請求項2】
前記グリッド部材(7)は、一対の側板(7c)間にビータローラ回転方向にグリッド隙間(7b)をおいて断面略三角形のグリッドバー(7d)を複数併設しており、前記グリッドバー(7d)にガイド面(7a)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
前記ビータローラ(4)は、ローラ本体(4A)の外周に周方向間隔をおいて多数枚の鋸刃形状の掻き取り刃(11)が設けられており、隣り合う掻き取り刃(11)同士の刃の山(11)aがローラ軸(6)の軸心方向にずらされていることを特徴とする請求項1または2に記載の分別装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明における課題解決のための具体的手段は、樹脂粉粒体が混在する繊維原材料を取り入れるニップローラと、このニップローラに下方から近接していてニップローラで挟持搬送される繊維原材料の繊維を引っ掻きながら下方へ送るビータローラと、このビータローラの下方で樹脂粉粒体を分離する分離部とを有しており、
前記分離部は、ビータローラの外周を覆っていて繊維をビータローラの回転方向に案内するガイド面とビータローラからの樹脂粉粒体を遠心方向へ放出するグリッド隙間とをビータローラ回転方向交互に複数配列したグリッド部材と、このグリッド部材の終端から繊維をビータローラ接線方向に放出する繊維シュートとが設けられており、前記分離部の下方に、グリッド部材の下方からグリッド隙間を通って繊維シュートに至る空気の流れる空気流路が形成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明によれば、繊維原材料に混在する樹脂粉粒体をビータローラの回転により遠心力を与えてグリッド隙間から放出させ、繊維から分離し、樹脂粉粒体が混在しない繊維を得ることができる。また、グリッド隙間に繊維シュートに至る空気が流通するので、グリッド隙間から樹脂粉粒体とともに放出されようとする繊維の放出を規制でき、繊維を繊維シュートへ確実に案内できる。