(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036145
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】引込盤用ボックス
(51)【国際特許分類】
H02B 1/30 20060101AFI20240308BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H02B1/30 F
H02B1/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140894
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】富田 寿彦
【テーマコード(参考)】
5G016
5G211
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016AA09
5G016CB07
5G211AA01
5G211AA02
5G211AA11
5G211AA12
5G211AA17
5G211AA18
5G211BB08
5G211BB09
5G211BB10
5G211BB11
5G211GG08
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】電力量計、分電部、および複数種の弱電部と、を一括してまとめて収納できる引込盤用ボックスを提供する。
【解決手段】引込盤用ボックス5は、第1収納部51と、第2収納部52と、第3収納部53と、を備える。第1収納部は、電力量計ユニット6として複数の電力量計6aを収納する。第2収納部は、複数の電力量計6aに接続されて電力を区分する分電部7を収納する。第3収納部は、弱電ユニット(複数種の弱電部)8として電話回線8aおよびインターネット回線8bを収納する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を計量する電力量計を収納する第1収納部と、
前記電力量計に接続されて電力を区分する分電部を収納する第2収納部と、
電話回線およびインターネット回線などの複数種の弱電部を収納する第3収納部と、を備える、
ことを特徴とする引込盤用ボックス。
【請求項2】
前記第1収納部と前記第2収納部とが第1仕切部で仕切られ、前記第2収納部と前記第3収納部とが第2仕切部で仕切られることにより、
前記第1収納部、前記第2収納部、および前記第3収納部の各正面が第1開口部、第2開口部、および第3開口部で開口され、
前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部を開閉する第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の引込盤用ボックス。
【請求項3】
前記第1開き扉、前記第2開き扉、および前記第3開き扉は、前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部に一端が蝶番により開閉可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の引込盤用ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引込盤用ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集合住宅に供給する電力は、階段や通路などの共有部と、各住居部とに区分けされて供給される。具体的には、例えば、集合住宅に供給する電力は、屋外より配電線が集合住宅の外壁に設けられた集合住宅用引込盤に引き込まれる。集合住宅用引込盤は、例えば、引込盤用ボックスと、共有部用分電部と、各住居部用分電部と、電話用引込部(以下、電話回線ということがある)と、を備えている。引込盤用ボックスは、例えば、集合住宅の外壁にボックス本体が取り付けられ、ボックス本体の正面に開口部が形成され、開口部が開き扉により開閉可能に構成されている。引込盤用ボックスには、共有部用分電部、各住居部用分電部、および電話回線(すなわち、通信機器)が収容されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
集合住宅用引込盤に引き込まれた電力は、共有部用分電部の電力量計および開閉器から集合住宅の共有部に電力を供給する。また、集合住宅用引込盤に引き込まれた電力は、各住居部用分電部の幹線分岐用の開閉器から各住居部に電力を供給する。さらに、電話回線は、電話端子台や保安器などを通して各住居部に配線される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、例えば、通信機器としてインターネットなどを各住居部で使用可能とすることが考えられる。この場合、インターネット回線を備えた情報盤を集合住宅用引込盤とは個別に集合住宅の外壁に取り付ける必要がある。このため、集合住宅の外壁には集合住宅用引込盤に加えてインターネット回線用の情報盤が取り付けられ、集合住宅において外観の美観が損なわれることが考えられる。
また、集合住宅の外壁に集合住宅用引込盤と情報盤とを取り付ける工事、施工に多くの手間がかかり、この観点からも改良の余地が残されている。
なお、電話回線およびインターネット回線などの通信機器をまとめて「複数種の弱電部」ということがある。
【0006】
本発明は、電力量計、分電部、および複数種の弱電部を一括してまとめて収納できる引込盤用ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る引込盤用ボックスは、電力を計量する電力量計を収納する第1収納部と、前記電力量計に接続されて電力を区分する分電部を収納する第2収納部と、電話回線およびインターネット回線などの複数種の弱電部を収納する第3収納部と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、引込盤用ボックスに第1収納部、第2収納部、および第3収納部を備えた。第1収納部には電力量計が収納される。第2収納部には分電部が収納される。第3収納部には複数種の弱電部が収納される。
これにより、電力量計、分電部、および複数種の弱電部を引込盤用ボックスに一括してまとめて収納できる。よって、集合住宅の外壁に複数の引込盤用のボックスを取り付ける必要がない。これにより、集合住宅において外観の美観を高めることができ、引込盤用ボックスを取り付ける工事や施工にかける手間を簡素化できる。
【0009】
(2)上記態様において、前記第1収納部と前記第2収納部とが第1仕切部で仕切られ、前記第2収納部と前記第3収納部とが第2仕切部で仕切られることにより、前記第1収納部、前記第2収納部、および前記第3収納部の各正面が第1開口部、第2開口部、および第3開口部で開口され、前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部を開閉する第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉を備えていてもよい。
【0010】
この構成によれば、第1収納部、第2収納部、および第3収納部の各正面を、第1開口部、第2開口部、および第3開口部でそれぞれ個別に分割して開口させた。さらに、第1開口部、第2開口部、および第3開口部を開閉する開き扉を、それぞれの開口部に対応させて第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉に分割した。
【0011】
よって、第1開口部、第2開口部、および第3開口部を、第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉でそれぞれ個別に開閉できる。これにより、第1開き扉を開いて第1開口部を開口させることにより、第1収納部に収納された電力量計を第1開口部から保守点検(メンテナンス)できる。また、第2開き扉を開いて第2開口部を開口させることにより、第2収納部に収納された分電部を第2開口部から保守点検できる。さらに、第3開き扉を開いて第3開口部を開口させることにより、第3収納部に収納された複数種の弱電部を第3開口部から保守点検できる。
【0012】
すなわち、第1開き扉、第2開き扉、第3開き扉のうちから電力量計、分電部、複数種の弱電部に対応する開き扉のみを開くことにより、電力量計、分電部、複数種の弱電部のいずれかを保守点検できる。これにより、電力量計、分電部、複数種の弱電部の保守点検にかける手間を簡素化できる。
【0013】
(3)上記態様において、前記第1開き扉、前記第2開き扉、および前記第3開き扉は、前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部に一端が蝶番により開閉可能に支持されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉の一端を蝶番により開閉可能に支持した。よって、第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉を、第1開口部、第2開口部、および第3開口部から取り外すことなく開くことができる。これにより、第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉を簡単に開くことができ、電力量計、分電部、複数種の弱電部の保守点検にかける手間を一層簡素化できる。
【0015】
さらに、第1開口部、第2開口部、および第3開口部を開閉する開き扉を、それぞれの開口部に対応させて第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉に分割した。よって、第1開き扉、第2開き扉、および第3開き扉の幅寸法を小さく抑えることができる。
ここで、第1開き扉、第2開き扉、第3開き扉は、蝶番を軸にして開閉可能に支持されている。よって、第1開き扉、第2開き扉、第3開き扉を開いた状態において、第1開き扉、第2開き扉、第3開き扉が第1開口部、第2開口部、および第3開口部から突出する突出寸法を小さく抑えることができる。
これにより、第1開き扉、第2開き扉、第3開き扉を開けて電力量計、分電部、複数種の弱電部を保守点検する空間を小さく抑えることができる。したがって、引込盤用ボックスの設置箇所の拡大を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、引込盤用ボックスに第1収納部、第2収納部、および第3収納部を備えた。これにより、電力量計、分電部、および複数種の弱電部を一括してまとめて収納できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る一実施形態の引込盤用ボックスを備えた集合住宅用引込盤を示す正面図である。
【
図2】一実施形態の引込盤用ボックスから開き扉ユニットを外した状態を示す斜視図である。
【
図3】一実施形態の引込盤用ボックスを下方からみた斜視図である。
【
図4】
図1のIV-IV線に沿って破断した断面図である。
【
図5】一実施形態の変形例における引込盤用ボックスを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて引込盤用ボックスを説明する。なお、図面において、引込盤用ボックスの正面に対向した利用者の左側を引込盤用ボックスの左方向、利用者の右側を引込盤用ボックスの右方向とし、左方向を矢印Lで示し、右方向を矢印Rで示す。また、引込盤用ボックスの正面側を前方、引込盤用ボックスの背面側を後方とし、前方を矢印Frで示し、後方を矢印Reで示す。さらに、引込盤用ボックスの頂部側を上方、底部側を下方とし、上方を矢印Uで示し、下方を矢印Dで示す。
【0019】
<集合住宅用引込盤>
図1、
図2に示すように、集合住宅用引込盤1は、例えば、集合住宅の共有部においてコンクリートベースなどの設置部2に設置されて側壁3に取り付けられる。集合住宅用引込盤1は、例えば、引込盤用ボックス5と、電力量計ユニット6と、分電部7(
図4参照)と、弱電ユニット(複数種の弱電部)8(
図4参照)と、を備える。
【0020】
<引込盤用ボックス>
引込盤用ボックス5は、内部に収納空間が形成され、収納空間に電力量計ユニット6、分電部7、および弱電ユニット8が収納される。引込盤用ボックス5は、架台11と、ボックス本体12と、を備えている。
【0021】
<架台>
図1から
図3に示すように、架台11は、ボックス本体12の下部に設けられている。架台11は、例えば、集合住宅の共有部において設置部2に設置可能に形成されている。架台11は、一対の脚部15と、化粧パネル16と、を備えている。
一対の脚部15は、上端部15aがボックス本体12の底部42に左右方向に間隔をあけて固定されている。また、一対の脚部15は、下端部15bが設置部2に設置されている。よって、一対の脚部15によりボックス本体12が支持される。一対の脚部15は化粧パネル16により覆われている。
【0022】
化粧パネル16は、パネル頂部21と、パネル正面部22と、パネル左側面部23と、パネル右側面部24と、を有する。パネル頂部21は、平面視においてU字状に形成され、ボックス本体12の底部42に取り付けられている。パネル頂部21から下方に向けてパネル正面部22、パネル左側面部23、およびパネル右側面部24が延びている。パネル正面部22は、引込盤用ボックス5の下部において正面を覆うように形成されている。
【0023】
パネル左側面部23は、引込盤用ボックス5の下部において左側面を覆うように形成されている。パネル右側面部24は、引込盤用ボックス5の下部において右側面を覆うように形成されている。
これにより、一対の脚部15は、化粧パネル16のパネル正面部22、パネル左側面部23、およびパネル右側面部24により、引込盤用ボックス5の正面側、左側面側、および右側面側から目視できないように覆われている。
【0024】
<ボックス本体>
図1、
図2、
図4に示すように、ボックス本体12は、一対の脚部15により支持され、集合住宅において共有部の側壁3に取り付けられる。ボックス本体12には、収納空間に電力量計ユニット6、分電部7、および弱電ユニット8が収納される。具体的には、ボックス本体12は、筐体31と、開き扉ユニット32と、を備える。
【0025】
<筐体>
筐体31は、周面部41と、底部42と、頂部43と、第1支持部44と、第2支持部45と、第1仕切パネル(第1仕切部)46と、第2仕切パネル(第2仕切部)47と、を備えている。
周面部41は、背面部41aと、左側面部41bと、右側面部41cと、を備えている。背面部41aは、筐体31の背面を塞ぐように形成されている。左側面部41bは、例えば、背面部41aの左端から前方に向けて折り曲げられることにより、筐体31の左側面を塞ぐように張り出されている。右側面部41cは、例えば、背面部41aの右端から前方に向けて折り曲げられることにより、筐体31の右側面を塞ぐように張り出されている。
【0026】
周面部41の下端に底部42が設けられている。底部42は、筐体31の下端を塞ぐように形成されている。底部42には、一対の脚部15の上端部15aおよび化粧パネル16のパネル頂部21(
図3参照)が取り付けられている。また、周面部41の上端に頂部43が設けられている。頂部43は、筐体31の上端を塞ぐように形成されている。すなわち、筐体31は、背面、左側面、および右側面が周面部41で塞がれ、下端および上端が底部42および頂部43で塞がれている。
また、筐体31は、正面が開口部48により開口されている。開口部48には、第1支持部44および第2支持部45が上下方向に向けて設けられている。
【0027】
第1支持部44は、左側面部41bに対して右側に間隔をあけて配置され、頂部43と底部42とに取り付けられている。第2支持部45は、右側面部41cに対して左側に間隔をあけて配置され、頂部43と底部42とに取り付けられている。また、第1支持部44および第2支持部45は、左右方向において間隔をあけて設けられている。
よって、筐体31は、開口部48が第1支持部44および第2支持部45により第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cの3つに分割されている。
具体的には、第1開口部48aは、左側面部41bおよび第1支持部44の間に形成されている。第2開口部48bは、第1支持部44および第2支持部45の間に形成されている。第3開口部48cは、第2支持部45および右側面部41cの間に形成されている。
【0028】
第1支持部44から背面部41aに向けて第1仕切パネル46が張り出されている。第2支持部45から背面部41aに向けて第2仕切パネル47が張り出されている。よって、筐体31は、第1仕切パネル46および第2仕切パネル47により、内部の収納空間が第1収納部(スペース)51、第2収納部(スペース)52、および第3収納部(スペース)53に仕切られている。
すなわち、筐体31は、第1仕切パネル46および第2仕切パネル47により内部の収納空間が第1収納部51、第2収納部52、および第3収納部53の3つに分割されている。換言すれば、筐体31は、第1収納部51、第2収納部52、および第3収納部53を備える。
【0029】
また、第1収納部51は、正面(手前側)が第1開口部48aにより開口されている。第2収納部52は、正面(手前側)が第2開口部48bにより開口されている。第3収納部53は、正面(手前側)が第3開口部48cにより開口されている。
すなわち、第1収納部51、第2収納部52、および第3収納部53は、各正面が第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cでそれぞれ個別に分割して開口されている。
【0030】
筐体31は、背面部41aのうち第1収納部51に対向する部位に木製の第1取付板56が設けられている。また、筐体31は、背面部41aのうち第2収納部52に対向する部位に木製の第2取付板57が設けられている。さらに、筐体31は、背面部41aのうち第3収納部53に対向する部位に木製の第3取付板58が設けられている。
【0031】
<開き扉ユニット>
筐体31の開口部48には開き扉ユニット32が設けられている。開き扉ユニット32は、第1開き扉61と、第2開き扉62と、第3開き扉63と、を備える。実施形態では、開き扉ユニット32として第1開き扉61、第2開き扉62、第3開き扉63の3つの開き扉を例に説明するが、開き扉ユニット32は3つの開き扉に限らない。
【0032】
<第1開き扉>
第1開き扉61は、後述する第1左側面部(一端)61bが第1開口部48aに第1ヒンジ(蝶番)65により支持されている。第1開き扉61は、第1正面部61aと、第1左側面部61bと、第1右側面部61cと、を備えている。
第1正面部61aは、第1開き扉61が閉じられた状態において、第1開口部48aの正面前方に位置し、第1開口部48aを前方から覆うように平坦に形成されている。第1正面部61aは、中央に開口部61dが形成され、開口部61dに透明パネル68(例えば、ガラス板)が取り付けられている。
【0033】
第1左側面部61bは、例えば、第1正面部61aの左端から折り曲げられることにより、後方に向けて張り出されている。第1左側面部61bは、第1ヒンジ65を介して第1開口部48aの左端に前後方向へ回転可能に支持されている。第1ヒンジ65は、第1ヒンジ軸65aが第1左側面部61bにおいて後部に設けられている。よって、第1左側面部61bは、前部において第1正面部61aとの交差部が緩やかな湾曲に折り曲げられた第1左湾曲部61eに形成されている。
第1右側面部61cは、例えば、第1正面部61aの右端から折り曲げられることにより、後方に向けて張り出されている。第1右側面部61cは、前部において第1正面部61aとの交差部が急な湾曲に折り曲げられた第1右湾曲部61fに形成されている。
【0034】
すなわち、第1開き扉61は、第1正面部61a、第1左側面部61b、および第1右側面部61cにより断面U字状に形成されている。また、第1開き扉61は、第1ヒンジ軸65aを軸にして矢印A方向に開閉可能に第1開口部48aの左端に支持されている。よって、第1開き扉61を矢印A方向に開閉することにより、第1開口部48aを第1開き扉61により開閉することが可能である。
【0035】
また、第1開き扉61は、第1正面部61aの右端部において、上下方向の中央に第1開き扉61を開閉するための第1把手71が取り付けられている。第1把手71には第1ロック操作部(図示せず)が設けられている。第1ロック操作部を操作することにより、第1開き扉61の第1ロック機構(図示せず)が作動して第1開き扉61を閉位置にロックする。この状態において、第1開き扉61により第1開口部48aが閉じられる。第1ロック操作部および第1ロック機構は一般に使用されている構成である。
【0036】
<第2開き扉>
第2開き扉62は、後述する第2左側面部(一端)62bが第2開口部48bに第2ヒンジ(蝶番)66により支持されている。第2開き扉62は、第2正面部62aと、第2左側面部62bと、第2右側面部62cと、を備えている。
第2正面部62aは、第2開き扉62が閉じられた状態において、第2開口部48bの正面前方に位置し、第2開口部48bを前方から覆うように平坦に形成されている。
【0037】
第2左側面部62bは、例えば、第2正面部62aの左端から折り曲げられることにより、後方に向けて張り出されている。第2左側面部62bは、第2ヒンジ66を介して第2開口部48bの左端に前後方向へ回転可能に支持されている。第2ヒンジ66は、第2ヒンジ軸66aが第2左側面部62bにおいて前部に設けられている。また、第2左側面部62bは、前部において第2正面部62aとの交差部が急な湾曲に折り曲げられた第2左湾曲部62dに形成されている。
【0038】
第2右側面部62cは、例えば、第2正面部62aの右端から折り曲げられることにより、後方に向けて張り出されている。第2右側面部62cは、前部において第2正面部62aとの交差部が急な湾曲に折り曲げられた第2右湾曲部62eに形成されている。
【0039】
すなわち、第2開き扉62は、第2正面部62a、第2左側面部62b、および第2右側面部62cにより断面U字状に形成されている。また、第2開き扉62は、第2ヒンジ軸66aを軸にして矢印B方向に開閉可能に第2開口部48bの左端に支持されている。よって、第2開き扉62を矢印B方向に開閉することにより、第2開口部48bを第2開き扉62により開閉することが可能である。
【0040】
また、第2開き扉62は、第2正面部62aの右端部において、上下方向の中央に第2開き扉62を開閉するための第2把手72が取り付けられている。第2把手72には第2ロック操作部(図示せず)が設けられている。第2ロック操作部を操作することにより、第2開き扉62の第2ロック機構(図示せず)が作動して第2開き扉62を閉位置にロックする。この状態において、第2開き扉62により第2開口部48bが閉じられる。第2ロック操作部および第2ロック機構は一般に使用されている構成である。
【0041】
<第3開き扉>
第3開き扉63は、後述する第3右側面部(一端)63cが第3開口部48cに第3ヒンジ(蝶番)67により支持されている。第3開き扉63は、第3正面部63aと、第3左側面部63bと、第3右側面部63cと、を備えている。
第3正面部63aは、第3開き扉63が閉じられた状態において、第3開口部48cの正面前方に位置し、第3開口部48cを前方から覆うように平坦に形成されている。
【0042】
第3左側面部63bは、例えば、第3正面部63aの左端から折り曲げられることにより、後方に向けて張り出されている。第3左側面部63bは、前部において第3正面部63aとの交差部が急な湾曲に折り曲げられた第3左湾曲部63dに形成されている。
【0043】
第3右側面部63cは、例えば、第3正面部63aの右端から折り曲げられることにより、後方に向けて張り出されている。第3右側面部63cは、第3ヒンジ67を介して第3開口部48cの右端に前後方向へ回転可能に支持されている。第3ヒンジ67は、第1ヒンジ65に対して左右対称に形成されている。
第3ヒンジ67は、第3ヒンジ軸67aが第1右側面部61cにおいて後部に設けられている。よって、第3右側面部63cは、前部において第3正面部63aとの交差部が緩やかな湾曲に折り曲げられた第3右湾曲部63eに形成されている。
【0044】
すなわち、第3開き扉63は、第3正面部63a、第3左側面部63b、および第3右側面部63cにより断面U字状に形成されている。また、第3開き扉63は、第3ヒンジ軸67aを軸にして矢印C方向に開閉可能に第3開口部48cの右端に支持されている。よって、第3開き扉63を矢印C方向に開閉することにより、第3開口部48cを第3開き扉63により開閉することが可能である。
【0045】
また、第3開き扉63は、第3正面部63aの左端部において、上下方向の中央に第3開き扉63を開閉するための第3把手73が取り付けられている。第3把手73には第3ロック操作部(図示せず)が設けられている。第3ロック操作部を操作することにより、第3開き扉63の第3ロック機構(図示せず)が作動して第3開き扉63を閉位置にロックする。この状態において、第3開き扉63により第3開口部48cが閉じられる。第3ロック操作部および第3ロック機構は一般に使用されている構成である。
【0046】
このように、開き扉ユニット32は、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cを開閉する開き扉が、それぞれの開口部48a,48b,48cに対応させて第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63に分割されている。
ここで、開き扉ユニット32は、第1開き扉61の第1右湾曲部61fおよび第2開き扉62の第2左湾曲部62dが急な湾曲に折り曲げられている。また、第1右側面部61cおよび第2左側面部62bの間隔S1が、第1開き扉61および第2開き扉62の開閉可能の範囲において最小に設定されている。
【0047】
さらに、第2開き扉62の第2右湾曲部62eおよび第3開き扉63の第3左湾曲部63dが急な湾曲に折り曲げられている。また、第2右側面部62cおよび第3左側面部63bの間隔S2が、第2開き扉62および第3開き扉63の開閉可能の範囲において最小に設定されている。
よって、開き扉ユニット32は、第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63が閉じられた状態において、第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63の統一性(一体感)が高められている。よって、引込盤用ボックス5の意匠性が高められている。
【0048】
また、開き扉ユニット32は、第1開き扉61の第1左湾曲部61eおよび第3開き扉63の第3右湾曲部63eが緩やかな湾曲に折り曲げられている。よって、開き扉ユニット32の第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63が閉じられた状態において、引込盤用ボックス5の意匠性が一層高められている。
【0049】
<電力量計ユニット、分電部、弱電ユニット>
引込盤用ボックス5は、ボックス本体12の第1収納部51に電力量計ユニット6が収納され、第2収納部52に分電部7が収納され、第3収納部53に弱電ユニット8が収納されている。
【0050】
電力量計ユニット6は、第1取付板56に取り付けられることにより第1収納部51に収納されている。電力量計ユニット6は、電力を計量する計器で、例えば、集合住宅の各住居部に区分けされた複数の電力量計6aを備えている。電力量計ユニット6(すなわち、複数の電力量計6a)は、第1開き扉61を閉じた状態において、引込盤用ボックス5の外側から第1開き扉61の透明パネル68を通して目視可能に配置されている。
【0051】
分電部7は、第2取付板57に取り付けられることにより第2収納部52に収納されている。分電部7は、複数の電力量計6aに接続されている。分電部7は、例えば、分岐用の開閉器(ブレーカ)などを経て電力を各住居部に区分けする。分電部7から各住居部に電力が区分けされて供給される。すなわち、分電部7は、いわゆる強電部を構成する。
【0052】
弱電ユニット8は、例えば、通信機器として電話回線8aと、インターネット回線8bと、を備えている。弱電ユニット8は、第3取付板58に取り付けられることにより第3収納部53に収納されている。電話回線8aは、例えば、電話端子台および保安器を備え、保安器を経て電話線が各住居部に分配されている。インターネット回線8bは、例えば、電話回線8aと同様に各住居部に分配されている。
【0053】
実施形態では、弱電ユニット8として電話回線8aおよびインターネット回線8bを例に説明するが、電話回線8aおよびインターネット回線8bに他の弱電部をさらに加えてもよい。あるいは、弱電ユニット8として電話回線8a、インターネット回線8b以外の複数種の弱電部を採用してもよい。
【0054】
以上説明したように、実施形態の引込盤用ボックス5によれば、引込盤用ボックス5に第1収納部51、第2収納部52、および第3収納部53を備えた。第1収納部51には電力量計ユニット6が収納される。第2収納部52には分電部7が収納される。第3収納部53には弱電ユニット8が収納される。
これにより、電力量計ユニット6、分電部7、および弱電ユニット8を引込盤用ボックス5に一括してまとめて収納できる。よって、集合住宅の外壁に複数の引込盤用のボックスを取り付ける必要がない。これにより、集合住宅において外観の美観を高めることができ、引込盤用ボックス5を取り付ける工事、施工にかける手間を簡素化できる。
【0055】
また、第1収納部51、第2収納部52、および第3収納部53の各正面を、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cでそれぞれ個別に分割して開口させた。さらに、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cを開閉する開き扉を、それぞれの開口部48a,48b,48cに対応させて第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63に分割した。
【0056】
よって、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cを、第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63でそれぞれ個別に開閉できる。これにより、第1開き扉61を開いて第1開口部48aを開口させることにより、第1収納部51に収納された電力量計ユニット6を第1開口部から保守点検(メンテナンス)できる。
また、第2開き扉62を開いて第2開口部48bを開口させることにより、第2収納部52に収納された分電部7を第2開口部48bから保守点検できる。さらに、第3開き扉63を開いて第3開口部48cを開口させることにより、第3収納部53に収納された弱電ユニット8を第3開口部48cから保守点検できる。
【0057】
すなわち、第1開き扉61、第2開き扉62、第3開き扉63のうちから電力量計ユニット6、分電部7、弱電ユニット8に対応する開き扉のみを開くことにより、電力量計ユニット6、分電部7、弱電ユニット8のいずれかを保守点検できる。これにより、電力量計ユニット6、分電部7、弱電ユニット8の保守点検にかける手間を簡素化できる。
【0058】
さらに、第1開き扉61の第1左側面部61bを第1ヒンジ65により開閉可能に支持した。第2開き扉62の第2左側面部62bを第2ヒンジ66により開閉可能に支持した。第3開き扉63の第3右側面部63cを第3ヒンジ67により開閉可能に支持した。よって、第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63を、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cから取り外すことなく開くことができる。
これにより、第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63を簡単に開くことができ、電力量計ユニット6、分電部7、弱電ユニット8の保守点検にかける手間を一層簡素化できる。
【0059】
さらに、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cを開閉する開き扉を、それぞれの開口部48に対応させて第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63に分割した。よって、第1開き扉61の幅寸法W1、第2開き扉62の幅寸法W2、および第3開き扉63の幅寸法W3を小さく抑えることができる。幅寸法W1,W2,W3を
図4に示す。
【0060】
ここで、第1開き扉61は、第1ヒンジ65の第1ヒンジ軸65aを軸にして開閉可能に支持されている。第2開き扉62は、第2ヒンジ66の第2ヒンジ軸66aを軸にして開閉可能に支持されている。第3開き扉63は、第3ヒンジ67の第3ヒンジ軸67aを軸にして開閉可能に支持されている。
よって、第1開き扉61を開いた状態において、第1開き扉61が第1開口部48aから前方に突出する突出寸法を小さく抑えることができる。また、第2開き扉62を開いた状態において、第2開き扉62が第2開口部48bから前方に突出する突出寸法を小さく抑えることができる。さらに、第3開き扉63を開いた状態において、第3開き扉63が第3開口部48cから前方に突出する突出寸法を小さく抑えることができる。
これにより、第1開き扉61、第2開き扉62、第3開き扉63を前側に開けて電力量計ユニット6、分電部7、弱電ユニット8を保守点検する空間を小さく抑えることができる。したがって、引込盤用ボックス5の設置箇所の拡大を図ることができる。
【0061】
(変形例)
実施形態の引込盤用ボックス5では、開き扉ユニット32を第1開き扉61、第2開き扉62、第3開き扉63の3つの開き扉に分解した例について説明したが、開き扉ユニット32は3つの開き扉に分解する構成に限らない。その他の構成として、開き扉ユニット32を3つより多い開き扉に分割することも可能である。以下、その他の構成の代表的な変形例を
図5に基づいて説明する。
【0062】
図5に示すように、変形例の引込盤用ボックス100は、実施形態の第3開き扉63が第3上側開き扉102と、第3下側開き扉103と、に上下に分割されている。第3上側開き扉102および第3下側開き扉103は、実施形態の第3開き扉63と同様に、第3上ヒンジおよび第3下ヒンジにより第3開口部48c(
図4参照)の右端に開閉可能に支持されている。また、第3上側開き扉102および第3下側開き扉103には、第3開き扉63と同様に、第3上把手105および第3下把手106が取り付けられている。
【0063】
ここで、例えば、実施形態の第3収納部53(
図2参照)が第3上収納部と第3下収納部とに上下に分割されている。第3上収納部には、例えば電話回線8a(
図4参照)が収納される。第3下収納部には、例えばインターネット回線8b(
図4参照)が収納される。
第3上収納部および第3下収納部の正面に第3上開口部および第3下開口部が形成されている。第3上開口部の正面には第3上側開き扉102が閉じられた状態において配置される。第3下開口部の正面には第3下側開き扉103が閉じられた状態において配置される。
【0064】
よって、第3上側開き扉102のみを開けるだけで、電話回線8aを保守点検できる。また、第3下側開き扉103のみを開けるだけで、インターネット回線8bを保守点検できる。これにより、電話回線8aやインターネット回線8bの保守点検にかける手間を一層簡素化できる。
【0065】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、開き扉ユニット32の第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63を第1ヒンジ65、第2ヒンジ66、および第3ヒンジ67により開閉可能に支持する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63をねじ止めにより着脱可能に構造することも可能である。
よって、第1開き扉61、第2開き扉62、第3開き扉63を外して電力量計ユニット6、分電部7、弱電ユニット8を保守点検する空間を一層小さく抑えることができる。これにより、引込盤用ボックス5の設置箇所を一層拡大できる。
【0066】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 集合住宅用引込盤
5,100 引込盤用ボックス
6 電力量計ユニット
6a 電力量計
7 分電部
8 弱電ユニット(複数種の弱電部)
8a 電話回線
8b インターネット回線
46 第1仕切パネル(第1仕切部)
47 第2仕切パネル(第2仕切部)
48 開口部
48a 第1開口部
48b 第2開口部
48c 第3開口部
51 第1収納部
52 第2収納部
53 第3収納部
61 第1開き扉
62 第2開き扉
63 第3開き扉
65 第1ヒンジ(蝶番)
66 第2ヒンジ(蝶番)
67 第3ヒンジ(蝶番)
102 第3上側開き扉
103 第3下側開き扉