(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036148
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】架台付きボックス
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H05K5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140897
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】富田 寿彦
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB64
4E360AC23
4E360BA06
4E360EA05
4E360EA12
4E360EB02
4E360GA29
4E360GB94
(57)【要約】
【課題】架台の上面に雨水が溜まることを抑制できる架台付きボックスを提供する。
【解決手段】引込盤用ボックス5は、ボックス本体12と、架台11と、を備える。ボックス本体は、内部に収納空間が形成されている。架台は、ボックス本体の下部に設けられて設置部に設置可能である。また、架台は、上面前傾斜部85を有する。上面前傾斜部は、ボックス本体の下方に配置され、前方に向かうに従って下向きに傾斜するように形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納空間が形成されたボックス本体と、
前記ボックス本体の下部に設けられて設置部に設置可能な架台と、を備え、
前記架台は、
前記ボックス本体の下方に配置され、外方へ向かうに従って下向きに傾斜する上面傾斜部を有する、
ことを特徴とする架台付きボックス。
【請求項2】
前記上面傾斜部は前記架台に一体成型されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の架台付きボックス。
【請求項3】
前記ボックス本体は、
前記架台の上面に取り付けられる底部を備え、
前記底部は、前記上面傾斜部の内端から上方に立ち上がる立上部を有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の架台付きボックス。
【請求項4】
前記ボックス本体は、
収納空間を覆う外装パネルを備え、
前記外装パネルは、
前記上面傾斜部の上方で、かつ、前記立上部の外方に配置され、前記立上部へ向かうに従って下向きに傾斜する下面傾斜部を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の架台付きボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台付きボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
架台付きボックスとして、ボックス本体の下部に取付部として底部が設けられ、底部に架台が固定ねじにより取り付けられものが知られている。この架台付きボックスは、架台が屋外の設置部に設置されることにより設置部に自立される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の架台付きボックスは、例えば、架台の上面において前部(以下、上面前部ということがある)が水平に形成されている。よって、架台付きボックスを屋外の設置部に自立させた場合、ボックス本体の外装パネルに沿って垂下した雨水や、外装パネルと架台との隙間から吹き付けられた雨水が架台の上面前部に溜まることが考えられる。このため、例えば、架台の上面前部から錆が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、架台の上面に雨水が溜まることを抑制できる架台付きボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明に係る架台付きボックスは、内部に収納空間が形成されたボックス本体と、前記ボックス本体の下部に設けられて設置部に設置可能な架台と、を備え、前記架台は、前記ボックス本体の下方に配置され、外方へ向かうに従って下向きに傾斜する上面傾斜部を有している。
【0007】
この構成によれば、架台の上面傾斜部をボックス本体の下方に配置し、外方へ向かうに従って下向きに傾斜させた。よって、例えば、ボックス本体に沿って垂下した雨水や、ボックス本体と架台との隙間から吹き付けられた雨水を、架台の上面傾斜部により外方に案内して架台付きボックスの外側に排水できる。これにより、架台の上面に雨水が溜まることを抑制でき、架台付きボックスの防錆性を高めることができる。
【0008】
(2)上記態様において、前記上面傾斜部は前記架台に一体成型されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、上面傾斜部を架台に一体成型することにより、上面傾斜部を架台に対して別部材で構成する場合と比べて部品数の増加を抑えることができる。また、上面傾斜部を架台に一体成型することにより、例えば上面傾斜部をプレス加工することが可能になる。これにより、上面傾斜部を別部材で構成する場合と比べて加工工数や加工時間を少なく抑えることができる。
【0010】
(3)上記態様において、前記ボックス本体は、前記架台の上面に取り付けられる底部を備え、前記底部は、前記上面傾斜部の内端から上方に立ち上がる立上部を有していてもよい。
【0011】
この構成によれば、ボックス本体の底部を架台の上面に取り付け、底部の立上部を上面傾斜部の内端から上方に立ち上げた。よって、例えば、ボックス本体に沿って垂下した雨水や、ボックス本体と架台との隙間から吹き付けられた雨水が、上面傾斜部から内側に浸入することを立上部で防ぐことができる。これにより、雨水を上面傾斜部により架台付きボックスの外側に一層好適に案内して排水できる。
【0012】
(4)上記態様において、前記ボックス本体は、収納空間を覆う外装パネルを備え、前記外装パネルは、前記上面傾斜部の上方で、かつ、前記立上部の外方に配置され、前記立上部へ向かうに従って下向きに傾斜する下面傾斜部を有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、ボックス本体の外装パネルに下面傾斜部を形成し、下面傾斜部を上面傾斜部の上方で、かつ、立上部の外方に配置した。さらに、下面傾斜部を立上部へ向かうに従って下向きに傾斜させた。よって、外装パネルに沿って垂下した雨水を下面傾斜部に沿って上面傾斜部に好適に滴下できる。これにより、外装パネルの下面に雨水が溜まることを抑制でき、架台付きボックスの防錆性を高めることができる。
また、下面傾斜部を立上部の外方に配置した。よって、外装パネルに沿って垂下した雨水を立上部の外方において下面傾斜部から上面傾斜部に滴下できる。これにより、下面傾斜部から上面傾斜部に滴下された雨水が上面傾斜部から内側に浸入することを立上部で防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、架台に上面傾斜部を有し、上面傾斜部を外方へ向かうに従って下向きに傾斜させた。これにより、架台の上面に雨水が溜まることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る一実施形態の架台付きボックスを備えた集合住宅用引込盤を示す正面図である。
【
図2】一実施形態の架台付きボックスを示す斜視図である。
【
図3】一実施形態の架台付きボックスから開き扉ユニットを外した状態を示す斜視図である。
【
図4】一実施形態の架台付きボックスを下方からみた斜視図である。
【
図5】一実施形態の架台付きボックスの架台からボックス本体の底部を分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図6】
図2のVI-VI線に沿って破断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて架台付きボックスを説明する。実施形態においては、架台付きボックスとして集合住宅用引込盤の引込盤用ボックスを例に説明するが、架台付きボックスは引込盤用ボックスに限らないで、その他のボックスにも適用できる。
なお、図面において、引込盤用ボックスの正面に対向した利用者の左側を引込盤用ボックスの左方向、利用者の右側を引込盤用ボックスの右方向とし、左方向を矢印Lで示し、右方向を矢印Rで示す。また、引込盤用ボックスの正面側を前方、引込盤用ボックスの背面側を後方とし、前方を矢印Frで示し、後方を矢印Reで示す。さらに、引込盤用ボックスの頂部側を上方、底部側を下方とし、上方を矢印Uで示し、下方を矢印Dで示す。
【0017】
<集合住宅用引込盤>
図1、
図2に示すように、集合住宅用引込盤1は、例えば、集合住宅の共有部において屋外の設置部2に設置されて側壁3に取り付けられる。集合住宅用引込盤1は、例えば、引込盤用ボックス(架台付きボックス)5と、電力量計ユニット6と、不図示の分電部と、不図示の弱電ユニットと、を備える。
【0018】
<引込盤用ボックス>
引込盤用ボックス5は、内部に収納空間が形成され、収納空間に電力量計ユニット6、分電部、および弱電ユニットが収納される。引込盤用ボックス5は、架台11と、ボックス本体12と、を備えている。
【0019】
<架台>
図1、
図3、
図4に示すように、架台11は、ボックス本体12の下部に設けられている。架台11は、例えば、集合住宅の共有部において設置部2に設置可能に形成されている。架台11は、一対の脚部15と、化粧パネル16と、を備えている。
一対の脚部15は、上端部15aがボックス本体12の底部42に左右方向に間隔をあけて固定されている。また、一対の脚部15は、下端部15bが設置部2に設置されている。よって、一対の脚部15によりボックス本体12が支持される。一対の脚部15は化粧パネル16により覆われている。
【0020】
化粧パネル16は、パネル頂部21と、パネル正面部22と、パネル左側面部23と、パネル右側面部24と、を有する。化粧パネル16は、例えば鋼材で形成されている。
パネル頂部21は、平面視においてU字状に形成され、ボックス本体12の底部42に取り付けられている。パネル頂部21から下方に向けてパネル正面部22、パネル左側面部23、およびパネル右側面部24が延びている。パネル頂部21については後で詳しく説明する。
【0021】
パネル正面部22は、引込盤用ボックス5の下部において正面を覆うように形成されている。パネル左側面部23は、引込盤用ボックス5の下部において左側面を覆うように形成されている。パネル右側面部24は、引込盤用ボックス5の下部において右側面を覆うように形成されている。
これにより、一対の脚部15は、化粧パネル16のパネル正面部22、パネル左側面部23、およびパネル右側面部24により、引込盤用ボックス5の正面側、左側面側、および右側面側から目視できないように覆われている。
【0022】
<ボックス本体>
図1、
図3に示すように、ボックス本体12は、一対の脚部15により支持され、集合住宅において共有部の側壁3に取り付けられる。ボックス本体12において、収納空間に電力量計ユニット6、不図示の分電部、および不図示の弱電ユニットが収納される。具体的には、ボックス本体12は、筐体31と、開き扉ユニット32と、を備える。
【0023】
<筐体>
筐体31は、周面部41と、底部42と、頂部43と、第1支持部44と、第2支持部45と、第1仕切パネル46と、第2仕切パネル47と、を備えている。周面部41、底部42、頂部43、第1支持部44、第2支持部45、第1仕切パネル46、および第2仕切パネル47は、例えば鋼材で形成されている。
【0024】
周面部41は、背面部41aと、左側面部41bと、右側面部41cと、を備えている。背面部41aは、筐体31の背面を塞ぐように形成されている。左側面部41bは、例えば、背面部41aの左端から前方に向けて折り曲げられることにより、筐体31の左側面を塞ぐように張り出されている。右側面部41cは、例えば、背面部41aの右端から前方に向けて折り曲げられることにより、筐体31の右側面を塞ぐように張り出されている。
【0025】
周面部41の下端に底部42が設けられている。底部42は、筐体31の下端を塞ぐように形成されている。底部42には、一対の脚部15の上端部15aおよび化粧パネル16のパネル頂部21(
図4参照)が取り付けられている。底部42については後で詳しく説明する。
また、周面部41の上端に頂部43が設けられている。頂部43は、筐体31の上端を塞ぐように形成されている。すなわち、筐体31は、背面、左側面、および右側面が周面部41で塞がれ、下端および上端が底部42および頂部43で塞がれている。
また、筐体31は、正面が開口部48により開口されている。開口部48には、第1支持部44および第2支持部45が上下方向に向けて設けられている。
【0026】
第1支持部44は、左側面部41bに対して右側に間隔をあけて配置され、頂部43と底部42とに取り付けられている。第2支持部45は、右側面部41cに対して左側に間隔をあけて配置され、頂部43と底部42とに取り付けられている。また、第1支持部44および第2支持部45は、左右方向において間隔をあけて設けられている。
よって、筐体31は、開口部48が第1支持部44および第2支持部45により第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cの3つに分割されている。
具体的には、第1開口部48aは、左側面部41bおよび第1支持部44の間に形成されている。第2開口部48bは、第1支持部44および第2支持部45の間に形成されている。第3開口部48cは、第2支持部45および右側面部41cの間に形成されている。
【0027】
第1支持部44から背面部41aに向けて第1仕切パネル46が張り出されている。第2支持部45から背面部41aに向けて第2仕切パネル47が張り出されている。よって、筐体31は、第1仕切パネル46および第2仕切パネル47により、内部の収納空間が第1収納部51、第2収納部52、および第3収納部53に仕切られている。
また、第1収納部51は、正面(手前側)が第1開口部48aにより開口されている。第2収納部52は、正面(手前側)が第2開口部48bにより開口されている。第3収納部53は、正面(手前側)が第3開口部48cにより開口されている。
【0028】
筐体31は、背面部41aのうち第1収納部51に対向する部位に木製の第1取付板56が設けられている。また、筐体31は、背面部41aのうち第2収納部52に対向する部位に木製の第2取付板57が設けられている。さらに、筐体31は、背面部41aのうち第3収納部53に対向する部位に木製の第3取付板58が設けられている。
【0029】
<開き扉ユニット>
筐体31の開口部48には開き扉ユニット32が設けられている。開き扉ユニット32は、第1開き扉61と、第2開き扉62と、第3開き扉63と、を備える。実施形態では、開き扉ユニット32として第1開き扉61、第2開き扉62、第3開き扉63の3つの開き扉を例に説明するが、開き扉ユニット32は3つの開き扉に限らない。
【0030】
<第1開き扉>
第1開き扉61は、第1左側面部71が第1開口部48aに第1ヒンジ(図示せず)により支持されている。すなわち、第1開き扉61は、第1ヒンジのヒンジ軸を軸にして開閉可能に第1開口部48aの左端に支持されている。第1開き扉61を開閉することにより、第1開口部48aを第1開き扉61により開閉することが可能である。
【0031】
第1開き扉61は、例えば鋼製の外装パネルを形成する第1正面パネル72を有する。第1正面パネル72は、第1開き扉61が閉じられた状態において、第1開口部48aの正面前方に位置し、第1開口部48aを前方から覆うように平坦に形成されている。第1正面パネル72は、中央に開口部72aが形成され、開口部72aに透明パネル78(例えば、ガラス板)が取り付けられている。
すなわち、第1正面パネル72は、第1開き扉61が閉じられた状態において、ボックス本体12の収納空間のうち左側の収納空間を覆うように形成されている。
【0032】
<第2開き扉>
第2開き扉62は、第2左側面部73が第2開口部48bに第2ヒンジ(図示せず)により支持されている。すなわち、第2開き扉62は、第2ヒンジのヒンジ軸を軸にして開閉可能に第2開口部48bの左端に支持されている。よって、第2開き扉62を開閉することにより、第2開口部48bを第2開き扉62により開閉することが可能である。
【0033】
第2開き扉62は、例えば鋼製の外装パネルを形成する第2正面パネル74を有する。第2正面パネル74は、第2開き扉62が閉じられた状態において、第2開口部48bの正面前方に位置し、第2開口部48bを前方から覆うように平坦に形成されている。
すなわち、第2正面パネル74は、第2開き扉62が閉じられた状態において、ボックス本体12の収納空間のうち中央の収納空間を覆うように形成されている。
【0034】
<第3開き扉>
第3開き扉63は、第3右側面部75が第3開口部48cに第3ヒンジ(図示せず)により支持されている。すなわち、第3開き扉63は、第3ヒンジのヒンジ軸を軸にして開閉可能に第3開口部48cの右端に支持されている。よって、第3開き扉63を開閉することにより、第3開口部48cを第3開き扉63により開閉することが可能である。
【0035】
第3開き扉63は、例えば鋼製の外装パネルを形成する第3正面パネル76を有する。第3正面パネル76は、第3開き扉63が閉じられた状態において、第3開口部48cの正面前方に位置し、第3開口部48cを前方から覆うように平坦に形成されている。
すなわち、第3正面パネル76は、第3開き扉63が閉じられた状態において、ボックス本体12の収納空間のうち右側の収納空間を覆うように形成されている。
【0036】
このように、開き扉ユニット32は、第1開口部48a、第2開口部48b、および第3開口部48cを開閉する開き扉が、それぞれの開口部48a,48b,48cに対応させて第1開き扉61、第2開き扉62、および第3開き扉63に分割されている。
なお、第1開き扉61の第1正面パネル72、第2開き扉62の第2正面パネル74、および第3開き扉63の第3正面パネル76は、概ね同様に形成されている。よって、以下、第3正面パネル76を外装パネルの代表例として説明して第1正面パネル72および第2正面パネル74の詳しい説明を省略する。第3正面パネル76については後で詳しく説明する。
【0037】
<電力量計ユニット、分電部、弱電ユニット>
引込盤用ボックス5は、ボックス本体12の第1収納部51に電力量計ユニット6が収納され、第2収納部52に分電部(図示せず)が収納され、第3収納部53に弱電ユニット(図示せず)が収納されている。
【0038】
電力量計ユニット6は、第1取付板56に取り付けられることにより第1収納部51に収納されている。電力量計ユニット6は、電力を軽量する計器で、例えば、集合住宅の各住居部に区分けされた複数の電力量計6aを備えている。電力量計ユニット6(すなわち、複数の電力量計6a)は、第1開き扉61を閉じた状態において、引込盤用ボックス5の外側から第1開き扉61の透明パネル78を通して目視可能に配置されている。
【0039】
不図示の分電部は、第2取付板57に取り付けられることにより第2収納部52に収納されている。分電部は、例えば、分岐用の開閉器(ブレーカ)などを経て電力を各住居部に区分けする。分電部7から各住居部に電力が区分けされて供給される。すなわち、分電部は、いわゆる強電部を構成する。
【0040】
不図示の弱電ユニットは、例えば、通信機器として電話回線と、インターネット回線と、を備えている。弱電ユニットは、第3取付板58に取り付けられることにより第3収納部53に収納されている。電話回線は、例えば、電話端子台および保安器を備え、保安器を経て電話線が各住居部に分配されている。インターネット回線は、例えば、電話回線と同様に各住居部に分配されている。
【0041】
<架台のパネル頂部、ボックス本体の底部、第3開き扉の第3正面パネル>
以下、架台11のパネル頂部(上面)21、ボックス本体12の底部42、第3開き扉63の第3正面パネル76を
図5、
図6に基づいて説明する。
図5、
図6に示すように、架台11のパネル頂部21は、ボックス本体12の下方に配置され、上面前部81と、上面左側部82と、上面右側部83と、を有する。パネル頂部21は、上面前部81、上面左側部82、および上面右側部83により平面視においてU字状に形成されている。
【0042】
上面前部81は、例えばプレス加工によりパネル正面部22の上端から後方に向けて折り曲げられることにより、パネル正面部22に一体成型されている。パネル正面部22は、架台11を構成する化粧パネル16の一部を形成する部材である。すなわち、上面前部81は、架台11の化粧パネル16に一体成型されている。
【0043】
上面前部81は、上面前傾斜部(上面傾斜部)85と、上面後水平部86と、を有する。よって、上面前傾斜部85は、化粧パネル16(すなわち、架台11)にプレス加工により一体成型されている。なお、上面前傾斜部85を架台11の化粧パネル16に一体成型しないで別部材で構成してもよい。
上面前傾斜部85は、右端85bがパネル正面部22とパネル右側面部24との右交差部26の上端26aに沿って配置されている。右端85bおよび上端26aの間は、隙間がないように溶接により塞がれている。また、上面前傾斜部85は、左端85aがパネル正面部22とパネル左側面部23との左交差部25の上端25aに沿って配置されている。左端85aおよび上端25aの間は、隙間がないように溶接により塞がれている。
【0044】
上面前傾斜部85は、パネル正面部22の上端から後方へ向かうに従って上向きに傾斜角θ1で傾斜するように形成されている。換言すれば、上面前傾斜部85は、上面後水平部86の前端から前方(外方)へ向かうに従って下向きに傾斜角θ1で傾斜している。傾斜角θ1は、例えば、2°に設定することが好ましいが、2°に限定するものではない。
上面前傾斜部85の後端には上面後水平部86が一体成型されている。上面後水平部86は、上面前傾斜部85の後端から後方に向けて水平に張り出されている。
【0045】
上面左側部82は、例えば、パネル左側面部23の上端から右方向に向けて水平に折り曲げられることにより、パネル左側面部23に一体成型されている。上面左側部82は、前端が上面後水平部86の左端に接続され、上面後水平部86に対して面一に配置されている。
上面右側部83は、例えば、パネル右側面部24の上端から左方向に向けて水平に折り曲げられることにより、パネル右側面部24に一体成型されている。上面右側部83は、前端が上面後水平部86の右端に接続され、上面後水平部86に対して面一に配置されている。
よって、架台11の上面(すなわち、パネル頂部21)のうち、上面後水平部86、上面左側部82、および上面右側部83が水平で、かつ、平坦に形成されている。架台11の上面後水平部86、上面左側部82、および上面右側部83にボックス本体12の底部42が取り付けられている。すなわち、底部42は、架台11の上面(パネル頂部21)の一部に取り付けられている。
【0046】
底部42は、底部本体91と、立上部92と、張出部93と、折曲部94と、を有する。底部本体91は、平面視矩形状に形成され、架台11の上面後水平部86、上面左側部82、および上面右側部83に取り付けられている。底部本体91は、例えば、前端が上面前傾斜部85の後端に位置する。底部本体91の前端から立上部92が折り曲げられることにより立ち上げられている。よって、立上部92は、上面前傾斜部85の後端(内端)から上方に立ち上げられている。
張出部93は、立上部92の上端から前方に向けて折り曲げられることにより水平に張り出されている。折曲部94は、張出部93の前端から下方に向けて折り曲げられることにより下向きに突出されている。底部42の前方には第3開き扉63の第3正面パネル(外装パネル)76が配置されている。
【0047】
第3正面パネル76は、正面パネル部96と、下面傾斜部97と、を有する。正面パネル部96は、第3開き扉63が閉じられた状態において、第3開口部48c(
図3参照)の収納空間を正面前方から覆う。正面パネル部96は、折曲部94の前方に配置されることにより、立上部92に対して間隔Lをあけて配置されている。正面パネル部96の下端から立上部92に向けて下面傾斜部97が張り出されている。
下面傾斜部97は、上面前傾斜部85の上方で、かつ、立上部の前方(外方)に配置されている。下面傾斜部97は、正面パネル部96の下端から立上部92へ向かうに従って傾斜角θ2で下向きに傾斜されている。
【0048】
以上説明したように、実施形態の引込盤用ボックス5によれば、例えば、集合住宅の共有部において屋外の設置部2(
図1参照)に設置される。このため、
図6に示すボックス本体12の第3正面パネル76に沿って雨水が架台11の上面前傾斜部85に矢印Aの如く垂下することが考えられる。あるいは、第3正面パネル76(すなわち、ボックス本体12)と架台11との隙間から雨水が矢印Bの如く吹き付けられて上面前傾斜部85に浸入することが考えられる。
【0049】
そこで、
図6に示すように、上面前傾斜部85をボックス本体12の下方に配置し、前方へ向かうに従って下向きに傾斜させた。よって、第3正面パネル76に沿って垂下した雨水や、第3正面パネル76と架台11との隙間から吹き付けられた雨水を、上面前傾斜部85により前方に矢印Cの如く案内して引込盤用ボックス5の外側に排水できる。
これにより、架台11の上面(すなわち、パネル頂部21)に雨水が溜まることを抑制でき、引込盤用ボックス5の防錆性を高めることができる。
【0050】
また、
図5に示すように、上面前傾斜部85は、化粧パネル16(すなわち、架台11)にプレス加工により一体成型されている。これにより、上面前傾斜部85を架台に対して別部材で構成する場合と比べて部品数の増加を抑えることができる。また、上面前傾斜部85をプレス加工により一体成型することにより、別部材で構成する場合と比べて加工工数や加工時間を少なく抑えることができる。
【0051】
さらに、
図5、
図6に示すように、ボックス本体12の底部42を架台11の上面(パネル頂部21)の一部に取り付け、底部42の立上部92を上面前傾斜部85の後端から上方に立ち上げた。よって、例えば、第3正面パネル76に沿って矢印Aの如く垂下した雨水や、第3正面パネル76と架台11との隙間から吹き付けられて矢印Bの如く浸入した雨水が、上面前傾斜部85から内側に浸入することを立上部92で防ぐことができる。これにより、雨水を上面前傾斜部85により引込盤用ボックス5の外側に一層好適に案内して排水できる。
【0052】
加えて、
図6に示すように、ボックス本体12の第3正面パネル76に下面傾斜部97を形成し、下面傾斜部97を上面前傾斜部85の上方で、かつ、立上部92の前方に配置した。さらに、下面傾斜部97を立上部92へ向かうに従って下向きに傾斜させた。よって、第3正面パネル76に沿って垂下した雨水を下面傾斜部97に沿って上面前傾斜部85に矢印Aの如く好適に滴下できる。
これにより、第3正面パネル76の下面(下面傾斜部97)に雨水が溜まることを抑制でき、引込盤用ボックス5の防錆性を高めることができる。
【0053】
また、下面傾斜部97を立上部92の前方に配置した。よって、第3正面パネル76に沿って矢印Aの如く垂下した雨水を、立上部92の前方において下面傾斜部97から上面前傾斜部85に矢印Aの如く滴下できる。これにより、下面傾斜部97から上面前傾斜部85に滴下された雨水が、上面前傾斜部85から内側に浸入することを立上部92で防ぐことができる。
【0054】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、架台11のパネル頂部21において、引込盤用ボックス5の正面側に位置する上面前傾斜部85を下向きに傾斜させた例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、引込盤用ボックス5の背面側、左側面側、右側面側を、上面前傾斜部85と同様に、外方へ向かうに従って下向きに傾斜させてもよい。
【0055】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 集合住宅用引込盤
2 設置部
5 引込盤用ボックス(架台付きボックス)
11 架台
12 ボックス本体
21 パネル頂部(架台の上面)
42 底部
72 第1正面パネル(外装パネル)
74 第2正面パネル(外装パネル)
76 第3正面パネル(外装パネル)
85 上面前傾斜部(上面傾斜部)
92 立上部
97 下面傾斜部