(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036154
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】基地局装置、コアネットワーク装置、通信システム、基地局装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/06 20090101AFI20240308BHJP
H04W 88/10 20090101ALI20240308BHJP
H04W 72/563 20230101ALI20240308BHJP
H04W 88/14 20090101ALI20240308BHJP
H04W 16/04 20090101ALI20240308BHJP
【FI】
H04W16/06
H04W88/10
H04W72/06
H04W88/14
H04W16/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140908
(22)【出願日】2022-09-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓治
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】基地局装置における処理負荷を軽減しつつ、各通信事業者が使用可能なリソース量を適切に制御する。
【解決手段】設定手段(11)は、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、基地局装置(1)の処理リソースのうち、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する。接続制御手段(12)は、基地局装置(1)に対する端末装置からの接続要求に応じて、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当て、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置であって、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定手段と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御手段と、
を備える基地局装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記複数の移動体通信ネットワークのうちの第1の移動体通信ネットワークから通知された前記最低接続数が許容値を超えている場合、当該第1の移動体通信ネットワークのための個別リソースのリソース量を前記許容値に応じた量に設定する、
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項3】
前記設定手段は、前記第1の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置に対して、前記第1の移動体通信ネットワークに対する最低接続数を前記許容値としたことを通知する、
請求項2に記載の基地局装置。
【請求項4】
前記接続制御手段は、前記共有リソースがすべて割り当てられ、かつ、前記複数の移動体通信ネットワークのうちの第2の移動体通信ネットワークのための個別リソースがすべて割り当てられた場合、当該第2の移動体通信ネットワークに接続する端末装置からの新規接続要求を拒否する、
請求項1に記載の基地局装置。
【請求項5】
移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置であって、
前記移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、当該移動体通信ネットワークを含む複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置に通知する通知手段と、
を備えるコアネットワーク装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、
前記移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、
前記移動体通信ネットワークの事業者と、前記基地局装置の事業者との間の契約内容を示す情報、および
前記移動体通信ネットワークの登録加入者数
の少なくとも一方と、に基づいて算出する、
請求項5に記載のコアネットワーク装置。
【請求項7】
複数の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置と、
前記複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置と、を備える通信システムであって、
各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置は、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を前記基地局装置に通知する通知手段を備え、
前記基地局装置は、
各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置から通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定手段と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御手段と、
を備える通信システム。
【請求項8】
各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置は、当該移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する算出手段を更に備える、
請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置が、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定すること、および、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てること、
を含む基地局装置の制御方法。
【請求項10】
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置が備えるコンピュータに、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定処理と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局装置、コアネットワーク装置、通信システム、基地局装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルネットワークは重要なインフラとなっており、各通信事業者がサービス提供エリアを拡大している。複数の通信事業者のそれぞれが、サービス提供エリア内にRAN(Radio Access Network)を構築し、RANとコアネットワークとを接続している。これに関連する技術として、下記の特許文献1に開示された発明がある。
【0003】
特許文献1には、共有基地局が、事業者A又は事業者B又は第三者(例えば、更なるネットワーク事業者)によって所有及び運用され、ネットワーク事業者が、共有基地局において、利用可能なリソースの或る特定の割合が提供されるように契約することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RANの構築には、アンテナ設置、エリア選定等、かなりの手間と時間と費用とがかかる。そのため、RANネットワークを共有しようという動きがあり、ネットワーク共有事業者が出現してきている。これにより、複数の通信事業者がRANを共有し、コストの低減、サービスの早期開始等が可能となる。
【0006】
しかしながら、RANのリソース(加入者からの接続により使用されるメモリ資源やCPU資源)は限られており、特定の通信事業者のトラフィックにより占有される可能性がある。そのため、特定の通信事業者からシステムの許容数以上の接続があった場合に、共用している他通信事業者の加入者が接続出来ない場合がある。また、各通信事業者が過剰なRANリソースを要求すると、本来必要となるリソース以上のリソースを有するRAN設備を配備しなければならない。
【0007】
また、特許文献1には、ネットワーク事業者が、共有基地局において、利用可能なリソースの或る特定の割合が提供されるように契約することが開示されているが、共有部分(共有リソース)は、いずれかの通信事業者が自身の予約済みのリソースを完全に利用した後に、その通信事業者の通信ベアラのために用いることができる。したがって、ある通信事業者が自身の予約済みのリソースを完全に利用するまで、各通信事業者のリソースの使用量を管理する必要があり、共有基地局における処理負荷が大きくなる。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、基地局装置における処理負荷を軽減しつつ、各通信事業者が使用可能なリソース量を適切に制御することが可能な技術を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る基地局装置は、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置であって、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定手段と、前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御手段と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係るコアネットワーク装置は、移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置であって、前記移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、当該移動体通信ネットワークを含む複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置に通知する通知手段と、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る通信システムは、複数の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置と、前記複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置と、を備える通信システムであって、各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置は、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を前記基地局装置に通知する通知手段を備え、前記基地局装置は、各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置から通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定手段と、前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御手段と、を備える。
【0012】
本発明の一態様に係る基地局装置の制御方法は、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置が、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定すること、および、前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てること、を含む。
【0013】
本発明の一態様に係るプログラムは、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置が備えるコンピュータに、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定処理と、前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、基地局装置における処理負荷を軽減しつつ、各通信事業者が使用可能なリソース量を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の例示的実施形態に係る基地局装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の例示的実施形態に係る基地局装置の処理方法の流れを示すフロー図である。
【
図3】本発明の第1の例示的実施形態に係るコアネットワーク装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の例示的実施形態に係るコアネットワーク装置の処理方法の流れを示すフロー図である。
【
図5】本発明の第1の例示的実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】通常時における通信システムの動作を模式的に示す図である。
【
図8】事業者Aの加入者による接続が大幅に増加した場合における通信システムの動作を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システムの処理手順を示すシーケンス図である。
【
図10】各例示的実施形態に係る基地局装置、コアネットワーク装置および通信システムとして機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔例示的実施形態1〕
<例示的実施形態1に係る基地局装置1>
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースを備える構成としてもよいが、これらの構成については図示を省略する。
【0017】
図1は、本発明の第1の例示的実施形態に係る基地局装置1の構成例を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る基地局装置1は、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置であって、
図1に示すように、設定手段11と、接続制御手段12と、を備えている。
【0018】
移動体通信ネットワークは、例えば、3GPP(第3世代移動通信システムパートナーシッププロジェクト)によって規定される5G(第5世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)、ローカル5G、ローカル4G等である。移動体通信ネットワークは、RANおよびコアネットワークを有していてもよいし、コアネットワークのみを有していてもよい。
【0019】
基地局装置1が複数の移動体通信ネットワークによって共有されることにより、基地局装置1のリソース(加入者の接続により使用されるメモリ資源やCPU資源)が複数の移動体通信ネットワークによって共有されることになる。
【0020】
設定手段11は、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、基地局装置1の処理リソースのうち、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する。
【0021】
最低接続数は、基地局装置1を共有する各移動体通信ネットワークの事業者が要求する、最低限必要な当該事業者の加入者の接続数である。基地局装置1の処理リソースは、基地局装置1が有するメモリ資源やCPU資源に対応するリソースであり、この処理リソースの中から、加入者からの接続要求に必要となるリソースが割り当てられる。
【0022】
個別リソースは、各移動体通信ネットワークから通知された最低接続数に対応するリソースであり、そのリソース量は、例えば、加入者一人あたりの接続に必要となるメモリ資源またはCPU資源の平均値×最低接続数で算出することができる。
【0023】
共有リソースは、各移動体通信ネットワークが共有して利用可能なリソースであり、例えば、そのリソース量は、基地局装置1の処理リソースの総リソース量から、各移動体通信ネットワークの個別リソースのリソース量の合計を差し引いた値である。
【0024】
接続制御手段12は、基地局装置1に対する端末装置からの接続要求に応じて、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当て、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。
【0025】
接続制御手段12は、基地局装置1に対する端末装置からの接続要求があると、共有リソースから先に、その端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。そして、接続制御手段12は、端末装置から接続要求がある度に、共有リソースに残りがあるか否かを判断する。
【0026】
接続制御手段12は、基地局装置1に対する端末装置からの接続要求があったときに、共有リソースに残りがないと判断すると、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、共有リソースの残りがなくなってからは、端末装置の利用者が契約する移動体通信ネットワークの事業者に対応する個別リソースが使用されることになる。
【0027】
<基地局装置1の効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る基地局装置1によれば、接続制御手段12は、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、基地局装置1が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0028】
また、接続制御手段12は、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0029】
<基地局装置1による処理方法の流れ>
以上のように構成された基地局装置1が実行する処理方法の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、第1の例示的実施形態に係る基地局装置1の処理方法の流れを示すフロー図である。
図2に示すように、処理方法S1は、ステップS11~S15を含む。
【0030】
まず、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置1の設定手段11が、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、基地局装置1の処理リソースのうち、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する(S11)。
【0031】
移動体通信ネットワークは、例えば、3GPPによって規定される5G、4G、ローカル5G、ローカル4G等である。移動体通信ネットワークは、RANおよびコアネットワークを有していてもよいし、コアネットワークのみを有していてもよい。
【0032】
最低接続数は、基地局装置1を共有する各移動体通信ネットワークの事業者が要求する、最低限必要な当該事業者の加入者の接続数である。個別リソースは、各移動体通信ネットワークから通知された最低接続数に対応するリソースである。また、共有リソースは、各移動体通信ネットワークが共有して利用可能なリソースである。
【0033】
次に、基地局装置1が、端末装置から接続要求を受信すると(S12)、接続制御手段12は、共有リソースが残っているか否かを判定する(S13)。接続制御手段12は、基地局装置1に対する端末装置からの接続要求に応じて、共有リソースが残っている場合には(S13,Yes)、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる(S14)。
【0034】
また、接続制御手段12は、共有リソースが残っていない場合には(S13,No)、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる(S15)。
【0035】
<基地局装置1の処理方法の効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る基地局装置1の処理方法によれば、接続制御手段12は、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、基地局装置1が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0036】
また、接続制御手段12は、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0037】
<例示的実施形態1に係るコアネットワーク装置2>
図3は、本発明の第1の例示的実施形態に係るコアネットワーク装置2の構成例を示すブロック図である。本例示的実施形態に係るコアネットワーク装置2は、移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置であって、
図3に示すように、算出手段21と、通知手段22と、を備えている。
【0038】
算出手段21は、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する。例えば、算出手段21は、移動体通信ネットワークの所定期間のトラフィック量に比例した値を、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数として算出する。
【0039】
通知手段22は、算出手段21が算出した移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、当該移動体通信ネットワークを含む複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置1に通知する。
【0040】
上述のように、基地局装置1の設定手段11は、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、基地局装置1の処理リソースのうち、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する。
【0041】
<コアネットワーク装置2の効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係るコアネットワーク装置2によれば、通知手段22は、算出手段21が算出した移動体通信ネットワークに対する最低接続数を基地局装置1に通知する。したがって、基地局装置1は、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ容易に設定することができる。
【0042】
<コアネットワーク装置2による処理方法の流れ>
以上のように構成されたコアネットワーク装置2が実行する処理方法の流れについて、
図4を参照して説明する。
図4は、第1の例示的実施形態に係るコアネットワーク装置2の処理方法の流れを示すフロー図である。
図4に示すように、処理方法S2は、ステップS21~S22を含む。
【0043】
まず、コアネットワーク装置2の算出手段21は、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する(S21)。例えば、算出手段21は、移動体通信ネットワークの所定期間のトラフィック量に比例した値を、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数として算出することができる。
【0044】
次に、通知手段22は、算出手段21が算出した移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、当該移動体通信ネットワークを含む複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置1に通知する(S22)。
【0045】
<例示的実施形態1に係る通信システム100>
図5は、本発明の第1の例示的実施形態に係る通信システム100の構成例を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る通信システム100は、複数の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置2-1~2-nと、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置1と、を備える。
【0046】
コアネットワーク装置2-1~2-nの通知手段22-1~22-nは、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を基地局装置1に通知する。最低接続数は、基地局装置1を共有する各移動体通信ネットワークの事業者が要求する、最低限必要な当該事業者の加入者の接続数である。
【0047】
コアネットワーク装置2-1~2-nは、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する算出手段21-1~21-nを更に備えていてもよい。
【0048】
基地局装置1の設定手段11は、各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置2-1~2-nから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、基地局装置1の処理リソースのうち、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する。
【0049】
基地局装置1の接続制御手段12は、基地局装置1に対する端末装置からの接続要求に応じて、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。
【0050】
また、基地局装置1の接続制御手段12は、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。
【0051】
<通信システム100の効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る通信システム100によれば、基地局装置1の接続制御手段12は、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、基地局装置1が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0052】
また、基地局装置1の接続制御手段12は、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。したがって、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0053】
〔例示的実施形態2〕
<例示的実施形態2に係る通信システム100Aの構成例>
図6は、本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システム100Aの構成を示す図である。本例示的実施形態に係る通信システム100Aは、基地局装置1Aと、コアネットワーク装置2Aと、を備えている。また、コアネットワーク装置2Aは、AMF(Access and Mobility Function)3と、SMF(Session Management Function)4と、UPF(User Plane Function)5と、を備えている。なお、
図6においては1つのコアネットワーク装置のみを記載しているが、
図5に示す通信システム100のように、複数のコアネットワーク装置が基地局装置1Aに接続されているものとする。
【0054】
5GC(5Gコアネットワーク)においては、通信の確立等の制御信号通信のためのC-Plane(Control Plane)と、ユーザデータ通信のためのU-Plane(User Plane)とを分離して処理するアーキテクチャが採用されている。C-Planeには、AMF3、SMF4等が含まれる。また、U-Planeには、UPF5が含まれる。
【0055】
AMF3は、UE(端末装置)の認証、許可、モビリティ管理等を提供するNF(Network Function)であり、SMF4を制御する。また、SMF4は、UEのセッション管理、IPアドレスの割当、データ転送のためのUPF5の選択および制御等を担当するNFである。
【0056】
UEが複数のセッションを確立する場合、SMF4が、各セッションを独立して管理し、セッションごとに異なるファンクションを利用するために、AMF3は、異なるSMF4を各セッションに割り当てることが可能である。5GCにおいては、UEに関わる管理は1つのAMF3で行われ、トラフィックは個別のネットワークスライスごとのSMF4が取り扱う。
【0057】
UPF5は、DN(Data Network)6への相互接続の外部PDU(Protocol Data Unit)セッションポイントとして機能し、パケットルーティング、フォワーディング等を行うNFである。
【0058】
DN6は、5GC外部のデータネットワークであり、インターネット等の広域ネットワーク、LAN(Local Area Network)等の狭域ネットワークが含まれる。
【0059】
図7は、通常時における通信システム100Aの動作を模式的に示す図である。移動体通信ネットワークの事業者Aが運営するコアネットワーク装置2A-1と、移動体通信ネットワークの事業者Bが運営するコアネットワーク装置2A-2とによって、基地局装置(gNB)1Aが共有されている。
図7においては、事業者Aの加入者の端末装置7Aおよび事業者Bの加入者の端末装置7Bの接続が許容数の範囲内であるため、全ての加入者の接続が可能となっている。
【0060】
図8は、事業者Aの加入者による接続が大幅に増加した場合における通信システム100Aの動作を模式的に示す図である。
図8に示すように、移動体通信ネットワークの事業者Aの加入者の端末装置7Aによる接続が大幅に増加し、事業者Aの加入者の端末装置7Aおよび事業者Bの加入者の端末装置7Bの接続数が許容数を超えた場合、事業者Bの加入者の接続数が多くないにも関わらず、端末装置7Bからの新規接続が行えなくなる。
【0061】
本例示的実施形態に係る通信システム100Aは、
図8に示すような、特定の事業者の加入者からの過剰な数の接続によって、他の事業者の加入者からの接続が拒否されるのを防止するものである。
【0062】
再び、
図6の説明に戻る。AMF3は、算出部21Aと、通信部22Aとを含む。算出部21Aは、本例示的実施形態において算出手段を実現する構成である。通信部22Aは、本例示的実施形態において通知手段を実現する構成である。
【0063】
算出部21Aは、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、移動体通信ネットワークの事業者と、基地局装置の事業者との間の契約内容を示す情報、および移動体通信ネットワークの登録加入者数の少なくとも一方と、に基づいて算出する。換言すると、算出部21Aは、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、移動体通信ネットワークの事業者と基地局装置の事業者との間の契約内容を示す情報と、に基づいて決定してもよい。また、算出部21Aは、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、移動体通信ネットワークの登録加入者数と、に基づいて決定してもよい。
【0064】
まず、算出部21Aが、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、移動体通信ネットワークの登録加入者数と、に基づいて決定する例について説明する。例えば、算出部21Aは、移動体通信ネットワークの所定期間におけるトラフィック量を、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報として使用することができる。また、移動体通信ネットワークの登録加入者数は、当該移動体通信ネットワークに登録され得る加入者の総数である。
【0065】
事業者ごとに必要な登録加入者数は、次式(式1)を満たす必要がある。
【0066】
事業者ごとに必要な登録加入者数>事業者に対する最低接続数 ・・・(式1)
また、基地局装置1Aの登録可能加入者数は、次式(式2)および(式3)を満たす必要がある。
【0067】
基地局装置1Aの登録可能加入者数>事業者1の最低接続数+事業者2の最低接続数+…+事業者nの最低接続数 ・・・(式2)
基地局装置1Aの登録可能加入者数>事業者ごとに必要な登録加入者数 ・・・(式3)
例えば、算出部21Aは、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、直近7日間の同一時刻におけるトラフィック量の平均値から算出するようにしてもよい。また、算出部21Aは、移動体通信ネットワークの登録加入者数を、直近7日間のピークトラフィック量から算出するようにしてもよい。
【0068】
次に、算出部21Aが、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、移動体通信ネットワークの事業者と基地局装置の事業者との間の契約内容を示す情報と、に基づいて決定する構成の例について説明する。移動体通信ネットワーク(コアネットワーク装置2A)の事業者と、基地局装置1Aの事業者との間の契約内容を示す情報は、例えば、基地局装置1Aが最低限受入可能な移動体通信ネットワークの加入者数等である。
【0069】
例えば、算出部21Aは、移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、基地局装置1Aが最低限受入可能な移動体通信ネットワークの加入者数とから、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出することができる。
【0070】
したがって、移動体通信ネットワークの所定期間におけるトラフィック量が多い程、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数が大きくなり、移動体通信ネットワークの所定期間におけるトラフィック量が少ない程、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数が小さくなる。
【0071】
同様に、基地局装置1Aが最低限受入可能な移動体通信ネットワークの加入者数が多い程、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数が大きくなり、基地局装置1Aが最低限受入可能な移動体通信ネットワークの加入者数が少ない程、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数が小さくなる。
【0072】
算出部21Aは、契約内容に基づいて算出した最低接続数と、上記で算出した統計情報に基づいた最低接続数とから移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する。
【0073】
通信部22Aは、算出部21Aが算出した移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置1Aに通知する。通信システム100Aが、例えば、3GPPによって規定される5Gであれば、通信部22Aは、基地局装置1AであるgNB(next generation NodeB)と、コアネットワーク装置2AのAMF3との間のインタフェースN2を介して、最低接続数を基地局装置1Aに通知する。
【0074】
基地局装置1Aは、設定部11Aと、接続制御部12Aと、通信部13Aとを含む。設定部11Aは、本例示的実施形態において設定手段を実現する構成である。接続制御部12Aは、本例示的実施形態において接続制御手段を実現する構成である。
【0075】
通信部13Aは、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を受信する。通信システム100Aが、例えば、3GPPによって規定される5Gであれば、通信部13Aは、基地局装置1AであるgNBと、コアネットワーク装置2AのAMF3との間のインタフェースN2を介して、最低接続数をコアネットワーク装置2Aから受信する。
【0076】
設定部11Aは、各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、基地局装置1Aの処理リソースのうち、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する。
【0077】
設定部11Aは、複数の移動体通信ネットワークのうちの第1の移動体通信ネットワークから通知された最低接続数が許容値を超えている場合、当該第1の移動体通信ネットワークのための個別リソースのリソース量を許容値に応じた量に設定する。
【0078】
基地局装置1Aは、予め各移動体通信ネットワークに対応する最低接続数の許容値を有しており、例えば、第1の移動体通信ネットワークから通知された最低接続数が許容値を超えている場合、第1の移動体通信ネットワークの最低接続数を許容値に設定する。これによって、第1の移動体通信ネットワークに対する過剰な最低接続数の設定を防止することができる。
【0079】
そして、設定部11Aは、通信部13Aを介して、第1の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置2Aに対して、第1の移動体通信ネットワークに対する最低接続数を許容値としたことを通知する。これによって、第1の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置2Aは、基地局装置1Aによって許可された最低接続数を把握することができる。
【0080】
接続制御部12Aは、基地局装置1Aに対する端末装置からの接続要求に応じて、共有リソースが残っている場合には、共有リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当て、共有リソースが残っていない場合には、端末装置が接続する移動体通信ネットワークのための個別リソースから、端末装置のために使用する処理リソースを割り当てる。
【0081】
また、接続制御部12Aは、共有リソースがすべて割り当てられ、かつ、複数の移動体通信ネットワークのうちの第2の移動体通信ネットワークのための個別リソースがすべて割り当てられた場合、当該第2の移動体通信ネットワークに接続する端末装置からの新規接続要求を拒否する。これによって、接続制御部12Aは、第2の移動体通信ネットワークの加入者の接続数を、第2の移動体通信ネットワークに対応する最低接続数に抑えることができる。
【0082】
図9は、本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システム100Aの処理手順を示すシーケンス図である。まず、事業者Aのコアネットワーク装置2A-1のAMF(A)3-1が、基地局装置(gNB)1Aに対してAMF CONFIGURATION UPDATEを発行するときに、事業者Aの加入者の最低接続数を通知する(S31)。
【0083】
基地局装置(gNB)1Aは、AMF(A)3-1から最低接続数を受信すると、事業者A用の個別リソースを確保する(S32)。AMF(A)3-1から通知された最低接続数が許容値の範囲内の場合、基地局装置(gNB)1Aは、事業者Aのための個別リソースのリソース量を最低接続数に応じた量に設定し、最低確保数としてACKと共にAMF(A)3-1に通知する。また、AMF(A)3-1から通知された最低接続数が許容値を超えている場合、基地局装置(gNB)1Aは、事業者Aのための個別リソースのリソース量を許容値に応じた量に設定し、最低確保数としてACKと共にAMF(A)3-1に通知する(S33)。
【0084】
同様に、基地局装置(gNB)1Aは、AMF(B)3-2から最低接続数を受信すると(S34)、事業者B用の個別リソースを確保する(S35)。AMF(B)3-2から通知された最低接続数が許容値の範囲内の場合、基地局装置(gNB)1Aは、事業者Bのための個別リソースのリソース量を最低接続数に応じた量に設定し、最低確保数としてACKと共にAMF(B)3-2に通知する。また、AMF(B)3-2から通知された最低接続数が許容値を超えている場合、基地局装置(gNB)1Aは、事業者Bのための個別リソースのリソース量を許容値に応じた量に設定し、最低確保数としてACKと共にAMF(B)3-2に通知する(S36)。
【0085】
また、他のAMFから最低接続数を受信し(S37)、当該事業者用のリソースを確保する。このとき、全ての事業者用の個別リソースを確保すると、基地局装置(gNB)1Aは、全ての事業者用の個別リソースから共有リソースを設定する(S38)。例えば、共有リソースのリソース量は、基地局装置(gNB)1Aの処理リソースの総リソース量から、各移動体通信ネットワークのAMFの個別リソースのリソース量の合計を差し引いた値である。
【0086】
その後、複数のUE(A)7AとAMF(A)3-1との間でRegistrationが行われ(S39)、複数のUE(B)7BとAMF(B)3-2との間でRegistrationが行われる(S40)。ここで、UE(A)7Aからの新規接続要求が増加(ユーザ増加)すると(S41)、共有リソースの残りがなくなり、基地局装置(gNB)1Aは、各移動体通信ネットワークの事業者の個別リソースを使用することになる。
【0087】
その後、複数のUE(A)7AとAMF(A)3-1との間でRegistrationが行われ(S42、S43)、事業者Aの個別リソースの残りがなくなった場合(S44)、基地局装置(gNB)1Aは、UE(A)7AからRRC Setup Requestを受信すると(S45)、UE(A)7Aに対してRRC Rejectを送信し(S46)、UE(A)7Aからの新規接続要求を拒否する(S46)。
【0088】
一方、基地局装置(gNB)1Aは、UE(B)7BからRRC Setup Requestを受信すると(S47)、事業者Bの個別リソースの残りがあるため、UE(B)7Bに対してRRC Setupを送信し(S48)、UE(B)7Bからの新規接続要求を許可する。
【0089】
<通信システム100Aの効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る通信システム100Aによれば、基地局装置1Aの設定部11Aは、複数の移動体通信ネットワークのうちの第1の移動体通信ネットワークから通知された最低接続数が許容値を超えている場合、当該第1の移動体通信ネットワークのための個別リソースのリソース量を許容値に応じた量に設定する。したがって、第1の移動体通信ネットワークの事業者に対して過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0090】
また、設定部11Aは、通信部13Aを介して、第1の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置2Aに対して、第1の移動体通信ネットワークに対する最低接続数を許容値としたことを通知する。したがって、コアネットワーク装置2Aは、基地局装置1Aによって許容された最低確保数を認識することができる。
【0091】
また、接続制御部12Aは、共有リソースがすべて割り当てられ、かつ、複数の移動体通信ネットワークのうちの第2の移動体通信ネットワークのための個別リソースがすべて割り当てられた場合、当該第2の移動体通信ネットワークに接続する端末装置からの新規接続要求を拒否する。これによって、接続制御部12Aは、第2の移動体通信ネットワークの加入者の接続数を、第2の移動体通信ネットワークに対応する最低接続数に抑えることができる。
【0092】
〔ソフトウェアによる実現例〕
基地局装置1、1A、コアネットワーク装置2、2A、通信システム100,100Aの一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0093】
後者の場合、基地局装置1、1A、コアネットワーク装置2、2A、通信システム100、100Aは、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図10に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを基地局装置1、1A、コアネットワーク装置2、2A、通信システム100、100Aとして動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、基地局装置1、1A、コアネットワーク装置2、2A、通信システム100、100Aの各機能が実現される。
【0094】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0095】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAMを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0096】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0097】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0098】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0099】
(付記1)
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置であって、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定手段と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御手段と、
を備える基地局装置。
【0100】
上記の構成によれば、基地局装置が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0101】
また、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0102】
(付記2)
前記設定手段は、前記複数の移動体通信ネットワークのうちの第1の移動体通信ネットワークから通知された前記最低接続数が許容値を超えている場合、当該第1の移動体通信ネットワークのための個別リソースのリソース量を前記許容値に応じた量に設定する、
付記1に記載の基地局装置。
【0103】
上記の構成によれば、第1の移動体通信ネットワークの事業者に対して過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0104】
(付記3)
前記設定手段は、前記第1の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置に対して、前記第1の移動体通信ネットワークに対する最低接続数を前記許容値としたことを通知する、
付記2に記載の基地局装置。
【0105】
上記の構成によれば、コアネットワーク装置が、基地局装置によって許容された最低確保数を認識することができる。
【0106】
(付記4)
前記接続制御手段は、前記共有リソースがすべて割り当てられ、かつ、前記複数の移動体通信ネットワークのうちの第2の移動体通信ネットワークのための個別リソースがすべて割り当てられた場合、当該第2の移動体通信ネットワークに接続する端末装置からの新規接続要求を拒否する、
付記1~3のいずれかに記載の基地局装置。
【0107】
上記の構成によれば、接続制御手段が、第2の移動体通信ネットワークの加入者の接続数を、第2の移動体通信ネットワークに対応する最低接続数に抑えることができる。
【0108】
(付記5)
移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置であって、
前記移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、当該移動体通信ネットワークを含む複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置に通知する通知手段と、
を備えるコアネットワーク装置。
【0109】
上記の構成によれば、基地局装置が、複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ容易に設定することができる。
【0110】
(付記6)
前記算出手段は、前記移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、
前記移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報と、
前記移動体通信ネットワークの事業者と、前記基地局装置の事業者との間の契約内容を示す情報、および
前記移動体通信ネットワークの登録加入者数
の少なくとも一方と、に基づいて算出する、
付記5に記載のコアネットワーク装置。
【0111】
上記の構成によれば、コアネットワーク装置が、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を容易に算出することができる。
【0112】
(付記7)
複数の移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置と、
前記複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置と、を備える通信システムであって、
各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置は、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を前記基地局装置に通知する通知手段を備え、
前記基地局装置は、
各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置から通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定手段と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御手段と、
を備える通信システム。
【0113】
上記の構成によれば、基地局装置が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0114】
また、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0115】
(付記8)
各移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置は、当該移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する算出手段を更に備える、
付記7に記載の通信システム。
【0116】
上記の構成によれば、コアネットワーク装置が、移動体通信ネットワークに対する最低接続数を容易に算出することができる。
【0117】
(付記9)
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置が、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定すること、および、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てること、
を含む基地局装置の制御方法。
【0118】
上記の構成によれば、基地局装置が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0119】
また、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0120】
(付記10)
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置が備えるコンピュータに、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する設定処理と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる接続制御処理と、
を実行させる、プログラム。
【0121】
上記の構成によれば、基地局装置が、共有リソースの範囲内で運用が可能な場合、移動体通信ネットワークの事業者を判別する必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0122】
また、特定の移動体通信ネットワークの事業者に対する過剰なリソース量のリソースの提供を防止することができる。
【0123】
(付記11)
複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
各移動体通信ネットワークから通知された当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数に基づいて、前記基地局装置の処理リソースのうち、前記複数の移動体通信ネットワークに共有される共有リソース、および、各移動体通信ネットワークのための個別リソースをそれぞれ設定する処理と、
前記基地局装置に対する端末装置からの接続要求に応じて、
前記共有リソースが残っている場合には、前記共有リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当て、
前記共有リソースが残っていない場合には、前記端末装置が接続する前記移動体通信ネットワークのための前記個別リソースから、前記端末装置のために使用する前記処理リソースを割り当てる処理と、
を実行する基地局装置。
【0124】
なお、この通信システムは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記設定する処理と、前記割り当てる処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0125】
(付記12)
移動体通信ネットワークのコアネットワーク装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記移動体通信ネットワークのトラフィックの統計情報に基づいて、当該移動体通信ネットワークに対する最低接続数を算出する処理と、
算出した前記移動体通信ネットワークに対する最低接続数を、当該移動体通信ネットワークを含む複数の移動体通信ネットワークによって共有される基地局装置に通知する処理と、
を実行するコアネットワーク装置。
【0126】
なお、この推論装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記算出する処理と、前記通知する処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1,1A 基地局装置(gNB)
2,2A コアネットワーク装置
3 AMF
4 SMF
5 UPF
6 DN
11 設定手段
11A 設定部
12 接続制御手段
12A 接続制御部
13A,22A 通信部
21 算出手段
21A 算出部
22 通知手段
100,100A 通信システム