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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036155
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電子スタンプ装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240308BHJP
   A63H 33/22 20060101ALI20240308BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20240308BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240308BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
A63H33/22 Z
A63H33/00 304Z
G06F3/0488
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140910
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀一郎
【テーマコード(参考)】
2C150
5E555
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150DD09
2C150EF11
2C150EF16
2C150EF23
5E555AA10
5E555AA63
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB12
5E555CB55
5E555CC03
5E555DB18
5E555DC09
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】簡易な構成としながらも、押印時に表示する画像を複数種類の中から選定することのできる電子スタンプ装置、を提供する。
【解決手段】電子スタンプ装置10は、電子スタンプ20と、電子スタンプ20による押印が行われる部分であって、押印が行われた際に画像を表示する表示部410と、表示部410の動作を制御する制御部450と、を備える。制御部450は、押印された電子スタンプ20の向きを判定する判定部452と、判定部452によって判定された向きに応じて、表示部410に表示させる画像を複数の候補の中から選定する選定部453と、選定部453によって選定された画像を、表示部410に表示させる処理を行う処理部454と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子スタンプと、
前記電子スタンプによる押印が行われる部分であって、押印が行われた際に画像を表示する表示部と、
前記表示部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
押印された前記電子スタンプの向きを判定する判定部と、
前記判定部によって判定された向きに応じて、前記表示部に表示させる前記画像を複数の候補の中から選定する選定部と、
前記選定部によって選定された前記画像を、前記表示部に表示させる処理を行う処理部と、を有する、電子スタンプ装置。
【請求項2】
前記電子スタンプは、
押印が行われる際に使用者の手に接触する導電性部材、を更に有しており、
前記導電性部材には、
押印が行われた際に前記表示部に接触する突起、が複数形成されている、請求項1に記載の電子スタンプ装置。
【請求項3】
前記判定部は、
押印が行われた際に、前記表示部に接触したそれぞれの前記突起の位置に基づいて、前記電子スタンプの向きを判定する、請求項2に記載の電子スタンプ装置。
【請求項4】
前記電子スタンプは、押印される際に前記表示部と対向する平面部、を更に有しており、
前記平面部に対し平行であり、且つ前記電子スタンプに対し固定された仮想的な方向を第1方向とし、
前記表示部に対し平行であり、且つ前記表示部に対し固定された仮想的な方向を第2方向としたときに、
前記判定部は、
押印が行われた際に、前記表示部に接触したそれぞれの前記突起の位置に基づいて、前記第1方向と前記第2方向との間の角度を算出し、当該角度に基づいて前記電子スタンプの向きを判定する、請求項3に記載の電子スタンプ装置。
【請求項5】
前記電子スタンプのうち、押印される際において上方側となる面には、前記画像の候補に対応した図柄のそれぞれが描かれている、請求項1に記載の電子スタンプ装置。
【請求項6】
複数の前記図柄は環状に並ぶように描かれており、
前記選定部は、
押印が行われた際に、使用者から見て最も奥側の位置にある前記図柄に対応するものを、前記表示部に表示させる前記画像として選定する、請求項5に記載の電子スタンプ装置。
【請求項7】
押印が行われた際における前記電子スタンプの位置が、前記表示部の所定範囲から外れていた場合には、前記処理部は、前記表示部に前記画像を表示させる処理を行わない、請求項1に記載の電子スタンプ装置。
【請求項8】
前記電子スタンプは、
押印が行われる際に、前記突起よりも先に前記表示部に接触した状態となる接触部と、
前記接触部を前記表示部側に向けて付勢する付勢部と、を更に有する、請求項3に記載の電子スタンプ装置。
【請求項9】
前記接触部と前記付勢部とが互いに一体となっている、請求項8に記載の電子スタンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子スタンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばクーポンや電子チケットの提示等を行うための手段として、電子スタンプ装置が用いられることが多くなってきた。電子スタンプ装置は、携帯通信端末等の画面上に電子スタンプが押印されると、当該画面に、押印済であることを示す画像等を表示する。電子スタンプ装置は、クーポンの提示等の用途のみならず、今後は玩具等の幅広い分野で利用されて行くものと思われる。
【0003】
下記特許文献1に記載されているように、電子スタンプは、導電性の材料からなる複数の突起を有しており、押印の際には当該突起が画面に接触する。電子スタンプが押印される画面は、例えば静電容量方式のタッチパネルとなっている。このような構成により、画面上への押印を検知して、当該画面に画像等を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-182381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子スタンプ装置の用途によっては、複数種類の電子スタンプを予め用意しておき、押印時に画面に表示させる画像を、それぞれの電子スタンプ毎に異なる画像とすることも考えられる。しかしながら、複数個の電子スタンプを用意した場合には、部品コストは増加することとなり、電子スタンプの保管や管理も煩雑なものとなってしまう。
【0006】
例えば、電子スタンプ又は表示装置に切り替えスイッチを設けておき、当該スイッチの状態に応じて押印時の表示画像を変化させることも考えられる。しかしながら、その場合は電子スタンプ等の構造が複雑なものになり過ぎて、やはり部品コストが増加してしまう。
【0007】
本発明は、簡易な構成としながらも、押印時に表示する画像を複数種類の中から選定することのできる電子スタンプ装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子スタンプ装置は、電子スタンプと、電子スタンプによる押印が行われる部分であって、押印が行われた際に画像を表示する表示部と、表示部の動作を制御する制御部と、を備える。制御部は、押印された電子スタンプの向きを判定する判定部と、判定部によって判定された向きに応じて、表示部に表示させる画像を複数の候補の中から選定する選定部と、選定部によって選定された画像を、表示部に表示させる処理を行う処理部と、を有する。
【0009】
電子スタンプ装置をこのような構成とすれば、使用者は、電子スタンプの向きを変化させるだけで、押印時に表示される画像を切り替えることができる。画像を、複数の候補の中から選定可能とするにあたり、切り替えスイッチ等の機構を設ける必要が無いので、電子スタンプ装置の構造が複雑化してしまうことはない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成としながらも、押印時に表示する画像を複数種類の中から選定することのできる電子スタンプ装置、が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、電子スタンプ装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、電子スタンプの外観を示す斜視図である。
図3図3は、電子スタンプを底面側から見て描いた図である。
図4図4は、電子スタンプの内部構成を示す断面図である。
図5図5は、電子スタンプ装置が備える制御部の構成を示す図である。
図6図6は、制御部によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、表示部のうち押印可能な範囲について説明するための図である。
図8図8は、押印時における電子スタンプの角度について説明するための図である。
図9図9は、電子スタンプの角度と、表示部に表示させる画像との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
本実施形態に係る電子スタンプ装置10は、子供用の玩具であって、電子スタンプ20と、表示装置40と、を備える。尚、以下に説明する電子スタンプ装置10の構成や機能は、玩具以外の用途にも適用することができる。このような電子スタンプ装置の用途としては、例えば、店舗等において顧客が提示した携帯端末上のクーポンに、「使用済」の押印を行う用途等を挙げることができる。
【0014】
電子スタンプ20は、所謂「スタンプ」として用いられるものであって、押印の際に使用者によって把持され、その一部が後述の表示部410に押し付けられる(つまり押印される)ものである。電子スタンプ20の具体的な構成については後に説明する。
【0015】
表示装置40は、所謂「タブレット端末」とも称される薄型のコンピュータ装置である。表示装置40の上面には表示部410が設けられている。表示部410は、静電容量方式のタッチパネル画面であって、図1に示されるように長方形の画面となっている。表示部410に、例えば人体のような静電容量の大きな導電体が触れると、表示装置40はそれを検知し、導電体が触れた位置を判定したり、表示部410の当該位置に特定の画像を表示させたりすることができる。表示部410は、電子スタンプ20による押印が行われる部分であって、押印が行われた際に画像を表示する部分である。
【0016】
表示装置40の内部には、表示部410を含む全体の動作を制御するための制御部450(図1においては不図示、図5を参照)が設けられている。使用者が電子スタンプ20を把持して、その底面を表示部410に押し付けると、制御部450はそのことを検知し、表示部410の同じ位置に画像50を表示させる。制御部450の構成や、制御部450によって実行される処理の具体的な内容については後に説明する。
【0017】
電子スタンプ20の具体的な構成について、図2等を参照しながら説明する。図2は、電子スタンプ20を上方側から見て描いた斜視図である。図3は、電子スタンプ20を底面側から見て描いた図である。図4は、電子スタンプ20の内部構成を示す断面図であって、図3におけるIV-IV断面を部分的に表す図である。
【0018】
図2及び図3に示されるように、電子スタンプ20は、ケース200と、導電性部材300と、底板220と、を備えている。
【0019】
ケース200は、電子スタンプ20の外形をなす部材であって、内側に導電性部材300を収容する容器である。ケース200は、例えば樹脂のような絶縁性の部材で形成されている。ケース200の形状は略直方体である。図3に示されるように、ケース200のうち底の部分には開口が形成されており、当該開口を後述の底板220が覆っている。
【0020】
図2に示されるように、ケース200の4つの側面のそれぞれには、矩形の開口215が形成されている。これにより、内側に収容された導電性部材300の表面が、それぞれの開口215において外部に露出している。使用者が、押印を行うために電子スタンプ20を把持すると、使用者の指が、いずれかの開口215を通じて導電性部材300の表面に接触した状態となる。
【0021】
ケース200の上面210は、押印される際において上方側となる面、すなわち、表示部410とは反対側に位置することとなる面である。上面210には、4つの図柄211、212、213、214が、環状に並ぶように描かれている。本実施形態では、図柄211は「ハート」であり、図柄212は「クローバー」であり、図柄213は「ダイヤ」であり、図柄214は「スペード」である。これらはあくまで一例であって、上面210に描かれる図柄はこれらとは異なっていてもよい。後に説明するように、これらの図柄211等は、押印が行われた際に表示部410に表示される画像、と対応するものとなっている。
【0022】
導電性部材300は、導電性を有する部材であって、例えば導電性樹脂である。導電性部材300は、ケース200及び底板220の内側に収容されており、先に述べたように、その一部が開口215を通じて外部に露出している。
【0023】
導電性部材300には、底板220側(つまり下方側)に向かって突出する突起311が3つ形成されている。それぞれの突起311は、本実施形態では円柱形状であるが、それ以外の形状であってもよい。図3のように底面側から見た場合において、突起311は、矩形であるケース200の4つのコーナーのうち、3つのコーナーの近傍となる位置に設けられており、残る1つのコーナーの近傍には設けられていない。それぞれの突起311は、次に述べる底板220に形成された開口223を通じて、外部に露出している。
【0024】
底板220は、導電性部材300を下方側から覆うように配置された板状の部材である。底板220は、ケース200と同様に、例えば樹脂のような絶縁性の部材で形成されている。底板220には、先述の開口223が形成されている。開口223は、突起311と対応する位置のそれぞれに形成されている。図3のように底面側から見た場合において、それぞれの開口223は、その直下にある突起311の全体を含む範囲に形成されている。
【0025】
底板220は、平板部221と、傾斜部222と、を有している。平板部221は、底板220の大部分を占める部分であって、ケース200の上面210に対し平行な部分である。平板部221は、電子スタンプ20が押印される際に、表示部410と対向した状態となる部分、すなわち、表示部410に対し概ね平行となる部分であって、本実施形態における「平面部」に該当する。
【0026】
傾斜部222は、ケース200の上面210に対し傾斜している部分である。傾斜部222は、底板220のうち、4つのコーナーのそれぞれの近傍に設けられている。4つの傾斜部222のうちの3つには、先に述べた開口223が形成されている。図4に示されるように、傾斜部222は、末端側に行くに従って内側(つまり上面210側)に近づくように傾斜している。
【0027】
図4(A)には、押印が行われる前、すなわち、電子スタンプ20が表示部410に未だ接触していないときにおける、底板220等の状態が示されている。平板部221の中央部分には、内側に向かって伸びる棒状の支柱224の一端が接続されている。支柱224は、導電性部材300に形成された貫通孔312に挿通されており、図4の上下方向に移動可能な状態で保持されている。ただし、支柱224のうち上面210側の端部には、不図示の機構によって抜け止めが施されているので、電子スタンプ20から底板220が外れてしまうことはない。
【0028】
尚、図4において符号「310」が付されているのは、導電性部材300のうち平板部221と対向する面である、当該面のことを、以下では「面310」とも称する。面310は、上面210や平板部221に対して平行な面であって、それぞれの突起311が設けられている面である。電子スタンプ20が押印される際に、面310は、平板部221を介して表示部410と対向した状態となる。面310は、平板部221と同様に、本実施形態における「平面部」に該当する。
【0029】
ケース200の内側には、上面210に対し平行な面である支持面201が形成されており、傾斜部222の先端が支持面201に接触している。図4(A)の状態においては、突起311の先端が平板部221よりも内側となっている。このため、電子スタンプ20による押印が行われる際には、平板部221が最初に表示部410に接触する。
【0030】
平板部221が表示部410に接触した後、使用者が、更に電子スタンプ20を表示部410側(つまり下方側)に押し込んでいくと、底板220のうち傾斜部222の近傍部分が弾性変形し、平板部221が導電性部材300側に近づいていく。最終的には、図4(B)に示されるように、平板部221の外表面と、突起311の先端面とが、同一平面状に位置した状態となる。同図において表示部410の図示は省略してあるが、図4(B)の状態においては、各突起311の先端面が表示部410に対して接触している。
【0031】
このとき、導電性部材300は、一部が使用者の手に接触しており、他の一部である突起311が表示部410に接触している。このため、制御部450は、表示部410に導電性部材300が接触したこと、すなわち、押印が行われたことを検知することができる。
【0032】
押印が終了し、電子スタンプ20が表示部410から離れると、底板220は図4(A)の状態に戻る。
【0033】
制御部450の構成について、図5を参照しながら説明する。先に述べたように、制御部450は、表示部410を含む表示装置40全体の動作を制御する部分である。制御部450は、不図示のCPU、ROM、RAM等を含むコンピュータシステムとして構成されている。制御部450は、その機能を表す要素として、押印検知部451と、判定部452と、選定部453と、処理部454と、記憶部455と、を備えている。
【0034】
押印検知部451は、電子スタンプ20の押印を検知する処理を行う部分である。電子スタンプ20の押印が行われると、押印検知部451は、その旨を検知すると共に、表示部410において押印が行われた位置をも検知する。「押印が行われた位置」とは、表示部410に接触した3つの突起311のそれぞれの位置のことである。尚、押印検知部451によって行われる検知の方法としては、タッチパネル画面における従来の検知方法を採用し得るので、その具体的な方法については説明を省略する。
【0035】
ここで、上面210の中心のことを、以下では「中心C1」とも称する(図2を参照)。
中心C1を通り、上面210に対し垂直な軸の周りにおいて電子スタンプ20を回転させると、それに伴って電子スタンプ20の向きが変化する。電子スタンプ20の「向き」をこのように定義した場合において、判定部452は、押印された電子スタンプ20の向きを判定する処理、を行う部分である。
【0036】
図3を参照しながら説明したように、本実施形態では、矩形であるケース200の4つのコーナーのうち、3つのコーナーの近傍に突起311が設けられている。このため、押印が行われた際において、表示部410に接触した3つの突起311のそれぞれの位置が解れば、その状態における電子スタンプ20の向きは一意に定まることとなる。そこで、判定部452は、押印検知部451によって検知された各突起311の位置に基づいて、電子スタンプ20の向きを判定するように構成されている。
【0037】
尚、押印が行われた際における各突起311の位置と、電子スタンプ20の向きと、の対応関係が一意に定まるのであれば、突起311の数や配置は、本実施形態とは異なっていてもよい。このような突起311の配置は、中心C1を通り且つ上面210に対し垂直な軸について、「1回対称な配置」や「1回回転対称な配置」、などということができる。
【0038】
選定部453は、判定部452によって判定された電子スタンプ20の「向き」に応じて、表示部410に表示させる画像を選定する処理、を行う部分である。ここでいう「画像」とは、押印が行われた際に、表示部410のうち押印が行われた位置に表示される画像のことである。本実施形態では、表示部410に表示される画像として、予め4つの候補が用意されており、当該候補の中から選定部453によって選定された1つの画像のみが、表示部410に表示される。
【0039】
図1に示されるハートの画像50は、これら候補の中の1つである。本実施形態では、ハート、クローバー、ダイヤ、及びスペードの4つの画像が上記候補として予め用意されている。これら4つの候補は、上面210に描かれた4つの図柄211、212、213、214のそれぞれに対応するものである。換言すれば、上面210には、表示部410に表示される画像の候補に対応した図柄のそれぞれが、環状に並ぶように描かれている。押印時における電子スタンプ20の向きと、選定部453によって選定される画像と、の対応関係については後に説明する。
【0040】
処理部454は、選定部453によって選定された画像を、表示部410に表示させる処理を行う部分である。処理部454は、選定部453によって選定された画像を、表示部410のうち押印が行われた位置に表示させる。当該画像は、電子スタンプ20が表示部410から離れた後も、引き続き表示部410に表示されたままとなる。
【0041】
記憶部455は、制御部450が備える不揮発性の記憶装置であって、例えばSSDである。記憶部455には、制御部450が行う処理に必要なプログラムやデータが記憶されている。記憶部455に記憶されているデータには、例えば、表示部410に表示される画像のデータが含まれる。
【0042】
制御部450によって実行される処理の具体的な内容について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。図6に示される一連の処理は、電子スタンプ20による押印が行われた直後において実行開始されるものである。
【0043】
当該処理の最初のステップS01では、押印の中心位置を取得する処理が行われる。「押印の中心位置」とは、表示部410をその法線方向に沿って見た場合において、表示部410のうち、電子スタンプ20の中心C1の直下となる点の位置のことである。押印の中心位置は、押印が行われた際の、それぞれの突起311の位置に基づいて取得することができる。
【0044】
ステップS01に続くステップS02では、押印の中心位置が、表示部410の所定範囲内にあるか否かが判定される。「所定範囲」とは、図7において符号「D」の付された点線で囲まれている範囲のことである。以下では、当該範囲のことを「範囲D」とも称する。
【0045】
ここで、表示部410の横方向に沿った長辺を辺411とし、表示部410の縦方向に沿った短辺を辺412とする。範囲Dから辺411までの距離はTであり、範囲Dから辺412までの距離もTである。
【0046】
図7に示されるように、押印時に表示部410に表示される画像50の一片の長さをLとすると、LとTとの間には以下の式(1)が成り立つ。換言すれば、以下の式(1)が成り立つように、T及び範囲Dが設定されている。
T=L/21/2・・・(1)
【0047】
上記のTは、画像50の中心C2から角までの長さ、つまり、図7に示されるxに等しい長さである。
【0048】
本実施形態では、電子スタンプ20による押印が行われると、画像50の中心C2が、電子スタンプ20の中心C1の直下となるような位置に、画像50を表示させる。つまり、押印の中心位置と画像50の中心C2とを一致させる。
【0049】
図6のステップS02において、押印の中心位置が範囲Dの外であった場合には、表示部410に画像を表示させる処理を行うことなく、図6に示される一連の処理を終了する。
【0050】
その理由について説明する。本実施形態では、押印時における電子スタンプ20の向きに合わせて、表示部410に画像50を傾けて表示するように構成されている。従って、電子スタンプ20の向きによっては、図7のxに対応する対角線が、辺411と平行となるように、画像50が傾いて表示される可能性がある。このとき、押印の中心位置が範囲Dの外であった場合には、画像50の一部が表示部410の外にはみ出してしまうので、画像50の全体を表示することができない。
【0051】
そこで、本実施形態では、押印が行われた際における電子スタンプ20の位置(つまり、押印の中心位置)が、表示部410の範囲Dから外れていた場合には、処理部454は、表示部410に画像50を表示させる処理を行わないこととしている。これにより、電子スタンプ20がどのような向きで押印されたとしても、押印場所と同じ位置に、画像50の全体を表示させることができる。
【0052】
尚、画像50の一部のみしか表示されなくても問題がない場合には、図6のステップS02の処理は行われなくてもよい。
【0053】
ステップS02において、押印の中心位置が範囲Dの内側に収まっていた場合には、ステップS03に移行する。ステップS03では、押印が行われた際の電子スタンプ20の角度を算出する処理が、判定部452によって行われる。
【0054】
図8には、押印が行われた際における、電子スタンプ20及び表示部410のそれぞれが図示されている。同図に示されるDR1は、電子スタンプ20の平面部(平板部221や面310)に対し平行であり、且つ、電子スタンプ20に対し固定された仮想的な方向を表している。ここでは、中心C1から、図柄211の近傍にある辺に対し垂直に向かう方向を、上記のDR1としている。DR1は、電子スタンプ20に対し固定された仮想的な方向であるから、電子スタンプ20の向きに応じて変化することとなる。DR1は、本実施形態における「第1方向」に該当する。
【0055】
図8に示されるDR2は、表示部410の上面に対し平行であり、且つ、表示部410に対し固定された仮想的な方向を表している。ここでは、辺411に対し平行であり、且つ図8の左側から右側に向かう方向を、上記のDR2としている。DR2は、表示部410に対し固定された仮想的な方向であるから、電子スタンプ20の向きに応じて変化しない。DR2は、本実施形態における「第2方向」に該当する。
【0056】
図6のステップS03では、DR1とDR2との間の角度θを、「電子スタンプ20の角度」として算出し取得する。当該処理は判定部452によって行われる。角度θは、押印が行われた際に、表示部410に接触したそれぞれの突起311の位置に基づいて算出することができる。
【0057】
判定部452は、上記のような角度θに基づいて、電子スタンプ20の向きを判定する。本実施形態では、角度θが、電子スタンプ20の向きそのものを示す指標として用いられる。
【0058】
ステップS03に続くステップS04では、表示部410に表示させる画像を選定する処理が、選定部453によって行われる。図9に示されるのは、ステップS03で算出される角度θと、表示させる画像との対応関係を示すマップである。当該マップは予め作成され、記憶部455に記憶されている。選定部453は、当該マップを参照することにより画像を選定する。
【0059】
図9に示されるように、角度θが-45度以上45度未満である場合には、スペードの画像が選定される。角度θが45度以上135度未満である場合には、ハートの画像が選定される。角度θが135度以上225度未満である場合には、クローバーの画像が選定される。角度θが225度以上315度未満である場合には、ダイヤの画像が選定される。
【0060】
尚、角度θが-45度以上45度未満のときには、スペードである図柄214が、使用者から見て最も奥側の位置にある。つまり、このとき選定されるスペードの画像は、使用者から見て最も奥側の位置にある図柄214に対応した画像である。角度θがその他の値であるときにおいても上記と同様である。つまり、角度θが45度以上135度未満であるときに選定されるハートの画像は、使用者から見て最も奥側の位置にある図柄211に対応した画像である。角度θが135度以上225度未満であるときに選定されるクローバーの画像は、使用者から見て最も奥側の位置にある図柄212に対応した画像である。角度θが225度以上315度未満であるときに選定されるダイヤの画像は、使用者から見て最も奥側の位置にある図柄213に対応した画像である。
【0061】
このように、本実施形態の選定部453は、押印が行われた際に、使用者から見て最も奥側の位置にある図柄211等に対応するものを、表示部410に表示させる画像として選定するように構成されている。
【0062】
図6のステップS04において、画像の選定が行われた後は、ステップS05に移行する。ステップS05では、ステップS04で選定された画像を、表示部410に表示させる処理が、処理部454によって行われる。先に述べたように、画像が表示される位置は、押印が行われた位置である。また、画像は、押印時における電子スタンプの20の向きに合わせて、適宜傾いた状態で表示される。例えば、角度θが30度であった場合には、図柄214に対応したスペードの画像が、左側に30度だけ傾いた状態で表示される。また、角度θが60度であった場合には、図柄211に対応したハートの画像が、右側に30度だけ傾いた状態で表示される。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る電子スタンプ装置10では、使用者は、電子スタンプ20の向きを変化させるだけで、押印時に表示される画像を切り替えることができる。画像を、複数の候補の中から選定可能とするにあたり、切り替えスイッチ等の機構を設ける必要が無いので、電子スタンプ装置10の構造が複雑化してしまうことはない。
【0064】
本実施形態では、表示部410に表示される画像として、予め4つの候補が用意されており、それに対応して、上面210に4つの図柄211等が描かれている。表示部410に表示される画像の候補の数は、3以下であってもよく、5以上であってもよい。いずれの場合であっても、上面210には、画像の候補に対応した図柄が、候補と同じ数だけ描かれる。この場合、ケース200を上方側から見た場合の形状(つまり上面210の形状)は、図柄の数に応じた多角形形状とすることが好ましい。例えば図柄の数が5の場合には、上面210を五角形とすればよい。また、この場合には、角度θが72度(=360度/5)変化する毎に、押印時に表示される画像を切り替えることとすればよい。図柄の数が5以外の場合でも同様である。いずれの場合でも、上面210に描かれる図柄は、画像に対応したものであればよく、画像と同一の図柄でなくてもよい。
【0065】
その他の利点について説明する。図4を参照しながら説明したように、電子スタンプ20では、押印が行われる際に、突起311よりも先に平板部221が、表示部に対し接触した状態となる。平板部221は、本実施形態における「接触部」に該当する。
【0066】
押印が行われる際には、傾斜部222の部分が板バネとして機能することにより、平板部221は表示部410側に向けて付勢される。使用者は、傾斜部222の弾性力に抗するよう力を加えながら押印を行い、突起311を表示部410に接触させる。傾斜部222は、本実施形態における「付勢部」に該当する。本実施形態では、接触部である平板部221と、付勢部である傾斜部222とが、互いに一体となっている。「付勢部」は、本実施形態のような板バネであってもよいが、その他の弾性部材(例えばスパイラル式のスプリングのバネや、気圧を用いた部材、鉄製のバネ等)であってもよい。
【0067】
このような構成においては、使用者が電子スタンプ20を単に表示部410上に置いただけでは、突起311が表示部410に接触しないので、押印は行われず、表示部410に画像は表示されない。これにより、使用者の意図に反して押印が行われてしまうことを防止することが可能となっている。
【0068】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0069】
10:電子スタンプ装置
20:電子スタンプ
410:表示部
450:制御部
452:判定部
453:選定部
454:処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9