(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036168
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】カラーフィルタ及び固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240308BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240308BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L27/146 D
H01L27/144 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140929
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】北嵜 仁
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
【Fターム(参考)】
2H148BE13
2H148BE15
2H148BE18
2H148BF02
2H148BG11
2H148BH07
2H148BH12
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA22
4M118FA06
4M118GC08
4M118GC09
4M118GC11
4M118GC20
4M118GD04
4M118GD07
(57)【要約】
【課題】放射線環境下で使用可能なカラーフィルタおよび放射線環境下で使用可能な固体撮像素子を提供する。
【解決手段】放射線環境下で使用するためのカラーフィルタであって、透過スペクトルが異なる複数種のフィルタ部を含み、前記複数種のフィルタ部の少なくとも1種は、1200kGyの放射線を照射した場合に480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T1が、前記放射線の照射前において480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T0の80%以上であるカラーフィルタ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線環境下で使用するためのカラーフィルタであって、透過スペクトルが異なる複数種のフィルタ部を含み、前記複数種のフィルタ部の少なくとも1種は、1200kGyの放射線を照射した場合に480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T1が、前記放射線の照射前において480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T0の80%以上であるカラーフィルタ。
【請求項2】
前記最大値T1が前記最大値T0の90%以上である請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
C.I.Pigment Green 36を含む請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
C.I.Pigment Green 36と黄色顔料とを含む請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
C.I.Pigment Yellow 185を含む請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
C.I.Pigment Yellow 185と緑色顔料とを含む請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項7】
C.I.Pigment Green 58とC.I.Pigment Yellow 185とを含む請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項8】
放射線環境下で使用するための固体撮像素子であって、
請求項1乃至7の何れか1項に記載のカラーフィルタと、
受光面に前記カラーフィルタが配置された光電変換素子と
を備えた固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ及び固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子(又はイメージセンサ)には、フォトダイオードが形成された基板上に、下地膜、カラーフィルタ、及びマイクロレンズアレイをこの順に設けた構造を有しているものがある。カラーフィルタは、顔料等の着色材を含む感光性着色組成物を使用して形成する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、放射線環境下で使用可能なカラーフィルタ及び放射線環境下で使用可能な固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によると、放射線環境下で使用するためのカラーフィルタであって、透過スペクトルが異なる複数種のフィルタ部を含み、前記複数種のフィルタ部の少なくとも1種は、1200kGyの放射線を照射した場合に480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T1が、前記放射線の照射前において480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T0の80%以上であるカラーフィルタが提供される。
【0006】
本発明の他の側面によると、前記最大値T1が前記最大値T0の90%以上である上記側面に係るカラーフィルタが提供される。
【0007】
本発明の更に他の側面によると、C.I.Pigment Green 36を含む上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0008】
本発明の更に他の側面によると、C.I.Pigment Green 36と黄色顔料とを含む上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0009】
本発明の更に他の側面によると、C.I.Pigment Yellow 185を含む上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0010】
本発明の更に他の側面によると、C.I.Pigment Yellow 185と緑色顔料とを含む上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、C.I.Pigment Green 58とC.I.Pigment Yellow 185とを含む上記側面の何れかに係るカラーフィルタが提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、放射線環境下で使用するための固体撮像素子であって、上記側面の何れかに係るカラーフィルタと、受光面に前記カラーフィルタが配置された光電変換素子とを備えた固体撮像素子が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、放射線環境下で使用可能なカラーフィルタ及び放射線環境下で使用可能な固体撮像素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す固体撮像素子のII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、例1のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図4】
図4は、例2のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図5】
図5は、例3のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図6】
図6は、例4のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図7】
図7は、例5のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図8】
図8は、例6のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図9】
図9は、例7のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図10】
図10は、例8のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図11】
図11は、例9のサンプルの透過スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0016】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の一部を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す固体撮像素子のII-II線に沿った断面図である。
【0019】
図1及び
図2に示す固体撮像素子1Aは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子1Aは、基板2と、下地膜3と、色分解フィルタ4と、マイクロレンズアレイ5とを含んでいる。
【0020】
なお、各図において、X方向は、基板2のマイクロレンズアレイ5と向き合った主面に平行な方向である。Y方向は、先の主面に平行であり且つX方向と交差する方向である。Z方向は、X方向及びY方向に対して垂直な方向、即ち、基板2の厚さ方向である。ここでは、一例として、X方向及びY方向は、互いに対して垂直であるとする。
【0021】
基板2は、シリコン基板等の半導体基板である。基板2の表面領域には、
図2に示すように、光電変換素子である複数のフォトダイオード21が設けられている。フォトダイオード21は、X方向とY方向とに配列している。
【0022】
下地膜3は、基板2のフォトダイオード21側の主面上に設けられている。下地膜3は、色分解フィルタ4へ平坦な下地を提供している。下地膜3は、無色透明であり、フォトダイオード21に入射させるべき光に対して高い透過率を示す。下地膜3は、例えば、アクリル樹脂などのポリマーからなる。下地膜3は、省略することができる。
【0023】
色分解フィルタ4は、下地膜3上に設けられている。色分解フィルタ4は、透過スペクトルが異なる複数種のフィルタ部を含んでいる。ここでは、色分解フィルタ4は、第1フィルタ部41、第2フィルタ部42、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44を含んでいる。色分解フィルタ4が含むフィルタ部の種類は、2以上であれば、4種でなくてもよい。
【0024】
第1フィルタ部41及び第2フィルタ部42は、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列した複数の第1列を形成している。第1列の各々において、第1フィルタ部41及び第2フィルタ部42は、X方向へ交互に配列している。第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44は、X方向へ各々が伸び、Y方向へ配列した複数の第2列を形成している。第2列の各々において、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44は、X方向へ交互に配列している。そして、第1列及び第2列は、Y方向へ交互に配列している。
【0025】
第1フィルタ部41、第2フィルタ部42、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44は、透過スペクトルが異なっている。第1フィルタ部41、第2フィルタ部42、第3フィルタ部43及び第4フィルタ部44の各々は、例えば、赤色層、青色層、緑色層、イエロー色層、マゼンタ色層、シアン色層、無色透明層、近赤外透過層、又は近赤外吸収層である。一例によれば、第1フィルタ部41、第2フィルタ部42及び第3フィルタ部43は、赤色層、青色層及び緑色層であり、第4フィルタ部は、無色透明層、近赤外透過層、又は近赤外吸収層である。他の例によれば、第1フィルタ部41、第2フィルタ部42及び第3フィルタ部43は、イエロー色層、マゼンタ色層及びシアン色層であり、第4フィルタ部は、無色透明層、近赤外透過層、又は近赤外吸収層である。
【0026】
各層は、感光性樹脂を含む塗膜の形成、およびフォトリソグラフィ法を用いた塗膜のパターニングによって形成される。例えば、赤色用感光性樹脂を含む塗膜は、赤色用感光性樹脂を含む塗布液の塗布、および塗膜の乾燥によって形成される。赤色層は、赤色用感光性樹脂を含む塗膜のうち赤色層に相当する領域に対する露光、および現像を経て形成される。
【0027】
マイクロレンズアレイ5は、色分解フィルタ4上に設けられている。マイクロレンズアレイ5は、透明材料からなる。この透明材料は、有機物であってもよく、無機物であってもよい。
【0028】
マイクロレンズアレイ5は、複数のマイクロレンズ51を含んでいる。これらマイクロレンズ51は、下地膜3及び色分解フィルタ4を間に挟んでフォトダイオード21とそれぞれ向き合っている。
【0029】
マイクロレンズ51の各々は、上面が凸面である凸レンズである。ここでは、各マイクロレンズ51は、Z方向に対して垂直な平面への正射影が円形である。この正射影は、角が丸まった四角形などの他の形状を有していてもよい。
【0030】
色分解フィルタ4とマイクロレンズアレイ5との間には、平坦化膜を設けてもよい。平坦化膜は、無色透明であり、フォトダイオード21に入射させるべき光に対して高い透過率を示す。平坦化膜は、マイクロレンズアレイ5へ平坦な下地を提供する。平坦化膜は、例えば、アクリル樹脂などのポリマーからなる。
【0031】
この固体撮像素子1Aは、X方向とY方向とに配列した複数の画素を含んでいる。ここでは、各画素は、第1乃至第4サブ画素を含んでいる。第1サブ画素は、第1フィルタ部41と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。第2サブ画素は、第2フィルタ部42と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。第3サブ画素は、第3フィルタ部43と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。第4サブ画素は、第4フィルタ部44と、これと向き合ったフォトダイオード21及びマイクロレンズ51を含んでいる。
【0032】
上述のとおり、色分解フィルタ4は、透過スペクトルが異なる複数種のフィルタ部を含む。色分解フィルタ4において、複数種のフィルタ部の少なくとも1種は、1200kGyの放射線を照射した場合に480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T1が、放射線の照射前において480乃至600nmの波長範囲内で示す透過率の最大値T0の80%以上である。好ましくは、最大値T1は、最大値T0の90%以上である。
【0033】
このように、色分解フィルタ4のフィルタ部の少なくとも1種は、1200kGyという高い放射線量の照射後であっても、「480乃至600nmの波長範囲内の透過率の最大値T1」が、放射線の照射前における「480乃至600nmの波長範囲内の透過率の最大値T0」の少なくとも80%維持されている。したがって、色分解フィルタ4は、放射線環境下、とりわけ、高い放射線量に晒される環境下、例えば原子力発電所での使用に適している。
【0034】
色分解フィルタ4は、以下で例示する顔料を含むことが好ましい。なお、本明細書では、「C.I.」はカラーインデックスを表す。
【0035】
好ましい態様において、色分解フィルタ4は、C.I.Pigment Green 36を含む。
【0036】
別の好ましい態様において、色分解フィルタ4は、C.I.Pigment Green 36と黄色顔料とを含む。ここで、C.I.Pigment Green 36と黄色顔料とは、同一のフィルタ部に含まれていてもよいし、異なるフィルタ部に含まれていてもよい。黄色顔料は、任意の種類の黄色顔料であってもよいが、例えば、C.I.Pigment Yellow 139、150、若しくは185、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0037】
別の好ましい態様において、色分解フィルタ4は、C.I.Pigment Yellow 185を含む。
【0038】
別の好ましい態様において、色分解フィルタ4は、C.I.Pigment Yellow 185と緑色顔料とを含む。ここで、C.I.Pigment Yellow 185と緑色顔料とは、同一のフィルタ部に含まれていてもよいし、異なるフィルタ部に含まれていてもよい。緑色顔料は、任意の種類の緑色顔料であってもよいが、例えば、C.I.Pigment Green 36、58、又はこれらの組み合わせである。
【0039】
別の好ましい態様において、色分解フィルタ4は、C.I.Pigment Green 58とC.I.Pigment Yellow 185とを含む。
【0040】
色分解フィルタ4は、従来の色分解フィルタに含まれる緑色顔料又は黄色顔料を、上記で例示した同色の顔料に置き換えたこと以外は、従来の色分解フィルタと同様の構成とすることができる。
【0041】
上記の色分解フィルタ4及びそれを含む固体撮像素子1Aは、本発明者が、新規な課題を見出し、その課題を解決することにより得られたものであることを以下に説明する。
【0042】
撮像素子は、放射線環境下で使用することがある。例えば、撮像素子は、原子力発電所における原子炉の点検又は廃炉作業や宇宙環境において使用することがある。
【0043】
撮像素子として固体撮像素子を含んだ市販のカメラは、放射線環境下で使用することは想定されていない。そのようなカメラを、強い放射線環境下で、例えば、燃料デブリを識別するために使用した場合、放射線の影響により、その半導体部品が数日で壊れてしまう。これに対し、撮像素子として撮像管を含んだカメラは、高い耐放射線性を有している。しかしながら、そのようなカメラは、大きく且つ重いため扱いづらい。従って、放射線環境下での使用に耐え得る固体撮像素子が望まれる。
【0044】
放射線環境下で使用する固体撮像素子がカラー画像を取得可能なものである場合、色を利用して燃料デブリ等を識別することが可能となる。そのような固体撮像素子が含むカラーフィルタも、放射線環境下での使用に耐え得るものである必要がある。
【0045】
本発明者は、カラーフィルタには、放射線環境下で使用した場合に光学特性が大きく劣化するものがあることを見出した。そして、本発明者は、光学特性の劣化に関して詳しく分析したところ、このような劣化を生じるものは、放射線照射によって、緑色以外の帯域における透過率は大きくは変化せず、緑色の帯域における透過率が大幅に低下することを見出した。即ち、放射線照射によって、緑色の帯域における透過率が大幅に低下しないカラーフィルタであれば、放射線環境下での使用に耐え得ることを見出した。
【0046】
上述のとおり、上記の色分解フィルタ4は、放射線を照射した場合に、緑色の帯域における透過率が大幅に低下しない。加えて、色分解フィルタ4は、従来の色分解フィルタと同様、放射線を照射した場合に、緑色以外の帯域における透過率は大きくは変化しない。また、色分解フィルタ4は、放射線を照射した場合に、透過スペクトルのピーク波長がほとんど変化しない。このため、色分解フィルタ4及びそれを含む固体撮像素子1Aは、放射線環境下での使用に耐えることができ、放射線環境下での長期的な使用が可能である。また、固体撮像素子1Aは、原子力発電所における廃炉作業で使用した場合、色情報に基づいて燃料デブリ等を識別することが可能である。
【実施例0047】
以下に、本発明に関連して行った試験を記載する。
【0048】
<放射線照射サンプルの調製>
ガラス基板に、下記顔料を含有する層を形成した。これにより、例1乃至9のサンプルを調製した。
[例1]C.I.Pigment Green 58、及び
C.I.Pigment Yellow 150
[例2]C.I.Pigment Green 58、
C.I.Pigment Yellow 150、及び
C.I.Pigment Yellow 139
[例3]C.I.Pigment Green 58、及び
C.I.Pigment Yellow 185
[例4]C.I.Pigment Green 36、
C.I.Pigment Yellow 150、及び
C.I.Pigment Yellow 139
[例5]C.I.Pigment Green 36、
C.I.Pigment Green 7、及び
C.I.Pigment Yellow 139
[例6]C.I.Pigment Green 36、及び
C.I.Pigment Yellow 185
[例7]C.I.Pigment Yellow 150
[例8]C.I.Pigment Yellow 139、及び
C.I.Pigment Yellow 185
[例9]C.I.Pigment Yellow 185
【0049】
<放射線の照射>
例1乃至9のサンプルの各々に、240kGy又は1200kGyの累積線量で放射線を照射した。コントロールとして、放射線を照射しない各サンプルを準備した。
【0050】
<透過率の測定>
放射線を照射しなかったサンプル、240kGyの放射線を照射したサンプル、及び1200kGyの放射線を照射したサンプルについて、波長380乃至780nmの光の透過率を測定した。
【0051】
<結果>
透過率の測定結果を
図3乃至11に示す。
図3乃至11は、それぞれ、例1乃至9の結果を示す。
図3乃至11において、「0kGy」は、放射線を照射しなかったサンプル、「240kGy」は、240kGyの放射線を照射したサンプル、及び「1200kGy」は、1200kGyの放射線を照射したサンプルの結果を示す。
【0052】
また、例1乃至9のサンプルについて、1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」を以下の式により求めた。
透過率の維持率[%]=(T1/T0)×100
T1:1200kGyの放射線の照射後における480乃至600nmの波長範囲内の透過率の最大値
T0:放射線の照射前における480乃至600nmの波長範囲内の透過率の最大値
【0053】
同様に、例1乃至9のサンプルについて、240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」を以下の式により求めた。
透過率の維持率[%]=(T2/T0)×100
T2:240kGyの放射線の照射後における480乃至600nmの波長範囲内の透過率の最大値
T0:放射線の照射前における480乃至600nmの波長範囲内の透過率の最大値
【0054】
[例1]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:29%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:91%
[例2]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:78%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:100%
[例3]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:92%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:100%
[例4]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:105%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:100%
[例5]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:100%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:100%
[例6]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:104%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:103%
[例7]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:83%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:101%
[例8]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:102%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:100%
[例9]
1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:102%
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」:101%
【0055】
240kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」は、例1乃至9の全てのサンプルにおいて90%以上であった。1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」は、例1及び2のサンプルで80%未満であったが、例3乃至9のサンプルで80%以上であった。とりわけ、例3乃至6、8及び9のサンプルでは、1200kGyの放射線を照射した場合の「透過率の維持率」が90%以上と高かった。
1A…固体撮像素子、2…基板、3…下地膜、4…色分解フィルタ、5…マイクロレンズアレイ、21…フォトダイオード、41…第1フィルタ部、42…第2フィルタ部、43…第3フィルタ部、44…第4フィルタ部、51… マイクロレンズ。