(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036177
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電動車
(51)【国際特許分類】
B60R 13/04 20060101AFI20240308BHJP
B62D 25/16 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
B62D25/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140949
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿佐 亮祐
【テーマコード(参考)】
3D023
3D203
【Fターム(参考)】
3D023AA04
3D023AB01
3D023AC04
3D203AA02
3D203AA31
3D203BC03
3D203CA07
3D203CA30
3D203CB10
3D203CB24
3D203DA38
(57)【要約】
【課題】 モールに起因する風切り音を抑制する。
【解決手段】 電動車は、車体と、車体の前部に取り付けられたモールと、モールの前縁と車体との間の隙間において、開放位置と閉塞位置との間を揺動可能に支持されたリップ部材とを備える。リップ部材が開放位置にあるときは、リップ部材の前端が車体から離間して、リップ部材と車体との間に隙間が形成される。リップ部材が閉塞位置にあるときは、リップ部材の前端が車体に接触して、リップ部材と車体との間の隙間が閉塞される。リップ部材は、開放位置に向けて付勢されているとともに、電動車の走行に伴う風圧を受けて閉塞位置へ移動するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車であって、
車体と
前記車体の前部に取り付けられたモールと、
前記モールの前縁と前記車体との間の隙間において、開放位置と閉塞位置との間を揺動可能に支持されたリップ部材と、
を備え、
前記リップ部材が前記開放位置にあるときは、前記リップ部材の前端が前記車体から離間して、前記リップ部材と前記車体との間に隙間が形成され、
前記リップ部材が前記閉塞位置にあるときは、前記リップ部材の前記前端が前記車体に接触して、前記リップ部材と前記車体との間の前記隙間が閉塞され、
前記リップ部材は、前記開放位置に向けて付勢されているとともに、前記電動車の走行に伴う風圧を受けて前記閉塞位置へ移動するように構成されている、
電動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電動車に関する。
【0002】
特許文献1に、車両が開示されている。この車両では、車体の前部にモールが取り付けられている。モールは、準外板部品の一種であり、外板部品である車体にクリップ等で取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モールと車体との間には、組み付け時の干渉を避けるために、一定の隙間を設ける必要がある。しかしながら、モールと車体との間に隙間が存在すると、車両の走行時に風切り音が発生する。このような風切り音は、エンジンが存在しない電動車において、新たな問題となっている。特に、モールが車体の前部に位置する場合は、風切り音が発生しやすいとともに、車内のユーザによって認知されやすい。本明細書は、このような問題を解決し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、電動車に具現化される。この電動車は、車体と、車体の前部に取り付けられたモールと、モールの前縁と車体との間の隙間において、開放位置と閉塞位置との間を揺動可能に支持されたリップ部材とを備える。リップ部材が開放位置にあるときは、リップ部材の前端が車体から離間して、リップ部材と車体との間に隙間が形成される。リップ部材が閉塞位置にあるときは、リップ部材の前端が車体に接触して、リップ部材と車体との間の隙間が閉塞される。リップ部材は、開放位置に向けて付勢されているとともに、電動車の走行に伴う風圧を受けて閉塞位置へ移動するように構成されている。
【0006】
上記した構成によると、電動車が走行しているときは、モールの前縁と車体との間の隙間が、リップ部材によって少なくとも部分的に閉塞される。これにより、当該隙間に起因する風切り音の発生が抑制される。一方、電動車が停止しているときは、リップ部材が車体から離間することで、組み付け時に必要とされる隙間や、雨水等を排水するための隙間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例の電動車10の要部を示す平面図。なお、フード16の一部は破断されており、フード16の下方に位置するモール20が図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、実施例の電動車10について説明する。
図1に示すように、電動車10は、車体12と、車体12の前部12fに取り付けられたモール20を備える。モール20は、例えばクリップ(プッシュリベットとも称される)を用いて、車体に取り付けられている。車体12は、電動車10の外板部材であって、金属材料で構成されている。モール20は、準外板部品であって、樹脂材料で構成されている。特に限定されないが、モール20は、フェンダー14上に位置しており、フード16によって覆われている。
【0009】
図2に示すように、電動車10は、リップ部材30をさらに備える。リップ部材30は、モール20の前縁20aと車体12との間の隙間に配置されている。リップ部材30は、シャフト32によって支持されており、開放位置(
図2中の破線で示す位置)と、閉塞位置(
図2中の実線で示す位置)との間を、揺動可能に構成されている。特に限定されないが、リップ部材30は樹脂材料で構成されている。
【0010】
リップ部材30が開放位置にあるときは、リップ部材30の前端30aが車体12から離間して、リップ部材30の前端30aと車体12との間に隙間が形成される。一方、リップ部材30が閉塞位置にあるときは、リップ部材30の前端30aが車体12に接触して、リップ部材30と車体12との間の隙間が閉塞される。
【0011】
図3に示すように、シャフト32には、ねじりばね40が設けられている。ねじりばね40は、リップ部材30を開放位置に向けて付勢している。但し、ねじりばね40による付勢力は、比較的に小さい。これにより、電動車10がある程度の速度で走行したときは、走行に伴う風圧を受けたねじりばね40が、閉塞位置へ移動するように構成されている。なお、リップ部材30を開放位置に向けて付勢する構成は、ねじりばね40に限定されない。例えば、リップ部材30の一部が弾性変形可能に構成され、その弾性変形によってリップ部材30が開放位置と閉塞位置との間を揺動するとともに、閉塞位置に向けて付勢されてもよい。
【0012】
一般に、モール20と車体12との間には、組み付け時の干渉を避けるために、一定の隙間を設ける必要がある。しかしながら、モール20と車体12との間に隙間が存在すると、電動車10の走行時に風切り音が発生する。このような風切り音は、本実施例の電動車10に限られず、エンジンが存在しない各種の電動車において、新たな問題となっている。特に、モール20が車体12の前部12fに位置する場合は、風切り音が発生しやすいとともに、車内のユーザによって認知されやすい。
【0013】
上記の点に関して、本実施例の電動車10では、上述したリップ部材30が設けられている。電動車10が走行しているときは、モール20の前縁20aと車体12との間の隙間が、リップ部材30によって少なくとも部分的に閉塞される。これにより、当該隙間に起因する風切り音の発生が抑制される。一方、電動車10が停止しているときは、リップ部材30が車体12から離間することで、組み付け時に必要とされる隙間や、雨水等を排水するための隙間を確保することができる。
【0014】
ここで、リップ部材30の前端30aには、ゴム材料で構成された接点部34が設けられてもよい(
図2参照)。接点部34を構成するゴム材料は、リップ部材30を構成する樹脂材料よりも柔軟であるとともに、当該樹脂材料より大きな密度を有する。従って、接点部34が存在することにより、車体12の塗装に与えるダメージが抑制される。また、接点部34の自重によって、リップ部材30が閉塞位置へ揺動することをアシストすることができる。
【符号の説明】
【0015】
10:電動車、 12:車体、 12f:車体の前部、 20:モール、 30:リップ部材 、32:リップ部材のシャフト、 40:ねじりばね