(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036186
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】駆動力伝達装置及び回転機構
(51)【国際特許分類】
F16H 13/08 20060101AFI20240308BHJP
B60B 19/12 20060101ALI20240308BHJP
B60B 19/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F16H13/08 J
B60B19/12
B60B19/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140963
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000107619
【氏名又は名称】スターライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】坪根 太平
(72)【発明者】
【氏名】出口 徳生
(72)【発明者】
【氏名】矢田 渉
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 律也
(72)【発明者】
【氏名】吉野 勉
(72)【発明者】
【氏名】八田 忠徳
【テーマコード(参考)】
3J051
【Fターム(参考)】
3J051AA03
3J051BA03
3J051BC03
3J051BD01
3J051BE03
3J051CA03
3J051CB04
3J051EC03
3J051EC04
3J051FA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のローラ支持部をローラ配置部に容易に組み付けることのできる駆動力伝達装置及び回転機構を提供する。
【解決手段】駆動力伝達装置は、複数の駆動ローラと、複数のローラ支持部と、ローラ配置部とを有する。複数の駆動ローラは、主輪に駆動力を伝達する。複数のローラ支持部は、複数の駆動ローラをそれぞれ回転自在に支持する。ローラ配置部には、複数の駆動ローラ及び複数のローラ支持部が配置される。ローラ配置部は、ベース部と、外側枠部と、内側枠部とを有する。ベース部は、回転軸線に対して径方向外側に拡がる。外側枠部は、回転軸線の周りの周方向に沿って配置され、ベース部から回転軸線に沿った軸方向に突出する。内側枠部は、外側枠部よりも径方向内側に配置され、ベース部から軸方向に突出する。複数のローラ支持部は、外側枠部の内周面と内側枠部の外周面との間に嵌っている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線の周りに回転することで、複数の被駆動ローラを有する主輪に駆動力を伝達する駆動力伝達装置であって、
円環状に配置され、前記主輪に前記駆動力を伝達する複数の駆動ローラと、
円環状に配置され、前記複数の駆動ローラをそれぞれ回転自在に支持する複数のローラ支持部と、
前記複数の駆動ローラ及び前記複数のローラ支持部が配置されるローラ配置部と
を有し、
前記ローラ配置部は、
前記回転軸線に対して径方向外側に拡がるベース部と、
前記回転軸線の周りの周方向に沿って配置され、前記ベース部から前記回転軸線に沿った軸方向に突出する外側枠部と、
前記外側枠部よりも径方向内側に配置され、前記ベース部から軸方向に突出する内側枠部と
を有し、
前記複数のローラ支持部は、前記外側枠部の内周面と前記内側枠部の外周面との間に嵌っている、駆動力伝達装置。
【請求項2】
前記ローラ配置部は、前記複数のローラ支持部がそれぞれ嵌る複数の嵌合部を更に有し、
前記複数の嵌合部は、前記外側枠部の内周面と前記内側枠部の外周面とのうちの少なくとも一方に周方向に沿って配置される、請求項1に記載の駆動力伝達装置。
【請求項3】
前記複数の嵌合部は、
前記外側枠部の内周面に周方向に沿って配置され、前記複数のローラ支持部の径方向外側の端部がそれぞれ嵌る複数の第1嵌合部と、
前記内側枠部の外周面に周方向に沿って配置され、前記複数のローラ支持部の径方向内側の端部がそれぞれ嵌る複数の第2嵌合部と
を含む、請求項2に記載の駆動力伝達装置。
【請求項4】
前記第1嵌合部は、径方向外側に窪むか、又は、径方向内側に突出し、
前記第2嵌合部は、径方向外側に突出するか、又は、径方向内側に窪む、請求項3に記載の駆動力伝達装置。
【請求項5】
前記複数の第1嵌合部のうちの第1嵌合部と、前記複数の第2嵌合部のうちの第2嵌合部とは、径方向に互いに対向し、
前記複数の第1嵌合部のうち、前記第2嵌合部と径方向に対向する前記第1嵌合部に対して周方向一方側の隣に配置される第1嵌合部と、前記第2嵌合部と径方向に対向する前記第1嵌合部に対して周方向他方側の隣に配置される第1嵌合部とは、径方向に互いに対向する前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部に対して対称に配置される、請求項3又は請求項4に記載の駆動力伝達装置。
【請求項6】
前記外側枠部は、径方向外側に窪む複数の凹部を更に有し、
前記複数の凹部は、前記外側枠部の内周面に周方向に沿って配置され、
前記凹部は、周方向に隣り合う前記第1嵌合部と前記第1嵌合部との間に位置する、請求項3又は請求項4に記載の駆動力伝達装置。
【請求項7】
前記ベース部と前記外側枠部と前記内側枠部と前記複数の嵌合部とは、単一の部材によって構成される、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項8】
前記ローラ配置部は、歯付ベルトが架け渡されるプーリー部を更に有し、
前記プーリー部は、前記ローラ配置部の外周縁に沿って配置され、
前記ベース部と前記外側枠部と前記内側枠部と前記複数の嵌合部と前記プーリー部とは、単一の部材によって構成される、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項9】
前記複数のローラ支持部の各々の一部に対して軸方向に対向し、前記複数のローラ支持部の各々の一部に接触する接触部を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項10】
前記複数の駆動ローラの各々は、ローラ本体と、前記ローラ本体に固定される回転軸部とを有し、
前記複数のローラ支持部の材料は、合成樹脂であり、
前記駆動ローラは、周方向に隣り合う前記ローラ支持部と前記ローラ支持部との間に配置され、
前記駆動ローラの前記回転軸部は、周方向に隣り合う前記ローラ支持部と前記ローラ支持部とに接触しながら回転する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
【請求項11】
円環状に配置された複数の被駆動ローラを有し、回転軸線の周りに回転する主輪と、
前記主輪に駆動力を伝達する一対の駆動力伝達装置と
を有し、
前記一対の駆動力伝達装置のうちの一方の駆動力伝達装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動力伝達装置であり、前記回転軸線に沿った軸方向一方側から前記主輪に対して駆動力を伝達し、
前記一対の駆動力伝達装置のうちの他方の駆動力伝達装置は、前記主輪に対して前記一方の駆動力伝達装置と対称な構造を有し、前記回転軸線に沿った軸方向他方側から前記主輪に対して駆動力を伝達する、回転機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力伝達装置及び回転機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の摩擦式走行装置では、ドライブディスクを、ハブとホイールと複数個のホルダとによって構成し、各ホルダの第1の端片部をハブに取り付け、第2の端片部をホイールに取り付ける構造にする。ドライブローラは、隣り合う2個のホルダ間に配置してこれらに両持ち支持された構造とする(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の摩擦式走行装置では、ハブとホルダとがボルトで締結されるとともに、ホイールとホルダとがボルトによって締結される。従って、ハブ及びホイールへの複数のホルダ(複数のローラ支持部)の組み付け作業が煩雑である。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のローラ支持部をローラ配置部に容易に組み付けることのできる駆動力伝達装置及び回転機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な駆動力伝達装置は、回転軸線の周りに回転することで、複数の被駆動ローラを有する主輪に駆動力を伝達する。駆動力伝達装置は、複数の駆動ローラと、複数のローラ支持部と、ローラ配置部とを有する。複数の駆動ローラは、円環状に配置され、前記主輪に前記駆動力を伝達する。複数のローラ支持部は、円環状に配置され、前記複数の駆動ローラをそれぞれ回転自在に支持する。ローラ配置部には、前記複数の駆動ローラ及び前記複数のローラ支持部が配置される。前記ローラ配置部は、ベース部と、外側枠部と、内側枠部とを有する。ベース部は、前記回転軸線に対して径方向外側に拡がる。外側枠部は、前記回転軸線の周りの周方向に沿って配置され、前記ベース部から前記回転軸線に沿った軸方向に突出する。内側枠部は、前記外側枠部よりも径方向内側に配置され、前記ベース部から軸方向に突出する。前記複数のローラ支持部は、前記外側枠部の内周面と前記内側枠部の外周面との間に嵌っている。
【0007】
本開示の例示的な回転機構は、主輪と、一対の駆動力伝達装置とを有する。主輪は、円環状に配置された複数の被駆動ローラを有し、回転軸線の周りに回転する。一対の駆動力伝達装置は、前記主輪に駆動力を伝達する。前記一対の駆動力伝達装置のうちの一方の駆動力伝達装置は、上記の駆動力伝達装置であり、前記回転軸線に沿った軸方向一方側から前記主輪に対して駆動力を伝達する。前記一対の駆動力伝達装置のうちの他方の駆動力伝達装置は、前記主輪に対して前記一方の駆動力伝達装置と対称な構造を有し、前記回転軸線に沿った軸方向他方側から前記主輪に対して駆動力を伝達する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、複数のローラ支持部をローラ配置部に容易に組み付けることのできる駆動力伝達装置及び回転機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る搬送車を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る搬送車を示す側面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る搬送車を示す底面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る搬送車の回転機構を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る主輪及び一対の駆動力伝達装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る一方の駆動力伝達装置を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る主輪及び複数の駆動ローラを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る一方の駆動力伝達装置のローラ配置部及び複数のローラ支持部を示す平面図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るローラ配置部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係るローラ配置部の一部を拡大して示す平面図である。
【
図11A】
図11Aは、本実施形態に係る一方の駆動力伝達装置のローラ配置部の一部、複数のローラ支持部の一部、及び、複数の駆動ローラの一部を拡大して示す平面図である。
【
図11B】
図11Bは、本実施形態に係る他方の駆動力伝達装置のローラ配置部の一部、複数のローラ支持部の一部、及び、複数の駆動ローラの一部を拡大して示す平面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る3個のローラ支持部及び2個の駆動ローラを示す分解斜視図である。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る一方の駆動力伝達装置のローラ配置部の一部及び1個のローラ支持部を拡大して示す斜視図である。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る駆動力伝達装置に接触部を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、本実施形態の変形例に係る駆動力伝達装置のローラ配置部の一部及び複数のローラ支持部の一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図中、理解の容易のため、三次元直交座標系のX軸、Y軸、およびZ軸を適宜記載している。一例として、X軸及びY軸は水平方向に対して略平行であり、Z軸は鉛直方向に対して略平行である。
【0011】
本明細書では、回転機構の回転軸線AX(例えば
図3)に対して平行な方向を「軸方向AD」と記載する。また、回転軸線AXに対して直交する方向を「径方向RD」と記載する。「径方向RD」は、回転軸線AXに直交する方向である限りにおいては、任意の方向であってよく、特に限定されない。また、回転軸線AXを中心とする円弧に沿う方向を「周方向CD」と記載する。
【0012】
また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向を含み、「直交する方向」は略直交する方向を含む。更に、「左右」は、径方向RDから対象物を見たときの左右を示す。更に、「平面視」は、軸方向ADから対象物を見ることを示す。また、「平面図」は、対象物を平面視したときの図を示す。
【0013】
更に、本明細書において、「直方体形状」、「円盤形状」、「円環形状」、「円筒形状」、「円環状」、「円板形状」、「円柱形状」、「半円柱形状」、「平板状」、及び、「平板形状」は、厳密な意味の形状を表すのではなく、例えば本開示における回転機構又は駆動力伝達装置の機能を実現できる程度の形状を含む。
【0014】
図1~
図14を参照して、本開示の実施形態に係る搬送車1、回転機構DV、及び、駆動力伝達装置11A、11Bを説明する。まず、
図1~
図3を参照して、搬送車1を説明する。
【0015】
図1は、搬送車1を示す斜視図である。
図2は、搬送車1を示す側面図である。
図3は、搬送車1を示す底面図である。
図3では、床面又は地面の側から搬送車1を見ている。
【0016】
図1及び
図2に示す搬送車1は、床面又は地面を走行する。本実施形態では、搬送車1は無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)である。搬送車1は移動体の一例である。
【0017】
図1に示すように、搬送車1は、車体3を有する。
図1及び
図2の例では、車体3は、略直方体形状を有する。ただし、車体3の形状は特に限定されない。
【0018】
図2及び
図3に示すように、搬送車1は、複数の回転機構DVと、複数の車輪7とをさらに有する。本実施形態では、搬送車1は、一対の回転機構DVと、4個の車輪7とを有する。4個の車輪7は、それぞれ、車体3の底部3aの4隅に配置される。各車輪7は、車体3の移動にともなって回転する。一対の回転機構DVは、互いに独立して回転して、車体3を移動させる。一対の回転機構DVのうち、一方の回転機構DVの回転軸線AXと他方の回転機構DVの回転軸線AXとが一直線上に位置するように、一対の回転機構DVは、車体3の底部3aに配置される。
【0019】
一対の回転機構DVの構成は同じである。従って、以下では、一対の回転機構DVのうちの一方の回転機構DVを説明する。
【0020】
図3に示すように、回転機構DVは、主輪5と、一対の駆動力伝達装置11A、11Bとを有する。具体的には、回転機構DVは、主輪5と、主軸9と、第1駆動部DAと、第2駆動部DBとを有する。そして、第1駆動部DAが駆動力伝達装置11Aを有する。また、第2駆動部DBが駆動力伝達装置11Bを有する。駆動力伝達装置11Bは、駆動力伝達装置11Aを左右反転した構造を有している。
【0021】
詳細には、第1駆動部DA及び第2駆動部DBは主輪5を駆動する。その結果、主輪5は、回転軸線AXの周りに回転する。よって、回転軸線AXは主輪5の回転軸線でもある。第1駆動部DAは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。第2駆動部DBは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。主軸9は、回転軸線AX上に配置される。
【0022】
第1駆動部DAは、歯付ベルト13Aと、プーリー15Aと、モータ17Aとを更に有する。モータ17Aは回転軸171を有する。
【0023】
第2駆動部DBは、歯付ベルト13Bと、プーリー15Bと、モータ17Bとを更に有する。モータ17Bは回転軸171を有する。
【0024】
次に、
図4を参照して、回転機構DVを説明する。
図4は、回転機構DVを示す斜視図である。
図4に示すように、回転機構DVにおいて、第1駆動部DAの駆動力伝達装置11Aは、略円盤形状を有している。駆動力伝達装置11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側に配置される。駆動力伝達装置11Aは、主軸9に回転可能に支持されている。駆動力伝達装置11Aは、モータ17Aによって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは駆動力伝達装置11Aの回転軸線でもある。そして、駆動力伝達装置11Aは、軸方向ADにおける主輪5の一方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0025】
モータ17Aの回転軸171には、プーリー15Aが固定されている。そして、無端の歯付ベルト13Aが、プーリー15Aと駆動力伝達装置11Aのプーリー部73とに、張力を掛けた状態で架け渡される。モータ17Aの回転軸171が回転すると、プーリー15Aが回転して、歯付ベルト13Aが周回する。従って、駆動力伝達装置11Aが、回転軸線AXの周りに回転する。その結果、駆動力伝達装置11Aは、回転力に基づく駆動力を主輪5に伝達する。つまり、駆動力伝達装置11Aは、モータ17Aの駆動力を主輪5に伝達する。
【0026】
また、第2駆動部DBの駆動力伝達装置11Bは、略円盤形状を有している。駆動力伝達装置11Bは、軸方向ADにおける主輪5の他方側に配置される。駆動力伝達装置11Bは、主軸9に回転可能に支持されている。駆動力伝達装置11Bは、モータ17Bによって駆動されて、回転軸線AXの周りに回転する。従って、回転軸線AXは駆動力伝達装置11Bの回転軸線でもある。そして、駆動力伝達装置11Bは、軸方向ADにおける主輪5の他方側から主輪5に接触して、主輪5を駆動する。
【0027】
なお、第2駆動部DBの歯付ベルト13B、プーリー15B、及び、モータ17Bの構成及び動作は、それぞれ、第1駆動部DAの歯付ベルト13A、プーリー15A、及び、モータ17Aの構成及び動作と同様である。
【0028】
次に、
図5を参照して、主輪5を説明する。
図5は、主輪5及び駆動力伝達装置11A、11Bを示す斜視図である。
図5に示すように、主輪5は、複数の被駆動ローラ51と、芯体53とを有する。芯体53は、回転軸線AXの周りに周方向CDに沿って延びる。芯体53は略円環形状を有する。複数の被駆動ローラ51の各々は略円筒形状を有する。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に回転自在に支持される。具体的には、複数の被駆動ローラ51の各々は、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転自在である。以下、被駆動ローラ51が、自身の位置における芯体53の接線方向に沿った軸線の周りに回転することを「自転」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51は、芯体53に、周方向CDに沿って間隔をあけて配置される。つまり、複数の被駆動ローラ51は略円環状に配置される。
【0029】
主輪5が回転軸線AXの周りに回転すると、複数の被駆動ローラ51の各々が、周方向CDに沿って回転移動される。以下、被駆動ローラ51が周方向CDに沿って回転移動されるときの被駆動ローラ51の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。複数の被駆動ローラ51の各々は、被駆動ローラ51の回転移動位置に応じて、床面又は地面と接触する。以下、被駆動ローラ51が床面又は地面と接触することを「接地」と記載する場合がある。被駆動ローラ51のローラ本体は、例えば、ゴム製である。
【0030】
引き続き
図5~
図7を参照して、駆動力伝達装置11A、11Bを説明する。
図5に示すように、駆動力伝達装置11Aと駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を軸方向ADから挟んでいる。また、駆動力伝達装置11Aと駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を挟んで左右対称に配置される。さらに、駆動力伝達装置11Aと駆動力伝達装置11Bとは、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。
【0031】
一対の駆動力伝達装置11A、11Bは、回転軸線AXの周りに回転することで、主輪5に駆動力を伝達する。具体的には、一対の駆動力伝達装置11A、11Bのうちの一方の駆動力伝達装置11Aは、回転軸線AXに沿った軸方向AD一方側から主輪5に対して駆動力を伝達する。また、一対の駆動力伝達装置11A、11Bのうちの他方の駆動力伝達装置11Bは、主輪5に対して一方の駆動力伝達装置11Aと対称な構造を有する。そして、駆動力伝達装置11Bは、回転軸線AXに沿った軸方向AD他方側から主輪5に対して駆動力を伝達する。
【0032】
駆動力伝達装置11A、11Bは、ローラ配置部110を有する。ローラ配置部110は略円盤形状を有する。ローラ配置部110は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。金属は、例えば、アルミニウムである。
【0033】
ローラ配置部110は、プーリー部73を有していてもよい。プーリー部73は、ローラ配置部110の外周縁に沿って配置される。プーリー部73は、略円環形状を有する。プーリー部73は複数の歯75を有する。複数の歯75の各々は、回転軸線AXに沿って延びている。複数の歯75は、周方向CDに沿って等間隔で配置される。なお、プーリー部73は、ローラ配置部110とは別部材として設けられてもよい。
【0034】
以下、駆動力伝達装置11Aのローラ配置部110を「ローラ配置部110A」と記載し、駆動力伝達装置11Bのローラ配置部110を「ローラ配置部110B」と記載する場合がある。ローラ配置部110Aの構成とローラ配置部110Bの構成とは同じである。
【0035】
ローラ配置部110Aのプーリー部73と、プーリー15A(
図4)とに、歯付ベルト13A(
図4)が、張力を掛けた状態で架け渡される。従って、モータ17Aの回転軸171が回転すると、ローラ配置部110Aが、回転軸線AXの周りに回転する。回転軸線AXは、ローラ配置部110Aの回転軸線でもある。同様に、ローラ配置部110Bのプーリー部73と、プーリー15B(
図4)とに、歯付ベルト13B(
図4)が、張力を掛けた状態で架け渡される。
【0036】
図6は、駆動力伝達装置11Aを示す平面図である。
図6では、
図5の主輪5の配置される側から駆動力伝達装置11Aを見ている。
図6に示すように、駆動力伝達装置11Aは、複数の駆動ローラ120を更に有する。つまり、駆動力伝達装置11AはN個の駆動ローラ120を有する。本明細書では、Nは、2以上の整数を示す。
図6の例では、N=26である。
【0037】
複数の駆動ローラ120は、ローラ配置部110に配置される。複数の駆動ローラ120は略円環状に配置される。つまり、複数の駆動ローラ120は周方向CDに沿って円周上に配置される。複数の駆動ローラ120は、回転軸線AXを対称中心線として回転対称に配置される。
【0038】
図7は、主輪5及び複数の駆動ローラ120を示す斜視図である。
図7では、駆動力伝達装置11A(
図5)の駆動ローラ120を示している。なお、
図7では、ローラ配置部110Aを省略している。また、図面の簡略化のために、駆動力伝達装置11Bの図示を省略している。
【0039】
図7に示す複数の駆動ローラ120の各々は、ローラ配置部110A(
図5)が回転軸線AXの周りに回転すると、周方向CDに沿って回転移動される。以下、駆動ローラ120が周方向CDに沿って回転移動されるときの駆動ローラ120の周方向CDにおける位置を「回転移動位置」と記載する場合がある。
【0040】
複数の駆動ローラ120の各々は、駆動ローラ120の回転移動位置に応じて、複数の被駆動ローラ51のいずれかと接触する。具体的には、少なくとも、駆動ローラ120は、最下部に位置して接地している被駆動ローラ51に接触する。この場合、駆動ローラ120の外周面が被駆動ローラ51の外周面に接触する。その結果、駆動ローラ120と被駆動ローラ51との間の摩擦によって、ローラ配置部110の回転に基づく駆動力が、駆動ローラ120から被駆動ローラ51に伝達される。換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に駆動力を伝達する。更に換言すれば、複数の駆動ローラ120は、主輪5に推進力を伝達する。
【0041】
具体的には、複数の駆動ローラ120の各々は、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して、直交及び平行のいずれでもない方向に延在する中心軸線CTの周りに回転可能に配置されている。つまり、複数の駆動ローラ120の中心軸線CTは、回転軸線AXの周りの主輪5の回転方向に対して傾斜し、回転軸線AXに対してねじれの関係を有する。また、駆動ローラ120の中心軸線CTは、回転軸線AXに対して立体交差している。なお、
図7では、図面の簡略化のため、一例として、1個の駆動ローラ120の中心軸線CTだけを示している。
【0042】
更に具体的には、複数の駆動ローラ120の各々は、ローラ本体121と、回転軸部123とを有する。ローラ本体121は略円板形状を有する。ローラ本体121は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。回転軸部123は、中心軸線CT上に配置される。つまり、回転軸部123は、中心軸線CTに沿って延びている。回転軸部123は、略円柱形状を有する。回転軸部123は、ローラ本体121に固定される。回転軸部123は、例えば、金属及び硬質プラスチックのような高剛性材料により構成される。ローラ本体121と回転軸部123とは、単一の部材によって構成されている。なお、ローラ本体121と回転軸部123とは、別部材であってもよい。
【0043】
引き続き、
図4及び
図7を参照して、主輪5の移動方向の制御を説明する。
図4に示すように、モータ17A及びモータ17Bによって、ローラ配置部110Aの回転方向及び回転速度と、ローラ配置部110Bの回転方向及び回転速度とを、独立して制御することで、主輪5の移動方向が制御される。
【0044】
具体的には、モータ17A及びモータ17Bが同一回転方向及び同一回転速度で駆動されている場合には、ローラ配置部110Aとローラ配置部110Bとが、同一回転速度で同一回転方向に回転し、主輪5が回転軸線AXの周りに回転する。この場合は、ローラ配置部110Aとローラ配置部110Bとに回転速度差が生じないため、主輪5の被駆動ローラ51が自転せず、主輪5は、真っ直ぐに前進又は後進する。
【0045】
一方、モータ17A及びモータ17Bが、異なった回転方向及び/又は異なった回転速度で駆動されている場合には、ローラ配置部110Aとローラ配置部110Bとに回転速度差が生じる。
【0046】
この場合、ローラ配置部110Aの回転力による円周方向の力に直交する分力が、ローラ配置部110Aの駆動ローラ120(
図7)と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。加えて、ローラ配置部110Bの回転力による円周方向の力に直交する分力が、ローラ配置部110Bの駆動ローラ120と主輪5の被駆動ローラ51との接触面に作用する。
【0047】
従って、主輪5が回転軸線AXの周りに回転することなく、被駆動ローラ51が自転するか、又は、主輪5が回転軸線AXの周りに回転しつつ、被駆動ローラ51が自転するかする。その結果、主輪5は、左右方向又は斜め方向に移動する。
【0048】
なお、駆動力伝達装置11A及び駆動力伝達装置11Bは、ローラ配置部110Aの複数の駆動ローラ120(
図7)と、ローラ配置部110Bの複数の駆動ローラ120とで主輪5を挟むようにして、主輪5を回転軸線AXの周りに回転可能に支持している。この場合、ローラ配置部110Aの複数の駆動ローラ120と、ローラ配置部110Bの複数の駆動ローラ120とは、主輪5に対して対称に配置される。
【0049】
次に、
図6、
図8、及び、
図9を参照して、駆動力伝達装置11Aのローラ支持部130及びローラ配置部110Aを説明する。
図6に示すように、駆動力伝達装置11Aは、複数のローラ支持部130を更に有する。つまり、駆動力伝達装置11AはN個のローラ支持部130を有する。
図6の例では、N=26である。複数のローラ支持部130は、ローラ配置部110Aに配置される。複数のローラ支持部130の材料は、合成樹脂であることが好ましい。この場合、合成樹脂は、例えば、プラスチックである。
【0050】
複数のローラ支持部130は、複数の駆動ローラ120をそれぞれ回転自在に支持する。具体的には、周方向CDに隣り合う2個のローラ支持部130が、1個の駆動ローラ120を挟んで配置される。そして、2個のローラ支持部130が1個の駆動ローラ120を回転自在に支持する。
【0051】
図8は、駆動力伝達装置11Aのローラ配置部110A及び複数のローラ支持部130を示す平面図である。
図8では、図面を見易くするために、駆動ローラ120を省略している。
図8に示すように、複数のローラ支持部130は略円環状に配置される。つまり、複数のローラ支持部130は周方向CDに沿って円周上に配置される。複数のローラ支持部130は、回転軸線AXを対称中心線として回転対称に配置される。
【0052】
ローラ配置部110Aは、外側枠部20と、内側枠部30とを有する。外側枠部20は、回転軸線AXの周りの周方向CDに沿って配置される。内側枠部30は、回転軸線AXの周りの周方向CDに沿って配置される。内側枠部30は、外側枠部20よりも径方向RD内側に配置される。そして、複数のローラ支持部130は、外側枠部20の内周面22と内側枠部30の外周面32との間に嵌っている。従って、本実施形態によれば、駆動力伝達装置11Aを製造する際には、外側枠部20の内周面22と内側枠部30の外周面32との間に複数のローラ支持部130を嵌めることによって、複数のローラ支持部130をローラ配置部110Aに容易に組み付けることができる。その結果、駆動力伝達装置11Aを容易に製造できる。また、本実施形態では、複数のローラ支持部130をローラ配置部110Aに組み付ける際にボルト等の固定部材を用いない。従って、駆動力伝達装置11Aの部品点数及び組立工数を削減できる。
【0053】
ローラ配置部110Aは、複数の嵌合部FTを更に有することが好ましい。複数の嵌合部FTは、外側枠部20の内周面22と内側枠部30の外周面32とのうちの少なくとも一方に周方向CDに沿って配置される。
図8の例では、複数の嵌合部FTは、外側枠部20の内周面22と内側枠部30の外周面32との双方に周方向CDに沿って配置される。複数の嵌合部FTには、複数のローラ支持部130がそれぞれ嵌る。従って、本実施形態によれば、嵌合部FTによってローラ支持部130を周方向CDに位置決めできる。加えて、ローラ配置部110Aが駆動されて回転軸線AXの周りに回転する際のトルクを、嵌合部FTによってローラ支持部130に伝達できる。従って、ローラ支持部130に支持された駆動ローラ120は、被駆動ローラ51に対して駆動力を効果的に伝達できる。なお、例えば、ローラ支持部130は嵌合部FTに圧入される。
【0054】
具体的には、複数の嵌合部FTは、複数の第1嵌合部21と、複数の第2嵌合部31とを含む。複数の第1嵌合部21は、外側枠部20の内周面22に周方向CDに沿って配置される。そして、複数の第1嵌合部21には、複数のローラ支持部130の径方向RD外側の端部131がそれぞれ嵌る。複数の第2嵌合部31は、内側枠部30の外周面32に周方向CDに沿って配置される。そして、複数の第2嵌合部31には、複数のローラ支持部130の径方向RD内側の端部132がそれぞれ嵌る。本実施形態によれば、第1嵌合部21と第2嵌合部31との双方によって、ローラ支持部130が周方向CDに変位することを効果的に抑制できる。
【0055】
以下、ローラ支持部130の端部131を「外側端部131」と記載し、ローラ支持部130の端部132を「内側端部132」と記載する。
【0056】
図9は、ローラ配置部110Aを示す斜視図である。
図9に示すように、一例として、第1嵌合部21は、径方向RD外側に窪んでいる。つまり、第1嵌合部21は凹部である。第2嵌合部31は、径方向RD外側に突出している。つまり、第2嵌合部31は凸部である。このように、本実施形態によれば、第1嵌合部21及び第2嵌合部31を簡素な構造にすることができる。その結果、ローラ配置部110Aを容易に製造できる。
【0057】
図9の例では、第2嵌合部31は、略半円柱形状を有する。そして、第2嵌合部31は軸方向ADに延びる。また、複数の第2嵌合部31は、内側枠部30の外周面32において、周方向CDに沿って等間隔に配置される。
【0058】
また、
図9の例では、外側枠部20は、複数の凸ペア部23を更に有する。複数の凸ペア部23の各々は一対の凸部24を有する。一対の凸部24は周方向CDに隣り合う。複数の凸ペア部23は、外側枠部20の内周面22に周方向CDに沿って配置される。具体的には、複数の凸ペア部23は、周方向CDに沿って等間隔に配置される。また、各凸部24は、内周面22から径方向RD内側に突出している。
図9の例では、凸部24は、略半円柱形状を有する。そして、凸部24は軸方向ADに延びる。
【0059】
特に、
図9の例では、第1嵌合部21は、一対の凸部24のうちの一方の凸部24と他方の凸部24との間の凹部である。
【0060】
なお、外側枠部20は、複数の凹部25を更に有することが好ましい。各凹部25は、径方向RD外側に窪む。凹部25は、周方向DCに隣り合う第1嵌合部21と第1嵌合部21との間に位置する。この好ましい例によれば、凹部25を有しない場合と比較して、ローラ配置部110Aの重量を軽くできる。
【0061】
具体的には、複数の凹部25は、外側枠部20の内周面22に周方向CDに沿って配置される。更に具体的には、複数の凹部25は、周方向CDに沿って等間隔に配置される。また、凹部25は、周方向CDに隣り合う凸ペア部23と凸ペア部23との間に位置する。つまり、凹部25は、周方向CDに隣り合う一方の凸ペア部23の凸部24と他方の凸ペア部23の凸部24との間に位置する。この場合、一方の凸ペア部23の凸部24は、一方の凸ペア部23の一対の凸部24のうち、他方の凸ペア部23に近いほうの凸部24である。また、他方の凸ペア部23の凸部24は、他方の凸ペア部23の一対の凸部24のうち、一方の凸ペア部23に近いほうの凸部24である。
【0062】
図9の例では、凹部25の周方向CDの幅(以下、凹部25の幅)は、第1嵌合部21の周方向CDの幅(以下、第1嵌合部21の幅)よりも大きい。ただし、凹部25の幅は、第1嵌合部21の幅よりも小さくてもよいし、第1嵌合部21の幅と同じでもよい。
【0063】
なお、例えば、第1嵌合部21の幅は、駆動ローラ120のローラ本体121の幅、ローラ支持部130の厚み、並びに、外側枠部20の内周面22の強度及び製作性に基づいて決定される。例えば、第1嵌合部21の強度を確保しつつ第1嵌合部21を製作できる限りは、第1嵌合部21の幅を小さくすることができる。第1嵌合部21の幅が決定されると、第1嵌合部21の幅と、外側枠部20の周方向CDの長さとによって、凹部25の幅が決定される。
【0064】
ここで、詳細には、ローラ配置部110Aは、ベース部10と、ハブ18と、複数のリブ19とを更に有する。ベース部10は、回転軸線AXに対して径方向RD外側に拡がる。具体的には、ベース部10は、ハブ18を中心にして、径方向RD外側に拡がる。つまり、ベース部10は、中心に孔を有する略円板形状を有する。
【0065】
ハブ18は、略円筒形状を有する。ハブ18は、回転軸線AXを周方向CDに囲む。ハブ18の中心を回転軸線AXが通る。ハブ18には、主軸9(
図5)が挿入及び配置される。
【0066】
内側枠部30は、外側枠部20よりも径方向RD内側に配置される。また、内側枠部30は、主輪5(
図5)側に向かって、ベース部10から軸方向ADに突出する。内側枠部30は略円筒形状を有する。各リブ19は、ハブ18の外周面18aと内側枠部30の内周面33とを接続する。各リブ19は略平板形状を有する。複数のリブ19は、ハブ18の外周面18aから、径方向RD外側に向かって放射状に延びる。
【0067】
外側枠部20は、主輪5(
図5)側に向かって、ベース部10から回転軸線AXに沿った軸方向ADに突出する。外側枠部20は略円筒形状を有する。なお、プーリー部73は、外側枠部20よりも径方向RD外側に位置する。
【0068】
ベース部10と外側枠部20と内側枠部30と複数の嵌合部FTとは、単一の部材によって構成される。従って、本実施形態によれば、駆動力伝達装置11Aの部品点数を低減できる。その結果、駆動力伝達装置11Aを容易に製造できる。好ましくは、ベース部10と外側枠部20と内側枠部30と複数の嵌合部FTとプーリー部73とは、単一の部材によって構成される。従って、駆動力伝達装置11Aの部品点数を更に低減できる。その結果、駆動力伝達装置11Aを更に容易に製造できる。
【0069】
図9の例では、ベース部10と外側枠部20と内側枠部30と複数の嵌合部FTとハブ18と複数のリブ19とは、単一の部材によって構成される。
【0070】
なお、ローラ配置部110Aは、ローラ配置空間SPを有している。そして、ローラ配置空間SPに、
図6に示す複数のローラ支持部130及び複数の駆動ローラ120が配置される。ローラ配置空間SPは、外側枠部20の内周面22と、内側枠部30の外周面32と、ベース部10とで規定される略円環状の空間である。
【0071】
次に、
図10及び
図11を参照して、ローラ配置部110、駆動ローラ120、及び、ローラ支持部130を説明する。
図10は、ローラ配置部110の一部を拡大して示す平面図である。
図10に示すように、ローラ配置部110において、複数の第1嵌合部21のうちの第1嵌合部21aと、複数の第2嵌合部31のうちの第2嵌合部31aとは、径方向RDに互いに対向する。複数の第1嵌合部21のうちの第1嵌合部21bは、第2嵌合部31aと径方向RDに対向する第1嵌合部21aに対して周方向CD一方側の隣に配置される。複数の第1嵌合部21のうちの第1嵌合部21cは、第2嵌合部31aと径方向RDに対向する第1嵌合部21aに対して周方向CD他方側の隣に配置される。そして、第1嵌合部21bと第1嵌合部21cとは、径方向RDに互いに対向する第1嵌合部21a及び第2嵌合部31aに対して対称に配置される。
【0072】
従って、ローラ配置部110には、複数のローラ支持部130を周方向CD一方側に傾斜して配置することもできるし、複数のローラ支持部130を周方向CD他方側に傾斜して配置することもできる。その結果、主輪5を一対の駆動力伝達装置11A、11B(
図5)で挟んで駆動する場合に、一対の駆動力伝達装置11A、11Bのローラ配置部110A、110Bを同一構造にすることができる。よって、一対のローラ配置部110A、110Bで金型を共用できるため、駆動力伝達装置11A、11Bの製造コストを低減できる。
【0073】
具体的には、平面視において、対称軸LN上の第1嵌合部21aの周方向CD一方側に位置する第1嵌合部21bと、第1嵌合部21aの周方向CD他方側に位置する第1嵌合部21cとは、対称軸LNに対して線対称である。対称軸LNは、径方向RDに対向する第1嵌合部21aと第2嵌合部31aとを通る仮想線である。また、対称軸LNは、回転軸線AXに対して直交する。
【0074】
図11Aは、駆動力伝達装置11Aのローラ配置部110Aの一部、複数のローラ支持部130の一部、及び、複数の駆動ローラ120の一部を拡大して示す平面図である。
図11Bは、駆動力伝達装置11Bのローラ配置部110Bの一部、複数のローラ支持部130の一部、及び、複数の駆動ローラ120の一部を拡大して示す平面図である。
【0075】
図11A及び
図11Bに示すように、ローラ配置部110Aの構成とローラ配置部110Bの構成とは同じである。
【0076】
特に、
図11Aに示すように、駆動力伝達装置11Aでは、平面視において、各ローラ支持部130は、時計回り方向CWに傾斜してローラ配置部110Aに配置される。換言すれば、ローラ支持部130の内側端部132が第2嵌合部31aに嵌り、ローラ支持部130の外側端部131が第1嵌合部21aの周方向CD一方側に位置する第1嵌合部21bに嵌る。更に換言すれば、内側端部132が第2嵌合部31aに嵌り、外側端部131が第1嵌合部21aに対して時計回り方向CWに位置する第1嵌合部21bに嵌る。
【0077】
一方、
図11Bに示すように、駆動力伝達装置11Bでは、平面視において、各ローラ支持部130は、反時計回り方向CCWに傾斜してローラ配置部110Bに配置される。換言すれば、ローラ支持部130の内側端部132が第2嵌合部31aに嵌り、ローラ支持部130の外側端部131が第1嵌合部21aの周方向CD他方側に位置する第1嵌合部21cに嵌る。更に換言すれば、内側端部132が第2嵌合部31aに嵌り、外側端部131が第1嵌合部21aに対して反時計回り方向CCWに位置する第1嵌合部21cに嵌る。
【0078】
また、
図11A及び
図11Bに示すように、ローラ支持部130の外側端部131は、径方向RD外側に向かって突出する凸部である。内側端部132は、径方向RD外側に向かって窪む凹部である。また、駆動力伝達装置11Aの駆動ローラ120の構成と、駆動力伝達装置11Bの駆動ローラ120の構成とは、同じである。更に、駆動力伝達装置11Aのローラ支持部130と駆動力伝達装置11Bのローラ支持部130とは、鏡像対称である。
【0079】
更に、
図11Aに示すように、駆動力伝達装置11Aでは、平面視において、各駆動ローラ120は、時計回り方向CWに傾斜してローラ支持部130に支持される。一方、
図11Bに示すように、駆動力伝達装置11Bでは、平面視において、各駆動ローラ120は、反時計回り方向CCWに傾斜してローラ支持部130に支持される。
【0080】
更に、
図11A及び
図11Bに示すように、周方向CDに隣り合う2つの駆動ローラ120において、一方の駆動ローラ120の中心軸線CTと他方の駆動ローラ120の中心軸線CTとは、平面視において、鋭角θをなすように交差する。また、平面視において、一方の駆動ローラ120の中心軸線CTと他方の駆動ローラ120の中心軸線CTとは、径方向RDの外側に向かって、ハブ18から離れる側に拡がっている。
【0081】
次に、
図12を参照して、駆動ローラ120及びローラ支持部130を説明する。
図12は、駆動力伝達装置11A(
図6)における3個のローラ支持部130及び2個の駆動ローラ120を示す分解斜視図である。
図12に示すように、各ローラ支持部130は、内側貫通孔135と、外側貫通孔136とを更に有する。内側貫通孔135はローラ支持部130を周方向CDに貫通する。内側貫通孔135は、外側貫通孔136よりも径方向RD内側に位置する。内側貫通孔135は、外側貫通孔136よりも、ベース部10(後述の
図13)から離れた位置に設けられる。外側貫通孔136はローラ支持部130を周方向CDに貫通する。
【0082】
具体的には、ローラ支持部130は、本体部138と、突出部139とを有する。本体部138は、略平板形状を有する。本体部138は、径方向RDに沿って延びる。本体部138が外側端部131を有する。また、本体部138が内側貫通孔135及び外側貫通孔136を有する。突出部139は、本体部138の径方向RD内側において、本体部138から周方向CDに突出する。突出部139が内側端部132を有する。
【0083】
駆動ローラ120aは、周方向CDに隣り合うローラ支持部130aとローラ支持部130bとの間に配置される。ローラ支持部130a、130bの材料は、合成樹脂である。合成樹脂は、例えば、プラスチックである。そして、駆動ローラ120aの回転軸部123は、周方向CDに隣り合うローラ支持部130aとローラ支持部130bとに接触しながら回転する。つまり、本実施形態では、ローラ支持部130a、130bが軸受として機能するため、軸受を別個に設ける場合と比較して、駆動力伝達装置11Aの部品点数を低減できる。
【0084】
一方、駆動ローラ120bは、周方向CDに隣り合うローラ支持部130cとローラ支持部130bとの間に配置される。ローラ支持部130c、130bの材料は、合成樹脂である。合成樹脂は、例えば、プラスチックである。そして、駆動ローラ120bの回転軸部123は、周方向CDに隣り合うローラ支持部130cとローラ支持部130bとに接触しながら回転する。つまり、ローラ支持部130c、130bが軸受として機能する。
【0085】
以上、
図12を参照して説明したように、本実施形態によれば、1つのローラ支持部130bを、周方向CDに隣り合う2つの駆動ローラ120b、120aの軸受として共用できる。従って、複数の駆動ローラ120ごとに一対の軸受を設ける場合と比較して、駆動力伝達装置11Aの部品点数を低減できる。具体的には、複数の駆動ローラ120ごとに一対の軸受を設ける場合の軸受の数に対して、1/2個のローラ支持部130を設ければ足りる。つまり、1個のローラ支持部130が、周方向CDに隣り合う2個の駆動ローラ120を支持する。これらのことは、駆動力伝達装置11B(
図11B)においても同様である。
【0086】
詳細には、駆動ローラ120aの回転軸部123の周方向CD一方側がローラ支持部130aの外側貫通孔136に挿入及び配置される。加えて、駆動ローラ120aの回転軸部123の周方向CD他方側がローラ支持部130bの内側貫通孔135に挿入及び配置される。一方、駆動ローラ120bの回転軸部123の周方向CD一方側がローラ支持部130bの外側貫通孔136に挿入及び配置される。加えて、駆動ローラ120bの回転軸部123の周方向CD他方側がローラ支持部130cの内側貫通孔135に挿入及び配置される。これらのことは、駆動力伝達装置11B(
図11B)においても同様である。
【0087】
すなわち、ローラ支持部130bの内側貫通孔135は、ローラ支持部130bの周方向CD一方側に位置する駆動ローラ120aの回転軸部123を支持する。また、ローラ支持部130bの外側貫通孔136は、ローラ支持部130bの周方向CD他方側に位置する駆動ローラ120bの回転軸部123を支持する。これらのことは、駆動力伝達装置11B(
図11B)においても同様である。
【0088】
次に、
図13を参照して、ローラ配置部110A及びローラ支持部130を説明する。
図13は、ローラ配置部110Aの一部及び1個のローラ支持部130を拡大して示す斜視図である。
図13に示すように、少なくとも、ローラ支持部130の外側底部133と内側底部134とは、ベース部10の表面に接触している。従って、ローラ支持部130は軸方向ADに位置決めされる。外側底部133は、ローラ支持部130の底部のうち、径方向RD外側部分である。内側底部134は、ローラ支持部130の底部のうち、径方向RD内側部分である。
【0089】
また、ローラ支持部130の外側端部131は、第1嵌合部21の形状に沿った形状を有する。ローラ支持部130の内側端部132は、第2嵌合部31の形状に沿った形状を有する。
【0090】
次に、
図6、
図9及び
図14を参照して駆動力伝達装置11Aの好ましい例を説明する。
図14は、駆動力伝達装置11Aに接触部140を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0091】
図14に示すように、駆動力伝達装置11Aは、接触部140を更に有することが好ましい。接触部140は、複数のローラ支持部130の各々の一部に対して軸方向ADに対向する。加えて、接触部140は、複数のローラ支持部130の各々の一部に接触する。従って、本実施形態によれば、ローラ支持部130を軸方向ADに位置決めできる。その結果、ローラ支持部130が軸方向ADに変位することを効果的に抑制できる。なお、駆動力伝達装置11Bも、駆動力伝達装置11Aと同様に、接触部140を有することが好ましい。
【0092】
具体的には、駆動力伝達装置11Aは、複数の固定部材141を有することが好ましい。固定部材141は、例えば、ネジである。また、
図9に示すように、内側枠部30は複数の固定部143を有することが好ましい。複数の固定部143は、周方向CDに沿って円周上に配置される。複数の固定部143の各々は、内側枠部30の内周面33から、径方向RD内側に突出する。
図9の例では、固定部143は、略半円柱形状を有する。固定部143は、軸方向ADに延びる。
【0093】
図14の例では、接触部140は、略平板状の略円環形状を有する。接触部140は、外側枠部20よりも径方向RD内側に配置される。また、接触部140は、ハブ18よりも径方向RD外側に配置される。接触部140は、内側枠部30の軸方向ADの端面30aに接触している。そして、接触部140は、複数の固定部材141によって、複数の固定部143に固定される。具体的には、接触部140を介して複数の固定部材141をそれぞれ複数の固定部143に捻じ込むことによって、接触部140がローラ配置部110Aに固定される。また、接触部140は、複数の駆動ローラ120から離隔している。
【0094】
また、
図14の例では、接触部140は、複数のローラ支持部130の各々の内側端面137(
図6)に対して軸方向ADに対向する。そして、接触部140は内側端面137に接触する。
図6に示すように、内側端面137は、ローラ支持部130の軸方向ADの端面のうち、径方向RD内側の端の面を示す。具体的には、
図12に示すように、内側端面137は、ローラ支持部130の突出部139の軸方向ADの端面である。
【0095】
以上、
図1~
図14を参照して説明したように、本実施形態によれば、一対の駆動力伝達装置11A、11Bのローラ配置部110A、110Bを同一構造にすることができる。従って、一対のローラ配置部110A、110Bで金型を共用できる。その結果、回転機構DV(
図4)の製造コストを低減できる。
【0096】
(変形例)
図15を参照して、本実施形態の変形例に係る第1嵌合部21x及び第2嵌合部31xを説明する。変形例では、第1嵌合部21xが凸部であり、第2嵌合部31xが凹部である点で、変形例は
図9に示す上記実施形態と主に異なる。以下、変形例が上記実施形態と異なる点を主に説明する。
【0097】
図15は、本実施形態の変形例に係る駆動力伝達装置11Aのローラ配置部110Aの一部及び複数のローラ支持部130の一部を示す平面図である。
図15では、図面の簡略化のために、駆動ローラ120を省略している。
【0098】
図15に示すように、ローラ配置部110Aは複数の嵌合部FTを有する。複数の嵌合部FTは、複数の第1嵌合部21xと、複数の第2嵌合部31xとを有する。一例として、第1嵌合部21xは、径方向RD内側に突出している。つまり、第1嵌合部21xは凸部である。第2嵌合部31xは、径方向RD内側に窪んでいる。つまり、第2嵌合部31xは凹部である。このように、本変形例によれば、第1嵌合部21x及び第2嵌合部31xを簡素な構造にすることができる。その結果、ローラ配置部110Aを容易に製造できる。
【0099】
図15の例では、第1嵌合部21xは、略半円柱形状を有する。そして、第1嵌合部21xは軸方向ADに延びる。また、複数の第1嵌合部21xは、外側枠部20の内周面22において、周方向CDに沿って等間隔に配置される。
【0100】
また、
図15の例では、第2嵌合部31xは、径方向RD内側に窪む湾曲面を含む。そして、第2嵌合部31xは、軸方向ADに延びる。また、複数の第2嵌合部31xは、内側枠部30の外周面32において、周方向CDに沿って等間隔に配置される。
【0101】
更に、
図15の例では、ローラ支持部130の外側端部131xは、径方向RD内側に向かって窪む凹部である。外側端部131xが第1嵌合部21xに嵌る。ローラ支持部130の内側端部132xは、径方向RD内側に向かって突出する凸部である。内側端部132xが第2嵌合部31xに嵌る。
【0102】
ここで、
図13及び
図15を参照して別の変形例を説明する。本開示において、
図13のローラ配置部110Aは、
図13の第1嵌合部21に代えて、
図15の第1嵌合部21xを有していてもよい。この場合は、
図13のローラ支持部130は、
図13の外側端部131に代えて、
図15の外側端部131xを有する。この点は、ローラ配置部110Bについても同様である。
【0103】
また、本開示において、
図13のローラ配置部110Aは、
図13の第2嵌合部31に代えて、
図15の第2嵌合部31xを有していてもよい。この場合は、
図13のローラ支持部130は、
図13の内側端部132に代えて、
図15の内側端部132xを有する。この点は、ローラ配置部110Bについても同様である。
【0104】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0105】
また、図面は、開示の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0106】
[1]
図1~
図4を参照して説明した実施形態では、回転機構DV(
図3)が、搬送車1に適用された。ただし、回転機構DVの適用は、搬送車1に限られず、回転機構DVは、床面又は地面を移動する任意の移動体に適用できる。移動体は、例えば、一輪車、二輪車、三輪車、又は、四輪車である。また、移動体は、1つの回転機構DVを有していてもよいし、2以上の回転機構DVを有していてもよい。
【0107】
[2]
図4及び
図5を参照して説明した実施形態では、主輪5の回転軸線AXとローラ配置部110の回転軸線AXとが略一致していた。ただし、ローラ配置部110の回転軸線が、主輪5の回転軸線に対して偏心していてもよい。
【0108】
[3]本開示において、ローラ支持部130が嵌る限りにおいては、第1嵌合部21、21x及び第2嵌合部31、31xの形状は特に限定されない。
【0109】
[4]
図6及び
図15を参照して説明した実施形態及び変形例では、ローラ配置部110は複数の嵌合部FTを有していた。ただし、複数のローラ支持部130がローラ配置部110に嵌る限りにおいては、ローラ配置部110は複数の嵌合部FTを有していなくてもよい。例えば、複数のローラ支持部130がローラ配置部110に圧入又は圧着される。
【0110】
また、
図6及び
図15を参照して説明した実施形態及び変形例では、複数の嵌合部FTが、外側枠部20の内周面22と内側枠部30の外周面32との双方に周方向CDに沿って配置されていた。ただし、複数の嵌合部FTは、外側枠部20の内周面22と内側枠部30の外周面32とのうちの少なくとも一方に周方向CDに沿って配置されていればよい。つまり、複数の嵌合部FTが、第1嵌合部21又は第1嵌合部21xだけを含んでいてもよいし、第2嵌合部31又は第2嵌合部31xだけを含んでいてもよい。
【0111】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0112】
(1)回転軸線の周りに回転することで、複数の被駆動ローラを有する主輪に駆動力を伝達する駆動力伝達装置であって、
円環状に配置され、前記主輪に前記駆動力を伝達する複数の駆動ローラと、
円環状に配置され、前記複数の駆動ローラをそれぞれ回転自在に支持する複数のローラ支持部と、
前記複数の駆動ローラ及び前記複数のローラ支持部が配置されるローラ配置部と
を有し、
前記ローラ配置部は、
前記回転軸線に対して径方向外側に拡がるベース部と、
前記回転軸線の周りの周方向に沿って配置され、前記ベース部から前記回転軸線に沿った軸方向に突出する外側枠部と、
前記外側枠部よりも径方向内側に配置され、前記ベース部から軸方向に突出する内側枠部と
を有し、
前記複数のローラ支持部は、前記外側枠部の内周面と前記内側枠部の外周面との間に嵌っている、駆動力伝達装置。
【0113】
(2)前記ローラ配置部は、前記複数のローラ支持部がそれぞれ嵌る複数の嵌合部を更に有し、
前記複数の嵌合部は、前記外側枠部の内周面と前記内側枠部の外周面とのうちの少なくとも一方に周方向に沿って配置される、(1)に記載の駆動力伝達装置。
【0114】
(3)前記複数の嵌合部は、
前記外側枠部の内周面に周方向に沿って配置され、前記複数のローラ支持部の径方向外側の端部がそれぞれ嵌る複数の第1嵌合部と、
前記内側枠部の外周面に周方向に沿って配置され、前記複数のローラ支持部の径方向内側の端部がそれぞれ嵌る複数の第2嵌合部と
を含む、(2)に記載の駆動力伝達装置。
【0115】
(4)前記第1嵌合部は、径方向外側に窪むか、又は、径方向内側に突出し、
前記第2嵌合部は、径方向外側に突出するか、又は、径方向内側に窪む、(3)に記載の駆動力伝達装置。
【0116】
(5)前記複数の第1嵌合部のうちの第1嵌合部と、前記複数の第2嵌合部のうちの第2嵌合部とは、径方向に互いに対向し、
前記複数の第1嵌合部のうち、前記第2嵌合部と径方向に対向する前記第1嵌合部に対して周方向一方側の隣に配置される第1嵌合部と、前記第2嵌合部と径方向に対向する前記第1嵌合部に対して周方向他方側の隣に配置される第1嵌合部とは、径方向に互いに対向する前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部に対して対称に配置される、(3)又は(4)に記載の駆動力伝達装置。
【0117】
(6)前記外側枠部は、径方向外側に窪む複数の凹部を更に有し、
前記複数の凹部は、前記外側枠部の内周面に周方向に沿って配置され、
前記凹部は、周方向に隣り合う前記第1嵌合部と前記第1嵌合部との間に位置する、(3)から(5)のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
【0118】
(7)前記ベース部と前記外側枠部と前記内側枠部と前記複数の嵌合部とは、単一の部材によって構成される、(2)から(6)のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
【0119】
(8)前記ローラ配置部は、歯付ベルトが架け渡されるプーリー部を更に有し、
前記プーリー部は、前記ローラ配置部の外周縁に沿って配置され、
前記ベース部と前記外側枠部と前記内側枠部と前記複数の嵌合部と前記プーリー部とは、単一の部材によって構成される、(2)から(6)のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
【0120】
(9)前記複数のローラ支持部の各々の一部に対して軸方向に対向し、前記複数のローラ支持部の各々の一部に接触する接触部を更に有する、(1)から(8)のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
【0121】
(10)前記複数の駆動ローラの各々は、ローラ本体と、前記ローラ本体に固定される回転軸部とを有し、
前記複数のローラ支持部の材料は、合成樹脂であり、
前記駆動ローラは、周方向に隣り合う前記ローラ支持部と前記ローラ支持部との間に配置され、
前記駆動ローラの前記回転軸部は、周方向に隣り合う前記ローラ支持部と前記ローラ支持部とに接触しながら回転する、(1)から(9)のいずれかに記載の駆動力伝達装置。
【0122】
(11)円環状に配置された複数の被駆動ローラを有し、回転軸線の周りに回転する主輪と、
前記主輪に駆動力を伝達する一対の駆動力伝達装置と
を有し、
前記一対の駆動力伝達装置のうちの一方の駆動力伝達装置は、(1)から(10)のいずれかに記載の駆動力伝達装置であり、前記回転軸線に沿った軸方向一方側から前記主輪に対して駆動力を伝達し、
前記一対の駆動力伝達装置のうちの他方の駆動力伝達装置は、前記主輪に対して前記一方の駆動力伝達装置と対称な構造を有し、前記回転軸線に沿った軸方向他方側から前記主輪に対して駆動力を伝達する、回転機構。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示は、例えば、駆動力伝達装置及び回転機構に利用できる。
【符号の説明】
【0124】
5 主輪
10 ベース部
20 外側枠部
30 内側枠部
21、21a、21b、21c、21x 第1嵌合部
31、31a、31x 第2嵌合部
11A、11B 駆動力伝達装置
51 被駆動ローラ
110、110A、110B ローラ配置部
120、120a、120b 駆動ローラ
121 ローラ本体
123 回転軸部
130、130a、130b、130c ローラ支持部
140 接触部
AX 回転軸線
FT 嵌合部