(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036188
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240308BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B65D5/54 311A
B65D5/54 D
B65D5/42 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140966
(22)【出願日】2022-09-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月30日に発明に係る包装箱を日清オイリオグループ株式会社に販売
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大雅
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB13
3E060AB16
3E060AC03
3E060BA03
3E060BC02
3E060CE05
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060CG12
3E060DA14
3E060DA17
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】胴膨れを抑えるとともに、上面全体を開くことができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1であって、底板10の縁部に連設された前後の端壁20,20および左右の側壁30,30と、両側壁30,30の上縁部に連設された頂板40と、を備えている箱体2を有している。頂板40に連設された上フラップ41が、端壁20に重ねられている。端壁20において、上フラップ41の下縁部が重なる位置には、第一開封穴61が形成されている。両側壁30,30の上縁部と頂板40の左右の縁部とは、それぞれ切断誘導線L1,L1を介して連設されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の前後の縁部に連設された前後の端壁と、
前記底板の左右の縁部に連設された左右の側壁と、
前記両側壁の上縁部に連設された頂板と、を備えている箱体を有し、
前記頂板に連設された上フラップが、前記端壁に重ねられ、
前記端壁において、前記上フラップの下縁部が重なる位置には、開封穴が形成されており、
前記両側壁の上縁部と前記頂板の左右の縁部とは、それぞれ切断誘導線を介して連設されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
複数の前記箱体が左右方向に並べて連結されていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記側壁の上縁部には、前記切断誘導線を介して接合片が連設されており、
前記接合片は、前記頂板に接合されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップアラウンド方式の段ボール製の包装箱としては、前後左右の壁体の高さ方向の中間部を切断誘導線が横断しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
前記した包装箱では、前側の壁体の切断誘導線を切り開いて、前側の壁体の上部を引き上げることで、残りの壁体の切断誘導線を順次に切り開くことができる。そして、各壁体の切断誘導線を切り開いて、包装箱の上部と下部を分割することで、包装箱を開封するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱のように、壁体の高さ方向の中間部を切断誘導線が横断している場合には、包装箱に上方から荷重が作用したときに、壁体が外側に向けて膨らむように変形する胴膨れが生じ易くなる。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、胴膨れを抑えるとともに、開封時に上面全体を開くことができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、底板と、前記底板の前後の縁部に連設された前後の端壁と、前記底板の左右の縁部に連設された左右の側壁と、前記両側壁の上縁部に連設された頂板と、を備えている箱体を有している。前記頂板に連設された上フラップが、前記端壁に重ねられている。前記端壁において、前記上フラップの下縁部が重なる位置には、開封穴が形成されている。前記両側壁の上縁部と前記頂板の左右の縁部とは、それぞれ切断誘導線を介して連設されている。
【0007】
本発明の包装箱を開封するときには、端壁の開封穴に指を差し込んで、上フラップおよび頂板を引き上げると、左右の切断誘導線が切り開かれていき、頂板全体が両側壁から切り離される。これにより、本発明の包装箱は、開封時に上面全体が開くため、包装箱から内容物を取り出し易くなる。
また、本発明の包装箱では、開封用の切断誘導線が側壁の上縁部に形成されているため、包装箱に上方から荷重が作用したときに、側壁が外側に向けて膨らみ難い。
【0008】
本発明の包装箱を開封するときには、頂板を引き上げて側壁の上縁部の切断誘導線を切り開くため、側壁の外面に他の箱体が重なっていても、包装箱を開封することができる。したがって、本発明の包装箱では、複数の前記箱体を左右方向に並べて連結することができる。
【0009】
本発明は、前記側壁の上縁部に前記切断誘導線を介して接合片が連設されており、前記接合片が前記頂板に接合されている包装箱にも適用可能である。この構成では、包装箱を開封したときに、接合片が頂板とともに側壁から切り離されるため、開封後の包装箱の開口部に接合片が残らない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱では、側壁の上縁部に切断誘導線が形成されているため、胴膨れを抑えるとともに、開封時に上面全体を開いて内容物を取り出し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る箱体を前方左上から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る箱体を後方右上から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る箱体のブランクシートを示した図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る包装箱において一方の箱体を開封した状態を示した斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る包装箱において両方の箱体を開封した状態を示した斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る箱体のブランクシートを示した図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る箱体のブランクシートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0013】
本実施形態の包装箱1は、
図1に示すように、二つの箱体2,2を左右方向に並べて連結したものである。
箱体2は、
図2に示すように、底板10と、底板10の縁部に連設された前後の端壁20,20および左右の側壁30,30と、両側壁30,30の上縁部に連設された頂板40と、を備えているラップアラウンド方式の段ボール箱である。
本実施形態の箱体2に収容する内容物は限定されるものではないが、例えば、複数のペットボトルを内容物として収容できる。
【0014】
包装箱1の箱体2は、
図4に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図4に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0015】
ブランクシートS1に形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。
【0016】
底板10は、
図2に示すように、四角形の平板である。底板10の左縁部には、折れ線を介して左側の側壁30が連設され、底板10の右縁部には、折れ線を介して右側の側壁30が連設されている。左右の側壁30,30は、同じ四角形の壁体であり、底板10に対して垂直に形成されている。
【0017】
また、底板10の前後の縁部には、折れ線を介して前後の下フラップ11,11(
図3参照)がそれぞれ連設されている。下フラップ11は、後記する端壁20の外面の下部に重ねて接合される部位である。
【0018】
図3に示すように、右側の側壁30の上縁部には、右側の切断誘導線L1を介して頂板40が連設されている。このように、右側の側壁30の上縁部に切断誘導線L1が形成されている。頂板40は、底板10と同じ四角形の平板であり、右側の側壁30に対して垂直に形成されている。
【0019】
図2に示すように、左側の側壁30の上縁部には、左側の切断誘導線L1を介して接合片50が連設されている。このように、左側の側壁30の上縁部に切断誘導線L1が形成されている。
接合片50は、左側の側壁30の上縁部に沿って形成された帯状の部位である。接合片50は、頂板40の下面の左端部に貼り付けられている。箱体2では、頂板40と左側の側壁30とが、接合片50を介して連設されている。
【0020】
なお、本実施形態の切断誘導線L1は、複数の切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線であり、各切れ込みの後端部は頂板40側に傾斜している。
【0021】
ブランクシートS1(
図4参照)を折れ線および切断誘導線L1で折り曲げつつ、接合片50を頂板40の下面に接着することで、底板10、左右の側壁30,30および頂板40が角筒状に形成される。なお、接合片50は、頂板40の上面に接着してもよい。
【0022】
また、頂板40の前後の縁部には、折れ線を介して前後の上フラップ41,41(
図3参照)がそれぞれ連設されている。上フラップ41は、後記する端壁20の外面の上部に重ねて接合される部位である。
【0023】
前側の端壁20は、左右の横フラップ21,21を備えている。左側の横フラップ21は、折れ線を介して左側の側壁30の前縁部に連設され、右側の横フラップ21は、折れ線を介して右側の側壁30の前縁部に連設されている。横フラップ21は、側壁30に対して垂直に折り曲げられている。
【0024】
本実施形態では、左右の横フラップ21,21の先端縁部同士が、包装箱1の前面の左右方向の中央部において突き合わされている。なお、左右の横フラップ21,21の先端縁部は間隔を空けて配置してもよい。
【0025】
両横フラップ21,21の外面の上部には、頂板40に対して垂直に折り曲げられた上フラップ41が接着され、両横フラップ21,21の外面の下部には、底板10に対して垂直に折り曲げられた下フラップ11が接着されている。
【0026】
後側の端壁20は、
図3に示すように、前側の端壁20と同じ構成であり、左右の横フラップ21,21に上フラップ41および下フラップ11が接着されている。
【0027】
図2に示すように、前側の端壁20の上部には、第一開封穴61が形成されている。第一開封穴61は、箱体2を開封するときに指を差し込んで上フラップ41を引き上げるための四角形の貫通穴である(
図5参照)。
本実施形態の第一開封穴61は、横フラップ21の一部によって塞がれている。第一開封穴61を塞いでいる部位を内側に向けて折り曲げることで、第一開封穴61を開口させることができる(
図5参照)。
【0028】
第一開封穴61は、端壁20において上フラップ41の下縁部が重なる位置に形成されている。本実施形態では、第一開封穴61の上部が上フラップ41によって塞がれており、第一開封穴61の下部が外部に露出している。
第一開封穴61の左半分は、左側の横フラップ21の先端縁部を窪ませた部位であり、第一開封穴61の右半分は、右側の横フラップ21の先端縁部を窪ませた部位である。
【0029】
前側の端壁20の下部には、第二開封穴62が形成されている。第二開封穴62は、箱体2を破棄するときに指を差し込んで下フラップ11を引き出すための四角形の貫通穴である。第二開封穴62は、第一開封穴61と同様に、横フラップ21の一部によって塞がれている。
第二開封穴62は、端壁20において下フラップ11の上縁部が重なる位置に形成されている。第二開封穴62の下部は下フラップ11によって塞がれている。
【0030】
本実施形態では、
図1に示すように、内容物が詰められた箱体2を左右に二つ並べて連結した包装箱1の状態で搬送するように構成されている。包装箱1では、両箱体2,2の頂板40,40の側縁部同士を粘着テープTによって連結するとともに、両箱体2,2の底板10,10の側縁部同士を粘着テープTによって連結している。
【0031】
次に、本実施形態の包装箱1を開封する手順について説明する。
本実施形態では、
図1に示す二つの箱体2,2を一つずつ開封していく。
まず、
図5に示すように、左側の箱体2の後側の端壁20の第一開封穴61を開口させ、その第一開封穴61に指を差し込んで、上フラップ41の下縁部に指を掛けて、上フラップ41を引き上げる。このようにして、後側の上フラップ41を後側の端壁20から引き剥がす。
【0032】
そして、後側の上フラップ41を指で把持して、頂板40を引き上げていくと、左右の切断誘導線L1,L1が後端部から前方に向けて切り開かれる。このとき、切断誘導線L1の切れ込みの後端部は頂板40側に傾斜しているため、切断誘導線L1の切れ込みから側壁30側に切れ込むのを防ぐことができる。
【0033】
また、左側の箱体2の頂板40を引き上げると、両箱体2,2の両頂板40,40を連結している粘着テープTは、左側の頂板40とともに引き上げられ、右側の箱体2の頂板40から引き剥がされる。
【0034】
両切断誘導線L1,L1全体を切り開いた後に、前側の端壁20の左右の蓋板61a,61aを外側から内側に押し込んで第一開封穴61を開口させ、上フラップ41を引き上げて、前側の上フラップ41を前側の端壁20から引き剥がす。
【0035】
このようにして、頂板40、接合片50および前後の上フラップ41,41を箱体2から切り離すと、左側の箱体2の上面全体が開口した状態となる。
続いて、
図6に示すように、右側の箱体2も左側の箱体2と同様に、頂板40、接合片50および両上フラップ41,41を箱体2から切り離して、右側の箱体2の上面全体を開口させる。
これにより、包装箱1の上面全体が開口した状態となり、包装箱1から内容物を取り出すことができる。なお、左右の箱体2,2を連続して開封することなく、一方の箱体2のみを開封して内容物を取り出した後に、他方の箱体2を開封してもよい。
【0036】
なお、包装箱1を破棄するときには、左右の箱体2,2から頂板40および接合片50を切り離した後に、端壁20の第二開封穴62を開口させ、第二開封穴62に指を差し込んで、下フラップ11を引き出す。
これにより、左右の箱体2,2の底板10,10同士を粘着テープTによって接合した状態で、両箱体2,2を平坦なシート状に開くことができる。さらに、シート状の両箱体2,2の外面同士が重なるように、両底板10,10の間で粘着テープTを折り曲げることで、両箱体2,2の内面が外側となる状態で、両箱体2,2を重ねることができる。
このように、包装箱1では、両箱体2,2を別々に分解することなく、まとめてシートの状態にして破棄できる。
【0037】
以上のような包装箱1を開封するときに、
図6に示すように、左右の側壁30,30の上縁部に形成された左右の切断誘導線L1,L1を切り開いて、頂板40全体を両側壁30,30から切り離すと、箱体2の上面全体が開くため、包装箱1から内容物を取り出し易くなる。
【0038】
本実施形態のように、箱体2がラップアラウンド方式の段ボール箱であり、頂部に接合片50が配置される場合でも、箱体2を開封したときに、接合片50が頂板40とともに側壁30から切り離されるため、開封後の箱体2の開口部に接合片50が残らない。
【0039】
箱体2を開封するときには、頂板40を引き上げて側壁30の上縁部の切断誘導線L1を切り開くため、本実施形態の包装箱1のように、複数の箱体2,2を並べた構成で、箱体2の側壁30の外面に他の箱体2が重なっている場合でも、箱体2を開封することができる。
【0040】
本実施形態の包装箱1の箱体2では、
図2に示すように、開封用の切断誘導線L1が側壁の上縁部に形成されているため、箱体2に上方から荷重が作用したときに、側壁30が外側に向けて膨らみ難い。このように、本実施形態の包装箱1の箱体2では、胴膨れを抑えることができる。
【0041】
以上、本発明の本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の包装箱1では、
図1に示すように、二つの箱体2,2を並べて連結しているが、箱体2の数は限定されるものではなく、例えば、一つの箱体2によって包装箱1を構成してもよく、または、三つ以上の箱体2を並べて連結してもよい。
【0042】
本実施形態の包装箱1では、第一開封穴61および第二開封穴62が横フラップ21の一部によって塞がれているが、包装箱1を組み立てた状態において第一開封穴61および第二開封穴62が開口しているように構成してもよい。
【0043】
また、本実施形態の箱体2は、
図2に示すように、側壁30の上縁部に連設された接合片50を頂板40の下面に接合しているが、箱の形態は限定されるものではない。例えば、両側壁30,30の上縁部と、頂板40の左右の縁部とを、それぞれ切断誘導線L1,L1を介して直接連設してもよい。
【0044】
また、本実施形態の包装箱1では、第一開封穴61の上部が上フラップ41によって塞がれているが、第一開封穴61の上縁部に上フラップ41の下縁部が重なるように配置し、第一開封穴61全体を外部に露出させてもよい。
【0045】
また、
図7に示すブランクシートS2のように、切断誘導線L2を介して頂板40に上フラップ41を連設し、切断誘導線L2を切り開いて、頂板40から上フラップ41を切り離せるように構成してもよい。
【0046】
また、
図8に示すブランクシートS3のように、切断誘導線L3を介して底板10に下フラップ11を連設し、切断誘導線L3を切り開いて、底板10から下フラップ11を切り離せるように構成してもよい。
【0047】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱1を形成できる。
【符号の説明】
【0048】
1 包装箱
2 箱体
10 底板
11 下フラップ
20 端壁
21 横フラップ
30 側壁
40 頂板
41 上フラップ
50 接合片
61 第一開封穴
62 第二開封穴
L1 切断誘導線
L2 切断誘導線
L3 切断誘導線
S1 ブランクシート
S2 ブランクシート
S3 ブランクシート
T 粘着テープ