IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー トラック エージーの特許一覧

<>
  • 特開-ハーネス収容構造 図1
  • 特開-ハーネス収容構造 図2
  • 特開-ハーネス収容構造 図3
  • 特開-ハーネス収容構造 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024036190
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ハーネス収容構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
H02G3/04 062
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140968
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】知久 健一
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DE03
5G357DE05
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】ハーネスの配索自由度を低下させることなく、ハーネスの揺れ動きを抑制することができるハーネス収容構造を提供する。
【解決手段】ハーネス収容構造1000は、ハーネスを収容するためのケース本体10と、ケース本体10の側板10bから底板10aに連なって形成された開口であって、ハーネスをケース本体10の内部から引き出すためのハーネス引出部20、30と、底板10aから突出しているリブであって、ケース本体10の内部に収容されたハーネスを巻き付けるためのハーネス巻付部40と、底板10aに形成された開口に設けられたリブであって、ハーネスをハーネス巻付部40からハーネス引出部20、30まで案内するためのハーネス案内部60、70とを備えている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーネスを収容するためのケース本体と、
前記ケース本体の側板から底板に連なって形成された開口であって、前記ハーネスを前記ケース本体の内部から引き出すためのハーネス引出部と、
前記底板から突出しているリブであって、前記ケース本体の内部に収容された前記ハーネスを巻き付けるためのハーネス巻付部と、
前記底板に形成された前記開口に設けられたリブであって、前記ハーネスを前記ハーネス巻付部から前記ハーネス引出部まで案内するためのハーネス案内部とを備え、
前記ハーネス案内部は、前記ハーネス案内部に隣接する前記底板の側面に当接されており、
前記ハーネス案内部の内面は、前記ハーネス案内部に隣接する前記底板の内面よりも低くなっていることにより、前記ハーネス案内部に隣接する前記底板の内面との間に傾斜面を形成していることを特徴とするハーネス収容構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーネス収容構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のハーネス収容構造は、車両に設けられる構造体であって、ハーネスを収容するためのケース本体と、ハーネスをケース本体の内部から引き出すためのハーネス引出部と、ケース本体の内部に収容されたハーネスを巻き付けるためのハーネス巻付部とを備えている。ハーネス引出部は、ケース本体の側板に形成された開口により構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-141461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のハーネス収容構造は、ハーネス引出部においてケース本体の側板にのみ開口が形成されているため、ハーネス引出部から引き出されるハーネスの配索自由度を低下させてしまうという問題を有する。一方で、この問題を解決するために、この開口を広げると、車両の走行中に、ケース本体の内部に収容したハーネスが大きく揺れ動くことにより、このハーネスを損傷させたり、騒音を発生させたりするという問題が考えられる。
【0005】
本発明の目的は、ハーネスの配索自由度を低下させることなく、ハーネスの揺れ動きを抑制することができるハーネス収容構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係るハーネス収容構造は、ハーネスを収容するためのケース本体と、前記ケース本体の側板から底板に連なって形成された開口であって、前記ハーネスを前記ケース本体の内部から引き出すためのハーネス引出部と、前記底板から突出しているリブであって、前記ケース本体の内部に収容された前記ハーネスを巻き付けるためのハーネス巻付部と、前記底板に形成された前記開口に設けられたリブであって、前記ハーネスを前記ハーネス巻付部から前記ハーネス引出部まで案内するためのハーネス案内部とを備え、前記ハーネス案内部は、前記ハーネス案内部に隣接する前記底板の側面に当接されており、前記ハーネス案内部の内面は、前記ハーネス案内部に隣接する前記底板の内面よりも低くなっていることにより、前記ハーネス案内部に隣接する前記底板の上面との間に傾斜面を形成している。
【0008】
このようなハーネス収容構造によれば、開口したハーネス引出部の周辺にハーネス巻付部やハーネス案内部を形成することで剛性を確保するとともに、ハーネスをハーネス巻付部に巻き付け、ハーネス案内部を介してハーネス引出部に引き出すように配索することで、ハーネスを滑らかに配索しつつ揺れ動きを抑制できる。
【0009】
従って、本適用例に係るハーネス収容構造によれば、ハーネスの配索自由度を低下させることなく、ハーネスの揺れ動きを抑制してハーネスの損傷を抑制するとともに、ハーネス引出部周辺の剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るハーネス収容構造の取付箇所を示すための概略図である。
図2】本発明に係るハーネス収容構造の一実施形態を示す平面図である。
図3図2に示すハーネス収容構造のA-A線断面図である。
図4図2に示すハーネス収容構造にハーネスを収容した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(ハーネス収容構造の取付箇所)
本発明に係るハーネス収容構造の取付箇所について説明する。図1は、本発明に係るハーネス収容構造の取付箇所を示すための概略図である。具体的には、図1は、トラックである車両の前面を示す正面図である。図1に示すように、車両1は、フロントガラス2と、ボディー3とを備えている。フロントガラス2については、車両1の外部から目視可能な可視部2aと、車両の外部から目視不能な不可視部2bとに分類することができる。不可視部2bは、ボディー3の内部に位置している。本発明に係るハーネス収容構造の取付箇所は、例えば、図1に示す不可視部2b、または、車両1のリアガラスのうち車両1の外部から目視不能な不可視部である。本実施形態のハーネス収容構造1000は、図1に示すフロントガラス2の不可視部2bの四隅にそれぞれ配置されている。
【0012】
(ハーネス収容構造に収容されるハーネス)
本発明に係るハーネス収容構造に収容されるハーネスとしては、例えば、車両1のフロントガラス又はリアガラスの曇りを除去するための電熱線に電力を供給するためのケーブルが挙げられる。この場合、このハーネスの一端が電源に接続され、このハーネスの他端が電熱線の端子に接続される。
【0013】
(ハーネス収容構造の構成)
図2は、本発明に係るハーネス収容構造の一実施形態を示す平面図である。図2に示すように、ハーネス収容構造1000は、ケース本体10と、第1ハーネス引出部20と、第2ハーネス引出部30と、ハーネス巻付部40と、ハーネス固定部50と、第1ハーネス案内部60と、第2ハーネス案内部70と、第1屈曲案内部80と、第2屈曲案内部90と、第1別経路構成部110と、第2別経路構成部120と、第3ハーネス引出部130と、第4ハーネス引出部140と、第3ハーネス案内部150と、第4ハーネス案内部160とを備えている。また、ケース本体10の天面は開放されているが、車両に搭載される際には図示しないカバー本体で蓋がされて内部の配索は見えないようにされている。ハーネス収容構造1000は、ケース本体10の底面がフロントガラス2に接着剤等で貼り付けられることで設けられている。
【0014】
ケース本体10は、その内部にハーネスを収容するためのものである。ケース本体10は、概略長円状に形成された底板10aと、底板10aの内面から垂直方向天面側に突出している側板10bとを備えている。側板10bは、底板10aの外周側にわたって形成されている。
【0015】
第1ハーネス引出部20と第2ハーネス引出部30とは、互いに隣接するように設けられている。第1ハーネス引出部20と第2ハーネス引出部30とは、ケース本体10の内部から外部にハーネスを引き出すためのものであり、ケース本体10の底板10aから側板10bにわたって連なるように形成された開口である。
【0016】
ハーネス巻付部40は、ケース本体10の底板10aから垂直方向天面側に突出しているリブであって、ケース本体10の内部に収容されるハーネスを巻き付けるためのものである。ハーネス巻付部40は、平面視長円状に形成されている基部40aと、基部40aの側面から水平方向に突出している爪部40bとを備えている。
【0017】
ハーネス固定部50は、ケース本体10の底板10aから鉛直方向上方に突出しているリブであって、ケース本体10の内部に収容されるハーネスを固定するためのものである。ハーネス固定部50は、ハーネス巻付部40の爪部40bに対し、爪部40bの突出方向に所定の距離だけ離間するように設けられている。この距離は、ハーネス固定部50とハーネス巻付部40の爪部40bとの間にハーネスを嵌合することができるように調整される。
【0018】
第1ハーネス案内部60は、ケース本体10の成型時にはケース本体10の底板10aに形成されている開口(図2に示す符号60により示されている位置にある開口)に設けられたリブである。具体的には、第1ハーネス案内部60は、平面視台形状の板状に形成されており、平面視において第1ハーネス引出部20から離間するにつれて細くなっている。第1ハーネス案内部60は、ハーネスをハーネス巻付部40から第1ハーネス引出部20まで案内するためのものである。
【0019】
図3に示すように、第1ハーネス案内部60は、第1ハーネス案内部60に隣接する底板10aと一体成型されている。第1ハーネス案内部60の内面は、第1ハーネス案内部60に隣接する底板10aの内面に続いて第1ハーネス引出部20に向かうにつれて下り傾斜の傾斜面を形成している。この傾斜面は、第1ハーネス案内部60の平面視形状である平面視台形状に形成されている。また、この傾斜面は、上り傾斜方向(底面側から天面側への)に沿って形成されている部分を有している。また、第1ハーネス案内部60の傾斜面の先端(第1ハーネス引出部20の側の先端)は滑らかに湾曲した形状をなしている。
【0020】
第2ハーネス案内部70は、上述したような第1ハーネス案内部60の構成とほぼ同様の構成を有している。ただし、第1ハーネス案内部60の平面視台形状が第1ハーネス引出部20から離間するにつれて細くなっていることに代えて、第2ハーネス案内部70の平面視台形状は第2ハーネス引出部30から離間するにつれて細くなっている。
【0021】
第1屈曲案内部80と第2屈曲案内部90とは、平面視楕円状の柱状に形成されたリブであり、第1ハーネス案内部60と第2ハーネス案内部70との間に設けられている。第1屈曲案内部80は、ハーネスをケース本体10の側板10bとの間に嵌合させて第1ハーネス引出部20に向けて屈曲させるためのものである。第2屈曲案内部90は、ハーネスを第1屈曲案内部80との間に嵌合させて第2ハーネス引出部30に向けて屈曲させるためのものである。
【0022】
第1別経路構成部110と第2別経路構成部120とは、ケース本体10の底板10aから鉛直方向上方に突出しているリブであって、ケース本体10の内部に収容されるハーネスの経路を構成するためのものである。
【0023】
第3ハーネス引出部130と第4ハーネス引出部140とは、第1ハーネス引出部20とほぼ同様の構成を有している。
【0024】
第3ハーネス案内部150と第4ハーネス案内部160とは、第1ハーネス案内部60とほぼ同様の構成を有している。ただし、第1ハーネス案内部60の平面視台形状が第1ハーネス引出部20から離間するにつれて細くなっていることに代えて、第3ハーネス案内部150の平面視台形状は第3ハーネス引出部130から離間するにつれて細くなっており、第4ハーネス案内部160の平面視台形状は第4ハーネス引出部140から離間するにつれて細くなっている。
【0025】
ここで、図2に示すハーネス収容構造1000にハーネスHを収容した状態の一例について説明する。図4に示すように、ハーネスHは、ハーネス巻付部40の爪部40bとハーネス固定部50との間に嵌合されて固定されている。ハーネスHの一端側は、ケース本体10の側板10bと第1屈曲案内部80との間に嵌合され、屈曲して第1ハーネス引出部20から引き出されている。ここでは図3において点線で示すようにハーネスHは、第1ハーネス案内部60の内面の傾斜に沿ってケース本体10の内部から外部に案内される。
【0026】
一方で、ハーネスHの他端側は、第1屈曲案内部80と第2屈曲案内部90との間に嵌合され、屈曲されて第2ハーネス引出部30から引き出されている。ここでもハーネスHは、第2ハーネス案内部70の内面の傾斜に沿ってケース本体10の内部から外部に案内される。なお、ハーネスHの他端側における一部は炭素繊維ケーブルCにより構成されている。そして、カバー本体(図示せず)には、炭素繊維ケーブルCの形状に合致する切欠部(図示せず)が構成されており、炭素繊維ケーブルCは、ケース本体10の上側をカバー本体で覆った状態において、カバー本体の切欠部に配置される。
【0027】
なお、必要に応じて、別のハーネスを、第1別経路構成部110と第2別経路構成部120との間に収容することもできる。この場合、この別のハーネスの一端が第3ハーネス引出部130から引き出され、その他端が第4ハーネス引出部140から引き出される。
【0028】
(ハーネス収容構造の効果)
本実施形態によれば、第1ハーネス引出部20、第2ハーネス引出部30、第3ハーネス引出部130及び第4ハーネス引出部140における開口をケース本体10の側板10bから底板10aに連なって形成するものであるため、ハーネスHをケース本体10の内部から開口を介して円滑に引き出すことができる。これにより、ケース本体10の内部から引き出したハーネスHの配索自由度の低下を回避することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、第1ハーネス引出部20、第2ハーネス引出部30、第3ハーネス引出部130及び第4ハーネス引出部140における開口をケース本体10の底板10aにも形成するものであるため、その分だけケース本体10の側板10bに形成する開口の面積を小さくすることができる。これにより、車両1の走行中において、第1ハーネス引出部20、第2ハーネス引出部30、第3ハーネス引出部130及び第4ハーネス引出部140における開口でのハーネスHの揺れ動きを抑制することができる。これにより、車両1の走行中において、このハーネスHの損傷、および、騒音の発生を抑制することができる。
【0030】
さらに、本実施形態によれば、ケース本体10の内部に収容されたハーネスHを巻き付けるためのハーネス巻付部40を備えることにより、ケース本体10の内部に収容したハーネスHが車両1の走行中に大きく揺れ動くことをさらに確実に抑制することができる。これにより、車両1の走行中において、このハーネスHの損傷、および、騒音の発生をさらに確実に抑制することができる。
【0031】
その上で、本実施形態によれば、ケース本体10の底板10aに形成された開口に設けられたリブである第1ハーネス案内部60、第2ハーネス案内部70、第3ハーネス案内部150及び第4ハーネス案内部160を備え、さらには、これら第1ハーネス案内部60、第2ハーネス案内部70、第3ハーネス案内部150及び第4ハーネス案内部160を底板10aの側面に当接させるものであることにより、ケース本体10における第1ハーネス引出部20、第2ハーネス引出部30、第3ハーネス引出部130及び第4ハーネス引出部140の開口周辺の剛性を補強することができる。これにより、ケース本体10の成型時においては、これら開口周辺の素材の収縮を抑制することができ、ケース本体10の成型後においては、ケース本体10の長寿命化を図ることができる。
【0032】
加えて、本実施形態によれば、第1ハーネス案内部60、第2ハーネス案内部70、第3ハーネス案内部150及び第4ハーネス案内部160とケース本体10の底板10aとに連なった傾斜面を形成するものであるため、ケース本体10の内部に収容したハーネスHが車両1の走行中に揺れ動いたとしても、これらの揺れ動きを底板10a(特に、上り傾斜方向に沿って形成されている箇所)により抑制することができる。このため、車両1の走行中において、このハーネスHの損傷、および、騒音の発生をさらに確実に抑制することができる。
【0033】
これまで説明してきた実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0034】
1 :車両
2 :フロントガラス
2a :可視部
2b :不可視部
3 :ボディー
10 :ケース本体
10a :底板
10b :側板
20 :第1ハーネス引出部
30 :第2ハーネス引出部
40 :ハーネス巻付部
40a :基部
40b :爪部
50 :ハーネス固定部
60 :第1ハーネス案内部
70 :第2ハーネス案内部
80 :第1屈曲案内部
90 :第2屈曲案内部
110 :第1別経路構成部
120 :第2別経路構成部
130 :第3ハーネス引出部
140 :第4ハーネス引出部
150 :第3ハーネス案内部
160 :第4ハーネス案内部
1000 :ハーネス収容構造
図1
図2
図3
図4